法令・告示・通達

第五次鳥獣保護事業計画の基準について

  • 公布日:昭和56年8月20日
  • 環自鳥186号

(各知事あて環境事務次官通達)
 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三二号)第一条ノ二第一項の規定に基づく基準が別冊のとおり定められたので、遺憾のないようにされたい。
 以上、命により通達する。


別表
   第五次鳥獣保護事業計画の基準
第一 計画の期間
  計画の期間は、昭和五七年四月一日から昭和六二年三月三一日までの五年間とする。
第二 鳥獣保護区の設定及び特別保護地地区の指定並びに休猟区の設定並びにこれらの整備に関する事項
 一 鳥獣保護区の設定
   鳥獣保護区は、次の区分に従つて設定するものとする。
  (一) 地帯区分により設定する鳥獣保護区
   ア 森林地帯
    (ア) 森林鳥獣生息地の保護区
      (イ)に規定する場合を除き、林野面積がおおむね一〇、〇〇〇ha(北海道にあつては、二〇、〇〇〇ha)ごとに三〇〇ha以上の鳥獣保護区を一箇所設定する。
    (イ) 大規模生息地の保護区
      樹種、林相、林齢を異にする各種の森林を包括し、かつ、質量ともに多彩な鳥獣が生息する場所のうち、必要な地区について、一〇、〇〇〇ha以上の鳥獣保護区を設定する。
      このうち、国立公園、国定公園を中心とする代表的なもの(北海道地区、東北地区、関東・甲信越地区、東海・北陸地区、近畿地区、中国地区、四国地区、九州地区それぞれ一箇所を目途)は、国が設定する。
   イ その他の地帯
    (ア) 集団渡来地の保護区
      干潟、湖沼、湿地等であつて、鳥類の集団渡来地のうち必要な地区について、鳥獣保護区を設定する。
      このうち、渡り鳥保護条約等の国際条約によつて保護対象になつているシギ・チドリ類、ガン・カモ・ハクチヨウ類等の主たる渡りの経路上にあり、地域的に重要な拠点となつているものは、国が設定する。
    (イ) 集団繁殖地の保護区
      島しよ、草原等であつて、鳥類の集団繁殖地のうち必要な地区について、鳥獣保護区を設定する。
      このうち、繁殖する種類、生息数からみて大規模で代表的なものは、国が設定する。
    (ウ) 誘致地区の保護区
      鳥獣の誘致地区(都市における生活環境の改善のため、鳥獣を誘致することが必要であると認められる地区)について、鳥獣保護区を設定する。
  (二) 地帯区分にかかわらず設定する鳥獣保護区
   ア 特定鳥獣生息地の保護区
     絶滅のおそれのある鳥獣又はそれに準ずる鳥獣の生息地であつて、その鳥獣の保護上必要な地区について、鳥獣保護区を設定する。
     このうち、当該鳥獣の代表的な生息地を含むものは、国が設定する。
   イ 愛護地区の保護区
     小・中学校、その他の学校、その他法人等が設置する野鳥愛護地区について、鳥獣保護区を設定する。
 二 特別保護地区の指定
  (一) 特定鳥獣生息地の保護については、全箇所について広範囲に特別保護地区を指定するように努めるものとする。
  (二) 大規模生息地の保護区、集団渡来地の保護区及び集団繁殖地の保護区については、全箇所につき、鳥獣の保護繁殖のために必要と認められる中核的地区について、特別保護地区を指定する。
  (三) 森林鳥獣生息地の保護については、その箇所数の二分の一以上につき、それぞれの面積の一〇分の一以上の地区について特別保護地区を指定する。
  (四) 愛護地区の保護区及び誘致地区の保護区については、必要と認められる地区について特別保護地区を指定する。
  (五) 特別保護指定区域は、特定鳥獣生息地の保護区、集団繁殖地の保護区等について指定するものとする。
 三 休猟区の設定
   休猟区は、可猟地域に一箇所当たり一、五〇〇ha以上の面積規模をもつて、分布にかたよりがないように配慮して設置する。また、休猟区面積の合計は、可猟地域の面積全体のおおむね三分の一になるよう努めるものとする。
 四 鳥獣保護区の整備に関する事項
