報道発表資料

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2015年12月08日
  • 自然環境

特定外来生物カナダガンの国内根絶について(お知らせ)

 特定外来生物カナダガンについて、日本国内で定着が確認されている個体の防除が完了しましたので、お知らせします。
 これまで、我が国に定着した特定外来生物について根絶した事例はなく、カナダガンが日本で初めての根絶事例となります。

1.基本情報

 カナダガン(Branta canadensis)は、北米原産の大型のガンで、狩猟や愛がん飼育を目的としてヨーロッパ、ニュージーランドに意図的に導入され爆発的に増加したことが確認されています。

 カナダガンによる我が国での生態系等への影響としては、増殖率が高く放置しておくと個体数の増加、生息域の拡大を招き近縁種であるシジュウカラガン(絶滅危惧IA類)等との交雑といった遺伝的攪乱や農業被害が懸念されます。我が国では、観賞用に導入されたカナダガンが野外に定着し、異種間の交雑が確認されたことから平成26年5月に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年法律第78号)」に基づく特定外来生物に指定されました。

カナダガン

2.背景

 我が国においては、昭和60年(1985年)に初めて静岡県富士宮市で2羽が確認され、その後、富士五湖周辺に定着しました。そして、25年後の平成22年(2010年)には、関東地方で約100羽に達しました。

 そのため、平成22年(2010年)より、カナダガン調査グループ(※)が主体となって、地元関係者等と協力しながら防除が進められてきました。防除手法は、成鳥の「捕獲」及び「擬卵交換」による増殖抑制を中心に行われました。

 これらの防除活動により、平成26年(2014年)までに71羽、卵150個以上の防除が実施されました。

※カナダガン調査グループ:

日本野鳥の会神奈川支部、神奈川県立生命の星・地球博物館、かながわ野生動物サポートネットワーク、地域自然財産研究所からの有志メンバーで構成

3.内容

 環境省としては、特定外来生物に指定後、早期の野外排除を進めるため、カナダガン調査グループを主体に関係者と連携して積極的な防除を進めてきました。本年は、6月に長野県(1羽)、7月に神奈川県(1羽)、11月に静岡県(2羽)及び徳島県(2羽)の防除が行われました。このたび、12月4日に茨城県の2羽(交雑1羽を含む。)の防除に成功しました。なお、これらの捕獲個体は、動物園等において飼育の協力をいただいています。

 この結果、人が関与したことにより我が国に定着したカナダガンについて、確認されている全ての個体の防除が完了しました。

 これは、個体数拡大の初期に対応し、被害の未然防止がされた良い事例であり、特定外来生物に指定された外来生物においては、初めてとなる国内での野外根絶になると考えられます。

 なお、人為によるカナダガンの新たな定着を予防する必要があることから、特定外来生物の指定は継続します。

図.捕獲個体数の累積

4.今後の対策について

 鳥類は広域的に移動し、生息することが可能であるため、把握できていない個体が国内に生息している可能性があります。そのため、日本野鳥の会、鳥獣保護区管理員等の協力によるモニタリングを実施しており、今後も継続していきます。今後、人の関与により定着した個体が確認された場合は、防除を実施いたします。また、目撃情報を収集するための呼びかけ等を行っていきます。

注:現在、新潟県においてBranta属の個体が1羽確認されています。当該個体は、ヒシクイ等の渡り鳥の群の中にいることや、これまでの目撃情報等から、人為により導入された個体ではない(迷鳥)可能性があると考えられます。当該個体については、引き続き今後の動向等のモニタリングを実施します。

5.参考

 ・資料1:カナダガンについて

 ・資料2:カナダガンの目撃情報収集の呼びかけチラシ

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8344)
室  長:曽宮 和夫   (内:6680)
室長補佐:立田 理一郎  (内:6681)
担  当:森川 政人   (内:6688)

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