法令・告示・通達

鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行規則の一部改正等について

公布日:昭和50年07月05日
環自鳥102号

(各都道府県知事あて環境事務次官通知)
 今般、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行規則(昭和二五年農林省令第一〇八号)の一部が、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行規則の一部を改正する総理府令(昭和五〇年総理府令第四四号)をもつて改正され、本月一〇日から施行されることとなり、また、昭和五〇年環境庁告示第四三号(鳥類の捕獲を禁止する件)をもつてメスヤマドリの捕獲が禁止されることとなつた。
 これらの趣旨及びその内容は左記のとおりであるので、その運用に当たつては、遺憾のないよう特段の御配慮を煩わしたく、命により通達する。

1 狩猟鳥獣からの除外について
  狩猟鳥獣の指定は、鳥獣の生息数、農林水産業に対する益害関係等を考慮して行われているが、カワアイサ、オオバン及びアマミヤマシギは、近年、生息数の減少傾向が著しく、また、学術上の観点からも保護を強化する必要が強まつたので、これらを狩猟鳥獣から除外することとされた。
  同様の趣旨により、近年、減少傾向が著しいヤマドリについて、その保護増殖を図るため、昭和五〇年一一月一五日から昭和五三年一〇月三一日までの間、メスヤマドリの捕獲が禁止された。
  なお、今回、狩猟鳥獣から除外されたもの以外の狩猟鳥獣について、各都道府県において生息数の減少傾向が著しいものがあれば、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律第一条ノ四第三項の規定に基づき、捕獲禁止等適切な保護措置を講じられたい。
2 狩猟期間等の短縮について
  狩猟鳥獣の生息数の減少傾向に対応するとともに、狩猟に伴う危害防止を図るため、北海道及びそれ以外の地域の実情に応じて、それぞれ狩猟期間の始期又は終期が変更され、狩猟期間の短縮が図られた。
  また、キツネ、テン等のいわゆる毛皮獣についても、生息数の減少傾向に対応して捕獲期間が短縮された。
3 捕獲数の制限の強化等について
  狩猟鳥獣の生息数の減少傾向に対応して、カモ類の一日又は一狩猟期間当たりの捕獲数の制限が強化されるとともに、豪雪時期におけるオスジカの乱獲を防止するため、新たにオスジカについて一日当たりの捕獲数が一頭に制限された。
4 狩猟免許申請書について
  猟銃による事故を防止するため、乙種の狩猟免許を申請するに当たり、申請の日が属する免許年度の前免許年度を含む連続した四免許年度の間、いずれの都道府県においても一度も乙種狩猟免許を受けたことがない者に対しては、ライフル銃、散弾銃又はガス銃を使用して標的射撃(散弾銃にあつては、クレー射撃をいう。以下同じ。)を勧奨することとし、申請書には、それを行つた年月日及び射撃場(都道府県公安委員会が指定したものをいう。以下同じ。)の名を記入することとされた。
  したがつて、これに該当する者のうち、居住都道府県内に射撃場がない場合、射撃場から遠隔地に居住している場合等標的射撃を行わないことについて相当の理由があると認められる者以外の者に対しては、これの目的及び必要性を説明の上、乙種狩猟免許を申請するときまでに標的射撃を行うよう積極的に指導し、標的射撃を行つた後に乙種狩猟免状を交付するように取り計らわれたい。
  なお、これに伴い、狩猟免許の申請書の様式を別紙のとおり定めたので、「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行令の一部を改正する政令および同法施行規則の一部を改正する省令について」(昭和四三年五月三〇日四三林野造第五七四号)の第三の4の(1)は廃止する。
  また、標的射撃を行つたことについて、特に確認する必要があると認めたときは、申請者に対して射撃場の設置者又は管理者(狩猟者団体が主催する標的射撃を目的とする講習会の場合は、当該狩猟者団体の長)の証明書の提示を求められたい。
  おつて、本証明書の発行については、警察庁とも協議済みであることを念のため申し添える。
5 狩猟者記章の着用について
  狩猟者記章は、従来、胸部につけることとされていたが、今回、確認の利便及び雨、雪等の場合における狩猟者の狩猟者記章のつけ替えの煩瑣等を考慮して、新たに帽子に着用することも認められることとなつた。
6 有害鳥獣駆除許可権限の一部委譲について
  有害鳥獣の駆除に機動的に対処するため、今回、ウソ、メスジカについて有害鳥獣駆除許可権限が都道府県知事に委譲されることとなつたので、その運用に当たつては、適正を期せられたい。
7 今回の改正内容の周知徹底について
  今回の改正内容については、今後開催される狩猟者講習会を通じてその周知徹底を図るとともに、本年は講習を受講していない者等が存在していることに鑑み、本年の狩猟免許を行う際には、狩猟免状とともに改正内容等を記載した印刷物等を同時に交付し、あるいは狩猟者地図に改正内容の要点を印刷する等の適切な措置を講じ、狩猟者全員に今回の改正内容が周知徹底されるようとり図らわれたい。
  また、関係狩猟者団体にも、加入者に対して改正内容の周知徹底を図るための適切な措置を講じるよう依頼されたい。
8 その他
 (1) 今回の改正に伴い、狩猟免状の様式について、所要の改正が行われた。
 (2) 今回の改正内容には含まれていないが、当庁においては、自然環境保全審議会の答申も得て、構造の一部として三発以上の実包を充てんすることができる弾倉のある散弾銃を使用する方法で狩猟鳥獣を捕獲してはならないこととし、概ね三年後に実施することとしているので、この方針に基づき、昭和五二年七月頃鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行規則について所要の改正を行い、一年間程度の準備期間を設けた上、昭和五三年七月頃からこの措置を実施する予定であるので、このことについても併せて周知徹底を図られたい。