報道発表資料

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2015年08月21日
  • 総合政策

川崎天然ガス発電所3・4号機増設計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、21日、神奈川県川崎市で計画されている「川崎天然ガス発電所3・4号機増設計画 計画段階環境配慮書」(川崎天然ガス発電株式会社)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、JX日鉱日石エネルギー株式会社が所有する川崎事業所の敷地において、総出力約110万kWの天然ガス火力発電所を増設するものである。
 環境大臣意見では、事業者に対し、「利用可能な最良の技術(BAT)の参考表」(B)の発電技術についても採用の可能性を検討すること、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」(平成25年4月25日経済産業省・環境省)に基づく枠組の参加事業者に電力を供給し確実に二酸化炭素排出削減に取り組むこと、事業者として窒素酸化物の年間排出量の削減に資するよう適切な削減措置に取り組むこと等を求めた。
 また、経済産業省に対して、電力業界及び本事業者が枠組の具体的な仕組みやルールづくり等に早急に取り組むよう促すことを求めた。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kw以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、経済産業大臣から事業者である川崎天然ガス発電株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要
 本事業は、川崎天然ガス発電株式会社が、神奈川県川崎市のJX日鉱日石エネルギー株式会社が所有する川崎事業所の敷地において、天然ガスを燃料とする最新のコンバインドサイクル発電方式による火力発電設備(総出力約110万kW)を増設するものである。本事業で発電した電力は、特定規模電気事業者へ供給する計画である。


3.環境大臣意見の概要
(1)前文
 現時点で、公表された自主的枠組には課題があるため、経済産業省に対して、電力業界及び本事業者が枠組の具体的な仕組みやルールづくり等に早急に取り組むよう促すこと。


(2)総論
(i)本事業に伴う環境影響を回避・低減するため、必要に応じて専門家等の助言を受けた上で、調査、予測及び評価並びに環境保全措置の検討を行うこと。
(ii)地元自治体の意見を十分勘案し、環境影響評価において重要である住民関与についても十全を期すこと。


(3)各論
(i)大気環境
 本区域及びその周辺は、大気汚染防止法に基づく窒素酸化物の総量規制地域、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)の対策地域に指定され、環境基準を達成していない地点が存在することから、大気環境について十分な配慮を行うこと。1)窒素酸化物の排出量を削減するために、最良の技術を有する低NOx燃焼器及び排煙脱硝装置を採用すること。また、今後、更なる排出削減が可能な技術が開発された場合は、事業者として適切な措置を検討すること。
2)窒素酸化物の排出濃度は、現行の目標値以下となるよう、地元自治体と協議の上、決定すること。また、事業者として、窒素酸化物の年間排出量の削減に資するよう、地元自治体と協議の上、適切な削減措置に取り組むこと。
3)低NOx燃焼器及び排煙脱硝の維持管理の徹底、脱硝性能の劣化を踏まえた設備改良等、本発電所全体で大気汚染物質排出削減対策を図ること。
4)既設1・2号機からの排ガスの重合も踏まえた上で、短期高濃度条件等の影響について考慮し、適切な環境保全措置を検討すること。

(ii)温室効果ガス
1)局長級取りまとめの「利用可能な最良の技術(BAT)の参考表」に掲載されている(B)の発電技術についても採用の可能性を検討した上で、(A)以上の発電技術を採用すること。
2)発電段階での低炭素化が確保されるよう、枠組の参加事業者に電力を供給し、確実に二酸化炭素排出削減に取り組むこと。
3)本発電設備の熱効率の適切な維持管理等を通じて、事業者として着実に二酸化炭素排出量を削減すること。
4)「2050年までに80%の温室効果ガス排出削減」を目指すとの国の長期目標との整合性を確保するため、二酸化炭素分離・回収・貯留等に関する検討結果や技術開発状況も踏まえ、今後の二酸化炭素排出削減対策について、所要の検討を行うこと。
5)本事業を含め、事業者における長期的な二酸化炭素排出削減対策について、所要の検討を行い、事業者として適切な範囲で必要な措置を講ずること。

(iii)その他
 本事業により経年火力発電設備の稼働が減少されれば、環境保全上の優位性をもたらすことが期待されることから、関係者と協力し、最新鋭の天然ガス火力発電設備の導入及び稼働による二酸化炭素排出削減に向けて着実に取り組むこと。

【参考】

○事業概要
・名称  川崎天然ガス発電所3・4号機増設計画
・事業者  川崎天然ガス発電株式会社
・計画位置  神奈川県川崎市
・燃料  天然ガス
・発電方式  ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)
・出力  約110万kW

○環境影響評価に係る手続
・平成27年7月7日  経済産業大臣から環境大臣への意見照会
・平成27年8月21日  環境大臣意見の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長  :神谷 洋一 (内6231)
室長補佐:相澤 寛史 (内6233)
審査官 :岸田 周  (内6253)
担当  :中本 ちひろ(内6239)
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8237

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