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2015年09月29日
  • 総合政策

(仮称)新葛巻風力発電事業・葛巻風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、29日、岩手県で実施予定の「(仮称)新葛巻風力発電事業・葛巻風力発電事業」(電源開発株式会社)に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、岩手県葛巻町、岩泉町において、新設の風力発電設備の設置及び既設の風力発電設備の建替により、総出力72,315kWの風力発電設備を設置するものである。
 環境大臣意見では、重要な鳥類等に対する環境影響を回避・低減するため、事前措置、事後調査及びバードストライク発生時の措置等を適切に実施することを求めている。

1.背景
 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を言うことができるとされている。
 本件は、岩手県の「(仮称)新葛巻風力発電事業・葛巻風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続に沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要
 本事業は、岩手県葛巻町、岩泉町に、総出力72,315kW (2,300kW×32基)の風力発電設備を建替及び新設するものである。
 対象事業実施区域は、高原に位置し、牧草地が多く分布している。また、対象事業実施区域及びその周辺においては、イヌワシ等の希少猛禽類の生息が確認されている。

3.環境大臣意見の概要
(1)総論
 事業実施に当たっては、以下の取組を行うこと。
 ① 事後調査及び環境監視を適切に実施し、追加的な環境保全措置を講ずること。
 ② 追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、検討に当たっての主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。
 ③ 調査の結果について、環境影響を分析し、調査により判明した環境の状況に応じて講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。
 ④ 対象事業実施区域の周辺では風力発電所の設置が予定されており、累積的な環境影響が懸念されることから、実行可能な範囲で周辺の他事業者と環境情報を共有する等、連携体制を構築すること。

(2)各論
 [1]騒音について
   工事用資材等の搬出入に伴う騒音影響が懸念されることから、追加的な環境保全措置により騒音を一層低減するよう努めるとともに、工事実施期間中には、追加的な環境保全措置の効果について確認すること。
 [2]鳥類について
   重要な鳥類に対する環境影響を可能な限り回避・低減する観点から、以下の取組を行うこと。
  ① 風力発電設備の設置時点において効果が確認された鳥類からの視認性を高めるための措置を事前に行うこと。
 ② 供用後の事後調査を適切に実施し、イヌワシのバードストライクが発生した場合に は、専門家の助言を踏まえて、衝突する可能性が高い風力発電設備を停止するとともに、バードストライクの原因の解明を行い、その結果に基づき、原因を解決するための追加的な措置を行った上で稼動再開とすること。
 ③ その他の重要な鳥類についても、供用後においてバードストライクが発生した場合の対応措置について、事故の確認・報告、連絡体制、原因の解明、防止措置、死骸・傷病個体への対処等を定めて実施すること。

4.その他
 本件は、「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議中間報告」(平成24年11月27日、環境省・経済産業省)に基づき、審査期間の短縮に取り組むこととした案件である。

[参考]

○事業概要
・名称 (仮称)新葛巻風力発電事業・葛巻風力発電事業
・事業者 電源開発株式会社
・計画位置 岩手県葛巻町、岩泉町
・出力 72,315kW(2,300kW×32基)

○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
【方法書の手続】
・縦覧 平成24年3月30日~平成24年5月2日(住民意見0件
・経済産業大臣勧告 平成24年11月30日
【準備書の手続】
・縦覧 平成27年4月21日~平成27年5月20日(住民意見0件
・岩手県知事意見提出 平成27年9月28日
・環境大臣意見提出 平成27年9月29日

※:環境の保全の見地からの意見の件数

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:吉澤 泰輔(内6248)
電話:03-3581-3351(代表)
   03-5521-8237(直通)

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