総合環境政策

「地球温暖化対策と地域経済循環に関する検討会」第3回検討会議事要旨

日時

2009年2月27日(金)10:00~12:00

場所

経済産業省別館 10F 1012会議室

出席委員

大西委員(座長)、小原委員(代理 谷口氏)、後藤委員、中村委員、西尾委員(代理 須藤氏)

1. 開会

  •  開会の挨拶、および前回議事要旨の確認があった。

2. 検討内容

2-1 温暖化対策の実施による地域経済循環への影響分析について     

  • 事務局より、前回委員会の主な指摘と対応方針、温暖化対策の効果の種類と算定方法、温暖化対策導入シナリオの想定、経済波及効果の算定結果と考察、その他の算定結果、対策推進のためのスキームおよび今後の検討について説明があった。

主な意見

対策による効果の考え方について
  • 温暖化対策により、火力発電による電力の購入量が減る分の考慮が必要。
  • 高知が地域外に及ぼす影響、地域間の産業連関を考慮し、他に与える影響を考慮することが必要。
  • 石油の輸入代替により石油の需要量や設備が減ることの考慮が必要。
  • 全体としてエネルギー需要・CO2排出量を減らすことを前提として上で、経済効果を考えなければならない。
  • 設備投資による生産誘発に加え、CO2を削減することによる消費現象の影響を総合的に整理する必要がある。
  • 福祉事業等を含め、各種の施策が地方の経済にどのように影響をもたらすのかを整理した方が分かりやすい。
  • 公共事業の直接的な効果(道路整備による住環境向上、企業誘致等)と副次的な効果として経済的効果と、温暖化対策の効果を整理すれば分かりやすい。
  • 温暖化対策の雇用効果を明示する必要がある。
森林対策による経済効果について
  • 森林吸収分による林業労働者が増えることなど林業への波及効果も検討の余地がある。
対策推進のための施策について
  • エネルギー供給事業者について、地元の発電事業者が出てきた場合を想定すれば、新しい環境産業立地による経済効果が比較できる。
  • 域外の需要地との連携について明確に示して欲しい。地域の中の活性化と地域間の活性化が同時に達成できるということをより明確に記載して欲しい。
  • 新しい産業を分析するためには、産業連関表に部門を追加する必要がある。
  • 地方のクレジットが大都市の削減量のどのくらいに当たるのかが把握できれば、地方と都市圏での需要と供給のマーケットがイメージできる。
  • クレジットにより得た利益を更に設備投資に回すことにより省エネ型の技術進歩とるよう環境面での正のフィードバックがマーケットを通じて上手く起こることが必要。
  • 温暖化対策を実施した場合、エネルギー代替を実施している為、家庭の消費節約となるため、節約された家庭消費を他の余剰や家庭所得に回して循環させる必要がある。
  • 大都市とのリンケージ、地方振興についても検討して欲しい。
  • 所得の平準化も含めて、都心と地方両方で考えてほしい。
  • 温暖化対策によりどのように産業振興に繋がるのかが問題。県内総生産だけを考えれば問題ないが、圏域で考えた場合、他県の生産を奪うことになる。圏域単位や大都市とのやり取りなどを検討してもらった方が実行しやすい。

2-2.地域経済循環の観点から都市構造対策を円滑化する手法の検討について

  • 事務局より、本日議論したいポイント、都市開発への条件の付け方について説明があった。

主な意見

取引とCO2削減を結び付けることの意義、限界などに関して
  • 緑地を保全することはTDR取引で実施できるが、緑地のCO2削減効果に関しては、はっきりと顕在化するかは疑問
  • 開発により目に見えた形でCO2削減が図られれば、固定資産税を削減する。それを国が環境交付金で支援する仕組みが必要なのでは
  • 都市にに来ることがCO2削減になっているかもしれない、なぜそこが負担しなければならないかという議論もある
開発権取引の有効性・必要性に関する意見
  • 都市開発に何らかのインセンティブを付け、都市計画として担保されない緑地保全を推進する仕組みを構築することは理解できる
  • 郊外では容積をすべて使い切れなくてこまっている。それを使用しないことを約束する代わりに、緑地を保全することや、都心部の開発に移転させてもらえれば、コンパクトな都市の貢献となる
  • 緑地は吸収源だけでなく、冷暖房負荷を下げるということもある
  • 規制が不十分であるため、それを補う仕組みがあればいい
  • 現在、土地が動かないため環境という切り口で土地を動かすことが必要
  • 容積率のベースを下げていくことができれば制度が成り立つ可能性がある
まとめ
  • CO2と緑地で大きな柱をたて、都市計画の制度改革面で生かしてもらうような検討が必要

4.今後の予定

  • 次回以降の検討方針が確認された。

以上