報道発表資料

平成27年9月7日
地球環境
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強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第10セッション(ADP2-10)の結果について(お知らせ)

8月31日~9月4日、ドイツ・ボンにおいて、国連気候変動枠組条約の下の「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」第2回会合第10セッションが行われたところ、概要は以下のとおり。我が国から、外務・経済産業・環境・農林水産・国土交通各省関係者が出席した。また、外務省吉田交渉官がワークストリーム2のファシリテーターを務めた。
(注)ADPは、2011年末に南アフリカ・ダーバンで開催された第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)での決定を受け設置されたもの。(1)2015年に採択される予定の、全ての国に適用される2020年以降の新たな枠組み(ワークストリーム1)及び(2)2020年までの緩和の野心の向上(ワークストリーム2)について議論を行う。(以下「法的合意」は「議定書、別の法的文書、又は法的効力を有する合意された成果」を、「2015年合意」は法的合意、COP21決定、その他文書のパッケージを意味する。)

1.2020年以降の新たな枠組みについての議論(ワークストリーム1)

本年2月に2015年合意の「交渉テキスト」が配布されたところ、7月24日には、これを共同議長が法的合意に含める事項(PartI)、COP21決定に含める事項(PartII)、その他位置づけについてさらなる明確化が必要な事項(Part III)に整理した「共同議長ツール」という文書が公表され、今次会合では同文書を元に議論が行われた。

(1)2020年以降の新たな枠組みに関する交渉

(ア)今次会合では、引き続き「交渉テキスト」の章(A:前文、B:定義、C:総則/目的、D:緩和、E:適応/損失と損害(ロス・アンド・ダメージ)、F:資金、G:技術開発・移転、H:能力開発(キャパシティ・ビルディング)、I:行動と支援の透明性、J:目標の時間枠及びプロセス、K:実施の促進及び遵守、L:手続・組織事項)ごとに、共同議長から任命された共同ファシリテーターの下で議論が行われるとともに、各ファシリテーター会合の下で特定の要素について議論する非公式会合が行われた。

(イ)緩和については、特に世界全体の努力としての長期目標等、各国の削減目標に係る規定、野心の向上を法的合意に含めることについては一定程度意見の収斂が見られたが、その詳細な内容については意見が分かれた。また、非公式の少人数会合において、先進国と途上国の差異化、市場メカニズム、土地利用とREDD+(途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等)等の議題が扱われた。

(ウ)適応/損失と損害(ロス・アンド・ダメージ)については、主にグローバルゴール/長期ビジョン、各国の努力、各国の経験や知見等の共有や学び合い、関係機関、支援、損失と損害等の要素について、各国・グループの考えを共有し、意見の一致・相違が見られる点について、一定程度の理解が深まった。また、非公式の少人数会合において、適応への支援等の議題が扱われた。

(エ)資金については、2015年合意に含めるべき要素、特に目的、資金源、資金メカニズム等について議論が行われた。途上国側は、主に適応分野の重視、二分論を含む枠組条約の原則、公的資金による確実な支援等が規定されることを主張したのに対して、我が国を含む先進国側は、2015年合意には、能力のある全ての締約国による支援と民間資金の活用、実現可能な環境等が含まれるべきとの立場を表明した。

(オ)技術開発・移転については、法的合意に含めるべき要素について議論を行った結果、技術の重要な役割の認識、協調行動、技術に関する組織的アレンジメントの位置づけについては、法的合意に含めるべき要素として意見の収斂が見られた。その詳細な内容についても非公式の少人数会合において議論されたが、意見が分かれた。

(カ)透明性については、法的合意に透明性の枠組みの原則等を位置づけ、詳細はCOP21決定又はその後のCOP決定に位置づけること、先進国から途上国への支援の重要性、透明性の質を継続的に改善させる必要性については一定の収斂が見られた。一方、先進国は全ての国に共通な枠組みを主張したが、途上国から、先進国・途上国に二分化された既存の枠組みを継続すべき、支援の透明性を強化すべき等の意見があった。また、非公式の少人数会合において、先進国と途上国の差異化等が議論された。

(キ)目標の時間枠及びプロセスについては、個別の約束草案のプロセス(提出・見直し・レビュー等)や加盟国全体の取組の確認のタイミング等について、各国から様々なアイデアが提案された。多くの途上国から本章の対象をすべての要素(緩和、適応等)とすべきという主張があったが、我が国を含む先進国は、各要素に応じて異なるプロセスを検討すべきと主張した。また、非公式の少人数会合において、各国が提出した約束草案の「置き場所」(2015年合意にどう位置づけるか)の議題が扱われた。

(ク)この他、実施の促進及び遵守については、その制度のあり方、手続・組織事項については、発効要件や法的合意のための組織について議論が行われた。

(コ)こうした議論を踏まえ、次回会合においては、起草委員会を設け、テキスト交渉を行うとともに、その過程で必要に応じて共同ファシリテーターによる非公式な会合を開催すること、共同議長が10月の第一週までに、「交渉テキスト」及び「共同議長ツール」に対する各国の反応を踏まえた、テキスト交渉の基礎となる文書を公表することが発表された。

