総合環境政策

環境報告の促進方針に関する検討会第1回議事概要

日時

平成14年9月6日(金) 10:00~12:00

会場

経済産業省別館827号会議室

出席委員

稲岡、大竹、大塚、河野、上妻、菅野、酒井(瀬尾代理)、瀬尾(平井代理)、
藤村、山本、渡邉(敬称略、50音順)

議事内容

○座長選出 委員の互選により河野委員を座長として選出した。

○資料1、資料2 討議

(河野座長)資料について意見があればどうぞ。

(稲岡委員)私は経団連の企業行動委員会に係わっており、企業行動のあり方等について検討している。弊社は二年程前から環境報告書をサステナビリティ報告書と変更し、環境のみならず企業行動全般について報告書の中で報告している。Global Reporting Initiative(GRI)も「サステナビリティレポーティングガイドライン」としているように、企業行動というのは決して環境問題だけではなく、social, financial, environmentalという3つの側面を考慮しなければならない。世の中の風潮として、この方向でいくと思う。
 我が国でも「サステナビリティレポート」という形で報告書を出している企業が徐々に増えつつある実態を踏まえ、サステナビリティレポートのあり方についてどうあるべきかも検討する必要があると思う。

(河野座長)サステナビリティについて考えることは非常に大事なことではあるかと思うが、この検討会を設置した事務局の意見をお聞きしたい。

(事務局) 以前より「環境報告書」を中心課題としてきたので、事務局としては、まずはそこに大きな焦点をぜひあてて欲しいと思う。GRIの動向も注視しており、サステナビリティの方向性も今後の検討視野に置いている。必要とあらば関係省庁とも調整をし、協力していく方向で議論を進めていきたい。

(山本委員)サステナビリティレポートについては、日本もなるべく早く本格的な検討を始めるといいが、その前にやるべき課題がある。
 つまり、コンプライアンスを破る企業が続出してきている状況下、サステナビリティレポートは大いに結構だと思うし、その方向で進んで欲しいが、まず足元を固めるということが先決だと思う。炭酸ガスの排出量一つとっても比較が非常に難しいため、指標をもっと厳密に定義して、コアとなる指標は必ず使ってもらうという事で比較可能性を持たせることが必要だと思う。
 もう一つは第三者意見のあり方を改善していく必要があると思う。

(藤村委員)環境報告書を作成する際、サステナビリティという視点から報告書作りの方向を広げたらどうかというアドバイスは2年程前からしてきたが、「持続可能性」という視点をいれる指標が非常に難しく、未だ検討課題として残っている。環境報告書というのもサステナビリティ社会を作るための一つの手法であり、方向性としては当然そちらの方にいくべきと思うが、最低限の比較しうるデータ等が、依然明確に決まっていない。最低限のデータや指標等を確保しつつも将来的にはサステナビリティの方向に広げていって欲しい。

(稲岡委員)環境報告書を促進させようとする意見はよくわかるが、環境省として、また政府全体として、企業行動のあり方についての議論がかなり欠落していると思う。環境報告書をより良くする中でサステナビリティレポートにどういう形で取組んでいくのか、各企業の行動をどうするのかについて、作り手の産業側として一生懸命考えている。その中で、もし政府としてこの分野に力をいれて頂けるのなら、産業人のニーズを強く感じ取って頂けると思うので、是非、各省庁とも相談して貰いたい。 

(事務局) 指標そのものをどのように考えていくか、ということについては、環境パフォーマス指標のガイドラインを取りまとめている。昨年企業の方に参加して頂いて試行を行ったので、その結果を踏まえ、今年度環境パフォーマンス指標ガイドラインの改訂を行う予定である。その中では指標を絞り込みながら可能な限り明確な形で提示することを目標にしている。環境効率や社会性の指標についても、なんらかの形で取り入れることを課題としているが、この検討会では指標そのものを検討するのではなく、「社会的側面も重要である」ということを前提に、環境報告書の促進方策や第三者レビューのあり方の検討を中心にしたいと思う。「環境レポート大賞」の審査をする際にも社会性というものを視野にいれてやっていかなくてはいけないとは思っている。

(河野座長)環境報告書に焦点に当てつつ、場合によっては持続可能性も検討していくという方向で進めていくという話があったが、そういう方向で今回の検討会を進めることでよいか?     

