法令・告示・通達
廃棄物処理施設整備計画の推進について
衛計138号
(各都道府県知事あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)
廃棄物処理施設については、昭和三八年度から六○年度まで五次にわたる整備計画を策定し、計画的にその整備を図つてきたところである。
しかしながら、国民生活から排出される廃棄物は増加の傾向にあり、かつ、その質も多様化しており、生活環境の保全を図るため、これを適正に処理するための施設整備の推進は緊急の課題となつている。
このような現況を踏まえて、第五次計画に引き続き、昭和六一年度から六五年度にいたる第六次廃棄物処理施設整備計画を策定したので、計画の達成に御努力願うとともに、市町村等に対する指導について御配慮願いたい。
廃棄物処理施設整備計画
(昭和六一年一一月二八日) (閣議決定)
廃棄物処理施設整備緊急措置法(昭和四七年法律第九五号)第三条第一項に規定する廃棄物処理施設整備計画を次のとおり定める。
一 事業の実施の目標
廃棄物の衛生処理を確保するため、廃棄物の資源化、減量化及び広域的な処理を推進するとともに、環境の保全に配慮しつつ、適切な処理施設、最終処分場等の整備を促進するものとする。
(一) 一般廃棄物処理施設
- ア ごみの処理については、昭和六五年度末の計画処理区域における焼却可能ごみの九二%(昭和六○年度末八八%)が処理できるよう焼却処理施設の整備を図るほか、粗大ごみ処理施設、余熱利用施設等廃棄物資源化施設、最終処分場等の整備を図るものとする。
- イ し尿等の処理については、昭和六五年度末の計画処理区域におけるし尿及びし尿浄化槽汚泥の九二%(昭和六○年度末八九%)がし尿処理施設等で処理できるようし尿処理施設の整備を図るほか、地域し尿処理施設等の整備を図るものとする。
(二) 産業廃棄物処理施設
地方公共団体が生活環境の保全の見地から必要と認める処理施設及び最終処分場について逐次整備するものとする。
二 事業の量
- (一) 昭和六一年度から昭和六五年度までに実施すべき廃棄物処理施設の投資規模を次のとおり予定する。
総額 一兆九、一○○億円
一般廃棄物処理施設 一兆四、二九○億円
産業廃棄物処理施設 一、○一○億円
調整費 三、八○○億円 - (二) 廃棄物処理施設整備計画は、今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るとともに、三年後には見直すことについて検討するものとする。
第六次廃棄物処理施設整備計画の解説
廃棄物処理施設の整備については、廃棄物処理施設整備緊急措置法(昭和四七年法律第九五号)に基づき、昭和五六年度から昭和六○年度までの廃棄物処理施設整備計画(第五次計画)を策定し、計画的に推進してきたところである。
しかしながら、廃棄物の全量を衛生的に処理するためには、なお引き続き廃棄物処理施設の計画的な整備が必要であり、国民生活から排出されるごみ及びし尿の衛生処理率をいつそう高め、適正処理のための施設整備を推進するとともに、有効利用のための施設、産業廃棄物処理施設等の整備を促進することにより、生活環境の改善と公衆衛生の向上を図り、併せて環境の保全に資するため、第五次計画に引き続き昭和六一年度から昭和六五年度にいたる第六次廃棄物処理施設整備計画を策定するものである。なお、本計画は、今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るとともに、三年後には見直すことについて検討するものとする。
一 一般廃棄物処理施設等整備
(一) ごみ処理施設整備計画
国民の生活水準の向上に伴つて、ごみの排出量は増加の傾向にあり、かつ、その質も多様化しており、生活環境の保全を図るため、ごみ処理施設の計画的な整備は緊急の課題となつている。ごみ処理計画の策定に当たつては、ごみの発生から処理の過程において、極力、その資源化、減量化を図るとともに適正処理の体制を確立する必要がある。
