法令・告示・通達

鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律の施行について

公布日:昭和54年04月16日
環自鳥47号

(各都道府県知事あて環境庁自然保護局長通達)
 標記については、昭和五四年四月一六日付け環自鳥第四六号をもつて、環境事務次官の依命通達がなされたところであるが、細部については左記事項に留意して遺憾のないようにされたい。
 なお、この通達においては、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律(昭和五三年法律第七六号)を「改正法」と改正後の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三二号)を「法」と、改正後の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行令(昭和二八年政令第二五四号)を「令」と、改正後の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行規則(昭和二五年農林省令第一〇八号)を「規則」とそれぞれ略称する。

第一 狩猟免許制度の改善
 一 狩猟免許の事務
  (一) 狩猟免許を申請しようとする者は、別記様式第一号による申請書に、規則第二条第二項第一号に規定する医師の診断書(申請者が銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三三年法律第六号)第四条第一項第一号の規定による許可を現に受けている場合を除く。以下同じ。)
    規則第二条第二項第二号に規定する写真一枚及び受験票等の送付に必要な郵送料に相当する郵便切手を貼付した返信用封筒を添えて、申請者の住所地を管轄する都道府県知事(以下「管轄都道府県知事」という。)に、持参又は郵送により提出するよう、都道府県の広報機関、狩猟者団体等を通じて周知徹底を図ること。
  (二) (一)の申請書が提出されたときは、管轄都道府県知事は受験票に写真を貼付し、試験の日時、場所等の所要事項を記載して申請者あて送付すること。
  (三) 法第六条第一号の規定により、二〇歳に満たない者は狩猟免許を受けることができないこととされ、法第七条第二項の規定により、狩猟免許を受けることができない者は狩猟免許試験を受けることができないこととされたため、狩猟免許試験の日に二〇歳に満たない者は当該試験を受けることができないこととなるので、留意すること。
  (四) 今回の法律改正により、圧縮ガスを使用する銃器を使用して狩猟を行う者は丙種の狩猟免許を受けなければならないこととされたので、留意すること。
 二 狩猟免許試験
   狩猟免許試験制度の趣旨を十分に考慮して次により厳正に実施すること。
  (一) 都道府県知事は毎年四月一六日以降速やかに、試験を行う場所、その期日、免許申請書の提出期間及び提出先等を都道府県の公報等により公示し、併せてこのことを都道府県の広報機関、狩猟者団体等を通じて周知徹底させること。
  (二) 狩猟免許試験は、原則として、同一種の免許については、同一登録年度内に一回、同一月日に一斉に行うこととし、当該試験を受験できない者等のため、更に一回の実施を考慮すること。
  (三) 狩猟免許試験は、狩猟者登録の手続、狩猟期間等を考慮して、原則として、一〇月までの間に実施し、会場については申請者の便を考慮してできるだけ分散させること。
  (四) 狩猟免許試験は、適性試験及び知識試験を技能試験の前に行い、適性試験又は知識試験のいずれかに合格しなかつた者に対しては他の試験は行わないものとされたので留意すること。
    なお、同一登録年度内に同一の申請者が二回受験した場合の二回目の試験についても定められた試験をすべて実施すること。
  (五) 適性試験は視力、聴力及び運動能力について行うこととされ、その合格基準は、狩猟者が備えるべき適性という観点から規則第四条により定められたものであるため、視力及び聴力に係る適性試験については、受験者の視力及び聴力の程度を測定するのではなく、合格基準に適合するか否かを判定すること。この場合、単純明確な基準に従つて合否は判定できるものであるから、試験官が医師等の資格を有する必要はないこと。
