法令・告示・通達

水俣病総合対策実施要領

公布日:平成8年01月12日
環保企14号

[改定]
平成11年3月25日 環保企81号
平成12年3月27日 環保企84号
平成13年9月26日 環保企852号
平成15年3月24日 環保企275号

   第一章 総則

一 目的

  この要領は、水俣病発生地域において、過去に通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露を受けた可能性がある者に対し、健康診査等を実施するとともに、水俣病にもみられる四肢末端の感覚障害を有すると認められる者に対して、療養費、はり・きゅう施術費及び療養手当を支給し、並びに水俣病にもみられる神経症状を有すると認められる者(四肢末端優位の感覚障害を有すると認められる者を除く。)に対してはり・きゅう施術・温泉療養費等を支給することにより、当該地域における健康上の問題の軽減・解消を図ることを目的とする。

二 実施主体

  実施主体は、熊本県、鹿児島県及び新潟県(以下「関係県」という。)とする。

   第二章 健康管理事業

三 対象地域

  健康管理事業の対象地域は、通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露の可能性があったと認められる地域として関係県知事が定める地域(以下この章において「対象地域」という。)とする。

四 健康診査

  1.  (一) 対象者
       健康診査の対象者は、熊本県又は鹿児島県にあっては昭和四三年一二月三一日以前に、新潟県にあっては昭和四〇年一二月三一日以前に対象地域に居住することにより通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露を受けた可能性がある者であって、現在も対象地域に居住しているものとする。
  2.  (二) 健康診査の実施
       関係県は、前号に定める者に対し、メチル水銀による健康影響に関する健康診査を実施するものとする。
       既存の健康診査制度を活用して実施する場合、既存の健康診査項目と重複している本事業の健康診査項目については、既存の健康診査結果を活用することとする。
  3.  (三) 健康診査後の指導
       健康診査の結果、指導又は医療の必要があると判定された者に対し、生活上及び療養上の指導又は医療機関への受診の指導を行う。
  4.  (四) 健康管理手帳の交付
       健康診査を受診した者に対し、健康診査結果、健康診査後の指導の結果等を記録するための健康管理手帳を交付する。

五 健康相談

  関係県は、対象地域に居住している者に対し、水俣病に関連した健康上の不安の軽減・解消を図るため、生活や健康の状況に応じた適切な助言を行い、また、必要に応じ関係諸制度を紹介する。

六 普及啓発

  関係県は、対象地域に居住している者に対し、水俣病に関する正確な知識を理解しやすい形で提供し、その普及・啓発を図る。

七 評価・管理

  1.  (一) 重点実施地区事業
       健康診査項目の選定等健康管理事業の効率的、効果的な実施方法の検討及び通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露の可能性があった者の長期的な健康状態の解明に資するため、対象地域のうち重点実施地区として環境省が選定する地域を管轄する県は健康診査項目を増やすなど健康管理事業の重点的な実施を図る。
  2.  (二) 特定地域健康管理評議会
       関係県は、特定地域健康管理評議会を設置し、健康診査データの評価を行い、通常のレベルを超えるメチル水銀曝露の可能性があった者の長期的な健康状態の解明を図るとともに、健康管理事業の効率的、効果的なあり方について検討を行う。
  3.  (三) 特定地域健康管理従事者研修会
       関係県は、特定地域健康管理従事者研修会を設置し、健康管理事業に従事する者の養成及び資質の向上を図る。

八 プライバシーの保護

  健康管理事業の対象者に関する個人情報のコンピュータ処理に当たっては、対象者のプライバシー保護に十分な配慮を払うものとする。

九 市町村等関係機関の協力

  関係県は、健康管理事業を実施するに当たり、関係市町村の協力を得て、地域の実情に応じた形で実施するものとする。

   第三章 医療事業

一〇 対象地域

  医療事業の対象地域は、通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露の可能性があり、水俣病患者が多発した地域として関係県知事が定める地域(以下この章において「対象地域」という。)とする。

