付表7

1,4−ジオキサンの測定方法

第1 活性炭抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法

1 試薬

(1) 水
日本工業規格K0557に規定するA3又はA4のもの(注1)
(2) アセトン
日本工業規格K8034に定めるもの(注1)
(3) メタノール
日本工業規格K8891に定めるもの(注1)
(4) 1,4−ジオキサン
日本工業規格K8461に定めるもの
(5) 1,4−ジオキサン標準原液(1g/L)
1,4−ジオキサン標準物質100mgを全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの(注2)(注3)
(6) 1,4−ジオキサン標準液(100mg/L)
1,4−ジオキサン標準原液10mlを全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの(注2)
(7) サロゲート原液(1g/L)
1,4−ジオキサン−d8標準品100mgを全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの(注2)
(8) サロゲート溶液(100mg/L)
サロゲート原液10mlを全量フラスコ100mlに採り、水を標線まで加えたもの(注4)
(9) 内標準原液(1g/L)
メタノール適量及び4−ブロモフルオロベンゼン100mgを全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの(注5)
(10) 内標準液(100mg/L)
内標準原液10mlを全量フラスコ100mlに採り、アセトンを標線まで加えたもの(注2)
(注1)
1,4−ジオキサンを含まないことを確認しておく。
(注2)
暗所−20℃以下で保存する。
(注3)
標準原液は、アセトンで調製してもよいが、添加回収試験等で試料に加える標準液に含まれるアセトンの量は、試料体積の0.005%以下とする(200mlの試料では、10μl以下)。これを超えると急激に回収率が低下し、0.1%では回収率が30%程度となる。
(注4)
暗所4℃で保存し、保存期間は1か月とする。
(注5)
市販のVOC用の4−ブロモフルオロベンゼン(1,000mg/Lメタノール溶液)を用いてもよい。この場合、暗所−20℃以下で保存する。

2 器具及び装置

(1) カートリッジ型活性炭カラム
アセトン20ml及び水40mlを順に通水してコンディショニングしたもの(注1)
(2) カートリッジ型ODS又はポリスチレン樹脂充填カラム(注1)(注6)
あらかじめアセトン10mlと水20mlで洗浄したもの
(3) 固相抽出装置
加圧通水式のもの(注7)
(4) ガスクロマトグラフ質量分析計
(a) キャピラリーカラム
内径0.25mm、長さ30mの化学結合型溶融シリカ製のものであつて、内面にポリエチレングリコールを0.5μm程度の厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するもの(注8)
(b) 検出器
選択イオン検出法又はこれと同等の性能を有する方法(注9)でクロマトグラフ測定が可能な四重極型、磁場型又はイオントラップ型のもの
(c) キャリヤーガス
ヘリウム(純度99.9999vol%以上)であつて線速度を毎秒40cmとしたもの
(d) カラム槽昇温プログラム
40℃で1分保ち、40〜約150℃の範囲で毎分5℃の昇温を行うことができるもの
(e) 注入口
温度を200℃程度に保つことができるもの
(f) 注入部
スプリットレス法により2分後にパージオフできるもの
(注6)
疎水性物質による妨害が認められた場合は、活性炭カラムの上部に装着することにより妨害を取り除くことができる。この方法は、浮遊物質による目詰まり防止に有効である。
(注7)
サロゲート物質の回収率が50〜120%で安定的に得られることを確認した上で、吸引通水式のものを用いてもよい。
(注8)
1,4−ジオキサンの測定には、高極性及び高膜厚のカラムが適している。
(注9)
感度が十分であれば、スキャンニング法が望ましい。

