INITIATIVE OVERVIEW

取組概要

INITIATIVE OVERVIEW

第3回グッドライフアワード

学び舎は森と川―里山まるごと活用野外保育

森のようちえんピッコロ

活動拠点:山梨県北杜市須玉町

WEB: http://mori-piccolo.jp/

Facebook: https://www.facebook.com/mori.piccolo

取組の紹介

野外で保育活動を行う森のようちえんピッコロでは、保育環境、教育素材のほとんどが自然物でまかなわれている。保護者で行う環境整備では、森林整備の一環として間伐を行い、薪を作る。子どもの野外調理活動も保護者の行う給食も、その薪を使って火をおこし、調理する。そして冬場は焚き火を囲んで朝の会を行い、暖をとる。保育の活動拠点である川では、川上から流れてくるゴミについて考え、川に生息する動物の生態を季節を通して感じる場となっている。森では、落ち葉や枝、木の実で見立て遊びが行われ、どんぐりの芽吹きに自然のたくましさを感じ、朽ちていく木に自然の循環を感じる。自然の中の命と自分の命の繋がりを知り、自分が生かされていることへの気づきが生まれ、ほかの命を大切にする心が育まれている。自らのことだけでなく、他者や周囲のことに配慮できる「思いやり」を育てることで、持続可能な循環型社会を担う子どもが育つ保育を行っている。

活動のきっかけは?

幼稚園勤務時代、「お母さんが白いお皿にのったお魚を買ってくるから、僕は殺していない」という子どもに、自分の命と自然が離れすぎているという危機感を覚えた。人間は自然の恵みを受けないと生きられない。食べ物がどこからきて、どうやって作られたか、見えにくい現代。虫がいるから私も生きている、無駄な命は一つもない、という実感をもとに、特に幼少期は、命を感じられる自然の中で過ごす時間が必要であると感じている。

問題解決のために取り組んだ方法

森でみられる食物連鎖や自然の中で遭遇する生と死から、人間の自分が食物連鎖の中に位置すること感じ、命を身近に感じる。また、秋のお祭りでは、種まきから収穫、調理、そして販売に至るまですべて子どもが行うポップコーン屋さんを営むことで、自分のお腹に入るものがどうやって作られるのか知り、食べ物への感謝の気持ちを育む。そして、子どもが自主的に考え行動できるように、大人は、子どもが考える場作りに徹する。

今までの成功のポイントは?

定期的に行う野外調理では、子どもが野菜を切り火を熾す。森で間伐した大きな薪に直接は火が着かないことに気付き、枯葉や枝を探す。雨天時はハウスに干してあった大豆の殻が燃えると気付き、工夫する姿が見られた。
毎日森で活動する中で四季を感じ、自然と隣り合わせにいることで命をより身近に感じ、自分の命もほかの命も大事にできる。また、普段遊んでいる森の間伐材で暖を取り、調理を行うことで、自然 の恩恵を感じられる。
育てた大豆で味噌を仕込み、梅や栗、桑の実など季節を味わう。給食の調理も、東屋も、森の間伐材を利用している。また、青空の下でミーティング、井戸水の有効活用など、自然に負荷なく運営するようにしている。

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

森や川で子どもたちは想像力を発揮しながら、見立て遊び・ごっこ遊びなど豊かな活動を行っている。間伐材の利用、汲み取り式トイレ、井戸水という一見不便とも思える保育環境の中で、自然界にある自分の命を見つめ、ほかの命に生かされている自分を感じている。すべて自然でまかなわれる教育素材を用い、心を揺らしながら、心と身体を成長させている。今後も、自然に負荷の少ない、持続可能な小さな循環型保育を模索していきたい。

プロフィール

山梨県北杜市にある野外保育施設。子どもが大人をただ模倣する大人先導の保育に疑問をもち、大人は考えるきっかけを与え、子どもが自ら考え自分で決める保育「子どもを信じて待つ保育」を実践している。この保育を実践することで社会がよりよく変わっていくことを理念とし、保護者も理念に基づき運営するため、保育の視点を学び、子ども理解を深める。保育者も保護者も「すべての子どものために」という視点で、日々活動している。

実行委員会からのコメント

子供たちが自然の中で、自然の循環を感じながら心身を成長させることができる素晴らしい取り組みです。こどもの頃に体験したことは、今後の人生に大きな影響を与えるでしょうし、地域の自然と共に生きているという実感を持つことができると思います。今後、更に多くの子供たちが大きく羽ばたいてくれることを願っております。

第3回グッドライフアワード 受賞者一覧