法令・告示・通達

公害健康被害補償法の一部を改正する法律等の施行について

  • 公布日:昭和63年1月20日
  • 環保業30号

環境事務次官から関係都道府県知事、政令市長あて

 公害健康被害補償法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)は昭和62年9月26日法律第97号をもつて公布され、また、これに伴う公害健康被害補償法施行令の一部を改正する政令(以下「改正令」という。)が昭和62年11月4日政令第368号をもつて公布され、いずれも昭和63年3月1日から施行されることとなつた。
 今回の改正は、我が国の大気汚染の態様の変化を踏まえ、現行の第一種地域の指定をすべて解除するとともに、今後は、大気汚染の影響による健康被害を予防するために必要な事業を実施することにより健康被害に係る被害者等の健康の確保を図ることとしたものである。貴職におかれては、次の事項に十分留意され、改正法による改正後の公害健康被害の補償等に関する法律(以下「新法」という。)の施行に遺憾なきを期せられたく通知する。

第1 改正の趣旨

  公害健康被害補償法(以下「旧法」という。)は、相当範囲にわたる著しい大気の汚染又は水質の汚濁の影響により健康被害を受けた者の迅速かつ公正な保護を図ることを目的として、昭和48年に制定され、民事責任を踏まえた制度として、汚染原因者の負担により健康被害者に対し各種補償給付の支給等を行い、その救済に大きな役割を果たしてきたところである。
  しかしながら、現在の大気汚染の状況の下において、第一種地域に係る指定疾病について新たな認定を行い、汚染原因者の負担に基づき個人に対する補償を行うことは、民事責任を踏まえた本制度の趣旨を逸脱することとなる。このため、本制度を公正かつ合理的なものとする観点から、現行の第一種地域の指定をすべて解除する一方、認定を受けた者等に関する補償を継続するとともに、今後は、総合的な環境保健施策の一環として、大気の汚染の影響による健康被害を予防するために必要な事業(以下「健康被害予防事業」という。)を実施するため、所要の改正を行つたものであること。

第2 題名及び目的の改正

  今回の改正により、新たに健康被害予防事業を実施し、地域住民の健康の確保を図ることとしているため、法律の題名を「公害健康被害の補償等に関する法律」に改めるとともに、法律の目的に、大気の汚染の影響による健康被害を予防するために必要な事業を行うことにより被害者等の健康の確保を図ることを付け加えたこと。

第3 第一種地域の指定解除等

  現在、第一種地域として全国で41地域を指定し、第一種地域に係る疾病として慢性気管支炎、気管支ぜん息、ぜん息性気管支炎及び肺気しゆ並びにこれらの続発症を指定しているが、現在の我が国の大気汚染の状況を踏まえ、現行の第一種地域及び疾病の指定を昭和63年3月1日をもつてすべて解除すること。
  これに伴い、第一種地域の区域内に住所を有した期間等、第一種地域に係る政令で定める市、第一種地域に係る指定疾病についての認定の有効期間及び第一種地域に係る指定疾病についての障害の程度の見直し期間を定める旧法施行令の規定を整理したこと。

第4 公害健康被害補償協会の業務等に関する改正

  公害健康被害補償協会の業務として、新たに健康被害予防事業の実施及びこれを行う地方公共団体又は公害予防事業団に対する助成金の交付を加えたこと。
  これに伴い、公害健康被害補償協会の名称を「公害健康被害補償予防協会」に改めるとともに、公害健康被害補償予防協会(以下「協会」という。)の目的に同様の趣旨を付け加えたこと。
  健康被害予防事業の内容は、協会が行う大気の汚染の影響による健康被害の予防に関する調査研究、知識の普及及び研修並びに地方公共団体又は公害防止事業団が協会の助成を受けて行う大気の汚染の影響による健康被害の予防に関する計画の作成、健康相談、健康診査、機能訓練及び施設又は機械器具の整備であること。
  また、協会は、協会が行う新たな業務に必要な経費の財源をその運用によつて得るための基金を設け、大気の汚染の原因となる物質を排出する施設を設置する事業者等から拠出される拠出金をもつてこれに充てることとし、政府は、協会に対し、基金に関する財政上の措置を講ずることができるとしていること。
  なお、新法第68条及び第88条第5号の規定は、公害防止事業団法の一部を改正する法律(昭和62年法律第43号)附則第9条において改正されていること。

第5 認定を受けた者等に関する補償給付等の継続

  第一種地域の指定解除前に行われた認定の申請に基づく新法第4条第1項の認定及び第一種地域の指定解除前に認定の申請をした者が認定を受けないで死亡した場合における遺族等の申請に基づく新法第5条第1項の決定は、第一種地域の指定解除後において行うことができること。
  旧法及び新法第4条第1項の認定を受けた者、旧法及び新法第5条第1項の決定により旧法及び新法第4条第1項の認定を受けたものとみなされる者並びに旧法第6条の規定による申請に基づいて行われた旧法第4条第1項の認定に係る死亡者に関する認定の更新、補償給付の支給、公害保健福祉事業の実施等は、第一種地域の指定解除後においても従来どおり行うこと。

第6 第一種地域の指定解除に伴うその他の経過措置

  第一種地域の指定解除に伴うその他の経過措置として、旧第一種地域に係る都道府県又は政令で定める市は、公害健康被害認定審査会の設置、補償給付の支給に要する費用の支弁等を従来どおり行うこと。

第7 その他

  都道府県又は政令で定める市の長が行う認定を受けた者等に対する報告の徴収に対して、虚偽の報告をした者等についての罰金の額を引上げる等の改正を行つたこと。

第8 施行期日

  改正法は、昭和63年3月1日から施行されること。
  また、改正令も同日から施行されることにより、第一種地域の指定は、昭和63年3月1日をもつて解除されること。

ページ先頭へ