3 試料の採取及び運搬

 2回分析ができるように試料500ml以上をガラス瓶に入れ、冷蔵状態で梱包して運搬する。

4 試験操作

(1) 前処理
試料水200ml(注10)にサロゲート溶液を50μl添加して十分混合後、活性炭カートリッジカラムを直列に2本接続(注11)したものに、毎分10ml以下で通過させる(注12)。次に、水10mlでカートリッジを洗浄後、窒素ガスを20分以上パージして脱水する(注13)。溶出は、通水と逆方向にアセトン5mlを毎分1mlで流して行う。得られた溶出液を窒素気流下で1mlに濃縮し、試料処理液とする(注14)。
(2) 試料液の調製
試料処理液に内標準液を10μl加えてガスクロマトグラフ質量分析用試料とする。
(3) 空試験液の調製
水200mlにサロゲート溶液を50μl加えて(1)及び(2)と同様に操作して得られる液を空試験液とする。
(4) 添加回収試験液の調製
水200mlに所定量の対象物質及びサロゲート溶液50μlを加えて十分混合後、60分放置して(1)及び(2)に従つて操作を行い、得られた試料液を添加回収試験液とする(注15)。
(5) 分析
  1. (a) 表に掲げる質量数を用い、モニターする。
  2. 表 質量数
    物質名定量用質量数(確認用質量数)
    1,4−ジオキサン 88(58)
    1,4−ジオキサン−d8 96(64)
    4−ブロモフルオロベンゼン 174(95)
  3. (b) 空試験液、ガスクロマトグラフ質量分析用試料及び添加回収試験液(注15)を注入して測定を行い、あらかじめ5により作成した検量線を用いて検出量を求め、次式により試料中の濃度を算出する(注16)。
    濃度(μg/L)=(検出量(μg)−空試験液の検出量(μg))/試料量(L)
    なお、一定時間ごとに検量線の中間濃度の標準液を測定し、期待値の20%以内の変動であることを確認する。20%を超えている場合は、ガスクロマトグラフ質量分析計を再調整後、検量線を作成し直して測定を行う。
(注10)
装置検出限界が低い場合は、試料量を減らしてもよい。その場合、それに比例してサロゲート及び内標準の添加量を変えること。
(注11)
1本でサロゲート物質の回収率が50%を超える場合は、1本でもよい。
(注12)
通水速度が遅いほど、回収率は向上する。毎分5mlと10mlでは、5mlの回収率が10〜20%良い。
(注13)
アスピレーターでの吸引や遠心分離等を組み合わせて水を除いてもよい。いずれの方法でも、水分除去が不十分な場合は、ピーク形状が不良になり定量精度に影響を及ぼし、脱水し過ぎた場合は、揮散ロスを生ずることがあるので、20分は目安の時間とする。
(注14)
装置の感度が十分得られる場合は、窒素吹き付けによる濃縮を行わずに、アセトンで5ml又は10mlに定容してもよい。
(注15)
実試料を分析する前に添加回収試験を行い、1,4−ジオキサンの回収率が70〜120%であり、かつ、サロゲートの回収率が50〜120%であることを確認する。
(注16)
選択イオン検出法では、対象物質(サロゲート物質)の定量イオン及び確認イオンのピークが、予想保持時間の±5秒以内に出現し、定量イオンと確認イオンのピーク強度比が予想値と±20%以内で一致した場合、物質が存在しているとみなす(最終試料液の濃縮等により、マススペクトルが測定できる場合は、マススペクトルによる確認が望ましい。)。
スキャンニング法では、対象物質(サロゲート物質)のピークが、予想保持時間の±5秒以内に出現し、マススペクトルが標準物質のスペクトルと一致した場合、物質が存在しているとみなす。

5 検量線の作成

検量線標準液として使用するために、1,4−ジオキサン標準液を0〜200μlの範囲で段階的に採り、それらにサロゲート溶液を加え5μg/mlとなるようにし、アセトンで5mlに希釈する。また、サロゲート溶液を0〜100μlの範囲で段階的に採り、それらに内標準液(4−ブロモフルオロベンゼン)を加え1μg/mlとなるようにし、アセトンで5mlに希釈する。なお、検量線用標準液は、使用時に調製すること。
調製した検量線用標準液を、それぞれ1〜2μlずつガスクロマトグラフに注入し、対象物質及びサロゲート物質並びにサロゲート物質及び内標準物質(4−ブロモフルオロベンゼン)のピーク面積比により検量線を作成し、前者を対象物質の定量に、後者をサロゲートの回収率の算出に用いる。