(2)我が国の立場

(ア)我が国は、新たな枠組みは全ての国が参加する公平かつ実効的なものであるべきという立場を主張するとともに、同じ章の中のパラグラフ間の関連性、異なる章の間の関連性を認識して議論すべき、法的合意には、原則レベルの内容を規定した簡潔なものとした上で、法的合意の実施のための施行細則を策定するための作業計画をCOP21決定に含めるべき等と主張した。

(イ)緩和については、法的合意に条約の究極目的達成に向けた長期的視点を含めることは重要であり2℃目標への言及は支持し得ること、先進国・途上国の二分論は認められないこと、各国は緩和に関する定量化可能な約束草案を提出し、約束草案の実施状況を報告し、レビューを受けることについて法的拘束力のある義務を負うべきであり、各国による約束草案の実施を確保する必要があること、どの国も継続的に緩和の野心の向上を図るという方向性を共有すること等を主張した。また、市場メカニズムについては、環境十全性の確保や適切なアカウンティングルール作りの必要性について指摘し、法的合意とCOP21決定のテキスト案の提案を行った。

(ウ)適応/損失と損害については、脆弱性を低減し、強靭性(レジリエンス)を高めるという長期ビジョンの下、各国が国家戦略・計画等に適応を主流化し、国別適応計画プロセスを実施することが重要であること、その取組の改善のために各国がそれぞれの国情に応じたモニタリング・評価を行うこと、知見・経験等の共有のため、既存の制度を活用し国際的に定期的な報告を行うこと、適応の性質にあったタイムフレームを検討すべきことを主張した。

(エ)資金については、本年5月に稼働した緑の気候基金(GCF)を通じた緩和・適応分野の着実な支援や民間資金の活用等の重要性を強調し、支援を必要とする国のニーズに応じた支援を実施することが重要と主張した。

(オ)技術開発・移転については、技術開発・移転を継続的に拡大するためには、各国の協調行動と民間セクターへのインセンティブ付与を後押しする促進的なアプローチが有効であり、法的合意には技術開発・移転の促進に向けた全ての国による協調行動の強化及び技術に関する既存の組織的アレンジメントの活用を含めることは適当であると主張した。知的財産権を技術移転の「障壁」と捉え、その除去のための措置を法的合意に盛り込むべきとの一部途上国の主張に対して反論した。

(カ)透明性については、各国が削減目標の実施状況を報告し、レビューを受けることに対する法的義務を設定すべき、透明性システムは全ての国に適用される共通なものとし、異なる各国の事情を反映した柔軟性のあるものとすべき、要素(緩和、適応等)によって異なる報告の枠組みを検討することが必要であると主張した。また、2020年以降の緩和に関する透明性システムの具体例について提案した。

(キ)目標の時間枠及びプロセスについては、法的合意において、すべての国が継続的に野心の向上を図るという方向性を共有し、各国間の信頼を確保することが重要であること、現状では2025年目標の国と2030年目標の国が併存しており、また目標を検証しないまま10年間放置しておくのは不適切であるとの観点から、緩和に関する共通のサイクルとして、目標の検討及び必要に応じた更新・提出のタイミングを5年ごととすることを提案した。
(ク)実施の促進及び遵守については、法的合意の実施を促す促進的な制度とすべきと主張した。

2.2020年までの緩和の野心向上(ワークストリーム2)

2020 年までの緩和の野心向上に関してCOP21決定に含めるべき内容について、「共同議長ツール」を踏まえつつ、ファシリテーターの下、議論が行われた。特に「技術的検討プロセス」及び途上国の提案する「実施促進プロセス」については、これらを集中的に議論する非公式会合が行われた。

「技術的検討プロセス」について、緩和の野心向上の強化のため、非政府主体との連携を適切な形で進めること、技術開発・移転を促進するための既存の機関を活用すること、本プロセスへの政治的関与を高めることなどについては多くの国の合意があった。途上国はこれに加えて、適応、実施手段などを幅広く本プロセスの対象とすべきと主張したが、我が国を含む多くの先進国は、適応や実施手段に関しては既に数々の取組があり、重複を避けるべきと指摘した。

「実施促進プロセス」について、我が国を含む多くの先進国は、2020 年以前の取組の実施状況を評価し促進する既存の取組を活用すべきと指摘したが、途上国は、緩和、適応、資金等の幅広い分野の取組を集約的に評価する新たなプロセスを立ち上げることを強く主張した。

これらの議論や各国の提案等を踏まえ、共同議長及びファシリテーターにおいてテキスト交渉の基礎となる文書を作成の上、次回会合に十分先立って示すことが合意された。

3.他国やステークホルダー等との対話

 様々な交渉グループに属する国々と緊密な意見交換を行うとともに、国内外のNGOとの意見交換、邦人記者に対するブリーフを行った。

4.今後のADP交渉予定

 次回会合は10月19日~10月23日にドイツ・ボンにおいて開催される予定。

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
直通:03-5521-8330
代表:03-3581-3351
室  長:大井 通博
室長補佐:増田 大美
係  員:影山 凡子

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