環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部>第3章 循環型社会の形成>第1節 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状

第3章 循環型社会の形成

第1節 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状

1 我が国における循環型社会

我が国における循環型社会とは、「天然資源の消費の抑制を図り、もって環境負荷の低減を図る」社会です。ここでは、廃棄物・リサイクル対策を中心として循環型社会の形成に向けた、廃棄物等の発生とその量、循環的な利用・処分の状況、国の取組、各主体の取組、国際的な循環型社会の構築について説明します。

(1)我が国の物質フロー

私たちがどれだけの資源を採取、消費、廃棄しているかを知ることが、循環型社会を構築するための第一歩です。

第四次循環型社会形成推進基本計画(以下、循環型社会形成推進基本計画を「循環基本計画」という。)では、どの資源を採取、消費、廃棄しているのかその全体像を的確に把握し、その向上を図るために、物質フロー(物の流れ)の異なる断面である「入口」、「循環」、「出口」に関する指標にそれぞれ目標を設定しています。

以下では、物質フロー会計(MFA)を基に、我が国の経済社会における物質フローの全体像とそこから浮き彫りにされる問題点、第四次循環基本計画で設定した物質フロー指標に関する目標の状況について概観します。

ア 我が国の物質フローの概観

我が国の物質フロー(2016年度)は、図3-1-1のとおりです。

図3-1-1 我が国における物質フロー(2016年度)
イ 我が国の物質フロー指標に関する目標の設定

第四次循環基本計画では、物質フローの「入口」、「循環」、「出口」に関する指標について目標を設定しています。

それぞれの指標についての目標年次は、2025年度としています。各指標について、最新の達成状況を見ると、以下のとおりです。

[1]資源生産性(=GDP/天然資源等投入量)(図3-1-2

2025年度において、資源生産性を49万円/トンとすることを目標としています(2000年度の約24.2万円/トンからおおむね2倍)。2016年度の資源生産性は約39.7万円/トンであり、2000年度と比べ約64%上昇しました。しかし、2010年度以降は横ばい傾向となっています。

図3-1-2 資源生産性の推移

[2]入口側の循環利用率(=循環利用量/(循環利用量+天然資源等投入量))(図3-1-3

2025年度において、循環利用率を18%とすることを目標としています(2000年度の約10%からおおむね8割向上)。2000年度と比べ、2016年度の循環利用率は約5.4ポイント上昇しました。しかし、近年は伸び悩んでいます。

図3-1-3 入口側の循環利用率の推移

[3]出口側の循環利用率(=循環利用量/廃棄物等発生量)(図3-1-4

2025年度において、出口側の循環利用率を47%とすることを目標としています(2000年度の約36%からおおむね2割向上)。2000年度と比べ、2016年度の出口側の循環利用率は約7.5ポイント上昇しました。しかし、近年は伸び悩んでいます。

図3-1-4 出口側の循環利用率の推移

[4]最終処分量(=廃棄物の埋立量)(図3-1-5

2025年度において、最終処分量を1,300万トンとすることを目標としています(2000年度の約5,600万トンからおおむね8割減)。2000年度と比べ、2016年度の最終処分量は約75%減少しました。

図3-1-5 最終処分量の推移
(2)廃棄物の排出量
ア 廃棄物の区分

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)では、廃棄物とは自ら利用したり他人に有償で譲り渡したりすることができないために不要になったものであって、例えば、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿等の汚物又は不要物で、固形状又は液状のものを指します。

廃棄物は、大きく産業廃棄物と一般廃棄物の二つに区分されています。産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「廃棄物処理法施行令」という。)で定められた20種類のものと、廃棄物処理法に規定する「輸入された廃棄物」を指します。一方で、一般廃棄物とは産業廃棄物以外の廃棄物を指し、し尿のほか主に家庭から発生する家庭系ごみのほか、オフィスや飲食店から発生する事業系ごみも含んでいます(図3-1-6)。

図3-1-6 廃棄物の区分
イ 一般廃棄物(ごみ)の処理の状況

2017年度におけるごみの総排出量は4,289万トン(東京ドーム約115杯分、一人一日当たりのごみ排出量は920グラム)です(図3-1-7)。このうち、焼却、破砕・選別等による中間処理や直接の資源化等を経て、最終的に資源化された量(総資源化量)は868万トン、最終処分量は386万トンです(図3-1-8)。