  (六) 規則第二条第一項第七号の規定に該当する申請者に対する適性試験にあつては、異なる種の狩猟免許に係る適性試験を同時に行つたとみなして、合格基準の高い方の適性試験に合格した場合には、いずれの狩猟免許試験の適性試験にも合格したものとして取り扱うこと。
  (七) 適性試験のうちの運動能力の判定に当たつては、歩行、四肢の屈伸、挙手及び手指の運動を行わせること。
  (八) 技能試験は狩猟者が狩猟に必要な技能を備えているかどうかを判定するため設けられたものであり、おおむね別表第一の技能試験要領により減点し、合否を判定すること。
  (九) 甲種の狩猟免許に係る技能試験における猟具の使用の是非の判別は一〇種類の猟具について行うこととし、原則として、使用が許されている猟具として、むそう網、くくりわな(ばね併用くくりわな、竹筒式ストツパー付)、とらばさみ(直径八センチメートル程度)及びはこわな(金属製)を、使用が禁止されている猟具として、はり網、とらばさみ(直径一五センチメートル程度、のこぎり歯付直径八センチメートル程度)、くくりわな(竹筒式ストツパーなし)及びかすみ網を使用することとするが、各都道府県の実情に応じて他の猟具を使用して差し支えないこと。
  (一〇) 甲種の狩猟免許に係る技能試験における猟具の架設は、むそう網、くくりわな、とらばさみ及びはこなわのうちの一つを申請者に選ばせたうえで行わせること。
  (一一) 技能試験に使用する銃器は、乙種については模造散弾銃、丙種については模造空気銃とし、都道府県が準備したもののうちから申請者に選ばせること。
  (一二) 技能試験における鳥獣の判別は、主たる狩猟鳥獣及びそれらと誤認されやすい非狩猟鳥獣に対する判別の能力の有無を判定することが必要であるので、試験に当たつては、原則として、別表第二に掲げる種類の図画等のうちから、都道府県における狩猟の実態、鳥獣の生息状況等を勘案して選定することとするが、必要に応じてその他の種類を加えて差し支えないこと。
  (一三) 鳥獣の判別は、一六種類(うち狩猟鳥獣を九種以上とすること。)について行うものとし、図画等を五秒間程度見せて、狩猟鳥獣か否かを答えさせ、更に、狩猟鳥獣と答えたものについてはその種名を答えさせること。
  (一四) 乙種及び丙種の技能試験における距離の目測は、狩猟者が散弾及び空気銃の弾丸の最大到達距離及び有効射程距離を了知した上で適正な銃猟を行うことが必要であるとの観点から課されたものであるので、その実施に当たつては別表第一の技能試験要領に示されている三種類の距離について行うこと。
  (一五) 知識試験は、原則として、三肢択一式の筆記試験とし、出題数はおおむね鳥獣保護及び狩猟に関する法令について一四問、猟具に関する知識について六問、鳥獣に関する知識について一〇問、合計三〇問、時間は九〇分とすること。
  (一六) 知識試験のうち鳥獣保護及び狩猟に関する法令及び鳥獣に関する知識については、免許の種別にかかわりなく共通問題とし、猟具に関する知識については、免許の種別ごとに、使用される猟具に関する問題とすること。
  (一七) 知識試験に係る問題はおおむね次の事項から出題すること。
   ア 鳥獣保護及び狩猟に関する法令
    (ア) 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の目的
    (イ) 狩猟鳥獣、猟具、狩猟期間等
    (ウ) 狩猟免許制度
    (エ) 狩猟者登録制度
    (オ) 狩猟鳥獣の捕獲が禁止又は制限される場所、方法、種類等
    (カ) 鳥獣捕獲等の許可、鳥獣の飼養許可並びにキジ類及びヤマドリの販売禁止
    (キ) 猟区
    (ク) 狩猟者の狩猟に伴う義務(違法捕獲物の譲渡禁止を含む。)
   イ 猟具に関する知識
    甲種 (ア) 網及びわなの種類及び架設する場所
       (イ) 網及びわなを架設するに当たつての注意事項
    乙種 (ア) 銃器(空気銃及び圧縮ガスを使用する銃器を除く。以下同じ。)の種類、構造及び性能
