法令・告示・通達

動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置について

公布日:平成18年01月20日
環境省告示第23号

第1 所有明示の意義及び役割
   動物の所有者が、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置を講ずることは、動物の盗難及び迷子の防止に資するとともに、迷子になった動物の所有者の発見を容易にし、責任の所在の明確化による所有者の意識の向上等を通じて、動物の遺棄及び逸走の未然の防止に寄与するものである。
第2 定義
   この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
  (1) 所有明示 動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置を講じることをいう。
  (2) 家庭動物等 愛がん動物又は伴侶動物(コンパニオンアニマル)として家庭等で飼養又は保管をされている動物並びに情操のかん養及び生態観察のため飼養又は保管をされている動物であって、動物の愛護及び管理に関する法律第26条第1項に規定する特定動物(以下単に「特定動物」という。)以外のものをいう。
  (3) 展示動物 動物園、水族館、植物園、公園等における常設又は仮設の施設において飼養又は保管をする動物、人との触れ合い、興行又は客寄せを目的として飼養又は保管をする動物、販売又は販売を目的とした繁殖等を行うために飼養又は保管をする動物(畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用に供するためのものを除く。)及び商業的な撮影に使用し、又は提供するために飼養又は保管をする動物であって、特定動物以外のものをいう。
  (4) 識別器具等 首輪、名札、マイクロチップ、入れ墨、脚環等、所有明示をするために動物に装着し、又は施術するものをいう。
第3 適用対象動物
   この告示は、家庭動物等、展示動物及び特定動物に適用する。
第4 識別器具等の装着又は施術の方法
   飼養及び保管の開始後、速やかに識別器具等の装着又は施術を実施し、非常災害時等における動物の予期せぬ逸走等に備え、常時動物に装着するように努めること。ただし、幼齢な個体又は識別器具等の装着若しくは施術に耐えられる体力を有しない老齢の動物である、疾病にかかった動物である等の特別な事情がある場合にあっては、この限りでない。また、発育段階に応じ、識別措置等をより適切と考えられる種類に転換し、又は複数の種類の識別器具等を併用することを、必要に応じて行うこと。
   識別器具等の種類は次に掲げるものとする。
  (1) 基本的な考え方
    次の要件を満たすものの中から、動物の特性、飼養及び保管の目的等に応じて、適切と考えられる種類の識別器具等を選択すること。
   イ 動物によって外されにくいものであること。
   ロ 老朽化等により、容易に脱落し、又は消失するおそれの少ないものであること。
   ハ 動物の所有者の特定が直接的又は間接的にできるように、所有者の氏名及び電話番号等の連絡先の情報が付されているものであること。また、その特定が、迅速に、かつ低廉な費用で行うことが可能なものであること。
   ニ 記号により所有明示が行われている場合にあっては、その記号は、統一的であり、かつ一意性が確保されたものであること。また、関係行政機関等からの照会に対して、的確に所有者に係る情報(以下「所有情報」という。)を連絡できる体制が、公的な性格を有する団体等によって全国規模で整備されているものであること。
  (2) 動物の区分ごとの識別器具等の種類
    装着し、又は施術する識別器具等は、動物の区分により、次に掲げるところにより選択すること。
   イ 家庭動物等及び展示動物
     所有者の氏名及び電話番号等の連絡先を記した首輪、名札等又は所有情報を特定できる記号が付されたマイクロチップ、入れ墨、脚環等によること。なお、首輪、名札等経時的変化等により脱落し、又は消失するおそれの高い識別器具等を装着し、又は施術する場合にあっては、補完的な措置として、可能な限り、マイクロチップ、脚環等のより耐久性の高い識別器具等を併用して装着すること。
   ロ 特定動物
     人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれが高いことから、厳格な個体の管理が必要である特定動物については、原則としてマイクロチップ(鳥綱に属する動物にあってはマイクロチップ又は脚環)を装着することとし、その細目は特定動物の飼養又は保管の方法の細目(平成18年1月環境省告示第22号)に規定するところによること。ただし、マイクロチップを装着することが困難である場合にあっては、所有者の氏名及び電話番号等の連絡先を記した首輪、名札等又は所有情報を特定できる記号が付された入れ墨、脚環等によること。
第5 動物の健康及び安全の保持
   識別器具等の装着又は施術に当たっては、動物に過度の負担がかからない方法で行うこと。特にマイクロチップ等のように、その装着又は施術に当たって外科的な措置が必要な識別器具等に関しては、可能な限り獣医師等の専門家によって装着され、又は施術されるようにすること。
   また、識別器具等の装着状態について定期的に観察し、動物の健康及び安全の保持上支障が生じないようにすること。
第6 識別器具等及び所有情報の点検
   動物の所有者は、識別器具等の破損等の状況に関して、定期的に点検を行うこと。また、住所等の所有情報に変更が生じ、又は動物が死亡した場合は、速やかにその更新又は管理者(識別器具等に記号により付された所有情報を管理する者をいう。以下同じ。)への連絡を行うこと。
第7 関係行政機関等の責務
   関係行政機関にあっては、所有明示に関する普及啓発を行うとともに、マイクロチップの情報の読取機(リーダー)を収容施設等に配備する等により、識別器具等に記号により付された所有情報を読み取るための体制の整備を図ること。
   また、管理者は、所有情報の検索が全国規模で効率的かつ迅速に行われるように、管理者間で情報を共有する体制の整備等について、連携して協力を行うこと。