図3-1-7 ごみ総排出量と一人一日当たりごみ排出量の推移
図3-1-8 全国のごみ処理のフロー(2017年度)
ウ 一般廃棄物(し尿)の処理の状況

2017年度の水洗化人口は1億2,112万人で、そのうち公共下水道人口が9,570万人、浄化槽人口が2,542万人(うち合併処理人口は1,456万人)です。また非水洗化人口は660万人で、そのうち計画収集人口が653万人、自家処理人口が7万人です。

総人口の約3割(非水洗化人口及び浄化槽人口)から排出された、し尿及び浄化槽汚泥の量(計画処理量)は2,054万kℓで、年々減少しています。そのほとんどは水分ですが、1kℓを1トンに換算して単純にごみの総排出量(4,289万トン)と比較すると、その数値が大きいことが分かります。それらのし尿及び浄化槽汚泥は、し尿処理施設で1,916万kℓ、ごみ堆肥化施設及びメタン化施設で8万kℓ、下水道投入で123万kℓ、農地還元で2万kℓ、その他で4万kℓが処理されています。なお、下水道終末処理場から下水処理の過程で排出される下水汚泥は産業廃棄物として計上されます。

エ 産業廃棄物の処理の状況

近年、産業廃棄物の排出量は約4億トン前後で推移しており、大きな増減は見られません。2016年度の排出量は3.87億トンであり、前年度に比べて415万トン減少しています(図3-1-9)。

図3-1-9 産業廃棄物の排出量の推移
(3)循環的な利用の現状
ア 容器包装(ガラス瓶、ペットボトル、プラスチック製容器包装、紙製容器包装等)

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)(平成7年法律第112号)に基づく、分別収集及び再商品化の実績は図3-1-10のとおり、全市町村に対する分別収集実施市町村の割合は、ガラス製容器、ペットボトル、スチール製容器(飲料又は酒類用)、アルミ製容器(飲料又は酒類用)が前年度に引き続き9割を超えました。紙製容器包装については約4割、プラスチック製容器包装については7割を超えています。

表3-1-10(1) 容器包装リサイクル法に基づく分別収集・再商品化の実績
表3-1-10(2) 容器包装リサイクル法に基づく分別収集・再商品化の実績
表3-1-10(3) 容器包装リサイクル法に基づく分別収集・再商品化の実績
イ プラスチック類

プラスチックは加工のしやすさ、用途の多様さから非常に多くの製品に利用されています。一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、2017年におけるプラスチックの生産量は1,102万トン、国内消費量は1,012万トン、廃プラスチックの総排出量は903万トンと推定され、排出量に対する有効利用率は、約86%と推計されています。一方で、リサイクルされていないものの処理・処分方法については、単純焼却が約8%、埋立処理が約6%と推計されています。

ウ 特定家庭用機器4品目

特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号。以下「家電リサイクル法」という。)は、エアコン、テレビ(ブラウン管式、液晶・プラズマ式)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機を特定家庭用機器としており、特定家庭用機器が廃棄物となったもの(特定家庭用機器廃棄物)について、小売業者に対して引取義務及び製造業者等への引渡義務を、製造業者等に対して指定引取場所における引取義務及び再商品化等義務を課しています。2017年度に製造業者等により引き取られた特定家庭用機器廃棄物は、図3-1-11のとおり、1,189万台でした。なお、2017年度の不法投棄回収台数は、5万4,200台でした。

図3-1-11 全国の指定引取場所における廃家電4品目の引取台数

製造業者等は、一定の基準以上での再商品化を行うことが求められています。2017年度の再商品化実績(再商品化率)は、エアコンが92%、ブラウン管テレビが73%、液晶・プラズマ式テレビが88%、冷蔵庫・冷凍庫が80%、洗濯機・衣類乾燥機が90%となっています。

中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合における「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」(2014年10月)及び2015年1月の合同会合での議論を踏まえ、家電リサイクル法の基本方針に定められた回収率目標(出荷台数を分母として回収率を算定し、2013年度49.0%であったものを2018年度までに56%以上)を達成するために、関係主体が取り組むべき項目を定めたアクションプラン(2016年3月策定)に基づく取組を実施しています。2017年度の回収率は53.4%でした。

