法令・告示・通達
ドバトによる被害の防止について
環自鳥32号
(都道府県知事あて環境庁自然保護局長通達)
ドバトを狩猟鳥獣に加えることについては、昭和五四年九月二八日自然環境保全審議会に諮問し、慎重に審議が行われてきたところであるが、別添のとおり昭和五六年二月一七日同審議会から答申があり、ドバトとレース鳩等の飼鳩との判別が必ずしも容易でないこと等の問題があるので、当面、ドバトを狩猟鳥獣に加えることは見合わせることとした。
しかし、都市部をはじめ全国各地に増大しているドバトによる被害の状況からみて、これが防止を適切に図るためには広範な対策を実施する必要があり、関係各機関の協力が不可欠であるため、別添の「ドバト問題に関する環境庁の対応策及び関係省庁及び関係団体に対して要望する事項」により、関係省庁及び関係団体に対して、対策の実施を要望したところである。
ついては、貴職におかれても、関係機関との連携のもとに、左記事項について適切に対処されるよう、特段の御配慮をお願いする。
記
一 市町村等の協力を得て、ドバトの生息状況及びドバトによる被害の実態を一般に広く周知せしめ、とくに飼養に際しては責任をもつて管理するよう、また、被害発生地域又はそのおそれのある地域においては、みだりに給餌を行わない等の啓蒙を行うこと。
二 被害発生地域又はそのおそれのある地域において、市町村、農業関係団体、食糧倉庫管理者の協力を得て積極的に駆除を実施すること。
三 被害発生地域又はそのおそれのある地域の都市公園管理者食糧倉庫管理者、社寺の協力を得て、被害防除策を実施すること。
四 都市地域での有効な捕獲方法の研究、開発を行うこと。
別表
狩猟鳥獣の種類の変更について(答申)
(昭和五六年二月一七日 自環審第七五号)
(環境庁長官あて自然環境保全審議会会長より)
昭和五四年九月二八日諮問第五号をもつて諮問のあつた標記のうち、ドバトを狩猟鳥獣に加えることについては、本審議会において慎重に審議した結果、左記のとおりとすることが適当であるとの結論を得たので答申する。
なお、本答申を行うに当たり、ドバトによる被害の防止について、次のように意見をとりまとめたので、付言する。
都市部をはじめ全国各地に増大しているドバトによる被害の状況からみて、ドバトが国民生活の環境要素として望ましい状態に改善され、維持されるよう関係機関との連携のもとに、国民各層の理解と協力を得ながら、有害鳥としての駆除を被害状況に応じて積極的に行うとともに、飼鳩の適正管理、ドバトに対する過度の給餌の防止等の広範な対策を進めていくことが適当である。
記
ドバトは、従来より都市地域の国民生活にうるおいをもたらすものとして親しまれてきたが、近年の状況をみると、人為的な影響を受けてその生息数を増加し、これによる被害が個人生活、工場、交通機関、農業等各方面に及んでおり、これらの被害を防止するためドバトの生息数の調整を図ることが必要となつている。
このための手段として、ドバトを狩猟鳥獣に加えるべきであるという意見もあり、これは被害防止の一方策としてうなずけるものがあるが、ドバトとレース鳩等の飼鳩との判別が必ずしも容易でないこと等の問題があるので、当面、ドバトを狩猟鳥獣に加えることは見合わせるべきである。
ドバト問題に関する環境庁の対応策及び関係省庁、関係団体に対して要望する事項
関係省庁及び関係団体 | 対応策 |
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環境庁
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一 ドバトの生息状況及びドバトによる被害の実態を周知せしめ、飼養に際しては責任をもつて管理するよう、また、被害発生地域又はその恐れのある地域においては、みだりに給餌を行わない等の啓蒙を行う。
二 被害発生地域又はその恐れのある地域において、市町村、農業関係団体、食糧倉庫管理者の協力を得て、積極的に駆除を実施するよう都道府県を指導する。
三 被害発生地域又はその恐れのある地域の都市公園管理者、食糧倉庫管理者、社寺と、被害防除策の実施について協議するよう都道府県を指導する。
四 都市部での有効な捕獲方法を研究するよう都道府県を指導する。
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建設省
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被害発生地域又はその恐れのある地域に所在する都市公園で、ドバトが多数集合する公園を対象に、都道府県(鳥猟担当部局)の協議を受けて次の事項を実施するよう、都市公園管理者を指導する。
(一) 公園利用者に対してみだりに給餌を行わないよう啓蒙を行う。
(二) 公園内におけるドバト用の餌の販売を自粛するよう指導する。
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農林水産省
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一 被害発生地域又はその恐れのある地域に所在する食糧倉庫で、ドバトが多数集合する倉庫を対象に、都道府県(鳥獣担当部局)の協議を受けて、食害の防止、駆除、餌となる穀物、豆類等を散乱させない等を実施するよう、倉庫管理者を指導する。
二 農作物に対する食害の発生している地域又はその恐れのある地域を対象に、都道府県(鳥獣担当部局)の協議を受けて、食害の防止、駆除を実施するよう、市町村、農業関係団体を指導する。
三 認可団体である(社)日本鳩レース協会及び(社)日本伝書鳩協会に対し、レース鳩の野生化の防止、落伍したレース鳩の回収等、レース鳩の適正な管理を行うよう指導する。
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総理府
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レース用又は愛がん用に鳩を飼養している者に対して、適正な管理を行うよう啓蒙を行う。
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(社) 日本鳩レース協会
(社) 日本伝書鳩協会
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レース数の制限、脚環への連絡先の明記、回収体制の整備等を実施して、レース鳩の野生化を防止し、落伍したレース鳩の回収に努める。
また、廃鳩の責任ある処理、落伍したレース鳩の所有権放棄等の問題点につき、引き続き検討を行う。
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(財)日本宗教連盟
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被害発生地域又はその恐れのある地域に所在する社寺で、ドバトが多数集合する社寺を対象に、都道府県(鳥獣担当部局)の協議を受けて、次の事項を実施するよう、個々の社寺を指導する。
(一) 給餌、就塒の制限を行い、ドバトの生息数をコントロールし、適正な生息数に維持する。
(二) 社寺利用者に対して、みだりに給餌を行わないよう啓蒙を行う。
(三) 社寺境内におけるドバト用の餌の販売を自粛するよう指導する。
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