法令・告示・通達

廃棄物処理施設生活環境影響調査指針について

公布日:平成18年09月04日
環廃対060904002号・環廃産060904004号

(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長から各都道府県・政令市廃棄物行政主管部(局)長あて)


 廃棄物行政については、かねてから御尽力頂いただいているところであるが、今般、平成10年10月30日付け衛環第88号をもって通知した「廃棄物処理施設生活環境影響調査指針について」について、その発出から8年近くが経過し、また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)の一部を改正する石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律(平成18年法律第5号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第250号。以下「改正政令」という。)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成18年環境省令第7号。以下「改正省令」という。)並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(平成18年環境省令第23号。以下「改正規則」という。)が施行されたことを踏まえ、必要な内容の見直しを行い、別添のとおり「廃棄物処理施設生活環境影響調査指針」を取りまとめたので通知する(なお、本通知の発出時点において、改正政令、改正省令及び改正規則は未だ全部施行されていないが、本通知においては改正政令、改正省令及び改正規則による改正後の条文に基づいて記載しているので注意されたい。)。
 ついては、貴管下市町村等に対しては、貴職より周知願うこととし、平成10年10月30日付け衛環第88号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知「廃棄物処理施設生活環境影響調査指針について」は廃止する。
 なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。

別添

廃棄物処理施設
生活環境影響調査指針
平成18年9月
環境省 大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部

目次

  1. 第1章 序章
    1.  1. 本指針の策定の背景と目的
    2.  2. 本指針の使い方
    3.  3. 生活環境影響調査の基本的考え方
    4.  4. 留意事項
  2. 第2章 焼却施設の生活環境影響調査手法
    1.  1. 調査事項
    2.  2. 大気質
    3.  3. 騒音
    4.  4. 振動
    5.  5. 悪臭
    6.  6. 水質
  3. 第3章 最終処分場の生活環境影響調査手法
    1.  1.調査事項
    2.  2. 大気質
    3.  3. 騒音
    4.  4. 振動
    5.  5. 悪臭
    6.  6. 水質
    7.  7. 地下水
  4. 第4章 その他の処理施設の生活環境影響調査手法
    1.  4-1 破砕・選別施設
    2.  4-2 し尿処理施設
    3.  4-3 汚泥脱水施設
    4.  4-4 前記以外の施設
      1.   Ⅰ 廃液処理施設の生活環境影響調査手法
      2.   Ⅱ 焼却施設に準ずる施設の生活環境影響調査手法
      3.   Ⅲ 破砕・選別施設に準ずる施設の生活環境影響調査手法
      4.   Ⅳ し尿処理施設に準ずる施設の生活環境影響調査手法
      5.   Ⅴ 汚泥脱水施設に準ずる施設の生活環境影響調査手法
    5.  参考資料
  5. 資料編
    1.  1. 関連条文
    2.  2. 大気質関連
      1.   2-1 基準値
      2.   2-2 調査方法一覧
      3.   2-3 既存文献、資料
      4.   2-4 予測式
      5.   2-5 小規模施設用の簡易的長期平均濃度(年平均値)予測手法
      6.   2-6 説明図表
    3.  3.騒音関連
      1.   3-1 基準値
      2.   3-2 調査方法一覧
      3.   3-3 既存文献、資料
      4.   3-4 予測式
    4.  4.振動関連
      1.   4-1 基準値
      2.   4-2 調査方法一覧
      3.   4-3 既存文献、資料
      4.   4-4 予測式
    5.  5.悪臭関連
      1.   5-1 基準値
      2.   5-2 調査方法一覧
      3.   5-3 既存文献、資料
      4.   5-4 予測式
    6.  6.水質関連
      1.   6-1 基準値
      2.   6-2 調査方法一覧
      3.   6-3 既存文献、資料
      4.   6-4 予測式
    7.  7.地下水関連
      1.   7-1 基準値
      2.   7-2 調査方法一覧
      3.   7-3 既存文献、資料
      4.   7-4 予測方法
    8.  8.生活環境影響調査書の標準的目次構成案
      1.   8-1 標準的目次構成案の目的
      2.   8-2 標準的目次構成案

第1章 序章

1. 本指針の策定の背景と目的

  廃棄物処理施設は、近年の住民意識の高まり、ダイオキシン等の新しい環境リスクに対する不安感や処理業者に対する住民の不信感の増大の下で、いわゆる迷惑施設としての扱いを受け、施設の設置や運営に伴う地域紛争が多発するなどの問題が生じている。
  廃棄物処理施設については、従来から、その安全性を確保するため、廃棄物処理法において、生活環境を保全するための技術上の基準が定められ、許可施設についてはそれらに適合することを求められていたところであるが、このような状況に対処するため、平成9年6月に廃棄物処理法が改正され、施設の設置手続きとして、生活環境影響調査の実施、申請書及び生活環境影響調査の縦覧、住民、市町村長の意見聴取、専門家の意見聴取等が盛り込まれ、さらに許可要件として新たに「地域の生活環境への適正な配慮」が求められるなど、施設の設置に当たっての許可手続きが強化され、生活環境の保全に対する配慮もより強化されることとなった。
  生活環境影響調査は、許可を要するすべての廃棄物処理施設について実施が義務づけられるもので、施設の設置者は、計画段階で、その施設が周辺地域の生活環境に及ぼす影響をあらかじめ調査し、その結果に基づき、地域ごとの生活環境に配慮したきめ細かな対策を検討した上で施設の計画を作り上げていこうとするものである。
  設置者は、生活環境影響調査の結果により、施設の設置に関する計画、維持管理に関する計画を検討、作成し、申請書に記載するとともに、生活環境影響調査書についても申請書とともに知事に提出するものである。
  また、廃棄物処理施設のうち、焼却施設及び最終処分場については、申請書提出後、知事により申請書及び生活環境影響調査書が縦覧され、住民、市町村長の意見聴取、専門家の意見聴取等の手続が行われることとなる。
  廃棄物処理施設の許可に当たっては、従来からの基準である環境省令に定める技術上の基準に適合していることとともに(全国一律基準)、新たな許可基準として「設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全に適正な配慮がなされたものであること」が加えられ(地域ごとの基準)、設置者の生活環境への配慮が妥当なものか否かについて審査されることとなる。
  今後、設置者は、地域の生活環境の保全に配慮した廃棄物処理施設の計画づくりが求められるものであり、そのためには、適切で合理的な生活環境影響調査の実施が重要となるところである。
  施設が周辺の生活環境にどのような影響を及ぼすかという点について、周辺地域の生活環境の現況を把握し、施設の設置による影響を予測し、そしてその結果を分析することにより、その地域の生活環境の状況に応じた適切な生活環境保全対策等が検討されるものであり、施設の計画作成のために、生活環境影響調査は極めて重要な作業といえるものである。
  本指針は、この生活環境影響調査が、より適切で合理的に行われるよう、生活環境影響調査に関する技術的な事項を現時点の科学的知見に基づきとりまとめたものである。本指針は当初、平成10 年に作成されたが、その後の法令等の制定及び改正、予測技術の高度化、生活環境への更なる配慮のため、指針の向上を図るべく、その内容を見直したものである。
  なお、廃棄物処理法に基づく廃棄物処理施設の設置手続は、許可施設の場合は図1-1、市町村が設置する一般廃棄物の届出施設の場合は図1-2のとおりである。

図:図1-1 廃棄物処理施設の設置許可手続きフロー

注)*印の手続は「最終処分場」、「焼却施設」、「PCB処理施設」及び「廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設」を対象とする。

図1-1 廃棄物処理施設の設置許可手続きフロー

図:図1-2 廃棄物処理施設の設置手続きフロー

注)*印の手続を行う施設の種類は市町村が条例で定める。
図1-2 廃棄物処理施設の設置手続きフロー
(市町村が設置する一般廃棄物処理施設の場合)

2. 本指針の使い方

  生活環境影響調査の対象とする調査事項は、廃棄物の処理に伴って生じる生活環境への影響を検討する観点から、その廃棄物処理施設の運転並びに当該施設に係る廃棄物の搬出入及び保管に伴う、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動及び悪臭とされている。各調査事項の具体的な項目は、廃棄物処理施設の種類及び規模並びに処理対象となる廃棄物の種類及び性状並びに地域特性を勘案して、設定することとされている。
  本指針では、廃棄物処理施設の種類別に、調査事項や具体的な項目の選定方法、及び選定した事項・項目についての調査(現況把握、予測及び影響の分析をいう。)の標準的な方法を示すとともに、施設の規模等の事業特性や、立地場所の自然的及び社会的条件の地域特性を踏まえ、調査において配慮すべき点についても述べている。生活環境影響調査の実施にあたっては、本指針の内容を基本とし、事業特性や地域特性を勘案して、必要に応じ調査の簡略化または重点化を行い、地域の生活環境の保全に適正に配慮されていることが判断できるような、その事業に応じた適切で合理的な調査とする。

3. 生活環境影響調査の基本的考え方

  廃棄物処理施設の設置に当たって、申請者は、図1-1に示したように生活環境影響調査の結果を記載した書類を、申請書に添付しなければならない。
  設置許可申請に際しては、当該書類とともに、例えば、最終処分場であれば、施設の構造図面、設置場所の地形、地質、地下水の状況等の情報が書面及び図面として申請書に添付され、住民に縦覧されるものである。
  市町村が設置する一般廃棄物処理施設の場合にも、図1-2に示したように生活環境影響調査の結果を、届出の際に添付することになる。
  生活環境影響調査の基本的な流れは、図1-3に示すとおりである。

図:図1-3 生活環境影響調査の流れ

図1-3 生活環境影響調査の流れ
 生活環境影響調査において対象とすべき調査事項、調査対象地域の設定、並びに現況把握、予測及び分析の方法についての、基本的考え方を以下に述べる。

(1) 調査事項

  1.  ア 調査事項は、廃棄物処理施設の稼働並びに当該施設に係る廃棄物の搬出入及び保管に伴って生じる生活環境への影響に関するもので、大気環境(大気質、騒音、振動及び悪臭)及び水環境(水質及び地下水)である。
  2.  イ 各調査事項の具体的な項目(例えば大気質の場合、二酸化硫黄、二酸化窒素などの項目であり、以下「生活環境影響調査項目」という。)については、廃棄物処理施設の種類及び規模並びに処理対象となる廃棄物の種類及び性状並びに地域特性を勘案して、必要な生活環境影響調査項目を申請者が選定するものとする。
  3.  ウ 対象施設の構造上の特性や地域特性からみて、影響が発生することが想定されない調査事項(例えば、排水を排出しない施設の場合の水質汚濁など)については、具体的な調査を実施する必要がない。この場合、必要がないと判断した理由を記載しなければならない。

(2) 調査対象地域の設定

  1.  ア 調査対象地域は、施設の種類及び規模、立地場所の気象及び水象等の自然的条件並びに人家の状況などの社会的条件を踏まえて、調査事項が生活環境に影響を及ぼすおそれがある地域として申請者が設定する。
  2.  イ 調査事項ごとの調査対象地域は、調査実施時点で一般的に用いられている影響予測手法によって試算するか、本指針に示す例示を参考に、次の考え方に沿って設定する。
 (ア)大気質
   煙突から排出される排ガスによる影響については、寄与濃度が相当程度大きくなる地域とする。
   廃棄物運搬車両の走行によって排出される自動車排気ガスによる影響については、廃棄物運搬車両により交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道の周辺の人家等が存在する地域とする。
 (イ)騒音
   対象施設から発生する騒音による影響については、騒音の大きさが相当程度変化する地域であって、人家等が存在する地域とする。
   廃棄物運搬車両の走行によって発生する騒音の影響については、廃棄物運搬車両により交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道の周辺の人家等が存在する地域とする。
 (ウ)振動
   振動は、騒音と同様の考え方で設定する。
 (エ)悪臭
   煙突から排出される悪臭による影響については、大気汚染における煙突から排出される排ガスによる影響と同様の考え方で設定する。
   対象施設から漏洩する悪臭による影響については、対象施設周辺の人家等が存在する地域とする。
 (オ)水質
   対象施設から公共用水域に排出される排水による影響については、対象施設の排水口からの排水が十分に希釈される地点までの水域とする。
 (カ)地下水
   最終処分場の存在によって地下水の水位、流動状況に影響を及ぼす範囲とする。

(3) 現況把握

  現況把握は、周辺地域における生活環境影響調査項目の現況、及び予測に必要な自然的、社会的条件の現況を把握することを目的として、既存の文献、資料、または現地調査により行うこととする。
  既存の文献、資料が十分か否かの判断は、設定した調査対象地域内において信頼性のある情報が得られるか、または地域外であっても、立地場所周辺の環境の状況を代表し得ると判断される情報が得られるか否かによって行う。
  施設規模が大きい場合や、民家等が密集した地域に設置する場合には、綿密な現況把握が求められることから、既存文献、資料と現地調査とを組合せて現況把握を行う場合が多い。逆に、施設規模が小さく、周辺に民家等が存在しない事業で、簡略的な予測手法を採用する場合などには、現況把握のための定量的データが得られなくても予測及び考察に支障がないことも考えられる。現況把握は、影響の予測を行う上で必要な程度行うものであり、施設が及ぼす生活環境への影響の大きさ、周辺地域の状況によってその内容は異なるものである。
  なお、周辺地域の自然的条件及び社会的条件の把握も予測を行う上で必要な限度で行えばよく、不要な項目まで網ら的に把握する必要はない。生活環境に及ぼす影響の程度を予測するために必要と考えられる自然的条件及び社会的条件は、次に示す項目のなかから必要な項目を把握することとする。

  •  ○大気質:気象(風向、風速、大気安定度)、土地利用、人家等、交通量及び主要な発生源
  •  ○騒音:土地利用、人家等、交通量及び主要な発生源
  •  ○振動:土地利用、地盤性状、人家等、交通量及び主要な発生源
  •  ○悪臭:気象、土地利用、人家等及び主要な発生源
  •  ○水質:水象(河川の流量、流況等)、水利用及び主要な発生源
  •  ○地下水:地形・地質状況、地下水の状況(帯水層の分布、地下水位及び流動状況等)及び地下水利用状況

  現況把握を行う調査地点は、調査対象地域内において、地域を代表する地点、影響が大きくなると想定される地点、人家等影響を受けるおそれのある地点等のなかから適切に設定する。
  なお、調査対象地域外の情報であっても、調査対象地域内の現況を把握する上で支障がない場合は、その情報を利用することができる。
現況把握の時期及び期間は、生活環境影響調査項目の特性に応じて、把握すべき情報の内容、地域特性等を考慮して適切かつ効果的な時期及び期間を設定するが、気象・水象については、年間を通じた変化をおおむね把握できる程度の調査とする。

(4) 予測

  生活環境影響の予測は、生活環境影響調査項目の変化の程度及びその範囲を把握するため、計画されている対象施設の構造及び維持管理を前提として、調査実施時点で一般的に用いられている予測手法により行うこととし、定量的な予測が可能な項目については計算により、それが困難な項目については同種の既存事例からの類推等により行う。
  予測方法は、生活環境影響調査項目の特性、事業特性及び地域特性を勘案し、調査項目に係る影響の程度を考察する上で必要な水準が確保されるよう、予測方法を選定する。
  予測地点は、事業特性及び地域特性を勘案し、保全すべき対象、地域を代表する地点等への影響を的確に把握できる地点を設定する。
  予測の対象となる時期は、施設の稼働が定常的な状態となる時期を設定する。
  なお、定常的な状態に至るまでに長期間を要する場合は、必要に応じて中間的な時期での予測を行う。

(5) 影響の分析

  生活環境影響の分析は、処理施設の設置による影響の程度について、生活環境影響調査項目の現況、予測される変化の程度及び環境基準等の目標を考慮しながら行う。具体的には、環境基準等の目標と予測値を対比してその整合性を検討すること、生活環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、又は低減されているものであるか否かについて事業者の見解を明らかにすることが必要である。
  調査事項ごとの視点は次のとおりである。

 ア. 大気質
   煙突から排出される排ガスについては、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、塩化水素、ダイオキシン類、その他処理される廃棄物の種類及び性状により排出が予想される項目を、最終処分場については、粉じんを、また、廃棄物運搬車両の走行によって排出される自動車排気ガスについては、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質を対象として、プルーム式、パフ式等の大気拡散式に基づき寄与濃度が最大となると予測される地点(同等の寄与濃度が複数地点において生じる場合は、それらのすべての地点)、及びその周辺の人家等を含む地域における影響を分析する。
 イ. 騒音
   対象施設及び廃棄物運搬車両から発生する騒音については、騒音の大きさを対象として、騒音の距離減衰式により騒音の大きさの寄与が最大となると予測される周辺の人家等の地点(同等の大きさの寄与が複数地点において生じる場合は、それらのすべての地点)における影響を分析する。
 ウ. 振動
   振動は、騒音と同様の考え方で分析する。
 エ. 悪臭
   煙突から排出される悪臭については、特定悪臭物質のうち廃棄物の種類及び性状により排出が予想される物質の濃度又は臭気指数を対象として、プルーム式、パフ式等の大気拡散式に基づき寄与濃度が最大となると予測される地点(同等の寄与濃度が複数地点において生じる場合は、それらのすべての地点)、及びその周辺の人家等を含む地域における影響を分析する。
   対象施設から漏洩する悪臭による影響については、対象施設周辺の人家等が存在する地域における影響を分析する。
 オ. 水質
   対象施設から排出される排水については、BOD(海域・湖沼についてはCOD)、SS、その他処理される廃棄物の種類及び性状により排出が予想される項目を対象として、公共用水域、水道の取水地点における利水上の支障などの影響を分析する。
 カ. 地下水
   最終処分場周辺の地下水については、その水位、流動状況を対象として、井戸水の取水地点における利水上の支障などの影響を分析する。

(6) 生活環境影響調査書の作成

  生活環境影響調査の結果については、次の内容を記載した生活環境影響調査書としてとりまとめる。なお、資料編8.に生活環境影響調査書の標準的な目次構成案を示した。

  1.  ① 設置しようとする廃棄物処理施設の種類及び規模並びに処理する廃棄物の種類を勘案し、当該廃棄物処理施設を設置することに伴い生ずる大気質、騒音、振動、悪臭、水質、または地下水に係る事項のうち、周辺地域の生活環境に影響を及ぼすお
    それがあるものとして調査を行ったもの(生活環境影響調査項目)
  2.  ② 生活環境影響調査項目の現況及びその把握の方法
  3.  ③ 当該廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響の程度を予測するために把握した水象、気象その他自然的条件及び人口、土地利用その他社会的条件の現況並びにその把握の方法
  4.  ④ 当該廃棄物処理施設を設置することにより予測される生活環境影響調査項目に係る変化の程度及び当該変化の及ぶ範囲並びにその予測の方法
  5.  ⑤ 当該廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響の程度を分析した結果
  6.  ⑥ 大気質、騒音、振動、悪臭、水質、または地下水のうち、これらに係る事項を生活環境影響調査項目に含めなかったもの及びその理由
  7.  ⑦ その他当該廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査に関して参考となる事項

4. 留意事項

(1) 複数の廃棄物処理施設を集合して設置する場合の扱い方

  複数の廃棄物処理施設を集合して設置する場合など、相互に関連する複数の施設を設置しようとする場合は、各施設による影響を重合した総体的な影響が生じる。
  したがって、これらの各施設を同一の事業者が設置するなど、密接に関連した事業として影響を検討する必要がある場合には、複数の施設について併せて生活環境影響調査を行うことができるものとする。

(2) 変更の許可の場合の扱い方

  生活環境影響調査は廃棄物処理施設の変更の許可を受ける場合にも必要となり、旧法による許可を受けた施設が、改正法の施行後(平成10年6月17日)に変更の許可を受ける場合にも適用される。
  変更の場合の生活環境影響調査の考え方としては、現状と変更後における環境への負荷の程度(汚染物質排出量など)を対比し、現状と同等かそれ以下の負荷に低減できることが証明される場合には、その内容をもって影響を分析することが考えられる。
  この場合の調査事項等、次のとおりとする。

  •  ○調査事項:施設の変更内容に応じ、変更のある事項について調査を行う。この場合、騒音、振動、悪臭等変更を生じない事項については、施設の変更による環境への影響には変化がない旨を記載する。
  •  ○現況把握:原則として既存文献、資料により行う。現地調査を実施する場合には、代表的な地点1地点で1回の調査を行う。
  •  ○予測:汚染物質の排出濃度、排出量の変更前後の増減を比較する。
  •  ○影響の分析:環境の状況は現状より改善する(悪化しない)旨を記載する。
      ただし、当該施設の規模が大きい場合や、変更の計画に対して住民の理解をより得られるように、必要に応じ本指針に示した一連の調査手法に沿って生活環境影響調査を実施してもよい。

  なお、環境省令に定める軽微な変更の場合には、変更の許可の手続きを要しないため、生活環境影響調査は実施されないことになる。

(3) 法及び条例に基づく環境影響評価との関係について

  環境影響評価法(平成9年法律第81号)に基づく評価書、または地方公共団体における環境影響評価に関する条例等に基づき実施された結果であって、生活環境影響調査に相当する内容を有するものを、廃棄物処理法に基づく生活環境影響調査書として添付することは差し支えない。

(4) 地下水に関する調査が必要ない場合について

  平成18年3月10日に公布された廃棄物処理法施行規則の改正省令(平成18年環境省令第7号)において、地下水に係る事項が、生活環境影響調査項目として追加された。これにより、地下水への影響が想定される場合には、地下水に関する現況把握、予測及び影響分析を行う必要がある。
  地下水に関するこれらの調査が不要と想定される例は、中間処理施設であって、

  •   ・施設からの排水を再生処理して完全に循環利用しているもの
  •   ・施設からの排水を適切に処理して河川等の公共用水域に放流し、かつ十分に希釈されるもの

等の場合が考えられる。

(5) 環境大臣の認定を受けた廃石綿等の無害化処理施設の生活環境影響調査について

  平成18年2月10日に公布された石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律(平成18年法律第5号)において、石綿が含まれている廃棄物等の無害化処理についての環境大臣の認定制度が創設された。この無害化処理の用に供する施設についても生活環境影響調査を行う必要があり、その手法については本指針に準じて行うこととする。

(6) 指針の見直し

  本指針は現在の科学的知見に基づいて策定したものであるため、今後ともその妥当性についての検討を行うとともに、当該検討及び生活環境影響調査の実施状況を踏まえて、必要な見直しを適宜行うこととする。

【参考】
モニタリング

 廃棄物処理施設の設置にあたっては、生活環境影響調査による事前の手続きとともに、施設供用後の事後におけるモニタリングが重要である。モニタリングに関しては、廃棄物処理法の維持管理基準にその実施が義務づけられているとともに、自ら維持管理の計画に定め、実施することが考えられる。
 このモニタリングを適切に行うためには、現地の状況を調査する必要がある(例えば地下水のモニタリングを行う場合の地下水の流動状況等の調査)。この調査は、生活環境影響調査とは直接関係しないものであるが、生活環境影響調査と併せて行うなど、合理的に行う必要がある。

第2章 焼却施設の生活環境影響調査手法

1. 調査事項

  焼却施設に関する生活環境影響要因と生活環境影響調査項目との関連を整理し、生活環境影響調査項目を選定する。標準的な例を表2-1のマトリックス表に示す。

表2-1 生活環境影響要因と生活環境影響調査項目

調査事項
 \ 
生活環境影響要因
煙突排ガスの排出
施設排水の排出
施設の稼働
施設からの悪臭の漏洩
廃棄物運搬車両の走行
生活環境影響調査項目
\ 
大気環境
大気質
二酸化硫黄(SO2
 
 
 
 
二酸化窒素(NO2
 
 
 
浮遊粒子状物質(SPM)
 
 
 
塩化水素(HCl)
 
 
 
 
ダイオキシン類
 
 
 
 
その他必要な項目 注)
 
 
 
 
騒音
騒音レベル
 
 
 
振動
振動レベル
 
 
 
悪臭
特定悪臭物質濃度
または臭気指数(臭気濃度)
 
 
 
水環境
水質
生物化学的酸素要求量(BOD)
または化学的酸素要求量(COD)
 
 
 
 
浮遊物質量(SS)
 
 
 
 
ダイオキシン類
 
 
 
 
その他必要な項目 注)
 
 
 
 

注) その他必要な項目とは、処理される廃棄物の種類、性状及び立地特性等を考慮して、影響が予測される項目である。
  たとえば、大気質については、煙突排ガスによる重金属類などがあげられ、また、水質については全窒素(T-N)、全リン(T-P)(T-N、T-Pを含む排水を、それらの排水基準が適用される水域に放流する場合)などがあげられる。

  •   ・大気質については、煙突排ガスによる影響及び廃棄物運搬車両による影響があげられる。廃棄物運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に調査の対象とする。
  •   ・騒音及び振動については、施設の稼動による影響及び廃棄物運搬車両による影響があげられる。施設の稼働については、騒音及び振動が相当程度変化する地域に人家等が存在する場合に対象とする。廃棄物運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に対象とする。
  •   ・悪臭については、煙突排ガスによる影響及び施設からの漏洩による影響があげられる。煙突排ガスについては、大気汚染と同様な考え方により、調査の対象とするか否かの判定を行う。施設からの漏洩については、影響が想定される周辺地域に人家等が存在する場合に対象とする。
  •   ・水質については、施設排水による影響があげられる。施設排水を下水道へ放流するなど、公共用水域への排出を行わない場合、または、ほとんど排水しない場合には除くことができる。
  •   ・施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。

2. 大気質

(1) 煙突排ガスによる影響

 ア. 調査対象地域

   煙突排ガスによる影響の調査対象地域は、プルーム式等の大気拡散式から推定される最大着地濃度出現距離を考慮して設定する。設定にあたっては、地域の気象特性のほか、行政区域や地形・土地利用の状況も勘案する。
 施設規模等に応じた調査対象地域(半径)の設定例を表2-2に示す。

表2-2 煙突排ガスによる影響の調査対象地域設定例

施設規模等
時間当り(t/時)
0.2
0.5
1
12
18
煙突実体高(m)
10
20
30
40
59
80
100
調査対象地域 注)(半径:㎞)
10

注)最大着地濃度出現予想距離の概ね2倍を見込んで設定した。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の大気汚染の状況、気象の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、廃棄物処理施設の種類及び規模並びに処理対象となる廃棄物の種類及び性状を考慮し、生活環境影響調査項目として抽出した大気汚染の状況、及び気象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 大気汚染の状況
    1.    (a) 二酸化硫黄(SO2
    2.    (b) 二酸化窒素(NO2
         窒素酸化物(NOX)、一酸化窒素(NO)についても併せて把握する。
    3.    (c) 浮遊粒子状物質(SPM)
    4.    (d) 塩化水素(HCl)
    5.    (e) ダイオキシン類
    6.    (f) その他必要な項目
  2.   b. 気象の状況
    1.    (a) 地上気象の状況(風向、風速、日射量、放射収支量または雲量、大気安定度)
           地上気象の状況は、長期平均濃度予測及び短期平均濃度予測の条件として必要となるため、原則として把握することとする。
    2.    (b) 上層気象の状況(風向、風速、気温)
           大規模施設であって、煙突が高い場合(たとえば50m 以上)等には、上層気象の状況の把握を行う。
  3.   c. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 周辺地形
    2.    (b) 土地利用
    3.    (c) 人家等
    4.    (d) 主要な発生源
    5.    (e) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととし、大気汚染については最新年度の状況を把握するとともに、必要に応じて過去5年間程度の経年変化の状況も整理する。常時監視測定局や気象管署以外の既存の文献、資料を用いる場合は、当該データに関する測定方法や測定機器の管理状態なども勘案する必要がある。
   また、調査対象地域外であっても、土地利用や地形等からみて、事業予定地周辺の環境を代表し得ると判断されるデータについては、既存の文献、資料として使用しても良い。
   既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行い補完する。
   現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。調査方法の詳細を資料編2-2に、また、既存文献、資料の例を資料編2-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.    (a) 大気汚染の状況
           煙突排ガスによる影響が大きくなると想定される区域の現況濃度が把握できるように調査地点を設定する。
           さらに、施設規模に応じ、気象特性、人家等の状況、常時監視測定局の配置状況などの要因を考慮して、事業予定地や周辺住居系地域内等に調査地点を追加する。
    2.    (b) 気象の状況
           地上気象調査及び上層気象調査は、原則として事業予定地にて行う。ただし、事業予定地が地形や建物等によって風向・風速の影響を受け易い場合には、拡散場を代表する適切な地点を選定する。
  2.   b. 調査時期
    1.    (a) 大気汚染の状況
           年間(4季)を通した変動が把握できるように大気環境調査を行う。ただし、既存の文献、資料によってその変動傾向が把握できる場合には、施設規模に応じて2季または1季の調査とすることができる。
           1季あたりの調査期間は1~2週間程度とする例が多い。
    2.    (b) 気象の状況
      1.     ①地上気象の状況
             原則として1年間連続の地上気象調査を行う。なお、調査対象地域内の長期間にわたる既存測定データを採用する場合には、事業予定地において短期間の現地調査を行い、代表性を確認することも有効である。
      2.     ②上層気象の状況
             大規模施設であって、煙突が高い場合には、原則として4季または2季の上層気象調査を行う。
             1季あたりの調査期間は5~7日間とする。
             ただし、施設の規模の程度や土地利用の状況によっては一季とする場合もある。
  3.   c. 調査方法
    1.    (a) 大気汚染の状況
      1.     ①環境基準が設定されている項目
             環境基準が設定されている項目(SO2、NO2(NOX、NO も含む)、SPM)の調査方法は、「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48 年環境庁告示第25 号)または「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53 年環境庁告示第38 号)による。
             ダイオキシン類については、「ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル」(平成13 年8 月、環境省)に掲げる方法による。
      2.     ②環境基準が設定されていない項目
             環境基準が設定されていない項目については、項目ごとに次に掲げる方法による。
        •     ・塩化水素(HCl)
               「大気汚染物質測定法指針」(昭和62 年、環境庁)に掲げる方法による。
        •     ・その他の項目
               項目ごとに適切な方法による。
    2.    (b) 気象の状況
           気象の状況は「地上気象観測指針」(平成14 年3 月、気象庁)等に準じて行う。
      1.     ①地上気象の状況
        •     ・風向、風速
               微風向風速計を用いる。
        •     ・日射量
               全天日射計を用いる。
        •     ・放射収支量
               放射収支計を用いる。
        •     ・大気安定度
               風速及び日射量、放射収支量(既存文献、資料により雲量を用いる場合がある)のデータを用いて、パスキル安定度階級分類表により大気安定度を求める。
      2.     ②上層気象の状況
        •     ・風向、風速
               パイロットバルーン観測、低層レーウィンゾンデ観測、または係留気球観測による。
        •     ・気温
               低層ゾンデ観測、低層レーウィンゾンデ観測、または係留気球観測による。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 大気汚染の状況
    1.    (a) 大気質の現況(年間測定結果の年平均値等、現地調査期間の測定結果)
    2.    (b) 環境基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目(年変化、季節変化、日変化等)
  2.   b. 気象の状況
    1.    (a) 地上気象の状況
      1.     ①風向、風速の出現頻度(風配図等)
      2.     ②その他必要な項目(大気安定度の出現頻度等)
    2.    (b) 上層気象の状況
      1.     ①地上風と上層風の関係(高度別風配図、風速鉛直分布等)
      2.     ②気温逆転層の出現状況
      3.     ③その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   煙突排ガスによる影響の予測には、年間の平均的な影響を予測する長期平均濃度予測と、高濃度出現条件下における短期的な影響を予測する短期平均濃度予測(1時間値)とがある。
   これらに対して、気象の状況をモデル化し、数値シミュレーション等により定量的な予測を行う。
   なお、規模が小さい施設の長期平均濃度予測については、簡易的予測を行ったうえで、影響が大きくなると懸念される場合には、詳細に実施するものとする。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、長期平均濃度予測については、施設の稼働が定常的な状態となる時期とする。また、短期平均濃度予測については、影響が最大となると想定される稼働条件となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   予測項目は次のなかから必要な項目を設定する。

  1.   a. 長期平均濃度予測
    1.    (a) 二酸化硫黄(SO2
    2.    (b) 二酸化窒素(NO2
    3.    (c) 浮遊粒子状物質(SPM)
    4.    (d) ダイオキシン類
    5.    (e) その他必要な項目
  2.   b. 短期平均濃度予測
    1.    (a) 二酸化硫黄(SO2
    2.    (b) 二酸化窒素(NO2
    3.    (c) 浮遊粒子状物質(SPM)
    4.    (d) 塩化水素(HCl)
    5.    (e) その他必要な項目
 (エ)予測方法
  1.   a. 長期平均濃度予測
    1.    (a) 予測地点、範囲
           長期平均濃度の予測は、調査対象地域の範囲内において、寄与濃度が最大となる地点(同等の寄与濃度が複数地点において生じる場合は、それらのすべての地点)及びその周辺の人家等を含む地域の濃度を予測する。また、必要に応じ、着地濃度の平面分布を求めるとともに、常時監視測定局や現地調査地点等の特定の地点における濃度も予測する。
    2.    (b) 予測手法
           煙突排ガスによる濃度の予測は、有効煙突高の計算式と拡散計算式により行う。さらに、NO2の予測にあたっては、拡散計算式により得られるNOX濃度をNO2濃度へ変換する必要がある。
           一般的な予測手法は次のとおりであり、これら以外の手法であっても、これらと同等以上の予測精度を有する適切な手法がある場合は、その手法を用いてもよい。予測式の内容を資料編2-4に示す。
           また、これにより求めた煙突排ガスによる濃度を、地域の将来における環境濃度(バックグラウンド濃度)と重合して将来濃度を予測する。
      1.     ①有効煙突高計算式
        •     ・有風時:コンケィウ式(CONCAWE 式)
        •     ・無風時:ブリッグス式(Briggs 式)
            (ただし、小規模の施設で吐出速度が小さい場合は、安全側に煙突実体高を有効煙突高とみなしてもよい。)
      2.     ②拡散計算式
        •     ・有風時:プルーム式
        •     ・無風・弱風時:パフ式
             なお、粒径が小さい浮遊粒子状物質(粒径:10μm 以下)については、ガス状物質と同様に上記の式を用いることが可能である。
      3.     ③NOXからNO2への変換式
             次の式の中から選択する。なお、安全側の観点からNOXが全てNO2に変換するという考え方を採用してもよい。
        •     ・統計モデル
        •     ・指数近似モデル
        •     ・定常近似モデル
             なお、煙突の高さが周囲の建物の高さの2.5 倍より低い場合には、必要に応じ経済産業省-低煙源工場拡散モデル(METI-LIS)を導入し、建屋影響について確認することは有効である。
      4.     ④簡易予測手法
             規模が小さい施設については、資料編2-5に示す簡易予測手法を参考に、最大着地濃度を安全側に予測することができる。その結果、影響が大きくなると懸念される場合には、上記①~③を用いて詳細に実施する。
    3.    (c) 予測条件
      1.     ①事業計画の条件
             長期平均濃度予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
        •     ・廃棄物の種類及び性状
        •     ・施設の配置及び建築計画
        •     ・煙突の諸元(煙突実体高、形状、内筒の有無、口径等)
        •     ・排ガス諸元(排ガス量(湿り、乾き)、排ガス温度、吐出速度、排ガス量の変動等)
        •     ・排ガス性状(汚染物質濃度、酸素濃度等)
        •     ・運転計画(年間運転日数(炉別)、運転時間帯等)
      2.     ②気象条件
             現況把握により得られた地上気象調査結果を基に、季別、時間帯別、風向別、風速階級別、大気安定度別出現頻度等を整理して、予測条件とする。
             ただし、簡易予測には、主風向の出現頻度、平均風速、及び静穏の出現頻度が必要となる。
             また、上層気象調査により得られた拡散場における風向、風速、逆転層の情報も活用する。
      3.     ③将来濃度
             煙突排ガスによる濃度と将来の環境濃度(バックグラウンド濃度)を重合して、将来濃度を予測する。バックグラウンド濃度の設定にあたっては、国や地方公共団体等による環境保全施策等の効果を見込んだ推定値が得られる場合には、それを用いる。将来の環境の状態を推定することが困難な場合等には、現在の環境の状態とする。
  2.   b. 短期平均濃度予測
    1.   (a) 予測ケースの抽出
          施設規模等の事業特性や、気象、地形、建物、土地利用等の立地特性を考慮して、短期的に高濃度が生じる可能性があるケースを抽出し、必要に応じて予測を行う。
      1.    ①大気安定度不安定時
            大気が不安定になると、大気の混合が進み、大気汚染物質の濃度が高くなる可能性がある。この場合、予測を行い、その影響を確認することは有効である。
      2.    ②上層逆転層発生時
            煙突の上空に安定層(逆転層)が存在する場合、その下で排出された大気汚染物質は逆転層より上方への拡散が抑えられて、地表付近に高濃度が生じる可能性がある。この場合、予測を行い、上層逆転層発生時の影響を確認することは有効である。
      3.    ③逆転層崩壊時(フュミゲーション)
            夜間、地面からの放射冷却により比較的低い高度で気温の逆転層が生じる。これは、接地逆転層と呼ばれ、特に冬季、晴天で風の弱いときに生じる。この接地逆転層が日の出から日中にかけて崩壊する際、上層の安定層内に放出されていた排出ガスが、地表近くの不安定層内に取り込まれ、急激な混合が生じて高濃度となる可能性がある。この場合、予測を行い、逆転層崩壊時の影響を確認することは有効である。
      4.    ④煙突によるダウンウォッシュ
            風速が吐出速度の約1/1.5 倍以上になると、煙突下流側の渦に煙が巻き込まれる現象(ダウンウォッシュ)が発生して、地表付近に高濃度が生じる可能性がある。この場合、予測を行い、ダウンウォッシュの影響を確認することは有効である。
      5.    ⑤ダウンドラフト
            煙突風上や風下側の構造物、地形によって発生する渦に排出ガスが引き込まれ、地表面付近が高濃度になる可能性がある。この場合、予測を行い、ダウンドラフトの影響を確認することは有効である。
    2.   (b) 予測地点、範囲
          短期平均濃度の予測は、調査対象地域の半径として定めた距離までの風下側について行うこととし、最大着地濃度地点を含むように設定する。
    3.   (c) 予測手法
          (a)で抽出した予測ケースごとに、適切な予測式(有効煙突高計算式、拡散計算式)を用い、数値シミュレーションにより予測を行う。また、NOxからNO2への変換式としては、安全側の観点からNOXが全てNO2に変換するという考え方を採用してもよい。
          なお、規模の大きな施設や施設周辺が複雑地形となっている場合については、必要に応じて風洞実験等の他の予測手法を導入し、建屋や周辺地形の影響を確認することは有効である。
    4.   (d) 予測条件
      1.    ①事業計画の条件
            長期平均濃度予測に用いる条件と同様である。
            なお、長期平均濃度予測では、年間の運転計画をもとに、年間の平均的な排ガス諸元等を整理することとなるが、短期平均濃度予測では、影響が最大となると想定される排ガス諸元を整理することとなる。
      2.    ②気象条件
            (a)で抽出した予測ケースごとに、高濃度が予測される気象条件を抽出する。
        •    ・一般的な気象条件:風速、大気安定度
        •    ・上層逆転層発生時:逆転層下面高度、風速、大気安定度
        •    ・煙突によるダウンウォッシュ:風速、大気安定度
              これらの条件設定にあたっては、気象等の現況把握の結果を積極的に活用する。
           ただし、上層気象調査等を実施しない場合や、短期間の現地調査であることを考慮し、安全側の設定に配慮することが必要である。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a. 長期平均濃度予測
    1.    (a) 最大着地濃度とその出現位置
    2.    (b) 煙突排ガスによる濃度とバックグラウンド濃度を重合した将来濃度
    3.    (c) 常時監視測定局,現地調査地点等の特定の位置における濃度
    4.    (d) 平面濃度分布図
  2.   b. 短期平均濃度予測
    1.    (a) 最大着地濃度とその出現位置
    2.    (b) 着地濃度の距離減衰図
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   煙突排ガスによる大気汚染の影響の分析は、長期平均濃度及び短期平均濃度の予測結果を踏まえ、大気環境への影響が実行可能な範囲で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な大気汚染防止対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
       大気汚染防止対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 排ガス処理対策:大気汚染物質ごとの適正な処理設備の設置、法令等に基づく排出濃度の遵守等
    2.    (b) ダイオキシン対策:完全燃焼の確保、排ガス処理の適正化、排ガス濃度等の管理等
    3.    (c) その他の対策:高煙突化、安定した吐出速度の確保等
    4.    (d) 監視計画:発生源、周辺大気環境の監視計画と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、長期平均濃度及び短期平均濃度について、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 環境基準が定められている項目(SO2、NO2、SPM、ダイオキシン類)
      1.     ①環境基本法に基づく環境基準
             環境基準を目標とする場合には、年平均値及びNO2の1時間値の環境基準が定められていないため、予測結果と対比できるように換算値を求めることが必要である。
      2.     ②ダイオキシン類対策特別措置法に基づく環境基準
    2.    (b) 環境基準が定められていない項目
      1.     ①塩化水素の排出基準設定の根拠となった目標環境濃度(0.02ppm)(環大規第136号、昭和52 年6 月16 日)
      2.     ②その他、項目ごとの科学的知見
             なお、地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それに留意する。
             生活環境の保全上の目標と対比する場合の考え方は、次のとおりとする。
             長期平均濃度に関しては、煙突排ガスによる濃度とバックグラウンド濃度を重合した将来濃度について、目標と対比する。ただし、バックグラウンド濃度が目標を既に超えている地域もあり、そのような場合には、煙突排ガスの影響割合が目標値や将来濃度の何パーセントを占めるのかを明らかにし、環境基準等の目標の達成・維持に支障となるか否かという相対的評価をもって検討する。
             短期平均濃度に関しては、予測に用いた気象条件と同一条件でのバックグラウンド濃度の設定が一般に困難であり、煙突排ガスによる濃度と目標との対比により検討する。
             なお、環境基準等の内容を資料編2-1に示す。

