法令・告示・通達

自然公園法の施行について

  • 公布日:昭和32年10月11日
  • 厚生省発国68号

厚生事務次官から各都道府県知事あて
 国立公園法(以下「旧法」という。)は、昭和6年に施行されて以来、わが国を代表する傑出した自然の風景地を保護し、その利用の増進を図ることによつて、国民の保健、休養に大きな社会的役割を果してきたのであるが、その後における社会状勢の変化に伴つて、法的にも幾多の欠陥が認められるに至つた。これらの欠陥を補うため、その間、数次にわたる同法の一部改正により、部分的な法的整備がなされたのであるが、自然公園に対する国民の利用度は、最近、とみに高まり、また産業の開発も進み、従来の制度をもつてしては、到底、その適正な保護と利用を確保することが困難となつてきたので、この度、同法を廃し、あらたに、自然公園法(昭和32年法律第161号。以下「新法」という。)が制定される運びとなつたのである。
 新法は、旧法が主として国立公園に関する法律であり、その他の風景地については僅かに、同法の2、3の規定を準用し得る旨を定めていたに過ぎなかつたのに対し広く国立公園、国定公園及び都道府県立自然公園について、それぞれの段階に応ずる適正な保護と利用の増進を図り、もつて、国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする自然公園に関する綜合的な制度を確立したものである。
 したがつて、新法の施行にあたつては、右の趣旨の普及に努め、特に、左記事項に留意し、その目的の達成に遺憾のないように致されたく、命により通知する。