一一 医療手帳の交付の対象

  1.  (一) 医療手帳の交付の対象は、次の要件のいずれかに該当することにより通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露を受けた可能性がある者であって水俣病にもみられる四肢末端の感覚障害(その原因が明らかであるものを除く。以下「特定症候」という。)を有すると認められるものとする。
    1.   ア 昭和四三年一二月三一日以前に、対象地域(熊本県又は鹿児島県の地域に限る。)に相当期間居住しており、かつ、水俣湾若しくはその周辺の水域の魚介類を多食したと認められる者又は昭和四〇年一二月三一日以前に、対象地域(新潟県の地域に限る。)に相当期間居住しており、かつ、阿賀野川の魚介類を多食したと認められるもの
    2.   イ その他昭和四三年一二月三一日以前に、水俣湾若しくはその周辺の水域の魚介類を多食したと認められる者又は昭和四〇年一二月三一日以前に、阿賀野川の魚介類を多食したと認められる者であって関係県知事が適当と認めるもの
  2.  (二) 前号の規定にかかわらず、次の者については、医療手帳の交付の対象としない。
    1.   ア 旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法(昭和四四年法律第九九号。以下「救済法」という。)第三条第一項又は公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四八年法律第一一一号。以下「公健法」という。)第四条第二項の規定による水俣病に係る認定(以下単に「水俣病に係る認定」という。)を受けた者(水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法(昭和五三年法律第一〇四号)第五条第一項の規定により公健法による認定を受けたものとみなされた者を含む。以下同じ。)
    2.   イ 水俣病にもみられる症状に関して損害賠償を得た者
    3.   ウ 水俣病に係る認定の申請をしている者
    4.   エ 水俣病に係る認定に関する処分について不服申立てをしている者
    5.   オ 水俣病に係る認定に関する処分の取消の訴えを提起している者
    6.   カ 水俣病にもみられる症候に関して損害賠償を求める行為をしている者

一二 療養手帳の交付

  1.  (一) 医療手帳の交付を受けようとする者は、関係県知事にその交付を申請しなければならない。
  2.  (二) 前号の申請には、次の書類を添付しなければならない。
    1.   ア 通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露を受けた可能性があることを証する次のいずれかの資料
      1.    ① 昭和四三年一二月三一日以前に、対象地域(熊本県又は鹿児島県の地域に限る。)に居住していたことを証する資料及び水俣湾若しくはその周辺の水域の魚介類を食したことを証する資料又は昭和四〇年一二月三一日以前に、対象地域(新潟県の地域に限る。)に居住していたことを証する資料及び阿賀野川の魚介類を多食したことを証する資料
      2.    ② その他関係県知事が定める資料
    2.   イ 特定症候についての関係県知事が指定する医療機関の医師の診断書。ただし、水俣病に係る認定の申請に対する審査に供された検診資料があるときは、提出することを要しない。
    3.   ウ 特定症候についての関係県知事が定める要件に該当する専門医の所定の記載事項を満たす診断書。ただし、その診断書を提出しない旨を申し出た者、その診断書を提出しない旨の申し出をせず申請後三〇日以内に提出しなかった者並びに平成七年六月二一日までに水俣病に係る認定の申請又は「水俣病総合対策の実施について」(平成四年四月三〇日環保業第二二八号環境庁企画調整局環境保健部長通知)別紙水俣病総合対策実施要領(以下「旧要領」という。)第一二項第一号の規定による申請をしたことのない者及び水俣病にもみられる症候に関して損害賠償の請求の訴えを提起したことのない者にあっては、提出することを要しない。
  3.  (三) 関係県知事は、第一号の申請を受理したときは、審査し、前項の要件に該当すると認めた場合は、医療手帳を交付する。
  4.  (四) 関係県知事は、前号の規定により医療手帳を交付するに当たっては、あらかじめ、学識経験者からなる判定検討会の意見を聴かなければならない。
  5.  (五) 判定検討会は、関係県知事から意見を聴かれたときは、前項第一号の要件に該当するかどうかについては、第二号イ及びウの診断書又は検診資料を総合して判断し意見を述べるものとする。ただし、同号ウの診断書を提出することを要しないとされる者の申請に係る場合にあっては、同号イの診断書又は検診資料により判断し、意見を述べるものとする。
  6.  (六) 第一号の申請に対して第三号の審査を受けた者は、再度、第一号の申請をすることができない。
  7.  (七) 医療手帳は、交付を受けた日の属する月の翌月から効力を有する。
  8.  (八) 医療手帳は、五年に限り、その効力を有する。