エ 建設廃棄物等

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)では、床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事等を対象工事とし、そこから発生する特定建設資材(コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4品目)の再資源化等を義務付けています(図3-1-12)。また、解体工事業を営もうとする者の登録制度により、適正な分別解体等を推進しています。建設リサイクル法の施行によって、特定建設資材廃棄物のリサイクルが促進され、建設廃棄物全体の再資源化・縮減率は2000年度の85%から2012年度には96%と着実に向上しています。また、2017年度の対象建設工事における届出件数は38万8,018件、2018年3月末時点で解体工事業者登録件数は1万1,245件となっています。また、毎年5月と10月に実施している「建設リサイクル法に関する全国一斉パトロール」を含めた2017年度の工事現場に対するパトロール時間数は延べ6万4,983時間となっています。現在は、「建設リサイクル推進計画2014」に位置付けた新たに取り組むべき重点施策である、「地域固有の課題解決の促進」をはじめとした各種取組を進めています。

図3-1-12 建設廃棄物の種類別排出量
オ 食品廃棄物・食品ロス

食品廃棄物とは、食品の製造、流通、消費の各段階で生ずる動植物性残さ等であり、具体的には加工食品の製造過程や流通過程で生ずる売れ残り食品、消費段階での食べ残し・調理くず等を指します。

この食品廃棄物は、飼料・肥料等への再生利用や熱・電気に転換するためのエネルギーとして利用できる可能性があり、循環型社会及び低炭素社会の実現を目指すため、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号。以下「食品リサイクル法」という。)等により、その利活用を推進しています。2016年度の食品廃棄物の発生及び処理状況は、表3-1-1のとおりです。また、2016年度の再生利用実施率は食品産業全体で、85%となっており、業態別では、食品製造業が95%、食品卸売業が65%、食品小売業が49%、外食産業が23%と格差が見られます。国では、食品廃棄物の再生利用等の促進のため、食品リサイクル法に基づき、再生利用事業者の登録制度及び再生利用事業計画の認定制度を運用しており、2018年12月時点での再生利用事業者の登録数は169、再生利用事業計画の認定数は49でした。

表3-1-1 食品廃棄物の発生及び処理状況(2016年度)

本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品、いわゆる「食品ロス」の量は2016年度で643万トンでした。食品ロス削減のために取組を推進するためには、排出実態の把握が重要であることから、2018年度は昨年度に引き続き、食品ロスの発生量の推計精度向上のため、市町村による食品ロスの発生量調査の財政的・技術的支援を行いました。また、2018年10月には、京都市及び「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」の主催、環境省をはじめとした関係省庁の共催により「第2回食品ロス削減全国大会」を京都市で開催し、食品ロスの削減に向けて関係者間の連携を図りました。

2018年6月に閣議決定した第四次循環基本計画において、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットを踏まえて、家庭から発生する食品ロス量を2030年度までに2000年度比で半減するとの目標を定めました。

カ 自動車

(ア)自動車

使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)(平成14年法律第87号)に基づき、使用済みとなる自動車は、まず自動車販売業者等の引取業者からフロン類回収業者に渡り、カーエアコンで使用されているフロン類が回収されます。その後、自動車解体業者に渡り、そこでエンジン、ドア等の有用な部品、部材が回収されます。さらに、残った廃車スクラップは、破砕業者に渡り、そこで鉄等の有用な金属が回収され、その際に発生する自動車破砕残さ(ASR:Automobile Shredder Residue)が、自動車製造業者等によってリサイクルされています。

一部の品目には再資源化目標値が定められており、自動車破砕残さについては70%、エアバッグ類については85%と定められていますが、2017年度の自動車破砕残さ及びエアバッグ類の再資源化率は、それぞれ97.9%~98.9%及び94%と、目標を大幅に超過して達成しています。また、2017年度の使用済自動車の不法投棄・不適正保管の件数は5,199台(不法投棄599台、不適正保管4,600台)で、法施行時と比較すると97.6%減少しています。そのほか、2017年度末におけるリサイクル料金預託状況及び使用済自動車の引取については、預託台数が7,991万4,720台、預託金残高が8,585億5,964万円、また使用済自動車の引取台数は330万台となっています。さらに、2017年度における離島対策支援事業の支援市町村数は82、支援金額は1億367万円となっています。

