法令・告示・通達

公害防止統括者の選任の届出等について

公布日:昭和47年08月25日
47保局392号

大蔵省大臣官房長・厚生省薬務局長・農林省農林経済局長・通商産業省公害保安局長・運輸省官房長から各都道府県知事あて
 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(昭和46年法律第107号。以下「法」という。)第3条から第6条まで、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行令(昭和46年政令第264号。以下「令」という。)第6条から第9条までおよび特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行規則(昭和46年大蔵省・厚生省・農林省・通商産業省・運輸省令第3号。以下「規則」という。)第2条から第12条までの規定は、昭和47年9月10日沖縄県にあつては昭和49年5月15日から施行される。法の施行については、昭和46年10月15日付け46保局第444号大蔵省大臣官房長・厚生省薬務局長・農林省農林経済局長・通商産業省公害保安局長・運輸省官房長から都道府県知事あて通達「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の施行について」により示されたところであるが、同通達において別途通達することとされていた公害防止統括者等の選任の届出・解任命令等の事項については、下記に留意のうえ、円滑適正な運用を図られたい。なお、下記の諸点につき、都道府県知事の権限に属する事務が委任されている市町村長に対し、周知徹底を図ることとされたい。

第1 公害防止統括者等の選任の届出について

 1 届出者について

   公害防止統括者等の選任の届出は、特定事業者が行なうこととなつているが(法第3条第3項、第4条第3項、第5条第3項および第6条第2項)、工場長等が委任状等により届出の権限を特定事業者から委任されている場合には、工場長等が届出を行なつて差支えない。

 2 届出の猶予期間について

   公害防止統括者等の選任の届出は、選任の日から30日以内にしなければならないこととされている(法第3条第3項、第4条第3項、第5条第3項および第6条第2項)。したがつて、昭和47年9月10日において法第2条に規定する特定工場である工場に関する届出の猶予期間は、次のとおりである。

  1.   (1) 公害防止統括者およびその代理者については、選任の猶予期間は30日であるから、その最終日の10月9日に選任が行なわれた場合には、その日から30日後の11月8日までに届出が行なわれなければならない。
  2.   (2) 公害防止管理者および公害防止主任管理者ならびにこれらの代理者については、選任の猶予期間は60日であるから、その最終日の11月8日に選任が行なわれた場合には、その日から30日後の12月8日までに届出が行なわれなければならない。

 3 届出書等について

  1.   (1) 届出書の記載については、事務処理上、次のようにすることが適当であると考えられるので、あらかじめ指導することとされたい。
    1.    ① 公害防止統括者等(本人)とこれらの代理者とは、それぞれ別個の用紙を用いて届け出ること。
    2.    ② 規則様式第2中のばい煙発生施設の種類の欄には、大気汚染防止法に規定する有害物質を発生する施設とその他の施設とを分けて記載することとし、それぞれ大気汚染防止法施行令別表第1に掲げる項番号および名称を記載すること。同様式中の汚水等排出施設の種類の欄には、水質汚濁防止法に規定する有害物質を排出する施設とその他の施設とを分けて記載することとし、前者については令別表第1に掲げる号番号および名称を、後者については水質汚濁防止法施行令別表第1に掲げる号番号および名称を記載すること。同様式中の粉じん発生施設の種類の欄には、大気汚染防止法施行令別表第2に掲げる項番号および名称を記載すること。
    3.    ③ 規則第5条第2号ただし書または第10条第2項の規定に基づき、事業協同組合等の組合員が他の工場の公害防止管理者またはその代理者として選任されている者を自らの工場の公害防止管理者またはその代理者として選任した場合には、規則様式第2中の職名の欄に当該事業協同組合等の名称およびその者が2以上の工場の公害防止管理者または代理者である旨を附記すること。
  2.   (2) 規則第7条、第9条および第10条の公害防止管理者等の届出書に添付すべき法第7条第1項第1号または同項第2号の資格を有する者である旨を証する書類とは、次のものをいう。
    1.    ① 国家試験の合格証書の写しまたは資格認定講習の修了証書の写し
           ただし、国家試験の合格証書または資格認定講習の修了証書の交付が手続中の場合には、国家試験の合格通知書の写しまたは資格認定講習の修了に関する通知書の写し
    2.    ② 令別表第2の3の項の下欄に掲げる大気関係第1種有資格者または大気関係第3種有資格者であり、かつ、同表の7の項の下欄に掲げる水質関係第1種有資格者または水質関係第3種有資格者であるものを公害防止主任管理者として選任した場合には、両方の資格を証する①の書類

