報道発表資料

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2015年09月18日
  • 総合政策

(仮称)葛巻ウィンドファームプロジェクトに係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、18日、岩手県で計画されている「(仮称)葛巻ウィンドファームプロジェクト計画段階環境配慮書」(三菱商事株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、岩手県葛巻町において、最大で総出力138,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、事業実施想定区域全域においてイヌワシへの重大な影響が避けられない場合には、事業の抜本的見直しを含めて検討すること、また、一部地域においてイヌワシ等の希少猛禽類への重大な影響が避けられない場合には、当該地域における風力発電設備の設置取りやめも含めて検討すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である三菱商事株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。


2.事業の概要

 本事業は、岩手県葛巻町に、最大で総出力138,000kWの風力発電所を設置するものである。事業実施想定区域には、国内希少野生動植物種であるイヌワシ等の希少猛禽類の生息が確認されている。また、事業実施想定区域及びその周辺には、風力発電所が設置済又は環境影響評価手続中である。


3.環境大臣意見の概要

[1]総論

(1)希少猛禽類への重大な影響が避けられない場合の検討

 事業実施想定区域全域においてイヌワシへの重大な影響が避けられない場合には、事業の抜本的見直し、また、事業実施想定区域の一部地域において、イヌワシ等の希少猛禽類への重大な影響が避けられない場合には、それら地域における風力発電設備の設置取りやめも含めて検討すること。その上で、本事業の実施に向けて更なる検討を行う場合は、以下の[1](2)、[2]及び[3]に記載する措置を適切に講ずること。

(2)対象事業実施区域の設定

①計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、事業実施想定区域からの絞り込みに際して環境影響の重大性の程度の変化を含めて、検討経緯を明確にすること。

②自然植生が現存する区域について、科学的・客観的な詳細調査により明らかにした上で、対象事業実施区域から除外すること。

[2]各論

(1)騒音等について

 事業実施想定区域の周辺には、住居等が存在することから、風力発電設備を住居等から離隔すること等により、騒音等による影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影について

 事業実施想定区域の周辺には、住居等が存在することから、風力発電設備を住居等から離隔すること等により、風車の影による影響を回避又は極力低減すること。

(3)鳥類について

 事業実施想定区域及びその周辺には、イヌワシ等の希少猛禽類の生息が確認されていることから、風力発電設備への衝突事故や移動経路の阻害等による、これら希少猛禽類への重大な影響が懸念される。このため、風力発電設備において視認性を高めるための措置等を検討することにより、イヌワシ等の希少猛禽類への重大な影響を回避すること。

(4)水生生物について

 事業実施想定区域及びその周辺には、沢筋等が存在していることから、沢筋等から距離を確保するとともに、工事実施時の土工量を抑制し、土砂の流出等を最小限に抑えること等により、重要な水生生物への影響を回避又は極力低減すること。

(5)植物について

 事業実施想定区域には、重要な植物の生育環境が存在していることから、重要な植物種の生育地の改変を回避又は極力低減するとともに、取付道路等の附帯設備の設置や、工事に必要な一時的な施設及び地形改変を含む工事全体による地形改変が最小となるよう配慮すること。

(6)生態系について

 事業実施想定区域には、沢筋等の水域、自然植生及び保安林等に指定された森林並びに森林鳥獣生息地の保護区として指定された県指定鳥獣保護区が存在し、豊かな自然環境のまとまりの場となっていることから、これらまとまりの場の改変を回避又は極力低減すること。

[3]その他

(1)環境保全措置の検討

 環境保全措置の検討に当たっては、環境影響の回避・低減を優先的に検討し、代償措置を優先的に検討することがないようにすること。

(2)累積的な影響

 事業実施想定区域及びその周辺においては、他事業者による風力発電所が設置済又は環境影響評価手続中であることから、本事業との累積的な影響について、調査、予測及び評価を行うこと。

【参考】

○事業概要
・名称 (仮称)葛巻ウィンドファームプロジェクト
・事業者 三菱商事株式会社
・計画位置 岩手県葛巻町(事業実施想定区域面積:約1,888ha)
・出力 最大138,000kW(2,300kW級 発電設備 最大60基程度)
○環境影響評価に係る手続
・平成27年8月3日 経済産業大臣から環境大臣への意見照会
・平成27年9月18日 環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:吉澤 泰輔(内6248)
電話:03-3581-3351(代表)
   03-5521-8237(直通)

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