自然環境・生物多様性
第60次南極地域観測隊同行日記10 ~砕氷艦しらせについて~
第10回:北上開始 ~砕氷艦しらせについて~
2019年3月11日(月)
こんにちは。
海洋観測のため昭和基地から南極大陸近海を東に向かって航行していたしらせは、目標の東経150°地点までたどり着き、オーストラリアのシドニー目指して北上を開始しました。
かれこれ昭和基地を出発してからしらせでの生活も1か月になりました。そこで、今回は砕氷艦しらせについてご紹介します。
(2代目しらせ)
しらせは、海上自衛隊に所属する砕氷艦で、今私が乗艦しているしらせは平成21年に就役した2代目に当たり、初代しらせは昭和58年から平成19年まで第25~49次南極地域観測隊を南極に運びました。
(砕氷艦)
強力な推進力で薄い氷(氷厚1.5m程度まで)を砕いて進む「連続砕氷」と、艦を200~300m程度後進させてから氷に向けて突進し、厚い氷を艦の自重で砕く「ラミング(チャージング)」で砕氷を行いながら氷海を進みます。
<氷海を砕氷しながら進むしらせ(昭和基地沖合)>
(観測設備)
しらせには砕氷や輸送能力の他、気象、海洋、重力等といった各種観測設備や乗員用のエレベーター等、他の自衛艦ではあまり見られない施設も備わっています。
(しらせでの生活)
また、長期間の航海が続くしらせでは、毎日変わる食事が乗員の大きな楽しみの一つになっています。月曜朝食はシリアル、水曜朝食はパン、金曜昼食はカレー等曜日によって食事メニューが異なり、曜日感覚が失われがちなしらせでの生活で、カレンダーを思い出させてくれます。
<金曜日は少し豪華なカレーの日>
シドニー到着までに予定されているカレーの日は後1回のみ。
しらせでの生活も残りわずかになってきました。
これからしらせは、海が荒れることで知られる南緯40度から南緯60度の区域を北上しながら海洋観測を続けていきますが、船酔いに負けないように過ごしたいと思います。