第2 パージ・トラップ−ガスクロマトグラフ質量分析法

1 試薬

(1) 水
日本工業規格K0557に規定するA3又はA4のもの(A4の水の方が望ましい)(注17)
(2) メタノール
日本工業規格K8891に定めるもの(注18)
(3) 1,4−ジオキサン
日本工業規格K8461に定めるもの
(4) 1,4−ジオキサン標準原液(1g/L)
1,4−ジオキサン標準物質100mgを全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの(注19)(注20)
(5) 1,4−ジオキサン標準液(100mg/L)
1,4−ジオキサン標準原液10mlを全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの(注19)
(6) 内標準原液(1g/L)
1,4−ジオキサン−d8標準品100mgを全量フラスコ100mlに採り、メタノールを標線まで加えたもの(注19)(注20)
(7) 内標準液(10mg/L)
メタノールを50〜90ml程度入れた100ml全量フラスコに、内標準原液1mlを採り、メタノールで100mlとしたもの(注19)(注21)
(注17)
同等な品質に精製が必要な場合には、水1〜3Lを三角フラスコに採り、これを強く加熱して煮沸し、液量が約1/3になるまで続け、直ちに環境からの汚染がない場所に放置して冷却する(加熱が弱いと十分に揮発性有機化合物を除去することができない。)。また、市販の揮発性有機化合物試験用の水、ミネラルウォーター等を用いてもよい。その場合、使用前に空試験を行い、使用の適否を確認する。
(注18)
水質試験用、トリハロメタン測定用等を用いてもよい。その場合、使用前に空試験を行い、使用の適否を確認する。
(注19)
暗所−20℃以下で保存する。
(注20)
濃度保証された市販の分析用標準液等を用いてもよい。
(注21)
使用時に調製する。ただし、調製した標準品を直ちに冷却し、氷水等を用いた冷却条件下でアンプルに移し、溶封して冷暗所に保存すれば、1か月は保存できる。それ以上の期間を経過したものは、純度を確認してから使用する。

