「つなげよう、支えよう森里川海」総括シンポジウム in 富山
WEB開催レポート

開催日時
平成28年2月20日(土) 13:00~17:15
開催場所
パレブラン高志会館 カルチャーホール
(富山県富山市千歳町1-3-1)
参加者数
263名
主催・共催
主催:環境省、共催:富山市

 全国約50か所の総括シンポジウムとして、安倍昭恵総理夫人、森雅志富山市長、田中克舞根森里海研究所長、竹内和彦国連大学上級副学長をはじめ、全国のシンポジウム・ミニフォーラムにもご参加いただいた太田昇真庭市長、NPO法人森は海の恋人の畠山重篤理事長など、多数のご登壇者に参加いただき、会場は満員の参加者で埋め尽くされた。

【第1部】
主催者挨拶
丸川 珠代 環境大臣

 主催者を代表して、本プロジェクトの丸川珠代環境大臣から挨拶を行った。
 全国約50か所、約3,800名にご参加いただいた全国リレーフォーラムに参加した中で、地域の方々の自然の中での想い出を心から大切にし、自分たちが何をできるかを真剣に考えている姿が印象的だったこと、プロジェクトに対する熱い期待を感じたこと、経済と社会のシステムと自然の資源を利用してエネルギーの生産や地産地消を進めれば地域の自立につながることなどに言及。

共催者挨拶
森 雅志 富山市長

 富山市の森市長からは、全国リレーフォーラムの総括シンポジウムが富山市で開催されることについての感謝とともに、市民の機運を高め、豊かな自然を引き継ぐきっかけにしたいとの挨拶があった。

基調講演
安倍 昭恵 総理夫人

 東日本大震災以降、安倍首相の地元・山口県で無農薬の稲作や、首相官邸でニホンミツバチの養蜂を始めたことなどの自らの体験談を披露いただき、子どもたちに環境の大切さだけでなく、自然を通じて何か目に見えないものを感じることを教えていくことや、環境の異変を感じ取る必要性などを呼びかけられた。

未来を担う世代からの発表
「古沢里山探検隊」富山市立古沢小学校の皆さん

 未来を担う世代からの発表として、富山市立古沢小学校の皆さんに、ダンス等を交えつつ、地元富山市の呉羽丘陵の豊かな生態系の魅力や、里山保全に関する取組を発表いただいた。

第1部トークセッション
テーマ:森里川海の恵み、地域のあしたを考える

<パネリスト>
安倍 昭恵 総理夫人
森 雅志 富山市長
丸川 珠代 環境大臣

<コーディネーター>
舞根森里海研究所長 田中 克 氏

 森里川海を取り巻く課題を話し、恵みを生かすために今必要なこと、私たちにできることを話し合いました。
 安倍昭恵総理夫人からは、女性や若者の活躍や森里川海を支える仕組み、日本の自然の恵みを国内で消費することの重要性が語られた。森市長からは低炭素、自然循環、自然共生が統合した社会の構築のために日本国民ができること、取り組むべきことに関して、今後は市民の機運を高め、豊かな自然を引き継ぐきっかけにしたいとの話があった。
 丸川大臣からは、環境省が取り組んでいる「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトは、社会を変えていこう、という呼び掛けでもあるので、ひとりひとりのライフスタイルを見直して、出来ることから取り組んでいくことが大切との話があった。
 自分たちでできることに加え、森里川海の恵みを生かした地域や日本の将来像に関しても話が膨らんだ。

【第2部】
全国リレーフォーラム結果報告
「「つなげよう、支えよう森里川海」全国リレーフォーラム結果報告」
環境省大臣官房審議官 中井 徳太郎

 全国リレーフォーラムの結果報告として、各地域で素晴らしい取組がすでにあり、持続可能な社会につながる取組が行われていることがわかったこと。また、森里川海の再生に対しての必要なもの、仕組みや費用・人材等課題点が見えたことを報告。
 地元、地域の自然とのかかわりを自分ごとと化して一緒に汗を流して取り組んでいきたいとの意気込みを話した。

