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海のめぐみって何だろう 生物多様性・生態系サービス

わたしたちの日本の海

日本の海ってどんな海

(1)海の大きさ

日本は四方を海にかこまれている島国です。

日本の海の面積(領海およびEEZ)は、約447万km2と世界有数の広さです。

排他的経済水域(EEZ)
日本は海洋国家。日本の海の面積は陸地の面積の約12倍。

(2)海域のとらえかた

とても広く、また多様な環境が存在する海ですが、海は大きく沿岸域と外洋域に分けてとらえることができます。

沿岸域

わたしたちの生活と密着している海域。特に、陸域との境目は環境の変化が多いため、生きものの多様性にも富んでいます。汽水域、汽水湖、藻場、砂浜、干潟、マングローブ林、サンゴ礁など。

外洋域

人間活動の影響を受けにくい海域。海流は様々な地域の生きものを運んできており、海流がぶつかるところは多くの魚が集まり、良い漁場となります。中には独特の生態系を育んでいる環境もあります。

海域

(3)日本の海に生息する生きものたち

日本は南北に長く複雑な海岸線を持っており、気候や沿岸の地形、水温、塩分濃度、下地、水深等によって多様な環境が生まれ、それぞれ特有の生物たちが棲んでいます。

世界に生息する127種の海棲哺乳類のうちの50種 世界の約300 種といわれる海鳥のうちの122種
知床にやってきたツチクジラ
知床にやってきたツチクジラ
隠岐のウミネコ繁殖地
隠岐のウミネコ繁殖地
世界の約15,000種の海水魚のうち約25%にあたる 約3,700種(このうち、日本固有種は、約1,900種) 
海棲哺乳類
日本固有種のメバル
 

今、日本の海では

今、日本では、【生きもののすみかの質と規模が劣化】【浅海域の生きものの種や数、生息範囲が減少】【獲れる魚の数が少なくなっている】という問題があります。

(1)生きもののすみかの質と規模が劣化している

戦後の高度経済成長期における埋立・浚渫、コンクリート用の砂利の採取、海岸の人工化などの土地の開発・改変によって、干潟、藻場、サンゴ礁、砂浜などの沿岸域の生態系の規模が縮小しています。

(2)浅海域の生きものの種や数、生息範囲が減少している

沿岸域の開発が進むことで、干潟、藻場、砂浜などに元々生息していたシギ・チドリ類、アサリ類などの個体数や分布は大きな影響を受けました。 またそれだけではなく、産卵場所として砂浜を利用するウミガメ類など、生活史の一部において浅海域の環境を必要とする生きものも、同じように大きな影響を受けました。

干潟

干潟は生きものにとってもひとにとっても恵みの多い場所。埋め立てなどにより、この数十年で大幅に減少しました。

 

(3)獲れる魚の数が少なくなっている

現在、資源の現状を科学的に調査している日本周辺の漁業資源のうち、約40%が低位水準(資源が少ない)にあるという評価がなされています。

マサバ
食卓に馴染みの深いマサバ

マサバも「低位水準」と評価された魚種の1つです。過去に減少した理由の1つとして高い漁獲圧も挙げられていますが、現在、地球規模での気候変化による海流の変化などが影響を及ぼしているのではないかについても研究が進められています。

 

これらが失われることは、食料の損失というだけでなく、潮干狩りや伝統的な食文化の衰退、レクリエーション場所の減少といった文化的なめぐみの損失にもつながります。