2 器具及び装置

(1) 試料容器
40〜250mlのガラス製容器でねじぶた付のもの(あらかじめ日本工業規格K0557に規定するA2又はA3の水で洗浄した後、105±2℃で約3時間加熱し、デシケーター中で放冷する。放冷後、キャップを堅く締め、汚染のない場所に保管する。ねじぶたは、四ふつ化エテン樹脂フィルム又は同等の品質のもので内貼り(注22)したものを用いる。)
(2) パージ・トラップ装置(注23)(注24)
(a) パージ容器
0.5〜25mlの試料を注入できるガラス容器又はそれに試料導入部をもつもの(あらかじめ日本工業規格K0557に規定するA2又はA3の水で洗浄した後、105±2℃で約3時間加熱し、デシケーター中で放冷する。)
(b) パージ容器恒温装置
パージ容器を室温より5〜60℃高い温度で一定温度に保持できるもの
(c) トラップ用管
内径0.5〜5mm、長さ50〜305mmの石英ガラス管、ステンレス鋼製管又は内面を不活性処理したステンレス鋼製のもの
(d) トラップ管充てん剤
2,6−ジフェニル−1,4−ジフェノキシドポリマー(粒径177〜250μm又は250〜500μm)、活性炭(粒径250〜500μm)又はこれらと同等の性能を持つもの(注25)を含むもの
(e) トラップ管
トラップ管充てん剤をトラップ用管に充てん(注26)したもの(使用に先立つてヘリウムを毎分20〜90mlで流しながら、トラップ管の再生温度で30〜60分間加熱する(注27)。)
(f) トラップ管加熱装置
パージ時にトラップ管を室温より5〜40℃高い温度に保ち、さらに、トラップ管に捕集した揮発性有機化合物の加熱脱着のために1分間以内に約180〜280℃まで加熱でき、約4分間以上脱着温度を保つことができるもの
(g) パージガス
ヘリウム(純度99.9999vol%以上)又は窒素(日本工業規格K1107に規定する高純度窒素1級)(注28)であつて、流量を毎分20〜60mlの範囲で一定に調節したもの
(h) 冷却凝縮装置(注29)
内面に不活性処理を施した内径0.53mmのステンレス管、内径0.32〜0.53mmの石英ガラス管又はキャピラリーカラムで、凝縮時に−30℃以下に冷却ができ、かつ、脱着時には1分間以内にカラム槽の温度まで、又は200℃程度に加熱できるもの
(3) ガスクロマトグラフ質量分析計(注30)
(a) ガスクロマトグラフ
(ア) キャピラリーカラム(注31)
内径0.2〜0.32mm、長さ25〜120mの石英ガラス製、硬質ガラス製又は内面を不活性処理したステンレス鋼製のものであつて、内面にフェニルメチルポリシロキサン若しくはジメチルポリシロキサンを0.1〜3μmの厚さで被覆したもの又はこれと同等の分離性能を有するもの
(イ) キャリヤーガス
ヘリウム(純度99.9999vol%以上)(注28)であつて、線速度を毎秒20〜40cmとしたもの
(ウ) カラム槽昇温プログラム
35〜230℃で0.5℃以内の温度調節の精度があり、昇温が可能なもの(例えば、40℃に約1分間保ち、毎分2〜10℃で230℃まで昇温を行うことができるもの)
(エ) インターフェース部
温度を150〜280℃に保つことができるもの
(b) 質量分析計
(ア) 検出器
電子衝撃イオン化(EI法)が可能で、選択イオン検出法又はこれと同等の分析性能を有する方法でクロマトグラム測定が可能なもの
(イ) イオン源
温度を150〜250℃に保つことができるもの
(注22)
四ふつ化エテン樹脂フィルムは、厚さ50μm程度のものを使用する。
(注23)
あらかじめ装置の取扱説明書等に従つて洗浄し、試験操作に支障がないことを確認する。
(注24)
パージ・トラップ装置の最適条件は、吸着剤の種類や使用量等によつて異なるので、十分な回収が得られる条件をあらかじめ求めておく。パージ条件はトラップ管の破過容量を超えないよう注意する。
(注25)
 2,6−ジフェニル−1,4−ジフェノキシドポリマーは、TenaxTA等の名称で市販されている。
(注26)
通常は2,6−ジフェニル−1,4−ジフェノキシドポリマーを単独で用いることもあるが、活性炭又は活性炭及びシリカゲルを併せて用いてもよい。この場合、あらかじめ対象とする揮発性有機化合物が定量的に吸着、脱着されることを確認しておく。活性炭又はシリカゲルを用いた場合には、水分除去の操作を必ず行う。
(注27)
トラップ管は、この他に試料の測定ごとに、再生温度(約180〜280℃)でヘリウムの流量を毎分20〜90mlとして、10分間程度通気する。
(注28)
パージガスやキャリヤーガスから対象とする物質が検出された場合は、モレキュラーシーブ等を充てんした精製管で精製する必要がある。
(注29)
クライオフォーカス装置ともいう。検出ピークを鋭くするために、トラップ管の後段に位置し、トラップ管で加熱脱着した揮発性有機化合物の吸着帯を狭める装置であるが、この装置を用いないで検出ピーク幅を狭める機能を備えているスプリット導入装置等もある。冷却凝縮装置を使用する場合は、あらかじめ各成分のピーク形状や再現性について確認する。
(注30)
用いるガスクロマトグラフ質量分析計やカラムにより最適な条件を設定する。例えば、内標準物質又は揮発性有機化合物を用いて、4に準じて操作をし、0.1μg/Lが定量できる感度に調節しておく。内標準物質として、1,4−ジオキサン−d8を用いる場合は、5μg/Lが定量できる感度に調節しておく。
(注31)
用いるカラムとしては、この他に内径0.53mm以上(例えば、内径が0.53〜0.75mm、長さ30〜120m)のものも使用できる。

3 試料の採取及び保存

試料容器を採取試料で数回共洗いしてから、試料を泡立てないように静かに採取容器に移し入れ、気泡が残らないように満たして密栓する。試料を運搬する場合には、汚染のない運搬用容器を用いて遮光及び冷蔵する。試験は試料採取後直ちに行う。直ちに行えない場合には、4℃以下の暗所で凍結させないで保存し、できるだけ早く試験する(注32)。

(注32)
試料の採取及び保存において、揮発性有機化合物は、揮散、揮発等によって濃度が変化するので注意が必要である。揮発性有機化合物の安定性は物質によって異なるが、試料中の揮発性有機化合物の濃度が低い場合は、試料を暗所で保存する場合でも、物質によっては揮発性有機化合物の濃度が急激に低下するものもある。

