付表12
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の測定方法
1 試薬
- (1) 水
- 日本工業規格K0557に規定するA1、A2、A3又はA4のもの(注1)
- (2) メタノール
- 日本工業規格K8891に定めるもの(注2)
- (3) アセトニトリル
- 日本工業規格K8039に定めるもの(注2)
- (4) ギ酸
- 日本工業規格K8264に定めるもの(注2)
- (5) ギ酸アンモニウム(注2)
- (6) ギ酸(0.1v/v%)・ギ酸アンモニウム水溶液(50mmol/L)
- ギ酸アンモニウム1.57gを水500mlに溶かし、ギ酸0.5mlを加えたもの
- (7) アセトニトリル・水混液
- アセトニトリルと水を体積比65対35の割合で混合したもの
- (8) 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(以下、「LAS」という。)標準原液(各1mg/ml)
- デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C10-LAS)標準品、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C11-LAS)標準品、ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C12-LAS)標準品、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C13-LAS)標準品及びテトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C14-LAS)標準品各100mgをそれぞれ別の全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの(注3)
- (9) LAS標準液(各10μg/ml)
- LAS標準原液各1mlをそれぞれ別の全量フラスコ100mlに採り、アセトニトリル・水混液を標線まで加えたもの(注4)
- (10) LAS標準液(各0.1μg/ml)
- LAS標準液(各10μg/ml)各1mlをそれぞれ別の全量フラスコ100mlに採り、アセトニトリル・水混液を標線まで加えたもの
- (11) 内標準原液(1mg/ml)
- オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C8-LAS)標準品100mgを全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの
- (12) 内標準液(1μg/ml)
- 内標準原液0.1mlを全量フラスコ100mlに採り、アセトニトリル・水混液を標線まで加えたもの
- (13) 検量線標準液
- LAS標準液(各0.1μg/ml)を5~500μl及びLAS標準液(各10μg/ml)を10~100μlの範囲でそれぞれ別の目盛付き共栓試験管に段階的に採り、それぞれ、これらに内標準液50μlを加え、アセトニトリル・水混液を加えて約1mlとしたもの
- (注1)
- 使用前に空試験を行い、測定を妨害するC10~C14-LAS等による汚染がないことを確認する。ミネラルウォーターを用いてもよい。
- (注2)
- 測定対象となるC10~C14-LAS(以下「各対象物質」という。)の保持時間に相当する位置にピークがないことを確認する。
- (注3)
- 市販の混合標準溶液を用いてもよい。この場合、各対象物質濃度が1000μg/mlの混合標準溶液を用いる。
- (注4)
- 市販の混合標準溶液を用いてもよい。この場合、市販の混合標準溶液1mlを全量フラスコ100mlに採り、アセトニトリル・水混液を標線まで加えたものを用いる。
2 器具及び装置(注5)
- (1) 固相カラム
- 内径10mm、長さ30~50mmのカートリッジ型のものであつて、カラム充てん剤として、シリカゲルに逆相系化合物を化学結合したもの又は合成吸着剤(多孔性のスチレンジビニルベンゼン共重合体又はこれと同等の性能を有するもの)を充てんしたもの(注6)
- (2) 目盛付き共栓試験管
- 容量10~20mlのものであつて、1mlの目盛のあるもの
- (3) マイクロシリンジ
- 容量10~500μlのもの
- (4) 高速液体クロマトグラフ・タンデム質量分析計(以下「LC/MS/MS」という。)
- (a) 分離管
- 内径約2~6mm、長さ約50~250mmのステンレス鋼製のもの
- (b) 充てん剤
- オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径2~5μm)を充てんしたもの又はこれと同等の分離性能を有するもの
- (c) 移動相
- アセトニトリルとギ酸(0.1v/v%)・ギ酸アンモニウム水溶液(50mmol/L)を体積比65対35の割合で混合し、超音波処理等で十分脱気したもの
- (d) 流量
- 毎分約0.2mlとしたもの
- (e) カラム槽
- 温度を約40℃に保つことができるもの
- (f) 質量分析計
- エレクトロスプレーイオン化法(負イオンモード)が可能で、選択反応検出法でクロマトグラム測定が可能なもの
- (注5)
- ガラス器具類は、水で洗浄し、更にアセトン及びメタノールで洗浄した後、各対象物質による汚染がないことを確認してから使用する
- (注6)
- カラム充てん剤は、あらかじめメタノール約10ml及び水約10mlを順次通して洗浄する。
3 試験操作
- (1) 試験液の調製
-
- (a) 試料(注7)を振り混ぜて均一化した後、500mlを採り、固相カラムに加圧又は吸引により毎分流速約20mlで流下させる。
- (b) 試料容器を水5mlで洗い、洗液を固相カラムに通水し、約2分間窒素ガスを吹き付け、水分を除去する。
- (c) 固相カラムの上端からメタノール5mlを穏やかに通し、各対象物質を溶出させ、目盛付き共栓試験管に受ける。
- (d) 溶出液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて、蒸発乾固させる。(注8)
- (e) 内標準液50μlを加えた後、アセトニトリル・水混液で、約1mlに定容する。
- (2) 空試験液の調製
- 水500mlを用いて、(1)と同様に操作して得られる液を空試験液とする。(注9)
- (3) 分析
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- (a) 表に掲げる選択反応検出イオンを用い、モニターする。
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表 選択反応検出イオン 物質名 プリカーサーイオン プロダクトイオン C10-LAS 297 183 C11-LAS 311 183 C12-LAS 325 183 C13-LAS 339 183 C14-LAS 353 183 C8-LAS 269 183 - (b) マイクロシリンジを用いて試験液5μlをLC/MS/MSに注入し、保持時間が検量線標準液の各対象物質の保持時間と一致していることを確認しておく。各対象物質のクロマトグラムのピークの位置は別図を参考にする。
- (c) 保持時間に相当する位置のピークについて、ピーク面積を測定する。各対象物質と内標準物質のピーク面積の比を求める。
- (d) あらかじめ4により作成した検量線を用い、各対象物質と内標準物質の面積の比から各対象物質と内標準物質の濃度比を求める。
- (e) 空試験液についても、(b)、(c)及び(d)の操作を行い、各対象物質と内標準物質の濃度比を求める。
- (f) 次の式によつて試験液中の各対象物質の濃度(μg/L)を算出し、各対象物質の濃度の和をLAS濃度とする。
試料中の各対象物質の濃度(μg/L)=(a - b)×n×(1000/試料量(ml))
この式において、a、b及びnは、それぞれ次の値を表す。
a 検量線から求めた各対象物質と内標準物質の濃度比
b 空試験について検量線から求めた各対象物質と内標準物質の濃度比
n 添加した内標準物質の質量(μg)
- (注7)
- 浮遊物が多いときは、あらかじめろ過する。ろ過は、メタノールで洗浄したろ過材(孔径1μmのガラス繊維ろ紙)で吸引ろ過し、ろ過材ごとビーカーに移してメタノール約5mlを加え、超音波洗浄器を用いて溶出させ、これを2~3回繰り返し得られた溶出液を全て合わせ、ロータリーエバポレーター、グデルナダニッシュ濃縮器又はスニーダーカラムを用いて約5mlまで濃縮し、試料に加える。
- (注8)
- 水分の残存により乾固できない試料は、約0.3mlまで濃縮して(e)の操作を行う。
- (注9)
- 空試験値は、可能な限り低減化を図る。
4 検量線の作成
検量線標準液5μlをLC/MS/MSに注入し、各対象物質と内標準物質のピーク面積の比から検量線を作成する。
備考
- 1 この測定方法の定量下限は、LAS濃度として0.1μg/Lである。
- 2 ここで示す商品は、この測定法使用者の便宜のために、一般に入手できるものとして例示したが、これらを推奨するものではない。これと同等以上の品質、性能のものを用いてもよい。
- 3 この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。