環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第3節 多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化

第3節 多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化

地域循環共生圏の形成に向けては、これまで地域循環圏として、循環資源の種類に応じて適正な規模で循環させることができる仕組みづくりを進めてきたところであり、今後はこれらの取組を拡充、発展させ、地域循環共生圏づくりを具体化させていく必要があります。

地域循環共生圏構築の先進事例とも言えるエコタウンに関しては、最初の承認から20年が経過したことも踏まえ、エコタウン地域におけるこれまでの取組を総括し、エコタウン政策の成果を取りまとめたパンフレットを作成しました。また、エコタウン政策の成果を踏まえながら、地域の資源循環の取組を多種多様な地域循環共生圏の形成へ発展させるため、優良事例等を広く紹介するシンポジウムを開催しました。また、地域循環共生圏の形成に取り組む自治体を対象に、地域資源の循環利用及び低炭素化に資するモデル的な取組を進めるための実現可能性調査に対する補助事業を実施しました。

一般廃棄物処理に関しては、循環型社会形成の推進に加え、災害時における廃棄物処理システムの強靱化、地球温暖化対策の強化という観点から、循環型社会形成推進交付金等により、市町村等が行う一般廃棄物処理施設の整備等に対する支援を実施しました。また、廃棄物焼却施設から排出される余熱等の地域での利活用を促進させるため、「廃棄物焼却施設の余熱等を利用した地域低炭素化モデル事業」及び廃棄物の収集運搬時におけるCO2排出量の削減を図るため、「廃棄物発電電力を有効活用した収集運搬低炭素化モデル事業」を実施しました。さらに、市町村等への技術的支援として、廃棄物エネルギーの高度利用に必要な方策や先進事例を整理した「廃棄物エネルギー利用高度化マニュアル」、市町村等による廃棄物系バイオマスの利活用を促進するための「廃棄物系バイオマス利活用導入マニュアル」等の周知を図りました。加えて、余熱利用がほとんど行われていない処理能力100トン/日未満の中小廃棄物処理施設において廃棄物エネルギーの有効活用を促進するため、先導的な廃棄物処理システム化技術等に係る評価・検証事業を実施しました。

浄化槽に関する取組としては、[1]個人が設置する浄化槽設置費用の一部を市町村が助成する事業(浄化槽設置整備事業)及び[2]市町村が個人の敷地内等に浄化槽を設置し、市町村営浄化槽として維持管理を行う事業(浄化槽市町村整備推進事業)に対して財政支援を行いました。特に環境配慮型浄化槽を推進し、単独転換促進施策及び防災まちづくりの施策と組み合わせて総合的に推進する事業(環境配慮・防災まちづくり浄化槽整備推進事業)や地方公共団体が所有、又は市町村の防災計画に定める防災拠点施設に設置された単独処理浄化槽を集中的に撤去し、合併処理浄化槽への転換を促進する事業(公的施設・防災拠点単独処理浄化槽集中転換事業)を重点的に実施しました。さらに、2017年度から省CO2型の高度化設備(高効率ブロワ、インバーター制御等)の導入・改修や浄化槽本体の交換に対し補助を行う「省エネ型中・大型浄化槽システム導入推進事業」を開始しました。また、浄化槽の整備促進や、適正管理に向けた調査検討、浄化槽システムの強靱化に関する調査検討を行いました。

下水道の分野では、下水道革新的技術実証事業において、2015年度に採択されたバイオガスの活用技術1件、2017年度に採択された地産地消エネルギー活用技術1件、2018年度に採択された下水熱による車道融雪技術2件及び中小規模処理場向けエネルギーシステム2件の実証を行いました。

関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)が共同で取りまとめたバイオマス事業化戦略において、地域のバイオマスを活用したグリーン産業の創出等に向けたバイオマス産業都市の構築を推進することとされ、2018年度は5市町が選定され、バイオマス産業都市は全国で83市町村となりました。

バイオマスエネルギーの普及に向けた実装については、地球温暖化対策計画に掲げる温室効果ガス排出削減目標の達成に資するため、地方公共団体等に対して、バイオマスを含む再生可能エネルギーの設備導入等を支援する「再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業」を2016年度から実施しています。加えて、2017年7月に農林水産省と経済産業省による「木質バイオマスの利用促進に向けた共同研究会」の報告書を公表し、森林資源をマテリアルやエネルギーとして地域内で持続的に活用するため、担い手確保から発電・熱利用に至るまでの「地域内エコシステム」の構築に向け、新たな施策の展開を検討していくこととしました。また、バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業においては、バイオマスエネルギー導入に係る技術指針・導入要件の調査を実施し、木質系、湿潤系、都市型系、それぞれのバイオマス産業が地域でビジネスとして健全に自立するための技術指針・導入要件を策定しました。あわせて、実証事業に向けたステージゲート審査において事業性評価を行い、通過した事業については、地域自立システム化に向けた実証事業を行うとともに、バイオマスエネルギー導入に係る技術指針・導入要件への事業性評価や実証事業での知見の反映と国内外の調査を引き続き行っています。

製品系循環資源や枯渇性資源を含む循環資源については、より広域での循環のため、廃棄物処理法によって定められた制度等を適切に活用する必要があります。2017年度においては、廃棄物の再生利用で一定の基準に適合しているとして、環境大臣の認定を受けた者について廃棄物処理業や廃棄物処理施設の設置許可を不要とする制度(以下「再生利用認定制度」という。)と広域認定制度に関して、適切な運用を図りました。この結果、産業廃棄物については、2018年3月末時点で、再生利用認定制度では41件、広域認定制度では206件が認定を受けています(広域認定制度については、第4節3を参照)。

「食品リサイクル推進マッチングセミナー」については、第4節2を参照。

農山漁村のバイオマスを活用した産業創出を軸とした地域づくりについては、第4節2を参照。