(2) 廃棄物運搬車両による影響

 ア. 調査対象地域

   廃棄物運搬車両による影響の調査対象地域は、その走行によって交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道の周辺の人家等が存在する地域とする。一般的には事業予定地から1㎞~2㎞の範囲の搬入ルートを調査対象地域として設定している事例が多いが、運搬車両台数、現況交通量に対する寄与率、道路沿道周辺の人家等の状況を勘案して、適切に設定する必要がある。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の大気汚染の状況、気象の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した大気汚染の状況、及び気象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 大気汚染の状況
    1.   (a) 二酸化窒素(NO2
          窒素酸化物(NOX)、一酸化窒素(NO)についても併せて調査する。
    2.   (b) 浮遊粒子状物質(SPM)
  2.   b. 気象の状況
        地上気象の状況(風向、風速、その他必要な項目)は、長期平均濃度予測の条件として必要となるため、原則として把握することとする。ただし、長期平均濃度の予測を行わず、簡易な予測手法を用いる場合には省略することできる。
  3.   c. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 人家等
    3.    (c) 交通量の状況
    4.    (d) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととし、大気汚染については最新年度の状況を把握するとともに、必要に応じて過去5年間程度の経年変化の状況も整理する。常時監視測定局や気象管署以外の既存の文献、資料を用いる場合は、当該データに関する測定方法や測定機器の管理状態なども勘案する必要がある。
   既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行い補完する。
   なお、地上気象データについては、「(1) 煙突排ガスによる影響」の項で示した年間の測定結果を活用することを基本とする。
   大気汚染の現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。調査方法の詳細を資料編2-2に、また、既存文献、資料の例を資料編2-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 大気汚染の状況
          大気汚染の現地調査地点は、廃棄物運搬車両の走行による影響が大きくなると想定される沿道の地点とする。
    2.   (b) 交通量の状況
          大気汚染の現地調査地点の前面を通過する交通量が把握できるように、調査地点を設定する。
  2.   b. 調査時期
    1.   (a) 大気汚染の状況
          調査時期は、少なくとも寒候期に1回,1~2週間程度とする。
    2.   (b) 交通量の状況
          一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
         <調査時期>
          原則として平日の1日間の測定(休日にも廃棄物運搬車両が走行する場合は、平日・休日の2日間)
         <調査時間帯>
          7時~19時の12時間交通量(廃棄物運搬車両による大気汚染の影響を予測する場合には、夜間を含めた24時間交通量を把握する必要がある。)
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 大気汚染の状況
          二酸化窒素(NO2(NOX、NO も含む)等)の調査方法は、「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53 年環境庁告示第38 号)による。また、浮遊粒子状物質の調査方法は「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48 年環境庁告示第25 号)による。
    2.   (b) 交通量の状況
          カウンター計測による。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 大気汚染の状況
    1.    (a) 大気質の現況(年平均値等の年間測定結果,現地調査期間の測定結果)
    2.    (b) 環境基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目(年変化、日変化等)
  2.   b. 気象の状況
    1.    (a) 風向、風速の出現頻度(風配図等)
    2.    (b) その他必要な項目
  3.   c. 交通量の状況
    1.    (a) 時間帯別車種別交通量、大型車混入率
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行による影響については、年間の平均的な影響を予測する長期平均濃度予測を行う。気象の状況をモデル化し、数値シミュレーション等により定量的な予測を行う。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働と廃棄物の運搬が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   予測項目(長期平均濃度予測)は二酸化窒素(NO2)及び浮遊粒子状物質(SPM)とする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点は現地調査地点に準じる。道路端から概ね100mまでの範囲について予測を行う。
  2.   b. 予測手法
        廃棄物運搬車両の走行による濃度の予測は、拡散計算式により行う。さらに、NO2の予測にあたっては、拡散計算式により得られるNOX濃度をNO2濃度へ変換する必要がある。
        一般的な予測手法は次のとおりであり、これら以外の手法であっても、これらと同等以上の予測精度を有する適切な手法がある場合は、その手法を用いてもよい。予測式の内容を資料編2-4に示す。
        また、これにより求めた廃棄物運搬車両による濃度及び一般交通による濃度を、地域の将来における環境濃度(バックグラウンド濃度)と重合して将来濃度を予測することになる。
    1.   (a) 拡散計算式
      •    ・JEA 式
      •    ・有風時:プルーム式、無風・弱風時:パフ式
    2.   (b) NOXからNO2への変換式
          次の式の中から選択する。
      •    ・統計モデル
      •    ・指数近似モデル
      •    ・定常近似モデル
          なお、廃棄物運搬車両台数が少ない場合等には、車両からの大気汚染物質排出量を算出することによる、簡易な方法を用いてもよい。
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・廃棄物運搬計画(主要搬入道路、年間運搬日数、運搬時間帯、時間帯別車種別台数等)
      •    ・その他(年式、等価慣性重量等)
    2.   (b) 気象条件
          現況把握により得られた地上気象調査結果を基に、用いる予測式に応じて気象条件を整理する。
    3.   (c) 一般交通量
          現況交通量を基に、地域の動向を考慮して、予測対象時期における一般交通量を設定する。
    4.   (d) 排出係数
          廃棄物運搬車両及び一般交通の走行に伴って排出される、大気汚染物質排出原単位(排出係数:g/台・㎞)を設定する。
    5.   (e) 将来濃度
          廃棄物運搬車両による濃度と一般交通による濃度を、将来の一般環境の濃度(バックグラウンド濃度)に重合して、将来濃度を予測する。バックグラウンド濃度の設定にあたっては、国や地方公共団体等による環境保全施策等の効果を見込んだ推定値が得られる場合には、それを用いる。将来の環境の状態を推定することが困難な場合には、現在の環境の状態とする。なお、道路沿道の現況濃度測定値に、廃棄物運搬車両による濃度を重合して将来濃度を求める方法もある。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大濃度とその出現位置
  2.   b 濃度の距離減衰図
  3.   c 廃棄物運搬車両による濃度,一般交通による濃度,及びバックグラウンド濃度を重合した将来濃度
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行による大気汚染の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、大気環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な大気汚染防止対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        大気汚染防止対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 発生源対策:最新排ガス規制適合車や低公害車など、より低公害な車両への代替等
    2.    (b) 運搬方法の対策:運搬ルートの選定,運行管理等
    3.    (c) 監視計画:運搬車両台数の記録,道路沿道濃度の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の生活環境の保全上の目標は、環境基本法に基づく環境基準とし、分析は予測結果と対比すること等の方法により行う。
        ただし、環境基準は年平均値について定められていないため、予測結果と対比できるように換算値を求めることが必要である。
        なお、地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
        生活環境の保全上の目標と対比する場合の考え方は、次のとおりとする。
        廃棄物運搬車両による濃度、一般交通による濃度、及びバックグラウンド濃度を重合した将来濃度について、目標と対比する。ただし、バックグラウンド濃度あるいはそれに一般交通を加えた濃度が目標を既に超えている地域もあり、そのような場合には、廃棄物運搬車両の影響割合が目標値や将来濃度の何パーセントを占めるのかを明らかにし、環境基準等の目標の達成・維持に支障となるか否かという相対的評価をもって検討する。
        なお、環境基準等の内容を資料編2-1に示す。

3. 騒音

(1) 施設の稼働による影響

 ア. 調査対象地域

   施設の稼働による影響の調査対象地域は、対象施設から発生する騒音が距離減衰式等により相当程度変化すると考えられる地域であって、人家等が存在する地域とし、敷地境界からおおむね100mまでの範囲とする。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   調査対象地域内の騒音の状況の現況把握については、原則として現地調査により行うこととする。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。また、自然的条件及び社会的条件については、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した騒音の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 騒音の状況
        騒音レベル(等価騒音レベルLAeq及びL50,L5,L95)とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 人家等
    3.    (c) 主要な発生源
    4.    (d) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として現地調査により行う。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編3-2に、既存文献、資料の例を資料編3-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
        騒音の現地調査は、対象施設の配置、機器の配置、敷地境界条件等を考慮し、騒音の影響が大きくなると想定される敷地境界上及び周辺の人家等の位置とする。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、調査対象地域の代表的な騒音の状況が把握できる時期とする。
        調査時間帯については、施設による騒音の発生時間帯及び環境基準に係る時間区分を考慮し、騒音の影響が大きいと想定される時間帯を設定する。
        一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
       <調査時期>
        原則として平日の1日間の測定(休日にも稼働する施設であって、騒音の状況に週間の変動がある場合は、平日・休日の2日間)
       <調査時間帯>
        LAeqの測定は、時間帯区分ごとの全時間を通じての連続測定を行うことが考えられるが、騒音レベルの変動等の状況に応じて、実測時間を短縮することも可能である。この場合、連続測定した場合と比べて統計的に十分な精度を確保しうる範囲内で適切な実測時間を定めることが必要である。
        また、L50,L5,L95については次のとおりとする。
        昼間2回、朝・夕各1回の計4回以上(夜間稼働無しの場合)
        昼間2回、朝・夕各1回、夜間2回の計6回以上(夜間稼働有りの場合)
        (いずれも覚醒及び就眠の時刻に注目して測定する。)
  3.   c. 調査方法
        調査方法は、JIS Z 8731「騒音レベル測定方法」等に基づいてLAeqを測定するほか、必要に応じて、騒音レベルの中央値(L50)及び90%レンジの上下端値(L5,L95)も求める。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 騒音の状況
    1.    (a) 騒音レベルの状況(時間帯別測定結果)
    2.    (b) 環境基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   施設の稼働に伴い発生する工場騒音を、数値計算による定量的な手法を中心に予測する。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   工場騒音レベルとする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点、範囲は現況把握と同様に考え、影響が大きくなると想定される敷地境界上及び周辺の人家等の地点とする。また、騒音の平面分布を予測する必要がある場合には、調査対象地域内において平面計算を行う。
  2.   b. 予測手法
        次の手法のうちから適切なものを選択する。予測式の内容を資料編3-4に示す。
    1.    (a) 理論モデル(伝播理論式等)
    2.    (b) 類似事例からの推定
    3.    (c) その他適切な手法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・施設の配置及び建築計画(敷地境界条件、建屋壁面の諸元、透過損失等)
      •    ・運転計画(年間運転日数、運転時間帯等)
      •    ・音源条件(設備機器の種類、数、パワーレベル、配置等)
      •    ・保全対策(植栽、フェンス等)
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大値とその出現位置
  2.   b 工場騒音レベル予測結果の分布図(平面計算の場合は等レベル線図)
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   施設の稼働による騒音の影響の分析は、予測結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な騒音対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        騒音対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 発生源対策:騒音発生源(機器設備)ごとの防音対策、規制基準の遵守等
    2.    (b) その他の対策:施設(機器)配置の考慮、発生機器のユニット化、高遮音材の採用、遮音壁の設置等
    3.    (c) 監視計画:敷地境界や周辺地点における騒音の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 環境基本法に基づく環境基準
    2.    (b) 騒音規制法または都道府県等の公害防止条例に基づく規制基準
    3.    (c) その他の科学的知見
           地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
           設定した生活環境の保全上の目標と予測値を対比して整合性を検討する。ただし、環境騒音(暗騒音)が目標を既に超えているような場合には、環境騒音に施設の騒音を付加することによる騒音レベルの変化量を求め、目標の達成、維持に支障となるか否かという観点からも検討する。
           なお、環境基準等の内容を資料編3-1に示す。

(2) 廃棄物運搬車両による影響

 ア. 調査対象地域

   廃棄物運搬車両による影響の調査対象地域は、その走行によって、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道の周辺の人家等が存在する地域とする。一般的には事業予定地から1km~2kmの範囲の搬入ルートを調査対象地域として設定している事例が多いが、運搬車両台数、現況交通量に対する寄与率、道路沿道周辺の人家等の状況を勘案して、適切に設定する必要がある。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の道路交通騒音の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した騒音の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 騒音の状況
        道路交通騒音レベル(等価騒音レベル)とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 人家等
    3.    (c) 交通量の状況
    4.    (d) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合には現地調査を行い補完する。現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編3-2に、既存文献、資料の例を資料編3-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 騒音の状況
          騒音の現地調査地点は、廃棄物運搬車両の走行による影響が最も大きくなると想定される沿道の地点とする。
    2.   (b) 交通量の状況
          道路交通騒音調査地点の前面を通過する交通量が把握できるように、調査地点を設定する。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、代表的な騒音の状況が把握できる時期とする。
        調査時間帯については、廃棄物運搬車両が走行する時間帯及び環境基準に係る時間区分を考慮し、騒音の影響が大きいと想定される時間帯を設定する。
        一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
       <調査時期>
        原則として平日の1日間の測定(休日にも廃棄物運搬車両が走行する計画であって、騒音の状況に週間の変動がある場合は、平日・休日の2日間)
       <調査時間帯>
        LAeqの測定は、時間帯区分ごとの全時間を通じての連続測定を行うことが考えられるが、騒音レベルの変動等の状況に応じて、実測時間を短縮することも可能である。この場合、連続測定した場合と比べて統計的に十分な精度を確保しうる範囲内で適切な実測時間を定めることが必要である。
        交通量については、7 時~19 時の12 時間交通量を基本とするが、夜間に廃棄物の搬入を行う計画となっている場合には、24 時間交通量とする。
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 道路交通騒音の状況
          「(1) 施設の稼働による影響」と同様に、JIS Z 8731「騒音レベル測定方法」等による。
    2.   (b) 交通量
          カウンター計測による。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 騒音の状況
    1.    (a) 騒音レベルの状況(時間帯別測定結果)
    2.    (b) 環境基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目
  2.   b. 交通量の状況
    1.    (a) 時間帯別車種別交通量、大型車混入率
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   廃棄物運搬車両による騒音への影響を、数値計算による定量的な手法を中心に予測する。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働と廃棄物の運搬が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   道路交通騒音レベルとする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点は現地調査地点に準じる。道路端からおおむね100mまでの範囲について予測を行う。
  2.   b. 予測手法
        次の手法のうちから適切なものを選択する。なお、予測は、対象道路を一般交通のみが走行している場合と、それに廃棄物運搬車両を付加した場合の各々について行う。予測式の内容を資料編3-4に示す。
    1.    (a) 理論モデル(ASJ RTN-Model 2003)
    2.    (b) その他適切な手法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      1.    ①廃棄物運搬計画(主要搬入道路、年間運搬日数、運搬時間帯、時間帯別車種別台数等)
    2.   (b) 一般交通量
          現況交通量を基に、地域の動向を考慮して、予測対象時期における一般交通量を設定する。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大値とその出現位置
  2.   b 道路交通騒音レベルの距離減衰図
  3.   c 廃棄物運搬車両を付加することによる騒音レベルの上昇量
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行による騒音の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な騒音対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        騒音対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 発生源対策:より低騒音な車両への代替等
    2.    (b) 運搬方法の対策:運行ルートの選定、運行管理等
    3.    (c) 監視計画:運搬車両台数の記録、道路交通騒音の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 環境基本法に基づく環境基準
    2.    (b) その他の科学的知見
          地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。ただし、一般交通のみによる予測値が目標を既に超えているような場合には、廃棄物運搬車両を付加することによる騒音レベルの上昇量を明らかにし、目標の達成、維持に支障となるか否かという観点からも検討する。
          なお、環境基準等の内容を資料編3-1に示す。

4. 振動

(1) 施設の稼働による影響

 ア. 調査対象地域

   施設の稼働による影響の調査対象地域は、騒音と同様の考え方により設定する。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   調査対象地域内の環境振動の状況の現況把握については、原則として現地調査により行うこととする。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。また、自然的条件及び社会的条件については、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した振動の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 振動の状況
        振動レベル(L10,L50,L90)とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 地盤性状
    3.    (c) 人家等
    4.    (d) 主要な発生源
    5.    (e) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として現地調査により行う。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編4-2に、既存文献、資料の例を資料編4-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
        振動の現地調査は、対象施設の配置、機器の配置、敷地境界条件等を考慮し、振動の影響が大きくなると想定される敷地境界上及び周辺の人家等の位置とする。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、調査対象地域の代表的な振動の状況が把握できる時期とする。
        調査時間帯については、施設による振動の発生時間帯及び振動規制法に係る時間区分を考慮し、振動の影響が大きいと想定される時間帯を設定する。
        一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
       <調査時期>
        原則として平日の1日間の測定(休日にも稼働する施設であって、振動の状況に週間の変動がある場合は、平日・休日の2日間)
       <調査時間帯>
        昼間4回以上(夜間稼働無しの場合)
        昼間4回、夜間4回の計8回以上(夜間稼働有りの場合)
  3.   c. 調査方法
        振動の測定は、JIS Z 8735「振動レベル測定方法」に基づいて行い、振動レベルの80%レンジの上下端値(L10,L90)及び中央値(L50)を求める。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a 振動レベルの状況(時間帯別測定結果)
  2.   b 規制基準等の環境目標の適合状況
  3.   c その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   施設の稼働に伴い発生する工場振動を、数値計算による定量的な手法を中心に予測する。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   工場振動レベルとする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点、範囲は、現況把握と同様に考え、影響が大きくなると想定される敷地境界上及び周辺の人家等の地点とする。また、振動の平面分布を予測する必要がある場合には、調査対象地域内において平面計算を行う。
  2.   b. 予測手法
        次の手法のうちから適切なものを選択する。予測式の内容を資料編4-4に示す。
    1.    (a) 理論モデル(伝播理論式等)
    2.    (b) 類似事例からの推定
    3.    (c) その他適切な手法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・施設の配置及び建築計画(敷地境界条件、防振対策等)
      •    ・運転計画(年間運転日数、運転時間帯等)
      •    ・振動源条件(設備機器の種類、数、振動レベル、配置等)
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大値とその出現位置
  2.   b 工場振動レベル予測結果の分布図(平面計算の場合は等レベル線図)
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   施設の稼働による振動の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な振動対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        振動対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 発生源対策:振動発生源(機器設備)ごとの防振対策、規制基準の遵守等
    2.    (b) その他の対策:施設(機器)配置の考慮、発生機器のユニット化、防振構造の採用等
    3.    (c) 監視計画:敷地境界や周辺地点における振動の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 振動規制法または都道府県等の公害防止条例に基づく規制基準
    2.    (b) 大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度
    3.    (c) その他の科学的知見
          地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、整合性を検討する。
          なお、法令に基づく基準等の内容を資料編4-1に示す。

(2) 廃棄物運搬車両による影響

 ア. 調査対象地域

   廃棄物運搬車両による影響の調査対象地域は、騒音と同様の考え方により設定する。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の道路交通振動の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した振動の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 振動の状況
        道路交通振動レベル(L10,L50,L90)とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 地盤性状(地盤卓越振動数)
    3.    (c) 人家等
    4.    (d) 交通量の状況
    5.    (e) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合には現地調査を行い補完する。現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編4-2に、既存文献、資料の例を資料編4-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 振動の状況
          振動の現地調査地点は、廃棄物運搬車両の走行による影響が最も大きくなると想定される沿道の地点とする。
    2.   (b) 交通量の状況
          道路交通振動調査地点の前面を通過する交通量が把握できるように、調査地点を設定する。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、代表的な振動の状況が把握できる時期とする。
        調査時間帯については、廃棄物運搬車両が走行する時間帯及び振動規制法に係る時間区分を考慮し、振動の影響が大きいと想定される時間帯を設定する。
        一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
       <調査時期>
        原則として平日の1日間の測定(休日にも廃棄物運搬車両が走行する計画であって、振動の状況に週間の変動がある場合は、平日・休日の2日間)
       <調査時間帯>
        道路交通振動:7時~19時の12時間帯
        交通量:7時~19時の12時間交通量
        地盤卓越振動数:道路交通振動調査に合わせて実施
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 道路交通振動
          「(1) 施設の稼働による影響」と同様に、JIS Z 8735「振動レベル測定方法」による。
    2.   (b) 交通量
          カウンター計測による。
    3.   (c) 地盤卓越振動数
          「道路環境影響評価の技術手法」((財)道路環境研究所)等による。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 振動の状況
    1.    (a) 振動レベルの状況(時間帯別測定結果)
    2.    (b) 規制基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目
  2.   b. 交通量の状況
    1.    (a) 時間帯別車種別交通量、大型車混入率
  3.   c. 地盤性状
    1.    (a) 地盤卓越振動数
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行に伴い発生する振動への影響を、数値計算による定量的な手法を中心に予測する。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働と廃棄物の運搬が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   道路交通振動レベル(L10)とする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点は現地調査地点に準じる。道路端からおおむね100mまでの範囲について予測を行う。
  2.   b. 予測手法
        次の手法のうちから適切なものを選択する。なお、予測は、対象道路を一般交通のみが走行した場合と、それに廃棄物運搬車両を付加した場合の各々について行う。予測式の内容を資料編4-4に示す。
    1.    (a) 理論モデル(建設省土木研究所提案式、INCE/J RTV-model 2003 等)
    2.    (b) その他適切な手法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
      1.    ①廃棄物運搬計画(主要搬入道路、年間運搬日数、運搬時間帯、時間帯別車種別台数等)
    2.   (b) 一般交通量
          現況交通量を基に、地域の動向を考慮して、予測対象時期における一般交通量を設定する。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大値とその出現位置
  2.   b 道路交通振動レベルの距離減衰図
  3.   c 廃棄物運搬車両を付加することによる振動レベルの上昇量
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行による振動の影響の分析は、予測結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な振動対策が採用されているか否かについて検討すること等により行う。
        振動対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 運搬方法の対策:運搬ルートの選定、運行管理等
    2.    (b) 監視計画:運搬車両台数の記録、道路交通振動の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 振動規制法に基づく道路交通振動の限度
    2.    (b) 大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度
    3.    (c) その他の科学的知見
           地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
           設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。
           なお、法令に基づく基準等の内容を資料編4-1に示す。

5. 悪臭

  焼却施設に関する悪臭の検討は、煙突排ガスによる影響及び施設からの悪臭の漏洩による影響について行う。

 ア. 調査対象地域

   煙突排ガスによる影響の調査対象地域は、大気質と同様の考え方で設定する。
   施設からの悪臭の漏洩による影響については、対象施設周辺の人家等が存在する地域とする。

 イ. 現況把握

 (ア)現況把握の基本的考え方

   調査対象地域内の悪臭の状況の現況把握については、原則として現地調査により行うこととする。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。また、自然的条件及び社会的条件については、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した悪臭の状況、及び気象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 悪臭の状況
        特定悪臭物質濃度または臭気指数(臭気濃度)のうち、施設の構造及び処理する廃棄物の種類、性状を勘案して必要な項目とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 気象(風向、風速、気温、湿度)
    2.    (b) 土地利用
    3.    (c) 人家等
    4.    (d) 主要な発生源
    5.    (e) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として現地調査により行う。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編5-2に、また、既存文献、資料の例を資料編5-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
        悪臭の現地調査地点は、敷地境界上のほか、影響が大きくなると想定される周辺地域の人家等の位置とする。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、悪臭による生活環境への影響が大きくなると考えられる代表的な時期において、1~2日(時間帯を代表できる数回)とする。
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 特定悪臭物質濃度
          「特定悪臭物質の測定の方法」(S47.5.30 環境庁告示第9号)に定める方法により、特定悪臭物質の大気中濃度を測定する方法
    2.   (b) 臭気指数(臭気濃度)
          「臭気指数及び臭気排出強度の算定の方法」(平成7 年9 月13 日 環境庁告示第63 号)により臭気指数(臭気濃度)を測定する方法
 (エ)現況把握の結果の整理

   悪臭の現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 悪臭の現況(調査結果の一覧)
  2.   b. 法令による基準等との対比
  3.   c. その他必要な項目(試料採取時の気象の状況)

 ウ.予測

 (ア)予測の基本的考え方

   生活環境影響要因の形態に応じて、計算式による定量的な予測、または、類似事例の参照等による定性的な予測を行う。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働が定常的な状態となる時期とする。
   ただし、煙突排ガスによる影響予測については、影響が最大となると想定される稼働条件となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   予測項目は、現況把握と同様に考え、特定悪臭物質濃度または臭気指数(臭気濃度)のうち、必要な項目とする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測手法
    1.   (a) 煙突排ガスによる影響
          煙突排ガスによる悪臭への影響は、大気汚染の短期平均濃度予測と同様に、風速、大気安定度、排ガス量の組合せ等から高濃度が生じる可能性のあるケースを抽出して、プルーム式等の計算式を用いて予測を行う。ただし、大気汚染予測の評価時間が1時間値であるのに対して、悪臭はさらに短時間の平均濃度で評価する必要があり、このような評価時間の違いを考慮することとする。詳細な内容を資料編5-4に示す。臭突による影響についても同様な手法を用いる。
    2.   (b) 施設からの悪臭の漏洩による影響
          施設からの悪臭の漏洩による影響は、類似事例の参照及び悪臭防止対策の内容を勘案して予測する。
  2.   b. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・廃棄物の種類及び性状
      •    ・施設の配置及び建築計画
      •    ・煙突の諸元(煙突実体高、形状等)
      •    ・排ガス諸元(排ガス量、排ガス温度、排出濃度(特定悪臭物質、臭気排出強度など)等)
      •    ・運転計画(年間運転日数、運転時間帯等)
    2.   (b) 気象条件
          煙突排ガスによる影響については、大気汚染の短期平均濃度予測と同様に、抽出した予測ケースごとに、高濃度が予測される気象条件を設定する。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a. 煙突排ガスによる影響
    1.    (a) 最大着地濃度とその出現位置
    2.    (b) 着地濃度の距離減衰図
  2.   b. 施設からの悪臭の漏洩による影響
    1.    (a) 類似事例調査結果と法令による基準等との対比

 エ. 影響の分析

 (ア)分析の基本的考え方

   悪臭の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な悪臭防止対策が採用されている否かについて検討すること等の方法により行う。
        悪臭防止対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 排ガスの悪臭防止対策:高温焼却による分解、法令等に基づく排出濃度の遵守等
    2.    (b) 施設の悪臭防止対策:建屋の密閉化、エアーカーテン、オートドア、法令等に基づく規制基準の遵守等
    3.    (c) 車両の悪臭防止対策:車両の構造、洗車装置等
    4.    (d) 運搬方法の対策:運搬ルートの選定、運行管理等
    5.    (e) 監視計画:排出濃度の記録、敷地境界や周辺地点における悪臭の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比する
    こと等により行う。
    1.    (a) 悪臭防止法の規制基準
    2.    (b) 大部分の地域住民が日常生活において感知しない程度
    3.    (c) その他の科学的知見
          なお、地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、整合性を検討する。
          法令に基づく基準等の内容を資料編5-1に示す。

6. 水質

(1) 施設排水を河川に放流する場合の影響

 ア. 調査対象地域

   施設排水を河川に放流する場合の影響の調査対象地域は、水質の濃度に一定程度以上の影響を及ぼすと想定される範囲(河川においては低水量時に排出水が100 倍に希釈される地点を含む流域とする)を考慮して設定する。設定にあたっては、当該地域の水象のほか、行政区域、地形、土地利用、水利用の状況も勘案する。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の水質汚濁の状況、水象の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した水質汚濁の状況及び水象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 水質汚濁の状況
    1.    (a) 浮遊物質量(SS)
    2.    (b) 生物化学的酸素要求量(BOD)
    3.    (c) 化学的酸素要求量(COD)
          調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合。
    4.    (d) ダイオキシン類
    5.    (e) その他必要な項目
      •    ・全りん(T-P)、全窒素(T-N)
            調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合であって、かつ環境基準の設定もしくは排水規制が実施されている水域の場合。
      •    ・健康項目
            測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
      •    ・水道水質基準項目
            周辺に水道水源がある場合。測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
  2.   b. 水象の状況
        以下に掲げる項目のうち、影響の検討において必要な項目
    1.   (a) 河川の流況
          低水流量、平水流量、流速、流達時間等
    2.   (b) 河川の形態
          形状、延長、勾配、流域面積等
    3.   (c) その他必要な項目
          自浄係数等
  3.   c. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 水利用(漁業権を含む)
    2.    (b) 主要な発生源
    3.    (c) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととする。既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行い補完する。
   調査方法の詳細を資料編6-2に、既存文献、資料の例を資料編6-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 水質汚濁の状況
          放流位置、水域の特性等を考慮し、水質の状況を適切に把握できる地点とする。調査地点の例を以下に示す。
      •    ・放流水が河川に流入した後、十分に混合する地点及び流入前の地点
      •    ・支川が合流後、十分に混合する地点及び合流前の本川または支川の地点
      •    ・調査対象地域下流端付近の地点
      •    ・利水地点
            利水地点は基本的に水道水源とするが、農業等に支障が生じると考えられる場合は、農業用水等の取水地点においても調査を行う。
      •    ・環境基準点
    2.   (b) 水象の状況
          水質汚濁の状況の調査地点に準じて設定する。
  2.   b. 調査時期
        現況把握の期間及び時期は、調査項目の特性や地域特性等を考慮し、最低1回以上(低水流量時、不明の場合は低水流量時に近い時期)とする。また、年間変動が予想される項目については、最低2回以上(低水流量時・豊水流量時、不明の場合は各時点に近い時期)とする。
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 水質汚濁の状況
          採水方法については「水質調査方法」(昭和46 年環境庁水質保全局)に準拠する。また、分析方法については「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46 年環境庁告示第59 号)、「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(平成15 年厚生労働省告示第261 号)に定める方法に準拠する。
    2.   (b) 水象の状況
          「水質調査方法」(昭和46 年環境庁水質保全局)に準拠する。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 水質の現況(年平均値等の年間測定結果、現地調査期間の測定結果)
  2.   b. 環境基準等の環境目標の適合状況
  3.   c. その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   放流水による影響の程度を把握するため、対象事業の施設の構造及び維持管理に異常がない状態を前提として、一般的に用いられている予測手法により予測を行う。定量的な予測が可能な項目については計算により、それが困難な項目については同種の既存事例からの類推等により行うものとする。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、水質に及ぼす影響が最大となると予想される時期とする。
   なお、放流水の水質が長期的に変化することが予想される場合は、必要に応じて中間的な時期での予測を行う。

 (ウ)予測項目

   予測項目は、次のとおりとする。

  1.   a 浮遊物質量(SS)
  2.   b 生物化学的酸素要求量(BOD)
  3.   c 化学的酸素要求量(COD)
       調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合。
  4.   d ダイオキシン類
  5.   e その他必要な項目
    •   ・全りん(T-P)、全窒素(T-N)
         調査対象地域に湖沼、海域が含まれ、かつ環境基準の設定もしくは排水規制が実施されている水域の場合。
    •   ・健康項目
         事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
    •   ・水道水質基準項目
         周辺に水道水源がある場合。予測項目については、排出先に水道水源がある場合は、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測範囲は、事業特性及び地域特性を勘案し、調査項目ごとに調査対象地域の内から適切に設定する。
        また、予測範囲内における予測地点は、保全すべき対象、地域を代表する地点等への影響を的確に把握できる地点を設定する。
  2.   b. 予測手法
        予測手法は、生活環境影響調査項目に係る影響の程度を考察する上で必要な水準が確保されるよう、排水量、排出先の水域の特性を考慮し、以下に示す手法から適切なものを選定する。
        なお、これら以外の手法であっても、これらの手法と同等以上の予測精度を有する適切な手法がある場合は、その手法を用いても差し支えない。
        参考として、河川における定量的予測手法の選定フローを図2-1に掲げる。
        予測式の内容を資料編6-4に示す。
    1.   (a) 定量的手法
      •    ・非感潮河川
            完全混合式、ストリータ・フェルプス式、南部の式、数値シミュレーション(二次元単層定常モデル)
      •    ・感潮河川
            ケッチャムの方法、プレディの方法、水域分割混合モデル、数値シミュレーション(二次元単層非定常モデル)

      図:図2-1 施設排水による河川水質予測の手法選定フロー

      図2-1 施設排水による河川水質予測の手法選定フロー

    2.   (b) 定性的手法
          類似事例による予測、排出負荷量の予測
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          水質汚濁の予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・廃棄物の種類及び性状
      •    ・施設の能力及び排水量
      •    ・排水処理フロー
      •    ・排水の水質
      •    ・排水の放流先
    2.   (b) 将来の生活環境の状態の設定
          予測にあたっては、地域における将来の水質、水象等の状態を勘案して行う。国や地方公共団体等による生活環境保全措置等の効果を見込んだ推定値が得られる場合にはそれを用いる。将来の環境の状態を推定することが困難な場合等には、現在の環境の状態とする。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 地点別将来濃度と最大値
  2.   b 施設排水による濃度の変化量
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   施設排水による水質汚濁の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、水環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な水質汚濁防止対策が採用されているか否かについて検討すること等により行う。
        水質汚濁防止対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 排水処理対策:汚濁物質ごとの適正な処理設備の設置、法令等に基づく排出濃度の遵守等
    2.    (b) 監視計画:排出水、公共用水域の水質の監視計画と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.   (a) 環境基本法に基づく環境基準
          環境基準の水域類型指定が行われている場合は、環境基準を目標とする。水域類型指定が行われていない場合は、下流河川の類型指定及び当該地域の現況を勘案し、当該地域の現況水質及び下流河川の類型指定と比較して同等以上となるように、適切な類型を設定する。
    2.   (b) 水道水質基準
          排出先に水道水源がある場合は、水道水質基準との適合状況をまとめる。
    3.   (c) その他の科学的知見
          地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。ただし、バックグラウンド濃度が目標を既に超えている場合には、施設排水による濃度変化の程度を明らかにし、環境基準等の目標の達成・維持に支障となるか否かという相対的評価をもって検討する。
          なお、環境基準等の内容を資料編6-1に示す。

(2) 施設排水を湖沼または海域に放流する場合の影響

 ア. 調査対象地域

   施設排水を湖沼または海域に放流する場合の影響の調査対象地域は、水質の濃度に一定程度以上の影響を及ぼすと想定される範囲(湖沼にあっては、原則として全域とするが、湖沼の大きさと事業規模を勘案して汚濁が一部地域に限定される場合にあっては、汚濁予測域(面積)の5~10 倍程度とする。また海域にあっては、新田式等の概略予測手法により予測される拡散範囲の距離の2 倍程度、面積にして4 倍程度の範囲とする)を考慮して設定する。設定にあたっては、当該地域の水象のほか、行政区域、地形、土地利用、水利用の状況も勘案する。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の水質汚濁の状況、水象の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した水質汚濁の状況及び水象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 水質汚濁の状況
    1.    (a) 浮遊物質量(SS)
    2.    (b) 化学的酸素要求量(COD)
    3.    (c) ダイオキシン類
    4.    (d) その他必要な項目
      •    ・全りん(T-P)、全窒素(T-N)
            調査対象地域において、環境基準の設定もしくは排水規制が実施されている水域の場合。
      •    ・健康項目
            測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
      •    ・水道水質基準項目
            周辺に水道水源がある場合。測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
  2.   b. 水象の状況
        以下に掲げる項目のうち、影響の検討において必要な項目
    1.   (a) 湖沼の流況
          水位、流向・流速、貯水量、流入・流出量、湖沼水の循環・成層の時期、拡散係数
    2.   (b) 湖沼の形態
          形状、水深、面積、流域面積
    3.   (c) 海域の流況
          潮流の流向・流速、潮位、淡水流入量、海水の循環・成層の時期、拡散係数
    4.   (d) 海岸地形
          海岸・海底地形、水深
  3.   c. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 水利用(漁業権を含む)
    2.    (b) 主要な発生源
    3.    (c) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととする。既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行い補完する。
   調査方法の詳細を資料編6-2に、既存文献、資料の例を資料編6-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 水質汚濁の状況
          放流位置、水域の特性等を考慮し、水質の状況を適切に把握できる地点とする。調査地点の例を以下に示す。
         <湖沼の場合>
      •    ・湖心
      •    ・放流水が湖沼に流入した後、十分に混合する地点
      •    ・河川水が流入した後、十分混合する地点
      •    ・湖沼水の流出地点等
      •    ・利水地点
            利水地点は基本的に水道水源とするが、農業等に支障が生じると考えられる場合は、農業用水等の取水地点においても調査を行う。
      •    ・環境基準点
         <海域の場合>
          当該海域の地形、潮流、利水状況、水域利用の状況、主要な河川水の流入状況を考慮し、当該海域の汚染状況を総合的に把握できる地点とする(測定層は2層もしくは3層)。
  2.   b. 調査時期
        現況把握の期間及び時期は、調査項目の特性や地域特性等を考慮し、原則として通年調査(月1回以上)、潮流等の影響により日間水質変動の大きな地点にあっては通日調査も実施する。
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 水質汚濁の状況
          採水方法については「水質調査方法」(昭和46 年環境庁水質保全局)、「海洋観測指針」(平成11 年気象庁)、「湖沼環境調査指針」(昭和57 年社団法人日本水質汚濁研究協会)に準拠する。また、分析方法については「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46 年環境庁告示第59 号)、「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(平成15 年厚生労働省告示第261 号)に定める方法に準拠する。
    2.   (b) 水象の状況
          「水質調査方法」、「海洋観測指針」、「湖沼環境調査指針」に準拠する。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存文献及び資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a 水質の現況(年平均値等の年間測定結果、現地調査期間の測定結果)
  2.   b 環境基準等の環境目標の適合状況
  3.   c その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   放流水による影響の程度を把握するため、対象事業の施設の構造及び維持管理に異常がない状態を前提として、一般的に用いられている予測手法により予測を行う。定量的な予測が可能な項目については計算により、それが困難な項目については同種の既存事例からの類推等により行うものとする。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、水質に及ぼす影響が最大となると予想される時期とする。
   なお、放流水の水質が長期的に変化することが予想される場合は、必要に応じて中間的な時期での予測を行う。