  (一) 鳥獣保護区内には、自然条件を勘案して、それぞれの鳥獣保護区の設定目的を達成するため、必要な給餌及び給水施設の設置、食餌植物の植栽、営巣材料の供与等の保護措置を講ずるものとする。
  (二) 鳥獣保護区の整備は、年度別計画をたてて実施するものとし、特に巡視等管理の充実、利用施設の整備に配慮するものとする。
第三 鳥獣の人工増殖及び放鳥獣に関する事項
 一 鳥獣の人工増殖
   生息分布が局限されている鳥獣又は生息数の少ない鳥獣のうち、特に保護繁殖を図る必要のあるものについて、人工増殖に努めるものとする。
   また、狩猟鳥獣のうち必要のあるものについて、人工増殖を行うよう指導するものとする。
   なお、鳥獣の人工増殖に当たつては、亜種間の交雑を行わないよう特に配意するものとする。
 二 放鳥獣
  (一) 鳥類
    鳥獣保護区のうち狩猟鳥類の生息適地であつて、その増加を図るため必要と認められる箇所については、繁殖に必要な種鳥を放鳥し、休猟区のうち狩猟鳥類の増加を図る必要が認められる箇所については、必要な羽数(キジを放鳥する場合にあつては、毎年一箇所当たり五〇羽以上)を放鳥する。
    なお、亜種間の交雑を防ぐため、放鳥する場所に生息する鳥類と同亜種のものについてのみ放鳥するものとする。
  (二) 獣類
    ノネズミ又はノウサギによる造林木等の被害が激甚な地区については、イタチ又はキツネを必要に応じ放獣するものにする。
第四 有害鳥獣の駆除に関する事項
 一 鳥獣による被害発生予察表の作成
   過去五年間の鳥獣による被害の発生状況及び鳥獣の生息状況を検討し、鳥獣の種類別、四半期別及び地域別に鳥獣による被害発生予察表を作成するものとする。
 二 鳥獣による被害の防除方法の検討等
   農林作物等に被害を及ぼし若しくは生活環境を悪化させ又はそのおそれのある鳥獣について、農林水産業又は生活環境とこれら鳥獣の保護との両立を図るため、総合的、効果的な防除方法を検討し、所要の対策を実施するよう指導するものとする。
 三 有害鳥獣の駆除についての許可基準の設定
   鳥獣による被害の発生予察、駆除の実績及び農林作物等の状況を勘案して、鳥獣の種類別に捕獲許可の基準を設定するものとする。
 四 駆除体制の整備
   イノシシ、ノウサギその他の鳥獣による農林作物の被害が激甚な地域については、その地域ごとにあらかじめ、駆除隊を編成するよう指導するものとする。
   なお、農林作物等に著しく被害を及ぼす鳥獣の駆除を広範囲にわたつて実施する必要のある場合にそなえ、効果的な方法を確立するものとする。
第五 鳥獣の生息状況の調査に関する事項
 一 鳥獣保護対策調査
   都道府県内に生息する鳥獣の種類、分布状況、生息数の推移等をは握するため、次の調査を実施するよう努めるものとする。
  (一) 鳥獣生息分布調査
    都道府県に生息する鳥獣の種類、出現の時期等を明らかにする調査
    なお、本調査はおおむね市町村を単位として行うこととし、保護対策及び被害対策上重要な鳥獣については、その種類ごとに鳥獣生息分布図を作成する。
  (二) 指定鳥獣等保護調査
    都道府県民の鳥獣(鳥獣保護思想の普及の一環として、都道府県民の象徴として定められた鳥獣)、都道府県の文化財に指定されている鳥獣、生息数の少ない鳥獣、減少の著しい鳥獣及び開発により生息環境が激変するおそれのある鳥獣の生息状況及び保護対策を明らかにする調査
  (三) ガン・カモ・ハクチヨウ類一斉調査
    ガン・カモ・ハクチヨウ類の越冬状況を明らかにするための生息数を中心とした生態調査
  (四) 鳥類標識調査
    都道府県に生息する留鳥、漂鳥及び農林水産物等に著しい被害を及ぼす鳥類の生態を明らかにするための鳥類標識調査
  (五) 鳥獣保護区等の設定効果測定調査
    鳥獣保護区、休猟区及び捕獲禁止区域の設定効果を測定するための調査
 二 狩猟対策基礎調査
   狩猟の適正化を推進するため、必要に応じ、次の調査を実施するものとする。
  (一) 狩猟鳥獣生息調査
    主要の狩猟鳥獣の生息分布、生息概況、増減傾向を明らかにする調査
  (二) 放鳥獣効果測定調査
    放鳥獣する狩猟鳥獣に標識を付して、放鳥獣による効果を測定し、当該地域での定着状況を明らかにする調査
