付表14

n―ヘキサン抽出物質(油分等)の測定方法

1 試薬

  1. (1) 塩化鉄(III)溶液(注1)
        塩化鉄(III)六水和物30gを塩酸(1+11)に溶かして100mlとしたもの
  2. (2) 炭酸ナトリウム溶液(20w/v%)
  3. (3) 塩酸(1+1)
  4. (4) ヘキサン
  5. (5) 水
    日本工業規格K0557に規定するA3のもの
  6. (6) 硫酸ナトリウム(無水)
(注1)
塩化マグネシウム溶液(塩化マグネシウム六水和物40gを塩酸(1+11)に溶かして100mlとしたもの)又は塩化亜鉛溶液(塩化亜鉛20gを塩酸(1+11)に溶かして100mlとしたもの)を用いてもよい。n―ヘキサン抽出物質量が1mg/100ml以上のものを使用してはならない。

2 器具及び装置

(1) 試料容器
容量5lの共栓付き広口ガラス瓶又はガラス製共栓付き広口三角フラスコであらかじめヘキサンでよく洗つておいたもの
(2) 分液漏斗
容量250〜500mlのものであつて共通すり合わせのもの(あらかじめヘキサンでよく洗つておく。コック部にヘキサン又は水に可溶性の滑剤を使用してはならない。)
(3) 乾燥器
80±5℃に温度が調節できるもの
(4) 恒温水浴
80±5℃に水温が調節でき、分液漏斗(容量250〜500ml)を浸せきできるもの
(5) 電熱ホットプレート又はマントルヒーター
80±5℃に温度が調節できるもの(電熱ホットプレートに代えて定温水浴を金属板で覆つたものを用いてもよい。)
(6) リービッヒ冷却器
長さ300mmで共通すり合わせのもの
(7) 蒸発容器
容量50〜250mlのアルミニウムはく製容器、ビーカー、蒸留フラスコ(共通すり合わせのもの)等(できるだけ質量の小さいもので、あらかじめヘキサンでよく洗い80±5℃で乾燥し、デシケーター中で放冷した後、0.1mgのけたまで質量を求めたもの)
(8) かき混ぜ機
電気かき混ぜ機又は機械かき混ぜ機