(大竹委員)確かにサステナビリティレポートへの方向性はわかるが、それは先進的な企業におけるテーマだと思う。今回は底上げを図ることの検討も必要だと思う。中小企業についても論議していかなければ、問題解決にはならないのではないか。

(事務局) 底辺を広げるのか、頂上を高くするのかという議論では、昨年の検討会で底辺も広げつつ頂上を高くする、というのが目標であるとした。先進的な部分を積極的に取り入れることで、全体の取り組みが進むこともあると思う。そういう中で「環境報告書に取組んでみよう」というインセンティブをいかに企業に与えるかが我々の検討課題である。中小企業に関しては、参考資料にもあるが、簡易な活動を広めるということで、別に環境活動評価プログラム―エコアクション21―の改訂を検討中であるが、これを利用して貰う事で取り掛かりの第一歩になることを望んでいる。環境報告書については厳密な定義はないので、エコアクション21の環境行動計画を基本として、後に環境報告書を作って頂くということを考えている。

(河野座長)当面この検討会としては環境報告書に焦点を当てて進めていきたい。

○資料3 討議

(河野座長)昨年度の報告書が今年度の検討のベースになるわけだが、何か意見があればどうぞ。

(藤村委員)環境の報告書を企業の方に作ってもらうことの促進方策が中心となって取りまとめられているが、作成後に、一般人や関心のある人に読んで頂かないと意味がないと思う。そういった検討はここではしないのか?

(事務局) 読み手としては、各企業が独自の基準で情報を記載すると読みにくく、またデータばかりだと、専門的知識が欠けていると読めないということになる。そういう趣旨を踏まえ、一般に普及する場合にはダイジェスト版等にし、データ等は別途ホームページに掲載する手法を採っている企業は増えている。

(藤村委員)そういうのは企業が個別に読んでもらうための努力を一生懸命しているからだと思う。国の方策として、報告書作成の要請を促す方策を作ることは可能でも、「読んでください」という要求を制度にするのは難しいとは思う。しかし環境問題全てに当てはまることではあるが、普及啓発も仕組みが必要だと思う。そういう検討はここではしないのか?

(事務局) 検討のスコープという意味において、この検討会では主に報告書の作り手が中心である。ただ、比較可能性や信頼性をなぜ確保する必要があるのかについては、当然読み手がその情報をしっかり読んで評価できるようにするためであり、読み手が理解できて信頼できる報告書をどのように作成していくかを検討していただきたい。読み手についての方策では、参考資料3にある環境報告書データベースの運用を9月1日から始めた。自主的な参加という形ではあるが、データベースを介して項目別に会社の取組を閲覧できるようにしている。また、読み手には一般の消費者や国民以外に、マーケットを考慮して、直接的ないし間接的に金融機関等が企業を評価する材料として環境報告書を利用できる。これは、作り手にとってもインセンティブになりうる。その点について、別途、金融業における環境配慮のあり方についての検討をしている。

(渡辺委員)環境報告書を公表する理由を考えた時に、これは結局のところ作成者である企業や自治体、事業者等が、自分たちの活動あるいは経営方針、その活動の内容というものを利用者に対して正しく伝えることに一番の意義があり、そのために環境報告書や、サステナビリティを目指すならばサステナビリティ報告書、という議論がでてくると思う。そういう中で、作成をする際の仕組みや基準が利用者に伝わらないと、その環境報告書を読んだときに、間違った形で企業活動を理解してしまう可能性がある。第三者意見一つをとっても、専門家からみると内容が全く違うものでも、これを読者がみたときに、第三者意見の決定的な質の違いが見分けられなければ、その利用方法がわからない。だから、こういう検討をしていく際に、まず事業者の活動をいかに利用者に対して正しく伝えるのか等、社会的要件や個別的要件も含め枠組みを検討する必要があると思う。

(河野座長)読み手に対しての働きかけも大事だという意見はその通りであると思う。環境報告書を作っている企業が、読者にアンケート調査をしているが、企業によっては回答が少ないということで悩んでいるところもあると思う。この検討会としては、読み手によりよく理解をしてもらう前提条件を整える作業をする、ということでやっていきたい。

