法令・告示・通達

鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律の施行について

公布日:昭和53年08月23日
環自鳥117号

(各都道府県知事あて環境庁自然保護局長通達)
 標記については、昭和五三年八月二三日付け環自鳥第一一六号をもつて、環境事務次官の依命通達がなされたところであるが、細部については左記により運用し、適正を期するようにされたい。
 なお、昭和四九年一一月二〇日付け環自鳥第一四六号当職通達「都道府県設鳥獣保護区設定の承認申請書の作成について」は廃止するとともに、昭和三八年八月二七日付け38林野造第一五七三号林野庁長官通達「狩猟法の一部を改正する法律の施行について」中第三「有害鳥獣駆除について」は削除する。
第一 狩猟鳥獣の捕獲禁止、鳥獣保護区の設定等の手続
 (一) 改正後の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三二号。以下「新法」という。)第一条一四第五項の規定による届出は、別記第一により届出書を作成し告示予定日から起算して三〇日をさかのぼつた日までにその届出書を提出することにより行うこと。
 (二) 新法第八条一八第四項の規定により準用する同法第一条一四第五項の規定に基づく鳥獣保護区の設定に関する届出は、別記第二により届出書を作成し、告示予定日から起算して三〇日をさかのぼつた日までに提出することにより行うこと。
 (三) 狩猟鳥獣の捕獲の禁止又は制限及び鳥獣保護区の設定に当たつては、つとめて鳥獣の習性に関する調査及び農林水産物の被害予測を行い、農林水産物の被害発生のおそれがあるときは必要に応じその防止対策を講ずること。
第二 特別保護指定区域
 一 指定の基本的考え方
   特別保護指定区域においては、新法第八条一八第五項に規定する水面の埋立て又は干拓、立木竹の伐採及び工作物の設置のような鳥獣の生息環境を物理的永続的に改変するもののほか、動植物の採取又は捕獲、火入れ又はたき火、車馬の使用等鳥獣の生息環境を一時的に乱すようなものを規制の対象とし、鳥獣の営巣が人間の行動により妨げられることがないようにすることを目的としている。従つて、農地法(昭和二七年法律第二二九号)第二条の農地及び採草放牧地並びに都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第四条第一項の都市計画において定められた都市公園及び都市公園法(昭和三一年法律第七九号)第二条第一項の都市公園は特別保護指定区域として指定しないようにすること。
 二 その他の公共の場所
   特別保護指定区域においては、車馬の使用、撮影、録画又は録音、野外スポーツ又は野外レクリエーシヨン等が規制の対象とされているが、道路、広場その他公共の場所においては、その設置の趣旨からこれらの行為が予定されているものであるため鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行令(昭和二八年政令第二五四号。以下「令」という。)第七条の三第一項により、かかる場所における当該行為は規制の対象外とされたものであること。
   なお、この「公共の場所」とは、道路、広場、都市公園等、公有の場所であるか私有の場所であるかを問わず、平常不特定多数の者の利用に供される管理形態にあるものをいい、施設としての利用を前提とした管理がされている鉄道の駅構内、歩道、キヤンプ場、海水浴場等も含まれるものであるが、不特定多数の利用のための施設整備が何ら行われていない河川、海岸等については「公共の場所」に含まれないものであること。
 三 政令で定める行為
  (一) 特別保護指定区域内で行う行為とは、土地、水面等に接して行われるものをいい、区域の上空で行われるものは含まないものであり、航空機上での撮影行為等は規制の対象とはならないが、絶滅のおそれのある鳥獣の営巣地上空の航空機の航行については、それが当該鳥獣の営巣の保護上具体的な問題が生ずるおそれがあることが科学的な資料により明らかになつた場合又は現に具体的な問題が発生した場合には、運輸省と協議して所要の措置を講ずることとしているので、このような場合は速やかに当庁へ連絡すること。
  (二) 令第七条の三第一項第三号の「車馬」は、自動車、原動機付自転車、自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(牛馬を含む。)をいうものであること。
  (三) 令第七条の三第一項第四号の「船舶運航の事業」とは、海上運送法(昭和二四年法律第一八七号)第二条第二項の船舶運航事業、同法第四四条の規定により準用される「もつぱら、湖沼又は河川において営む船舶運航の事業」、港湾運送事業法(昭和二六年法律第一六一号)に規定する港湾運送事業及び同法第二条第四項の規定により指定する港湾以外の港湾において同法に規定する港湾運送事業に相当する事業を営む事業をいうこと。
  (四) 令第七条の三第一項第五号の「犬その他鳥獣に害を加えるおそれのある動物」とは、その種が持つ固有の性質として鳥獣に害を加えることが予想されるものをいい、牛、馬、羊等放牧される家畜を含むものではないこと。
