報道発表資料

平成27年12月18日
総合政策
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奈良線第2期複線化事業(JR藤森~宇治・新田~城陽・山城多賀~玉水間複線化)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、18日、奈良線第2期複線化事業(JR藤森~宇治・新田~城陽・山城多賀~玉水間複線化)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見を、国土交通大臣に提出した。
 本事業は、JR奈良線の安定輸送の確立を目的に、JR奈良線の一部単線区間を複線化するものである。
 環境大臣意見では、事業者に対して、列車走行に伴う住居等保全対象への騒音影響を回避・低減するため、音源対策に加え、沿線住民の意見を踏まえた防音壁の設置を基本とする適切な措置を講ずること、事後調査の結果が指針を達成しない場合は追加的な措置を講ずること、宇治川の橋梁について、眺望景観への介在が小さく、周辺景観との調和が図られる構造を採用すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法では、10km以上の鉄道の設置又は改良の工事を対象事業としており、環境大臣は、環境影響評価書(※)について、国土交通大臣等からの照会に対して意見を述べることができるとされている。

 本件は、京都府で計画されている奈良線第2期複線化事業(JR藤森~宇治・新田~城陽・山城多賀~玉水間複線化)に係る環境影響評価書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。

 今後、国土交通省近畿運輸局長から事業者である西日本旅客鉄道株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討し、必要に応じて見直した上で評価書を確定し、公告縦覧等を行うこととなる。

※環境影響評価書:環境影響評価の結果について記載した準備書に対する意見を踏まえて、必要に応じてその内容を修正した文書。

2.事業の概要

 奈良線第2期複線化事業(JR藤森~宇治・新田~城陽・山城多賀~玉水間複線化)は、JR奈良線のうちJR藤森~宇治、新田~城陽及び山城多賀~玉水間の単線区間を複線化するものである。

 対象事業実施区域及びその周辺は、市街地が形成され、JR藤森駅~宇治間周辺は住居系利用地域に指定されている。また、地下水の利用が多い地域である。さらに、宇治川周辺は、重要な文化的景観を有している。

3.環境大臣意見の概要

(1)総論

 事業実施に当たっては、以下の取組を行うこと。

[1]事後調査等を適切に実施し追加的な環境保全措置を講ずること。

[2]追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言等を公開し、透明性・客観性を確保すること。

[3]調査の結果については、環境影響を分析し、調査により判明した環境の状況に応じて講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

(2)各論

1)列車走行に伴う騒音・振動について

 複線化による列車速度の向上、列車のすれ違い及び線路の沿線住居への近接により、沿線住居等への騒音・振動の影響が懸念される。

 また、今後のJR奈良線の利用者数の推移、JR奈良線沿線の社会状況の変化等を踏まえ、環境影響を適切に把握する必要があることから、以下の措置を講ずること。

[1]列車走行に伴う騒音について、「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針について」(平成7年12月20日、環大-174号)の指針達成に向け、音源対策を基本として、下記(イ)~(ニ)を講じ、住居等保全対象への騒音影響を回避・低減すること。

(イ)下記{i}~{iii}をはじめとする適切な環境保全措置を講じ、転動音、車両機器音及び構造物音の低減を図ること。

{i}分岐器設置区間等を除く当該区間のロングレール化

{ii}103系車両からの代替による低騒音型機器搭載車両の導入推進

{iii}鉄橋におけるコンクリート床版化の極力導入

(ロ)予測地点以外の区間も、防音壁の設置を基本とする適切な環境保全措置を講じ、騒音影響を低減すること。また、防音壁の設置について、住民意見を踏まえ、日照阻害等も考慮し位置・高さ等を決定すること。

(ハ)ロングレール化が困難な分岐器設置区間は、騒音影響が大きくなるおそれがあるため、適切な防音壁を確実に設置すること。

(ニ)反射音に伴う住居等保全対象への影響を適切に低減できない場合は、吸音材の設置等を講じ、反射音を低減すること。

[2]列車走行に伴う振動について、「環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策について(勧告)」(昭和51年3月12日、環大特32号)の指針達成に向け、振動源対策を基本として、ロングレール化、枕木の高剛性化・重量化等を講じ、住居等保全対象への振動影響を回避・低減すること。

[3]騒音・振動に係る事後調査の結果が、上記指針を達成しない場合は、指針達成に必要な追加的な環境保全措置を講ずること。

[4]列車走行に係る予測条件が変更し、環境影響が大きくなるおそれがある場合は、調査、予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講ずること。

2)地下水について

 本事業の地盤改良工事に伴い地下水への影響が懸念されるため、適切な工法を採用し、施工前に六価クロムの溶出量が環境基準値以下であることを確認すること。また、地元関係者等からの助言を踏まえ、地下水質に関する環境監視を適切に実施すること。

3)景観について

 本事業の工作物の設置に伴い、宇治川周辺における重要な景観の資質が損なわれないようにすること。特に、宇治川渡河区間の橋梁は、地元住民や専門家等からの意見を踏まえ、眺望景観への介在が小さく、周辺景観との調和が図られる構造、位置等を採用すること。

4)温室効果ガスについて

[1]省エネ車両の導入、駅施設の改良に伴う省エネ設備の採用等により、供用時の温室効果ガス排出量を削減すること。

[2]低燃費型建設機械、LED照明及び混合セメント等の採用等により、工事時の温室効果ガス排出量を削減すること。

【参考】

○事業概要

事業者  西日本旅客鉄道株式会社

事業地  京都府京都市伏見区、宇治市、城陽市、綴喜郡井手町

・事業規模  JR奈良線 複線化延長 計14km(JR藤森~城陽間 9.9km、新田~城陽間 2.1km、山城多賀~玉水間 2.0km)

・線路構造  地平構造(約6.2km)、盛土構造(約3.6km)、掘割構造(約3.7km)、橋梁・架道橋構造(約0.5km)

・運行計画  列車本数 200本/日(平日上下計)、設計最高速度 110km/h

○環境影響評価に係る手続

【配慮書の手続】

・縦覧  平成 25年 11月 5日~平成 25年 12月 5日(住民意見 4件

・知事意見提出  平成 26年1月 7日

・環境大臣意見提出  平成 25年 12月19日

・国土交通大臣意見提出  平成 25年 12月24日

【方法書の手続】

・縦覧  平成 26年 3 月 3日~平成 26年 4 月 2日(住民意見17件

・知事意見提出  平成 26年 7 月 9日

【準備書の手続】

・縦覧  平成 27年 3 月 2日~平成 27年 4 月 1日(住民意見 8件

・知事意見提出  平成 27年 8 月 7日

※:環境の保全の見地からの意見件数

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:岸田 周(内6253)
電話:03-3581-3351(代表)
   03-5521-8237(直通)

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