一三 医療手帳の更新

  1.  (一) 医療手帳の交付を受けた者(以下この章において「対象者」という。)は、医療手帳の有効期間の満了前に、その有する特定症候がなおる見込みがないときは、医療手帳の更新を申請できる。
  2.  (二) 関係県知事は、前号の規定による申請があった場合において、当該特定症候が有効期間の満了後においても継続すると認めるときは、当該医療手帳を更新する。
  3.  (三) 前項第四号及び第八号の規定は、前号の規定により更新される医療手帳について準用する。

一四 申請の期間

  1.  (一) 第一二項第一号の申請は、平成八年一月二二日から七月一日までの間にしなければならない。ただし、天災その他期間内に申請をすることができないことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
  2.  (二) 前号の規定は、旧要領第一四項第二号の規定にかかわらず、平成七年三月三一日において現に水俣病に係る認定の申請をしている者についても適用する。

一五 医療手帳の失効

  医療手帳は、当該対象者が、次の要件のいずれかに該当するに至ったときは、失効する。

  1.  (一) 第一一項第二号イからカまで該当するに至ったとき。
  2.  (二) 特定症候の原因が明らかになったとき。
  3.  (三) 死亡したとき。
  4.  (四) 更新を受けずに、手帳の有効期間が満了したとき。
  5.  (五) 偽りその他不正の手段により療養費、はり・きゅう施術費又は療養手当(以下「療養費等」という。)の支給を受けたとき。

一六 療養費

  1.  (一) 関係県知事は、対象者(国民健康保険法(昭和三三年法律第一九二号)の規定による被保険者、健康保険法(大正一一年法律第七〇号)、船員保険法(昭和一四年法律第七三号)、国家公務員等共済組合法(昭和三三年法律第一二八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三七年法律第一五二号)又は私立学校教職員共済組合法(昭和二八年法律第二四五号)の規定による被保険者又は被扶養者、老人保健法(昭和五七年法律第八〇号)の規定による医療を受けている者及び介護保険法(平成九年法律第一二三号)の規定による要介護者又は要支援者に限る。)が医療機関(健康保険法に規定する指定訪問看護事業者又は介護保険法に規定する指定居宅サービス事業者を含む。)又は薬局(以下「医療機関等」という。)において特定症候に関連して医療保険各法、老人保健法又は介護保険法の規定による療養を受けたときは、その者に対し、当該療養に要した費用の額を限度として療養費を支給する。ただし、法令により、国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付を受けている者を除くものとする。
  2.  (二) 前項の療養費の額は、「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成六年厚生省告示第五四号)」、「入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年厚生省告示第二三七号)」、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成六年厚生省告示第二九六号)」、「老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準(平成六年厚生省告示第七二号)」、「老人入院時食事療養費に係る食事療養の費用の額の算定に関する基準(平成六年厚生省告示第二五三号)」、「老人訪問看護療養費に係る指定老人訪問看護の費用の額の算定に関する基準(平成四年厚生省告示第二九号)」、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成一二年厚生省告示第一九号)」及び「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成一二年厚生省告示第二一号)」により算出した額の合計額から医療保険各法、老人保健法又は介護保険法の規定による療養に関する給付に関し保険者が負担すべき額を控除した額(老人保健法の規定による医療を受けた対象者については、同法の規定による一部負担金、標準負担額及び基本料に相当する額)とする。
  3.  (三) 対象者は、医療機関等で特定症候に関連して療養を受けようとするときは、当該医療機関等に医療手帳を提出しなければならない。ただし、やむをえない理由があるときはこの限りでない。
  4.  (四) 関係県知事は、対象者が医療機関等で療養を受けた場合には、療養費として当該対象者に支給すべき額の限度において、その者が当該療養に関し当該医療機関等に支払うべき費用を、その者に代わり、当該医療機関等に支払うことができる。
  5.  (五) 前号の規定による支払いがあったときは、当該対象者に対し、療養費の支給があったものとみなす。