4 試験操作

(1) 測定用試料の調製
試料の適量(0.5〜25mlの一定量、例えば5ml)を泡立てないようにパージ容器に全量ピペット等で静かに注入し、内標準液(1,4−ジオキサン−d8)を加えて20μg/Lとなるようにし、測定用試料とする(注33)。
(2) 空試験液の調製
試料と同量の水を用いて(1)と同様に操作して得られる液を、空試験液とする(注33)(注34)。
(3) 添加回収試験液の調製
パージ容器中の試料に1,4−ジオキサン標準液を加えて5〜50μg/Lとし、更に内標準液(1,4−ジオキサン−d8)を加えて20μg/Lとなるようにして得られる液を添加回収試験液とする(注33)(注35)。
(4) 分析
  1. (a) パージ容器をパージ容器恒温装置に入れ、試料の温度を一定(例えば、40℃以下)にする。トラップ管の温度が室温程度であることを確認して、パージガスを一定量通気して対象物質を気相中に移動させてトラップ管に捕集する。
  2. (b) トラップ管を加熱し対象物質を脱着させ、冷却凝縮装置に吸着(注36)させる。次に、冷却凝縮装置を加熱(注36)し、対象物質をガスクロマトグラフ質量分析計に導入する。
  3. (c) ガスクロマトグラフ質量分析では、あらかじめ設定した特有の質量数について選択イオン検出法又はこれと同等の方法によつて測定を行い、そのクロマトグラムを記録する。特有の質量数の例として、1,4−ジオキサンでは88、58、内標準(1,4−ジオキサン−d8)では96、64がある(注37)。
  4. (d) 保持時間並びに定量用質量数及び確認用質量数のイオン強度比を確認し、該当するピーク面積を測定する。
  5. (e) 1,4−ジオキサン及び内標準(1,4−ジオキサン−d8)のピーク面積比並びに内標準(1,4−ジオキサン−d8)の添加量から、あらかじめ5により作成した検量線を用いて、1,4−ジオキサンの量を求め、次式によつて試料中の1,4−ジオキサン濃度を計算する(注38)。
    濃度(μg/L)=(検出量(μg)−空試験液の検出量(μg))/試料量(L)
(注33)
装置によつては、パージ容器の代わりにバイアルを用いる。測定用試料をバイアル中で調製した場合は、バイアルをパージ・トラップ装置にセットし、パージ・トラップ装置の取扱説明書等に従つて操作し、測定用試料の一部又は全量をパージ容器に移し入れる。
(注34)
空試験値については、可能な限り低減化を図る。
(注35)
試料中の対象物質濃度や試験操作条件に応じて適切な濃度範囲を決める。実試料を分析する前に添加回収試験を行い、1,4−ジオキサンの回収率が70〜120%であることを確認する。
(注36)
冷却凝縮装置を使用しない場合は、この操作は省略できる。
(注37)
 特有の質量数は、イオン強度が大きく、実試料で妨害のないものを設定する。ここで示した例を参考に、最適な質量数を2つ選定し、強度の大きいものを定量用、他方を確認用とする。
(注38)
1,4−ジオキサンは、その保持時間が加えた内標準(1,4−ジオキサン−d8)の保持時間と一致し、検量線作成時の保持時間に対して±5秒以内に出現し、かつ、定量イオンと確認イオンの強度比が検量線作成時の強度比の±20%以内であれば、測定試料中に存在しているとみなす。

5 検量線の作成

1,4−ジオキサン標準原液をメタノールで希釈し、0.25〜250μg/mlの1,4−ジオキサン標準液を調製する。
4の(1)に従って、試料と同量の水に1,4−ジオキサン標準液を加えて5〜50μg/Lとし、更に内標準液(1,4−ジオキサン−d8)を加えて20μg/Lとなるようにする(注35)。
これについて、試料と同様にパージ・トラップ−ガスクロマトグラフ質量分析計による測定を行い、1,4−ジオキサン及び内標準(1,4−ジオキサン−d8)の含有量比及びピーク面積比による検量線を作成する。

第3 ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法

1 試薬

  1. (1) 第2の1の(1)に掲げる水
  2. (2) 塩化ナトリウム
    日本工業規格K8150に定めるもの
  3. (3) 第2の1の(2)に掲げるメタノール
  4. (4) 第2の1の(3)に掲げる1,4−ジオキサン
  5. (5) 第2の1の(4)に掲げる1,4−ジオキサン標準原液(1g/L)
  6. (6) 第2の1の(5)に掲げる1,4−ジオキサン標準液(100mg/L)
  7. (7) 第2の1の(6)に掲げる内標準原液(1g/L)
  8. (8) 第2の1の(7)に掲げる内標準液(10mg/L)