ア ごみ焼却処理施設
焼却処理可能ごみの中間処理は焼却処理が主体であるが、昭和六○年度末におけるごみ焼却処理施設の規模は、一六三、五九六t/日であり、この施設によつて焼却処理が行われるごみの量は、七八、八二二t/日(焼却処理可能ごみ量の八八%)と見込まれる。
昭和六五年度末における焼却処理可能ごみは九六、○二二t/日と見込まれ、この焼却処理率を九二%とすると、焼却処理量は、八八、三四○t/日であり、施設係数を一・八七として施設の整備規模を算定すると、一六五、一九六t/日の施設規模が必要となる。これにより、昭和六一年度から昭和六五年度までの五箇年間に整備する規模として、新たに整備が必要なもの及び本計画中に耐用年限を超える施設のうち更新の必要な施設を計画的に整備するものとし、合計三四、○一五t/日の整備を予定し、これに要する投資額は六、一六四億円とする。
イ 不燃物等減量資源化施設
① 粗大ごみ処理施設
粗大ごみを適正に処理するための粗大ごみ処理施設については、昭和六○年度末において全国で五○二施設が整備されており、今後は五箇年間で一○○基の整備を予定し、これに要する投資額は、四四五億円とする。
② 不燃物資源化施設
廃棄物の資源化、減量化施設として磁力、風力等を用いて主として金属、ガラス等の資源を選別、回収できる不燃物資源化施設を既設の廃棄物処理施設に設置するもので、昭和六○年度末において三、一六九t/日が整備されており、今後五箇年間で五、一三八t/日の整備を予定し、これに要する投資額は一七○億円とする。
ウ ごみ処理施設改良事業
① ごみ焼却処理施設耐用年数延伸事業
耐用年限を超え老朽化したごみ処理施設において、主として炉本体、煙道等の構築物及び機械設備部分を更新することにより、施設全体の耐用年数の延伸を図ることとし、整備規模一六、二○七t/日を予定し、これに要する投資額は九七九億円とする。
② 焼却施設基幹改良
ごみ処理施設は、機械設備の占める割合が大きく、かつ、これらの機械設備は通常、汚水、汚泥、高温ガス、火気等に接触し過酷な使用条件下にあるため、主要な処理機能を受け持つ基幹的機械設備について、損傷度の著しいもの又は機能が低下したものを改良することとし、整備規模一○、三八四t/日を予定し、これに要する投資額は二三九億円とする。
③ 余熱利用
焼却処理施設から発生する熱エネルギーを資源として有効に利用するための施設整備を、一定規模以上の処理能力を有する焼却処理施設を対象に進めることとし、整備規模三、二八五t/日を予定し、これに要する投資額は一三六億円とする。
エ 最終処分場
昭和六○年度には四九、六九八t/日の埋立処分が行われたが、昭和六五年度までに焼却処理可能ごみの焼却処理率を八八%から九二%に高めてもなお、昭和六五年度の埋立処分量は四九、三四九t/日と見込まれ、これに要する埋立容量は年間二八、○三一千m3となる。本計画においては整備水準を六年分の埋立容量を確保するものとするが、現有施設の六五年度末残容量は五三、四二八千m3と見込まれる。また、近畿圏及び首都圏の大都市圏域においては、都府県域を超えた広域的な処分施設の計画的整備が予定され、この施設の一般廃棄物分としての整備が昭和六五年度末までに一、三三二千m3見込まれる。従つて広域廃棄物処理施設整備分とは別に一一三、四二六千m3の埋立処分地施設の確保が必要である。これらに要する投資額は広域廃棄物処理施設整備(一般廃棄物分)九二億円、埋立処分地施設整備二、三○七億円の合計二、三九九億円とする。
オ ごみ収集運搬車等
家庭から排出されるごみ及び焼却処理施設から排出される焼却残さを適正に収集、運搬するために必要な車両及び最終処分場で用いるブルドーザーを整備するものとし、これに要する投資額は八五八億円とする。
カ ごみ処理施設等整備に対する総投資額
ごみ処理施設等整備に対する投資額の合計は一兆一、三九○億円とする。