一七 はり・きゅう施術費の支給

  1.  (一) 関係県知事は、対象者が特定症候に関連して、はり師又はきゅう師(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和二二年法律第一二七号)により免許を受けたはり師又はきゅう師に限る。以下同じ。)から、はり又はきゅうの施術(前項の療養費の支給の対象となる施術を除く。)を受けたときは、その者に対し、はり・きゅう施術費を支給する。
  2.  (二) はり・きゅう施術費は、月を単位として支給するものとする。

一八 療養手当の支給

  1.  (一) 関係県知事は、対象者が特定症候に関連して次に掲げる程度の療養を受けたときは、次に掲げる額を限度として、療養手当を支給する。
    1.   ア その月において健康保険法第六三条第一項第五号の療養又は介護保健法第四八条第一項の指定施設サービスを受けることを要した者
          一月につき二三、五〇〇円
    2.   イ その月において健康保険法第六三条第一項第一号から第四号までの療養又は介護保険法第四一号第一項の指定居宅サービスを受けることを要した日数が、二日以上である者(アに掲げる者を除く。) 次に掲げる区分に応じて、それぞれ次に掲げる額
      1.    ① その者が七〇歳以上である場合 一月につき二一、二〇〇円
      2.    ② その者が七〇歳未満である場合 一月につき一七、二〇〇円
  2.  (二) 療養手当は、月を単位として支給するものとする。

一九 療養手当の支給制限

  1.  (一) 療養手当は、対象者又はその配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)若しくは民法(明治二九年法律第八九号)第八七七条第一項に規定する扶養義務者で第一二項に規定する者の生計を維持する者の所得につき所得税法(昭和四〇年法律第三三号)の規定により計算した前年分の所得税の額(この所得税の額を計算する場合は、同法第九二条及び第九五条の規定を適用しないものとする。)が二九五万円を超えるときは、その年の六月から翌年の五月までは支給しない。
  2.  (二) 前号の規定は、第一二項第一号の申請をした場合において、その申請をした日の属する月が、一月、二月、三月又は四月であるときは、前号中「前年分」とあるのは「前々年分」と、「その年の六月から翌年五月まで」とあるのは「第一二項第一号の申請があった日の属する月の翌月からその年の五月まで」と読み替えて適用する。
  3.  (三) 対象者は、第一号の規定に該当しなくなったとき又は同号の規定に該当するに至ったときは、関係県知事に、速やかに、届け出なければならない。

二〇 保健手帳の交付の対象

  1.  (一) 保健手帳の交付の対象は、医療手帳の交付を申請し、医療手帳の交付を受けられなかった者のうち、第一一項第一号ア又はイのいずれかに該当することにより通常のレベルを超えるメチル水銀の曝露を受けた可能性があるものであって、別に定める水俣病にもみられる神経症状(その原因が明らかであるものを除く。以下「指定症状」という。)を有すると認められるものとする。
  2.  (二) 第一一項第二号の規定は、保健手帳の交付の対象について準用する。

二一 保健手帳の交付

  1.  (一) 関係県知事は、医療手帳の交付を申請した者に対し、第一一項第一号に該当しないことを理由として医療手帳を交付しない旨を通知するに当たっては、当該申請をした者が前項第一号に該当するかどうかを審査し、同号に該当する場合にはその旨を当該申請をした者に通知するものとする。
  2.  (二) 関係県知事は、前号の審査を行うに当たっては、あらかじめ、第一二項第四号の判定検討会の意見を聴かなければならない。
  3.  (三) 第一号の通知を受けた者は、その通知を受けた日から三〇日以内に限り、保健手帳の交付を申請することができる。
  4.  (四) 関係県知事は、前号の申請をした者が前項の要件に該当すると認めた場合は、保健手帳を交付する。
  5.  (五) 第一二項第七項及び第八号、第一三項並びに第一五項の規定は、保健手帳について準用する。この場合において、第一三項第一号及び第一五項第二号中「特定症候」とあるのは「指定症状」と、同号第五号中「療養費、はり・きゅう施術費又は療養手当(以下「療養費等」という。)」とあるのは、「はり・きゅう施術・温泉療養費又は医療費」と読み替えるものとする。

