報道発表資料

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2015年05月15日
  • 総合政策

(仮称)吾妻高原ウィンドファーム計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、15日、福島県で計画されている「(仮称)吾妻高原ウィンドファーム計画段階環境配慮書」(株式会社吾妻高原ウィンドファーム)に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、福島県福島市において、最大で総出力30,000kWの風力発電所を設置するものである。
 環境大臣意見では、対象事業実施区域の設定にあたり、吾妻高原牧場跡地の有効活用を基本とすること、重要野鳥生息地等の環境保全上重要な区域を除外すること等を求めている。

1.背景
 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。
 今後、経済産業大臣から事業者である株式会社吾妻高原ウィンドファームに対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要
 本事業は、福島県福島市に、最大で総出力30,000kWの風力発電所を設置するものである。事業実施想定区域には、重要野鳥生息地の「吾妻・磐梯」やブナクラス域自然植生等の自然環境上重要な地域が含まれる。また、事業実施想定区域及びその周辺では、クマタカ、イヌワシ等が確認されている。なお、事業実施想定区域は、事業を廃止した牧場跡地を含むものとなっており、風力発電に好適な風況である牧場跡地の有効利用を目的として設定されている。

3.環境大臣意見の概要
[1]対象事業実施区域の設定
(1)計画段階配慮事項に係る環境影響の重大性の程度を整理し、事業実施想定区域からの絞り込みの検討経緯を明確にし、比較すること。

(2)新たな伐開及び土地改変等による環境への影響を極力低減させるため、対象事業実施区域の設定に当たっては、吾妻高原牧場跡地の有効活用を基本とすること。

(3)事業実施想定区域の南西部の重要野鳥生息地(IBA)及び自然環境保全基礎調査の現存植生図における植生区分が「自然植生」の区域については、対象事業実施区域から除外すること。

(4)(3)以外の区域で、既存文献等において自然植生が存在する可能性のある区域については、原則として除外すること。なお、植生に係る現地調査を行う場合は、自然環境保全基礎調査と同等以上の詳細調査を行い、自然植生が現存する区域を明らかにし、対象事業実施区域から除外すること。

[2]各論
(1)騒音等について
   事業実施想定区域の周辺には、住居が存在することから、風力発電設備を住居から離隔すること等により、騒音等による影響を回避又は極力低減すること。

(2)風車の影について
   事業実施想定区域の周辺には、住居が存在することから、風力発電設備を住居から離隔すること等により、風車の影による影響を回避又は極力低減すること。

(3)鳥類について
   事業実施想定区域及びその周辺では、文献等によりクマタカ、イヌワシ等の希少猛禽類の生息が確認されていることから、風力発電設備への衝突事故や移動経路の阻害等によるこれら鳥類への重大な環境影響を回避すること。

(4)水生生物について
   本事業の実施により、沢筋等への土砂や濁水の流入に伴う重要な水生生物への影響が懸念されることから、工事実施時の土工量を抑制し、土砂の流出を最小限に抑えること等により、重要な水生生物への影響を回避又は極力低減すること。

(5)植物について
   事業実施想定区域には、クマガイソウ、カザグルマ等の重要な植物の生育環境が存在していることから、これら重要な植物への重大な環境影響を回避すること。

(6)生態系について
   事業実施想定区域は、重要野鳥生息地の「吾妻・磐梯」やブナクラス域自然植生、水源かん養保安林等に指定された森林等豊かな自然環境のまとまりの場となっていることから、既存道路や無立木地等を活用することにより、生態系への影響を回避又は極力低減すること。

(7)景観について
   今後の方法書以降の手続きにおいては、主要な眺望地点の選定基準を十分に検討した上で、必要に応じて眺望地点を追加し、調査、予測及び評価を実施すること。

(8)人と自然との触れ合いの活動の場について
   事業実施想定区域内には福島市が所有するレクリエーション施設が存在しており、利用者への影響が懸念されることから、調査及び予測を行い、利用者への影響を評価するとともに、影響を回避又は極力低減すること。また、福島市等同施設関係者と十分に調整すること。


【参考】
○事業概要
・名称    (仮称)吾妻高原ウィンドファーム
・事業者   株式会社吾妻高原ウィンドファーム
・計画位置  福島県福島市(事業実施想定区域面積:約1,836ha)
・出力    最大30,000kW
○環境影響評価に係る手続
・平成27年4月1日 経済産業大臣から環境大臣への意見照会
・平成27年5月15日 環境大臣から経済産業大臣に意見提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長:神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官:日下 崇(内6248)
電話:03-3581-3351(代表)、03-5521-8237(直通)

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