法令・告示・通達
自然環境保全地域等選定要領等について
環自企322号
[改定]
昭和52年11月1日 環自計170号
(各都道府県自然環境保全担当部長あて環境庁自然保護局企画調整課長通知)
標記について、国の自然環境保全地域等選定要領、同保全計画作成要領及び都道府県自然環境保全地域の指定基準、同保全計画作成要領を別添のとおり定めたので通知する。
別表
自然環境保全地域等選定要領
原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域は次の要件を具備するものにつき選定するものとする。
〔1〕 原生自然環境保全地域
第1要件 対象となる自然環境
わが国の亜熱帯多雨林帯、暖帯照葉樹林帯、温帯落葉広葉樹林帯及び亜寒帯針葉樹林帯の各森林帯に残る原生の自然状態を維持している地域のうち、当該自然環境を保全することが、特に必要なものであること。なお、選定にあたつては全国的に保全地域が散在するよう配慮すること。
第2要件 自然度
極相、あるいは、それに近い種組成をもつた森林・草原・湿原等の植生及び野生動物等の生物共同体が、現に多数の登山利用等、人の活動によつて影響をうけることなく(かつて人の活動をうけた跡があつても、現在自然の遷移により復元している場合も含む)、自然度が高い状態を維持していること。(別表―自然度の判定)
第3要件 面積及び形態
生態系として動的な平衡状態を維持するため1,000ヘクタール以上の面積が確保されること。ただし、その周囲が海面に接している区域については、300ヘクタール以上であること。区域はまとまりのある一団地の形態が取れること。
第4要件 周辺の自然環境
当該地域の原生の状態を将来にわたり維持するため、周辺は自然性の高い地域であること。
第5要件 土地所有
国または地方公共団体の所有する土地であり、自然環境の厳正な保全に適していること。
第6要件 産業利用
過去において恒常的な森林伐採等の産業利用が行われたことのないこと。
〔2〕 自然環境保全地域
第1要件 対象となる自然環境
わが国のすぐれた自然環境のうち、法22条:1項 各号のいずれかに該当するもののうち、自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境を保全することが特に必要なものであつて、次の要件に合致する地域であること。なお、選定にあたつては、全国的に地方的に保全地域が散在するよう配慮するとともに、住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮すること。
1 高山性植生又は亜高山性植生
高山性植生については、高山帯に生育する高山性低木群落、雪田植物群落、高茎草原、風衝草原、高山荒原植物群落等の植生、また、亜高山性植生については、亜高山帯に生育する亜高山帯樹林等の植生のうちから、典型的な1以上の群落を示す区域が相当部分を占めていること。
2 すぐれた天然林
人工林以外の人為の影響の少ない森林であつて、別表に掲げるすぐれた天然林の要件に該当するものであること。
3 地形・地質、自然現象
特異な地形、地質、自然現象の存する土地の区域及び当該地形、地質、自然現象の影響下にある生態系が維持されているなど一体となつて自然環境を形成している周辺の区域であること。
4 海岸、湖沼、河川、湿原
人為の影響の少ない地域であつて、海岸にあつては、砂丘植生、断崖植生、塩沼植生、海鳥生息地等海岸特有の生態系を維持している区域、湖沼、河川にあつては、挺水植物、浮葉植物、沈水植物、浮水植物及び湖岸・河岸等の植生、並びに水鳥、魚類等の生息地等湖沼、河川特有の生態系を維持している区域、湿原にあつては、高層湿原・中間湿原・低層湿原等湿原特有の生態系を維持している区域であること。
5 海域
人為の影響の少ない海域であつて、海底地形に特色があり、熱帯魚、さんご、海そう、その他これらに類する海中動植物が豊富であり、海水が清澄であること。
6 植物の自生地
特異性、稀少性、固有性の価値を有する特定の野生植物が比較的密度高く分布する区域であること。
7 野生動物の生息地
特異性・稀少性・固有性の価値を有する特定の野生動物が生息し、又は繁殖する区域であること。
8 人工林
樹令が100年以上であつて、学術的に価値が高く、かつ林業生産を目的としない人工林の区域であること。
第2要件 自然度
自然度が比較的高い状態を維持していること。ただし、地形地質、自然現象、植物の自生地、野生動物の生息地にあつては、当該保全対象物の特異性、稀少性・固有性の価値より判断し、地域を選定するものとする。(別表 自然度の判定)
第3要件 面積及び形態
当該地域の保全要件を維持するため、政令に規定する面積が確定されること。区域はまとまりのある一団地の形態が取れること。
自然度による原生自然環境保全地域、自然環境保全地域等の判定
原則として次のような自然度の区分に従つて地域指定を行なうものとする。
地域
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指定要件
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自然度(植生自然度)
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原生自然環境保全地域
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9.10で人為の加わつていないもの
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自然環境保全地域
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高山性亜高山性植生
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9.10
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すぐれた天然林
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人工林