 (ウ)予測項目

   予測項目は、次のとおりとする。

  1.   a 浮遊物質量(SS)
  2.   b 化学的酸素要求量(COD)
  3.   c ダイオキシン類
  4.   d その他必要な項目
    •   ・全りん(T-P)、全窒素(T-N)
         調査対象地域において、環境基準の設定もしくは排水規制が実施されている水域の場合。
    •   ・健康項目
         事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
    •   ・水道水質基準項目
         周辺に水道水源がある場合。予測項目については、排出先に水道水源がある場合は、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測範囲は、事業特性及び地域特性を勘案し、調査項目ごとに調査対象地域の内から適切に設定する。
        また、予測範囲内における予測地点は、保全すべき対象、地域を代表する地点等への影響を的確に把握できる地点を設定する。
  2.   b. 予測手法
        予測手法は、生活環境影響調査項目に係る影響の程度を考察する上で必要な水準が確保されるよう、排水量、排出先の水域の特性を考慮し、以下に示す手法から適切なものを選定する。
        なお、これら以外の手法であっても、これらの手法と同等以上の予測精度を有する適切な手法がある場合は、その手法を用いても差し支えない。
        参考として、海域における定量的予測手法の選定フローを図2-2に掲げる。
        予測式の内容を資料編6-4に示す。
    1.   (a) 定量的手法
      •    ・湖沼
            押し出し流モデル(ピストン流モデル)、完全混合モデル、ヴォーレンバイダーモデル、ボックスモデル、メッシュモデル
      •    ・海域
            ジョセフ・センドナー式、岩井・井上の式、新田の式、平野の方法、円形パッチモデル、連続放流プルームモデル、ボックスモデル、メッシュモデル、水理模型実験

      図:図2-2 施設排水による海域水質予測の手法選定フロー

      図2-2 施設排水による海域水質予測の手法選定フロー

    2.   (b) 定性的手法
          類似事例による予測、排出負荷量の予測
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          水質汚濁の予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・廃棄物の種類及び性状
      •    ・施設の能力及び排水量
      •    ・排水処理フロー
      •    ・排水の水質
      •    ・排水の放流先
    2.   (b) 将来の生活環境の状態の設定
          予測にあたっては、地域における将来の水質、水象等の状態を勘案して行う。国や地方公共団体等による生活環境保全措置等の効果を見込んだ推定値が得られる場合にはそれを用いる。将来の環境の状態を推定することが困難な場合等には、現在の環境の状態とする。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 地点別将来濃度と最大値
  2.   b 施設排水による濃度の変化量
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   施設排水による水質汚濁の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、水環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な水質汚濁防止対策が採用されているか否かについて検討すること等により行う。
        水質汚濁防止対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 排水処理対策:汚濁物質ごとの適正な処理設備の設置、法令等に基づく排出濃度の遵守等
    2.    (b) 監視計画:排出水、公共用水域の水質の監視計画と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.   (a) 環境基本法に基づく環境基準
          環境基準の水域類型指定が行われている場合は、環境基準を目標とする。
          水域類型指定が行われていない場合は、当該地域の現況を勘案し、当該地域の現況水質と比較して同等以上となるように、適切な類型を設定する。
    2.   (b) 水道水質基準
          排出先に水道水源がある場合は、水道水質基準との適合状況をまとめる。
    3.   (c) その他の科学的知見
          地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。ただし、バックグラウンド濃度が目標を既に超えている場合には、施設排水による濃度変化の程度を明らかにし、環境基準等の目標の達成・維持に支障となるか否かという相対的評価をもって検討する。
          なお、環境基準等の内容を資料編6-1に示す。

第3章 最終処分場の生活環境影響調査手法

1. 調査事項

  最終処分場に関する生活環境影響要因と生活環境影響調査項目との関連を整理し、生活環境影響調査項目を選定する。最終処分場は、そこで処分する廃棄物の種類の違いにより「管理型」、「安定型」及び「遮断型」の3つの種類に分けられる。それぞれの施設毎の標準的な項目の例を表3-1に示す。

表3-1 生活環境影響要因と生活環境影響調査項目
管理型:○ 安定型:◎ 遮断型:●

調査事項
生活環境影響要因
施設からの浸透水の流出、または浸出液処理設備からの処理水の放流
最終処分場の存在
施設(浸出液処理設備)の稼働
埋立作業
施設(埋立地)からの悪臭の発生
廃棄物運搬車両の走行
生活環境影響調査項目
陸上埋立
水面埋立
陸上埋立
水面埋立 注1)
大気環境
大気質
粉じん
 
 
 
 
 
○◎
 
 
二酸化窒素(NO2
 
 
 
 
 
 
 
○◎●
浮遊粒子状物質(SPM)
 
 
 
 
 
 
 
○◎●
騒音
騒音レベル
 
 
 
 
○◎●
 
○◎●
振動
振動レベル
 
 
 
 
○◎●
 
○◎●
悪臭
特定悪臭物質濃度
または臭気指数(臭気濃度)
 
 
 
 
 
 
○●
 
水環境
水質
生物化学的酸素要求量(BOD)
注2)
 
 
 
 
 
 
 
化学的酸素要求量(COD) 注3)
注2)
 
 
 
 
 
全りん(T-P)
全窒素(T-N) 注4)
 
 
 
 
 
ダイオキシン類
 
 
 
 
 
 
浮遊物質量(SS)
注2)
 
 
 
 
 
 
その他必要な項目 注5)
 
 
 
 
 
 
地下水
地下水の流れ
 
 
○◎●
 
 
 
 
 
  1. 注1) 水面埋立の処分場においては、処分場の存在そのものが潮流の変化に影響を及ぼす恐れがある場合であって、その影響を考慮する時には、化学的酸素要求量(COD)、全りん(T-P)及び全窒素(T-N)を調査項目として取り上げる。
  2. 注2) 安定型最終処分場については、浸透水が表流水系に放流される場合に限る。
  3. 注3) 化学的酸素要求量(COD)を含む浸出液処理水を、後述する調査対象地域の水域に放流する場合、又はCODを含む浸透水が後述する調査対象地域の水域に放流される場合には、CODを調査項目として取り上げる。
  4. 注4) 全りん(T-P)及び全窒素(T-N)を含む浸出液処理水を、後述する調査対象地域の水域に放流し、かつ当該水域に環境基準もしくは排水規制が実施されている場合には、全りん(T-P)及び全窒素(T-N)を調査項目として取り上げる。
  5. 注5) その他必要な項目とは、処理される廃棄物の種類、性状及び立地特性を考慮して、影響が予測される項目である。水道水質基準項目及び環境基準の健康項目があげられる。
    •   ・ 大気質については、埋立作業及び廃棄物運搬車両の走行による粉じん等の影響があげられる。影響が想定される周辺地域に人家等が存在する場合に調査の対象とする。
    •   ・ 騒音及び振動については、埋立作業時の機械稼働、施設(浸出液処理設備)の稼働及び廃棄物運搬車両の走行による影響があげられる。埋立作業及び施設の稼動については、騒音及び振動が相当程度変化する地域に人家等が存在する場合に調査の対象とする。また廃棄物運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に調査の対象とする。
    •   ・ 悪臭については、施設(埋立地)からの発生による影響があげられる。影響が想定される周辺地域に人家等が存在する場合に対象とする。
    •   ・ 水質については、施設(埋立地)からの浸透水の流出による影響、または施設(浸出液処理設備)からの放流水による影響があげられる。ただし、放流水の影響について、処理水を下水道へ放流するなど、公共用水域への排水を行わない場合には、放流水による水質汚濁の影響は、調査事項から除くことができる。
    •   ・ 地下水については、最終処分場の存在による地下水の水位、流動状況の変化、それに伴う利水面等への影響があげられる。地形・地質、水象等の特性及び地下水の利用状況を踏まえて、地下水の流れに係る影響を受けるおそれがある場合に対象とする。
    •   ・ 施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。

2. 大気質

(1) 埋立作業による影響

 ア. 調査対象地域

   埋立作業に伴う粉じんの飛散による調査対象地域は、対象施設周辺の人家等が存在する地域とする。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の大気汚染の状況、気象の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した大気汚染の状況(粉じん)、及び気象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 大気汚染の状況
    1.    (a) 粉じん
  2.   b. 気象の状況
        地上気象の状況(風向、風速)は、予測の条件として必要となるため、原則として把握することとする。
  3.   c. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 人家等
    3.    (c) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととし、既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行い補完する。ただし、予測及び分析に支障がない場合は現地調査を省略することができる。
   現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。調査方法の詳細を資料編2-2に、また、既存文献、資料の例を資料編2-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 大気汚染の状況
          粉じんの現地調査地点は、事業予定地または周辺の人家等の位置とする。
    2.   (b) 気象の状況
          地上気象調査は、原則として事業予定地にて行う。ただし、事業予定地が地形や建物等によって風向・風速の影響を受け易い場合には、調査範囲を代表する適切な地点を選定する。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、粉じんの発生が想定される時期において、1~2週間程度とする。
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 大気汚染の状況
          ロウボリュームエアサンプラ(JIS Z 8814)(粉じんを測定する場合)、デポジットゲージ、ダストジャーによる捕集方法(降下ばいじんを測定する場合)、「大気汚染に係る環境基準について」(昭和48 年環境庁告示第25 号)(浮遊粒子状物質を測定する場合)等による。
    2.   (b) 気象の状況
          気象の状況は、「地上気象観測指針」(平成14 年3月、気象庁)等に準じて行う。
      •    ・風向、風速
            微風向風速計を用いる。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 大気汚染の状況
    1.    (a) 大気質の現況(粉じん)
    2.    (b) その他必要な項目(季節変化等)
  2.   b. 気象の状況
    1.    (a) 風向、風速の出現頻度(風配図等)
    2.    (b) その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   埋立作業や廃棄物運搬車両による粉じんの飛散の程度を定量化する知見は十分に整備されていない。したがって、類似事例の引用や地域の気象特性を踏まえた上で、粉じん対策を考慮した定性的な予測を行う。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、埋立処分場の供用が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   ・粉じん

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測範囲は、粉じんによる影響が想定される範囲とする。
  2.   b. 予測手法
    •    ・類似事例の引用等
    •    ・ビューフォートの風力階級を用いた風向別・風速階級別出現頻度による定性的予測
    •    ・その他適切な方法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・埋め立てる廃棄物の種類及び性状
      •    ・埋立計画
      •    ・覆土計画
      •    ・施設の配置(主として、外周の植栽、フェンスなど)
      •    ・運転計画(年間運転日数、運転時間帯等)
      •    ・廃棄物運搬計画(主要搬入道路、年間運搬日数、運搬時間帯、時間帯別車種別台数等)
    2.   (b) 気象条件
          現況把握により得られた地上気象調査結果を基に、ビューフォートの風力階級による風向別・風速階級別出現頻度を整理して、予測条件とする。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 類似事例調査結果
  2.   b 粉じん発生が想定される出現頻度
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   粉じんによる大気汚染の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な粉じん対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        粉じん対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 粉じん発生抑制対策:覆土、散水等
    2.    (b) 粉じん飛散防止対策:外周の植栽、フェンス等
    3.    (c) 運搬方法の対策:荷台のシート掛け、車体洗浄、運搬ルートの選定等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等の方法により行う。
    1.    (a) 周辺地域の生活環境に著しい影響を及ぼさないこと。
    2.    (b) その他の科学的知見
          なお、地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。

(2) 廃棄物運搬車両による影響

 ア. 調査対象地域

    廃棄物運搬車両による影響の調査対象地域は、その走行によって交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道の周辺の人家等が存在する地域とする。一般的には事業予定地から1㎞~2㎞の範囲の搬入ルートを調査対象地域として設定している事例が多いが、運搬車両台数、現況交通量に対する寄与率、道路沿道周辺の人家等の状況を勘案して、適切に設定する必要がある。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の大気汚染の状況、気象の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した大気汚染の状況、及び気象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 大気汚染の状況
    1.    (a) 二酸化窒素(NO2
          窒素酸化物(NOX)、一酸化窒素(NO)についても併せて調査する。
    2.    (b) 浮遊粒子状物質(SPM)
  2.   b. 気象の状況
        地上気象の状況(風向、風速、その他必要な項目)は、長期平均濃度予測の条件として必要となるため、原則として把握することとする。ただし、長期平均濃度の予測を行わず、簡易な予測手法を用いる場合には省略することできる。
  3.   c. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 人家等
    3.    (c) 交通量の状況
    4.    (d) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととし、大気汚染については最新年度の状況を把握するとともに、必要に応じて過去5年間程度の経年変化の状況も整理する。常時監視測定局や気象管署以外の既存の文献、資料を用いる場合は、当該データに関する測定方法や測定機器の管理状態なども勘案する必要がある。
   既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行い補完する。
   なお、地上気象データについては、「第2 章 焼却施設の生活環境影響調査手法2.大気質(1) 煙突排ガスによる影響」の項で示した年間の測定結果を活用することを基本とする。
   大気汚染の現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。調査方法の詳細を資料編2-2に、また、既存文献、資料の例を資料編2-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 大気汚染の状況
          大気汚染の現地調査地点は、廃棄物運搬車両の走行による影響が大きくなると想定される沿道の地点とする。
    2.   (b) 交通量の状況
          大気汚染の現地調査地点の前面を通過する交通量が把握できるように、調査地点を設定する。
  2.   b. 調査時期
    1.   (a) 大気汚染の状況
          調査時期は、少なくとも寒候期に1回,1~2週間程度とする。
    2.   (b) 交通量の状況
          一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
         <調査時期>
          原則として平日の1日間の測定(休日にも廃棄物運搬車両が走行する場合は、平日・休日の2日間)
         <調査時間帯>
          7時~19時の12時間交通量(廃棄物運搬車両による大気汚染の影響を予測する場合には、夜間を含めた24時間交通量を把握する必要がある。)
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 大気汚染の状況
          二酸化窒素(NO2(NOX、NO も含む)等)の調査方法は、「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53 年環境庁告示第38 号)による。また、浮遊粒子状物質の調査方法は「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48 年環境庁告示第25 号)による。
    2.   (b) 交通量
          カウンター計測による。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 大気汚染の状況
    1.    (a) 大気質の現況(年平均値等の年間測定結果,現地調査期間の測定結果)
    2.    (b) 環境基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目(年変化、日変化等)
  2.   b. 気象の状況
    1.    (a) 風向、風速の出現頻度(風配図等)
    2.    (b) その他必要な項目
  3.   c. 交通量の状況
    1.    (a) 時間帯別車種別交通量、大型車混入率
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行による影響については、年間の平均的な影響を予測する長期平均濃度予測を行う。気象の状況をモデル化し、数値シミュレーション等により定量的な予測を行う。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働と廃棄物の運搬が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   予測項目(長期平均濃度予測)は二酸化窒素(NO2)及び浮遊粒子状物質とする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点は現地調査地点に準じる。道路端から概ね100mまでの範囲について予測を行う。
  2.   b. 予測手法
        廃棄物運搬車両の走行による濃度の予測は、拡散計算式により行う。さらに、NO2の予測にあたっては、拡散計算式により得られるNOX濃度をNO2濃度へ変換する必要がある。
        一般的な予測手法は次のとおりであり、これら以外の手法であっても、これらと同等以上の予測精度を有する適切な手法がある場合は、その手法を用いてもよい。予測式の内容を資料編2-4に示す。
        また、これにより求めた廃棄物運搬車両による濃度及び一般交通による濃度を、地域の将来における環境濃度(バックグラウンド濃度)と重合して将来濃度を予測することになる。
    1.   (a) 拡散計算式
      •    ・JEA 式
      •    ・有風時:プルーム式、無風・弱風時:パフ式
    2.   (b) NOXからNO2への変換式
          次の式の中から選択する。
      •    ・統計モデル
      •    ・指数近似モデル
      •    ・定常近似モデル
      なお、廃棄物運搬車両台数が少ない場合等には、車両からの大気汚染物質排出量を算出することによる、簡易な方法を用いてもよい。
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・廃棄物運搬計画(主要搬入道路、年間運搬日数、運搬時間帯、時間帯別車種別台数等)
      •    ・その他(年式、等価慣性重量等)
    2.   (b) 気象条件
          現況把握により得られた地上気象調査結果を基に、用いる予測式に応じて気象条件を整理する。
    3.   (c) 一般交通量
          現況交通量を基に、地域の動向を考慮して、予測対象時期における一般交通量を設定する。
    4.   (d) 排出係数
          廃棄物運搬車両及び一般交通の走行に伴って排出される、大気汚染物質排出原単位(排出係数:g/台・㎞)を設定する。
    5.   (e) 将来濃度
          廃棄物運搬車両による濃度と一般交通による濃度を、将来の一般環境の濃度(バックグラウンド濃度)に重合して、将来濃度を予測する。バックグラウンド濃度の設定にあたっては、国や地方公共団体等による環境保全施策等の効果を見込んだ推定値が得られる場合には、それを用いる。将来の環境の状態を推定することが困難な場合には、現在の環境の状態とする。なお、道路沿道の現況濃度測定値に、廃棄物運搬車両による濃度を重合して将来濃度を求める方法もある。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大濃度とその出現位置
  2.   b 濃度の距離減衰図
  3.   c 廃棄物運搬車両による濃度,一般交通による濃度,及びバックグラウンド濃度を重合した将来濃度
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行による大気汚染の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、大気環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な大気汚染防止対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        大気汚染防止対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 発生源対策:最新排ガス規制適合車や低公害車など、より低公害な車両への代替等
    2.    (b) 運搬方法の対策:運搬ルートの選定,運行管理等
    3.    (c) 監視計画:運搬車両台数の記録,道路沿道濃度の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の生活環境の保全上の目標は、環境基本法に基づく環境基準とし、分析は予測結果と対比すること等の方法により行う。
        ただし、環境基準は年平均値について定められていないため、予測結果と対比できるように換算値を求めることが必要である。
        なお、地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
        生活環境の保全上の目標と対比する場合の考え方は、次のとおりとする。
        廃棄物運搬車両による濃度、一般交通による濃度、及びバックグラウンド濃度を重合した将来濃度について、目標と対比する。ただし、バックグラウンド濃度あるいはそれに一般交通を加えた濃度が目標を既に超えている地域もあり、そのような場合には、廃棄物運搬車両の影響割合が目標値や将来濃度の何パーセントを占めるのかを明らかにし、環境基準等の目標の達成・維持に支障となるか否かという相対的評価をもって検討する。
        なお、環境基準等の内容を資料編2-1に示す。

3. 騒音

(1) 埋立作業機械及び施設の稼動による影響

 ア. 調査対象地域

   埋立作業機械及び施設の稼働による影響の調査対象地域は、対象音源から発生する騒音が距離減衰式等により相当程度変化すると考えられる地域であって、人家等が存在する地域とし、敷地境界からおおむね100mまでの範囲とする。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   調査対象地域内の騒音の状況の現況把握については、原則として現地調査により行うこととする。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。また、自然的条件及び社会的条件については、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した騒音の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 騒音の状況
        騒音レベル(等価騒音レベルLAeq及びL50,L5,L95)とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 人家等
    3.    (c) 主要な発生源
    4.    (d) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として現地調査により行う。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編3-2に、既存文献、資料の例を資料編3-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
        騒音の現地調査は、対象施設の配置、機器及び機械の配置、敷地境界条件等を考慮し、騒音の影響が大きくなると想定される敷地境界上及び周辺の人家等の位置とする。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、調査対象地域の代表的な騒音の状況が把握できる時期とする。
        調査時間帯については、機械及び施設による騒音の発生時間帯及び環境基準に係る時間区分を考慮し、騒音の影響が大きいと想定される時間帯を設定する。
        一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
       <調査時期>
        原則として平日の1日間の測定(休日にも稼働する施設であって、騒音の状況に週間の変動がある場合は、平日・休日の2日間)
       <調査時間帯>
        LAeqの測定は、時間帯区分ごとの全時間を通じての連続測定を行うことが考えられるが、騒音レベルの変動等の状況に応じて、実測時間を短縮することも可能である。この場合、連続測定した場合と比べて統計的に十分な精度を確保しうる範囲内で適切な実測時間を定めることが必要である。
        また、L50,L5,L95については次のとおりとする。
        昼間2回、朝・夕各1回の計4回以上(夜間稼働無しの場合)
        昼間2回、朝・夕各1回、夜間2回の計6回以上(夜間稼働有りの場合)
        (いずれも覚醒及び就眠の時刻に注目して測定する。)
  3.   c. 調査方法
        調査方法は、JIS Z 8731「騒音レベル測定方法」等に基づいてLAeqを測定するほか、必要に応じて、騒音レベルの中央値(L50)及び90%レンジの上下端値(L5,L95)も求める。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 騒音の状況
    1.    (a) 騒音レベルの状況(時間帯別測定結果)
    2.    (b) 環境基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   埋立作業機械及び施設の稼働に伴い発生する騒音を、数値計算による定量的な手法を中心に予測する。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、埋立作業機械及び施設の稼働が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   埋立作業騒音レベル、または工場騒音レベルとする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点、範囲は現況把握と同様に考え、影響が大きくなると想定される敷地境界上及び周辺の人家等の地点とする。また、騒音の平面分布を予測する必要がある場合には、調査対象地域内において平面計算を行う。
  2.   b. 予測手法
        次の手法のうちから適切なものを選択する。予測式の内容を資料編3-4に示す。
    1.    (a) 理論モデル(伝播理論式、ASJ CN-Model 2002 等)
    2.    (b) 類似事例からの推定
    3.    (c) その他適切な手法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・施設の配置及び建築計画(敷地境界条件、建屋壁面の諸元、透過損失等)
      •    ・運転計画(年間運転日数、運転時間帯等)
      •    ・音源条件(設備機器及び作業機械の種類、数、パワーレベル、配置等)
      •    ・保全対策(植栽、フェンス等)
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大値とその出現位置
  2.   b 騒音レベル予測結果の分布図(平面計算の場合は等レベル線図)
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   埋立作業機械及び施設の稼働による騒音の影響の分析は、予測結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な騒音対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        騒音対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 発生源対策:低騒音型機械の採用、規制基準の遵守等
    2.    (b) その他の対策:施設(機器・機械)配置の考慮、仮囲い、遮音壁の設置等
    3.    (c) 監視計画:敷地境界や周辺地点における騒音の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 環境基本法に基づく環境基準
    2.    (b) 騒音規制法または都道府県等の公害防止条例に基づく規制基準
    3.    (c) その他の科学的知見
          地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と予測値を対比して整合性を検討する。ただし、環境騒音(暗騒音)が目標を既に超えているような場合には、環境騒音に施設の騒音を付加することによる騒音レベルの変化量を求め、目標の達成、維持に支障となるか否かという観点からも検討する。
          なお、環境基準等の内容を資料編3-1に示す。

(2) 廃棄物運搬車両による影響

 ア. 調査対象地域

   廃棄物運搬車両による影響の調査対象地域は、その走行によって、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道の周辺の人家等が存在する地域とする。一般的には事業予定地から1km~2kmの範囲の搬入ルートを調査対象地域として設定している事例が多いが、運搬車両台数、現況交通量に対する寄与率、道路沿道周辺の人家等の状況を勘案して、適切に設定する必要がある。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の道路交通騒音の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した騒音の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 騒音の状況
        道路交通騒音レベル(等価騒音レベル)とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 人家等
    3.    (c) 交通量の状況
    4.    (d) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合には現地調査を行い補完する。現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編3-2に、既存文献、資料の例を資料編3-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 騒音の状況
          騒音の現地調査地点は、廃棄物運搬車両の走行による影響が最も大きくなると想定される沿道の地点とする。
    2.   (b) 交通量の状況
          道路交通騒音調査地点の前面を通過する交通量が把握できるように、調査地点を設定する。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、代表的な騒音の状況が把握できる時期とする。
        調査時間帯については、廃棄物運搬車両が走行する時間帯及び環境基準に係る時間区分を考慮し、騒音の影響が大きいと想定される時間帯を設定する。
        一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
       <調査時期>
        原則として平日の1日間の測定(休日にも廃棄物運搬車両が走行する計画であって、騒音の状況に週間の変動がある場合は、平日・休日の2日間)
       <調査時間帯>
        LAeqの測定は、時間帯区分ごとの全時間を通じての連続測定を行うことが考えられるが、騒音レベルの変動等の状況に応じて、実測時間を短縮することも可能である。この場合、連続測定した場合と比べて統計的に十分な精度を確保しうる範囲内で適切な実測時間を定めることが必要である。
        交通量については、7 時~19 時の12 時間交通量を基本とするが、夜間に廃棄物の搬入を行う計画となっている場合には、24 時間交通量とする。
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 道路交通騒音の状況
          「(1) 埋立作業機械及び施設の稼働による影響」と同様に、JIS Z 8731「騒音レベル測定方法」による。
    2.   (b) 交通量
          カウンター計測による。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 騒音の状況
    1.    (a) 騒音レベルの状況(時間帯別測定結果)
    2.    (b) 環境基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目
  2.   b. 交通量の状況
    1.    (a) 時間帯別車種別交通量、大型車混入率
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   廃棄物運搬車両による騒音への影響を、数値計算による定量的な手法を中心的に予測する。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働と廃棄物の運搬が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   道路交通騒音レベルとする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点は現地調査地点に準じる。道路端からおおむね100mまでの範囲について予測を行う。
  2.   b. 予測手法
        次の手法のうちから適切なものを選択する。なお、予測は、対象道路を一般交通のみが走行している場合と、それに廃棄物運搬車両を付加した場合の各々について行う。予測式の内容を資料編3-4に示す。
    1.    (a) 理論モデル(ASJ RTN-Model 2003)
    2.    (b) その他適切な手法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      1.    ①廃棄物運搬計画(主要搬入道路、年間運搬日数、運搬時間帯、時間帯別車種別台数等)
    2.   (b) 一般交通量
          現況交通量を基に、地域の動向を考慮して、予測対象時期における一般交通量を設定する
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大値とその出現位置
  2.   b 道路交通騒音レベルの距離減衰図
  3.   c 廃棄物運搬車両を付加することによる騒音レベルの上昇量
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行による騒音の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な騒音対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        騒音対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 発生源対策:より低騒音な車両への代替等
    2.    (b) 運搬方法の対策:運行ルートの選定、運行管理等
    3.    (c) 監視計画:運搬車両台数の記録、道路交通騒音の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 環境基本法に基づく環境基準
    2.    (b) その他の科学的知見
          地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。ただし、一般交通のみによる予測値が目標を既に超えているような場合には、廃棄物運搬車両を付加することによる騒音レベルの上昇量を明らかにし、目標の達成、維持に支障となるか否かという観点からも検討する。
          なお、環境基準等の内容を資料編3-1に示す。

4. 振動

(1) 埋立作業機械及び施設の稼働による影響

 ア. 調査対象地域

   埋立作業機械及び施設の稼働による影響の調査対象地域は、騒音と同様の考え方により設定する。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   調査対象地域内の振動の状況の現況把握については、原則として現地調査により行うこととする。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。また、自然的条件及び社会的条件については、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した振動の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 振動の状況
        環境振動レベル(L10,L50,L90)とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 地盤性状
    3.    (c) 人家等
    4.    (d) 主要な発生源
    5.    (e) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として現地調査により行う。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編4-2に、既存文献、資料の例を資料編4-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1. a. 調査地点
      振動の現地調査は対象施設の配置または機械の配置、敷地境界条件等を考慮し、振動の影響が大きくなると想定される敷地境界上及び周辺の人家等の位置とする。
  2. b. 調査時期
      調査時期は、調査対象地域の代表的な振動の状況が把握できる時期とする。
      調査時間帯については、施設による振動の発生時間帯及び振動規制法に係る時間区分を考慮し、振動の影響が大きいと想定される時間帯を設定する。
      一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
       <調査時期>
        原則として平日の1日間の測定(休日にも稼働する施設であって、振動の状況に週間の変動がある場合は、平日・休日の2日間)
       <調査時間帯>
        昼間4回以上(夜間稼働無しの場合)
        昼間4回、夜間4回の計8回以上(夜間稼働有りの場合)
  3.   c. 調査方法
        振動の測定は、JIS Z 8735「振動レベル測定方法」に基づいて行い、振動レベルの80%レンジの上下端値(L10,L90)及び中央値(L50)を求める。
 (エ)現況把握の結果の整理
   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。
  1.   a 振動レベルの状況(時間帯別測定結果)
  2.   b 規制基準等の環境目標の適合状況
  3.   c その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   埋立作業機械及び施設の稼働に伴い発生する振動を、数値計算による定量的な手法を中心に予測する。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、埋立作業機械及び施設の稼働が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   埋立作業振動レベル、または工場振動レベルとする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点、範囲は、現況把握と同様に考え、影響が大きくなると想定される敷地境界上及び周辺の人家等の地点とする。また、振動の平面分布を予測する必要がある場合には、調査対象地域内において平面計算を行う。
  2.   b.予測手法
       次の手法のうちから適切なものを選択する。予測式の内容を資料編4-4に示す。
    1.    (a) 理論モデル(伝播理論式等)
    2.    (b) 類似事例からの推定
    3.    (c) その他適切な手法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・施設の配置及び建築計画(敷地境界条件、防振対策等)
      •    ・運転計画(年間運転日数、運転時間帯等)
      •    ・振動源条件(設備機器及び作業機械の種類、数、振動レベル、配置等)
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大値とその出現位置
  2.   b 振動レベル予測結果の分布図(平面計算の場合は等レベル線図)
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   埋立作業機械及び施設の稼働による振動の影響の分析は、予測結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な振動対策が採用されているか否かについて検討すること等の方法により行う。
        振動対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 発生源対策:低振動型機械の採用、規制基準の遵守等
    2.    (b) その他の対策:施設(機器・機械)配置の考慮等
    3.    (c) 監視計画:敷地境界や周辺地点における振動の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 振動規制法または都道府県等の公害防止条例に基づく規制基準
    2.    (b) 大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度
    3.    (c) その他の科学的知見
        地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
        設定した生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、整合性を検討する。
        なお、法令に基づく基準等の内容を資料編4-1に示す。

(2) 廃棄物運搬車両による影響

 ア. 調査対象地域

    廃棄物運搬車両による影響の調査対象地域は、騒音と同様の考え方により設定する。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の道路交通振動の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した振動の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 振動の状況
        道路交通振動レベル(L10,L50,L90)とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 土地利用
    2.    (b) 地盤性状(地盤卓越振動数)
    3.    (c) 人家等
    4.    (d) 交通量の状況
    5.    (e) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合には現地調査を行い補完する。現地調査の一般的な実施方法は次のとおりであり、これらと同等以上の測定結果が得られる適切な方法がある場合は、その方法を用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編4-2に、既存文献、資料の例を資料編4-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 振動の状況
          振動の現地調査地点は、廃棄物運搬車両の走行による影響が最も大きくなると想定される沿道の地点とする。
    2.   (b) 交通量の状況
          道路交通振動調査地点の前面を通過する交通量が把握できるように、調査地点を設定する。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、代表的な振動の状況が把握できる時期とする。
        調査時間帯については、廃棄物運搬車両が走行する時間帯及び振動規制法に係る時間区分を考慮し、振動の影響が大きいと想定される時間帯を設定する。
        一般的な調査時期、調査時間帯は次のとおりとする。
       <調査時期>
        原則として平日の1日間の測定(休日にも廃棄物運搬車両が走行する計画であって、振動の状況に週間の変動がある場合は、平日・休日の2日間)
       <調査時間帯>
        道路交通振動:7時~19時の12時間帯
        交通量:7時~19時の12時間交通量
        地盤卓越振動数:道路交通振動調査に合わせて実施
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 道路交通振動
          「(1) 埋立作業機械及び施設の稼働による影響」と同様に、JIS Z 8735「振動レベル測定方法」による。
    2.   (b) 交通量
          カウンター計測による。
    3.   (c) 地盤卓越振動数
          「道路環境影響評価の技術手法」((財)道路環境研究所)等による。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a. 振動の状況
    1.    (a) 振動レベルの状況(時間帯別測定結果)
    2.    (b) 規制基準等の環境目標の適合状況
    3.    (c) その他必要な項目
  2.   b. 交通量の状況
    1.    (a) 時間帯別車種別交通量、大型車混入率
  3.   c. 地盤性状
    1.    (a) 地盤卓越振動数
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行に伴い発生する振動への影響を、数値計算による定量的な手法を中心に予測する。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、施設の稼働と廃棄物の運搬が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   道路交通振動レベル(L10)とする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測地点は現地調査地点に準じる。道路端からおおむね100mまでの範囲について予測を行う。
  2.   b. 予測手法
        次の手法のうちから適切なものを選択する。なお、予測は、対象道路を一般交通のみが走行した場合と、それに廃棄物運搬車両を付加した場合の各々について行う。予測式の内容を資料編4-4に示す。
    1.    (a) 理論モデル(建設省土木研究所提案式、INCE/J RTV-model 2003 等)
    2.    (b) その他適切な手法
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
      1.    ①廃棄物運搬計画(主要搬入道路、年間運搬日数、運搬時間帯、時間帯別車種別台数等)
    2.   (b) 一般交通量
          現況交通量を基に、地域の動向を考慮して、予測対象時期における一般交通量を設定する。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 最大値とその出現位置
  2.   b 道路交通振動レベルの距離減衰図
  3.   c 廃棄物運搬車両を付加することによる振動レベルの上昇量
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   廃棄物運搬車両の走行による振動の影響の分析は、予測結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な振動対策が採用されているか否かについて検討すること等により行う。
        振動対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 運搬方法の対策:運搬ルートの選定、運行管理等
    2.    (b) 監視計画:運搬車両台数の記録、道路交通振動の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 振動規制法に基づく道路交通振動の限度
    2.    (b) 大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度
    3.    (c) その他の科学的知見
        地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
        設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。
        なお、法令に基づく基準等の内容を資料編4-1に示す。

5. 悪臭

  最終処分場に関する悪臭の検討は、施設からの悪臭の発生による影響について行う。

 ア. 調査対象地域

   施設からの悪臭の発生による影響については、対象施設周辺の人家等が存在する地域とする。

 イ. 現況把握

 (ア)現況把握の基本的考え方

   調査対象地域内の悪臭の状況の現況把握については、原則として現地調査により行うこととする。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。また、自然的条件及び社会的条件については、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した悪臭の状況、及び気象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 悪臭の状況
        特定悪臭物質濃度または臭気指数(臭気濃度)のうち、施設の構造及び処理する廃棄物の種類、性状を勘案して必要な項目とする。
  2.   b. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 気象(風向、風速、気温、湿度)
    2.    (b) 土地利用
    3.    (c) 人家等
    4.    (d) 主要な発生源
    5.    (e) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として現地調査により行う。但し、既存の文献、資料により予測に資するに足る測定結果を得られる場合には、これらを用いてもよい。
   調査方法の詳細を資料編5-2に、また、既存文献、資料の例を資料編5-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
        悪臭の現地調査地点は、敷地境界上のほか、影響が大きくなると想定される周辺地域や主要搬入道路沿道の人家等の位置とする。
  2.   b. 調査時期
        調査時期は、悪臭による生活環境への影響が大きくなると考えられる代表的な時期において、1~2日(時間帯を代表できる数回)とする。
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 特定悪臭物質濃度
          「特定悪臭物質の測定の方法」(S47.5.30 環境庁告示第9号)に定める方法により、特定悪臭物質の大気中濃度を測定する方法
    2.   (b) 臭気指数(臭気濃度)
          「臭気指数及び臭気排出強度の算定の方法」(平成7 年9 月13 日環境庁告示第63 号)により臭気指数(臭気濃度)を測定する方法
 (エ)現況把握の結果の整理

   悪臭の現況把握の結果は、既存の文献、資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a 悪臭の現況(調査結果の一覧)
  2.   b 法令による基準等との対比
  3.   c その他必要な項目(試料採取時の気象の状況)

 ウ. 予測

 (ア)予測の基本的考え方

   生活環境影響要因の形態に応じて、計算式による定量的な予測、または、類似事例の参照等による定性的な予測を行う。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、埋立処分場の供用が定常的な状態となる時期とする。

 (ウ)予測項目

   予測項目は、現況把握と同様に考え、特定悪臭物質濃度または臭気指数(臭気濃度)のうち、必要な項目とする。

 (エ)予測方法
  1.   a. 予測手法
        施設からの悪臭の発生による影響は、類似事例の参照及び悪臭防止対策の内容を勘案して予測する。
  2.   b. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      •    ・廃棄物の種類及び性状
      •    ・施設の配置及び建築計画
      •    ・ガス抜き管の敷設計画
      •    ・運転計画(年間運転日数、運転時間帯等)
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 類似事例調査結果と法令による基準等との対比

 エ. 影響の分析

 (ア)分析の基本的考え方

   悪臭の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な悪臭防止対策が採用されている否かについて検討すること等の方法により行う。
        悪臭防止対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 施設の悪臭防止対策:好気性・準好気性埋立の実施、即日覆土の徹底、建屋の密閉化、エアーカーテン、オートドア、法令等に基づく規制基準の遵守等
    2.    (b) 監視計画:排出濃度の記録、敷地境界や周辺地点における悪臭の測定・記録と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.    (a) 悪臭防止法の規制基準
    2.    (b) 大部分の地域住民が日常生活において感知しない程度
    3.    (c) その他の科学的知見
        なお、地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
        設定した生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、整合性を検討する。
        法令に基づく基準等の内容を資料編5-1に示す。