二二 はり・きゅう施術・温泉療養費等の支給

  1.  (一) 関係県知事は、保健手帳の交付を受けた者が神経症状に関連してはり師又はきゅう師からはり又はきゅうの施術を受けたとき及び温泉療養を行ったときは、その者に対し、はり・きゅう施術・温泉療養費を支給する。
  2.  (二) はり・きゅう施術・温泉療養費は月を単位として支給するものとし、一付きにつき七、五〇〇円を限度とする。
  3.  (三) 関係県知事は、保健手帳の交付を受けた者(国民健康保険法の規定による被保険者、健康保険法、船員保険法、国家公務員等共済組合法、地方公務員等共済組合法又は私立学校教職員共済組合法の規定による被保険者又は被扶養者、老人保健法の規定による医療を受けている者及び介護保険法の規定による要介護者又は要支援者に限るものとし、法令により、国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付を受けている者を除く。)が医療機関等において指定症状に関連して医療保険各法、老人保健法又は介護保険法の規定による療養を受けた場合に置いて、当該療養を受けた月において支給されるはり・きゅう施術・温泉療養費の額が前号の限度額に満たないときは、その者に対し、医療費を支給することができる。
  4.  (四) 医療費は月を単位として支給するものとし、その月において支給されるはり・きゅう施術・温泉療養費と合計した額が七、五〇〇円を超えないものとする。

二三 報告の徴収等

  関係県知事は、この要領を施行するため必要があると認めるときは、医療手帳若しくは保健手帳の交付若しくは療養費等、はり・きゅう施術・温泉療養費若しくは医療費の支給を受け、若しくは受けようとする者又はその者が療養を受けた医療機関等若しくはその者がはり若しくはきゅうの施術を受けたはり師若しくはきゅう師若しくはその者が温泉療養を行った施設に対し、報告又は文書その他の物件の提出を求めることができる。

   第四章 雑則

二四 国の補助

  国は、予算の範囲内において、関係県がこの事業のために支出した費用に対し、その二分の一を補助するものとする。

二五 経過措置

  1.  (一) この要領の適用の際現に旧要領に基づく療養手帳の交付を受けている者(以下「療養手帳所持者」という。)が行うこの要領に基づく医療手帳の交付の申請については、第一二項第二号、第四号及び第五号の規定は適用しない。
  2.  (二) 前号の申請に対し、療養手帳所持者が交付を受けていた療養手帳の有効期間の満了する日の属する月以降に医療手帳が交付される場合にあっては、前号の規定にかかわらず、第一二項第四号の規定を適用するものとし、関係県知事は、特定症候が当該有効期間の満了後においても継続すると認めるときに限り、医療手帳を交付するものとする。
  3.  (三) 第一号の申請に基づき交付される医療手帳の有効期間は、前号に定める場合を除き、当該療養手帳所持者が交付を受けていた療養手帳の有効期限の満了日までとする。
  4.  (四) 療養手帳所持者及び次号の規定により療養手帳の交付を受けた者に対しては、当該療養手帳の有効期間が満了するまでの間(この要領に基づく医療手帳の交付を受けた者にあっては、当該医療手帳の交付を受けた日の属する月の末日までの間に限る。)は、従前の例により療養費等を支給する。
  5.  (五) この要領の適用の際現に旧要領の規定に基づき療養手帳の交付又は更新を申請している者に対しては、従前の例により療養手帳の交付又は更新をすることができる。この場合に置いて、療養手帳の交付又は更新を受ける者が第一一項第二号アからカまでに該当しないときは、療養手帳の交付又は更新に替えてこの要領に基づく医療手帳の交付をすることができる。
  6.  (六) 旧要領に基づく要領手帳の交付を受けた者についてのこの要領の適用前に行われた療養に係る療養費及び療養手当並びにはり又はきゅうの施術に係るはり・きゅう施術費の支給に関しては、なお従前の例による。

二六 その他

  この要領に定めるもののほか、この事業の実施について必要な事項は別に定める。