 四 鳥獣の保護繁殖上一般に支障がないと認められる行為
  (一) 特別保護指定区域内において政令で定められた行為であつても、鳥獣の保護繁殖上一般に支障がないと認められる行為として、環境庁長官が、鳥獣の保護繁殖上一般に支障がないと認められる行為を指定する件(昭和五三年七月環境庁告示第四六号。昭和五三年七月環境庁告示第四九号により一部改正。)において定めたものは、許可の対象とならないこと。
  (二) (一)の告示第四九号のルに定める「犯罪の予防又は捜査」には犯罪の鎮圧及び犯人の逮捕を含むこと。
  (三) (一)の告示第四九号のヲに定める「その他これに類する行為」には、国等が行う統計調査及び法令の規定による事務を行うために必要な調査を含むこと。
 五 特別保護指定区域の報告
   令第七条の三第一項の規定に基づき特別保護指定区域を指定した場合には、別記第三により、指定後速やかに環境庁長官に報告すること。
 六 試験研究又は学術研究の通知
   四の(一)の告示中、第四九号のリの規定による通知については、別記第四により通知書を作成して、当該指定区域における試験研究又は学術研究の開始予定日から三〇日をさかのぼつた日までに環境庁長官又は都道府県知事に提出するよう指導すること。
   なお、環境庁長官に通知する場合は、通知書を都道府県知事経由により提出するよう指導するものとし、都道府県知事が当該通知書を受け付けた場合には、当該通知書が四の(一)の告示第四九号のリに定められた大学又は学術研究法人であり、かつ、その者が試験研究又は学術研究として行う行為である旨を調査の上進達すること。
第三 特別保護地区における規制強化
  特別保護地区内における工作物の設置等に係る新法第八条一八第七項の規定による許可については、別記第五により申請するよう関係者を指導すること。
  また、申請を受け付けた場合には、別記第六により調査書を作成し、当該許可申請を進達すること。
  なお、新法第八条一八第五項に定める工作物の設置等の許可対象行為であつても非常災害のために必要な応急措置として行うものについては許可を要しないものであること。
第四 銃猟制限区域
  銃猟制限区域において銃猟を行おうとする者に対する銃猟承認等については、次により処理するとともに銃猟承認申請者を指導すること。
 一 申込み手続
   銃猟承認申請者に対して、原則として銃猟を行おうとする日の一四日前までに、狩猟免状(昭和五四年四月一六日以降は狩猟者登録証)の写しを添えて左記の事項を記載した申請書を提出させること。
  ア 住所、氏名及び年齢
  イ 銃猟承認を申請する銃猟制限区域の名称
  ウ 銃猟を行おうとする年月日
 二 選定方法
   銃猟を承認する者(以下「銃猟承認者」という。)の選定は、抽せん等により行うこと。
 三 承認の通知
   銃猟承認者に対する承認の通知は、別記第七による銃猟承認証及び別記第八による腕章又はワツペン(布製等)を交付して行うこと。
 四 銃猟承認証の携帯等
   銃猟承認者に対して、銃猟制限区域において銃猟を行わせるときは銃猟承認証を携帯させ、かつ、腕章又はワツペンを腕又は胸につけさせ、都道府県職員等から請求があつた場合には銃猟承認証を提示させること。
第五 法人に対する鳥獣捕獲の許可
  法人に対する鳥獣捕獲の許可に当たつては、許可を受けようとする法人が、雇用等により当該法人の職員以外の者に当該捕獲に従事させる場合は、必要に応じて容易に捕獲に従事でき、かつ、原則として狩猟免許を有する者を選任するよう指導すること。
  さらに、法人に対しては、指揮監督の適正を期するため、別記第九の鳥獣捕獲事業指示書を従事者に交付するとともに、別記第一〇の鳥獣捕獲従事者台帳を整備するよう十分に指導すること。
第六 有害鳥獣の駆除許可
  有害鳥獣の駆除に関しては、昭和五一年八月一六日付け環自鳥第一二〇号環境事務次官通達「第四次鳥獣保護事業計画の基準について」によつて、有害鳥獣駆除についての許可基準を設定することとされているが、駆除許可事務を支庁等の長の専決とする場合には、その種類は次に限ること。
  カルガモ、キジバト、ミヤマガラス、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ニユウナイスズメ、スズメ、ドバト、サル、ノウサギ、クマ、ヒグマ、イノシシ、ヌートリア、ノイヌ及びノネコ
第七 鳥獣行政機構の充実
  都道府県において鳥獣行政を担当する職員については、今後一段と専門の知識及び経験を必要とするものであるから、適任者をあて、さらに関係職員の研修等にも十分に配慮する等鳥獣行政機構の充実に努めること。
第八 狩猟免許申請書の様式
  狩猟免許申請書の様式のうち「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律又はこれに基いて発する総理府令若しくは都道府県規則」とあるのを「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律又は同法の規定による禁止若しくは制限」に改めること。


別表
 略