INITIATIVE OVERVIEW

取組概要

INITIATIVE OVERVIEW

第6回グッドライフアワード

廃棄ウニのリサイクルで循環型農業 ~SDGs持続可能な発展へ~

鹿児島県立 鶴翔高等学校

活動拠点:鹿児島県阿久根市

WEB: http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/kakusho/index.html

取組の紹介

地域の課題である磯焼け対策の廃棄ウニをリサイクルし,発酵液にするために細かく砕き,糖蜜・原塩・海藻粉末を利用し,嫌気性発酵させ,散布した野菜の糖度を計測しました。コメでは液体である発酵液は水口から流し込み農作物の増収と糖度向上を実現し,技術提供で社会貢献活動に取り組んでいます。 CO₂排出量を抑えた循環型農業で学校水田では生物多様性が確認され,メロンの糖度向上やコメ農家の圃場でも収量増加が確認できました。嫌気性発酵(酸素のないところで分解させる)により悪臭問題を解決し,人件費,肥料費の削減にも貢献できました。 SDGsの持続可能な生産を目標に,啓発活動を行うために,近隣の小中学校に出前授業や市民講座での啓蒙活動を行っています。また隣町の農業委員会や阿久根市のカボチャ農家へ技術提供できました。お米をブランド化しようとパッケージデザインやネーミングを行い新商品として販売しました。

活動のきっかけは?

北さつま漁協から「海藻を荒らす長ウニは廃棄に困るので有効利用することはできないか。」と相談を受けました。現在では埋めるしか方法がなく,環境にも負担がかかる状況でした。化成肥料を減らし,環境にも人にも優しい循環型農業を広げ,安心安全でおいしい農産物を作るといった地域貢献が活動の原点です。 水田の生態系を活かした漁業と農業の連携による「ゼロエミッション」と持続可能な農業の推進を目指して取り組んでいます。

問題解決のために取り組んだ方法

慣行栽培では追肥は化成肥料に頼っています。硝酸態イオンが過剰な野菜は苦みやえぐみがあり,海外では規制され,人体への影響が心配されています。 化学合成資材に依存した農業生産は二酸化炭素排出量も多く環境問題にもつながります。微生物の力を活用した有機肥料を使用し,持続可能な産業システムとして発酵液を販売して環境にも人にも優しい循環型農業を広げ,安心安全でおいしい農産物でよりよい社会にすることがビジョンです。 具体的には,海に眠る水産廃棄物を資源と考え,肥料として農業に活用し,自然にやさしいサトウキビ由来の糖蜜発酵液に糖ミネラル,アミノ酸を含んだ「環境循環型発酵液」で,環境にやさししい生産活動を実現しました。 SDGsにおいて,この取り組みは目標2の食料の安定確保と持続可能な農業の推進につながり,子供たちに未来のよりよい生活を一緒に考えようと呼びかけ,仲間作りの楽しさを伝える活動を行いました。

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

この取り組みは4年目を迎え,年々認知度や連携先も増え活動内容が恒例化してきました。肥料費を抑え,収益は向上するのでメリットも大きく,更なる活動の発展が期待できます。発酵液は有機肥料のため環境に優しく漁業の役にも立つので、他の廃棄されるものでも肥料を作れないか検討もしていきます。また海外に向け情報発信を行い,磯焼けやウニで困っている地域や循環型農業を求める人と協働し国際貢献につなげます。

プロフィール

鶴翔高校は鹿児島県の北西部に位置する県立高校です。阿久根高校,阿久根農業高校,長島高校が合併した創立14周年の高校で,総合学科・農業科学科・食品技術科の3学科があります。農業科学科ではイネを学ぶ作物・花を学ぶ草花・肉用牛を学ぶ畜産・トマトやピーマンを学ぶ野菜の4つの専攻コースがあります。環境に優しい農業を目指しており,特に作物専攻では環境に優しい持続可能な循環型農業を学んでいます。

第6回グッドライフアワード 受賞者一覧