6. 水質

(1) 陸上埋立最終処分場

  陸上埋立最終処分場に関する水質汚濁の検討は、施設(埋立地)からの浸透水の流出又は浸出液処理設備からの放流水による公共用水域の水質に及ぼす影響について行う。

 ア. 調査対象地域

   施設(埋立地)からの浸透水の流出及び放流水による影響の調査対象地域は、水質の濃度に一定程度以上の影響を及ぼすと想定される範囲(河川においては低水流量時に排出水が100 倍に希釈される地点を含む流域とする)を考慮して設定する。設定にあたっては、当該地域の水象のほか、行政区域、地形、土地利用、水利用の状況も勘案する。
   なお、調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合には、「(2) 水面埋立最終処分場」に示す調査手法に準じて調査を行うものとする。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   施設(埋立地)からの浸透水の流出及び放流水による影響の現況把握は、調査対象地域内の水質汚濁の状況、水象の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した水質汚濁の状況及び水象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 水質汚濁の状況
    1.   (a) 生物化学的酸素要求量(BOD)
          管理型最終処分場または安定型最終処分場(浸透水が表流水系に放流される場合に限る。)である場合、調査項目とする。
    2.   (b) 化学的酸素要求量(COD)
          管理型最終処分場または安定型最終処分場(浸透水が表流水系に放流される場合に限る。)であって、調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合、調査項目とする。
    3.   (c) 全りん(T-P)、全窒素(T-N)
          管理型最終処分場であり、調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合であって、かつ環境基準の設定または排水規制が実施されている水域の場合、調査項目とする。
    4.   (d) ダイオキシン類
          管理型最終処分場である場合、調査項目とする。
    5.   (e) 浮遊物質量(SS)
          管理型最終処分場または安定型最終処分場(浸透水が表流水系に放流される場合に限る。)である場合、調査項目とする。
    6.   (f) 健康項目
          管理型最終処分場である場合に、調査項目として選定することができる。測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
    7.   (g) 水道水質基準項目
          管理型最終処分場であって、周辺に水道水源がある場合に調査項目として選定することができる。測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
  2.   b. 水象の状況
        施設(埋立地)計画地及びその周辺における水象の状況を把握するために、以下に掲げる項目のうち、予測及び影響の分析において必要な項目とする。
    1.   (a) 河川の流況
          低水流量、平水流量、流速、流達時間等
    2.   (b) 河川の形態
          形状、延長、勾配、流域面積等
    3.   (c) その他の項目
          自浄係数、降水量等
  3.   c. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 水利用(漁業権を含む)
    2.    (b) 主要な発生源
    3.    (c) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととする。既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行い補完する。
   なお、調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合には、「(2) 水面埋立最終処分場」に示す調査手法に基づいて調査を行うものとする。
   調査方法の詳細を資料編6-2に、既存文献、資料の例を資料編6-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 水質汚濁の状況
          放流位置、排水位置、水域の特性等を考慮し、水質の状況を適切に把握できる地点とする。調査地点の例を以下に示す。
      •    ・浸透水又は浸出水処理水が河川に流入した後十分に混合する地点及び流入前の地点
      •    ・支川が合流後十分に混合する地点及び合流前の本川または支川の地点
      •    ・調査対象地域下流端付近の地点
      •    ・利水地点
            利水地点は基本的に水道水源とするが、農業等に支障が生じると考えられる場合は、農業用水等の取水地点においても調査を行う。
      •    ・環境基準点
    2.   (b) 水象の状況
          水質汚濁の状況の調査地点に準じて設定する。
  2.   b. 調査時期
        現況把握の期間及び時期は、調査項目の特性や地域特性等を考慮し、最低1回以上(低水流量時、不明の場合は低水流量時に近い時期)とする。また、年間変動が予想される項目については、最低2回以上(低水流量時・豊水流量時、不明の場合は各時点に近い時期)とする。
  3.   c. 調査方法
    1.   (a) 水質汚濁の状況
          採水方法については「水質調査方法」(昭和46 年環境庁水質保全局)に準拠する。また、分析方法については「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46 年環境庁告示第59 号)、「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(平成15 年厚生労働省告示第261 号)に定める方法に準拠する。
    2.   (b) 水象の状況
          「水質調査方法」(昭和46 年環境庁水質保全局)に準拠する。
 (エ)現況把握の結果の整理

   現況把握の結果は、既存文献及び資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

  1.   a 水質の現況(年平均値等の年間測定結果)
  2.   b 環境基準等の環境目標の適合状況
  3.   c その他必要な項目
 ウ. 予測
 (ア)予測の基本的考え方

   予測は、施設(埋立地)からの浸透水の流出または放流水による影響の程度を把握するため、対象事業の施設の構造及び維持管理に異常がない状態を前提として、一般的に用いられている予測手法により予測を行う。定量的な予測が可能な項目については計算により、それが困難な項目については同種の既存事例からの類推等により行うものとする。

 (イ)予測対象時期

   予測対象時期は、水質に及ぼす影響が最大となると予想される時期とする。
   なお、浸透水又は浸出水の水質が長期的に変化することが予想される場合は、必要に応じて中間的な時期での予測を行う。

 (ウ)予測項目

   予測項目は、原則として管理型最終処分場については、浮遊物質量(SS)、生物化学的酸素要求量(BOD)及びダイオキシン類とし、安定型最終処分場(浸透水が表流水系に放流される場合に限る。)については、浮遊物質量(SS)及び生物化学的酸素要求量(BOD)とする。また、必要に応じて以下の項目の中から選定する。

  1.   a. 化学的酸素要求量(COD)
        調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合に選定する。
  2.   b. 全りん(T-P)、全窒素(T-N)
        管理型最終処分場である場合、調査対象地域に湖沼、海域が含まれ、かつ環境基準の設定もしくは排水規制が実施されている水域の場合に選定する。
  3.   c. 健康項目
        事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
  4.   d. 水道水質基準項目
        周辺に水道水源がある場合。予測項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
 (エ)予測方法
  1.   a. 予測地点、範囲
        予測範囲は、事業特性及び地域特性を勘案し、調査項目ごとに調査地域の内から適切に設定する。
        また、予測範囲内における予測地点は、保全すべき対象、地域を代表する地点等への影響を的確に把握できる地点を設定する。
  2.   b. 予測手法
        予測手法は、生活環境影響調査項目に係る影響の程度を分析する上で必要な水準が確保されるよう、排水量、放流先又は排出先の水域の特性を考慮し、以下に示す手法から適切なものを選定する。
        なお、これら以外の手法であっても、これら手法と同等以上の予測精度を有する適切な手法がある場合は、その手法を用いても差し支えない。
        参考として、定量的予測手法の水域別の種類を以下に示し、また、その選定フローを図3-1に掲げる。
        予測式の内容を資料編6-4に示す。
    1.   (a) 定量的手法
      •    ・非感潮河川
            完全混合式、ストリータ・フェルプス式、南部の式、数値シミュレーション(二次元単層定常モデル)
      •    ・感潮河川
            ケッチャムの方法、プレディの方法、水域分割混合モデル、数値シミュレーション(二次元単層非定常モデル)
      •    ・湖沼
            押し出し流モデル(ピストン流モデル)、完全混合モデル、ヴォーレンバイダーモデル
      •    ・海域
            ジョセフ・センドナー式、岩井・井上の式、新田の式、平野の方法、円形パッチモデル、連続放流プルームモデル

      図:図3-1 陸上埋立最終処分場に係る水質予測手法選定フロー

      図3-1 陸上埋立最終処分場に係る水質予測手法選定フロー

    2.   (b) 定性的手法
          類似事例による予測、排出負荷量の予測
  3.   c. 予測条件
    1.   (a) 事業計画の条件
          水質汚濁の予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
      1.    ①管理型最終処分場
        •    ・受入廃棄物の種類及び性状
        •    ・想定浸出液原水の水質
        •    ・浸出液処理設備の能力及び日排水量
        •    ・浸出液の処理フロー
        •    ・放流水の水質
        •    ・放流水の放流先
      2.    ②安定型最終処分場
        •    ・浸透水の水質及び初期濃度
        •    ・降雨量(降雨強度)
        •    ・貯留施設の規模
        •    ・浸透水の放流先
    2.   (b) 将来濃度
          浸透水の流出又は放流水による水質汚濁濃度と将来の環境濃度(バックグラウンド濃度)を重合して、将来濃度を予測する。バックグラウンド濃度の設定にあたっては、地域における将来の水質、水象等の状態を勘案し、国や地方公共団体等による環境保全施策等の効果を見込んだ推定値が得られる場合には、それを用いる。将来の環境の状態を推定することが困難な場合等には、現在の環境の状態とする。
          なお、国や地方公共団体等による生活環境保全措置等、将来の状態を推定する際にその効果を見込む場合には、当該措置等の内容を明らかにする。
 (オ)予測結果の整理

   予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

  1.   a 地点別将来濃度と最大値
  2.   b 施設排水による濃度の変化量
 エ. 影響の分析
 (ア)分析の基本的考え方

   施設(埋立地)からの浸透水の流出または放流水による水質汚濁の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、水環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

 (イ)分析の方法
  1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
        適切な水質汚濁防止対策が採用されているか否かについて検討すること等により行う。
        水質汚濁防止対策については、次の視点から整理する。
    1.    (a) 濁水発生対策:搬入廃棄物の管理の徹底等
    2.    (b) 浸出液発生量抑制対策:雨水の汲み上げによる浸出液化の防止等
    3.    (c) 排水処理対策:汚濁物質ごとの適正な処理設備の設置、法令等に基づく排出濃度の遵守等
    4.    (d) 監視計画:放流水、公共用水域の水質の監視計画と情報の公開等
  2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
        生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
    1.   (a) 環境基本法に基づく環境基準
          環境基準の水域類型指定が行われている場合は、環境基準を目標とする。
          水域類型指定が行われていない場合は、下流河川の類型指定及び当該地域の現況を勘案し、当該地域の現況水質及び下流河川の類型指定と比較して同等以上となるように、適切な類型を設定する。
    2.   (b) ダイオキシン類特別措置法に基づく環境基準
          環境基準との適合状況をまとめる。
    3.   (c) 水道水質基準
          排出先に水道水源がある場合は、水道水質基準との適合状況をまとめる。
    4.   (d) その他の科学的知見
          地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。ただし、バックグラウンド濃度が目標を既に超えている場合には、施設排水による濃度変化の程度を明らかにし、環境基準等の目標の達成・維持に支障となるか否かという相対的評価をもって検討する。
          なお、環境基準等の内容を資料編6-1に示す。

(2) 水面埋立最終処分場

  水面埋立最終処分場に関する水質汚濁の検討は、施設(埋立地)からの浸透水の流出及び浸出液処理設備からの放流水による公共用水域の水質に及ぼす影響について行う。

 ア. 調査対象地域

   施設(埋立地)からの浸透水の流出及び放流水による影響の調査対象地域は、水質の濃度に一定程度以上の影響を及ぼすと想定される範囲(湖沼にあっては、原則として全域とするが、湖沼の大きさと事業規模を勘案して汚濁が一部地域に限定される場合にあっては、汚濁予測域(面積)の5~10 倍程度とする。また海域にあっては、新田式等の概略予測手法により予測される拡散範囲の距離の2 倍程度、面積にして4 倍程度の範囲とする)を考慮して設定する。設定にあたっては、当該地域の水象のほか、行政区域、地形、土地利用、水利用の状況も勘案する。

 イ. 現況把握
 (ア)現況把握の基本的考え方

   現況把握は、調査対象地域内の水質汚濁の状況、水象の状況等について、原則として既存の文献、資料により行うこととし、不十分な場合は現地調査により補完する。

 (イ)現況把握項目

   現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した水質汚濁の状況及び水象の状況等の関連項目とする。

  1.   a. 水質汚濁の状況
    1.    (a) 化学的酸素要求量(COD)
    2.    (b) 全りん(T-P)、全窒素(T-N)
           調査対象地域において、環境基準の設定またはは排水規制が実施されている水域である場合に選定する。
    3.    (c) ダイオキシン類
    4.    (d) 浮遊物質量(SS)
    5.    (e) 健康項目
          測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
    6.    (f) 水道水質基準項目
          周辺に水道水源がある場合に選定することができる。測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
  2.   b. 水象の状況
        以下に掲げる項目のうち、予測及び影響の分析において必要な項目
    1.   (a) 湖沼の流況
          水位、流向・流速、貯水量、流入・流出量、湖沼水の循環・成層の時期、拡散係数
    2.   (b) 湖沼の形態
          形状、水深、面積、流域面積
    3.   (c) 海域の流況
          潮流の流向・流速、潮位、淡水流入量、海水の循環・成層の時期、拡散係数
    4.   (d) 海岸地形
          海岸・海底地形、水深
  3.   c. 自然的条件及び社会的条件
    1.    (a) 水利用(漁業権を含む)
    2.    (b) 主要な発生源
    3.    (c) その他必要な項目(関係法令等)
 (ウ)現況把握方法

   現況把握は原則として既存の文献、資料により行うこととする。既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行い補完する。
   調査方法の詳細を資料編6-2に、既存文献、資料の例を資料編6-3に示す。
   現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

  1.   a. 調査地点
    1.   (a) 水質汚濁の状況
          放流位置、排水位置、水域の特性等を考慮し、水質の状況を適切に把握できる地点とする。調査地点の例を以下に示す。
         <湖沼の場合>
      •    ・湖心
      •    ・放流水又は排水が湖沼に流入した後、十分に混合する地点
      •    ・河川水が流入した後、十分混合する地点
      •    ・湖沼水の流出地点等
      •    ・利水地点
            利水地点は基本的に水道水源とするが、農業等に支障が生じると考えられる場合は、農業用水の取水地点においても調査を行う。
      •    ・環境基準点
         <海域の場合>
          当該海域の地形、潮流、利水状況、水域利用の状況、主要な河川水の流入状況を考慮し、当該海域の汚染状況を総合的に把握できる地点とする(測定層は2層もしくは3層)。
    2.   b. 調査時期
          現況把握の期間及び時期は、調査項目の特性や地域特性等を考慮し、原則として通年調査(月1回以上)、潮流等の影響により日間水質変動の大きな地点にあっては通日調査も実施する。
    3.   c. 調査方法
      1.   (a) 水質汚濁の状況
            採水方法については「水質調査方法」(昭和46 年環境庁水質保全局)、「海洋観測指針」(平成11 年気象庁)、「湖沼環境調査指針」(昭和57 年社団法人日本水質汚濁研究協会)に準拠する。また、分析方法については「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46 年環境庁告示第59 号)、「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(平成15 年厚生労働省告示第261 号)に定める方法に準拠する。
      2.   (b) 水象の状況
            「水質調査方法」、「海洋観測指針」、「湖沼環境調査指針」に準拠する。
     (エ)現況把握の結果の整理

       現況把握の結果は、既存文献及び資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

    1.   a 水質の現況(年平均値等の年間測定結果)
    2.   b 環境基準等の環境目標の適合状況
    3.   c その他必要な項目
     ウ. 予測
     (ア)予測の基本的考え方

       予測は、施設(埋立地)からの浸透水の流出又は放流水による影響の程度を把握するため、対象事業の施設の構造及び維持管理に異常がない状態を前提として、一般的に用いられている予測手法により予測を行う。定量的な予測が可能な項目については計算により、それが困難な項目については同種の既存事例からの類推等により行うものとする。

     (イ)予測対象時期

       予測対象時期は、水質に及ぼす影響が最大となると予想される時期とする。なお、浸透水又は浸出液の水質が長期的に変化することが予想される場合は、必要に応じて中間的な時期での予測を行う。

     (ウ)予測項目

       予測項目は、原則として浮遊物質量(SS)及び化学的酸素要求量(COD)とする。また、必要に応じて以下の項目の中から選定する。

    1.   a. 全りん(T-P)、全窒素(T-N)
          調査対象地域において、環境基準の設定もしくは排水規制が実施されている水域の場合に選定する。
    2.   b. 健康項目
          事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
    3.   c. 水道水質基準項目
          周辺に水道水源がある場合に選定する。予測項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
     (エ)予測方法
    1.   a. 予測地点、範囲
          予測範囲は、事業特性及び地域特性を勘案し、調査項目ごとに調査地域の内から適切に設定する。
          また、予測範囲内における予測地点は、保全すべき対象、地域を代表する地点等への影響を的確に把握できる地点を設定する。
    2.   b. 予測手法
          予測手法は、生活環境影響調査項目に係る影響の程度を分析する上で必要な水準が確保されるよう、排水量、放流先又は排出先の水域の特性を考慮し、以下に示す手法から適切なものを選定する。
          なお、これら以外の手法であっても、これら手法と同等以上の予測精度を有する適切な手法がある場合は、その手法を用いても差し支えない。
          参考として、湖沼・海域における定量的予測手法の選定フローを図3-2に掲げる。
      1.   (a) 定量的手法
        •    ・湖沼
              ボックスモデル、メッシュモデル(水平二次元一層モデル、水平二次元多層モデル)
        •    ・海域
              ボックスモデル、メッシュモデル(水平二次元一層モデル、水平二次元多層モデル)、水理模型実験

        図:図3-2 水面埋立最終処分場に係る水質予測手法選定フロー

        図3-2 水面埋立最終処分場に係る水質予測手法選定フロー

      2.   (b) 定性的手法
            類似事例による予測、排出負荷量の予測
    3.   c. 予測条件
      1.   (a) 事業計画の条件
            水質汚濁の予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
        •    ・受入廃棄物の種類及び性状
        •    ・想定浸出液原水の水質
        •    ・浸出液処理設備の能力及び日排水量
        •    ・浸出液の処理フロー
        •    ・放流水の水質
        •    ・放流水の放流先
      2.   (b) 将来濃度
            浸透水の流出又は放流水による水質汚濁濃度と将来の環境濃度(バックグラウンド濃度)を重合して、将来濃度を予測する。バックグラウンド濃度の設定にあたっては、地域における将来の水質、水象等の状態を勘案し、国や地方公共団体等による環境保全施策等の効果を見込んだ推定値が得られる場合にはそれを用いる。将来の環境の状態を推定することが困難な場合等には、現在の環境の状態とする。
            なお、国や地方公共団体等による生活環境保全措置等、将来の状態を推定する際にその効果を見込む場合には、当該措置等の内容を明らかにする。
     (オ)予測結果の整理

       予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

    1.   a 将来濃度分布と最大値
    2.   b 放流水による濃度の変化量
     エ. 影響の分析
     (ア)分析の基本的考え方

       浸透水の流出又は放流水による水質汚濁の影響の分析は、予測の結果を踏まえ、水環境への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、環境基準その他の生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

     (イ)分析の方法
    1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
          適切な水質汚濁防止対策が採用されているか否かについて検討すること等により行う。
          水質汚濁防止対策については、次の視点から整理する。
      1.    (a) 浸透水処理対策:汚濁拡散防止膜の設置等
      2.    (b) 排水処理対策:汚濁物質ごとの適正な処理設備の設置、法令等に基づく排出濃度の遵守等
      3.    (c) 監視計画:排出水、公共用水域の水質の監視計画と情報の公開等
    2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
          生活環境の保全上の目標は、次に示すものから選択し、分析は予測結果と対比すること等により行う。
      1.   (a) 環境基本法に基づく環境基準
            環境基準の水域類型指定が行われている場合は、環境基準を目標とする。
            水域類型指定が行われていない場合は、当該地域の現況を勘案し、当該地域の現況水質と比較して同等以上となるように、適切な類型を設定する。
      2.   (b) ダイオキシン類特別措置法に基づく環境基準
            環境基準との適合状況をまとめる。
      3.   (c) 水道水質基準
            排出先に水道水源がある場合は、水道水質基準との適合状況をまとめる。
      4.   (d) その他の科学的知見
            地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それにも留意する。
            設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。ただし、バックグラウンド濃度が目標を既に超えている場合には、施設排水による濃度変化の程度を明らかにし、環境基準等の目標の達成・維持に支障となるか否かという相対的評価をもって検討する。
            なお、環境基準等の内容を資料編6-1に示す。

    7. 地下水

      最終処分場に関する地下水の影響は、陸上埋立最終処分場を対象として、施設(埋立地)の存在による地下水の水位や流動状況への影響等を検討する。

     ア. 調査対象地域

       施設(埋立地)の存在による地下水の水位や流動状況への影響を検討するための調査対象地域は、地下水の流れの変化により地下水位に影響を及ぼす可能性のある範囲とし、当該地域の地形、地質、地下水、水象の状況に加え、水利用(井戸や河川等の利水施設の存在等)の状況を勘案して設定する。

     イ. 現況把握

     (ア)現況把握の基本的考え方

       施設(埋立地)の存在による地下水の水位や流動状況への影響を検討するための現況把握は、調査対象地域及びその周辺の地形・地質の状況、地下水の状況、水象の状況及び水利用の状況等について、既存の文献、資料及び現地踏査により行う。施設(埋立地)の下流側に利水施設が存在する場合には、既存井戸の利用や地質調査ボーリング及び地下水位観測等により行うこととする。

     (イ)現況把握項目

       現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した水象の状況、地形・地質の状況、及び地下水の状況等の関連項目とする。

    1.   a. 水象の状況
          施設(埋立地)計画地及びその周辺における水象の状況を把握するために、河川等の形態及び流況、並びに降水量等の特性項目とする。
    2.   b. 地形・地質の状況
          施設(埋立地)計画地及びその周辺の地下水の水位や流動状況を検討するための基礎的な水文地質特性を把握するために、以下に掲げる地形や地質の特性項目とする。
      1.   (a) 地形
            地形区分(地形分類)、地形の傾斜、集水域の広さや形状、水系の形態・発達
      2.   (b) 地質
            地表面の被覆状況、土壌区分、地質分布と区分、地層構造
    3.   c. 地下水の状況
          施設(埋立地)計画地及びその周辺の地下水の水位や流動状況を検討するため、地形・地質の状況や施設(埋立地)計画地周辺の湧水の状況、既存井戸の利用、あるいは維持管理基準に基づくモニタリング用地下水位観測井戸へ転用できる地質調査ボーリング及び地下水位観測井戸の設置などにより、以下に掲げる地下水の特性項目とする。
          帯水層の分布、地下水の分布、地下水の水位及び流動状況、湧水の分布及び湧水量、湧水及び既存井戸、地下水位観測井戸等の水質(pH、電気伝導率、塩化物イオン、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令(昭和52年総理府令・厚生省令第1号)別表第二に掲げる項目(以下「地下水等検査項目」という)等)
    4.   d. 自然的条件及び社会的条件
      1.    (a) 水利用
            施設(埋立地)計画地周辺の井戸分布及び地下水利用状況等
      2.    (b) 主要な発生源
      3.    (c) その他必要な項目(関係法令等)
     (ウ)現況把握方法

       現況把握は、原則として既存の文献、資料により行うこととする。既存の文献、資料により現況把握が十分にできない場合には、現地調査を行う。
       施設(埋立地)の存在による地下水の水位や流動状況、水質の現況把握は、調査対象地域内及びその周辺の地形、地質の状況、地下水の状況、水象の状況及び水利用の状況等について、既存の文献、資料及び現地踏査により行うこととし、施設(埋立地)の下流側に利水施設が存在する場合には、地質調査ボーリングや地下水位観測等により行うこととする。
       調査方法の詳細を資料編7-2に、既存文献、資料の例を資料編7-3に示す。
       現地調査を行う場合の調査地点、調査時期、調査方法の考え方は次のとおりとする。

    1.   a. 調査地点
      1.   (a) 水象の状況
            施設(埋立地)計画地及びその周辺の水象の状況を適切に把握できる地点とする。調査地点の例を以下に示す。
        •    ・調査対象地域下流端付近の地点
        •    ・施設(埋立地)計画地下流側に存在する既存井戸、水道水源等の利水地点あるいはその近傍の地点
        •    ・施設(埋立地)計画地下流側に存在する湧水
      2.   (b) 地形・地質の状況
            施設(埋立地)計画地及びその周辺とする。調査範囲は、施設(埋立地)が中山間地に計画されている場合には、施設(埋立地)が存在する集水域とこれを囲む水系の斜面とし、施設(埋立地)が平地に計画されている場合には、地下水の存在する帯水層の影響圏などを勘案して設定する。また、施設(埋立地)の下流側については、水質汚濁の状況の調査地点に準じて設定する。
      3.   (c) 地下水の状況
            施設(埋立地)計画地及びその周辺とする。調査範囲は、地形・地質の状況に準じて設定する。また、地質調査ボーリング及び地下水位観測を行う場合の調査地点は、維持管理基準におけるモニタリング計画を考慮して設定する。
      4.   (d) 水利用の状況
            施設(埋立地)計画地及びその周辺とする。調査範囲は、地形・地質の状況に準じて設定する。
    2.   b. 調査時期
          現況把握の期間及び時期は、調査項目の特性や地域特性等を考慮し、最低1回以上(低水流量時、不明の場合は低水流量時に近い時期)とする。また、年間変動が予想される項目については、最低2回以上(低水流量時・豊水流量時、不明の場合は各時点に近い時期)とする。地下水位観測を行う場合は、年間変動や降水量に対する変動を把握できるような期間及び観測頻度を設定する。
    3.   c. 調査方法
      •    ・採水方法
            地下水及び湧水の採水方法については「水質調査方法」(昭和46 年環境庁水質保全局)に準拠する。
            地下水については、施設(埋立地)計画地の下流側に既存井戸が存在する場合には、施設(埋立地)計画地に最も近い採水可能な既存井戸において採水する。また、複数の既存井戸と施設(埋立地)計画地との距離が比較的近い場合には、採水可能なすべての既存井戸を調査対象とする。地下水位観測井戸を設置した場合は、これを調査地点に加える。
            地下水の採水は、ポンプが存在している場合にはポンプを用いた揚水により、井戸にできるだけ近い蛇口から採水する。ポンプが存在しない場合には、ベーラー(地下水採水器)等を用いて地下水をくみ上げ採水する。
      •    ・水質分析方法
            分析方法は、地下水(湧水を含む)については、採水した地下水の室内分析(JISK 0400-13-10:1999)や現地における携帯式の電気伝導率測定器等を用いた方法とする。
            塩化物イオンは、日本工業規格K0101の32に定める方法による。
            地下水等検査項目は、「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」(平成9年環境庁告示第10 号)に定める方法に準拠する。
      •    ・地下水位観測
            地質調査ボーリングによる掘削孔に塩ビ管を挿入して地下水位観測井戸を設置する。地下水位観測井戸の設置方法は「地盤調査法、(社)地盤工学会」等に準拠する。地下水位観測は、触針式携帯水位計を用いた定期的な観測や自記水位計を用いた連続観測を行う。地下水利用が多い地域では連続観測が望ましい。
      •    ・地下水利用状況調査
            地下水利用状況調査を行う場合は、調査対象地域内において戸別訪問により井戸の有無と利用状況を確認するとともに、井戸の構造や地下水位等について把握する。
     (エ)現況把握の結果の整理

       現況把握の結果は、既存文献及び資料から得た情報と、現地調査を行った場合はそれにより得た情報をあわせて、以下の観点から整理する。

    1.   a 地形地質と地下水の存在状況
    2.   b 地下水の水位と流動状況の状況
    3.   c 利水施設の存在と水利用の状況
    4.   d 環境基準等の環境目標の適合状況
    5.   e その他必要な項目

     ウ. 予測

     (ア)予測の基本的考え方

       予測は、施設(埋立地)の存在による地下水の水位や流動状況への影響の程度を把握するため、対象事業の施設構造計画及び維持管理計画を前提として、調査対象地域の地形地質、地下水の特性に基づき、地下水位の変化や湧水量の計算に用いられている一般的な解析式または定性的な予測手法を用いて行う。

     (イ)予測対象時期

       予測対象時期は、地下水の水位や流動状況に及ぼす影響が最大となると予想される時期とする。

     (ウ)予測項目

       予測項目は、施設(埋立地)の存在による地下水の水位や流動状況への影響とする。

    (エ)予測方法
    1.   a. 予測地点、範囲
          予測範囲は、事業特性及び地域特性を勘案し、調査項目ごとに調査地域の内から適切に設定する。
          また、予測範囲内における予測地点は、保全すべき対象、地域を代表する地点等への影響を的確に把握できる地点を設定する。
    2.   b. 予測手法
          予測手法は、生活環境影響調査項目に係る影響の程度を分析する上で必要な水準が確保されるよう、事業特性及び地域特性を考慮し、以下に示す手法から適切なものを選定する。
          なお、これら以外の手法であっても、これら手法と同等以上の予測精度を有する適切な手法がある場合は、その手法を用いても差し支えない。
          参考として、予測手法の例を以下に示す。また、予測に適用できる解析式を資料編7-4に示す。
      1.   (a) 定量的手法
        •    ・地下水の水位や流動状況
              影響圏を求める実験式、水収支式、断面二次元浸透における解析式、数値シミュレーション(調査対象地域の地形地質、地下水の状況が複雑で解析式による検討が困難な場合)
      2.   (b) 定性的手法
            類似事例による予測、地域特性と事業計画の重ね合わせ
    3.   c. 予測条件
      1.   (a) 事業計画の条件
            施設(埋立地)の存在による地下水の水位や流動状況の予測に用いる事業計画の条件には、次のようなものがある。
        •    ・土地の造成計画
        •    ・埋立地の遮水構造
        •    ・調節池計画
        •    ・浸出水の集水排水構造
        •    ・浸出水の処理システムの計画
        •    ・浸出水処理施設の能力
        •    ・処理水の放流先
        •    ・降雨量(地下水涵養量)
        •    ・貯留施設の規模
     (オ)予測結果の整理

       予測結果を次のなかから必要な事項について整理する。

    1.   a 施設(埋立地)下流側敷地境界付近における地下水位及び流動状況の変化
    2.   b aに伴う施設(埋立地)周辺の既存井戸等の利用状況の変化

     エ. 影響の分析

     (ア)分析の基本的考え方

       施設(埋立地)の存在による地下水の水位や流動状況への影響の分析は、予測の結果を踏まえ、地下水への影響が実行可能な範囲内で回避され、または低減されているものであるか否かについて、事業者の見解を明らかにするとともに、生活環境の保全上の目標と予測値を対比して、その整合性を検討することにより行う。

     (イ)分析の方法
    1.   a. 影響の回避または低減に係る分析
          適切な地下水流動保全対策や地下水質保全対策が採用されているか否かについて検討すること等により行う。
          地下水流動保全対策や地下水質保全対策については、次の視点から整理する。
      1.    (a) 地下水涵養対策:造成面積の縮小、雨水浸透施設の設置等
      2.    (b) 地下水流動保全対策:地下構造物設置の抑制、地下水流動保全工法の採用等
      3.    (c) 地下水質保全対策:適切な埋立地からの浸出水遮水構造の設置、法令等に基づく排出濃度の遵守等
      4.    (d) 監視計画:維持管理基準に基づく地下水位、地下水質の監視計画と情報の公開等
    2.   b. 生活環境の保全上の目標との整合性に係る分析
          地方公共団体等において地域の環境目標が定められている場合には、それに留意する。
          設定した生活環境の保全上の目標と、予測値を対比して整合性を検討する。
          なお、環境基準等の内容を資料編7-1に示す。

    第4章 その他の処理施設の生活環境影響調査手法

    4-1 破砕・選別施設

      破砕・選別施設に関する生活環境影響要因と生活環境影響調査項目との関連を整理し、生活環境影響調査項目を選定する。標準的な例を表4-1のマトリックス表に示す。

    表4-1 生活環境影響要因と生活環境影響調査項目

    調査事項
    生活環境影響要因
    施設排水の排出
    施設の稼働
    施設からの悪臭の漏洩
    廃棄物運搬車両の走行
    生活環境影響調査項目
    大気環境
    大気質
    粉じん
     
     
     
    二酸化窒素(NO2
     
     
     
    浮遊粒子状物質(SPM)
     
     
     
    騒音
    騒音レベル
     
     
    振動
    振動レベル
     
     
    悪臭
    特定悪臭物質濃度
    または臭気指数(臭気濃度)
     
     
     
    水環境
    水質
    生物化学的酸素要求量(BOD)
    または化学的酸素要求量(COD)
     
     
     
    浮遊物質量(SS)
     
     
     
    その他必要な項目 注)
     
     
     

    注)その他必要な項目とは、処理される廃棄物の種類、性状及び立地特性等を考慮して、影響が予測される項目である。
      たとえば、全窒素(T-N)、全リン(T-P)(T-N、T-Pを含む排水を、それらの排水基準が適用される水域に放流する場合)等があげられる。

    •   ・ 大気質については、施設の稼働(廃棄物の積み降ろし、分別、破砕・選別等)による粉じんの影響及び廃棄物運搬車両による排ガスの影響があげられる。粉じんについては、影響が想定される周辺地域に人家等が存在する場合に対象とする。廃棄物運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に調査の対象とする。
    •   ・ 騒音及び振動については、施設の稼動による影響及び廃棄物運搬車両による影響があげられる。施設の稼働については、騒音及び振動が相当程度変化する地域に人家等が存在する場合に対象とする。廃棄物運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に対象とする。
    •   ・ 悪臭については、施設からの漏洩による影響があげられる。影響が想定される周辺地域に人家等が存在する場合に対象とする。
    •   ・ 水質については、施設排水による影響があげられる。施設排水を下水道へ放流するなど、公共用水域への排出を行わない場合、または、ほとんど排水しない場合には除くことができる。
    •   ・ 施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。

    4-2 し尿処理施設

      し尿処理施設に関する生活環境影響要因と生活環境影響調査項目との関連を整理し、生活環境影響調査項目を選定する。標準的な例を表4-2のマトリックス表に示す。
      また、発酵・堆肥化施設についてもし尿処理施設に準じた生活環境影響調査を行うものとする。

    表4-2 生活環境影響要因と生活環境影響調査項目

    調査事項
    生活環境影響要因
    施設からの処理水の放流
    施設の稼働
    施設からの悪臭の漏洩
    し尿等の運搬車両の走行
    生活環境影響調査項目
    大気環境
    大気質
    二酸化窒素(NO2
     
     
     
    浮遊粒子状物質(SPM)
     
     
     
    騒音
    騒音レベル
     
     
    振動
    振動レベル
     
     
    悪臭
    特定悪臭物質濃度
    または臭気指数(臭気濃度)
     
     
     
    水環境
    水質
    生物化学的酸素要求量(BOD)
    または化学的酸素要求量(COD)
     
     
     
    浮遊物質量(SS)
     
     
     
    その他必要な項目 注)
     
     
     

    注) その他必要な項目とは、処理される廃棄物の種類、性状及び立地特性等を考慮して、影響が予測される項目である。
      たとえば、全窒素(T-N)、全リン(T-P)(T-N、T-Pを含む排水を、それらの排水基準が適用される水域に放流する場合)等があげられる。

    •   ・ 大気質については、し尿等の運搬車両による影響があげられる。し尿等の運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に調査の対象とする。
    •   ・ 騒音及び振動については、施設の稼動による影響及びし尿等の運搬車両による影響があげられる。施設の稼働については、騒音及び振動が相当程度変化する地域に人家等が存在する場合に対象とする。し尿等の運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に対象とする。
    •   ・ 悪臭については、施設からの漏洩による影響があげられる。影響が想定される周辺地域に人家等が存在する場合に対象とする。
    •   ・ 水質については、施設排水による影響があげられる。施設排水を下水道へ放流するなど、公共用水域への排出を行わない場合、または、ほとんど排水しない場合には除くことができる。
    •   ・ 施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。

    4-3 汚泥脱水施設

      汚泥脱水施設に関する生活環境影響要因と生活環境影響調査項目との関連を整理し、生活環境影響調査項目を選定する。標準的な例を表4-3のマトリックス表に示す。

    表4-3 生活環境影響要因と生活環境影響調査項目

    調査事項
    生活環境影響要因
    施設からの処理水の放流
    施設の稼働
    施設からの悪臭の漏洩
    廃棄物運搬車両の走行
    生活環境影響調査項目
    大気環境
    大気質
    二酸化窒素(NO2
     
     
     
    浮遊粒子状物質(SPM)
     
     
     
    騒音
    騒音レベル
     
     
    振動
    振動レベル
     
     
    悪臭
    特定悪臭物質濃度
    または臭気指数(臭気濃度)
     
     
     
    水環境
    水質
    生物化学的酸素要求量(BOD)
    または化学的酸素要求量(COD)
     
     
     
    浮遊物質量(SS)
     
     
     
    その他必要な項目 注)
     
     
     

    注) その他必要な項目とは、処理される廃棄物の種類、性状及び立地特性等を考慮して、影響が予測される項目である
      たとえば、全窒素(T-N)、全リン(T-P)(T-N、T-Pを含む排水を、それらの排水基準が適用される水域に放流する場合)等があげられる。

    •   ・ 大気質については、廃棄物運搬車両による影響があげられる。廃棄物運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に調査の対象とする。
    •   ・ 騒音及び振動については、施設の稼動による影響及び廃棄物運搬車両による影響があげられる。施設の稼働については、騒音及び振動が相当程度変化する地域に人家等が存在する場合に対象とする。廃棄物運搬車両については、交通量が相当程度変化する主要搬入道路沿道に人家等が存在する場合に対象とする。
    •   ・ 悪臭については、施設からの漏洩による影響があげられる。影響が想定される周辺地域に人家等が存在する場合に対象とする。
    •   ・ 水質については、施設排水による影響があげられる。施設排水を下水道へ放流するなど、公共用水域への排出を行わない場合、または、ほとんど排水しない場合には除くことができる。
    •   ・ 施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。

    4-4 前記以外の施設

     廃棄物処理施設として設置許可または設置の届け出を必要とする施設としては、表4-4に示すような種類がある。そのうち、前記の焼却施設、最終処分場、破砕・選別施設、し尿処理施設及び汚泥脱水施設以外の施設について、それらの生活環境影響調査手法の例を示す。また、参考として、これらの施設の例を4-11~4-17 ページに示す。

    表4-4 廃棄物処理施設の種類

    施設の種類
    調査手法の例
    産業廃棄物処理施設
    (1)汚泥の脱水施設
    本章4-3 汚泥脱水施設
    (2)汚泥の乾燥施設
    本章4-4 Ⅴ 汚泥脱水施設に準ずる施設
    (3)汚泥の焼却施設(PCB含有を除く)
    第2章 焼却施設
    (4)廃油の油水分離施設
    本章4-4 Ⅰ 廃液処理施設
    (5)廃油の焼却施設
    第2章 焼却施設
    (6)廃酸又は廃アルカリの中和施設
    本章4-4 Ⅰ 廃液処理施設
    (7)廃プラスチック類の破砕施設
    本章4-1 破砕・選別施設
    (8)廃プラスチック類の焼却施設(PCB含有を除く)
    第2章 焼却施設
    (9)木くず又はがれき類の破砕施設
    本章4-1 破砕・選別施設
    (10)政令に定める物質(有害物)を含む汚泥のコンクリート固型化施設
    本章4-4 Ⅴ 汚泥脱水施設に準ずる施設
    (11)水銀含有物のばい焼施設
    本章4-4 Ⅱ 焼却施設に準ずる施設
    (12)シアン化合物の高温熱分解施設
    本章4-4 Ⅱ 焼却施設に準ずる施設
    (13)シアン化合物の酸化分解施設
    本章4-4 Ⅰ 廃液処理施設
    (14) 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
    本章4-4 Ⅱ 焼却施設に準ずる施設
    (15)PCB焼却施設
    本章4-4 Ⅱ 焼却施設に準ずる施設
    (16)PCB汚染物の洗浄施設
    本章4-4 Ⅰ 廃液処理施設
    (17)産廃焼却施設
    第2章 焼却施設
    (18)最終処分場
    第3章 最終処分場
    一般廃棄物処理施設
    (1)焼却施設
    第2章 焼却施設
    (2)灰溶融施設
    本章4-4 Ⅱ 焼却施設に準ずる施設
    (3)灰のセメント固化、薬剤処理施設
    本章4-4 Ⅲ 破砕・選別施設に準ずる施設
    (4)高速堆肥化施設
    本章4-4 Ⅲ 破砕・選別施設に準ずる施設
    (5)破砕施設
    本章4-1 破砕・選別施設
    (6)ごみ運搬用パイプライン施設
    本章4-4 Ⅲ 破砕・選別施設に準ずる施設
    (7)選別施設
    本章4-4 Ⅲ 破砕・選別施設に準ずる施設
    (8)し尿処理施設
    本章4-2 し尿処理施設
    (9)最終処分場
    第3章 最終処分場
    (10)ガス化溶融施設
    本章4-4 Ⅱ 焼却施設に準ずる施設
    (11)灰の焼成施設
    本章4-4 Ⅱ 焼却施設に準ずる施設
    (12)固形燃料化施設
    本章4-4 Ⅲ 破砕・選別施設に準ずる施設
    (13)醗酵堆肥化施設
    本章4-4 Ⅳ し尿処理施設に準ずる施設

    Ⅰ 廃液処理施設の生活環境影響調査手法

      廃液処理施設は、処理する廃棄物の種類の違いにより「廃油の油水分離施設」、「廃酸又は廃アルカリの中和施設」、「シアン化合物の酸化分解施設」、「PCB 汚染物の洗浄施設」の4 つの種類に分けられる。

    1. 調査事項

      廃液処理施設の「生活環境影響要因と生活環境影響調査項目」は、水質の「その他必要な項目」として、施設の性格から必要と考えられる項目を取り上げる。考えられる項目を表4-5に示す。

