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海のめぐみって何だろう 生物多様性・生態系サービス

海といういのちの世界

海は地球のシステムを支えている

わたしたちが生きているこの生命圏、すなわち地球は、海が大部分を占めています。

大きな視点で見ると、海は地球というシステムを維持するのに重要な役割を担っています。

海は、ただの水たまりではありません。上下方向にも、横方向にも、ぐるぐると水が大循環しています。このような動きによって、気温・気候が調節されたり、生きものや栄養塩が移動をしたりします。また、海の水と陸の水は、大きくみるとお互い循環している関係にあります。

陸とは異なる海の環境

海は、システムとして地球のいのちの世界を支えるだけでなく、その場所自体が、一つの大きな生命圏となり、多くのいのちが生活しています。

海の環境は、陸の環境とは大きく異なる点が2つあります。
一つは、生物のつながりがかなり広い範囲まで広がることです。極域から赤道付近まで、すべて水でつながっており、生物のみならず水自体も循環して移動しています。これにより、陸と比べて連続性が高く、かなり広い範囲で生物の生息している場所が重なり、複雑な生きもののつながりを生み出しています。

そして、陸と比べて水平方向だけでなく、垂直方向への広がりも大きいのが特徴です。

海の広さ:マグロ類などの回遊魚をはじめ、海の生きものは大きく移動し、住む範囲が広くかさなりあっています 海の深さ:海は平面の広さだけでなく、垂直の深さも全て生きものの生息空間として利用されています

また、もう一つは、生態系を支える一次生産者が、陸のような大きな植物・樹木ではなく、小さな植物プランクトンであることです。生きもののつながりの一つは、「食べる・食べられる」関係ですが、このつながりが海では早く進むため、生命のサイクルの速度が速くなります。未知の種は陸域に比べて多く、まだわかっていないことも多くあります。

陸の生態系と、海の生態系とは、このような違いをもつことから、利用や保全の視点は、違いを踏まえた対応が必要になります。