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特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律第六条における秘密情報の審査基準について

  • 公布日:平成14年4月1日
  • 平成0官287-2・財総35・13文科開918・発医薬0329081・13生産10380・平成14.0.3.22製5・国総環206・国総国調218・環保安61

 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成一一年法律第八六号)(以下「法」という。)第六条に規定する「秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないもの」(以下「秘密情報」という。)に係る行政手続法(平成五年法律第八八号)第五条第一項の審査基準は、次のとおりとする。

一 基本的な考え方

  主務大臣は、排出量等の情報を開示することにより確保される公益と秘密情報の保護により確保される事業者の利益を適切に比較衡量するものとし、諸外国における類似の制度の運用の実態にも留意しつつ、事業者によって秘密情報の保護の規定が濫用されることのないよう、厳正かつ公平な判断を行うものとする。

二 具体的な判断基準

  主務大臣は、次の(一)から(四)のいずれにも該当するときでなければ、対応化学物質分類名への変更の請求を行う事業者(以下「請求事業者」という。)による第一種指定化学物質の使用その他の取扱いに関する情報が秘密情報に該当するとは認めないものとする。

 (一) 第一種指定化学物質の名称等が開示されることによって、秘密とされる情報が他の事業者等に知られてしまう可能性があること。

   法第五条第二項に定める届出事項(すなわち、第一種指定化学物質の名称及び当該物質の年間の排出量・移動量)が開示されたとしても、秘密とされる情報の内容が他の事業者等に知られてしまう可能性がないと考えられる場合には、秘密情報に該当するとは認めない。
   例えば、製品中の第一種指定化学物質又は製造工程で使用される薬剤等における第一種指定化学物質の含有率が秘密とされる場合、当該第一種指定化学物質の年間の排出量・移動量から当該含有率が推測できるとは通常は考えられないので、年間排出量・移動量から当該含有率が推測される特段の事情がない限り、秘密情報に該当するとは認めない。
   また、例えば、一事業所において複数の種類の製品を製造している場合又は化学物質を取り扱う工程が複数ある場合、第一種指定化学物質の年間の排出量・移動量から当該化学物質の製品中又は工程での取扱いの状況が特定されるとは通常は考えられないので、年間の排出量・移動量から第一種指定化学物質の取扱いの状況が特定される特段の事情がない限り、秘密情報に該当するとは認めない。

 (二) 「秘密として管理」されていること。

   次のいずれにも該当するときでなければ、「秘密として管理」されているとは認めない。

  1.   ① 秘密とされる情報を含む書面等を秘密と分かるように適切に管理していること。
        例えば、請求事業者が、秘密とされる情報を含む書面等に「部外秘」と記載して特定の場所で管理したり、秘密情報の収納・保管・破棄方法等の管理規定を整備する等の措置を講じていない場合は、原則として「秘密として管理」されているとは認めない。
  2.   ② 従業員等が当該情報を適切に管理する体制を整備していること。
        例えば、請求事業者が、秘密とされる情報を取り扱うことができる従業員を限定していない場合や当該情報を知っている従業員に対して就業規則等によって外部の者に開示してはならない旨の義務を課す等の措置を講じていない場合は、原則として「秘密として管理」されているとは認めない。
  3.   ③ 従業員等以外の者が当該情報を扱う場合、秘密保持契約の締結等の措置を講じていること。
        例えば、秘密とされる情報を含む製品の販売に際し、化学物質等安全データシート(MSDS)を販売の相手方に交付する場合において、秘密保持契約等を結んで当該情報の漏洩の防止を行っていないのであれば、原則として「秘密として管理」されているとは認めない。

 (三) 「生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報」であること。

   次のいずれにも該当するときでなければ、「生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報」とは認めない。

  1.   ① 秘密とされる情報が事業活動に役立つ技術上の価値を持つと客観的に認められること。
        秘密とされる情報が、財の生産、サービスの提供、研究開発又は経営効率の改善等の事業活動に役立つ技術上の価値を持つと客観的に認められなければ、「生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報」とは認めない。
        例えば、独自製品の製造方法、原料構成、製品組成などはこれに該当しうるが、事業活動に役立つ技術上の価値を持つと請求事業者が主観的に考えるのみではなく、それが客観的に認められるものでなければ、「生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報」とは認めない。
  2.   ② 当該情報が他の事業者等に知られると、請求事業者の競争上の地位が直接に害されると想定されること。
        秘密とされる情報が開示されても、請求事業者の競争上の地位が直接に害されると想定されないのであれば、当該情報は「生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報」とは認めない。
        例えば、競争相手である他の事業者が当該情報を既に保有している場合や、周辺住民との関係の変化が想定されるだけで、事業の遂行に直接の悪影響を与えるものでない場合は、「生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報」とは認めない。

 (四) 「公然と知られていない」こと。

   次のいずれにも該当するときでなければ、「公然と知られていない」とは認めない。

  1.   ① 秘密とされる情報が、文献による公表又は特許の取得等によって既に一般に公開されていないこと。
        例えば、学会誌への発表や特許等の出願公開・取得によって公になってしまっている情報については、「公然と知られていない」とは認めない。
  2.   ② 他の法令や条例に基づき、当該情報が既に開示されたことがないこと。
        例えば、法令や条例の定めにより開示が義務づけられている情報や行政情報公開法に基づく開示請求により既に開示決定がなされた情報については、「公然と知られていない」とは認めない。
  3.   ③ その他、当該情報が容易に入手可能な状態に置かれていないこと。
        秘密とされる情報は、請求事業者(又は請求事業者により守秘義務をかけられている他の事業者)の管理下以外において容易に入手できる状態にあれば、「公然と知られていない」とは認めない。
        例えば、請求事業者が販売している製品について、いわゆるリバース・エンジニアリングによって容易に秘密とされる情報が明らかになってしまう場合、当該製品の組成に関する情報が「公然と知られていない」とは認めない。

三 基準の見直し

  本基準は、毎年の運用の実態に応じた検討結果を踏まえ、適宜見直しを行っていくものとする。

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