第2 解任命令について

 1 解任命令の運用について

  1.   (1) 解任命令は公害防止統括者等が法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法もしくはこれらの法律に基づく命令の規定またはこれらの規定に相当する鉱山保安法、ガス事業法、電気事業法もしくはこれらの法律に基づく命令の規定(以下「公害関係法規」という。)に違反した場合に発動される。なお、法第9条第1項の規定は、罰則を伴なわない訓示規定であるが、この規定に違反した場合も解任命令の対象となり得ると解される。
  2.   (2) 解任命令は、次の要件のすべてに該当する場合等公害防止のため解任命令が必要である場合に発動すべきであり、その発動に当たつては、慎重かつ適切な配慮を要する。
        なお、令第13条に掲げる鉱山保安法、ガス事業法、電気事業法またはこれらの法律に基づく命令の規定の違反については、通商産業大臣は、解任命令の行使の要件に該当すると認める違反があつた場合にはその旨を都道府県知事に通知するものとし、また、都道府県知事は、解任命令にあつては、違反の事実につき通商産業大臣と協議のうえ、行なうものとする。
    1.    ① 公害関係法規に対する違反の存在が客観的な事態に照らして明白であること。
    2.    ② 違反の内容が排出基準を上回る排出を行なつたこと等、公害防止上実質的な影響が生ずるものであること。
    3.    ③ 公害防止統括者が公害関係法規の違反に実質的に関与していること。

 2 弁明および証拠の提出について

   解任命令をしようとするときは、あらかじめ、特定事業者に対し、その理由を通知し、弁明および証拠の提出の機会を与えなければならない旨規定されている(法第10条第2項)。

 3 解任命令に関する行政不服審査法による審査請求等について

   解任命令の発動に当たつては、解任を命ぜられた事業者に対し、当該解任命令に不服がある場合には、審査請求をすることができる旨ならびに審査請求をすべき上級行政庁(当該業種を所管する大臣)および審査請求をすることができる期間を教示するものとする。このため、解任命令を発動した場合には、主務大臣にその旨を連絡するものとする。

 

4 選任の制限について

   解任を命ぜられた公害防止統括者等で、その解任の日から2年を経過しないものは、公害防止統括者等になることができない旨規定されている(法第7条第2項)。これは、解任を命ぜられた者を2年間公害防止管理組織から排除することを意味するもので、解任を命ぜられた者は、当該工場のみならず、他のいずれかの特定工場においても公害防止統括者、公害防止管理者および公害防止主任管理者ならびにこれらの代理者のいずれにもなることができない。

第3 事務の委任について

 1 委任事務について

   法の規定により都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、政令で定める市の長(騒音発生施設のみが設置されている特定工場に係る事務については、市町村長)に委任することができるものとされているが(法第14条)、都道府県知事の権限に属する事務とは、具体的には次のものをいう。

  1.   (1) 公害防止統括者等の選任等の届出の受理に係る事務
  2.   (2) 公害防止統括者等の解任命令に係る事務
  3.   (3) 報告徴収および立入検査に係る事務

 2 委任する市町村長について

   事務の委任の方法については、次のように定められている(法第14条、令第14条)。

  1.   (1) 騒音発生施設のみが設置されている特定工場に係る事務は、市町村長に委任すること。
  2.   (2) ばい煙発生施設または粉じん発生施設が設置されている特定工場に係る事務は、札幌市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市および北九州市の長に委任すること。
  3.   (3) (1)および(2)に述べた特定工場以外の特定工場(汚水等排出施設のみが設置されている特定工場または汚水等排出施設および騒音発生施設が併置されている特定工場)に係る事務は、(2)に掲げた9市のほか、仙台市、堺市、東大阪市、尼崎市および広島市の長に委任すること。

第4 その他

 1 特定工場内における他の法令に基づく組織との連絡調整について

   特定工場における公害防止管理者等と当該特定工場に置かれている衛生管理者等他の法令に基づく組織との間において十分連絡調整が行なわれるよう指導することとされたい。

 2 届出状況に関する報告について

   特定工場における公害防止統括者等の選任状況を把握することにより法の円滑な運用に資することとしたいので、別添様式により、公害防止統括者等の選任状況を毎年度末に主務大臣に報告することとされたい。

様式 略