第1 一般的事項
 1 新法に基く自然公園行政は、文化財、道路、都市計画、運輸、農林、水産、鉱業、電源開発等に関する他の行政及び諸産業に関連するところが極めて大であるので、これらの公益との調整が十分図られるよう、教育委員会、地方建設局、営林局、通商産業局、海運局、陸運局、各都道府県の内部部局等の関係行政機関と連絡を密にし、法運用の円滑を期すること。
 2 新法の施行に当つては、その趣旨及び規定の内容を広く国民一般に周知させるため広報活動を強力に実施する必要のあることはいうまでもないが、自然公園の区域内の住民、当該区域内の土地の所有者、当該区域内の前記諸産業に利害を有する者等は法律の施行に直接関係があるので、これらの者に対する周知の方法については、特に意を用いられたいこと。
第2 国立公園に関する事項
  国立公園については、おおむね、旧法による制度が踏襲されているが、次の各事項に関しては、それぞれ法の規定が整備されたので、旧法との差異に留意して、国立公園の保護の強化及び利用の増進を図るべきものであること。
 1 特別地域については、新法第17条第3項第7号から第9号までに掲げる行為が、また、特別保護地区については新法第18条第3項第4号後段、第6号及び第8号に掲げる行為が、それぞれあらたに許可を要する行為とされたこと。
 2 旧法第9条の規定に代えて、あらたに第20条(普通地域)及び第24条(利用のための規制)の規定が設けられ、一定の行為に限つて、禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を命ずることができることとされたこと。
 3 その他、第22条(報告の徴収及び立入検査)第23条(集団施設地区)等の規定により国立公園の管理の強化が図られるとともに、第3条(財産権の尊重及び他の公益との調整)、第34条、(土地調整委員会の裁定)、第39条(協議)等の規定により関係行政及び関係諸産業との調整の途が設けられたこと。
第3 国定公園に関する事項
  国定公園については、旧法にはこれに関する明確な規定がなく単に国立公園に準ずる風景地として、その保護に必要な2、3の規定が準用されるに過ぎなかつたが、新法は、これを国立公園に準ずる自然公園として明記し、風景の保護及び利用の増進に関するすべての事項について、ほぼ、国立公園と同様な管理を行うべき旨を定めたものであつて、これに関し留意すべき事項はおよそ次のとおりであること。
 1 国定公園に関する事務は、その多くが都道府県又は都道府県知事に委任されていることと表裏して、厚生大臣の行う国定公園の指定及び一部の公園計画の決定は、都道府県の申出によるべき旨が定められたので、当該事項について、今後その必要が生じたときは、おつて通達する予定の自然公園選定標準、自然公園計画標準その他に基き、それぞれ厚生大臣あて、申し出なければならないこと。
 2 厚生大臣の決定する公園計画以外の公園計画及び公園事業は、都道府県知事が決定することとされているが、これについては、前記、自然公園計画標準等によるほか、各都道府県に設置される自然公園審議会(第4の1参照)、その他適当な機関に諮問する等の措置を講じ、適正な計画及び事業が決定されるように努めなければならないものであること。
 3 国定公園の特別地域、特別保護地区及び集団施設地区については、その指定の権限が厚生大臣に留保されたことに伴い、できるだけすみやかにこれを指定する予定であるが、このうち、特別保護地区は、あらたな制度であり、かつ都道府県の申出に基く公園計画の変更がなければ、これを指定することができないものであるから、その必要のある国定公園については、前記自然公園計画標準に基き、これに関する計画案を策定のうえ、厚生大臣に申し出なければならないものであること。
   なお、国定公園の保護及び利用のための規制については、これらの地域又は地区の指定に関するものを除き、すべての権限が都道府県知事に委任されているので、これらの地域又は地区が指定されたときは、当該国定公園の保護又は利用のための規制に関する公園計画に基いて、法の適正な運用を確保するよう考慮されたいものであること。
第4 都道府県立自然公園に関する事項
  都道府県立自然公園については、従来、もつぱら各都道府県の条例に委ねられていたのであるが、条例のみによつては、その管理に欠けるところがあつたので、今回法律の根拠を要する事項及びこれに関連して必要な事項に限つて、新法の明文の規定が設けられたものである。したがつて、都道府県においては、新法の規定に基く条例を定めるほか、次の事項に留意して、自然公園としての綜合的な管理を確立しなければならないものであること。
 1 新法は、都道府県立自然公園に関する審議会の設置については特別の定をしていないが、当該公園の管理及び国定公園に関して都道府県又は都道府県知事に委任されている事項を適正に行うためには、国の場合に準じた諮問機関を設けることが必要であるので、従来、この種の審議会を有していなかつた都道府県においては、できるだけ、すみやかにこれを設置することが望ましいものであること。
 2 公園計画の決定及び公園事業の執行は、自然公園の管理上、最も重要な事項であるから、国立公園及び国定公園の場合に準じて処理すべきものであること。
   なお、公園計画及び公園事業について新法に特別の規定がないことは、その決定乃至執行が権力的作用でなく、したがつて、法の根拠がなくとも都道府県が本来、有する機能に基いて、当然に行うことができることによるものであつて、新法は決して公園計画及び公園事業を欠いた自然公園の管理を予想したものではないこと。
 3 新法第42条の規定は、都道府県立自然公園の保護又は利用のための規制の根拠及びその限度を定めたものであるから、各都道府県の自然公園について、その風景価値、利用状況等を検討し、規制の必要性に応じて、適宜、その範囲を縮少して差し支えないものであること。
   なお、同条に、「前章第4節の規定による規制の範囲内」とあるのは、新法の第4節及び同節に基く省令の規定による規制の範囲内という趣旨であるから、施行規則第12条に規定する許可又は届出を要しない行為を条例において許可又は届出に係らしめることはできないものであること。
 4 都道府県立自然公園の管理は、すべて条例の規定に基いて行われるものであるから、昭和32年8月28日国発第550号各都道府県知事宛厚生省大臣官房国立公園部長通達「都道府県立自然公園条例の制定について」により、できるだけ、すみやかに新条例の制定又は現行条例の改正を行うべきものであること。
第5 その他
 1 この法律の施行の詳細については、おつて各項目ごとに通達する予定であるが、当該通達が施行されるまでの間においては、従来、国立公園法に基いて示された通達の例により、適宜処理すべきものであること。

ページ先頭へ