法令・告示・通達

公害健康被害補償法の看護及び移送等の支給基準について

公布日:昭和50年05月27日
環保業60号

(都道府県知事・政令市長あて環境庁企画調整局環境保健部長通知)

 療養費の支給基準については、昭和四九年九月二八日付環保企第一〇八号による環境事務次官通知及び同日付環保企第一〇九号による企画調整局長通知でその要旨が示されたところであるが、療養費のうち、看護及び移送等については次によることとしたので関係者への周知を図るとともに、これの円滑な運営を図られたい。

Ⅰ 看護について

 一 看護の意義

   療養費としての看護とは、健康保険における基準看護の承認を受けている医療機関以外の医療機関において被認定者が入院して指定疾病について療養を受けるため特に必要があつてその医療機関の外部から特別に看護婦等を求める場合の看護又は自宅において指定疾病について療養しているいわゆる在宅患者に対して看護婦及び准看護婦を求める場合の看護であるいわゆる付添看護をいうものであること。
   したがつて、基準看護の承認を受けている医療機関における付添看護については、これを認めないものであること。

 二 看護の支給要件等

   看護を必要と認める場合とは、被認定者が指定疾病について次のいずれかの病状に該当している場合であり、看護の給付の期間は、その病状又は手術等の程度に応じた必要最少限度の期間とするものであること。

  1.   (一) 被認定者の病状が重篤であつて、絶対安静を必要とし、医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合
  2.   (二) 被認定者の病状は必ずしも重篤ではないが、手術のため比較的長期にわたり医師又は看護婦が常時監視を要し、随時適切な処置を講ずる必要がある場合
  3.   (三) 被認定者の病状から判断し、常態として次のいずれかに該当する場合
  •    イ 体位変換又は床上起座が不可又は不能であること。
  •    ロ 食事及び用便につき介助を要すること。

 三 看護者の資格

   看護を担当する者は、看護婦又は准看護婦でなければならないこと。
   ただし、緊急その他やむを得ない事由により看護婦又は准看護婦を求めることができない場合で、いわゆる付添婦(親族は含まない。)が主治医又は当該施設の看護婦若しくは准看護婦の指揮を受けて看護の補助を行う(以下「看護補助者」という。)ときは、看護婦又は准看護婦に準じて取り扱うことはさしつかえないものであること。
   なお、在宅患者の看護については看護補助者の付添看護は認めないものであること。

 四 看護料の対象費用

   看護の給付の対象とする費用は、看護料、受付手数料、紹介手数料及び交通費とし、看護料には食事料、寝具料等看護に要する費用を含むものであること。

 五 看護料の支給額

  1.   (一) 看護料、受付手数料、紹介手数料の額は、当該付添看護に要した費用の実支出額とすること。
  2.   (二) 付添看護のために看護婦等が交通機関を利用した場合の交通費は、最も経済的な通常の経路及び方法による場合の実費とする。

Ⅱ 移送等について

 一 移送等の意義

   移送に係る療養費は、被認定者が指定疾病のため入院治療を必要としたとき、又は転院せざるを得ないときに、その病院又は診療所まで歩行することができない場合又は歩行することが著しく困難な場合等にその移送に要した費用を療養費として支給するものであること。また、輸血における生血代等も必要と認める場合は、療養費の支給ができるものであること。

 二 支給要件等

   移送等に係る支給要件並びに支給の対象となる費用及びその額については、健康保険の療養費の支給基準の例により算定するものであること。