2017年9月には、中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合において、環境配慮設計の推進や再生資源の活用拡大といった自動車における3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進・質の向上について、「環境配慮設計及び再生資源利用の進んだ自動車へのインセンティブ(リサイクル料金割引)制度」の骨子案が取りまとめられ、制度における環境配慮設計及び再生資源利用の具体的な要件を示すとともに、制度実施に向けたロードマップを策定しました。

(イ)タイヤ

一般社団法人日本自動車タイヤ協会によれば、2018年における廃タイヤの排出量103.2万トン(2017年103.4万トン)のうち、32.3万トン(2017年31.3万トン)が輸出、更生タイヤ台用、再生ゴム・ゴム粉等として原形・加工利用され、67.4万トン(2017年65.2万トン)が製錬・セメント焼成用、発電用等として利用されています。

キ パーソナルコンピュータ及びその周辺機器

資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号。以下「資源有効利用促進法」という。)では、2001年4月から事業系パソコン、2003年10月から家庭系パソコンの再資源化を製造等事業者に対して義務付け、再資源化率をデスクトップパソコン(本体)が50%以上、ノートブックパソコンが20%以上、ブラウン管式表示装置が55%以上、液晶式表示装置が55%以上と定めてリサイクルを推進しています。

2017年度における自主回収実績は、デスクトップパソコン(本体)が約9万台、ノートブックパソコンが約18万台、ブラウン管式表示装置が約2万台、液晶式表示装置が約12万台となっています。また、製造等事業者の再資源化率は、デスクトップパソコン(本体)が78.1%、ノートブックパソコンが62.3%、ブラウン管式表示装置が69.1%、液晶式表示装置が76.9%であり、いずれも法定の基準を上回っています。

ク 小形二次電池(ニカド蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウム蓄電池、密閉鉛蓄電池)

小形二次電池には、主な材料としてニッケルやカドミウム、コバルト、鉛など希少な資源が使われており、小形二次電池のリサイクルは大きな効果を持っています。

そこで、資源有効利用促進法では、2001年4月から小形二次電池の再資源化を製造等事業者に対して求め、再資源化率をニカド電池が60%以上、ニッケル水素電池が55%以上、リチウム蓄電池が30%以上、密閉型鉛蓄電池が50%以上と定めて、リサイクルの一層の推進を図っています。

2017年度における小形二次電池(携帯電話・PHS用のものを含む)に係るリサイクルの状況は、ニカド蓄電池の処理量が685トン(再資源化率71.8%)、ニッケル水素蓄電池の処理量が174トン(再資源化率76.6%)、リチウム蓄電池の処理量が316トン(再資源化率58.8%)、密閉型鉛蓄電池の処理量が695トン(再資源化率50.1%)であり、再資源化率の実績は、いずれも法令上の目標を達成しています。

ケ 小型電子機器等

使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(平成24年法律第57号。以下「小型家電リサイクル法」という。)に基づき、使用済小型電子機器等の再資源化を促進するための措置が講じられており、同法の基本方針では、回収され再資源化を実施する量の目標を、2018年度までに一年当たり14万トンとしています。図3-1-13のとおり、回収され再資源化された量の実績は、年々着実に増加しており、2017年度は約7.8万トンとなりました。また、市町村の取組状況については、図3-1-14のとおり、1,613市町村(全市町村の約93%)が参加又は参加の意向を示しており、人口ベースでは約97%となっています(2018年6月時点)。また、2019年3月時点で、57件の再資源化事業計画が認定されています。

図3-1-13 小型家電の回収状況
図3-1-14 小型家電リサイクル制度への参加自治体

環境省では、小型家電リサイクルの推進に向け、市町村個別支援事業等を引き続き実施するとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会等と協力し、2017年4月から2019年3月まで「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」を推進し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会で必要とされるメダル原材料の確保や全国津々浦々での3R意識醸成を図り、循環型社会の形成に向け取り組みました。