       (イ) 銃器及び実包の取扱い上の注意事項
    丙種 (ア) 空気銃の種類、空気銃及びガス銃の構造及び性能
       (イ) 空気銃及びガス銃の取扱い上の注意事項
   ウ 鳥獣に関する知識
     狩猟鳥獣及び狩猟鳥獣と誤認されやすい鳥獣の形態(獣類にあつては足跡の判別を含む。)、習性、生息環境及び食性
  (一八) 狩猟免許試験の実施に当たつては、不正な手段による受験が行われることのないよう、事前に受験者に十分注意する等万全の措置を講ずること。また、不正な手段により狩猟免許試験を受け、又は受けようとした者があつた場合には、その合格の取消し、又は受験の停止の措置をとること。その不正な手段が本人以外の者による受験、いわゆるカンニングペーパーの使用等不正な手段が悪質な場合は、その程度に応じて、さらに三年以内の期間を定めて受験を禁止すること。
  (一九) 管轄都道府県知事は、狩猟免許に合格した者に狩猟免許を与えた場合は、別記様式第二号によつてその者の狩猟者台帳を整備すること。
 三 改正法附則第三項に規定する者に係る狩猟免許
  (一) 狩猟免許の事務
   ア 狩猟免許を申請しようとする者は、別記様式第三号による申請書に、規則第二条第二項第一号に規定する医師の診断書、同項第二号に規定する写真一枚及び受講票等の送付に必要な郵送料に相当する郵便切手を貼付した返信用封筒を添えて、管轄都道府県知事に持参又は郵送により提出するよう、都道府県の広報機関、狩猟者団体等を通じて周知徹底を図ること。
   イ アの申請書が提出されたときは、管轄都道府県知事は講習の受講票に写真を貼付し、講習の日時、場所等の所要事項を記載して申請者あて送付すること。
  (二) 講習及び審査
   ア 改正法附則第三項に規定する講習及び審査の実施に当たつては、都道府県知事は、毎年四月一六日以降速やかに、講習及び審査を行う場所、その期日、免許申請書の提出期間及び提出先等を都道府県の公報等により公示し、併せてこのことを都道府県の広報機関、狩猟者団体等を通じて周知徹底させること。
   イ 講習は、鳥獣保護及び狩猟に関する法令、鳥獣の判別及び猟具の取扱いについて行い、講習時間は合計三時間以上とし、講師には都道府県職員、鳥獣保護団体、狩猟者団体等から各分野の専門家を選任し、充てること。
   ウ 講習を行うに当たつては、鳥獣保護及び狩猟に関する法令については法令の改正事項及び狩猟者としての資質の向上に関することに、鳥獣の判別については誤認されやすい鳥獣の判別に、猟具の取扱いについては狩猟に伴う事故防止に係る事項に重点を置くこと。
 四 狩猟免許の更新
  (一) 狩猟免許更新の事務
   ア 狩猟免許の更新を申請しようとする者は、別記様式第四号による申請書に、規則第二条第二項第一号に規定する医師の診断書、同項第二号に規定する写真一枚及び受験票等の郵送に必要な郵送料に相当する郵便切手を貼付した返信用封筒を添えて、管轄都道府県知事に持参又は郵送により提出するよう、都道府県の広報機関、狩猟者団体等を通じて周知徹底を図ること。
   イ アの申請書が提出されたときは、管轄都道府県知事は適性検査の受験票に写真を貼付し、講習の日時、場所等の所要事項を記載して申請者あて送付すること。
  (二) 適性検査及び講習
   ア 適性検査及び講習の実施に当たつては、都道府県知事は毎年四月一六日以降速やかに適性検査及び講習を行う場所、その期日、更新申請書の提出期間及び提出先等を都道府県の公報等により公示し、併せてこのことを都道府県の広報機関、狩猟者団体等を通じて周知徹底させること。
   イ 講習は、鳥獣保護及び狩猟に関する法令、鳥獣の判別及び猟具の取扱いについて行い、講習時間は合計三時間以上とし、講師には都道府県職員、鳥獣保護団体、狩猟者団体等から各分野の専門家を選任し充てること。
   ウ 講習を行うに当たつては鳥獣保護及び狩猟に関する法令については法令の改正事項及び狩猟者としての資質の向上に関することに、鳥獣の判別については誤認されやすい鳥獣の判別に、猟具の取扱いについては狩猟に伴う事故防止に係る事項に重点を置くこと。