  (三) 狩猟実態調査
    狩猟者の一狩猟期間における出猟の日数、狩猟鳥獣の増減傾向に関する狩猟者の意義、可猟地域への狩猟者の立入頻度等についての調査
 三 有害鳥獣対策調査
   農林作物等に被害を及ぼす鳥獣の防除方法の確立に資するため、必要に応じ、主要な有害鳥獣の生態、特に生息概数、被害作物等及び被害発生との関連を明らかにする調査を行うものとする。
第六 鳥獣保護事業の啓蒙に関する事項
 一 鳥獣保護思想の普及
   鳥獣保護の成果を挙げる上で広く都道府県民の認識を深めることが重要であることから、鳥獣保護思想の普及啓蒙を図るため、年間計画をたて、鳥獣保護団体の育成指導、探鳥会等の普及活動、スライド、映画フイルム、展示品の巡回貸付け等を行うほか、毎年一回鳥獣保護実績発表大会を開催する等地域の特性に応じた効果的な事業を計画し実施するものとする。
   特に愛鳥週間を活用し、探鳥会、講演会、食餌植物の植栽、印刷物の配布、スライド、映画フイルムの貸付け等の行事を積極的に実施するものとする。
 二 鳥獣保護センター等の設置
  (一) 鳥獣保護センターの設置
    鳥獣保護思想の普及啓蒙及び各種調査の効果的実施を図るため、都道府県に鳥獣保護センターを設置するものとする。
  (二) 野鳥の森等の設置
    都道府県民が親しく鳥獣に接する喜びを体得することができるよう、鳥獣保護区の区域内の野鳥の観察に適する森林、湖沼等の場所に野鳥の森等を設置するものとする。
 三 愛鳥モデル校の指定
   鳥獣保護思想の普及の一環として、愛鳥モデル校を期間を定めて指定するものとする。
   愛鳥モデル校は、小・中学校四〇校につき一校の割合で指定するものとするほか、必要に応じ高等学校その他の学校についても指定することができるものとする。
   なお、愛鳥モデル校においては、鳥獣の生息状況に応じ、付属施設として野鳥愛護地区を設定するものとする。
 四 法令の普及徹底
   鳥獣に関する法令のうち、鳥獣捕獲の規制の制度(かすみ網、とりもち等の使用規制を含む。)及び鳥獣飼養許可制度等、特に都道府県民一般に関係ある事項については、都道府県広報誌、ポスター、パンフレツト等により、その周知徹底を図るものとする。
第七 鳥獣保護事業の実施体制の整備に関する事項
 一 鳥獣行政担当職員
   鳥獣行政担当職員の配置は、鳥獣保護事業計画の内容、鳥獣の生息状況、狩猟者登録を受けた者の数等を勘案して行い、鳥獣保護事業の実施に支障のないようにする。
   なお、行政効果を高めるため、計画的に鳥獣行政担当職員を対象として研修(司法警察員としての研修を含む。)を行い、専門的知識の向上を図るものとする。
 二 鳥獣保護員
   鳥獣保護員の総数は、市町村数に見合う数を目標とし、その配置については、鳥獣保護区の数、狩猟者登録を受けた者の数、取締りの実施状況、鳥獣保護思想の普及の現況等を勘案して行うものとする。
   なお、行政効果を高めるため、計画的に鳥獣保護員を対象として研修を行い、全員に所要の知識を習得させるものとする。
 三 取締り
  (一) 狩猟の取締りは過去五年間の違反状況の分析の結果に基づき月別重点事項を定めて行うものとする。
    この場合、ワシタカ科、フクロウ科の鳥類の捕獲、かすみ網、とりもち等による違法捕獲の取締りを重点的に行うよう配慮するものとする。
  (二) 鳥獣の輸出入業者、飼育関係者、加工業者、食品関係者等を対象とし、鳥獣及びその加工品を含めて、流通段階における取締りを計画的に実施するものとする。
    この場合、輸入された飼養鳥獣の取締りを重点的に行うよう配慮するものとする。
  (三) 取締りに必要な機動力(動力式舟艇を含む。)を整備するほか、緊急取締り対応して鳥獣行政担当職員及び鳥獣保護員の動員体制を整備するものとする。
第八 その他鳥獣保護事業の実施のため必要な事項
  猟区の整備拡大を図るため、森林組合、狩猟者団体等に対し放鳥獣猟区設定のための指導を行う。
  なお、放鳥獣猟区の管理運営の指針を明らかにするため、モデル放鳥獣猟区を設定するものとする。

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