「民間の立場から見た、本プロジェクトに期待すること」
NPO法人海辺つくり研究会 理事 木村 尚氏

 今回本プロジェクトを実施したことでつながった全国の皆さんと、今後も引き続き取り組みを進め、良い社会にしていきましょうとのお話があった。

地元富山の森里川海をつなげ、支える取組の発表
<パネリスト>
「つなげよう、支えよう森里川海」志民推進会議 IN 飛越能 事務局 倉谷 龍孝氏
有限会社土遊野 取締役 橋本 順子氏
株式会社エコロの森 代表取締役 森田 由樹子氏
ひえばた園 代表 稗苗 良太氏

<コーディネーター>
日経エコロジー編&日経BP環境経営フォーラム 生物多様性プロデューサー/
富山大学 客員教授 藤田 香 氏

 はじめに、各パネリストの方々からそれぞれの活動について紹介をいただき、そこから今後の課題と発展が話し合われた。
 倉谷氏からは前日に、南砺市で関連行事として実施された夜なべ談義のお話や、南砺市で取り組まれている活動紹介。橋本氏からは森の神と呼ばれる土着菌を活用した農業の紹介、有機農法のおいしさ、生物多様性の影響を受けて環境補填の大切さ。森田氏からは地元富山での体験ツアー等の活動の紹介、子どもたちが楽しみながら自然に触れることの大切さ。稗苗氏からは企業に頼らない米づくりについてのご紹介、農業文化、水と里山を守る文化の大切さや世界への発信など。また、各団体とも、いろいろな人を巻き込んでいく大切さも話し合われた。
 今後の課題としては、企業、地域など様々な連携と共通意識を持って森里川海を守っていく必要性、世界に対して情報発信をすることの必要性が話し合われた。

全国リレーフォーラム統括討論
テーマ:森里川海で地域と人をつなぐ

<パネリスト>
サントリーHD株式会社 エコ戦略部 チーフスペシャリスト 山田 健 氏
NPO法人森は海の恋人 理事長 畠山 重篤 氏
環境教育ネットワークとやまエコひろば 環境教育コーディネーター 本田 恭子 氏
佐賀大学農学部1年 堤 悠一郎 氏
真庭市長 太田 昇 氏
環境省 自然環境局自然環境計画課長 鳥居 敏男

<コーディネーター>
一般社団法人場所文化フォーラム 名誉理事 吉澤 保幸氏

 森里川海のつながりや豊かさが失われた原因の一つとして、人と自然との関わり方が変化したことが上げられ、今回の全国リレーフォーラムにおいても、森里川海のつながりを確保していくためには、地域と人をつなぐことの重要性について多くの意見が出されたことから、「連携」をテーマとして、企業・団体・大学生・地方自治体という様々なセクターによる討論を行った。
 各セクターのパネリストの方々から自己紹介と取り組んでいることに関して話があり、今後森里川海をつないでいくために世代を超えて、人と人とをつなぐために地域間、世代間で「連携」を図っていくためのアイデアが出された。
 暮らし・経済・自然がバラバラになってしまった今、暮らし・経済・自然などさまざまな分野で連携し合うことで、我々日本から次世代が生きる50年後、100年後が誇れる世界になっているよう、今後も新たな価値観で活動を行っていくことの大切さが話し合われた。

 最後に総評として、国連大学上級副学長 武内 和彦 氏 より、「地域の資源を活用した、再生可能エネルギー等により、炭素をださない社会を作っていくこと」、「人的資本を活用し、楽しみながら協力体制を作っていくこと」、「従来の経済的な考え方ではなく、地方にある暮らしの知恵を活用し、多品目作り、付加価値をつけていくこと」この3つを考えていくことが、持続可能な社会の形成に貢献することであり、その取組を世界に発信していくべきだという話があった。

プロジェクトアンバサダー FM富山パーソナリティー 今井 隆信氏
<会場内の展示>
「つなげよう、支えよう森里川海」全国リレーフォーラム報告展示
メッセージボード
本総括シンポジウムの登壇者からメッセージをいただいた。

(第一部登壇者)

(第二部登壇者)