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6で樹令100年以上のもの
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その他
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保全対象物の特異性、稀少性、固有性の観点より指定するものとするが、環境条件としては、原則として自然度4~10の地域を対象とする。
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(註)
(1) 植生自然度の定義
人間による陸域の物理的破壊状況を把握するため、植物群落の種組成より判断して、その程度の区分を行つたもの
(2) 植生自然の区分
- 自然度 10―高山ハイデ、風衝草原、自然草原等、自然植生のうち、単層の植物社会を形成する地区
- 自然度 9―エゾマツ、トドマツ群集、ブナ群集等、自然植生のうち多層の植物社会を形成する地区
- 自然度 8―ブナ、ミズナラ、萠芽林、シラカシ萠芽林等、代償植生であつても、特に自然植生に近い地区
- 自然度 7―クリ、ミズナラ群落、クヌギ、コナラ群集等、一般には二次林と呼ばれる代償植生地区
- 自然度 6―常緑針葉樹、落葉針葉樹、外国産針葉樹、常緑広葉樹等の植林地
- 自然度 5―ササ群落、ススキ群落等の背丈の高い草原
- 自然度 4―シバ群落等の背丈の低い草原
- 自然度 3―果樹園、桑園、茶畑、苗圃等の樹園地
- 自然度 2―畑地、水田等の耕作地、緑の多い住宅地
- 自然度 1―市街地、造成地等、植生の殆んど残存しない地区
都道府県自然環境保全地域の指定基準
都道府県自然環境保全地域は、次の要件を具備するものにつき指定するものとする。
第1要件 対象となる自然環境
都道府県の区域における自然環境が、別紙自然環境保全地域の対象となる自然環境に準ずる地域であつて、かつ、その周辺の自然的社会的諸条件からみて当該自然環境を保全することが特に必要なものであること。
第2要件 自然度
自然度が比較的高い状態を維持していること。
ただし、地形、地質、自然現象、植物の自生地、野生動物の生息地にあつては、当該保全対象物の特異性、稀少性、固有性の価値より判断し、地域を指定するものとする。(別表―自然度の判定)
第3要件 面積及び形態
政令で定める自然環境保全地域の最低面積基準の趣旨にのつとり、当該地域の保全要件を維持するため、面積的にまとまりのある一団地が確保されること。
自然環境保全地域の対象となる自然環境
1 高山性植生又は亜高山性植生
高山性植生については、高山帯に生育する高山性低木群落、雪田植物群落、高茎草原、風衝草原、高山荒原植物群落等の植生、また亜高山性植生については、亜高山帯に生育する亜高山帯樹林等の植生のうちから典型的な1以上の群落を示す区域が相当部分を占めていること。
2 すぐれた天然林
人工林以外の人為の影響の少ない森林であつて、次に掲げるすぐれた天然林の要件に該当するものであること。
- (1) 自然度が9又は10であつて、極相又は極相状態に近づきつつあるもの。
- (2) 自然度が7から10のいずれかであつて、自然的条件により特異な分布となつているもの又は典型的な遷移途上形態を示しているもの等学術的に貴重なもの。
3 地形、地質、自然現象
特異な地形、地質、自然現象の存する土地の区域及び当該地形、地質、自然現象の影響下にある生態系が維持されているなど、これと一体となつて自然環境を形成している周辺の区域であること。
4 海岸、湖沼、河川、湿原
人為の影響の少ない地域であつて、海岸にあつては砂丘植生、断崖植生、塩沼植生、海鳥生息地等海岸特有の生態系を維持している区域、湖沼、河川にあつては、挺水植物、浮葉植物、沈水植物、浮水植物及び湖岸・河岸等の植生、並びに水鳥、魚類等の生息地等湖沼、河川特有の生態系を維持している区域、湿原にあつては、高層湿原、中間湿原、低層湿原等湿原特有の生態系を維持している区域であること。
5 植物の自生地
特異性、稀少性、固有性の価値を有する特定の野生植物が比較的密度高く分布する区域であること。
6 野生動物の生息地
特異性、稀少性、固有性の価値を有する特定の野生動物が生息し、又は繁殖する区域であること。
7 人工林
樹令が100年以上であつて、学術的に価値が高く、かつ林業生産を目的としない人工林の区域であること。
自然度による都道府県自然環境保全地域の判定
原則として、次のような自然度の区分に従つて地域指定を行なうものとする。
地域
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指定要件
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自然度
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都道府県自然環境保全地域
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高山性、亜高山性植生
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9・10
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すぐれた天然林
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7~10
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人工林
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6
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その他
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保全対象物の特異性、稀少性、固有性の観点より指定するものとするが、環境条件としては、原則として自然度4~10の地域を対象とする。
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