    表4-5 廃液処理施設の生活環境影響要因と生活環境影響調査項目
    施設の種類
    水質
    廃油の油水分離施設
    健康項目(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど)
    水道水質基準項目(同上)
    廃酸又は廃アルカリの中和施設
    健康項目(カドミニウム、六価クロムなど)
    水道水質基準項目(亜鉛、鉄など)
    水素イオン濃度(pH)
    シアン化合物の酸化分解施設
    健康項目(カドミウム、シアンなど)
    水道水質基準項目(亜鉛、銅、鉄、ナトリウムなど)
    水素イオン濃度(pH)
    PCB汚染物の洗浄施設
    (排水なしが前提)

    ・上記の他、処理対象物が重金属等の有害物質を多く含有する場合、それらを調査項目に加える。
    ・施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。

    2.大気質、3.騒音、4.振動、5.悪臭

      第3章に準ずる

    6. 水質
    (1) 施設からの放流水による公共用水域の水質に及ぼす影響
     ア. 調査対象地域
       第3章に準ずる。
     イ. 現況把握
     (ア)現況把握の基本的考え方
       第3章に準ずる。
     (イ)現況把握項目
       現況把握項目は、生活環境影響調査項目として抽出した水質汚濁の状況及び水象の状況等の関連項目とする。
    1.   a. 水質汚濁の状況
      1.    (a) 浮遊物質量(SS)
      2.    (b) 生物化学的酸素要求量(BOD)
      3.    (c) 化学的酸素要求量(COD)
          調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合。
    2.    (d) その他必要な項目
      •    ・全りん(T-P)、全窒素(T-N)
            調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合であって、かつ環境基準の設定もしくは排水規制が実施されている水域の場合。
      •    ・健康項目
            測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。特に、健康項目を含有する廃棄物を取り扱う事業の場合は、当該項目を必ず選定する。
      •    ・水道水質基準項目
            周辺に水道水源がある場合。測定項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。特に水道水質基準項目を含有する廃棄物を取り扱う事業の場合は、当該項目を必ず選定する。
      •    ・pH
            廃酸又は廃アルカリの中和施設及びシアン化合物の酸化分解施設の場合。
    3.   b. 水象の状況
          第3章に準ずる。
    4.   c. 自然的条件及び社会的条件
          第3章に準ずる。
     (ウ)現況把握方法
       第3章に準ずる。
     (エ)現況把握の結果の整理
       第3章に準ずる。
     ウ. 予測
     (ア)予測の基本的考え方
       第3章に準ずる。
     (イ)予測対象時期
       第3章に準ずる。
     (ウ)予測項目
       予測項目は、原則として浮遊物質量(SS)及び生物化学的酸素要求量(BOD)とする。また、必要に応じて以下の項目の中から選定する。
    1.   a. 化学的酸素要求量(COD)
          調査対象地域に湖沼、海域が含まれる場合に選定する。
    2.   b. 全りん(T-P)、全窒素(T-N)
          調査対象地域に湖沼、海域が含まれ、かつ環境基準の設定もしくは排水規制が実施されている水域の場合に選定する。
    3.   c. 健康項目
          事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
          特に、健康項目を含有する廃棄物を取り扱う事業の場合は、当該項目を必ず選定する。
    4.   d. 水道水質基準項目
          周辺に水道水源がある場合。予測項目については、事業及び水域の特性に応じて必要な項目を選定する。
          特に、水道水質基準項目を含有する廃棄物を取り扱う事業の場合は、当該項目を必ず選定する。
    5.   e. pH
          廃酸又は廃アルカリの中和施設及びシアン化合物の酸化分解施設の場合に選定する。
     (エ)予測方法
       第3章に準ずる。
     (オ)予測結果の整理
       第3章に準ずる。
     エ. 影響の分析
       第3章に準ずる。

    Ⅱ 焼却施設に準ずる施設の生活環境影響調査手法

      焼却施設に準ずる施設としては、「水銀含有物のばい焼施設」、「シアン化合物の高温熱分解施設」、「PCB焼却施設」、「灰溶融施設」、「ガス化溶融施設」、「灰の焼成施設」、「廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設」などがある。調査手法は第2章に準ずるが、以下に示す点に留意する必要がある。

    1. 調査事項

      第2章「表2-1 生活環境影響要因と生活環境影響調査項目」の大気質及び水質の「その他必要な項目」として、施設の性格から必要と考えられる項目を取り上げる。考えられる項目を表4-6に示す。

    表4-6 焼却施設に準ずる施設の生活環境影響要因と生活環境影響調査項目
    施設の種類
    大気質
    水質
    水銀含有物のばい焼施設
    水銀
    総水銀、有機水銀
    シアン化合物の高温熱分解施設
    シアン化合物
    PCB焼却施設
    PCB
    PCB
    灰溶融施設
    ガス化溶融施設
    灰の焼成施設
    廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
    石綿
    • ・上記の他、処理対象物が重金属等の有害物質を多く含有する場合、それらを調査項目に加える。
    • ・施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。
    2. 大気質
    (1) 煙突排ガスによる影響
     ア. 調査対象地域
       同程度の排ガス量を持つ焼却施設の調査対象地域(第2章による)を参考に設定する。
     イ. 現況把握
     (ア)現況把握の基本的考え方
       第2章に準ずる。
     (イ)現況把握項目
    1.   a. 大気汚染の状況
          第2章で挙げられている項目の他、「(f) その他必要な項目」として、水銀ばい焼施設の場合の水銀、PCB焼却施設の場合のPCB、廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設の石綿など、必要と考えられる項目を設定する。
    2.   b. 気象の状況
          第2章に準ずる。
    3.   c. 自然的条件及び社会的条件
          第2章に準ずる。
     (ウ)現況把握方法
    1.   a. 調査地点
          第2章に準ずる。
    2.   b. 調査時期
          第2章に準ずる。水銀、PCB等については1季あたり1~2週間程度、石綿については1季あたり3日間程度とするが、周辺に発生源がなく、他の調査事例等から環境濃度を類推できるような場合には調査頻度を減らすことも可能である。ダイオキシン類については短期間の調査でよい。
    3.   c. 調査方法
      1.   (a) 大気汚染の状況
        •    ・PCB
              「平成8 年度化学物質分析方法開発調査報告書」(平成9 年6 月、環境庁環境保健部環境安全課)に準拠した方法による。
        •    ・水銀
              「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」(平成11 年、環大規第88 号)に準拠した方法による。
        •    ・石綿
              「石綿に係る特定粉じんの測定法」(平成元年環境庁告示第93 号)に準拠した方法による。
        •    ・その他の物質
              物質ごとに適切な方法による。
      2.   (b) 気象の状況
            第2章に準ずる。
     (エ)現況把握の結果の整理
       第2章に準ずる。
     ウ. 予測
       第2章に準ずる。
     エ. 影響の分析
       第2章に準ずる。
    (2) 廃棄物運搬車両による影響

       第2章に準ずる。

    3.騒音、4.振動、5.悪臭

      第2章に準ずる。

    6.水質

      第2章に準ずる。
      ただし、水銀、PCB、シアン化合物等、施設の種類により必要と考えられる物質を調査項目として加える。施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。
      なお、環境基準(健康項目)が設定されている物質についての調査方法及び環境基準を資料編に示す。

    Ⅲ 破砕・選別施設に準ずる施設の生活環境影響調査手法

      破砕・選別施設に準ずる施設としては、「灰のセメント固化・薬剤処理施設」、「高速堆肥化施設」、「ごみ運搬用パイプライン施設」、「選別施設」、「固形燃料化施設」などがある。調査手法は本章4-1に準ずる。
      ただし、固形燃料化施設などにおいて、廃棄物の乾燥工程において大量の排ガスを発生する場合には、第2章(焼却施設)と同様の大気質及び煙突排ガスによる悪臭に関する調査を追加する。また、固形燃料化施設においては、大気質に係る生活環境影響調査項目にダイオキシン類を追加する。

    Ⅳ し尿処理施設に準ずる施設の生活環境影響調査手法

      し尿処理施設に準ずる施設としては、「醗酵堆肥化施設」などがある。調査手法は本章4-2に準ずる。

    Ⅴ 汚泥脱水施設に準ずる施設の生活環境影響調査手法

      汚泥脱水施設に準ずる施設としては、「汚泥の乾燥施設」、「政令に定める物質(有害物)を含む汚泥のコンクリート固化施設」などがある。調査手法は本章4-3に準ずるが、以下に示す点に留意する必要がある。
      汚泥の乾燥施設などにおいて、廃棄物の乾燥工程において大量の排ガスを発生する場合には、第2章(焼却施設)と同様の大気質及び煙突排ガスによる悪臭に関する調査を追加する。
      政令に定める物質(有害物)を含む汚泥のコンクリート固化施設の場合は、本章4-3 「表4-3 生活環境影響要因と生活環境影響調査項目」の水質の「その他必要な項目」として、処理対象物に含有される有害物質など必要と考えられる項目を追加する。
      施設の構造または処理される廃棄物の種類及び性状により影響の発生が想定されない場合等については、調査を行うことを要しないが、その場合は、調査を行わなかった生活環境影響調査項目及び調査を行う必要がないと判断した理由を記載する。

    【参考資料】
    ●廃油の油水分離施設

     廃油には、表に示す劣化廃油と、有機溶剤の2 種類がある。代表物質は表に示すとおりである。

    表 廃油の発生業種及び廃油種類
    種類
    発生工種
    代表物質
    劣化廃油
    燃料貯蔵タンクのある場所、潤滑油を使用する工場等から発生するもの
    廃油
    廃潤滑油
    有機溶剤
    塗料、精密機械、装身具、洗濯業等から発生するもの
    トリクロロエチレン
    テトラクロロエチレン
    アセトン
    酢酸エチル
    メタノール
    シンナー等
    ①劣化廃油

     劣化廃油の処理プロセスは、加熱器又は加温器の後、遠心分離機などによりスラッジを回収し、油は焼却、蒸留などを経て回収を行うシステムである。

    図:図 K社プロセス

    図 K社プロセス

    図:図 SAKAB社(スエーデン)プロセス

    図 SAKAB社(スエーデン)プロセス

    図:図 R社プロセス

    図 R社プロセス

    ②有機溶剤

     有機溶剤の処理は、フロー図に示すように蒸留、精留、凝縮、脱水などを施して回収するものであり、蒸留の際に廃水が発生する。

    図:図 廃溶剤の処理フローと施設図

    図 廃溶剤の処理フローと施設図

     なお、以下の物質は、油水分離の工程又は、廃油そのもののとして発生する可能性がある。しかし、いずれも、水質汚濁に係る環境基準はないが、施設稼動に伴う排出量の予測・評価などの取扱いについて考慮する必要があるものと考えられる。

    •   ・ノルマル-ヘキサン抽出物
    •   ・アセトン
    •   ・酢酸エチル
    •   ・メタノール
    •   ・シンナー
    ●廃酸又は廃アルカリの中和施設

     廃酸・廃アルカリの代表例としてめっき廃水をとりあげる。
     めっきの種類は、金属表面処理として、銅めっき、ニッケルめっき、クロムめっき、亜鉛めっき、スズめっきが主なものであるが、それらの金属表面処理廃酸の種類及び処理方法は、表に示すものがある。
     処理排水としては、水洗、湯洗工程からの洗浄排水と、めっき液、酸洗液、アルカリ脱脂液などの更新排水があり、重金属除去後の排水が放流される。

    表(金属表面処理)廃酸の種類・処理方法
    廃酸
    処理方法
    種類
    発生源
    硫酸
    塩酸
    硝酸
    燐酸
    弗酸
    シュウ酸
    金属エッチング浴
    濃縮法
    置換法
    晶析法
    イオン交換膜法
    イオン交換樹脂法
    電解採取法
    溶媒抽出法
    過塩素酸
    燐酸皮膜処理
    酢酸
    研磨溶液
    クロム酸
    メッキ溶液
    アルマイト溶液
    研磨浴液
    特殊酸洗液

    図:図 アルミニウム陽極酸化工程より排出される廃硫酸の回収装置フロー例

    図 アルミニウム陽極酸化工程より排出される廃硫酸の回収装置フロー例

     なお、電解処理には、表に示す濃厚溶液、希薄溶液、めっきスラッジ、粗金属の別にバッチ式、回分式、連続循環式等がある。

    表 電解処理の事例
    分類
    電解処理の対象となる溶液の種類と処理目的(例)
    より具体的な例
    かく膜
    電解方式
    濃厚溶液
    めっき液の再生、劣化防止
    不純物の除去
    ニッケルめっき液の脱銅
    なし
     
    クロメート液の再生
    不純物の除去
    クロムめっき液の二段式電解
    クロメート液の再生
    エッチング廃液の再生
    Cr(Ⅲ)の酸化
    プラスチックめっきのエッチング廃液
    何れも可
    めっき廃液
    金属の回収
    毒性物質の無害化
    シアン化銅、シアン化亜鉛廃液
    無電解銅めっき廃液(COD)
     
    めっきはく離廃液
    金属の回収
    毒性物質の無害化
    ニッケルめっきはく離廃液
    なし
    バッチ式
    シアンを含む脱脂廃液
    シアンの酸化
    電解脱脂液
     
     
    希薄溶液
    主としてめっき水洗液
    金属の回収
    毒性物質の無害化
    (アルカリの回収)
    銀めっき洗液
    なし
    回分式
    銀めっきと金めっき水洗液
    なし
    連続循環式
    シアン化銅めっき水洗液
    シアン化亜鉛めっき水洗液
    充填陽極を用いた連続循環式
    ニッケルめっきの希薄液
    なし
    流動床電極を用いた方式
    銀めっきの希薄液
     
     
    めっきスラッジ
     
    金属の回収
    水酸化クロムと硫酸
    なし
    バッチ式
    ニッケル、銅、亜鉛のスラッジと硫酸(陽極室へ入れる)
     
    粗金属
     
    粗金属の精製
    銀めっき水洗液から回収した粗銀(陽極室へ入れる)
     

    (出典:リサイクルシステム研究会編:「電気めっき工場におけるリサイクル化ハンドブック」(社)金属表面技術協会1979.7月)

    図:図 めっき工場の廃水処理(代表例)

    (出典 金属鍍金鉱業組合連合会:「めっき工場排水の処理と管理」1985.8)
    図 めっき工場の廃水処理(代表例)

    ●シアン化合物の酸化分解施設

     シアン化合物を含む廃水は、シアン化合物の廃液の分解後の重金属回収後廃液である。
     シアン化合物を含む廃液は、表に示すようにメッキ老化液や電解脱脂液等があり、主な成分はシアン化ナトリウム、及びシアン化ナトリウムと重金属との化合物となっている。
     シアン処理に伴いカドミウム、シアン、亜鉛、銅、鉄、ナトリウムなどの重金属などが廃水中に含まれたまま排出する可能性があり、これらの環境基準との整合性を担保する必要がある(カリウム、ニッケルは、環境基準なし)
     一方、施設からの漏洩悪臭物質としては、アンモニアが考えられる。(シアン化水素は有毒ガスであり、これの漏洩はないことが前提である)

    表 シアン化合物を含む廃液の例
    廃液の種類
    成分
    メッキ老化液
    銅メッキ
    Na2Cu(CN)3、NaCN
    亜鉛メッキ
    Na2Zn(CN)4、NaCN
    カドミウムメッキ
    Na2Cd(CN)4、NaCN
    合金メッキ
    Na2Cu(CN)3、Na2Zn(CN)4、NaCN
    電解脱脂液
    Na4Fe(CN)、NaCN
    ニッケルはく離液
    Na2Ni(CN)4、NaCN
    淡炭・窒化廃液(タフトライド廃液)
    NaCN、KCN、Na4Fe(CN)4
    アクリロニトリル廃液
    CH2-CHCN、HCN、その他
    コークス炉廃液
    NH4CN、(NH4)4Fe(CN)4、Na4Fe(CN)4
    その他の廃液
    各種CN化合物

    図:図 シアン処理の標準フローシート

    図 シアン処理の標準フローシート

    図:図 シアン濃縮及び酸化分解施設

    図 シアン濃縮及び酸化分解施設

    ●PCB 汚染物の洗浄施設

     PCB汚染物は、次の3 種類があり、具体的には廃感圧紙、トランス、コンデンサの容器等が該当する。

    •   ・PCB が塗布された紙くず
    •   ・PCB が付着又は封入された廃プラスチック類
    •   ・PCB が付着又は封入された金属くず

     PCB 汚染物の洗浄施設は、PCB原液を取り出した後のコンデンサ、トランスなどに付着したPCB を洗浄液(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン)によって洗浄するものである。洗浄後の液状物は全て後段の洗浄物の焼却などの処理工程で処分され、洗浄施設自体からは一切の排水は発生しない。
     なお、洗浄液は、柱上トランスについては、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンにかえてn-ヘキサンで洗浄する方法について実証試験が行われ、除去効果が確認されている。

    図:図 溶剤洗浄処理試験設備の構成

    図 溶剤洗浄処理試験設備の構成

    ●廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設

     石綿(アスベスト)を含む産業廃棄物は、特別管理産業廃棄物と一般の産業廃棄物に区分され、その代表例を下表に示す。また、溶融施設の構成の一例を下図に示す。

    表 アスベストを含む産業廃棄物の種類
    区分
    定義
    代表物質
    飛散性アスベスト
    (廃石綿等(特別管理産業廃棄物))
     廃石綿及び石綿が含まれ、若しくは付着している産業廃棄物のうち、飛散するおそれのあるもの
    1. ①石綿建材除去事業に係るもの
      • ・吹き付け石綿(石綿則レベル1)
      • ・保温材、耐火被覆材、断熱材(石綿則レベル2)
         →人の接触、気流及び振動等により石綿が飛散するおそれのあるもの(目安として密度が0.5g/cm3)
      • ・除去事業に用いられたプラスチックシート、防じんマスク、作業衣等であって、石綿が付着しているおそれのあるもの
    2. ②特定紛じん発生施設(大気汚染防止法)において生じたもの
      • ・集じん施設によって集められたもの
      • ・防じんマスク、集じんフィルターその他の用具又は器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの
    建築物から除去された吹付けアスベスト、アスベストを含む保温材
    非飛散性アスベスト
    (石綿含有産業廃棄物(産業廃棄物))
     工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの(廃石綿等を除く。)をいう。(石綿則レベル3)
     廃棄物処理法上、産業廃棄物の以下の項目等に該当
    1.  1)工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物(がれき類)
    2.  2)ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く。)及び陶磁器くず
    3.  3)廃プラスチック類
    石綿スレート等の外装材、床タイル

    図:図 溶融施設の構成の一例

    図 溶融施設の構成の一例
    (焼却処理過程から発生した焼却残さを加熱して溶融する方式)

    1.関連条文

     ◎廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)(抄)

    (最終改正 平成18年2月10日法律第5号)

     第2章 一般廃棄物

     第3節 一般廃棄物処理施設
     (一般廃棄物処理施設の許可)
    1.   第8条 一般廃棄物処理施設(ごみ処理施設で政令で定めるもの(以下単に「ごみ処理施設」という。)、し尿処理施設(浄化槽法第二条第一号に規定する浄化槽を除く。以下同じ。)及び一般廃棄物の最終処分場で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者(第六条の二第一項の規定により一般廃棄物を処分するために一般廃棄物処理施設を設置しようとする市町村を除く。)は、当該一般廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長とする。第二十条の二第一項を除き、以下同じ。)の許可を受けなければならない。
    2.   2 前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
      1.    一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
      2.    二 一般廃棄物処理施設の設置の場所
      3.    三 一般廃棄物処理施設の種類
      4.    四 一般廃棄物処理施設において処理する一般廃棄物の種類
      5.    五 一般廃棄物処理施設の処理能力(一般廃棄物の最終処分場である場合にあつては、一般廃棄物の埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量)
      6.    六 一般廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
      7.    七 一般廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
      8.    八 一般廃棄物の最終処分場である場合にあつては、災害防止のための計画
      9.    九 その他環境省令で定める事項
    3.   3 前項の申請書には、環境省令で定めるところにより、当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付しなければならない。ただし、当該申請書に記載した同項第二号から第七号までに掲げる事項が、過去になされた第一項の許可に係る当該事項と同一である場合その他の環境省令で定める場合は、この限りでない。
    4.   4 都道府県知事は、一般廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について第一項の許可の申請があつた場合には、遅滞なく、第二項第一号から第四号までに掲げる事項、申請年月日及び縦覧場所を告示するとともに、同項の申請書及び前項の書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)を当該告示の日から一月間公衆の縦覧に供しなければならない。
    5.   5 都道府県知事は、前項の規定による告示をしたときは、遅滞なく、その旨を当該一般廃棄物処理施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある市町村の長に通知し、期間を指定して当該市町村長の生活環境の保全上の見地からの意見を聴かなければならない。
    6.   6 第四項の規定による告示があつたときは、当該一般廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までに、当該都道府県知事に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができる。
      (許可の基準等)
    1.   第8条の2 都道府県知事は、前条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
      1.    一 その一般廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
      2.    二 その一般廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。
      3.    三 申請者の能力がその一般廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画に従つて当該一般廃棄物処理施設の設置及び維持管理を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
      4.    四 申請者が第七条第五項第四号イからヌまでのいずれにも該当しないこと。
    2.   2 都道府県知事は、前条第一項の許可の申請に係るごみ処理施設(政令で定めるものに限る。以下この項及び第十五条の二第二項において同じ。)の設置によつて、ごみ処理施設又は産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。以下この項及び第十五条の二第二項において同じ。)の過度の集中により大気環境基準(ごみ処理施設又は産業廃棄物処理施設において発生する政令で定める物質による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準であつて、政令で定めるものをいう。第十五条の二第二項において同じ。)の確保が困難となると認めるときは、前条第一項の許可をしないことができる。
    3.   3 都道府県知事は、前条第一項の許可(同条第四項に規定する一般廃棄物処理施設に係るものに限る。)をする場合においては、あらかじめ、第一項第二号に掲げる事項について、生活環境の保全に関し環境省令で定める事項について専門的知識を有する者の意見を聴かなければならない。
    4.   4 前条第一項の許可には、生活環境の保全上必要な条件を付することができる。
    5.   5 前条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設について、都道府県知事の検査を受け、当該一般廃棄物処理施設が当該許可に係る同条第二項の申請書に記載した設置に関する計画に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。
    6.   6 環境大臣は、生活環境の保全上緊急の必要がある場合にあつては、前条第一項の許可の申請に対し都道府県知事が行う処分に関し必要な指示をすることができる。
    7.   7 環境大臣は、生活環境の保全上緊急の必要がある場合にあつては、都道府県知事が行う第五項の検査に関し必要な指示をすることができる。
      (一般廃棄物処理施設の維持管理)
    1.   第8条の3 第八条第一項の許可を受けた者は、環境省令で定める技術上の基準及び当該許可に係る同条第二項の申請書に記載した維持管理に関する計画(当該計画について第九条第一項の許可を受けたときは、変更後のもの)に従い、当該許可に係る一般廃棄物処理施設の維持管理をしなければならない。
     (記録及び閲覧)
    1.   第8条の4 第八条第一項の許可(同条第四項に規定する一般廃棄物処理施設に係るものに限る。)を受けた者は、環境省令で定めるところにより、当該許可に係る一般廃棄物処理施設の維持管理に関し環境省令で定める事項を記録し、これを当該一般廃棄物処理施設(当該一般廃棄物処理施設に備え置くことが困難である場合にあつては、当該一般廃棄物処理施設の設置者の最寄りの事務所)に備え置き、当該維持管理に関し生活環境の保全上利害関係を有する者の求めに応じ、閲覧させなければならない。
      (維持管理積立金)
    1.   第8条の5 (略)
    (変更の許可等)
    1.   第9条 第八条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る同条第二項第四号から第七号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
    2.   2 第八条第三項から第六項まで及び第八条の二第一項から第四項までの規定は、前項の許可について、同条第五項の規定は、前項の許可を受けた者について、同条第六項の規定は、前項の許可の申請に対し当該都道府県知事が行う処分について、同条第七項の規定は、この項の規定により準用する同条第五項の規定に基づき都道府県知事が行う検査について準用する。
    3.   3 第八条第一項の許可を受けた者は、第一項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたとき、若しくは同条第二項第一号に掲げる事項その他環境省令で定める事項に変更があつたとき、又は当該許可に係る一般廃棄物処理施設(一般廃棄物の最終処分場であるものを除く。)を廃止したとき、若しくは一般廃棄物処理施設を休止し、若しくは休止した当該一般廃棄物処理施設を再開したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
    4.   4 第八条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設が一般廃棄物の最終処分場である場合において、当該最終処分場に係る埋立処分(地中にある空間を利用する処分の方法を含む。以下同じ。)が終了したときは、その終了した日から三十日以内に、環境省令で定めるところにより、その旨及びその他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
    5.   5 第八条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設が一般廃棄物の最終処分場である場合においては、環境省令で定めるところにより、あらかじめ当該最終処分場の状況が環境省令で定める技術上の基準に適合していることについて都道府県知事の確認を受けたときに限り、当該最終処分場を廃止することができる。
    6.   6 第八条第一項の許可を受けた者は、第七条第五項第四号イからヘまで又はチからヌまで(同号チからヌまでに掲げる者にあつては、同号トに係るものを除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
      (改善命令等)
    1.   第9条の2 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、第八条第一項の許可を受けた者に対し、期限を定めて当該一般廃棄物処理施設につき必要な改善を命じ、又は期間を定めて当該一般廃棄物処理施設の使用の停止を命ずることができる。
      1.    一 第八条第一項の許可に係る一般廃棄物処理施設の構造又はその維持管理が第八条の二第一項第一号若しくは第八条の三に規定する技術上の基準又は当該許可に係る第八条第二項の申請書に記載した設置に関する計画若しくは維持管理に関する計画(これらの計画について前条第一項の許可を受けたときは、変更後のもの)に適合していないと認めるとき。
      2.    二 第八条第一項の許可を受けた者の能力が第八条の二第一項第三号に規定する環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき。
      3.    三 第八条第一項の許可を受けた者が違反行為をしたとき、又は他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたとき。
      4.    四 第八条第一項の許可を受けた者が第八条の二第四項の規定により当該許可に付した条件に違反したとき。
    2.   2 第八条の二第六項の規定は、前項の規定に基づき都道府県知事が行う処分について準用する。
      (許可の取消し)
    1.   第9条の2の2 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、当該一般廃棄物処理施設に係る第八条第一項の許可を取り消さなければならない。
      1.    一 第八条第一項の許可を受けた者が第七条第五項第四号イからヌまでのいずれかに該当するに至つたとき。
      2.    二 前条第一項第三号に該当し情状が特に重いとき、又は同項の規定による処分に違反したとき。
      3.    三 不正の手段により第八条第一項の許可又は第九条第一項の変更の許可を受けたとき。
    2.   2 都道府県知事は、前条第一項第一号、第二号又は第四号のいずれかに該当するときは、当該一般廃棄物処理施設に係る第八条第一項の許可を取り消すことができる。
    3.   3 第八条の二第六項の規定は、前二項の規定に基づき都道府県知事が行う処分について準用する。
      (市町村の設置に係る一般廃棄物処理施設の届出)
    1.   第9条の3 市町村は、第六条の二第一項の規定により一般廃棄物の処分を行うために、一般廃棄物処理施設を設置しようとするときは、環境省令で定めるところにより、第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類及び当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
    2.    2 前項の規定による届出をしようとする市町村の長は、同項に規定する第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類を作成するに当たつては、政令で定める事項について条例で定めるところにより、前項に規定する調査の結果を記載した書類を公衆の縦覧に供し、当該届出に係る一般廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出する機会を付与するものとする。
    3.    3 都道府県知事は、第一項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る一般廃棄物処理施設が第八条の二第一項第一号に規定する技術上の基準に適合していないと認めるときは、当該届出を受理した日から三十日(一般廃棄物の最終処分場については、六十日)以内に限り、当該届出をした市町村に対し、当該届出に係る計画の変更又は廃止を命ずることができる。
    4.    4 第一項の規定による届出をした市町村は、前項の期間を経過した後でなければ、当該届出に係る一般廃棄物処理施設を設置してはならない。ただし、当該届出の内容が相当であると認める旨の都道府県知事の通知を受けた後においては、この限りでない。
    5.    5 第一項の規定による届出に係る一般廃棄物処理施設の管理者は、第八条の三に規定する技術上の基準及び当該届出に係る同項に規定する第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類に記載した維持管理に関する計画(当該計画について第七項の規定による届出をしたときは、変更後のもの)に従い、当該一般廃棄物処理施設の維持管理をしなけ
      ればならない。
    6.    6 第一項の規定による届出に係る一般廃棄物処理施設(第八条第四項に規定する一般廃棄物処理施設であるものに限る。)の管理者は、環境省令で定めるところにより、当該一般廃棄物処理施設の維持管理に関し環境省令で定める事項を記録し、これを当該一般廃棄物処理施設(当該一般廃棄物処理施設に備え置くことが困難である場合にあつては、当該一般廃棄物処理施設の設置者の最寄りの事務所)に備え置き、当該維持管理に関し生活環境の保全上利害関係を有する者の求めに応じ、閲覧させなければならない。
    7.    7 第一項の規定による届出をした市町村は、当該届出に係る第八条第二項第四号から第七号までに掲げる事項の変更(環境省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境省令で定める事項を記載した書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
    8.    8 第二項及び第三項の規定は前項の規定による届出について、第四項の規定は前項の規定による届出をした市町村について準用する。この場合において、第二項中「前項の」とあるのは「第七項の」と、「同項」とあるのは「前項」と、第三項中「第一項の」とあるのは「第七項の」と、第四項中「第一項」とあるのは「第七項」と、「一般廃棄物処理施設を設置してはならない」とあるのは「第八条第二項第四号から第七号までに掲げる事項の変更をしてはならない」と読み替えるものとする。
    9.    9 都道府県知事は、第一項の規定による届出に係る一般廃棄物処理施設の構造又は維持管理が第八条の二第一項第一号若しくは第八条の三に規定する技術上の基準又は当該届出に係る第一項に規定する第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類に記載した設置に関する計画若しくは維持管理に関する計画(これらの計画について第七項の規定による届出をしたときは、変更後のもの)に適合しないと認めるときは、その設置者又は管理者に対し、当該一般廃棄物処理施設につき必要な改善を命じ、又は期間を定めて当該一般廃棄物処理施設の使用の停止を命ずることができる。
    10.    10 第九条第三項から第五項までの規定は、第一項の規定による一般廃棄物処理施設の設置の届出をした市町村について準用する。この場合において、同条第三項中「第一項ただし書」とあるのは「第九条の三第七項」と、「当該許可」とあるのは「当該届出」と、同条第四項及び第五項中「当該許可」とあるのは「当該届出」と読み替えるものとする。
    11.    11 第八条の二第六項の規定は、第三項又は第九項の規定に基づき都道府県知事が行う処分について準用する。
      (周辺地域への配慮)
    1.   第9条の4 第八条第一項の許可を受けた者及び前条第一項の規定による一般廃棄物処理施設の設置の届出をした市町村(以下「一般廃棄物処理施設の設置者」という。)は、当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮するものとする。
      (一般廃棄物処理施設の譲受け等)
    1.   第9条の5 (略)
      (合併及び分割)
    1.   第9条の6 (略)
      (相続)
    1.   第9条の7 (略)
     第4節 一般廃棄物の処理に係る特例
      (一般廃棄物の再生利用に係る特例)
    1.   第9条の8 (略)
      (一般廃棄物の広域的処理に係る特例)
    1.   第9条の9 (略)
      (一般廃棄物の無害化処理に係る特例)
    1.   第9条の10 石綿が含まれている一般廃棄物その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるものの高度な技術を用いた無害化処理(廃棄物を人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがない性状にする処理をいう。以下同じ。)を行い、又は行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、環境大臣の認定を受けることができる。
      1.    一 当該無害化処理の内容が、当該一般廃棄物の迅速かつ安全な処理の確保に資するものとして環境省令で定める基準に適合すること。
      2.    二 当該無害化処理を行い、又は行おうとする者が環境省令で定める基準に適合すること。
      3.    三 前号に規定する者が設置し、又は設置しようとする当該無害化処理の用に供する施設が環境省令で定める基準に適合すること。
    2.   2 前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を環境大臣に提出しなければならない。
      1.    一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
      2.    二 無害化処理の用に供する施設の設置の場所
      3.    三 無害化処理の用に供する施設の種類
      4.    四 無害化処理の用に供する施設において処理する一般廃棄物の種類
      5.    五 無害化処理の用に供する施設の処理能力
      6.    六 無害化処理の用に供する施設の位置、構造等の設置に関する計画
      7.    七 無害化処理の用に供する施設の維持管理に関する計画
      8.    八 その他環境省令で定める事項
    3.   3 環境大臣は、第一項の認定の申請に係る無害化処理が同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。
    4.   4 第一項の認定を受けた者は、第七条第一項若しくは第六項又は第八条第一項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該認定に係る一般廃棄物の当該認定に係る収集若しくは運搬若しくは処分を業として行い、又は当該認定に係る一般廃棄物処理施設を設置することができる。
    5.   5 第一項の認定を受けた者は、第七条第十三項、第十五項及び第十六項の規定の適用については、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者とみなす。
    6.   6 環境大臣は、第一項の認定に係る無害化処理が同項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、当該認定を取り消すことができる。
    7.   7 第八条第三項本文及び第四項から第六項までの規定は第一項の認定について、第八条の四の規定は同項の認定を受けた者について準用する。この場合において、第八条第三項本文中「前項」とあるのは「第九条の十第二項」と、同条第四項中「都道府県知事は、一般廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について」とあるのは「環境大臣は、」と、「第二項第一号」とあるのは「第九条の十第二項第一号」と、「書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)」とあるのは「書類」と、同条第五項中「都道府県知事」とあるのは「環境大臣」と、「市町村の長」とあり、及び「市町村長」とあるのは「都道府県及び市町村の長」と、同条第六項中「当該都道府県知事」とあるのは「環境大臣」と読み替えるものとする。
    8.   8 前各項に規定するもののほか、第一項の認定に関し必要な事項は、政令で定める。

     第3章 産業廃棄物

     第5節 産業廃棄物処理施設
     (産業廃棄物処理施設)
    1.   第15条 産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
    2.   2 前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
      1.    一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
      2.    二 産業廃棄物処理施設の設置の場所
      3.    三 産業廃棄物処理施設の種類
      4.    四 産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物の種類
      5.    五 産業廃棄物処理施設の処理能力(産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては、産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量)
      6.    六 産業廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
      7.    七 産業廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
      8.    八 産業廃棄物の最終処分場である場合にあつては、災害防止のための計画
      9.    九 その他環境省令で定める事項
    3.   3 前項の申請書には、環境省令で定めるところにより、当該産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付しなければならない。ただし、当該申請書に記載した同項第二号から第七号までに掲げる事項が、過去になされた第一項の許可に係る当該事項と同一である場合その他の環境省令で定める場合は、この限りでない。
    4.   4 都道府県知事は、産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について第一項の許可の申請があつた場合には、遅滞なく、第二項第一号から第四号までに掲げる事項、申請年月日及び縦覧場所を告示するとともに、同項の申請書及び前項の書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)を当該告示の日から一月間公衆の縦覧に供しなければならない。
    5.   5 都道府県知事は、前項の規定による告示をしたときは、遅滞なく、その旨を当該産業廃棄物処理施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある市町村の長に通知し、期間を指定して当該市町村長の生活環境の保全上の見地からの意見を聴かなければならない。
    6.   6 第四項の規定による告示があつたときは、当該産業廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までに、当該都道府県知事に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができる。
        (許可の基準等)
      1.   第15条の2 都道府県知事は、前条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
        1.    一 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
        2.    二 その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該産業廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。
        3.    三 申請者の能力がその産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画に従つて当該産業廃棄物処理施設の設置及び維持管理を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
        4.    四 申請者が第十四条第五項第二号イからヘまでのいずれにも該当しないこと。
      2.   2 都道府県知事は、前条第一項の許可の申請に係る産業廃棄物処理施設の設置によつて、ごみ処理施設又は産業廃棄物処理施設の過度の集中により大気環境基準の確保が困難となると認めるときは、同項の許可をしないことができる。
      3.   3 都道府県知事は、前条第一項の許可(同条第四項に規定する産業廃棄物処理施設に係るものに限る。)をする場合においては、あらかじめ、第一項第二号に掲げる事項について、生活環境の保全に関し環境省令で定める事項について専門的知識を有する者の意見を聴かなければならない。
      4.   4 前条第一項の許可には、生活環境の保全上必要な条件を付することができる。
      5.   5 前条第一項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処理施設の設置者」という。)は、当該許可に係る産業廃棄物処理施設について、都道府県知事の検査を受け、当該産業廃棄物処理施設が当該許可に係る前条第二項の申請書に記載した設置に関する計画に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。
        (産業廃棄物処理施設の維持管理)
      1.   第15条の2の2 産業廃棄物処理施設の設置者は、環境省令で定める技術上の基準及び当該産業廃棄物処理施設の許可に係る第十五条第二項の申請書に記載した維持管理に関する計画(当該計画について第十五条の二の五第一項の許可を受けたときは、変更後のもの)に従い、当該産業廃棄物処理施設の維持管理をしなければならない。
        (準用)
      1.   第15条の2の3 第八条の四の規定は産業廃棄物処理施設の設置者(第十五条第四項に規定する産業廃棄物処理施設について同条第一項の許可を受けたものに限る。)について、第八条の五の規定は産業廃棄物処理施設である産業廃棄物の最終処分場であつて環境省令で定めるものについて同項の許可を受けた者について準用する。この場合において、第八条の四中「当該許可に係る一般廃棄物処理施設」とあり、及び「当該一般廃棄物処理施設」とあるのは「当該産業廃棄物処理施設」と、第八条の五第一項中「特定一般廃棄物最終処分場」とあるのは「特定産業廃棄物最終処分場」と、「一般廃棄物処理施設である一般廃棄物の最終処分場」とあるのは「産業廃棄物処理施設である産業廃棄物の最終処分場」と、「第八条第一項」とあるのは「第十五条第一項」と、同条第四項及び第六項中「特定一般廃棄物最終処分場」とあるのは「特定産業廃棄物最終処分場」と、同条第七項中「第九条の五第三項、第九条の六第一項又は第九条の七第一項」とあるのは「第十五条の四において準用する第九条の五第三項、第九条の六第一項又は第九条の七第一項」と、「第八条第一項」とあるのは「第十五条第一項」と読み替えるものとする。
        (産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の設置についての特例)
      1.   第15条の2の4 産業廃棄物処理施設の設置者は、当該産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるものをその処理施設において処理する場合において、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その処理施設において処理する一般廃棄物の種類その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出たときは、第八条第一項の規定にかかわらず、同項の許可を受けないで、その処理施設を当該一般廃棄物を処理する一般廃棄物処理施設として設置することができる。
        (変更の許可等)
      1.   第15条の2の5 産業廃棄物処理施設の設置者は、当該許可に係る第十五条第二項第四号から第七号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
      2.   2 第十五条第三項から第六項まで及び第十五条の二第一項から第四項までの規定は、前項の許可について、同条第五項の規定は、前項の許可を受けた者について準用する。
      3.   3 第九条第三項から第六項までの規定は、産業廃棄物処理施設の設置者について準用する。この場合において、同条第三項中「第一項ただし書」とあるのは「第十五条の二の五第一項ただし書」と、「同条第二項第一号」とあるのは「第十五条第二項第一号」と、「当該許可に係る一般廃棄物処理施設」とあるのは「当該産業廃棄物処理施設」と、「一般廃棄物の」とあるのは「産業廃棄物の」と、「一般廃棄物処理施設を」とあるのは「産業廃棄物処理施設を」と、同条第四項及び第五項中「当該許可に係る一般廃棄物処理施設」とあるのは「当該産業廃棄物処理施設」と、「一般廃棄物の」とあるのは「産業廃棄物の」と、同条第六項中「第七条第五項第四号イからヘまで又はチからヌまで(同号チからヌまでに掲げる者にあつては、同号ト」とあるのは「第十四条第五項第二号イ(第七条第五項第四号トに係るものを除く。)又は第十四条第五項第二号ハからホまで(第七条第五項第四号ト又は第十四条第五項第二号ロ」と読み替えるものとする。
        (改善命令等)
      1.   第15条の2の6 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、産業廃棄物処理施設の設置者に対し、期限を定めて当該産業廃棄物処理施設につき必要な改善を命じ、又は期間を定めて当該産業廃棄物処理施設の使用の停止を命ずることができる。
        1.    一 第十五条第一項の許可に係る産業廃棄物処理施設の構造又はその維持管理が第十五条の二第一項第一号若しくは第十五条の二の二に規定する技術上の基準又は当該産業廃棄物処理施設の許可に係る第十五条第二項の申請書に記載した設置に関する計画若しくは維持管理に関する計画(これらの計画について前条第一項の許可を受けたときは、変更後のもの)に適合していないと認めるとき。
        2.    二 産業廃棄物処理施設の設置者の能力が第十五条の二第一項第三号に規定する環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき。
        3.    三 産業廃棄物処理施設の設置者が違反行為をしたとき、又は他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたとき。
        4.    四 産業廃棄物処理施設の設置者が第十五条の二第四項の規定により当該許可に付した条件に違反したとき。
        (許可の取消し)
      1.   第15条の3 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、当該産業廃棄物処理施設に係る第十五条第一項の許可を取り消さなければならない。
        1.    一 産業廃棄物処理施設の設置者が第十四条第五項第二号イからヘまでのいずれかに該当するに至つたとき。
        2.    二 前条第三号に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分に違反したとき。
        3.    三 不正の手段により第十五条第一項の許可又は第十五条の二の五第一項の変更の許可を受けたとき。
      2.   2 都道府県知事は、前条第一号、第二号又は第四号のいずれかに該当するときは、当該産業廃棄物処理施設に係る第十五条第一項の許可を取り消すことができる。
        (準用)
      1.   第15条の4 第九条の四の規定は産業廃棄物処理施設の設置者について、第九条の五から第九条の七までの規定は産業廃棄物処理施設について準用する。この場合において、第九条の四中「一般廃棄物処理施設」とあるのは「産業廃棄物処理施設」と、第九条の五第一項中「第八条第一項」とあるのは「第十五条第一項」と、同条第二項及び第九条の六第二項中「第八条の二第一項」とあるのは「第十五条の二第一項」と読み替えるものとする。
       第6節 産業廃棄物の処理に係る特例
        (産業廃棄物の再生利用に係る特例)
      1.   第15条の4の2 (略)
        (産業廃棄物の広域的処理に係る特例)
      1.   第15条の4の3 (略)
        (産業廃棄物の無害化処理に係る特例)
      1.   第15条の4の4 石綿が含まれている産業廃棄物その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する産業廃棄物として環境省令で定めるものの高度な技術を用いた無害化処理を行い、又は行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、環境大臣の認定を受けることができる。
        1.    一 当該無害化処理の内容が、当該産業廃棄物の迅速かつ安全な処理の確保に資するものとして環境省令で定める基準に適合すること。
        2.    二 当該無害化処理を行い、又は行おうとする者が環境省令で定める基準に適合すること。
        3.    三 前号に規定する者が設置し、又は設置しようとする当該無害化処理の用に供する施設が環境省令で定める基準に適合すること。
      2.   2 前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を環境大臣に提出しなければならない。
        1.    一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
        2.    二 無害化処理の用に供する施設の設置の場所
        3.    三 無害化処理の用に供する施設の種類
        4.    四 無害化処理の用に供する施設において処理する産業廃棄物の種類
        5.    五 無害化処理の用に供する施設の処理能力
        6.    六 無害化処理の用に供する施設の位置、構造等の設置に関する計画
        7.    七 無害化処理の用に供する施設の維持管理に関する計画
        8.    八 その他環境省令で定める事項
      3.   3 第八条の四の規定は第一項の認定を受けた者について、第九条の十第三項の規定は第一項の認定について、同条第四項及び第五項の規定は第一項の認定を受けた者について、同条第六項及び第八項並びに第十五条第三項本文及び第四項から第六項までの規定は第一項の認定について準用する。この場合において、第八条の四中「当該許可に係る一般廃棄物処理施設」とあるのは「当該認定に係る施設」と、「当該一般廃棄物処理施設」とあるのは「当該施設」と、第九条の十第四項中「第七条第一項若しくは第六項又は第八条第一項」とあるのは「第十四条第一項若しくは第六項若しくは第十四条の四第一項若しくは第六項又は第十五条第一項」と、「一般廃棄物の」とあるのは「産業廃棄物若しくは特別管理産業廃棄物の」と、「一般廃棄物処理施設」とあるのは「産業廃棄物処理施設」と、同条第五項中「第七条第十三項、第十五項及び第十六項」とあるのは「第十四条第十二項、第十三項及び第十五項又は第十四条の四第十二項、第十三項及び第十六項」と、「一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者」とあるのは「産業廃棄物収集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者若しくは特別管理産業廃棄物処分業者」と、第十五条第三項本文中「前項」とあるのは「第十五条の四の四第二項」と、同条第四項中「都道府県知事は、産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について」とあるのは「環境大臣は、」と、「第二項第一号」とあるのは「第十五条の四の四第二項第一号」と、「書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)」とあるのは「書類」と、同条第五項中「都道府県知事」とあるのは「環境大臣」と、「市町村の長」とあり、及び「市町村長」とあるのは「都道府県及び市町村の長」と、同条第六項中「当該都道府県知事」とあるのは「環境大臣」と読み替えるほか、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