写真3-1-1 メダルプロジェクトへの協力を呼び掛ける菅家環境大臣政務官
コ 下水汚泥

下水道事業において発生する汚泥(下水汚泥)の量は、近年は横ばいです。2017年度の時点で、全産業廃棄物の発生量の約2割を占める約7,840万トン(対前年度約96万トン増、濃縮汚泥量として算出)が発生していますが、最終処分場に搬入される量は約31万トン(対前年度約4万トン増)であり、エネルギー・肥料としての再生利用や脱水、焼却等の中間処理による減量化により、最終処分量の低減を推進しています。なお、2011年度以降の下水汚泥の有効利用率は、東日本大震災の影響により埋立処分や場内ストックが増えたため減少しましたが、その後再び上昇傾向に転じており、2017年度には、乾燥重量ベースで73%となっています。

下水汚泥の再生利用は、バイオマスとしての下水汚泥の性質に着目した緑農地利用やエネルギー利用、セメント原料等の建設資材利用など、その利用形態は多岐にわたっています。

2017年度には、乾燥重量ベースで177万トンが再生利用され、セメント原料(69万トン)、煉瓦、ブロック等の建設資材(46万トン)、肥料等の緑農地利用(38万トン)、固形燃料(15万トン)等の用途に利用されています。

2 一般廃棄物

(1)一般廃棄物(ごみ)
ア ごみの排出量の推移

第1節1(2)イを参照。

イ ごみ処理方法

ごみ処理方法を見ると、直接資源化及び資源化等の中間処理の割合は、2017年度は18.7%となっています。また、直接最終処分されるごみの割合は減少傾向であり、2017年度は1.0%となっています。

ウ ごみ処理事業経費

2017年度におけるごみ処理事業に係る経費の総額は、約1兆9,745億円であり、国民一人当たりに換算すると約1万5,500円となり、前年度から横ばいとなりました。

(2)一般廃棄物(し尿)

2017年度の実績では、し尿及び浄化槽汚泥2,054万kℓは、し尿処理施設又は下水道投入によって、その99.3%(2,039万kℓ)が処理されています。また、し尿等の海洋投入処分については、廃棄物処理法施行令の改正により、2007年2月から禁止されています。

3 産業廃棄物

(1)産業廃棄物の発生及び処理の状況

2016年度における産業廃棄物の処理の流れ、業種別排出量は、図3-1-15のとおりです。この中で記された再生利用量は、直接再生利用される量と、中間処理された後に発生する処理残さのうち再生利用される量を足し合わせた量を示しています。また、最終処分量は、直接最終処分される量と中間処理後の処理残さのうち処分される量を合わせた量を示しています。

図3-1-15 産業廃棄物の処理の流れ(2016年度)

産業廃棄物の排出量を業種別に見ると、排出量が多い3業種は、電気・ガス・熱供給・水道業、農業・林業、建設業となっています。この上位3業種で総排出量の約7割を占めています(図3-1-16)。

図3-1-16 産業廃棄物の業種別排出量(2016年度)
ア 産業廃棄物の排出量の推移

第1節1(2)エを参照。

イ 産業廃棄物の中間処理施設数の推移

産業廃棄物の焼却、破砕、脱水等を行う中間処理施設の許可施設数は、2016年度末で18,609施設となっており、前年度との比較ではほぼ横ばいとなっています。中間処理施設のうち、汚泥の脱水施設は15.7%、木くず又はがれき類の破砕施設は53.6%、廃プラスチック類の破砕施設は10.6%を占めています。

ウ 産業廃棄物処理施設の新規許可件数の推移(焼却施設、最終処分場)

産業廃棄物処理施設に係る新規の許可件数(焼却施設、最終処分場)は2016年度末で26件となっており、前年度との比較では18.2%の増加となっています(図3-1-17、図3-1-18)。

図3-1-17 焼却施設の新規許可件数の推移(産業廃棄物)
図3-1-18 最終処分場の新規許可件数の推移(産業廃棄物)
(2)大都市圏における廃棄物の広域移動

首都圏等の大都市圏では、土地利用の高度化や環境問題等に起因して、焼却炉等の中間処理施設や最終処分場を確保することが難しい状況です。そのため、廃棄物をその地域の中で処理することが難しく、広域的に処理施設を整備し、市町村域、都府県域を越えて運搬・処分する場合があります。そのような場合であっても、確実かつ高度な環境保全対策を実施した上で、廃棄物の適正処理やリデュース・適正な循環的利用の徹底を図っていく必要があります。

