法令・告示・通達

犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について

公布日:平成18年01月20日
環境省告示第26号

 動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)第35条第1項及び第2項の規定による犬又はねこの引取り並びに法第36条第2項の規定による疾病にかかり、又は負傷した犬、ねこ等の動物及び動物の死体の収容に関する措置は、次によるものとする。

第1 犬及びねこの引取り

  1.   1 都道府県等(法第35条第1項に規定する都道府県等をいう。以下同じ。)の長(以下「都道府県知事等」という。)は、犬又はねこの引取りの場所等の指定に当たっては、住民の便宜を考慮するとともに、引取りの場所等について、住民への周知徹底に努めること。また、都道府県等は、この引取り措置は、緊急避難として位置付けられたものであり、今後の終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底につれて減少していくべきものであるとの観点に立って、引取りを行うように努めること。
  2.   2 都道府県知事等は、所有者から犬又はねこの引取りを求められたときは、終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底を図る観点から、引取りを求める事由、頻度及び頭数に応じて、飼養の継続及び生殖を不能にする不妊又は去勢その他の措置に関する必要な助言に努めること。
  3.   3 都道府県知事等は、法第35条第2項の規定による引取りを求められた犬又はねこが明らかに遺失物法(明治32年法律第87号)第12条に規定する逸走の家畜に当たると認められる場合には、拾得場所を管轄する警察署長に差し出すように当該犬又はねこの引取りを求めた者に教示すること。
  4.   4 都道府県知事等は、法第35条第1項又は第2項の規定により引き取った犬又はねこについて、引取り又は拾得の日時及び場所、引取り事由並びに特徴(種類、大きさ、毛色、毛の長短、性別、推定年月齢、装着している首輪等の識別器具の種類及びそれに付されている情報等)を台帳に記入すること。この場合において、所有者が判明していないときは、都道府県知事等は、拾得場所を管轄する市町村の長に対し、当該台帳に記入した事項を通知するとともに、狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)第6条第8項の規定に準ずる措置を採るよう協力を求めること。ただし、他の法令に別段の定めがある場合を除き、明らかに所有者がいないと認められる場合等にあっては、この限りでない。
  5.   5 都道府県知事等は、法第35条第2項の規定により引き取った犬又はねこについて、マイクロチップ等の識別器具等の装着又は施術の状況について確認するように努めること。ただし、識別器具の装着ができないと考えられる幼齢の犬又はねこについては、この限りではない。
  6.   6 都道府県知事等は、法第35条第1項又は第2項の規定により引き取った犬又はねこについて、必要に応じて治療を行うこと。ただし、治療を加えても生存することができず、又は治療することがかえって苦痛を与え、若しくは長引かせる結果になる場合等、死期を早めることが適当であると獣医師又は都道府県知事等が判断した場合にあっては、この限りでない。

第2 負傷動物等の収容

  1.   1 法第36条第2項の規定による動物及び動物の死体の収容は、都道府県知事等が、施設の収容力及び構造並びに人員の配置状況、当該地域における疾病にかかり、若しくは負傷した動物(以下「負傷動物」という。)又は動物の死体(以下「負傷動物等」という。)の発生状況等を踏まえ、法第44条に規定する愛護動物のうちから適切に選定して行うように努めること。
  2.   2 都道府県知事等は、法第36条第2項の規定による通報があったときは、公共の場所を管理する者等関係者の協力を得て、負傷動物等を迅速に収容するよう努めること。
  3.   3 第1の3から6までの規定は、都道府県知事等が負傷動物等を収容した場合について準用する。

第3 保管、返還及び譲渡し

  1.   1 都道府県知事等は、犬若しくはねこを引き取り、又は負傷動物を収容したときは、その健康及び安全の保持等を図る観点から、構造等が適正な施設及び方法によって保管すること。
  2.   2 都道府県知事等は、施設に保管する犬、ねこ等の動物(以下「保管動物」という。)のうち、所有者がいると推測されるものについては公報、インターネット等による情報の提供等により、また、標識番号等の明らかなものについては登録団体等への照会等により、当該保管動物の所有者の発見に努めること。
  3.   3 所有者がいないと推測される保管動物、所有者から引取りを求められた保管動物及び所有者の発見ができない保管動物について、家庭動物又は展示動物としての適性を評価し、適性があると認められるものについては、その飼養を希望する者を募集する等により、できるだけ生存の機会を与えるように努めること。
  4.   4 保管動物の飼養を希望する者の募集は、近隣の都道府県知事等との連携を図りつつ、できる限り広域的に行うように努めること。この際、保管動物に関する情報の提供については、インターネット等の活用により広域的かつ迅速に行われるように努めること。
  5.   5 保管動物の譲渡しに当たっては、飼養を希望する者に対して事前に飼養方法等に関する講習等を行うとともに、マイクロチップの装着及び不妊又は去勢の措置が確実に行われるようにするための措置を講じるように努めること。
  6.   6 施設における保管の期間は、できる限り、保管動物の所有者、飼養を希望する者等の便宜等を考慮して定めるように努めること。
  7.   7 保管動物の飼養を希望する者の募集、保管動物の譲渡し後の飼養の状況を確認するための調査等の業務については、必要に応じて動物愛護推進員、動物の愛護を目的とする団体等との連携を広く図りつつ行うように努めること。
  8.   8 保管動物の所有者及び飼養を希望する者の便宜を考慮して返還及び譲渡しを行う場所等の指定を行うとともに、それらについて周知に努めること。

第4 処分

   保管動物の処分は、所有者への返還、飼養を希望する者又は動物を教育、試験研究用若しくは生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する者への譲渡し及び殺処分とする。

第5 死体の処理

   動物の死体は、専用の処理施設を設けている場合には当該施設において、専用の処理施設が設けられていない場合には廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)の定めるところにより、処理すること。ただし、化製その他の経済的利用に供しようとする者へ払い下げる場合は、この限りでない。

第6 報告

   都道府県知事等は、犬若しくはねこの引取り又は負傷動物の収容及び処分の状況を、別記様式により、環境省自然環境局長に報告すること。