      ◎廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)(抄)

      (最終改正 平成18年7月26日政令第250号)

        (一般廃棄物処理施設)

      1.   第5条 法第八条第一項の政令で定めるごみ処理施設は、一日当たりの処理能力が五トン以上(焼却施設にあつては、一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上又は火格子面積が二平方メートル以上)のごみ処理施設とする。
      2.   2 法第八条第一項の政令で定める一般廃棄物の最終処分場は、一般廃棄物の埋立処分の用に供される場所(公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条第一項の免許又は同法第四十二条第一項の承認を受けて埋立てをする場所(以下「水面埋立地」という。)にあつては、主として一般廃棄物の埋立処分の用に供される場所として環境大臣が指定する区域に限る。)とする。

        (縦覧等を要する一般廃棄物処理施設)

      1.   第5条の2 法第八条第四項の政令で定める一般廃棄物処理施設は、前条第一項に規定するごみ処理施設のうち焼却施設及び同条第二項に規定する一般廃棄物の最終処分場とする。

        (大気環境基準の確保のための許可の基準の特例に係る施設等)

      1.   第5条の3 法第八条の二第二項の政令で定めるごみ処理施設は、第五条第一項に規定する焼却施設とする。
      2.   2 法第八条の二第二項の政令で定める産業廃棄物処理施設は、第七条第三号、第五号、第八号、第十二号及び第十三号の二に掲げるものとする。
      3.   3 法第八条の二第二項の政令で定める物質は、ダイオキシン類とする。
      4.   4 法第八条の二第二項の政令で定める基準は、ダイオキシン類による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準であつて、第一項又は第二項に規定する施設の過度の集中による生活環境への影響を勘案して環境大臣が定めるものとする。

        (法第九条の三第二項の政令で定める事項)

      1.   第5条の4 法第九条の三第二項の政令で定める事項は、次のとおりとする。
        1.    一 法第九条の三第二項の規定による同条第一項に規定する調査の結果を記載した書類の公衆への縦覧及び意見書を提出する機会の付与の対象となる一般廃棄物処理施設の種類
        2.    二 法第九条の三第一項に規定する調査の結果を記載した書類の縦覧の場所及び期間
        3.    三 一般廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者が生活環境の保全上の見地から提出する意見書の提出先及び提出期限
        4.    四 その他法第九条の三第一項に規定する法第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類を作成するに当たつて必要な事項

        (産業廃棄物処理施設)

      1.   第7条 法第十五条第一項の政令で定める産業廃棄物の処理施設は、次のとおりとする。
        1.    一 汚泥の脱水施設であつて、一日当たりの処理能力が十立方メートルを超えるもの
        2.    二 汚泥の乾燥施設であつて、一日当たりの処理能力が十立方メートル(天日乾燥施設にあつては、百立方メートル)を超えるもの
        3.    三 汚泥(ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物であるものを除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの
          1.     イ 一日当たりの処理能力が五立方メートルを超えるもの
          2.     ロ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
          3.     ハ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
        4.    四 廃油の油水分離施設であつて、一日当たりの処理能力が十立方メートルを超えるもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三条第十四号の廃油処理施設を除く。)
        5.    五 廃油(廃ポリ塩化ビフェニル等を除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三条第十四号の廃油処理施設を除く。)
          1.     イ 一日当たりの処理能力が一立方メートルを超えるもの
          2.     ロ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
          3.     ハ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
        6.    六 廃酸又は廃アルカリの中和施設であつて、一日当たりの処理能力が五十立方メートルを超えるもの
        7.    七 廃プラスチック類の破砕施設であつて、一日当たりの処理能力が五トンを超えるもの
        8.    八 廃プラスチック類(ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物であるものを除く。)の焼却施設であつて、次のいずれかに該当するもの
          1.     イ 一日当たりの処理能力が百キログラムを超えるもの
          2.     ロ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
        9.    八の二 第二条第二号に掲げる廃棄物(事業活動に伴つて生じたものに限る。)又はがれき類の破砕施設であつて、一日当たりの処理能力が五トンを超えるもの
        10.    九 別表第三の三に掲げる物質又はダイオキシン類を含む汚泥のコンクリート固型化施設
        11.    十 水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設
        12.    十一 汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設
        13.    十一の二 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
        14.    十二 廃ポリ塩化ビフェニル等、ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の焼却施設
        15.    十二の二 廃ポリ塩化ビフェニル等(ポリ塩化ビフェニル汚染物に塗布され、染み込み、付着し、又は封入されたポリ塩化ビフェニルを含む。)又はポリ塩化ビフェニル処理物の分解施設
        16.    十三 ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の洗浄施設又は分離施設
        17.    十三の二 産業廃棄物の焼却施設(第三号、第五号、第八号及び第十二号に掲げるものを除く。)であつて、次のいずれかに該当するもの
          1.     イ 一時間当たりの処理能力が二百キログラム以上のもの
          2.     ロ 火格子面積が二平方メートル以上のもの
        18.    十四 産業廃棄物の最終処分場であつて、次に掲げるもの
          1.     イ 第六条第一項第三号ハ(1)から(5)まで及び第六条の五第一項第三号イ(1)から(6)までに掲げる産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所
          2.     ロ 安定型産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地を除く。)
          3.     ハ イに規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地にあつては、主としてイに規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所として環境大臣が指定する区域に限る。)

        (縦覧等を要する産業廃棄物処理施設)

      1.   第7条の2 法第十五条第四項の政令で定める産業廃棄物処理施設は、前条第三号、第五号、第八号及び第十一号の二から第十四号までに掲げるものとする。

      ◎廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)(抄)

      (最終改正 平成18年7月26日環境省令第23号)

        (生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類)

      1.   第3条の2 法第八条第三項の書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
        1.    一 設置しようとする一般廃棄物処理施設の種類及び規模並びに処理する一般廃棄物の種類を勘案し、当該一般廃棄物処理施設を設置することに伴い生ずる大気質、騒音、振動、悪臭、水質又は地下水に係る事項のうち、周辺地域の生活環境に影響を及ぼすおそれがあるものとして調査を行つたもの(以下この条において「一般廃棄物処理施設生活環境影響調査項目」という。)
        2.    二 一般廃棄物処理施設生活環境影響調査項目の現況及びその把握の方法
        3.    三 当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響の程度を予測するために把握した水象、気象その他自然的条件及び人口、土地利用その他社会的条件の現況並びにその把握の方法
        4.    四 当該一般廃棄物処理施設を設置することにより予測される一般廃棄物処理施設生活環境影響調査項目に係る変化の程度及び当該変化の及ぶ範囲並びにその予測の方法
        5.    五 当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響の程度を分析した結果
        6.    六 大気質、騒音、振動、悪臭、水質又は地下水のうち、これらに係る事項を一般廃棄物処理施設生活環境影響調査項目に含めなかつたもの及びその理由
        7.    七 その他当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査に関して参考となる事項

        (生活環境に及ぼす影響についての調査が省略できる場合)

      1.   第3条の3 法第八条第三項ただし書の規定による環境省令で定める場合は、次のとおりとする。
        1.    一 一般廃棄物の最終処分場以外の一般廃棄物処理施設にあつては、法第八条第二項の申請書に記載した同項第二号から第七号までに掲げる事項が、過去になされた同条第一項の許可に係る当該事項と同一である場合
        2.    二 一般廃棄物の最終処分場にあつては、法第八条第二項の申請書に記載した同項第二号から第四号まで、第六号及び第七号に掲げる事項が、過去になされた同条第一項の許可に係る当該事項と同一である場合

        (生活環境の保全に関する専門的知識)

      1.   第4条の3 法第八条の二第三項(法第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定による環境省令で定める事項は、廃棄物の処理並びに大気質、騒音、振動、悪臭、水質及び地下水に関する事項とする。

        (無害化処理の用に供する施設の設置に係る生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類)

      1.   第6条の24の9 第三条の二の規定は、法第九条の十第七項において読み替えて準用する法第八条第三項の書類について準用する。

        (生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類)

      1.   第11条の2 法第十五条第三項の書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
        1.    一 設置しようとする産業廃棄物処理施設の種類及び規模並びに処理する産業廃棄物の種類を勘案し、当該産業廃棄物処理施設を設置することに伴い生ずる大気質、騒音、振動、悪臭、水質又は地下水に係る事項のうち、周辺地域の生活環境に影響を及ぼすおそれがあるものとして調査を行つたもの(以下この条において「産業廃棄物処理施設生活環境影響調査項目」という。)
        2.    二 産業廃棄物処理施設生活環境影響調査項目の現況及びその把握の方法
        3.    三 当該産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響の程度を予測するために把握した水象、気象その他自然的条件及び人口、土地利用その他社会的条件の現況並びにその把握の方法
        4.    四 当該産業廃棄物処理施設を設置することにより予測される産業廃棄物処理施設生活環境影響調査項目に係る変化の程度及び当該変化の及ぶ範囲並びにその予測の方法
        5.    五 当該産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響の程度を分析した結果
        6.    六 大気質、騒音、振動、悪臭、水質又は地下水のうち、これらに係る事項を産業廃棄物処理施設生活環境影響調査項目に含めなかつたもの及びその理由
        7.    七 その他当該産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査に関して参考となる事項

         (生活環境に及ぼす影響についての調査が省略できる場合)

      1.   第11条の3 法第十五条第三項ただし書の規定による環境省令で定める場合は、次のとおりとする。
        1.    一 産業廃棄物の最終処分場以外の産業廃棄物処理施設にあつては、法第十五条第二項の申請書に記載した同項第二号から第七号までに掲げる事項が、過去になされた同条第一項の許可に係る当該事項と同一である場合
        2.    二 産業廃棄物の最終処分場にあつては、法第十五条第二項の申請書に記載した同項第二号から第四号まで、第六号及び第七号に掲げる事項が、過去になされた同条第一項の許可に係る当該事項と同一である場合

        (生活環境の保全に関する専門的知識)

      1.   第12条の3 法第十五条の二第三項(法第十五条の二の五第二項において準用する場合を含む。)の規定による環境省令で定める事項は、廃棄物の処理並びに大気質、騒音、振動、悪臭、水質及び地下水に関する事項とする。

        (準用)

      1.   第12条の12の19 第六条の二十四の七の規定は法第十五条の四の四の規定による無害化処理に係る特例の対象となる産業廃棄物について、第六条の二十四の八の規定は法第十五条の四の四第二項の申請書について、第六条の二十四の九の規定は法第十五条の四の四第三項において読み替えて準用する法第十五条第三項に規定する調査の結果を記載した書類について、第六条の二十四の十の規定は法第十五条の四の四第三項において読み替えて準用する法第八条の四の規定による記録の閲覧について、第六条の二十四の十一の規定は法第十五条の四の四第三項において読み替えて準用する法第八条の四の規定による環境省令で定める事項について、第六条の二十四の十二の規定は令第七条の七において準用する令第五条の十一の規定による認定証について、第六条の二十四の十三から第六条の二十四の十五までの規定は令第七条の七において準用する令第五条の十二の規定による休廃止等の届出について、第六条の二十四の十六の規定は法第十五条の四の四第一項の認定を受けた者について準用する。この場合において、これらの規定中「一般廃棄物」とあるのは「産業廃棄物」と、「第六条の二十四の二」とあるのは「第十二条の十二の十四」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句にそれぞれ読み替えるものとする。

      (表 省略)

      ◎ 一般廃棄物処理施設の設置に係る生活環境影響調査結果の縦覧等の手続に関する条例案

      (モデル条例)

      (平成9年12月 社団法人 全国都市清掃会議)

      モデル条例の作成にあたって

       国は、全国的に多発する廃棄物処理施設の立地や運営に関する紛争等に対応して、平成3年の廃棄物処理法改正の際に検討課題とした廃棄物が不法に処分された場合における適切かつ迅速な原状回復のための方策等(付則第二条)を主とした新たな制度等の措置を講ずるため、先に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)の一部を改正する法律」を平成9年法律第85号で公布したところであります。
       そして、このたび「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令(平成9年政令第353号)」が公布され、一般廃棄物処理施設の設置に係る周辺地域の生活環境影響調査の結果の書類を公衆に縦覧すること及び利害関係を有する者に意見書の提出する機会を付与する手続きを条例で定めるにあたって当該条例に委ねる事項を具体的に定めました。
       そこで、今般、当会議では、会員の皆様が条例を制定される際の参考に、「○○市が設置する一般廃棄物処理施設に係る生活環境影響調査結果の縦覧等の手続きに関する条例案」(以下「モデル条例」という。)を作成しました。ご利用いただければ幸甚に存じます。
       現行条例の一部改正で対応される会員におかれては、案の各条項について取捨選択していただきたいと考えております。
       なお、モデル条例作成にあたっては、(社)全国都市清掃会議法対策委員長 村田 清氏(京都市清掃局事業部産業廃棄物指導課長)、拡大法対策委員及びモデル条例検討委員各位に、公務ご多忙にもかかわらず、多大なるご尽力を賜りました。
      ここにその労を讃え、深甚なる感謝の意を表するものであります。
       最後に、専門的見地からご教示いただいた厚生省環境整備課の皆さんに厚くお礼申し上げます。
      ○○市が設置する一般廃棄物処理施設に係る生活環境影響調査結果の縦覧等の手続に関する条例案
      平成9年12月(社)全国都市清掃会議

      モデル条例
      注釈
      (目的)
      第1条 この条例は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第9条の3第2項(同条第8項により準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に基づき、同条第1項に規定する一般廃棄物処理施設の設置に係る届出及び同条第7項に規定する一般廃棄物処理施設の変更に係る届出に際し、市長が実施した周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査(以下「生活環境影響調査」という。)の結果及び法第8条第2項第二号から第九号までに掲げる事項を記載した書類(以下「報告書等」という。)の縦覧手続並びに生活環境の保全上の見地からの意見書(以下「意見書」という。)の提出の方法を定めることにより、設置又は変更に関し利害関係を有する者に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出する機会を付与することを目的とする。
       
       「同条」第8項により準用する場合を含む。以下同じ。)の条文は、施設の届出に係る事項の変更(厚生省令で定める軽微な変更を除く。)について第9条の3の第2項を準用することとした規定である。
       
       
       
       「及び法第8条第2項第二号から第九号までに掲げる事項」の条文は、第8条第4項に定める一般廃棄物処理施設の許可に係る手続との調整を図ったものである。
       
      (対象となる施設の種類)
      第2条 報告書等の公衆への縦覧及び意見書の提出の対象となる一般廃棄物処理施設は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号。)第5条第1項に規定するごみ処理施設のうち焼却施設及び同条第2項に規定する一般廃棄物の最終処分場(以下「施設」という。)とする。
       
       
       「ごみ処理施設のうち焼却施設及び.........一般廃棄物の最終処分場.........とする。」施設の限定は、一般廃棄物処理施設の許可に係る施設の種類との調整を図ったものである。
       
      (縦覧の告示)
      1. 第3条 市長は、法第9条の3第2項の規定により報告書等を公衆の縦覧に供しようとするときは、報告書等を縦覧に供する場所(以下「縦覧の場所」という。)、期間(以下「縦覧の期間」という。)のほか、次の各号に掲げる事項を告示するものとする。
        1.  一 施設の名称
        2.  二 施設の設置の場所
        3.  三 施設の種類
        4.  四 施設において処理する一般廃棄物の種類
        5.  五 施設の能力(施設が最終処分場である場合にあっては、埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量)
        6.  六 実施した生活環境影響調査の項目
       
       
       施行令第5条の3第二号では「報告書」の縦覧の場所及び期間を条例規定事項として明記しているが、条例案ではこれに加えて同条第四号の定めに基づく、第一号から第六号までに掲げる事項を告示して、市民に「報告書」の概要を明らかにすることとする。
       
      (縦覧の場所及び期間)
      1. 第4条 縦覧の場所は、次の各号に掲げる場所とする。
        1.  一 ○○市○○部
        2.  二 生活環境影響調査を実施した周辺地域内で、市長が指定する場所
        3.  三 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める場所
      2. 2 縦覧の期間は、告示の日から1月間とする。
       
       
      (意見書の提出先等の告示)
      第5条 市長は、法第9条の3第2項の規定により施設の設置又は変更に関し利害関係を有する者は生活環境の保全上の見地からの意見書を提出できる旨、意見書を提出する場合の提出先及び提出期限その他必要な事項を告示するものとする。
       
      (意見書の提出先及び提出期限)
      1. 第6条 意見書の提出先は、次に掲げる場所とする。
        1.  一 ○○市○○部
        2.  二 前号に掲げるもののほか、市長が必要と認める場所
      2. 2 前条の規定による告示があったときは、施設の設置又は変更に関し利害関係を有する者は、第4条第2項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までに、市長に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができる。
       
      (環境影響評価との関係)
      第7条 施設の設置又は変更に関し、環境影響評価法(平成9年法律第81号)又は○○市環境影響評価条例(平成○年条例○○号)に基づく環境影響評価(生活環境影響調査に相当する内容を有するものに限る。)に係る公告、縦覧等の手続を経たものは、第3条、第4条、第5条及び第6条に定める手続を経たものとみなす。
       
       
       みなし規定に、○○市環境影響評価条例は引用できるが、要綱は引用できないものと解する。
       
      (注)
      (左記の条例に該当条文を明記する場合)
      1. 1. 環境影響評価法関係
          「第16条に基づく準備書についての公告及び縦覧、第18条に基づく準備書についての意見書の提出及び第20条第2項に基づく関係市町村長の意見」を挿入。
      2. 2. 環境影響評価条例関係
          「第○○条に基づく告示縦覧、第○○条に基づく意見書の提出及び第○○条に基づく関係市町村長の意見」を挿入。
       
      (他の市町村との協議)
      1. 第8条 市長は、施設の設置に関する区域が、次の各号の一に該当するときは、当該区域を管轄する市町村の長に、報告書等の写しを送付し、当該区域における縦覧等の手続の実施について、協議するものとする。
        1.  一 施設を他の市町村の区域に設置するとき。
        2.  二 施設の敷地が他の市町村の区域にわたるとき。
        3.  三 施設の設置又は変更により、生活環境に影響を及ぼす周辺地域に、○○市の区域に属しない地域が含まれているとき。
       
       
      第8条 他の市町村との協議については施行令第5条の3第四号の規定に基づき、定めるものである。
       
      (委任)
      第9条 この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
       
        附則
      (施行期日)
      この条例は、公布の日から施行する。

      ○○市が設置する一般廃棄物処理施設に係る生活環境影響調査結果の縦覧等の手続に関する規則案
      平成9年12月 (社)全国都市清掃会議

      モデル規則
      注釈
      (趣旨)
      第1条 この規則は、○○市が設置する一般廃棄物処理施設に係る生活環境影響調査結果の縦覧等の手続に関する条例(平成10年条例第○○号。以下「条例」という。)の施行について必要な事項を定めるものとする。
       
       
      (用語)
      第2条 この規則で使用する用語は、条例で使用する用語の例による。
       
      (縦覧の期間等)
      1. 第3条 条例第4条第二号の規定による縦覧の期間のうち、日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日並びに1月2日から同月4日まで及び12月28日から同月31日までの日は、休日とする。
      2. 2 縦覧の時間は、午前9時○分から午後4時○分までとする。
       
      (縦覧の手続)
      第4条 条例第3条の規定により縦覧に供された報告書等を縦覧しようとする者(以下「縦覧者」という。)は、縦覧申込書(第一号様式)に必要な事項を記入しなければならない。
       
       
      (注)第一号様式は省略
      (縦覧者の遵守事項)
      1. 第5条 縦覧者は、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
        1.  一 報告書等を縦覧の場所から持ち出さないこと。
        2.  二 報告書等を汚損し、又は損傷しないこと。
        3.  三 他の縦覧者に迷惑を及ぼさないこと。
        4.  四 係員の指示があった場合には、それに従うこと。
      2. 2 市長は、前項の規定に違反した者に対し、縦覧を停止し、又は禁止することができる。
       
       
      (市民の意見書の記載事項)
      1. 第6条 条例第6条第2項の意見書には、次の各号に掲げる事項をすべて記載しなければならない。
        1.  一 氏名及び住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名及び登記された事務所又は事業所の所在地)
        2.  二 施設の名称
        3.  三 生活環境の保全上の見地からの意見
       
        附則
      (施行期日)
       この規則は、平成10年○月○日から施行する。

      2.大気質関連

      2-1基準値

       (1)環境濃度に関する基準等

        ア 環境基準

           環境基本法第16条第1項の規定による大気の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準を定めたものであり、関連する内容について以下に示す。

        (ア)大気の汚染に係る環境基準

           二酸化硫黄等の環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域または場所を除き、表2-1に示すとおりである。

      表2-1 大気の汚染に係る環境基準
      物質
      環境上の条件
      測定方法
      二酸化硫黄
      1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること
      溶液導電率法又は紫外線蛍光法
      一酸化炭素
      1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること
      非分散型赤外線分析計を用いる方法
      浮遊粒子状物質
      1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること
      濾過捕集による重量濃度測定方法又は、この方法によって測定された重量濃度と直線的な関係を有する量が得られる光散乱法、圧電天びん法若しくはベータ線吸収法
      光化学オキシダント
      1時間値が0.06ppm以下であること
      中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法または電量法、紫外線吸収法又はエチレンを用いる化学発光法
      二酸化窒素
      1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること
      ザルツマン試薬を用いる吸光光度法又はオゾンを用いる化学発光法
      ベンゼン
      1年平均値が0.003mg/m3以下であること
      キャニスター若しくは捕集管により採取した試料をガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法又はこれと同等以上の性能を有すると認められる方法
      トリクロロエチレン
      1年平均値が0.2mg/m3以下であること
      キャニスター若しくは捕集管により採取した試料をガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法又はこれと同等以上の性能を有すると認められる方法
      テトラクロロエチレン
      1年平均値が0.2mg/m3以下であること
      キャニスター若しくは捕集管により採取した試料をガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法又はこれと同等以上の性能を有すると認められる方法
      ジクロロメタン
      1年平均値が0.15mg/m3以下であること
      キャニスター若しくは捕集管により採取した試料をガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法又はこれと同等以上の性能を有すると認められる方法
        (イ)ダイオキシン類に係る環境基準

           ダイオキシン類に係る環境基準は表2-2に示すとおりである。

      表2-2 ダイオキシン類に係る環境基準
      媒体
      基準値
      測定方法
      大気
      0.6pg-TEQ/m3以下
      ポリウレタンフォームを装着した採取筒をろ紙後段に取り付けたエアサンプラーにより採取した試料を高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法

      備考: 基準値は年平均値とする。

        イ その他生活環境保全上の目標の根拠となる基準
        (ア)二酸化窒素の目標環境濃度について

           中央公害対策審議会の短期暴露指針値(「二酸化窒素の人の健康に係る判定条件等について」(中央公害対策審議会、昭和53年3月22日答申)では、「二酸化窒素の1時間値が0.1~0.2ppm以下」としている。

        (イ)塩化水素の目標環境濃度について

           塩化水素の環境濃度は、塩化水素の排出基準の設定根拠から示され、0.02ppm である。塩化水素の排出基準の考え方は、環境庁大気保全局長通達( 昭和52 年6 月16 日環大規第136号) の中で「目標環境濃度は、日本産業衛生学会「許容濃度に関する委員会勧告」に示された労働環境濃度を参考として0.02ppm とし、平均的な排出口高さを有する施設からの塩化水素の排出が、拡散条件の悪い場合にあってもこれを満足するよう排出基準値を設定した。」とある。

        (ウ)水銀の環境濃度について

           中央環境審議会の「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について( 第7 次答申) 」
          ( 平成15 年7 月31 日答申) によれば、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値( 指針値) として、水銀については年平均値0.04μ g-Hg/m3以下と設定されている。

       (2)排出に関する基準等

        ア 規制基準
        (ア)硫黄酸化物

           大気汚染防止法に基づく硫黄酸化物の排出基準は表2-3に、総量規制基準は表2-4に示すとおりである。

      表2-3 硫黄酸化物の排出基準
      q = K×10-3・He
         ただし、
         q  :硫黄酸化物の規制量(m3N/時)
         K  :大気汚染防止法第三条第二項第一号で定める値。
         He :大気汚染防止法第三条第二項第一号に規定する補正された排出口の高さ(m)
      表2 -4 硫黄酸化物の総量規制基準
      大気汚染防止法施行規則(昭和46年6月22日 厚生省・通産省令第1号)
       (総量規制基準)
      1. 第7条の3 硫黄酸化物に係る総量規制基準は、次の各号のいずれかに掲げる硫黄酸化物の量として定めるものとする。
        1.  一 特定工場等に設置されているすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設において使用される原料又は燃料の量の増加に応じて、排出が許容される硫黄酸化物の量が増加し、かつ、使用される原料又は燃料の量の増加一単位当たりの排出が許容される硫黄酸化物の量の増加分がてい減するように算定される硫黄酸化物の量
        2.  二 特定工場等に設置されているすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設から排出される硫黄酸化物について所定の方法により求められる重合した最大地上濃度(以下「最大重合地上濃度」という。)が指定地域におけるすべての特定工場等について一定の値となるように算定される硫黄酸化物の量。ただし、三以上の特定工場等が相互に近接しており、かつ、これらの特定工場等を一の特定工場等としてとらえることが適当であると認められる場合においては、当該一定の値に代えて特別の値を用いて算定される硫黄酸化物の量とすることができる。
      2. 2 硫黄酸化物に係る法第5条の2第1項の総量規制基準は、前項第1号に掲げる硫黄酸化物の量として定める場合にあつては第1号に掲げる算式を、同項第2号に掲げる硫黄酸化物の量として定める場合にあつては第2号に掲げる算式を、それぞれ基本とした算式により定めるものとする。
        1.  一 Q=a・Wb
             (この式において、Q、W、a及びbは、それぞれ次の値を表すものとする。
             Q 排出が許容される硫黄酸化物の量(単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算したm3/時)
             W 特定工場等に設置されているすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設において使用される原料及び燃料の量(単位 前条第3項に定めるところによる換算により重油の量に換算したkl/時)
             a 削減目標量が達成されるように都道府県知事が定める定数
             b 0.80以上1.0未満の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の規模別の分布の状況及び原料又は燃料の使用の実態等を勘案して定める定数)
        2.  二 Q=(Cm÷Cmo)・Qo
             (この式において、Q、Qo、Cm及びCmoは、それぞれ次の値を表すものとする。
             Q 排出が許容される硫黄酸化物の量(単位 温度零度、圧力一気圧の状態に換算したm3/時)
             Qo 特定工場等に設置されているすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設から排出される硫黄酸化物の量(単位 温度零度、圧力一気圧の状態に換算したm3/時)
             Cm 削減目標量が達成されるように都道府県知事が定める一定の最大重合地上濃度(単位 体積百万分率)。ただし、前項第2号ただし書の規定により特別の値を用いて算定する場合にあつては、当該3以上の特定工場等に係るCmは、その合計が都道府県知事が定める一定の最大重合地上濃度の 1.5倍を超えその2倍を超えないように定めるものとする。
             Cmo Qoに係る最大重合地上濃度(単位 体積百万分率))
      3. 3 硫黄酸化物に係る法第5条の2第3項の総量規制基準は、硫黄酸化物に係る同条第1項の総量規制基準を第1項第1号により定める場合にあつては第1号に掲げる算式を、同項第2号により定める場合にあつては第2号に掲げる算式を、それぞれ基本とした算式により定めるものとする。
        1.  一 Q=a・Wb+r・a{(W+Wi)b-Wb
             (この式において、Q、W、Wi、a、b及びrは、それぞれ次の値を表すものとする。
             Q 排出が許容される硫黄酸化物の量(単位 温度零度、圧力一気圧の状態に換算した m3/時)
             W 特定工場等に設置されているすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設において使用される原料及び燃料の量(Wiを除く。)(単位 前条第3項に定めるところによる換算により重油の量に換算したkl/時)
             Wi 特定工場等に都道府県知事が定める日後に設置されるすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設において使用される原料及び燃料の量(単位 前条第3項に定めるところによる換算により重油の量に換算したkl/時)
             a 削減目標量が達成されるように都道府県知事が定める定数(前項第1号の式において用いられるaと同じ値とする。)
             b 0.80以上1.0未満の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の規模別の分布の状況及び原料又は燃料の使用の実態等を勘案して定める定数(前項第1号の式において用いられるbと同じ値とする。)
             r 0.3以上0.7以下の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の設置の状況の推移等を勘案して定める定数)
        2.  二 Q=r・(Cm÷Cmi)・Qi
             ただし、新たに硫黄酸化物に係るばい煙発生施設が設置された特定工場等(硫黄酸化物に係るばい煙発生施設の設置又は構造等の変更により新たに特定工場等となつたものを含む。)については、次の式によるものとする。
             Q={Cm÷(Cmo+Cmi)}(Qo+Qi)
             (これらの式において、Q、Qi、Qo、Cm、Cmi、Cmo及びrは、それぞれ次の値を表すものとする。
             Q 排出が許容される硫黄酸化物の量(単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算したm3/時)
             Qi 特定工場等に都道府県知事が定める日後に設置されるすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設から排出される硫黄酸化物の量(単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算したm3/時)
             Qo 特定工場等に設置されているすべての硫黄酸化物に係るばい煙発生施設から排出される硫黄酸化物の量(Qiを除く。)(単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算したm3/時)
             Cm 削減目標量が達成されるように都道府県知事が定める一定の最大重合地上濃度(単位 体積百万分率)(前項第2号の式において用いられる一定の値として定められたCmと同じ値とする。)。ただし、第1項第2号ただし書の規定により特別の値を用いて算定する場合にあつては、当該三以上の特定工場等に係るCmは、その合計が都道府県知事が定める一定の最大重合地上濃度の1.5倍を超えその2倍を超えないように定めるものとする。
             Cmi Qiに係る最大重合地上濃度(単位 体積百万分率)。ただし、ただし書の式中のCmiは、Qiに係る当該特定工場等の最大重合地上濃度の増加分とする。
             Cmo Qoに係る最大重合地上濃度(単位 体積百万分率)
             r 0.3以上0.7以下の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の設置の状況の推移等を勘案して定める定数)
      4. 4 都道府県知事は、第1項の規定により難いときは、環境大臣が別に定めるところにより、硫黄酸化物に係る総量規制基準を定めることができる。
        (イ)ばいじん

           大気汚染防止法に基づくばいじんの排出基準は表2-5に示すとおりである。

      表2-5 廃棄物焼却炉に係るばいじんの排出基準
      (g/m3N)
      廃棄物の処理能力
      新設(特別排出基準も同じ)
      既設(H10.6以前に設置)
      H10.7以降適用
      H12.4以降適用
      4トン/時以上
      0.04
      0.08
      2~4トン/時
      0.08
      0.15
      2トン/時未満
      0.15
      0.25
      • 注1) 酸素濃度12%換算値
      • 注2) 平成10年4月10日改正
        (ウ)窒素酸化物

           大気汚染防止法に基づく窒素酸化物の排出基準は250ppm( 酸素濃度12% 換算値) であり、総量規制基準は表2 -6 に示すとおりである。

      表2-6 窒素酸化物の総量規制基準
      大気汚染防止法施行規則
      1. 第7条の4 窒素酸化物に係る総量規制基準は、次の各号のいずれかに掲げる窒素酸化物の量として定めるものとする。
        1.   一 特定工場等に設置されているすべての窒素酸化物に係るばい煙発生施設において使用される原料又は燃料の量の増加に応じて、排出が許容される窒素酸化物の量が増加し、かつ、使用される原料又は燃料の量の増加一単位当たりの排出が許容される窒素酸化物の量の増加分がてい減するように算定される窒素酸化物の量
        2.   二 特定工場等に設置されているすべての窒素酸化物に係るばい煙発生施設の排出ガス量にばい煙発生施設の種類ごとに定める施設係数を乗じて得た量の合計量について、指定地域における特定工場等の規模別の分布の状況等を勘案して合理的に計算して得られた量に削減定数を乗じて算定される窒素酸化物の量
      2. 2 窒素酸化物に係る法第5条の2第1項の総量規制基準は、前項第1号に掲げる窒素酸化物の量として定める場合にあつては第1号に掲げる算式を、同項第2号に掲げる窒素酸化物の量として定める場合にあつては第2号に掲げる算式を、それぞれ基本とした算式により定めるものとする。
        1.   一 Q=a・W
                (この式において、Q 、W 、a 及びb は、それぞれ次の値を表すものとする。
               Q 排出が許容される窒素酸化物の量( 単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算したm3/時)
               W 特定工場等に設置されているすべての窒素酸化物に係るばい煙発生施設において使用される原料及び燃料の量( 単位 第7条の2第3項に定めるところによる換算により重油の量に換算したkl/時)
               a 削減目標量が達成されるように都道府県知事が定める定数
               b 0.80以上1.0 未満の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の規模別の分布の状況及び原料又は燃料の使用の実態等を勘案して定める定数)
        2.   二 Q=κ{Σ( C・V)}1
                (この式において、Q 、C 、V 、κ 及び1は、それぞれ次の値を表すものとする。
               Q 排出が許容される窒素酸化物の量( 単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算したm3/時)
               C 窒素酸化物に係るばい煙発生施設について、その種類ごとに都道府県知事が定める施設係数
               V 特定工場等に設置されている窒素酸化物に係るばい煙発生施設ごとの排出ガス量(単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算した万m3/時)
               κ 削減目標量が達成されるように都道府県知事が定める削減定数
               1 0.80以上1.0未満の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の規模別の分布の状況及び窒素酸化物の排出特性等を勘案して定める定数)
      3. 3 窒素酸化物に係る法第5条の2第3項の総量規制基準は、窒素酸化物に係る同条第1項の総量規制基準を第1項第1号により定める場合にあつては第1号に掲げる算式を、同項第2号により定める場合にあつては第2号に掲げる算式を、それぞれ基本とした算式により定めるものとする。
        1.   一 Q=a・W+r・a{(W+Wi)-W
                (この式において、Q 、W 、W i 、a 、b 及びr は、それぞれ次の値を表すものとする。
               Q 排出が許容される窒素酸化物の量( 単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算したm3/時)
               W 特定工場等に設置されているすべての窒素酸化物に係るばい煙発生施設において使用される原料及び燃料の量( Wiを除く。)( 単位 第7条の2第3項に定めるところによる換算により重油の量に換算したkl/時)
               Wi 特定工場等に都道府県知事が定める日後に設置されるすべての窒素酸化物に係るばい煙発生施設において使用される原料及び燃料の量(単位 第7条の2第3項に定めるところによる換算により重油の量に換算したkl/時)
               a 削減目標量が達成されるように都道府県知事が定める定数(前項第一号の式において用いられるaと同じ値とする。)
               b 0.80以上1.0未満の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の規模別の分布の状況及び原料又は燃料の使用の実態等を勘案して定める定数(前項第1号の式において用いられるbと同じ値とする。)
               r 0.3以上0.7以下の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の設置の状況の推移等を勘案して定める定数)
        2.   二 Q=κ{Σ(C・V)+Σ(Ci・Vi)}1
                (この式において、Q 、C 、C i 、V 、V i 、κ 及び1 は、それぞれ次の値を表すものとする。
               Q 排出が許容される窒素酸化物の量( 単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算したm3/時)
               C 窒素酸化物に係るばい煙発生施設について、その種類ごとに都道府県知事が定める施設係数(前項第2号の式において用いられるC と同じ値とする。)
               Ci 特定工場等にViの都道府県知事が定める日後に設置される窒素酸化物に係るばい煙発生施設について、その種類ごとに都道府県知事が定める施設係数
               V 特定工場等に設置されている窒素酸化物に係るばい煙発生施設(Viの都道府県知事が定める日後に設置されるものを除く。)ごとの排出ガス量(単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算した万m3/時)
               Vi 特定工場等に都道府県知事が定める日後に設置される窒素酸化物に係るばい煙発生施設ごとの排出ガス量(単位 温度0度、圧力1気圧の状態に換算した万m3/時)
               κ 削減目標量が達成されるように都道府県知事が定める削減定数(前項第2号の式において用いられるκ と同じ値とする。)
               1 0.80以上1.0未満の範囲内で、都道府県知事が当該指定地域における特定工場等の規模別の分布の状況及び窒素酸化物の排出特性等を勘案して定める定数( 前項第2号の式において用いられる1と同じ値とする。))
      4. 4 第2項第2号の式において用いられるC並びに前項第2号の式において用いられるC及びCiの値は、環境大臣が定めるところにより、窒素酸化物に係るばい煙発生施設の種類ごとに定められるものとする。
      5. 5 都道府県知事は、第1項の規定により難いときは、環境大臣が別に定めるところにより、窒素酸化物に係る総量規制基準を定めることができる。
        (エ)塩化水素