(藤村委員)了解した。ただ、将来的には読んで貰うための方策も視野にいれて、少し議論すべきだ。

(河野座長)では、こういう意見もあったということを頭にいれて議論を進めていきたいと思う。

(菅野委員)企業はISO14001の審査を受けて認証取得し、多大な人と費用を掛けてデータを管理しシステムを維持し、そして認証機関より定期的に監査を受けている。なおかつ環境報告書でもう一度第三者レビューを受審するという事は、その整合性がとれるのか、疑問に思う。

(大竹委員)確かにISO14001で審査しているが、一部、審査をしていない部分がある。その部分を含めて、全データを環境報告書の中で報告し、それで第三者検証をうけている。ISOはEMSシステムの審査であり、それ以外は基本的には審査の対象ではない。

(渡辺委員)環境に限らず、企業の情報をアシュアランス(保証)する場合の対象は三つに分けられる。システムを対象にする場合、パフォーマンスを開示する場合、そして行動を対象とする場合である。システムができているからといってパフォーマンスが優れているとは限らないし、行動が優れていてもシステムに問題があれば間違ったパフォーマンス情報が届く。利用者が情報をどう使うかによって、どこの部分をどう担保するのかを合意することが必要になると思われる。

(大塚委員)資料3-1にある「今後検討すべき施策の方向性」に質問がある。「現状強化型施策」の「エコマーク認定における条件化」というのがあるが、エコマーク認定は主に製品についてのものと思うが、今回、環境報告書との関係でそれを評価するという考えなのか?事業者を評価するためには、インセンティブを与える意味では非常に結構だと思うが、製品自体の問題と、その企業が環境報告書を出しているという問題とはかなり違う。その辺についてどういう議論があったか教えて欲しい。

(事務局) グリーン購入法の基本方針に基づく各省の調達方針の中で、環境報告書を公表しているところを優先配慮するとしている。このことを適切に実行するということで、現状強化型施策の中に取り入れた。またエコマーク自身は日本環境協会のエコマーク事務局が実施しているので、環境省が直接的に指示できる立場ではないが、検討会のご意見として、施策の一つに取り上げられている。

(大塚委員)インセンティブを確保する上で非常に大事だと思う。

(事務局) エコマークの類型・基準制定委員会において、基準をつくり、1~2年間後を目処に条件化していくことが議論されている。この主旨はいい製品をいくら作っていても会社がその製品の生産において環境に配慮していないのであれば、製品を認定する価値はないという考えだ。

(大塚委員)ヨーロッパのエコラベリング等についてもそういうようなことは検討されているのだろうか?日本だけ製品と環境報告書を結びつけるという考えなのか?

(事務局) ヨーロッパでもそういう動きはある。

(河野座長)昨年度の報告については理解していただいたということで、次にいきたい。

○資料4討議

(稲岡委員)作り手から考えると、なぜ環境報告書が普及しないのかと思う。これから報告書を作る人達が悩み、また作らない人達が悩んでいる。作り手にはどういう風に情報を盛り込むか悩みがある。例えば、企業の立場からいえばSRIが普及しつつあるので、これに対応していきたいが、これは環境ではなく、Social でありFinancialでありEnvironmentalである。環境面の方向性が明確で、そして社会性の部分についても整理されていればいいのだが、どの要素をどの程度取り入れたらよいか不明確なので、今後の検討に出来るだけ反映させて貰うことが作り手としてのお願いである。

(事務局) 本年のヨハネスブルクサミットは環境問題だけのサミットではなく、むしろ貧困などの社会問題にどう対応するかも重要なテーマとなった。環境というものを突き詰めれば突き詰めるほど社会面や経済面が重要となり、環境問題の解決を図るため、経済、社会という側面が重要になりつつある。そのため、環境報告書の次の段階には持続可能性報告があると認識している。この検討会で問題提起があれば、将来の環境政策として、社会面も重視し、政府内で検討する必要があると考える。

(事務局) 稲岡委員のご指摘の点については、環境報告書ネットワークでも検討を進めていくことも考えられるので、ご相談させていただきたい。

(河野座長)当面は環境報告書に焦点をあてながら、必要に応じて持続可能性や社会面について考えるという枠の中で採り入れさせて頂くことにしたい。

(藤村委員)論点の整理の3番「自主的な取り組みであっても一定の基準に準拠した認定や保証を付与することが...」となっているが、これは誰が付与するのか、その付与する能力を誰が持っているのか、疑問に思っている。果たしでどこまでチェックできるのか。

