南極の環境を守るきまり
環境保護に関する南極条約議定書(ぎていしょ)
南極条約のもとで南極の環境保護の取り組みを進めるために1991年できた国際約束です。南極を平和と科学の発展に貢献(こうけん)するための自然保護地域として位置づけ、それぞれの国の政府に対して、次の取り組みをするように求めるものです。
- 環境影響評価(かんきょうえいきょうひょうか)
- 南極で、科学調査や観光を行う前に、それらの活動がどのくらいの影響を南極の環境に与えるか事前に予測すること。そして、影響が小さいと予測された場合だけしか、活動はできないようにすること。
- 動物と植物の保護
- ペンギンやアザラシなどの動物や、南極に特有なコケなどの植物を科学的な調査をするために許可を得た場合以外には、取らないこと。
- 廃棄物の処理と管理(しょりとかんり)
- 電池や有害な金属を含む廃棄物は持ち帰ること。南極で廃棄物を処分する場合でも、焼却炉で適切に焼却すること。ごみが風で散らばったりしないように適切に管理すること。
- 海洋汚染(おせん)の防止
- 船から、油や有害な液体を出したり、プラスチックなどの廃棄物を捨てたりしないこと。
- 地区の保護及び管理
- 南極の中でも特に貴重な生物がいる場所や重要な科学調査が行われている場所を、南極特別保護地区(なんきょくとくべつほごちく)として保護すること。また、歴史があるものは、南極史跡記念物(なんきょくしせききねんぶつ)として保護すること。
南極には、この他にも、次のようなきまりがあります。
- 南極のあざらしの保存に関する条約
- 19世紀、ミナミゾウアザラシやナンキョクオットセイはあざらし猟が行われたために、絶滅(ぜつめつ)しそうになってしまいました。そこで、あざらし猟を規制して南極にいる5種のあざらしとみなみおっとせい属を保護しています。
- 南極の海洋生物資源の保存に関する条約
- 南極の海に生息している魚類やオキアミは、人間にとって貴重な資源(食べ物)です。とりすぎて数が減らないように、とる量や場所、方法を決めています。
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南極条約協議国会議と環境保護委員会
南極条約協議国会議(なんきょくじょうやくきょうぎこくかいぎ)は、南極条約にもとづき、平和利用の推進や科学的調査の協力などについて話し合うため、毎年1回開催されます。
同時に、環境保護委員会(かんきょうほごいいんかい)も開催されて、それぞれの国が議定書に基づいた環境保護の取り組みをしっかり行っているか、南極で新たなに環境問題が起きていないか、環境を保護するために新しいるきまりは必要ないか、などが話し合われます。
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南極条約