2 器具及び装置

  1. (1) 第2の2の(1)に掲げる試料容器
  2. (2) ヘッドスペース装置(注39)
    (a) バイアル
    試料10〜100mlを入れたとき、15〜60%の空間が残る、同形で同じ容量のガラス製容器であつて、バイアル用ゴム栓で密栓でき、加熱しても気密性が保てるもの(あらかじめ日本工業規格K0557に規定するA2又はA3の水で洗浄した後、105±2℃で約3時間加熱し、デシケーター中で放冷する。)
    (b) バイアル用ゴム栓
    バイアルを密栓できるもの(注40)
    (c) 四ふつ化エテン樹脂フィルム
    厚さ50μm程度(注41)の四ふつ化エテン樹脂フィルム又は同等の性能をもつもので、バイアルとバイアル用ゴム栓の間に挿入した場合に試料とバイアル用ゴム栓が接触しない大きさのもの
    (d) アルミニウムキャップ
    バイアルとバイアル用ゴム栓を固定できるもの
    (e) アルミニウムキャップ締め器
    アルミニウムキャップをバイアルに締めて固定できるもの
    (f) 恒温槽
    25〜70℃の範囲で、設定温度に対して±0.5℃に調整でき、30〜120分間保持できるもの
    (g) ガスタイトシリンジ
    容量20〜5000μlの適当な容量のもので、気密性の高いもの(注42)
  3. (3) ガスクロマトグラフ質量分析計(注43)
    (a) ガスクロマトグラフ
    1. (ア) 第2の2の(3)の(a)の(ア)に掲げるキャピラリーカラム
    2. (イ) 第2の2の(3)の(a)の(イ)に掲げるキャリアーガス
    3. (ウ) カラム槽昇温プログラムは第2の2の(3)の(a)の(ウ)による。
    4. (エ) インターフェース部は第2の2の(3)の(a)の(エ)による。
    5. (オ) 試料導入方法
      スプリット方式、スプリットレス方式又は全量導入方式による(注44)。
    6. (カ) 試料導入部
      温度を150〜250℃に保つことができるもの
    (b) 第2の2の(3)の(b)に掲げる質量分析計
(注39)
あらかじめ装置の取扱説明書等に従って洗浄し、試験操作に支障がないことを確認する。
(注40)
シリコーン製のもので、凹凸のない平面のものが使用しやすい。
(注41)
厚さが50μm程度でない場合、長時間では揮散することがある。
(注42)
ヘッドスペースからの試料の採取及びキャピラリーカラムへの導入は、自動注入法としてシリンジ方式、ループ方式及び圧力バランス方式がある。また、トラップ機能を有する装置の場合、トラップ管による導入も可能である。その場合、ヘッドスペース装置の最適条件は、吸着剤の種類、使用量等によって異なるので、十分な回収が得られる条件をあらかじめ求めておき、トラップ管の破過容量を超えないように注意する。
(注43)
用いるガスクロマトグラフ質量分析計やカラムにより最適な条件を設定する。例えば、内標準物質又は揮発性有機化合物を用いて、4に準じて操作をし、0.2μg/Lが定量できる感度に調節しておく。内標準物質として1,4−ジオキサン−d8を用いる場合は、5μg/Lが定量できる感度に調節しておく。
(注44)
導入試料量が多い場合には、スプリット方式がよい。