4 廃棄物関連情報

(1)最終処分場の状況
ア 一般廃棄物

(ア)最終処分の状況

直接最終処分量と中間処理後に最終処分された量とを合計した最終処分量は386万トン、一人一日当たりの最終処分量は83グラムです(図3-1-19)。

図3-1-19 最終処分量と一人一日当たり最終処分量の推移

(イ)最終処分場の残余容量と残余年数

2017年度末時点で、一般廃棄物最終処分場は1,651施設(うち2017年度中の新設は18施設で、稼働前の11施設を含む。)、残余容量は102,873千m3であり、2016年度から増加しました。また、残余年数は全国平均で21.8年です(図3-1-20)。

図3-1-20 最終処分場の残余容量及び残余年数の推移(一般廃棄物)

(ウ)最終処分場のない市町村

2017年度末時点で、当該市区町村として最終処分場を有しておらず、民間の最終処分場に埋立てを委託している市区町村数(ただし、最終処分場を有していない場合であっても大阪湾フェニックス計画対象地域の市町村は最終処分場を有しているものとして計上)は、全国1,741市区町村のうち297市町村となっています。

イ 産業廃棄物

2016年度の産業廃棄物の最終処分場の残余容量は1.65億m3、残余年数16.7年となっており、前年度との比較では、残余容量がほぼ横ばい、残余年数もほぼ横ばいとなっています(図3-1-21)。

図3-1-21 最終処分場の残余容量及び残余年数の推移(産業廃棄物)
(2)廃棄物焼却施設における熱回収の状況
ア 一般廃棄物

(ア)ごみの焼却余熱利用

ごみ焼却施設からの余熱を有効に利用する方法としては、後述するごみ発電をはじめ、施設内・外への温水、蒸気の熱供給が考えられます。ごみ焼却施設からの余熱を温水や蒸気、発電等で有効利用している施設の状況は、表3-1-2のとおりです。余熱利用を行っている施設は754施設であり、割合は施設数ベースで68.4%となっています。

表3-1-2 ごみ焼却施設における余熱利用の状況

(イ)ごみ発電

ごみ発電とは、ごみを焼却するときに発生する高温の排出ガスが持つ熱エネルギーをボイラーで回収し、蒸気を発生させてタービンを回して発電を行うもので、ごみ焼却施設の余熱利用の有効な方法の一つです。

2017年度におけるごみ焼却発電施設数と発電能力は、表3-1-3のとおりでした。また、ごみ発電を行っている割合は施設数ベースでは34.1%となっています。また、その総発電量は約92億kWhであり、一世帯当たりの年間電力消費量を2,974kWhとして計算すると、この発電は約310万世帯分の消費電力に相当します。なお、ごみ発電を行った電力を場外でも利用している施設数は323施設となっています。

表3-1-3 ごみ焼却発電施設数と発電能力

最近では、発電効率の高い発電施設の導入が進んできていますが、これに加えて、発電後の低温の温水を地域冷暖房システムに有効利用するなど、余熱を合わせて利用する事例も見られ、こうした試みを更に拡大していくためには、熱利用側施設の確保・整備とそれに併せたごみ焼却施設の整備が重要です。

(ウ)ごみ固形燃料(RDF)

ごみ固形燃料(Refuse Derived Fuel、以下「RDF」という。)は、通常のごみと比較して、腐敗性が少なく、比較的長期の保管が可能であること、減容化・減量化されるため、運搬が容易であること、形状、発熱量がほぼ一定となるため安定した燃焼が可能であることなどの特徴を有しています。

循環型社会における廃棄物処理の優先順位を踏まえつつ、性状に応じた利用先を確保することが可能であれば、RDFを利用していくことも循環型社会の形成及び低炭素社会の構築に有効であると言えます。

イ 産業廃棄物

低炭素社会の取組への貢献を図る観点から、3Rの取組を進めてなお残る廃棄物等については、廃棄物発電の導入等による熱回収を徹底することが求められます。産業廃棄物の焼却による発電を行っている施設数は、2017年度には153炉となりました。このうち、廃棄物発電で作った電力を場外でも利用している施設数は62炉となっています。また、施設数ベースでの割合は40.5%となりました。また、廃棄物由来のエネルギーを活用する取組として、廃棄物の原燃料への再資源化も進められています。廃棄物燃料を製造する技術としては、ガス化、油化、固形燃料化等があります。これらの取組を推進し、廃棄物由来の温室効果ガス排出量のより一層の削減とエネルギー供給の拡充を図る必要があります。