   エ 講習は更新の要件ではないが、狩猟者資質の維持向上を図るためのものであり、その受講が狩猟者の利益にも合致するものであるので、適性検査と併せて行うことにより極力受講するよう指導すること。
 五 狩猟免許の取消し又は効力の停止
  (一) 狩猟の取締りについては、今回の狩猟制度の改善を機に警察当局とも密接な連携を保ちつつ積極的に実施し、狩猟の適正化に努めること。
  (二) 今回の法律改正により、狩猟免許の有効期間が三年とされたこと等のため、狩猟免許を受けた者が、法又は法の規定による禁止若しくは制限に違反した場合には、管轄都道府県知事はその者の狩猟免許を取り消し、又はその情状を勘案して一年以内の期間を定めて、狩猟免許の効力を停止することができることとされたが、この狩猟免許の効力の停止は、原則として、法第八条ノ二又は第一九条の規定に違反した場合、第一九条ノ二第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ又は忌避した場合、第二〇条ノ三の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした場合等違反に対する罰則が罰金刑のみである場合に適用するものとすること。
 六 狩猟免状の返納等
  (一) 管轄都道府県知事は、狩猟免許を取り消し、又は狩猟免許の効力を停止したときは、本人あてその理由を明記して通知するとともに、狩猟免状を返納させ、又は狩猟免状を提出させて、狩猟免状の備考欄にその旨を記載すること。
  (二) 前記に際して狩猟免状が返納又は提出されない場合は、管轄都道府県知事は全国の都道府県知事あてこの旨を通知すること。
  (三) 規則第三三条第二項の規定により、狩猟免状の交付を受けた者が管轄都道府県知事以外の都道府県知事の登録を受けるために必要がある場合は、狩猟免状の再交付を請求することができることとされたが、この登録のための狩猟免状の再交付に当たつては、狩猟免状の備考欄に「狩猟者登録用」と記載するとともに、狩猟者登録のために当該狩猟免状を使用しなかつた場合は、狩猟期間が満了したとき速やかに当該狩猟免状を返納させること。
 七 狩猟免許を受けた者が住所を変更した場合の届出
   狩猟免許を受けた者がその住所を変更したときは、法第八条ノ二第一項の規定により、管轄都道府県知事にその旨を届け出ることとされたが、この届出に当たつては、新・旧住所、氏名、狩猟免許の種別及び免許番号を届出させるものとし、届出を受けた管轄都道府県知事に旧住所地を管轄する都道府県知事に当該届出事項を通知するとともに、旧住所地を管轄する都道府県知事からその者の狩猟者台帳の写しの送付を受けて狩猟者台帳を整備すること。
第二 狩猟者登録制度の新設
 一 狩猟者登録の事務
  (一) 法第八条ノ三第一項の登録(以下「狩猟者登録」という。)を受けようとする者は別記様式第五号による狩猟者登録申請書に、申請者が規則第一八条に定める要件を備えていることを証する書面、規則第一五条第二項第二号に規定する写真、甲種又は乙種の狩猟免許に係る狩猟者登録を受ける者で当該年度の道府県民税の所得割額を納付することを要しないものにあつてはそのことを証明する市町村長の発行する書面及び狩猟者登録証等の送付に必要な郵送料に相当する郵便切手を貼付した返信用封筒を添えて、狩猟者登録を受けようとする都道府県知事に持参又は郵送により提出し、かつ狩猟者登録税及び入猟税(規則第一四条第二項第一号の都道府県の区域の全部に係る登録に限る。)並びに狩猟者登録手数料を狩猟者登録を受ける際に納付するよう都道府県の広報機関、狩猟者団体等を通じて周知徹底させること。
  (二) 都道府県知事は、狩猟者登録をした場合は、狩猟者登録証及び狩猟者記章とともに当該都道府県の区域内における鳥獣保護区、鳥獣保護区特別保護地区、特別保護指定区域、休猟区、銃猟禁止区域、銃猟制限区域及び猟区(放鳥獣猟区であるか否かを明らかにすること。)の位置を示す図面を交付すること。
    前記の図面の余白には、狩猟期間、猟法の制限、銃猟制限区域に係る制限期間等狩猟者登録を受けた者が承知しておく必要のある事項を記載すること。