3 試料の採取及び保存は、第2の3に定める方法よる。

4 試験操作

(1) 測定用試料の調製
  1. (a) バイアルに試料10mlにつき塩化ナトリウム3gを加える(注45)。
  2. (b) 試料の適量(10〜100mlの一定量、例えば10ml)(注46)を泡立てないようにバイアルに全量ピペット等で静かに注入し、内標準液(1,4−ジオキサン−d8)を加えて20μg/Lとなるようにし、測定用試料とする 。
  3. (c) 直ちに四ふつ化エテン樹脂フィルムを載せ、バイアル用ゴム栓をし、その上からアルミニウムキャップを載せ、アルミニウムキャップ締め器でバイアルとバイアル用ゴム栓を固定する。
  4. (d) バイアルを塩化ナトリウムが溶けるまで振り混ぜた後、25〜70℃の範囲で設定した恒温槽で、30〜120分間静置する。
(2) 空試験液の調製
試料と同量の水を用いて(1)と同様に操作して得られる液を、空試験液とする(注47)。
(3) 添加回収試験液の調製
バイアル中の試料に1,4−ジオキサン標準液を加えて5〜50μg/Lとし、更に内標準液(1,4−ジオキサン−d8)を加えて20μg/Lとなるようにして得られる液を添加回収試験液とする(注46)(注48)。
(4) 分析
  1. (a) バイアル用ゴム栓を通して、ガスタイトシリンジ(注49)を用いて気相の一定量を採り、直ちに2の(3)の(a)の(オ)の試料導入方法によつてガスクロマトグラフ質量分析計に注入する。
  2. (b) 質量数による測定は、第2の4の(4)の(c)に掲げる方法による。
  3. (c) 保持時間並びに定量用質量数及び確認用質量数のイオン強度比を確認し、該当するピーク面積を測定する。
  4. (d) 試料中の1,4−ジオキサン濃度の計算は、第2の4の(4)の(e)に掲げる方法による。
(注45)
塩化ナトリウムの添加は、試料の塩類濃度の違いによる測定値の変動を防ぐとともに、塩析効果による感度増加を考慮したものである。なお、試料採取量を変えた場合は、採取量に応じて塩化ナトリウムの添加量を増減させるとよい。
(注46)
バイアル中の気相の割合が15〜60%になるように試料又は水を採取する。
(注47)
空試験値については、可能な限り低減化を図る。
(注48)
試料中の対象物質濃度や試験操作条件に応じて適切な濃度範囲を決める。実試料を分析する前に添加回収試験を行い、1,4−ジオキサンの回収率が70〜120%であることを確認する。
(注49)
検量線作成に用いたものと同じものを用いる。ただし、恒温槽の温度が30℃以上の場合、バイアルの気相の試料採取時には、ガスタイトシリンジを同じ温度以上に保温する。

5 検量線の作成

1,4−ジオキサン標準原液をメタノールで希釈し、1〜500μg/mlの1,4−ジオキサン標準液を調製する。
4の(1)に従つて、試料と同量の水に1,4−ジオキサン標準液を加えて5〜50μg/Lとし、更に内標準液(1,4−ジオキサン−d8)を加えて20μg/Lとなるようにする。
これについて、試料と同様にヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析計による測定を行い、1,4−ジオキサン及び内標準(1,4−ジオキサン−d8)の含有量比及びピーク面積比による検量線を作成する。

備考

  1. 1 第2の方法は、日本工業規格K0125の「5.1 パージ・トラップ−ガスクロマトグラフ質量分析法」に規定された方法に基づいており、ジクロロメタンやベンゼン等の1,4−ジオキサン以外の揮発性有機化合物の標準物質及び必要な内標準物質(フルオロベンゼン、4−ブロモフルオロベンゼン等)を追加し、同時分析が可能である(ただし、揮発性の高い塩化ビニルは除く。)。また、1,4−ジオキサンについて、装置の感度が十分得られない場合に、パージ時間を長くすることにより対応することがあるが、これにより、他の揮発性有機化合物がトラップ管から破過したり、トラップ管充てん剤が水分の影響を受けたりするおそれがあるので注意する。
  2. 2 第3の方法は、日本工業規格K0125の「5.2 ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析法」に規定された方法に基づいており、ジクロロメタンやベンゼン等の1,4−ジオキサン以外の揮発性有機化合物の標準物質及び必要な内標準物質(フルオロベンゼン、4−ブロモフルオロベンゼン等)を追加し、同時分析が可能である(ただし、揮発性が高い塩化ビニルは除く。)。
  3. 3 これらの測定法の定量下限は、いずれも5μg/Lである。
  4. 4 ここで示す商品は、これらの測定法使用者の便宜のために、一般に入手できるものとして例示したが、これらを推奨するものではない。これと同等以上の品質、性能のものを用いてもよい。
  5. 5 この測定方法における用語の定義その他この測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。
ページ先頭へ