(3)不法投棄等の現状
ア 2017年度に新たに判明した産業廃棄物の不法投棄等の事案

2017年度に新たに判明したと報告があった不法投棄等をされた産業廃棄物は、図3-1-22のとおりです。

図3-1-22 不法投棄された産業廃棄物の種類(2017年度)
イ 2017年度末時点で残存している産業廃棄物の不法投棄等事案

都道府県及び廃棄物処理法上の政令市が把握している、2018年3月末時点における産業廃棄物の不法投棄等事案の残存件数は2,630件、残存量の合計は1559.4万トンでした。

このうち、現に支障が生じていると報告されている事案13件については、支障除去措置に着手又は着手予定としています。現に支障のおそれがあると報告されている事案90件については、23件が支障のおそれの防止措置、15件が周辺環境モニタリング、52件が状況確認のための立入検査等を実施又は実施予定としています。そのほか、現在支障等調査中と報告された事案17件については、10件が支障等の状況を明確にするための確認調査、7件が継続的な立入検査を実施又は実施予定としています。また、現時点では支障等がないと報告された事案2,510件についても、改善指導、定期的な立入検査や監視等が必要に応じて実施されています。

(ア)不法投棄等の件数及び量

産業廃棄物の不法投棄件数及び投棄量、不適正処理件数及び不適正処理量の推移は、図3-1-23図3-1-24のとおりです。また、2017年度に新たに判明したと報告があった5,000トン以上の大規模な不法投棄事案は0件、不適正処理事案は1件でした。

図3-1-23 産業廃棄物の不法投棄件数及び投棄量の推移
図3-1-24 産業廃棄物の不適正処理件数及び不適正処理量の推移

(イ)不法投棄等の実行者

2017年度に新たに判明したと報告があった不法投棄等事案の実行者の内訳は、不法投棄件数で見ると、排出事業者によるものが全体の55.2%(90件)で、実行者不明のものが27.0%(44件)、複数によるものが6.1%(10件)、許可業者によるものが5.5%(9件)となっています。これを不法投棄量で見ると、排出事業者によるものが46.7%(1.7万トン)で、実行者不明によるものが14.3%(0.5万トン)、許可業者によるものが13.5%(0.5万トン)、複数によるものが8.7%(0.3万トン)でした。また、不適正処理件数で見ると、排出事業者によるものが全体の72.7%(117件)で、複数によるものが9.3%(15件)、許可業者によるものが6.8%(11件)、実行者不明のものが5.0%(8件)となっています。これを不適正処理量で見ると、排出事業者によるものが74.4%(4.4万トン)で、許可業者によるものが12.0%(0.7万トン)、複数によるものが8.0%(0.5万トン)でした。

(ウ)支障除去等の状況

2017年度に新たに判明したと報告があった不法投棄事案(163件、3.6万トン)のうち、現に支障が生じていると報告された事案はありませんでした。現に支障のおそれがあると報告された事案2件については、1件が支障のおそれの防止措置に着手予定であり、1件が定期的な立入検査を実施しています。

2017年度に新たに判明したと報告があった不適正処理事案(161件、6.0万トン)のうち、現に支障が生じていると報告された事案4件については、全てが支障除去措置に着手しています。現に支障のおそれがあると報告された事案3件については、全てが支障のおそれの防止措置に着手予定です。

(4)有害廃棄物の越境移動

有害廃棄物の越境移動に起因する環境汚染等の問題に対処するために採択された、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(以下「バーゼル条約」という。締約国は2018年7月時点で186か国・地域及びEU)を受け、我が国は特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成4年法律第108号。以下「バーゼル法」という。)を制定しました。また、国内処理が原則となっている廃棄物についても、廃棄物処理法により輸出入規制を行い、これらの法律により有害廃棄物等の輸出入の厳正な管理を行っています。2017年のバーゼル法に基づく輸出入の状況は、表3-1-4のとおりです。

表3-1-4 バーゼル法に基づく輸出入の状況(2017年)