  (三) 甲種の狩猟免許に係る狩猟者登録を受けた場合は規則第一七条第二項の規定により猟具ごとに住所、氏名及び狩猟者登録証に記載された番号を記載した金属製又はプラスチツク製の識標を付けなければならないこととされたので、その旨狩猟者登録を受けた者を指導すること。
  (四) 都道府県知事は、別記様式第六号による狩猟者登録名簿を作成し、かつ、該当部分の写しを管轄都道府県知事に送付すること。
    当該送付を受けた都道府県知事は、所要事項を別記様式第二号による狩猟者台帳に記載すること。
  (五) 領海を含めて都道府県の境界付近で狩猟をしようとする者については、それぞれの区域を管轄する都道府県知事の狩猟者登録を受けるよう指導すること。
 二 狩猟者登録の抹消
   管轄都道府県知事は、法第八条第一項又は第二項の規定により狩猟免許を取り消した場合、同条第二項の規定により狩猟免許の効力を停止した場合又は法第二四条の規定により狩猟免許が失効した場合には、狩猟者登録を行つた都道府県知事に対し速やかに当該取消し等に係る者の住所及び氏名並びに狩猟免許を取り消した日、狩猟免許の効力の停止期間又は狩猟免許の失効した日を通知すること。
   この通知を受けた都道府県知事は、直ちにその者の狩猟者登録を抹消するとともに、その旨を本人及び管轄都道府県知事に通知すること。
 三 狩猟の報告
   狩猟者登録を受けた者が規則第三四条第五項の規定による捕獲した鳥獣の種類別の員数を報告しない場合は、法第二〇条ノ三の規定によりその者より当該員数について報告を徴すること。
第三 猟区制度の充実
 一 放鳥獣猟区
  (一) 放鳥獣猟区で放鳥獣する狩猟鳥獣の種類は、当面、キジ、コウライキジ(北海道の区域に限る。)、ヤマドリ、ウズラ、コジユケイ、マガモ及びシカとするよう指導すること。
  (二) 放鳥獣猟区にあつては、放鳥猟した種類の鳥獣の九〇パーセントまで捕獲を認めるものとするので、留意すること。
  (三) 放鳥獣猟区において放鳥獣された狩猟鳥獣の種類以外の狩猟鳥獣を捕獲した者に対しては、その情状に応じて狩猟免許の取消し又は効力の停止を行うこと。
 二 猟区管理規程
  (一) 令第四条第四号の二の追加により、放鳥獣猟区にあつては放鳥獣猟区である旨及び放鳥獣する狩猟鳥獣の種類を猟区管理規程に記載することとされたが、放鳥獣猟区にあつては、当該猟区の区域内で放鳥獣した種類の鳥獣の数の九〇パーセントに当たる狩猟鳥獣を捕獲したときは、新たに放鳥獣をしない限り、以後の入猟承認を行わない旨猟区管理規程に明記するよう関係者を指導すること。
  (二) 入猟予約制をとる場合にあつてはその旨及び予約の際に納入する入猟承認料の部分払いの額を、入猟者各人に狩猟する区域を指定する場合又は案内人を付けて狩猟することを義務づける場合にあつてはその旨を、放鳥獣猟区において入猟者の申し出に基づいて追加入猟承認料を徴収して捕獲数の制限を超えて鳥獣を捕獲することを承認する場合にあつては追加入猟承認料の額をそれぞれ猟区管理規程に記載するよう関係者を指導すること。
 三 猟区設定の認可申請書
   規則第三六条第二項により環境庁長官は猟区設定の認可を申請した者に対し必要と認める書類の提出を求めることができるとされたが、この書類は、国及び地方公共団体以外の者の申請にあつては、次の書類とされたのでこの旨十分留意するとともに関係者に周知徹底させること。
  ア 猟区運営に従事する者に関する書類
    猟区運営に従事する者の氏名、狩猟経験年数、狩猟鳥獣の養殖に従事した年数等、猟区運営に必要な能力に関する事項及びその者の職務分担を記載したもの
  イ 猟区運営に必要な資金計画に関する書類
    具体的に資金計画を記載し、自己資金にあつては銀行等の預金の現在高証明書、自己資金以外の資金にあつてはその調達が可能であることを証明する書面を添付したもの
 四 その他
  (一) 猟区設定者は入猟者から請求があつた場合には、猟区に入猟した年月日、捕獲した鳥獣の種類及び数量を記載した証明書を発行するよう指導すること。
  (二) 猟区設定者は、猟区の区域内で本法等に違反した者があつた場合には、直ちに都道府県知事に連絡させるよう指導すること。
第四 鳥獣の飼養規制の強化
 一 飼養許可証