(上妻委員)誰が保証を付与するかという問題について、先程から出ているサステナビリティにも関係しているが、「環境報告書」という言葉が日本では普及しており、環境報告書の中には環境のことしか書かれていないことが多いが、その原点は1992年の環境と開発に関する世界会議であり、持続可能性という考えが主体になっていた。ところが、持続可能性を最初に提唱したヨーロッパでは、財務報告以外に社会面に関した社会報告書を作成する習慣があり、抜けているところは環境の部分のみであったため、環境報告書が必要とされたという経緯がある。
 我が国でも1992年以降、環境報告書が徐々に普及してきたが、まだ何をどういう形で書けばいいのかについて明確な合意が無いため、基本的に情報を比較することが出来ない。環境問題は貧困問題というのは当初から言われていたが、先進国での環境負荷よりも、実は開発途上国での環境負荷の方が重いから、南北問題や貧困問題を解決しない限り、これは解決しない。そういう背景を踏まえ環境負荷が重要なデータとして環境報告書に盛り込まれている。
 これからの環境報告書の中に盛り込まれていく内容はどんどん発展していかなくてはいけないが、今適切な保証を付与できる環境報告書を作るためには何らかの制度をつくって義務化し「こういう形式、内容で作りなさい」と規定しなければいけないと思うが、どういう内容を必要事項とするのかの社会的な合意がまだ無い。それを作っていくためには実務の経験が蓄積され、独立した第三者が、その環境報告書の情報の中身について、信頼性を保証する仕組みが必要である。財務報告書における監査のような仕組みが必要だといわれているが、そういう仕組み作るには作成の基準がなければならず、その基準については社会的合意がない。
 現状では各監査法人なりコンサルタントが、自主的に企業と契約して、「この部分についてのこの情報が正しいかどうか」を保証しているが、その契約の内容によっては、保証されないものがある。例えば社会的側面等、そもそも保証に馴染まない領域もある。環境報告書の第三者レビューにおいては「高い水準の保証」ではなく「中位の水準の保証」であるとよくいわれている。世界的には、自主的な取組の中で、各企業にそれぞれ環境報告書を作って頂いて、その内容を保証する、保証の程度についてはある一定のレベルを確保するという方向に向かいつつある。保証をどうするかということは全く白紙であるため、これから考えていくことであるが、必ずしも不可能なことではないが、しっかりとした制度にするためには時間がかかるかもしれないし、細かい専門的なところまで検討していく必要もある。

(藤村委員)環境、経済、人間・社会というサステナビリティーの面からすると、最初、人間・社会というものは誰も認定も保証も出来ないものであるが、ただ環境と経済に関してはある程度認定や保証できるだろうと思っていた。しかし、環境と経済の面で数字で表せるものでさえ完全には保証できないと改めて感じた。保証や認定を付与する際にも「特定の、ある分野に関しては」という言い方しかできないのではないかと思うのだが。   

(上妻委員)それは、程度の問題だと思う。環境パフォーマンス指標の部分でも、経済的な情報の部分でも、かなり高い水準の保証が付与できると思う。一方、社会的な要因に関しては、その信頼性を担保するための証拠を集めるための手法からして、全く経験がない。だから、これから検討していかなければならない。

(藤村委員)そうではなくて、環境経済という部分に関しても、全体ということではなくて、ある程度「この部分・範囲に関しては、こういう認定ができますよ」「こういう基準でこういうことができますよ」ということは可能であると思うのだが?