3 試験操作

  1. (1) 試料4lを採取した試料容器(注2)に捕集剤として塩化鉄(III)溶液4mlを加え、容器内の試料をかき混ぜ機でかき混ぜながら、炭酸ナトリウム溶液(20w/v%)を加えてpHを7〜9に調節する(捕集剤の種類によつて沈殿が生ずるpHが異なる。)。5分間激しくかき混ぜた後、かき混ぜ機を取り除き、沈殿が沈降して完全な澄明層が得られるまで静置する(注3)。この試料容器にサイフォン又は吸引管を挿入し、沈殿が損失しないように上澄み層を抜き出して捨てる。
  2. (2) 残つた沈殿層に塩酸(1+1)を加え、pHを約1として沈殿を溶かし、この溶液を分液漏斗A(容量250〜500ml)に移す。試料容器を20mlずつのヘキサンで2回洗い、洗液を分液漏斗Aに加える。
  3. (3) 分液漏斗Aの栓を閉め、2分間激しく振り混ぜ、静置してヘキサン層と水層を分離させる(注4)。水層を試料容器に戻し、更に分液漏斗Aを静かに振り動かして、できるだけ水層を分離して(注5)試料容器に戻した後、ヘキサン層を分液漏斗B(容量250ml)に移す。
  4. (4) 試料容器の水層を再び分液漏斗Aに移し、容器を20mlずつのヘキサンで2回洗つて分液漏斗Aに加え、以下(3)の操作を行う。
  5. (5) 分液漏斗Aを少量のヘキサンで洗い、洗液を分液漏斗Bに合わせる。分液漏斗Bを静かに振り動かして静置し、ヘキサンを損失しないように注意しながら混入した水分を十分に分離除去する(注6)。ヘキサン層に水20mlを加えて約1分間振り混ぜ、静置してヘキサン層と水層を分離した後、水層を捨てる。この操作を数回繰り返す。ヘキサン層に硫酸ナトリウム(無水)3〜5gを加えて振り混ぜ、水分を除去する。
  6. (6) 分液漏斗Bの脚部を乾いたろ紙(あらかじめヘキサンで洗つて抽出物質を除去したもの)でふき取つた後、ヘキサン層を脱脂綿(注7)又はろ紙(注7)を用いてろ過し、蒸発容器に入れる。分液漏斗Bを少量のヘキサンで洗い、洗液を同様にろ過し、蒸発容器に合わせる。ろ紙をヘキサン5mlずつで2回洗い、洗液を蒸発容器に合わせる。
  7. (7) 蒸発容器がアルミニウムはく製容器、ビーカー等の場合には、金属表面を清浄にした電熱ホットプレート(約80℃に保つたもの)上に置いてヘキサンを揮散させる(注8)。蒸留フラスコの場合には、蒸留フラスコをマントルヒーターに入れ、共通すり合わせのト字管と冷却器を接続してヒーターの温度を約80℃に調節し、ヘキサンを毎秒1滴の留出速度で、約2mlが蒸留フラスコ内に残るまで蒸留を続ける(注9)(注10)。加熱を続けながら、ト字管の上部口から窒素ガスを送入して蒸留フラスコ内のヘキサンを完全に揮散させる。ヘキサンが完全に無くなつたら蒸留フラスコを取り外し、室温に冷えるまで窒素ガスを送入する。
  8. (8) 蒸発容器の外側を初め湿つた清浄な布で、次いで乾いた清浄な布でよくふき、80±5℃に調節した乾燥器中に移し、30分間乾燥する。この蒸発容器をデシケーター中に移し、30分間放冷した後、質量を0.1mgのけたまで量る。
  9. (9) 別に試料とほぼ同量の水について全操作にわたり空試験を行い、次式によつて試料のn―ヘキサン抽出物質濃度を算出する。
    n―ヘキサン抽出物質濃度(mg/l)=(a−b)×(1,000/試料量(ml))
    この式において、a及びbは、それぞれ次の値を表す。
    1. a 試験前後の蒸発容器の質量の差(mg)
    2. b 空試験前後の蒸発容器の質量の差(mg)
(注2)
試料がアルカリ性の場合には、あらかじめ中和しておく。
(注3)
沈殿物の層が全液量の1/10以下、通常150〜200mlになるように捕集剤の添加量を調節するとよい。
(注4)
試料によつては安定なエマルジョンを生成するものもある。このような試料では水層をできるだけ元の試料容器に戻し、分液漏斗の口に冷却器を付けて約80℃に保つた水浴中に分液漏斗を浸し、数分間ヘキサンを還流させてエマルジョンを破壊させる。分液漏斗を水浴から取り出し、室温に冷却した後、冷却器を取り外し、次の操作に移る。
(注5)
分離する水層が1ml以下になるまで続ける。エマルジョンが認められる場合には、更にヘキサン数mlを加えるとエマルジョンがこわれることがある。試料が多量のグリース類又は固体脂を含む場合には、水層を分離する前にヘキサンを追加する。
(注6)
通常、水洗によつてヘキサン層は澄明になり、懸濁物質はとれるが、水層が持ち込まれて澄明なヘキサン層が分離しにくい場合には、できるだけ水層を分離した後、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム(無水)を加えると澄明なヘキサン層が分離することがある。試料によつては、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム(無水)よりもアンモニウム塩が有効なことがあるが、ヘキサン可溶の試薬を加えてはならない。いずれの方法でも澄明にならないときは24時間放置するとよい。
(注7)
ヘキサンで十分に洗つて抽出物質を除いたもので、ろ過の際にはあらかじめ少量のヘキサンで潤しておく。
(注8)
引火のおそれがないように十分注意し、通風をよくする。ヘキサンを揮発廃棄することは望ましくないので、できるだけ蒸留によつて除去する。ヘキサン蒸発後、蒸発容器中に水分が認められる場合には、アセトンを添加して蒸発を繰り返すとよい。
(注9)
留出したヘキサンは再蒸留すれば再使用できる。
(注10)
質量の大きい蒸留フラスコを用いた場合には、ヘキサンが約5mlとなつたときに加熱を止め、これをアルミニウムはく製容器等の質量の小さい蒸発容器に移し、蒸留フラスコを少量のヘキサンで洗い、洗液を蒸発容器に合わせた後、ヘキサンを蒸発揮散させる。

備考

  1. 1 この測定方法の定量範囲は、2〜200mgである。
  2. 2 この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。
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