INITIATIVE OVERVIEW

取組概要

INITIATIVE OVERVIEW

第6回グッドライフアワード

ペットボトルで創出する持続的なモルディブ農業

有限会社 上野園芸

活動拠点:モルディブ共和国、広島県広島市

WEB: http://www.uenoengei.com/

Facebook: https://m.facebook.com/uenoengei/?locale2=ja_JP

取組の紹介

弊社は10年間、信用金庫屋上にてペットボトルによる屋上水田を続けている。2ℓペットボトルを自社開発の接続部品を使って六角形の蜂の巣状に接続し、少量の土にタイマー制御で水道から水を定期的に補充するシステムである。軽量かつ安価で水田を再現でき、設置、維持管理も簡単である。 JICAの支援事業を通じ、弊社はモルディブ共和国のNGOと共同で栽培キット(KUCHU PLANPET)を新たに製作し、野菜の栽培指導をした。海岸等でペットボトルを拾い集め、洗った後、発芽野菜を栽培し食べるという取り組みである。また、自社開発の空宙栽培装置をモルディブのナイファル島に10台設置した。この装置は、明治大学農学部黒川農場ホームページで未来型水耕栽培システムとして紹介され、電気通信大学では通信を活用した農業サービスの研究対象とされている。弊社はこの二つをもって、モルディブに農業を根付かせようとしている。

活動のきっかけは?

丈夫で太陽光にも劣化しないペットボトルを捨てるのは惜しいとの思いから、ペットボトルによる米、野菜の栽培を始めていた。そんな折、2009年に東京の展示会に出展した。モルディブ駐日大使から「モルディブは平均海抜1.8mで水没の危機にあり、塩害により農業に不向きな環境でもあることから、モルディブの人々には野菜を食べる習慣がない」との状況を聞き、併せて「モルディブで農業を広めてほしい」と協力を要請された。

問題解決のために取り組んだ方法

自家消費のための簡易なペットボトル栽培と、装置での本格的な水耕栽培。特殊な栽培技術を必要としないこの二つを併用することで、モルディブの農業は持続的なものになると考えている。 日本ではホームセンターで手軽に苗を購入できるが、モルディブではできない。苗を作ろうと思っても、実際苗作りは難しい。しかし、ペットボトル栽培は発芽野菜に適しているため、トマト、キュウリ、メロン等の野菜もよく発芽し、苗作りが可能である。育てた苗は装置に定植し、作物を繰り返し育てる。モルディブでの苗作りの定着が、持続的な農業実現の鍵であるため、ペットボトルを使った苗づくりの方法を現地NGOに引き続き指導していく。加えて、ナイファル島のみに設置されている装置を、モルディブの水産農業省、現地NGOと連携して島外に移設することも考えている。観光立国であるモルディブを訪れた観光客に、新鮮野菜を提供するサービスへとつなげていきたい。

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

信用金庫屋上のペットボトル屋上水田では、保育園の園児、デイサービスのお年寄が田植え、稲刈りを行っており、楽しみ、癒し、食育などの効果が付加されている。また、装置が設置されたナイファル島の学校、病院、発電所、警察署などは、人々の憩いの場となっている。従来の農業の目的は食料生産にあった。食料生産だけでなく上記の効果をもつ多様な農業をモルディブに広めることで、弊社は駐日大使との約束を果たしたい。

プロフィール

2005年、「田舎から都会に出て農業」をキャッチフレーズに、農家から有限会社上野園芸に組織変更を行う。現在、従業員3名と定年退職者15名で、腰を曲げない楽な姿勢での「楽な農業」を第二の人生の生きがいとして、実現している。また、地域の学校とも連携し、装置を提供することで子どもたちに新しい農業の仕組みを知ってもらう取り組みもしている。

第6回グッドライフアワード 受賞者一覧