(上妻委員)現段階では保証水準の差がかなりあって、出来るところと出来ないところがある。でもこれからは出来ないところについてもどうやってするのかという議論をしていかなければいけない。

(渡辺委員)環境報告書を作成する企業は無制限に人とお金を使って作成しているわけではない。逆に、利用者からすると、是非とも公表して欲しい情報がある。そうすると、環境報告書の作成の基準を、作成者と監査人だけが話し合って決めるわけではなくて、利用者の代表や様々な利害関係者も参画して検討し、コスト面も勘案して記載すべき情報の要求項目を決める合意を得るような手法が必要だと思う。こういう合意を作り、それが一つの形として明確になるのが作成基準だと思う。その中で保証できる部分があるのかどうか、どういう手続きでやるのかを、利用者と作成者と監査人の間で合意を作り、それが一つの形として明確になるのが監査基準だと思う。こうした前提のもと、第三者意見が出てくるということが現実的で、基準に準拠しているかどうかを当事者から独立した立場からみる、というようなプロセスを通じて、利用者も含め利害関係者が参加していくような枠組みを作っていくことが大切である。

(上妻委員)例えば、どこまで、どの情報を公表しなければいけないのか、という基準がしっかりしていれば、そこから欠落していることはコンプライアンスの問題になってくるわけだが、その基準が作れない状況だと、情報が欠落していることのみをもって、信頼性が欠如しているとはいえない。重要な他の情報の信頼性を確保するためには重要な一部の情報が欠落していることによって全体の信頼性が損なわれることにつながるといったことが指摘されるようになり、「重要性の問題」が、最近では大きく取り扱われてきている。ただ、今まで行われてきている第三者レビューのやり方というのは、企業側とそれを監査する人、その保証を付与する人との契約によって決められていて、契約事項の認定範囲から漏れていることに関して云々することができなかった。だからそれを変えようとしている。  

(山本委員)環境問題についてかなりの学識のある方が、第三者意見、あるいはそれに類する意見を述べられていて、その中で企業の環境報告書を評価していながら、重要な情報の欠落を見落としているようでは、それこそが信用の崩壊になるのではないか。

(河野座長)各委員から出されていた意見は、環境報告書を作成する際の原則の網羅性と重要性の問題である。今後委員会の中で検討していくこととしたい。

(藤村委員)第三者レビューで何が保証されるのか曖昧なことが問題だと思う。私達も企業の環境報告書の作成にNGOとしての立場で関わり、その過程で様々な意見を述べたが、そのような取組と、いわゆる保証に係る第三者レビューとはその概念が大きく違うと、今、感じている。

(事務局) 重要性や網羅性ということに関しては、報告書に記載する中身の議論、ある意味では環境パフォーマンス指標の議論である。このような点については例えば環境報告書ガイドラインや環境会計ガイドラインとして出来るだけわかり易く今まで提示してきたし、これからも改善していきたい。
 問題は、環境報告書に記載された情報の信頼性を、作り手を含めて、どのように担保していくか、そのための認定制度について、社会的に合意された枠組みがないことが環境報告書の普及の大きな障害になっていることである。第三者レビューにおいてどういうことを、どの程度保障できるのかということについての検討をいただきたい。

(河野座長)今事務局より認定制度を前提とした枠組みを作り、その中でどういうような保証をするのか、第三者レビューを誰がするのか、どういうふうにするのか、などについて検討していただきたいという提案が改めてあった。他に意見は?

(菅野委員)第三者レビューの目的は情報の正確性ということだと思うが、我々企業での環境活動は、LCA的な視点で取り組んでいる。正確性を求めると、環境投資に対する効果は企業内効果に限定されてしまい、かえって実態を反映しない無味乾燥な環境報告書になってしまう可能性があると思う。

(河野座長)ただいまの議論は第三者検証といいますか、レビューの内容の検討のときにまた出していただきたいと思う。

(河野座長)資料4にあるように、環境報告書の第三者レビューによる認定制度の方策というところに焦点をあてて議論するということに概ね合意を得たと思う。この点に関して、次回以降検討するわけだが、13年度報告書に基づいて、議論していきたい。
 また、第三者レビューについては、より専門的な見地からの検討が必要であると思うので、別途ワーキンググループ(WG)を設けて、そこで論点を整理してもらい、その結果をこの検討会で更に議論するということにしてはどうか。WGのグループを設置することに何か意見をどうぞ。

(各委員)了解。

(河野座長)では、WGを設置することとしたい。WGの委員長として第三者レビューの分野について造詣が深い上妻委員を推薦したいがよいか?

(各委員)了解。

(河野座長)では全員一致ということで上妻委員にお願いしたい。なお、WGのメンバーについては、座長、上妻委員及び事務局に一任願いたい。

(各委員)了解。

     以上