           大気汚染防止法に基づく塩化水素の排出基準値は、廃棄物焼却炉の場合は700mg/m3N(430ppm)である(酸素濃度12%換算値)。

        (オ)ダイオキシン類

           ダイオキシン類対策特別措置法に基づく廃棄物焼却炉に係るダイオキシン類の排出基準は、廃棄物焼却炉の場合は表2-7に示すとおりである。

      表2-7ダイオキシン類の大気排出基準
      規模
      許容限度
      H12.1.15以降に新設のもの
      H12.1.15以前に既設のもの
      焼却能力が1時間当たり2,000kg未満
      5ng-TEQ/m3
      10ng-TEQ/m3
      焼却能力が1時間当たり2,000kg以上4,000kg未満
      1ng-TEQ/m3
      5ng-TEQ/m3
      焼却能力が1時間当たり4,000kg以上
      0.1ng-TEQ/m3
      1ng-TEQ/m3

       ※既に大気汚染防止法で指定物質排出施設となっていた廃棄物焼却炉(焼却能力200kg/h以上又は火格子面積2m2以上)であって、平成9年12月2日以降に新たに設置(工事着手を含む)された施設については、新設施設の排出基準が適用される。

        (カ)石綿

           大気汚染防止法に基づく特定粉じん発生施設に係る隣地との敷地境界における規制基準は、環境大臣が定める測定法により測定された大気中の石綿の濃度が10本/Lである。(大気汚染防止法施行規則第16条の2)

      2-2 調査方法一覧

       (1)環境濃度

        ア 大気の汚染に係る環境基準が設定されている物質の測定方法

           「表2-1大気の汚染に係る環境基準」を参照のこと。

        イ 塩化水素の測定方法

           「大気汚染物質測定法指針( 昭和62 年、環境庁) 」に示されているガス状塩化物に準じる。

        ウ ダイオキシン類

           「ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル」(平成13年、環境省)に準じる。

        エ 水銀

           「有害大気汚染物質測定方法マニュアル」(平成11 年、環大規第88 号)に準じる。

        オ 石綿

           「石綿に係る特定粉じんの測定法」( 平成元年環境庁告示第93 号) 及び「アスベストモニタリングマニュアル( 改訂版) 」( 平成5 年12 月、環境庁大気保全局大気規制課) に準じる。

       (2)気象

          気象観測の調査方法は表2-8に示すとおりである。( 出典:ごみ焼却施設環境アセスメントマニュアル、( 社) 全国都市清掃会議)

      表2-8 気象調査の調査方法
      観測項目
      観測高度(原則として)
      使用測器
      測定単位
      平均化時間
      回数
      地上風向
      地上10m
      微風工・風速計または超音波風速計
      16方位
      1時間または正時前10分間
      毎時
      地上風速
      0.1m/s
      日射量
      地上1.5m
      全天日射量
      0.01kW/m2
      放射収支量
      地上1.5m
      放射収支計
      0.002kW/m2
      上層風向
      地上1,000mまで (50m毎)
      パイボール観測、低層レーウィンゾンデ観測、係留気球観測、低層ゾンデ観測
      16方位
      測定方法によって異なる
      3時間毎を基準とし適宜追加する
      上層風速
      0.1m/s
      上層気温
      地上400mまたは1,000m
      0.1℃

      ※係留気球観測では最高測定高度が通常400~500mである。

      2-3 既存文献、資料

         現況把握を行うため、収集・整理する既存文献、資料の例は、表2 -9 に示すとおりである。

      表2-9 既存文献、資料の例

      項目
      既存文献、資料の例
      大気、気象
      • ・常設気象観測所測定結果
      •  (地方気象台、測候所、アメダス)
      • ・気象庁高層気象台測定結果
      • ・煙突、鉄塔、テレビ塔等風向風速測定結果
      • ・公共施設等における測定結果
         (農業試験場、消防署等)
      • ・大気汚染常時監視測定局測定結果
         (一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局)
      • ・その他、地方公共団体等による信頼性のある測定結果

      2-4 予測式

       (1)煙突排ガスの影響予測

        ア 長期平均濃度予測
        (ア) 予測手順

           焼却施設からの煙突排ガスに係る長期平均濃度の予測手順は、図2-1に示すとおりである。

      図:図2-1 煙突排ガスの長期平均濃度予測手順

      図2-1 煙突排ガスの長期平均濃度予測手順

        (イ) プルーム式

           有風時における一風向方位内で水平方向に濃度が一様に分布すると仮定した場合の長期拡散式を以下に示す。

           図:プルーム式

             C:計算点の濃度(ppmまたはmg/m3
             R:煙源と計算点の水平距離(m)
             z:計算点の高さ(m)
             Q:煙源発生強度(m3N/sまたはkg/s)
             U:煙突実体高での風速(m/s)
             He:有効煙突高(m)

        (ウ) 無風パフ式

           無風時において水平方向に濃度が一様に分布すると仮定した場合の長期拡散式を以下に示す。

           図:無風パフ式

           R:煙源と計算点との水平距離(m)
           α、γ:拡散パラメータ

        イ 有効煙突高算出式

          有効煙突高は、煙突実体高と排ガス上昇高との和で算出する。また、排ガス上昇高の算出は、有風時にはコンケイウ式(CONCAWE 式)、無風時にはブリッグス式(Briggs 式)を用いることが多い。

             図:有効煙突高算出式

      コンケイウ式

      図:コンケイウ式

      ブリッグス式

      図:ブリッグス式

        ウ 短期平均濃度予測式
        (ア) 大気安定度不安定時の式(プルーム式)

           有風時の1時間値は、拡散パラメーターを設定し、以下の式で求める。式中のσ,σはパスキル・ギフォード線図( あるいは近似関数) によって与える。

            図:大気安定度不安定時の式(プルーム式)

             C:計算点の濃度(ppmまたはmg/m3
             X:風下距離(m)
             y:X軸と直角方向の距離(m)
             z:計算点の高さ(m)
             Q:煙源発生強度(m3N/sまたはkg/s)
             U:煙突実体高での風速(m/s)
             He:有効煙突高(m)
             σy:水平方向拡散幅(m)
             σz:鉛直方向拡散幅(m)
          なお、パスキル・ギフォード線図のσは3分間値であることから、1時間(60分)値を求める場合、時間希釈による補正を行う必要がある。(この場合、以下式中tはt=60である)
          また、べき指数は1/5 が最も安全側になる。

          図:大気安定度不安定時の式(プルーム式)2

      (イ) 上層逆転層発生時(リッド)の式

            ・プルームモデル

             図:上層逆転層発生時(リッド)の式(プルームモデル)

            ・パフモデル

             図:上層逆転層発生時(リッド)の式(パフモデル)

           ここで、
             n:混合層内での反射回数(3回を仮定している。)
             L:逆転層下面の高さ(Lid)

        (ウ) 逆転層崩壊時( フュミゲーション)

            ・パフモデル

             図:逆転層崩壊時( フュミゲーション)パフモデル

           ここで、
             σyf:フュミゲーション時の水平方向の煙の拡がり幅(m)
             σyf=σyc+0.47He
             Lf:フュミゲーション時の煙の上端高さ、または、逆転層が崩壊する高さ( m )
                  Lf=1.1×(He+0.25σzc)
             σyc、σzc:カーペンターらが求めた水平、鉛直方向の煙の拡がり幅
           濃度が最大となる地点は、次式より求める。

             図:逆転層崩壊時( フュミゲーション)パフモデル2

           ここで、
             x:最大濃度出現距離(m)
             u:風速(m/s)
             ρa:空気密度(g/m3
             Cp:空気の定圧比熱(cal/K・g)
             κ:渦伝導度(cal/m・K・s)
             Lf:逆転層が崩壊する高さ(m)
             H0:煙突実体高(m)

        (エ) ダウンウォッシュ・ダウンドラフト

           風速が吐出速度の約1 /1.5 倍以上になると、煙突によるダウンウォッシュが生じる可能性がある。また、煙突実体高が煙突近くの建物や地形の高さの約2.5 倍以下となると、流線の下降によって煙が地表面に引き込まれる現象( ダウンドラフト) が起きる。この場合は、排ガス上昇高を考慮せずにΔ H = 0 m とするか、またはΔ H を次式により求めて、プルーム式により予測を行う。
            ブリッグス式( ダウンウォッシュ時)

             図:ブリッグス式( ダウンウォッシュ時)

              ΔH:排ガス上昇高(m)
              Vs:排ガスの吐出速度(m/s)
              u:風速(m/s)
              D:煙突頭頂部内径(m)

        エ 経済産業省- 低煙源工場拡散モデル( METI-LIS モデル)

          経済産業省- 低煙源工場拡散モデル(Ministry of Economy , Trade and Industry-Low rise Industrial Source dispersion MODEL ; METI-LIS モデル) は、地上付近の比較的低い高さで排出されることの多い有害大気汚染物質の拡散予測を行うため、経済産業省が開発した大気拡散モデルである。このモデルは、米国環境保護庁のISC( Industrial Source Complex) モデルを基本とし、地上濃度分布の再現性を向上させるよう複数の工場内でのトレーサーガス拡散実験、同工場に於けるベンゼン等の分布測定、風洞実験を実施して、I S C モデルの拡散パラメータを見直し、建屋による影響(ダウンウォッシュ)を考慮できるようになっている。
          予測対象物質は、有害大気汚染物質234 物質のうち、短時間暴露で毒性のあるものや大気中で反応、消滅しない物質の拡散予測が可能とされているが、それ以外の物質についても排出諸元が明らかなものについては拡散予測が可能である。
          METI-LIS モデルは、排出源と建屋の位置関係によりダウンウォッシュを生じる場合はダウンウォッシュを考慮した拡散モデルになっている。ダウンウォッシュを生じない場合は通常の拡散モデルで計算できるようになっている。また、年平均値計算のように風向が異なる場合においても、風向によってどの建物が影響を与えるかをコンピュータが自動判断するようになっている( ユーザーは建屋の高さ、幅、建屋の配置を入力するだけとなっている) 。
          なお、METI-LIS モデルは厳密な流体力学方程式についての数値計算ではなく、定常一様のガウス型プルームモデルの有効煙突高さや拡散幅を補正して建物後流の拡散濃度を計算するものであるので、建屋の高さと幅のどちらか小さい値( L) を指標として3 L より煙源に近い範囲については計算不可能である。
          また、METI-LIS モデルは、1 時間ごとの8,760 時間( 年間時間数) の計算が可能であるので、任意の期間の平均値( 年間、期別、月別、日別、1 時間等) の計算が可能である。
          METI-LIS モデルの概要、取扱い説明書、プログラム等については、経済産業省関東経済産業局及び社団法人産業環境管理協会のホームページからダウンロードすることが可能である。
          ○ 経済産業省関東経済産業局
          http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/kankyo/recycle/index_kougai.html
          ○ 社団法人産業環境管理協会
          http://www.jemai.or.jp/CACHE/tech_details_detailobj448.cfm

       (2)廃棄物運搬車両の影響予測

        ア 予測手順

           廃棄物運搬車両の走行に伴う大気質の濃度予測の手順は図2-2 に示すとおりである。拡散式にプルーム式、パフ式を用いる代わりに、JEA 式を用いる場合がある。

      図:図2-2 廃棄物運搬車両の走行に伴う大気質の濃度予測手順

      図2-2 廃棄物運搬車両の走行に伴う大気質の濃度予測手順

        イ プルーム式、パフ式

         <有風時(風速1.0m/s を超える場合):プルーム式>

           図:有風時(風速1.0m/s を超える場合):プルーム式

             C(x、y、z):(x、y、z)地点における濃度
                  (窒素酸化物(ppm)、浮遊粒子状物質(mg/m3))
              Q:点煙源の排出量(ml/s)(SPMの場合は(mg/s))
               ・時間別平均排出量Qt

                図:有風時(風速1.0m/s を超える場合):プルーム式 計算式2

                Qt:時間別平均排出量(m1/m・s(又はmg/m・s))
                Ei:車種別排出係数(g/km・台)・・・(表2-15参照)
                Nit:車種別時間別交通量(台/h)
                Vw:換算係数(m1/g(又はmg/g))
                   窒素酸化物の場合:20℃、1気圧で523ml/g
                    (窒素酸化物の排出係数が、シャシダイナモ試験により得られた濃度をすべて二酸化窒素として質量に換算することにより与えられていることから、その排出量を求めるには二酸化窒素として体積換算することになる。)
                      浮遊粒子状物質の場合:1000mg/g
                    ( 排出係数及び排出量が質量で与えられているため、体積換算する必要はない。ただし、排出係数のgをmgに換算する。)

                u:平均風速(m/s)
                H:排出源の高さ(m)
                x:風向に沿った風下距離(m)
                y:x軸に直角な水平距離(m)
                z:x軸に直角な鉛直距離(m)
                σy、σz:水平(y)、鉛直(z)方向の拡散幅(m)
                 ・鉛直方向の拡散幅σz

                  図:有風時(風速1.0m/s を超える場合):プルーム式 計算式3

                  σzo:鉛直方向の初期拡散幅
                  L:車道部音からの距離(L= x - W/2)
                  x:風向に沿った風下距離(m)
                  W:車道部幅員(m)
                  なお、x<W/2の場合はσz=σzoとする。
                ・水平方向の拡散幅σ y

                図:有風時(風速1.0m/s を超える場合):プルーム式 計算式4

                 なお、x<W/2の場合はσy=W/2とする。

      <無風時・弱風時(風速1.0m/s以下の場合):パフ式>

          図:無風時・弱風時(風速1.0m/s以下の場合):パフ式

           t0:初期拡散幅に相当する時間(s)   図:無風時・弱風時(風速1.0m/s以下の場合):パフ式 計算式2
           α 、γ:拡散幅に関する係数、α=0.3
                            γ=0.18(昼間)、0.09(夜間)
           その他: プルーム式で示したとおり

        ウ JEA 式

          JEA 式には、有風時モデルと無風時モデルがあり、さらに有風時モデルには、煙源と風との角度により分けられる。

         図:JEA 式

        (ア)有風時(風速が1m/s以上)
         ① 直角風時(約40゜≦θ≦90゜)

      図:直角風時(約40゜≦θ≦90゜)

       
      パラメータ
      α
      γ
      地域区分
       
      平坦地
      1.5
      2.4
      0.86
      0.16
      1.47×fB
      低層住宅散在地
      2.5
      5.4
      1.03
      0.12
      0.036
      低層住宅密集地
      2.5
      1.07
      0.71
      0.107
      0.018
      中層ビル散在地
      1.5
      4.4
      0.86
      0.12
      0.94×fB

      図:直角風時(約40゜≦θ≦90゜)計算式

         ② 平行風時(0゜≦θ<約40゜)

      図:平行風時(0゜≦θ<約40゜)

       
      パラメータ
      γ
      2
      地域区分
       
      平坦地
      0.063
      6.49
      低層住宅散在地
      0.143
      5.24
      低層住宅密集地
      0.143
      1.63
      中層ビル散在地
      0.063
      8.25
         ③ 無風時、弱風時(風速が1m/s未満)

           図:無風時、弱風時(風速が1m/s未満)

       (3) NO2 変換モデル

          NO2変換モデルには、指数近似モデル、統計モデル、定常近似モデルがあり、ここでは、指数近似モデルⅠを示す。
          指数近似モデルⅠ

          図:指数近似モデルⅠ

          ここで、〔NO2〕:NO2濃度(ppm)
              〔NOxD:拡散計算で得られたNOx濃度(ppm)
              α:排出源近傍での〔NO〕/〔NOx
                         〔NO〕はNO濃度(ppm)
              β:平衡状態を近似する定数
              K:変換速度に関する実験定数(s-1
              t:移流時間(s)
          各パラメータの値は次の通りである。
          煙突排ガス   α=0.83,β=0.3(日中),0.0(夜間)
                    K=0.062・U・〔O3(小規模施設)
                    K=0.0062・U・〔O3(大規模施設)
          廃棄物運搬車両 α=0.80,β=0.3(日中),0.0(夜間)
                     K=0.23・U・〔O3B
              ここで、   U   :風速(m/s)
                     〔O3B:O3のバックグラウンド濃度(ppm)

      2-5 小規模施設用の簡易的長期平均濃度(年平均値)予測手法

       (1)予測に必要な情報

        ア 煙源情報

         対象とする焼却施設についての以下の情報。

      1.   ①煙突実高さ:Ho(m)
      2.   ②通常稼働時の排ガス量(湿り) :Qv(m3N/h)
      3.   ③排ガス温度:Tg(℃)
      4.   ④年平均汚染物質排出量(年間総排出量を8760時間で除した値):Q(kg/h or m3N/h)
        イ 使用する気象情報

         施設を設置する地点の気象を代表しうると考えられる最寄りの気象官署(気象台、測候所、地域気象観測所)又は公共団体が管理する環境測定局における風向風速の測定データから得られた以下の情報。

      1.   ①年間における当該地域の主風向(最も出現頻度が高い風向)の出現比率:Fw(%)
      2.   ②年間における静穏の出現比率:Fc(%)
      3.   ③上記主風向における年間平均風速:u(m/s)
          (風向別の平均風速情報が入手できない場合は単純な年平均風速であっても可)
            なお、特定の時間帯( 例えば昼間) しか稼動しない計画の施設の場合においては、上記の各値は、その時間帯における値であることが望ましい。その特定の時間帯における主風向が、全時間帯のそれと異なることが明らかな場合は特にこの点は重要である。

       (2)簡易的年平均値推定手順

        ア 有効煙突高さの推定

         有効煙突高さの推定には、以下の無風時ブリッグス式及びコンケイウ式を用いる。
         ○ 無風時ブリッグス式

           図:無風時ブリッグス式

         ○ コンケイウ式

           図:コンケイウ式

           ここで、He:有効煙突高さ(m)
               QH:排出熱量(=1293×0.24・Qv・(Tg-15)/3600)(cal/s)
                 (Ho,Qv, Tg は上記の(1)のアの① 、② 、③ の値)
            dθ /dz: 温位傾度( 安全側の値としては0.01 を用いればよい)
               u: 風速( m/s)
          有風時のHeは、(1)のイの③ で得られた平均風速とコンケイウ式から算出する。
          静穏時のHeは、無風時ブリッグス式による算出値とコンケイウ式による( 風速1m/sでの) 算出値から、風速0 .4m /sでの値を内挿して算出する。なお、得られた気象データにより、静穏の定義が異なる場合もあるが無視してよい。
          なお、排ガス量が特に小さい( 吐出速度が平均風速の2倍以下程度と小さい)小規模施設においては、「有効煙突高さ=煙突実高さ」として取り扱う。

        イ 有風時寄与濃度計算

         以下の条件で、プルーム式を用いて有風時の最大着地濃度及びその出現距離を計算する。

      1.    ①He(m):有効煙突高さ(上記で算出した有風時での値)
      2.    ②Q(kg/h or m3N/h):年平均汚染物質排出量((1)のアの④の値)
      3.    ③u(m/s):風速(上記(1)のイの③で得られた平均風速)
      4.    ④αy,γy,αz,γz:拡散幅の近似関数パラメータ
        •     ・αy=1.0、γy=0.1567、αz=0.918、γz=0.1068を用いればよい。
        •     ・σy=γy・xαy、σz=γz・xαzであり、パスキル・ギフォード線図の近似関数における「C」での値(αy、γyについては長期平均拡散式に対応した値)である。

         ○最大着地濃度出現距離( Xm: m) 算出式

           図:最大着地濃度出現距離( Xm: m) 算出式

         ○最大着地濃度(Cm:μg/m3 or ppb)算出式

           図:最大着地濃度(Cm:μg/m<sup>3</sup> or ppb)算出式

         Cmに主風向出現比率(Fw:%)を乗じて、有風時年平均寄与濃度(Cw)を算出する。
           Cw=Cm×Fw/100

        ウ 静穏時寄与濃度計算

         以下の条件で、簡易パフ式を用いて静穏時の寄与濃度を計算する。

      1.    ①He(m):有効煙突高さ(上記で算出した静穏時のHe)
      2.    ②Q(kg/h or m3N/h):上記イの② と同じ年平均汚染物質排出量
      3.    ③R(m):煙源からの距離(有風時の最大着地濃度距離:Xmを用いればよい)
      4.    ④α,γ:無風時に係る拡散パラメータ
        •     ・安定度「C」での値(α=0.635、γ=0.208)を用いればよい。

         ○静穏時濃度(C:μg/m3 or ppb)算出式

           図:静穏時濃度(C:μg/m<sup>3</sup> or ppb)算出式

         Cに静穏時出現比率(Fc:%)を乗じて、静穏時年平均寄与濃度(Cc)を算出する。

           Cc=C×Fc/100

        エ 年平均濃度算出

         イとウで算出した有風時、静穏時の年平均寄与濃度を合計したものが簡易的年平均濃度推定値(Cn)となる。

             Cn=Cw+Cc

        オ 簡易的年平均予測値の取扱いについて

         本予測手法は、これを用いた簡易的年平均予測値が通常の予測手法を用いた年平均予測値に比較して概ね高めになるように、各種のパラメータを設定しているものであるので、安全サイドの予測値として取り扱うことができる。
         しかし、煙突実高さが低い小規模施設で稼働が昼間に限られるような場合、弱風の出現頻度が多いなど対象地域の風速階級の出現状況によっては、簡易予測値のほうが通常の予測手法による値よりもやや低い値となることもある。従って、こうした条件の施設の場合においては、この簡易予測値は慎重に取扱う必要があり、場合によっては通常の予測手法を用いた予測を行うほうがよい。

      2 -6 説明図表

       (1)大気安定度階級分類表

      パスキル安定度( 大気安定度) 階級別分類表を表2-10~表2-12に示す。原則は、パスキルの大気安定度分類に従うが、夜間の雲量データや正味放射量の入手が困難であることから、METI-LISで用いている簡易な大気安定度分類を用いてもよい。METI-LISで用いている安定度分類表を表2-13に示す。

      表2-10 パスキル安定度階級分類表(原安委気象指針、1982)
      風速(U)
      m/s
      日射量(T) kW/m2
      放射収支量(Q) kW/m2
      T≧0.60
      0.60>T ≧0.30
      0.30>T ≧0.15
      0.15>T
      Q≧-0.020
      -0.020>Q ≧-0.040
      -0.040>Q
      u<2
      A-B
      2≦u<3
      A-B
      3≦u<4
      B-C
      4≦u<6
      C-D
      6≦u
      表2-11 パスキル安定度階級分類表(放射収支量がない場合)
      風速(U)
      m/s
      昼間日射量(T) kW/m2
      夜間 雲量
      T≧0.60
      0.60>T ≧0.30
      0.30>T ≧0.15
      0.15>T
      本曇
      (8~10)
      上層雲(5~10)
      中・下層雲(5~7)
      雲量
      (0~4)
      u<2
      A-B
      2≦u<3
      A-B
      3≦u<4
      B-C
      4≦u<6
      C-D
      6≦u
      1. (注)1) 本曇は中・下層雲の雲量が8以上の場合である。
            地上気象観測日原簿で雲形がCi、Cc、Csを上層雲、それ以外を中・下層雲としればよい。
      2.   2) 日射量がないときを夜間とし、夜間の最初と最後の各1時間は雲の状態いかんにかかわらず中立状態Dとしる。または、日中(日の出~日の入り)は日射量を用い、夜間(日の入り~日の出)は雲量を用いてもよい。
      表2-12 パスキル安定度階級分類表(日本式、1959)
      m/s
      風速
      (地上 10m)
      日射量 cal/cm2・h
      本曇
      (8~10)
      (日中・夜間)
      夜間
      ≧50
      49~25
      ≦24
      上層雲(5~10)
      中・下層雲(5~7)
      雲量
      (0~4)
      <2
      A-B
      (G)
      (G)
      2~3
      A-B
      3~4
      B-C
      4~6
      C-D
      6<
      1. (注)1) 日射量については原文は定性的であるので、これに相当する量を推定して定量化した。
      2.   2) 夜間は日の入り前1時間から日の出後1時間の間を指す。
      3.   3) 日中、夜間とも本曇(8~10)のときは風速のいかんにかかわらず中立状態Dとする。
      4.   4) 夜間(注(2))の前後1時間は雲の状態いかんにかかわらず中立状態Dとする。
      表2-1 3 METI-LIS による大気安定度階級分類
      地上風速
      U(ms-1)
      日中
      夜間
      (日射量=0)
      日射量Q(単位0.01kWm-2)
      60<Q
      30~59
      15~29
      1~14
      U<2.0
      A
      A-B
      B
      D
      F
      2.0~2.9
      A-B
      B
      C
      D
      E
      3.0~3.9
      B
      B-C
      C
      D
      D
      4.0~5.9
      C
      C-D
      D
      D
      D
      6.0<U
      C
      D
      D
      D
      D

       (2)パスキル・ギフォード線図

         拡散幅を設定するためのパスキル・ギフォード線図は、図2 -3 に示すとおりである。

        図:図2-3 パスキル・ギフォード線図

      注) グラフ中のA ~ G は、パスキル安定度階級に対応する。
      図2-3 パスキル・ギフォード線図

       (3)ビューフォート風力階級表

         ビューフォート風力階級表は、表2-14に示すとおりである。

      表2-14 ビューフォート風力階級表
      風力階級
      開けた平らな地面から10mの高さにおける相当風速
      説明
      k・t
      m/s
      km/h
      mile/h
      陸上
      海上
      0
      1 未満
      0.0 から0.3 未満
      1 未満
      1 未満
      静穏、煙はまっぐに昇る。
      鏡のような海面。
      1
      1 以上4 未満
      0.3 以上1.6 未満
      1 以上6 未満
      1 以上4 未満
      風向は、煙がなびくのでわかるが風見には感じない。
      うろこのようなさざなみができるが、波がしらにあわはない。
      2
      4 以上7 未満
      1.6 以上3.4 未満
      6 以上12 未満
      4 以上8 未満
      顔に風を感じる。木の葉が動く。風見も動き出す。
      小波の小さいもので、まだ短いがはっきりしてくる。波がしらはなめらかに見え、砕けていない。
      3
      7 以上11 未満
      3.4 以上5.5 未満
      12 以上20 未満
      8 以上13 未満
      木の葉や細い小枝がたえず動く。軽い旗が開く。
      小波の大きいもの、波がしらが砕けはじめる。あわはガラスのように見える。ところどころ白波が現れることがある。
      4
      11 以上17 未満
      5.5 以上8.0 未満
      20 以上29 未満
      13 以上19 未満
      砂ほこりが立ち、紙片が舞い上がる。小枝が動く。
      波の小さいもので、長くなる。白波がかなり多くなる。
      5
      17 以上22 未満
      8.0 以上10.8 未満
      29 以上39 未満
      19 以上25 未満
      葉のあるかん木がゆれはじめる。池や沼の水面に波がしらが立つ。
      波の中ぐらいのもので、いっそうはっきりして長くなる。白波がたくさん現れる。( しぶきを生ずることもある。)
      6
      22 以上28 未満
      10.8 以上13.9 未満
      39 以上50 未満
      25 以上32 未満
      大枝が動く。電線が鳴る。かさは、さしにくい。
      波の大きいものができはじめる。いたるところで白くあわだった波がしらの範囲がいっそう広くなる。( しぶきを生ずることが多い。)
      7
      28 以上34 未満
      13.9 以上17.2 未満
      50 以上62 未満
      32 以上39 未満
      樹木全体がゆれる。風に向かっては歩きにくい。
      波はますます大きくなり、波がしらが砕けてできた白いあわは、すじをひて風下に吹き流されはじめる。
      8
      34 以上41 未満
      17.2 以上20.8 未満
      62 以上75 未満
      39 以上47 未満
      小枝が折れる。風に向かっては歩けない。
      大波のやや小さいもので長さが長くなる。なみがしらの端は砕けて水けむりとなりはじめる。あわは明りょうなすじをひいて風下にふき流される。
      9
      41 以上48 未満
      20.8 以上24.5 未満
      75 以上89 未満
      47 以上55 未満
      人家にわずかの損害がおこる。(煙突が倒れ、かわらがはがれる。)
      大波。あわは濃いすじをひいて風下に吹き流される。波がしらはのめり、くずれ落ち、逆巻きはじめる。しぶきのため視程がそこなわれることもある。
      10
      48 以上56 未満
      24.5 以上28.5 未満
      89 以上103 未満
      55 以上64 未満
      陸地の内部ではめずらしい。樹木がねこそぎになる。人家に大損害がおこる。
      波がしらが長くのしかかるような非常に高い大波。大きなかたまりとなったあわは濃い白色のすじをひいて風下に吹き流される。海面は全体として白く見える。波のくずれかたは、はげしく衝撃的になる。視程はそおなわれる。
      11
      56 以上64 未満
      28.5 以上32.7 未満
      103 以上118 未満
      64 以上73 未満
      めったにおこらない。広い範囲の破壊を伴う。
      山のように高い大波。( 中小型船舶は、一時波の陰にみえなくなることもある) 海面は、風下に吹き流された長い白いあわのかたまりで完全におおわれる。いたるところで波がしらの端が吹き飛ばされて水けむりとなる。視程はそこなわれる。
      12
      64 以上
      32.7 以上
      118 以上
      73 以上
       
      大気は、あわとしぶきが充満する。海面は、吹き飛ぶしぶきのために完全に白くなる。視程は、著しくそこなわれる。

       (3)地方公共団体の環境目標の例

        ア 横浜市環境管理計画の環境目標
      •   ・二酸化硫黄   1時間値の日平均値0.02ppm 以下
      •   ・一酸化炭素   1時間値の日平均値5ppm 以下
      •   ・二酸化窒素   1時間値の日平均値0.04ppm 以下
        •    ※ 幹線道路沿道をのぞく
        •    ※ 幹線道路沿道における当面の指標は環境基準( 日平均値が0.04ppm から0.06ppm のゾーン内又はそれ以下であること) とする。
        イ 川崎市環境基本条例に基づく環境目標値
      •   ・硫黄酸化物   1時間値の1 日平均値0.04ppm 以下、1 時間値が0.10ppm 以下
      •   ・二酸化窒素   1時間値の1 日平均値が0.02ppm 以下
      •   ・浮遊粒子状物質 年平均値0.0125mg/m3以下、1 時間値の1 日平均値が0.075mg/m3以下
        ウ 千葉市環境基本計画の環境目標値
      •   ・二酸化硫黄   1時間値の1 日平均値0.04ppm 以下であり、かつ、1 時間値が0.1ppm 以下であること
      •   ・二酸化窒素   1時間値の1 日平均値が0.04ppm 以下であること。ただし当面は、1 時間値の1 日平均値が0.04ppm~ 0.06ppm までのゾーン内、またはそれ以下であること
      •   ・浮遊粒子状物質 1時間値の日平均値0.10mg/m3以下であり、かつ、1 時間値が0.20mg/m3以下であること
      •   ・一酸化炭素   1時間値の1 日平均値が10ppm 以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm 以下であること
      •   ・光化学オキシダント  1時間値が0.06ppm 以下であること
      •   ・降下ばいじん   月間値の年平均値が10t/km2/月以下であり、かつ月間値が20t/km2/月以下であること
        エ 名古屋市環境目標値
      •   ・二酸化窒素   1時間値の1 日平均値0.04ppm 以下であること
      •   ・浮遊粒子状物質 1時間値の日平均値0.10mg/m3以下であり、かつ、1 時間値が0.20mg/m3以下であること
      •   ・光化学オキシダント 1 時間値が0.06ppm 以下であること
      •   ・ベンゼン    年平均値が3μ g/m3以下であること
        オ 三重県大気汚染に係る環境保全目標
      •   ・二酸化硫黄   年平均値が0.017ppm 以下であること
      •   ・二酸化窒素   年平均値が0.020ppm 以下であること

       (4)車両排出ガスの大気汚染物質量

          予測に用いる排出係数は、表2 -1 5 に示すとおりである。なお、予測対象時期が相当程度先になる場合、走行ルートの縦断勾配の関係で補正を行う必要がある場合等については、「道路環境影響評価の技術手法 第2巻」(財団法人 道路環境研究所)に示された手法により設定する。

      表2 -1 5 予測に用いる排出係数
      項目
      窒素酸化物(NO)
      浮遊粒子状物質(SPM)
      車種
      小型車類
      大型車類
      小型車種類
      大型車類
      平均走行速度
      20km/h
      0.118
      2.08
      0.007
      0.107
      30
      0.097
      1.67
      0.006
      0.086
      40
      0.077
      1.35
      0.005
      0.071
      45
      0.070
      1.23
      0.005
      0.065
      50
      0.064
      1.15
      0.004
      0.060
      60
      0.057
      1.09
      0.004
      0.054
      70
      0.059
      1.16
      0.003
      0.053
      80
      0.068
      1.39
      0.004
      0.056
      90
      0.086
      1.75
      0.005
      0.063
      100
      0.113
      -
      0.007
      -
      110
      0.148
      -
      0.009
      -

      注)排出係数設定のための近似式
      ( 小型車類のNO排出係数)= -0.902/ V - 0.00578 V + 0.0000439 V2+ 0.261
      ( 大型車類のN O排出係数) = -7.12 / V - 0.0895 V + 0.000735 V2+ 3.93
      ( 小型車類のS P M 排出係数) = -0.138/ V - 0.000456V + 0.00000317V2+ 0.0218
      ( 大型車類のS P M 排出係数) = 0.0318/ V - 0.00310 V + 0.0000227 V2+ 0.158
      ここで、排出係数:g/km・台
      平均走行速度(V ):km/h
      上記の式を適用できる範囲は、小型車類が20~ 110km/h、大型車類が20~90km/h とする。

      3 .騒音関連

      3-1 基準値

        騒音に係る環境基準を表3-1 に示す。また、各種基準を表3-2 に示す。

      表3-1 (1) 一般地域の環境基準

      地域の類型
      昼間
      夜間
      AA
      50 デシベル以下
      40 デシベル以下
      A及びB
      55 デシベル以下
      45 デシベル以下
      C
      60 デシベル以下
      50 デシベル以下
      1. (注) 1 時間の区分は、昼間を午前6 時から午後1 0 時までの間とし、夜間を午後1 0 時から翌日の午前6 時までの間とする。
      2.    2 AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域とする。
      3.    3 Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。
      4.    4 Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。
      5.    5 Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域とする。

      表3-1 (2) 道路に面する地域の環境基準

      地域の区分
      昼間
      夜間
      A 地域のうち2 車線以上の車線を有する道路に面する地域
      60 デシベル以下
      55 デシベル以下
      B 地域のうち2 車線以上の車線を有する道路に面する地域及びC 地域のうち車線を有する道路に面する地域
      65 デシベル以下
      60 デシベル以下

      備考 車線とは、1 縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を有する帯状の車道部分をいう。
       この場合において、幹線交通を担う道路に近接する空間については、上表にかかわらず、特例として次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。

      昼間
      夜間
      70 デシベル以下
      65 デシベル以下
      備考 個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては45 デシベル以下、夜間にあっては40 デシベル以下)によることができる。

      表3-2 (1) 騒音規制法に基づく特定工場等における規制基準

       
      時間の区分
      昼間
      朝・夕
      夜間
      地域の区分
       
      第一種区域
      45 デシベル以上50 デシベル以下
      40 デシベル以上45 デシベル以下
      40 デシベル以上45 デシベル以下
      第二種区域
      50 デシベル以上60 デシベル以下
      45 デシベル以上50 デシベル以下
      40 デシベル以上50 デシベル以下
      第三種区域
      60 デシベル以上65 デシベル以下
      55 デシベル以上65 デシベル以下
      50 デシベル以上55 デシベル以下
      第四種区域
      65 デシベル以上70 デシベル以下
      60 デシベル以上70 デシベル以下
      55 デシベル以上65 デシベル以下
      備考
      1. 1 昼間とは、午前7 時又は8 時から午後6 時、7 時又は8 時までとし、朝とは、午前5時又は6 時から午前7 時又は8 時までとし、夕とは、午後6 時、7 時又は8 時から午後9 時、1 0 時又は1 1 時までとし、夜間とは、午後9 時、1 0 時又は1 1 時から翌日の午前5 時又は6 時までとする。
      2. 2 デシベルとは、計量法(平成4 年法律第5 1 号)別表第2 に定める音圧レベルの計量単位をいう。
      3. 3 騒音の測定は、計量法第7 1 条の条件に合格した騒音計を用いて行うものとする。この場合において、周波数補正回路はA 特性を、動特性は速い動特性( F A S T )を用いこととする。
      4. 4 騒音の測定方法は、当分の間、日本工業規格Z 8 7 3 1 に定める騒音レベル測定方法によるものとし、騒音の大きさの決定は、次のとおりとする。
        1.  (一) 騒音計の指示値が変動せず、又は変動が少ない場合は、その指示値とする。
        2.  (二) 騒音計の指示値が周期的又は間欠的に変動し、その指示値の最大値がおおむね一定の場合は、その変動ごとの指示値の最大値の平均値とする。
        3.  (三) 騒音計の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は、測定値の9 0 パーセントレンジの上端の数値とする。
        4.  (四) 騒音計の指示値が周期的又は間欠的に変動し、その指示値の最大値が一定でない場合は、その変動ごとの指示値の最大値の9 0 パーセントレンジの上端の数値とする。