(二) し尿処理施設等整備計画
し尿処理施設等の整備計画については、第六次下水道整備五箇年計画との整合を図りつつ、今後とも汲み取りし尿及びし尿浄化槽汚泥の衛生的処理施設の整備を図つて行く必要がある。
ア し尿処理施設
昭和六○年度末におけるし尿処理施設の規模は一○七、○二八kl/日であり、この施設と下水道終末処理施設において処理されるし尿及びし尿浄化槽汚泥は八五、○一五kl/日(し尿処理施設等処理率八九%)と見込まれる。
本計画は、昭和六五年度における計画処理区域内人口のうち下水道水洗化人口及び自家処理人口を除いた七、三八三万人のし尿処理を対象として策定するものとする。昭和六五年度におけるし尿等処理対象量は八五、○○二kl/日であり、し尿の処理施設等処理率を九二%とし下水道終末処理施設等で処理される量四、四四○kl/日を除くと、し尿処理施設での処理量は、七三、七六二kl/日である。これを処理するためには施設係数を一・三五として九九、五七九kl/日のし尿処理施設が必要となる。
昭和六一年度から昭和六五年度までの五箇年間に整備する規模として更新時期を迎える施設から下水道等の水洗化に伴い更新不要となるものを除いた一五、八四一kl/日を整備するものとし、これに要する投資額は、二、○五○億円とする。
イ 地域環境衛生施設整備事業
① 地域し尿処理施設
地域し尿処理施設については、昭和六一年度から昭和六五年度までの五箇年間に二○万人分の施設整備を行うものとし、これに要する投資額は二一四億円とする。
② 生活排水処理施設
生活排水処理施設については、昭和六一年度から昭和六五年度までの五箇年間に一○万人分の施設整備を行うものとし、これに要する投資額は八四億円とする。
ウ し尿処理施設改良事業
① し尿処理施設基幹改良
し尿処理施設は機械類が汚水、汚泥等に常に接触し、苛酷な条件下にあるため、主要な処理機能を受け持つ基幹的な機械設備について、損傷度の著しいものまたは機能が低下したものを改良することとし、整備規模二一、八一六kl/日を予定し、これに要する投資額は二七五億円とする。
② し尿処理施設排水処理施設整備
し尿処理施設からの排水による公共水域の水質汚染を防止し、施設周辺の環境保全を図るための必要な施設について排水処理施設の整備を行うものとし、整備規模五、五○○kl/日を予定し、これに要する投資額は二○九億円とする。
エ し尿収集運搬車
し尿の収集運搬を行うために必要な車両を整備することとし、これに要する投資額は、六八億円とする。
オ し尿処理施設等整備に対する総投資額
し尿処理施設等整備に対する投資額の合計は二、九○○億円とする。
二 産業廃棄物処理施設整備
産業廃棄物の処理施設は事業者処理責任の原則に立ち、排出事業者及びこれを補完する処理業者による整備を促進することとするが、地区の状況によつては地方公共団体が関与して施設整備を図ることが適当な場合もある。本計画においては、地方公共団体が生活環境の保全等の見地から必要を認めて設置する産業廃棄物処理施設及び広域廃棄物処理施設(産業廃棄物分)を計画的に整備するものとし、これに要する投資額は、産業廃棄物処理施設九八一億円、広域廃棄物処理施設(産業廃棄物分)二九億円の合計一、○一○億円とする。
三 総投資額
昭和六一年度から昭和六五年度までの五箇年間の総投資額は、調整費三、八○○億円を含め一兆九、一○○億円とする。
表1 ごみ処理に関する基本事項
区分
|
昭和60年度
|
昭和65年度
|
備考
|
---|---|---|---|
① 全国総人口(千人)
|
120,301
|
122,834
|
|
② 計画処理区域内人口(千人)
|
120,060
|
122,588
|
|
③ 計画処理率(%)
|
99.8
|
99.8
|
②/①×100
|
④ 一人一日当たりごみ排出量(g)
|
1,000
|
1,050
|
|
⑤ ごみ総排出量(t/日)
|
120,060
|
128,717