  (一) 規則第三〇条第一項の規定により、鳥獣飼養許可証の交付の申請は法第一二条第一項の許可を受けて鳥獣を捕獲した者が行うこととされているので、捕獲許可を行うに当たつてはこの旨捕獲許可を申請した者に周知させること。
  (二) 規則第三〇条第二項の規定により、鳥獣を譲り受けた者は住所地を管轄する都道府県知事にその旨届出ることとされているので、鳥獣飼養許可証の交付を受けている者に対し鳥獣を譲り渡す際はその譲渡しの相手方にこの旨を了知させるよう指導すること。
 二 飼養の適正化の指導
   鳥獣は本来野外で観察すべきものであり、愛がん飼養をする場合においても一世帯について一羽を超えて飼養することがないよう指導すること。
 三 飼養のための捕獲許可の基準
  (一) 飼養のための捕獲許可の基準は次によること。
   ア 繁殖期間中の捕獲は許可しないこと。
   イ 鳥獣保護区、自然公園、自然休養林、風致地区等その区域内において自然を守ることが特に要請されている場所における捕獲は許可しないこと。
   ウ 飼養のための捕獲の許可は一世帯一羽とし、すでに飼養許可に係る鳥獣を飼養している場合には許可をしないこと。
   エ 申請者が自ら飼養する場合及び依頼によつて捕獲するときは依頼する者が自ら飼養する場合以外は許可をしないこと。
   オ 鳥獣の飼養に係る法令に達した者についてはきびしく審査すること。
  (二) 環境庁長官が行う飼養のための捕獲許可については、動物園の公共展示、学術研究等公益性のある場合についてのみ行う方針であるのでその旨留意すること。
 四 愛がん飼養のためのウグイスの捕獲許可
   ウグイスの生息数は、今回愛がん飼養のための捕獲を認めないこととしたヒバリ及びヤマガラと同様、近年その生息数が減少傾向にあるので、昭和五五年度からこれについても愛がん飼養のための捕獲許可を行わない方針であるのでこの旨十分周知徹底させること。
 五 個体識別のための標識装着
   昭和五四年九月一日以降、サギ科、ツル科、コウノトリ科、ガンカモ科、ワシタカ科、フクロウ科に属する鳥類に係る飼養許可証の交付を新たに受け、又はその更新を受けようとする者に対して、鳥類の個体識別のための標識を当該飼養許可証に係る鳥に装着させるよう指導すること。
   なお、標識の様式については追つて通知するのでこの旨留意すること。
第五 鳥獣の加工、流通業者の指導
  近年鳥獣の輸出入、国内における販売等の流通に関して社会的関心が高まつており、鳥獣の流通の実態を正確には握し、必要な措置をとることが強く望まれているので、このため次の措置を講ずること。
 一 関係業者の実態は握
  (一) 鳥獣の輸出入
    鳥獣(鳥獣の加工品を含む。以下同じ。)、鳥類の卵の輸出又は輸入を業とする者に対し毎年度終了後一月以内に都道府県知事に次の報告をするよう指導すること。
   ア その年度内に輸出した鳥獣又は鳥類の卵の種類、輸出先及び入手方法
   イ その年度内に輸入した鳥獣又は鳥類の卵の種類及び輸入先
  (二) 鳥獣の加工、販売
    鳥獣又は鳥類の卵の加工又は販売を業とする者に対し毎年度終了後一月以内に都道府県知事に次の報告をするよう指導すること。
   ア その年度内に販売した鳥獣又は鳥類の卵の種類、販売先及び入手方法
   イ その年度内の委託を受けて加工した鳥獣の種類及びその委託者
     なお、(一)及び(二)において報告させる鳥獣の種類及び鳥類の卵は、当面、日本に生息するものと同種の鳥獣とすること。
 二 関係業者の指導
   関係者に対し法の趣旨を徹底させるほか必要な指導を随時行うこと。
   また、必要に応じて立入検査を実施すること。
第六 その他
 一 狩猟鳥獣の管理
   狩猟鳥獣の適正な生息数の維持を図るため、都道府県において生息数が減少し、又は生息区域が縮小している狩猟鳥獣については、捕獲禁止、捕獲期間の短縮、捕獲数量の制限等の措置を積極的に講ずること。
 二 法令違反者の通知
   本法等に違反した者がある場合は、都道府県知事は当該違反をした者に係る管轄都道府県知事に対して、同知事が適切な措置がとれるようその者の住所、氏名及び免許番号並びに違反の内容を直ちに通知すること。


