自然環境・生物多様性 報告書

平成26年度世界自然遺産候補地詳細調査検討業務報告書

平成26年度世界自然遺産候補地詳細調査検討業務報告書について

1.経緯

  • 平成15年に「世界自然遺産候補地に関する検討会」を開催。詳細検討対象として19地域を選定し、その中から「知床」「小笠原諸島」「奄美・琉球」の3地域を世界自然遺産としての価値がある可能性が高い地域として選定。その後、「知床」(H17)及び「小笠原諸島」(H23)が登録。「奄美・琉球」は平成25年1月に世界遺産暫定リストへの掲載を政府として決定し、推薦に向けて準備中。
  • 平成24年度の「新たな世界自然遺産候補地の考え方に関する懇談会」(環境省、林野庁の共催。以下「懇談会」)において、平成15年検討会の詳細検討対象地域を中心に、既存の自然遺産登録地域の拡張も視野に入れて候補地を検討することが妥当と整理。
  • 懇談会の結論を踏まえ、環境省では、平成15年検討会の詳細検討対象地域のうち3地域(知床、小笠原諸島、奄美・琉球)を除く16地域(以下「16地域」)を対象として、情報の収集・分析・検討を進めた。
    ≪平成25年度調査≫
    自治体アンケート及び専門家ヒアリングを実施し、以下の通り結論。
    • 16地域のうち11地域は、対応する顕著な普遍的価値を有する既登録地が存在し、世界自然遺産としての価値の証明が極めて難しい。
    • 残る5地域(「阿寒・屈斜路・摩周」、「日高山脈」、「飯豊・朝日連峰」、「奥只見・奥利根・奥日光」、「南アルプス」)については、「世界自然遺産としての価値の証明は容易ではないが、その可能性について更に精査する。」と結論。

2.平成26年度調査について

 平成25年度調査で「更に精査する」とされた5地域について、世界自然遺産関係の海外専門家*を招聘して現地調査を実施。以下の通り助言を得た。

  • 「阿寒・屈斜路・摩周」、「日高山脈」、「南アルプス」については、生物多様性保全、景観の美しさ、環境の機能、地学を含めた広範囲の分野の科学的重要性の視点から、重要な特性や価値を持っている。しかし、世界遺産条約における「普遍的重要性」とは、観察できる特性や価値が、専門家でない人々にとって印象的で、理解しやすく、明白なものでなければならず、当該地域はこの点が異なっている。従って「世界遺産としての可能性は認められなかった」と結論。但し「阿寒・屈斜路・摩周」については、「さらに研究が進めば、(中略)他の淡水湖生態系との比較を視野に入れた見直しに役立つかもしれない」とのコメントがなされている。
    * ティルマン・イエーガー氏(海外専門家として、2012年までIUCNの世界遺産部局に所属。その後も世界自然遺産登録審査ミッションに参画し、近年の自然遺産の登録審査傾向に精通する世界自然遺産関連コンサルタント)
  • 残る2地域(「飯豊・朝日連峰」「奥利根・奥只見・奥日光」)のブナ林に関しては、「既存の白神山地との類似性により、飯豊・朝日連峰と奥利根・奥只見山地の共同推薦あるいは個別推薦のいずれも見込みがあるとは言えない。」とする一方、白神山地とのシリアル・アプローチ*については「検証するためには信頼性のある強固な情報が必要」であり、また「他の地域がシリアル要素となる可能性を除外すべきではない」と考えられ、今後「すべての既存情報を用いて、チシマザサーブナ群集のレベルで分断化されていない主な森林の保全状況評価を精緻化すること」を勧めると結論。
    * 飛び地状に連続した遺産推薦の取組。

3.今後の取組

 今年度の調査結果では、「飯豊・朝日連峰」「奥利根・奥只見・奥日光」のブナ林については候補地にふさわしいかどうかを検証するには更に精緻な解析が必要であるとともに、この2地域以外のブナ林地域の可能性についても除外すべきでないと指摘されていることから、これらの点を踏まえて来年度以降引き続き調査を実施する。

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