|
④×②
|
⑥ 計画収集量(t/日)
|
100,122
|
109,945
|
|
⑦ 直接搬入量(t/日)
|
15,608
|
17,162
|
|
⑧ 自家処理量(t/日)
|
4,330
|
1,610
|
|
⑨ 焼却処理対象量(t/日)
|
89,571
|
96,022
|
|
⑩ 焼却処理量(t/日)
|
78,822
|
88,340
|
|
⑪ 焼却処理率(%)
|
88
|
92
|
⑩/⑨×100
|
⑫ 資源化量(t/日)
|
3,049
|
6,539
|
|
⑬ 焼却処理施設能力(t/日)
|
163,596
|
165,196
|
|
⑭ 施設係数
|
―
|
1.87
|
⑬/⑩
|
表2 ごみ処理施設整備事業の目標事業量及び目標事業費
区分
|
事業量
|
事業費
|
---|---|---|
ごみ焼却処理施設
|
34,015t/日
|
6,164億円
|
不燃物等減量資源化施設
|
||
イ 粗大ごみ処理施設
|
100基
|
445億円
|
ロ 不燃物資源化施設
|
5,138t/日
|
170億円
|
施設改良事業
|
||
イ ごみ処理施設耐用年数延伸事業
|
16,207t/日
|
979億円
|
ロ 焼却施設基幹改良
|
10,384t/日
|
239億円
|
ハ 余熱利用
|
3,285t/日
|
136億円
|
埋立処分地施設
|
113,426千m3
|
1,427億円
|
埋立処分用地
|
17,014千m3
|
880億円
|
広域廃棄物処理施設(一般廃棄物分)
|
―
|
92億円
|
ごみ収集車両等
|
―
|
858億円
|
計
|
―
|
11,390億円
|
表3 し尿処理に関する基本的事項
区分
|
昭和60年度
|
昭和65年度
|
備考
| ||
---|---|---|---|---|---|
① 全国総人口(千人)
|
120,301
|
122,834
|
|||
② 計画処理区域内人口(千人)
|
120,181
|
122,711
|
②/①×100
|
||
③ 計画処理率(%)
|
99.9
|
99.9
|
|||
水洗化人口
|
④ 下水道水洗化人口(千人)
|
35,729
|
46,616
|
||
⑤ し尿浄化槽人口(千人)
|
34,208
|
42,298
|
|||
⑥ ⑤のうち地域し尿処理施設人口(千人)
|
1,240
|
1,440
|
|||
⑦ 水洗化率(%)
|
58.2
|
72.5
|
(④+⑤)/②×100
|
||
⑧ 非水洗化人口(千人)
|
50,244
|
33,797
|
|||
⑨ し尿等総排出量(kl/日)
|
103,310
|
88,174
|
|||
⑩ し尿処理施設等処理率(%)
|
89
|
92
|
(⑪+⑫)/(⑨-⑬)×100
|
||
処内理訳
|
⑪ し尿処理施設(kl/日)
|
79,670
|
73,762
|
||
⑫ 下水道投入(kl/日)
|
5,345
|
4,440
|
|||
⑬ 自家処理量(kl/日)
|
7,787
|
3,172
|
|||
⑭ し尿処理施設能力(kl/日)
|
107,028
|
99,579
|
|||
⑮ 施設係数
|
―
|
1.35
|
⑭/⑪
|
表4 し尿処理施設等整備事業の目標事業量及び目標事業費
区分
|
事業量
|
事業費
|
---|---|---|
し尿処理施設
|
15,841kl/日
|
2,050億円
|
地域環境衛生整備事業
|
||
イ 地域し尿処理施設
|
20万人分
|
214億円
|
ロ 生活排水処理施設
|
10万人分
|
84億円
|
し尿処理施設改良事業
|
||
イ し尿処理施設基幹改良
|
21,816kl/日
|
275億円
|
ロ し尿処理施設排水処理施設整備
|
5,500kl/日
|
209億円
|
し尿収集車両
|
―
|
68億円
|
計
|
2,900億円
|