別表
  技能試験要領

区分 課題 減点事項
甲種
1 猟具の判別
  法定猟具5種類、禁止猟具5種類について判別させる。
 
2 猟具の架設
  使用しようとする猟具1種類につき架設を行わせる。
架設できない場合
架設が不完全な場合
架設が円滑でない場合
3 鳥獣の判別
  狩猟鳥獣、非狩猟鳥獣16種類について判別させる。
 
乙種
1 銃器の点検、分解及び結合
 
  銃器の点検
   銃器の安全点検をさせる。
実包の有無、銃腔内の異物の有無を確認しない場合
作動部(二連銃の場合は、トツプレバー、安全子、先台、自動銃の場合は、遊底、安全子、先台)の異常の有無を確認しない場合
  銃器の分解と結合
   銃器を分解した後結合させる。
銃口を人に向けた場合
操作が不確実な場合
操作が粗暴な場合
2 装填、射撃姿勢、脱包
   模擬弾の装填、射撃姿勢、脱包を行わせる。
銃口を人に向けた場合
銃腔内の異物の有無を確認しない場合
装填操作中用心鉄の中に指を入れた場合
二連銃を粗暴に閉鎖した場合
水平射撃の姿勢をとつた場合
不安定な射撃姿勢をとつた場合
3 団体行動の場合の銃器の保持、銃器の受渡し
 
  3人~5人が縦隊及び横隊で移動する場合の銃器の保持を行わせる。
銃口を人に向けた場合
保持が不安定な場合
  高所にいる人又は近接できない人との間で銃器の授受を行わせる。
銃口を人に向けた場合
装填の有無を確認しなかつた場合
脱包しなかつた場合
4 休憩時の銃器の取扱い
 
  休憩の際に銃器を置くことを行わせる。
脱包しなかつた場合
不安定な場所に立て掛けた場合
薬室の開放あるいは弾倉のとりはずしをしなかつた場合
5 距離の目測
  300m、50m及び35mの距離の目測を行わせる。
6 鳥獣の判別
  狩猟鳥獣、非狩猟鳥獣16種類について判別させる。
 
丙種
1 圧縮操作、装填、射撃姿勢
 
  ポンプ式又はスプリング式空気銃による圧縮操作を行わせる。
銃口を人に向けた場合
装填を確認する動作をしなかつた場合
  装填動作をさせ、射撃姿勢をとらせる。
用心鉄の中に指を入れた場合
銃口を人に向けた場合
用心鉄の中に指を入れた場合
水平射撃の姿勢をとつた場合
不安定な射撃姿勢をとつた場合
2 距離の目測
  300m、30m及び10mの距離の目測を行わせる。
3 鳥獣の判別
  狩猟鳥獣、非狩猟鳥獣16種類について判別させる。
 



甲種
狩猟鳥獣
マガモ(オス)、コガモ(オス)、ヒドリガモ(オス)、ニユウナイスズメ、スズメ、タヌキ、キツネ、テン、オスイタチ
狩猟鳥獣と誤認されやすい鳥獣
ヒヨドリ、ツグミ、カワラヒワ、カシラダカ、モモンガ、オコジヨ、メスジカ、カモシカ、メスイタチ
乙種
狩猟鳥獣
ゴイサギ、マガモ(オス)、カルガモ、コガモ(オス)、ヨシガモ(オス)、オナガガモ(オス)、ハシビロガモ(オス)、ホシハジロ(オス)、キンクロハジロ(オス)、スズガモ(オス)、クロガモ(オス)、ビロウドキンクロ(オス)、コオリガモ(オス)、ウミアイサ(オス)、ウズラ、コジユケイ、ヤマドリ、キジ、バン、タシギ、ムササビ、タヌキ、キツネ、アナグマ
狩猟鳥獣と誤認されやすい鳥獣
ヨシゴイ、ササゴイ、マガン、オシドリ(オス)、トモエガモ(オス)、ホオジロガモ(オス)、ヒクイナ、オオバン、メスジカ、カモシカ、メスイタチ、ハクビシン
丙種
狩猟鳥獣
ウズラ、コジユケイ、ヤマシギ、キジバト、ニユウナイスズメ、スズメ、バン、リス、シマリス
狩猟鳥獣と誤認されやすい鳥獣
アオバト、ドバト、モズ、ホオジロ、カシラダカ、カワラヒワ、ムクドリ、カケス、オナガ、メスイタチ