      表3-2 (2) 騒音規制法に基づく自動車騒音の要請基準

       
      時間の区分
      昼間
      夜間
      区域の区分
       
      a 区域及びb 区域のうち一車線を有する道路に面する区域
      65 デシベル
      55 デシベル
      a 区域のうち二車線以上の車線を有する道路に面する区域
      70 デシベル
      65 デシベル
      b 区域のうち二車線以上の車線を有する道路に面する区域及びc区域のうち車線を有する道路に面する区域
      75 デシベル
      70 デシベル
      備考

       a 区域、b 区域及びc 区域とは、それぞれ次の各号に掲げる区域として都道府県知事が定めた区域をいう。

      1.  1 a 区域 専ら住居の用に供される区域
      2.  2 b 区域 主として住居の用に供される区域
      3.  3 c 区域 相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される区域

      表3-2 (3) 地域環境管理計画における地区別環境保全水準の例(川崎市)

      (1) 工場等

       
      時間帯
      午前8 時から午後6 時まで
      午前6 時から午前8 時まで及び午後6 時から午後11 時まで
      午後11 時から午前6 時まで
      地区
       
      第1種
      5 0 ( 5 5 )デシベル以下
      4 5 ( 5 0 )デシベル以下
      4 0 ( 4 5 )デシベル以下
      第2種
      6 5 デシベル以下
      6 0 デシベル以下
      5 0 デシベル以下
      第3種
      7 0 ( 7 5 )デシベル以下
      6 5 ( 7 0 )デシベル以下
      5 5 ( 6 5 )デシベル以下
      1. 1.この表において、第1 種地区とは都市計画法( 昭和43 年法律第100 号) 第8 条第1 項第1 号の規定により定められた第1 種低層住居専用地域、第2 種低層住居専用地域、第1 種中高層住居専用地域、第2 種中高層住居専用地域、第1 種住居地域、第2 種住居地域、準住居地域及びその他の地域をいう。
          第1 種地区の( )内の数値は、第1 種住居地域、第2 種住居地域、準住居地域及びその他の地域に適用する。
      2.  2.この表において、第2 種地区とは、近隣商業地域、商業地域及び準工業地域をいう。
      3.  3.この表において、第3 種地区のとは、工業地域及び工業専用地域をいう。
          第3 種地区の( ) 内の数値は、工業専用地域に適用する。
      (2) 道路

      地域の区分
      基準値(LAeq.T
      昼間(午前6 時から午後10 時まで)
      夜間(午後10 時から翌日午前6時まで)
      A 地域のうち2 車線以上の車線を有する道路に面する地域
      60 デシベル以下
      55 デシベル以下
      B 地域のうち2 車線以上の車線を有する道路に面する地域及びC 地域のうち車線を有する道路に面する地域
      65 デシベル以下
      60 デシベル以下
      1. (注)1 この表において、A 地域とは、第1 種低層住居専用地域、第2 種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2 種中高層住居専用地域とする。
      2.   2 この表において、B 地域とは、第1 種住居地域、第2 種住居地域、準住居地域及びその他の地域とする。
      3.   3 この表において、C 地域とは、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域とする。

      3-2 調査方法一覧

      (1) 調査地点(現地調査を実施する場合)

       ア 施設騒音
      •   ・新設施設の場合、現地調査地点は、調査対象地域の中から適宜設定する。騒音の測定場所は、敷地境界を含む事業予定区域内、もしくは周辺の住居、病院、学校等の用に供されている建物を対象とし、新設施設の騒音源の配置を勘案して設定する。
      •   ・既存施設の変更となる場合も同様であるが、新設設備の騒音源の配置とともに、既存施設の騒音源の配置にも留意して、測定場所を設定する。
       イ 道路交通騒音
      •   ・搬入ルート上の代表的な地点を想定して測定する。
      •   ・騒音の測定場所は、原則として道路に面し、かつ住居、病院、学校等の用に供されている建物から道路側1 m の地点とする。ただし、建物が歩道を有しない道路に接している場合は、道路端において測定する。
       ウ 交通量
      •   ・道路交通騒音調査地点を通過する車輌交通量が車種別に測定できるよう地点を設定する。
          参考として、騒音の測定条件別の測定点の選定方法を下表に示す。
      表3-3 騒音の測定点の設定方法( JIS Z 8731)

      測定条件
      測定点の設定方法
      (1) 屋外における測定
      反射の影響を無視できる程度に小さくすることが必要な場合には、可能な限り、地面以外の反射物から3.5m 以上離れた位置で測定する。測定地点の高さは、特に指定がない限り、地上1.2~ 1.5m の高さとする。それ以外の測定点の高さは、目的に応じて個々に定めるものとする。
      (2) 建物の周囲における測定
      建物に対する騒音の影響を調べる場合には、特に指定がない限り、対象とする騒音の影響を受けている外壁面から1~ 2m 離れ、建物の床レベルから1.2~ 1.5m の高さで測定する。
      (3) 建物の内部における測定
      特に指定がない限り、壁その他の反射面から1m 以上離れ、騒音の影響を受けている窓などの開口部から約1.5m 離れた位置で、床上1.2~ 1.5m の高さで測定する。

      (2) 調査方法

       ア 騒音の測定

         騒音の測定方法はJIS Z 8731 に定める騒音レベル測定方法に準拠し、等価騒音レベル(LAeq)をもとめるとともに、時間率騒音レベル中央値、90% レンジの上下端値を併記する。
         使用測定器は、JIS C 1502 に定める普通騒音計、もしくはJ IS C 1505 に定める精密騒音計を用いる。
         測定に際しては、風・生物による騒音及び電界・磁界の影響に注意する必要がある。
         騒音レベルの整理方法については、以下のように代表レベルを設定する必要がある。

      •   ・測定器の指示値が変動せず、または変動が少ない場合は、その指示値又は平均値とする。
      •   ・測定器の指示値が周期的又は間欠的に変動する場合は、その変動ごとの指示値の最大値の平均値とする。また、指示値の最大値がかなりの範囲に亘って変動する場合は、エネルギー平均値、測定値の90% レンジの上端の数値とする。
      •   ・測定器の指示値が不規則かつ変動する場合は、5 秒間隔、100 個またはこれに準ずる間隔、個数の測定値の90% レンジの上端の数値とする。
      表3-4 騒音の種類と表示方法

      種類
      定常騒音
      非定常騒音
      変動騒音
      間欠騒音
      衝撃騒音
      分離衝撃騒音
      準定常衝撃騒音
      JISによる定義
      レベルの変化が小さく、ほぼ一定とみなされる騒音
      レベルが不規則かつ連続的に、かなりの範囲にわたって変化する騒音
      間欠的に発生し、一回の継続時間が数秒以上の騒音
      一つの事象の継続時間がきわめて短く、個々の事業が独立に分離できる騒音
      ほぼ一定レベルの個々の事象が、極めて短い時間間隔で繰り返し発生する騒音
      発生源の例
      コンプレッサー
      交通騒音
      鉄道騒音
      発破
      削岩機
      コンクリートブレーカー
      規制基準の表現
      騒音計の指示値が変動せず、又は変動が少ない場合
      騒音計の指示値が不規則でかつ大幅に変動する場合
      騒音計の指示値が周期的又は間欠的に変動し
      1. ①その指示値の最大値がおおむね一定の場合
      2. ②その指示値の最大値が一定でない場合
      騒音計の指示値が周期的又は間欠的に変動し
      1. ①その指示値の最大値がおおむね一定の場合
      2. ②その指示値の最大値が一定でない場合
      騒音計の指示値が周期的又は間欠的に変動し、その指示値がおおむね一定の場合
      規制法の表示方法
      騒音計の指示又はその平均値
      測定値の90%レンジの上端値(道路交通騒音の場合はレンジ中央値を用いる)
      1. ①変動ごとの最大値の平均値
      2. ②変動レベルの最大値の90%レンジの上端値
      1. ①変動ごとの最大値の平均値
      2. ②変動レベルの最大値の90%レンジの上端値
      変動ごとの最大値の平均値

      ( 出典: 建設工事に伴う騒音振動対策ハンドブック( 社) 日本建設機械化協会)

       イ 測定器

         騒音の測定には騒音計を用いる。騒音計には、普通騒音計( JIS C 1502) と精密騒音計(JISC 1505)の規格がある。一般的な騒音の測定では、普通騒音計で十分である。その他の測定器には、レベルレコーダ、周波数分析器、データレコーダなどがある。騒音レベルが変動したり、衝撃的な騒音の場合、騒音計のメータを目視するだけでは正確な値が得られないことがあり、レベルレコーダを用いることが望ましい。音の伝わり方やその特性を専門的に調査する場合、データレコーダに騒音の波形を記録し、周波数分析等を行ったりするが、一般的な計測では、騒音計とレベルレコーダの組合せで十分である。

      3-3 既存文献、資料

          騒音に関する既設文献・資料の例は次に示すとおりである。

      項目
      既存文献、資料の例
      騒音
      • ・発生源の状況( 種類、規模、分布、音源パワーレベル)
         「環境白書」、「公害白書」、「騒音実態調査報告書」等
      • ・公害苦情の状況( 騒音に係る苦情の発生状況)
         「公害苦情届出台帳」等
      • ・その他予測・考察に必要な事項
         ( 地形、周辺建物現況等)

      3-4 予測式

      (1) 予測フロー

        騒音の一般的な予測手順の概要は、図3 - 1 に示すとおりである。

      図:図3-1 騒音の予測フロー

      図3-1 騒音の予測フロー

      (2) 予測式

       ア 施設稼働による騒音( 工場騒音)

         廃棄物処理施設の機器から発生する騒音は、ほぼ均一に工場棟の外壁を通して受音点に達するが、このように、かなりの広がりを持っている場合は面音源と考えられる。そこで、工場棟からの騒音を予測する場合、面音源を点音源の集合と考え、個々の点音源について伝搬理論式による計算を行い、さらに回折減衰による補正値を加えた結果に得られる騒音レベルを合成したものを受音点の騒音レベルとする。
         屋内音源から出た音が予測点に至る伝播の過程( ここでは水平方向のみで天井を透過・伝播する音は考慮していない) は次の模式図のように示される。

      図:図3-2 (1) 騒音伝播の状態

      図3-2 (1) 騒音伝播の状態

      図:図3-2 (2) 面音源と受音点の関係

      図3-2 (2) 面音源と受音点の関係
      以下に「ごみ焼却施設 環境アセスメントマニュアル」を参考に、予測式等を示す。

      (ア) 内壁面の室内騒音レベル

        発生源( 点音源) からr1m離れた点の騒音レベルは、次の音源式から求められる。

      図:図3-3 音源の種類

      図3-3 音源の種類

      (イ) 2 室間の騒音レベル

        2 つの部屋が間仕切りによって隣接している場合のレベル差は、次式により求められる。

      図:内壁面の室内騒音レベル

      (ウ) 外壁面における室外騒音レベル

        上記の式1 ~ 3 により求められた室内騒音レベル(L1out)を合成した後、次式により建物外壁面における室内騒音レベル(L2in)を算出する。
        (イ)と同様に、2 室間の騒音レベル差から建物外壁面における室外騒音レベル(L2out)を求める。

      図:外壁面における室外騒音レベル

      図3-4 有限寸法の音源の捉え方と面音源からの距離減衰

      (エ) 受音点における騒音レベル

        外壁からr m 離れた敷地境界線における騒音レベル( L )も上記(ウ)と同様の距離減衰式から求められる。
       実際に予測地点における騒音レベル( L ') は、外壁面を適当な数に分割し、それぞれを点音源で代表させた後、次式により種々の要因による減衰を考慮して予測地点までの距離減衰値を求め、これを合成して算出する。

      図:受音点における騒音レベル

      (オ) その他
      •  ・透過損失( 類似事例等による)
      •  ・吸音率( 残響吸音率: セイビンの式等による)
      イ 埋立作業機械の稼動による騒音

        廃棄物最終処分場における埋立作業機械の稼動に伴う騒音の予測手法として、建設工事騒音の予測手法として開発された社団法人日本音響学会のA SJ CN-Model 2002 を用いることができる。詳細は「日本音響学会誌」58 巻11 号( 平成14 年) を参照のこと。

      (ア) 予測手順

        埋立作業機械( 建設機械) の稼動による騒音予測は、埋立工事計画の熟度に応じて、工種別予測法、機械別予測法のいずれかを選択する。
        工種別予測法とは、作業単位を考慮した建設機械の組合せ( ユニット) を一つの騒音源とみなして予測する方法である。個別の機械配置の詳細が未定の段階でも、おおよその騒音を予測することができる。機械別予測法とは、個々の建設機械を騒音源として捉え、それからの騒音の伝搬を予測する方法である。
        最終処分場では、広い埋立地内の一角で建設機械のユニットが作業し、その作業場所は日々移動していくことから、工種別予測法を採用することが可能である。但し、埋立地の近傍に住居等の保全対象が位置している場合には、周辺環境への影響をより正確に把握する観点から、保全対象寄りに建設機械を配置し機械別予測法による予測を行うことが望ましい。

      図:図3-5 A SJ CN-Model 2002 の予測計算フロー

      図3-5 A SJ CN-Model 2002 の予測計算フロー

      (イ) 予測式

        予測は等価騒音レベルでの予測が基本とされているが、騒音規制法に基づく敷地境界での規制基準値を準用して評価を行うことが多いことから、ユニットの実効騒音レベルを算出し、騒音規制法に規定する評価量を予測する式を以下に示す。

         LAeff,i=LWAeff,i-8-20log10ri+ΔLd,i+ΔLg,i
         LA5=LAeff+ΔL
         (LA,Fmax,LA,Fmax,5)

       ここで、

         LAeff,i   :i番目のユニットによる予測点における実効騒音レベル(dB)
         ri      :i番目のユニットの中心から予測点までの距離(m)
         LWAeff,i  :i番目のユニットの A特性実効音響パワーレベル(dB)
         ΔLd,i    :i番目のユニットからの騒音に対する回折に伴う減衰に関する補正量(dB)
         ΔLg,i    :i番目のユニットからの騒音に対する地表面の影響による減衰に関する補正量(dB)
         LA5    :予測点における騒音レベルの90%レンジの上端値(dB)
         LA,Fmax  :予測点における騒音レベルの最大値の平均値(dB)
         LA,Fmax,5 :予地点における騒音レベルの最大値の90%レンジの上端値(dB)
         ΔL     :実効騒音レベルと LA5又はLA,Fmax、LA,Fmax,5との差(dB)

      (ウ) 補正項等

        騒音源データ、回折減衰による補正、地表面の影響による減衰補正については、「日本音響学会誌」58 巻11 号( 平成14 年) に掲載された参考資料を参照する。

      ウ 廃棄物運搬車両騒音( 道路交通騒音)

        道路交通騒音の等価騒音レベル( L A e q)の予測は、社団法人日本音響学会のASJ RTN-Model 2003を用いる。詳細は、「日本音響学会誌」60 巻4 号( 平成16 年) を参照のこと。
        以下に同モデルに基づく予測計算の考え方を示す。

      (ア) 予測計算の手順

        予測計算の手順は、図3 - 6 に示すとおりである。

      図:図3-6 道路交通騒音の予測計算の手順

      図3-6 道路交通騒音の予測計算の手順

      (イ) 予測式
       a. 予測式( 伝搬計算方法によるユニットパターン計算)

        LAeqを求めるためには、まず、1 台の自動車が道路上を単独で走行するときの、予測地点におけるA 特性音圧レベルの時間変化( ユニットパターン)LpA,iを求め、この時間積分値( 単発騒音曝露レベル:LAE)を計算する。この結果に、対象とする1 時間当たりの交通量( N:台/3600s)を考慮し、その時間のエネルギー平均レベルである等価騒音レベルLAeqを求める。

          図:予測式

           LpA,i    :i番目の音源点から予測地点に到達する音の音圧レベル(dB(A))
           Δti     :ΔDi/V
           ΔDi     :離散的に設定した音源点の間隔(m)
           V      :走行速度(m/s)
           T0     :基準時間(1s)

          図:予測式2

       以上の計算を車線別・車種別に行い、それらの結果のレベル合成値を計算して、予測地点における道路全体からの騒音のLAeqとする。
       無指向性点音源の半自由空間における伝搬は、以下の基本式により計算する。

           LPA=LWA-8-20log10r+ΔLdif+ΔLgrnd+ΔLair

         ここで、
           LPA     :A特性音圧レベル(dB)
           LWA     :自動車走行騒音のA特性パワーレベル(dB)
           r       :音源点から予測地点までの距離(m)
           ΔLdif    :回折効果による補正量(dB)
           ΔLgrnd   :地表面効果による補正量(dB)
           ΔLair    :空気の音響吸収による補正量(dB)
                     ※予測点まで100m以下は無視

      b. 回折効果による補正量

       回折効果による補正量(ΔLdif)は音源、回折点及び予測地点の幾何学的配置から求まる行路差δを用いて計算する。また、多種の地表面から成る地表面効果による補正値(ΔLgrnd)は、音源から予測地点に至る間の、路面、道路の法面、沿道の地面における3つの地表面毎に、そこでの伝搬経路に対応した補正量の和で近似する。

      c. 地表面効果による補正量

       多種の地表面から成る地表面効果による補正値は、音源から予測地点に至る間の路面、道路の法面及び沿道の地面の3 つの地表面ごとにそこでの伝搬経路に対応した補正値の和で近似する。地表面効果による補正値(ΔLgrnd)の基本式は以下に示すとおりである。

          ΔLgrnd=ΣΔLgrnd,i
               ΔLgrnd,i=-Ki・log10(ri/rc,i)(ri≧rc,j
               ΔLgrnd,i=0         (ri<rc,j
         ここで、
           △Lgrnd,i   :i番目の地表面効果による補正値(dB)
           △Ki     :i番目の地表面上での超過減衰を与える係数
           ri       :i番目の地表面上での伝搬距離(m)
           rc,i      :i番目の地表面上での超過減衰が生じ始める距離(m)

       予測に関係の深い地面として、表3 - 5 に示す4 種類の分類がある。地表面の実効的流れ抵抗が20,000kPa・s/m2以上の場合には、△Lgrnd=0とする。

      表3-5 地表面の種類と実効的流れ抵抗

      地表面の種類
      地表面の実効的流れ抵抗σe(kPa・s/m2
      コンクリート, アスファルト
      20,000
      スポーツグラウンドなど表面の固い地面
      1,250
      芝地,田んぼ,草地
      300
      表面の柔らかい畑地,耕田
      75

       地表面上での距離減衰を与える係数( Ki)は、地表面の種類と平均伝搬経路Ha,iの関数として次式で計算する。
          σe=75kPa・s/m2の場合

           図:σe=75kPa・s/m2の場合の式

          σe=300kPa・s/m2の場合

           図:σe=300kPa・s/m2の場合の式

          σe=1250kPa・s/m2の場合

           図:σe=1250kPa・s/m2の場合の式

      平均伝搬経路高(Ha,i)は、図3 - 7 に示すように最短伝搬経路を考え、前後の地表面境界上での伝搬高さHi-1とHiにより次式で与える。

           Ha,i=(Hi-1+Hi)/2

       ただし、切土については、法肩部のH2が1m以下となっても、H2=1mとして扱う。

           図:図3-7 各地表面上の伝搬経路高さ

      図3-7 各地表面上の伝搬経路高さ
       i番目の地表面上での超過減衰が生じ始める距離(rc,i)は、地面の種類と平均伝搬距離(Ha,i)の他に、音源側と予測地点側の高さの差に関する変数Ziの関数として次式で与えられる。

          rc,i=g(Zi)・(Ha,i)f(Zi)

        ここで、Ziは対象とする地表面の両端における伝搬高さHi-1とHiから次式で計算する。

           図:音源側と予測地点側の高さの差に関する変数Ziの計算式

         f(Zi)及びg(Zi)はZiの関数として計算する。
         σe=75kPa・s/m2の場合

          f(Zi)=2.09       (0.0≦Zi<0.4)
          f(Zi)=2.09-0.1243(Zi-0.4)+0.7144(Zi-0.4)2-2.4719(Zi-0.4)3       (0.4≦Zi<0.8)
          f(Zi)=1.9959-1.7238(Zi-0.8)+21.5839(Zi-0.8)2-189.3597(Zi-0.8)3       (0.8≦Zi≦1.0)
         σe=300kPa・s/m2の場合

         f(Zi)=2.3       (0.0≦Zi<0.4)
         f(Zi)=2.3-0.3871(Zi-0.4)+0.9196(Zi-0.4)2-5.4740(Zi-0.4)3       (0.4≦Zi≦1.0)
         σe=1250kPa・s/m2の場合

         f(Zi)=2.3       (0.0≦Zi<0.2)
         f(Zi)=2.3-0.1697(Zi-0.2)-1.3819(Zi-0.2)2-0.6479(Zi-0.2)3       (0.2≦Zi≦1.0)
         g(Zi)=a+bZi+cZi2+dZi3

        ここで、関数g(Zi)を計算するための各地面での係数は、表3 - 6 に示すとおりである。

      表3-6 g (Zi)における係数

      地表面の種類(σe)
      a
      b
      c
      d
      75
      35.0858
      3.2582
      -61.2349
      30.3173
      300
      23.8182
      1.6933
      -38.1740
      23.2773
      1,250
      18.6355
      0.9456
      -32.5215
      32.2235

         ただし、σe=1250kPa・s/m2でHa,i<1.1の場合は、rc,iは次式で計算する。

           rc,i=g(Zi)・(1.1)f(Zi)・10(Ha,i-1.1)・h(Zi)
          ここで、h(Zi)=0.5166-0.0592Zi-1.2961Zi2+1.1852Zi3

      d. パワーレベル

        自動車騒音の定常走行部におけるパワーレベル(一台の車から発生する平均パワーレベル)の算出には、「日本音響学会誌60 巻4 号(2004)道路交通騒音の予測モデル" ASJ RTN-Model2003"」( 2004 年4 月、日本音響学会) に基づいて、平均走行速度及び車種構成により次式で求める。
          大型車類:LWA=53.2+30log10
          小型車類:LWA=46.7+30log10

      e. 縦断勾配

       道路の縦断勾配によるパワーレベルの補正量を求める基本式は以下に示すとおりである。ただし、密粒舗装の走行をする大型車のみに適用し、十分長い上り勾配側の車線のみに適用する。

           ΔLgrnd=0.14i+0.05i2       (0≦i≦imax

          ここで、
            i     :道路の縦断勾配(%)
            imax   :補正を適用する縦断勾配の最大値

      f. 排水性舗装路面に係る補正

        排水性舗装におけるパワーレベルの補正は、次式により計算する。

            小型車類:Lsurf=5.7-6log10V+y
            大型種類:Lsurf=14.9-10log10V+0.3y

         ここで、
           Lsurf   :排水性舗装による自動車の走行騒音の低減効果
           V     :平均走行速度(km/h)
           y     :施工後の経過時間(年)

      4.振動関連

      4-1 基準値

        振動に関する規制基準、その他の環境保全目標(地方自治体事例)を表4-1に示す。

      表4-1(1) 振動規制法に基づく特定工場等における規制基準

      時間の区分
      昼間
      夜間
      区域の区分
      第一種区域
      60デシベル~65デシベル
      55デシベル~60デシベル
      第二種区域
      65デシベル~70デシベル
      60デシベル~65デシベル
      1. 1.第一種区域:良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域及び住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
          第二種区域:住居の用に併せて商業、工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を保全するため、振動の発生を防止する必要がある区域及び主として工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、著しい振動の発生を防止する必要がある区域
      2. 2.昼間:午前5時、6時、7時又は8時から午後7時、8時、9時又は10 時まで
          夜間:午後7時、8時、9時又は10 時から翌日の午前5時、6時、7時又は8時まで

      表4-1(2) 振動規制法に基づく自動車振動の要請基準

      区域の区分
      昼間
      夜間
      時間の区分
      第一種区域
      65デシベル
      60デシベル
      第二種区域
      70デシベル
      65デシベル
      備考
      1. 1 第一種区域及び第二種区域とは、それぞれ次の各号に掲げる区域として都道府県知事が定めた区域をいう。
        1.  一 第一種区域 良好な住居の環境を保全するため、特に静穏の保持を必要とする区域及び住民の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
        2.  ニ 第二種区域 住居の用に併せて商業、工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を保全するため、振動の発生を防止する必要がある区域及び主として工業等の用に供されている区域であって,その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、著しい振動の発生を防止する必要がある区域
      2. 2 昼間及び夜間とは、それぞれ次の各号に掲げる時間の範囲内において都道府県知事が定めた時間をいう。
        1.  一 昼間 午前5 時、6 時、7 時又は8 時から午後7 時、8 時、9 時又は10時まで
        2.  ニ 夜間 午後7 時、8 時、9 時又は10 時から翌日の午後5 時、6 時、7 時又は8 時まで

      表4-1(3) 地域環境管理計画における地区別環境保全水準の例(川崎市)

      (1) 工場等

      時間帯
      午前8時~午後7時
      午後7時~午前8時
      地区
      第1種
      60(65)デシベル以下
      50(55)デシベル以下
      第2種
      65デシベル以下
      60デシベル以下
      第3種
      70(70)デシベル以下
      60(65)デシベル以下
      1. (注)1 この表において、第1種地区とは都市計画法(昭和43 年法律第100 号)第8 条第1 項第1 号の規定により定められた第1 種低層住居専用地域、第2 種低層住居専用地域、第1 種中高層住居専用地域、第2 種中高層住居専用地域、第1 種住居地域、第2 種住居地域、準住居地域及びその他の地域をいう。
      2.   2 第1種地区の( )内の数値は、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域及びその他の地域に適用する。
      3.   3 第3種地区の( )内の数値は、工業専用地域に適用する
      4.   4 測定場所は、工場等の敷地境界線とする。
      (2) 道路

      時間
      昼間(午前6 時から午後10 時まで)
      夜間(午後10 時から翌日午前6 時まで)
      区域の区分
      第1種区域
      65デシベル以下
      60デシベル以下
      第2種区域
      70デシベル以下
      65デシベル以下
      1. (注)1 第1 種区域:都市計画法(昭和43 年法律第100 号)第8 条台1 項第1 号の規定により定められた第1 種低層住居専用地域、第2 種低層住居専用地域、第1 種中高層住居専用地域、第2 種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2 種住居地域、準住居地域及びその他の地域をいう。
      2.   2 第2種区域:近隣商業地域、商業地域、準工業地域及び工業地域をいう。
      3.   3 工業専用地域は除く
      4.   4 振動測定場所は、道路の敷地境界線とする。

      4-2 調査方法一覧

      (1) 調査地点(現地調査を実施する場合)

        ア 施設振動
      •    ・新設施設の場合、現地調査地点は、調査対象地域の中から適宜設定する。振動の測定場所は、敷地境界を含む事業予定区域内、もしくは周辺の住居、病院、学校等の用に供されている建物を対象とし、新設施設の振動源の配置を勘案して設定する。
      •    ・既存施設の変更となる場合も同様であるが、新設設備の振動源の配置とともに、既存施設の振動源の配置にも留意して、測定場所を設定する。
        イ 道路交通振動レベル
      •    ・搬入ルート上の代表的な地点を想定して測定する。
      •    ・振動の測定場所は、道路の敷地の境界線とする。
        ウ 交通量
      •    ・道路交通振動調査地点を通過する車輌交通量が車種別に測定できるよう地点を設定する。

      (2) 調査方法

        ア 振動の測定

         振動の測定方法は、JIS Z 8735 に定める振動レベル測定方法に準拠し、JIS C 1510 に定める振動レベル計を用いて、鉛直方向の振動感覚補正特性を加重した振動加速度実効値を計測する。
         振動レベルの整理方法については、振動の時間変動により次のように代表レベルを設定する必要がある。

      •    ・測定器の指示値が変動せず、または変動が少ない場合は、その指示レベル又は平均値とする。
      •    ・測定器の指示値が周期的または間欠的に変動する場合は、その変動ごとの指示値の平均値とする。
      •    ・測定器の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は、5秒間隔、100 個またはこれに準ずる間隔、個数の測定値の80%レンジの上端の数値とする。

         振動レベルは、大幅に変動する場合の振動では、80%レンジの上端値を代表値とする点が騒音の場合と異なる。なお、衝撃振動の定義はなく、したがって間欠的な振動として取り扱うことになる(資料編3.騒音関連表3-4参照)。
         測定時の注意事項は、騒音の場合とほぼ同様であるが、振動ピックアップの設置には、

      •    ・緩衝物がなく、かつ、十分踏み固め等の行われている堅い場所
      •    ・傾斜及び凹凸がない水平面を確保できる場所
      •    ・温度、電気、磁気等の外囲条件の影響を受けない場所を選ぶこととされている。
        イ 測定器

         振動の測定には、振動計あるいは振動レベル計(JIS C 1510)を用いる。振動レベル計は通称「公害用振動計」とも呼ばれ、環境振動測定用の計測器である。
         振動計は、振動を感知してこれを電気信号に変換するピックアップと信号を処理して振動レベルをメータに表示するアンプ部から構成される。振動レベル計のピックアップとしては現在、圧電素子を用いた加速度計が最も多く用いられている。
         この加速度計で発生し得る電流は極めて微弱であり、長いケーブルを通すと信号の減衰が著しい。このため、加速度ピックアップのすぐ傍らにプリアンプを置き、ケーブルの延長を可能としている。市販の振動レベル計では、ピックアップ内にプリアンプを内蔵した型が多い。振動の記録計にレベルレコーダ、データレコーダ、分析器に周波数分析器などがあり、騒音の場合と同様レベルレコーダを用いることが望ましい。

      4-3 既存文献、資料

          振動に関する既設文献・資料の例は次に示すとおりである。

      項目
      既存文献、資料の例
      振動
      •  ・発生源の状況(種類、規模、分布、振動パワーレベル)
           「環境白書」、「公害白書」、「振動実態調査報告書」等
      •  ・公害苦情の状況(振動に係る苦情の発生状況)
           「公害苦情届出台帳」等
      •  ・その他予測・考察に必要な事項
           ( 土質・地盤、土質・地盤の周波数特性等)

      4-4 予測式

      (1) 処理フロー

        振動の一般的な予測手順の概要は図4-1に示すとおりである。

      図:図4-1 振動予測フロー

      図4-1 振動予測フロー

      (2) 予測式

       ア 施設稼働による振動(工場振動)

         振動の予測は、振動の伝播が主として地盤であることから、現状では一般的に正確な予測を行うことは困難とされている。
         振動源から地面を伝わる波動の距離による減衰は、土質、地層、地下水、振動数、振動方向などによって多少の影響を受けるため、音の距離減衰のような単純な減衰ばかりにならないことが多い。もし、地面を均質な弾性体とすれば、距離による振動減衰は、幾何学的減衰と土の内部摩擦などによる減衰によって表され、振動からrm離れた点の振動レベルは次の距離減衰式より求められる。

      図:施設稼働による振動の予測式

       幾何減衰定数と地盤減衰定数(摩擦性減衰係数)は表4-2及び表4-3に示すとおりである。
       これらの定数は、地域の特性(事業計画地周辺の特性)によって定められることになるが、予測地点の条件に応じて定数を定める。

      表4-2 幾何減衰定数及び地盤減衰定数

      幾何減衰定数(n)
      表面波
      無限体を伝わる実体波
      半無限自由表面を伝わる実体波
      0. 5
      1
      2
      地盤減衰定数(α)
      粘土
      砂・シルト
      0.02~0.01
      0.03~0.02

      (出典:「地盤振動の伝播経路における対策」(騒音制御vol2.No.2)

      表4-3 摩擦性減衰係数

      地層
      摩擦性減衰係数
      シルト層
      0.03~0.02
      粘土層
      0.02~0.01
      関東ローム層
      0.01

      (出典:塩田、産業公害昭和55 年13 巻第10 号)

       イ 廃棄物運搬車両による振動(道路交通振動)

       自動車交通振動の80%レンジの上端値(L10)の予測には、以下に示す建設省土木研究所提案式、またはINCE/J RTV-model 2003(日本騒音制御工学会式)を用いる。

        (ア) 建設省土木研究所提案式
         a. 予測式

         図:建設省土木研究所提案式 予測式

       また、予測断面における現況の振動レベルを現地調査において把握できている場合には、廃棄物運搬車両及び将来増加交通量による振動レベルの増分を計算し、現況振動レベルに加算する方式を用いてもよい。

         図:現況振動レベルに加算する方式

      b. 予測式の係数値及び補正項

        上記予測式の係数値及び補正項は次表に示すとおりである。

      表4-4 道路交通振動予測式の計数値及び補正値

      道路構造
      K
      a
      b
      c
      d
      ασ
      αf
      αs
      α1=βlog(r/5+1)/log2
      r:基準点から予測地点までの距離(m)
      平面道路
       
      高架道路に併設された場合を除く
      100<V≦140km/hのとき14
      V≦100km/hのとき13
      47
      12
      3.5
      27.3
      アスファルト舗装では8.2log10σ
       
      コンクリート舗装では19.4log10σ
       
      σ:3mプロフィルメータによる路面凹凸の標準偏差(mm)
      f≧8Hzのとき-17.3log10f
       
      f<8Hzのとき-9.2log10f-7.3
       
      f:地盤卓越振動数(Hz)
      0
      β:粘土地盤では0.068L10*-2.0
      β:砂地盤では0.130L10*-3.9
      盛土道路
      -1.4H-0.7
      H:盛土高さ(m)
      β:0.081L10*-2.2
      切土道路
      -0.7H-3.5
      H:切土高さ(m)
      β:0.187L10*-5.8
      掘削道路
      -4.1H+6.6
      H:掘割深さ(m)
      β:0.035L10*-0.5
      高架道路
      7.9
      1本橋脚では7.5
      2本以上橋脚では8.1
      1.9log10Hp
      Hp:伸縮継手部より±5m範囲内の最大高低差(mm)
      f≧8Hzのとき-6.3log10f
       
      f<8Hzのとき-5.7
      0
      β:0.073L10*-2.3
      高架道路に併設された平面道路
      3.5
      21.4
      アスファルト舗装では8.2log10σ
       
      コンクリート舗装では19.4log10σ
      f≧8Hzのとき-17.3log10f
       
      f<8Hzのとき-9.2log10f-7.3
      c. その他
      •  ・地盤卓越振動数(予測地点における調査結果を用いる。)
      •  ・道路条件(道路交通騒音予測と同様。)
      •  ・交通条件(道路交通騒音予測と同様。)
      (イ) INCE/J RTV-model 2003(日本騒音制御工学会式)

        社団法人日本騒音制御工学会道路交通振動予測式作成分科会による道路交通振動予測計算方法(INCE/JRTV-model 2003)は、以下に示すとおりである。詳細は、「騒音制御」28 巻3 号(平成16 年)を参照のこと。

       a. 予測手順

        INCE/J RTV-model 2003 は、図4-2に示す手順に従って予測を行う。

         図:図4-2 INCE/J RTV-model における振動予測フロー

      図4-2 INCE/J RTV-model における振動予測フロー

      b. 予測式
       (a)振動加速度レベルの距離減衰計算式

         図:振動加速度レベルの距離減衰計算式

        ここに、
           LVa,i      : 点振源i からの振動加速度レベル[dB]
           LVa,REF    :基準点(車線中央から予測地点方向へ1m 離れた地点)の振動加速度レベル[dB]
           ri       :点振源iから予測地点までの距離[m]
           rT=15m    :実体波的な減衰特性と表面波的な減衰特性の変曲点
           α       :内部減衰係数[1/m](ローム地盤;0.014、砂礫地盤;0.031、沖積地盤;0.020)、f(θi):振動伝搬の指向特性[f(θi)=1-0.0083θi])
           θi       :点振源i と予測地点を結ぶ直線と道路垂線のなす角度[°](図4-3参照)

         図:図4-3 一台の自動車と予測地点との位置関係

      図4-3 一台の自動車と予測地点との位置関係(ただし、ri≧rT

       (b)基準点における振動加速度レベル


        LVa,REF=60+23.3log10σ-19.1log10TA+28.8log10V+CV+Cg

        ここに、
         σ   :路面の平坦性[mm](3m プロフィルメータによる路面凹凸の標準偏差)
         TA   :路盤舗装の等値層厚[cm]
         V   :走行速度[km/h]
         CV  : 車種別の定数[dB](大型自動車;0dB、小型自動車;-8dB)
         Cg   :地盤別の定数[dB](ローム地盤;-6dB、砂礫地盤:-5.8dB、沖積地盤;-10dB)

      (c)ユニットパターン計算のための条件
      1.  (1)道路縦断方向範囲:予測地点から車線中央に下した垂線の交点を中心に、左右に垂線距離の10 倍の範囲とする。
      2.  (2)時間間隔:上記範囲内に等間隔で最低40 ポイントの振動源の配置できる時間間隔
      (c)等価振動加速度レベルLVaeqの計算
      •  ・予測地点から見てj 番目の車線を走行する大型車を振動源とした場合の予測地点における等価振動加速度レベルLVaeq,h,j

       図:等価振動加速度レベルLVaeqの計算

       ここに、

         図:等価振動加速度レベルLVaeqの計算値の説明

        なお、小型車の場合は、上式において、添字h をk と読み替えて求める。

       ・j 番目の車線を走行する自動車による予測地点における等価振動加速度レベルLVaeq,j

       LVaeq,j=10log10(10LVaeq,h,j/10+10LVaeq,k,j/10

       ここに、
         LVaeq,h,j   :予測地点におけるj 番目の車線を走行する大型車による等価振動加速度レベル[dB]
         LVaeq,k,j   :予測地点におけるj番目の車線を走行する小型車による等価振動加速度レベル[dB]

       ・予測地点における等価振動加速度レベルLVeaq

       図:予測地点における等価振動加速度レベルLVeaq

      (d)等価振動レベルLVeq及び80%レンジ上端値LV10への変換
       ・等価振動レベルLVeqへの変換

        LVeq=LVaeq+ΔLA  ・・・式(F)
        ここに、
         ΔLA:振動加速度レベルから振動レベルを推定する際の補正値 [dB](ローム地盤;-5.0dB、砂礫地盤;-9.1dB、沖積地盤; -(4.7-0.1r)dB、rは車道端から予測地点までの距離 [m]

       ・80%レンジ上端値LV10への変換
       LV10=LVeq+ΔL10  ・・・式(G)
        ここに、
          LV10  :振動レベルの80%レンジ上端値 [dB]
          ΔL10  :等価振動レベルから振動レベルの80%上端値を推定する際の補正値 (3dB)

      5.悪臭関連

      5-1 基準値

       悪臭に関する法律としては、悪臭防止法(昭和46 年制定、同47 年施行)があり、更に同法に係る自治体の条例などがある。
       悪臭防止法は、事業活動に伴って発生する悪臭について規制するもので、生活環境を損なう恐れがある主要な物質を「特定悪臭物質」(政令指定22 物質)として指定し、排出物質濃度について一定の許容限度を規定しているほか、人間の嗅覚を用いて測定される悪臭の程度の指標である「臭気指数」について許容限度を規定している。
       規制の対象は、都道府県知事及び地方自治法の指定都市長によって指定される規制地域(悪臭原因物(悪臭の原因となる気体又は水)の排出を規制する地域)内のすべての工場・事業場となっている。

       (1) 環境基準

         悪臭については、環境基準は設定されていない。

       (2) 規制基準

         ア 規制基準の種類

           悪臭の規制基準は、環境省令に従い上記の自治体の長が次の基準を定めるものとなっている。

      1.      (ア) 1号規制:敷地境界線における大気中の特定悪臭物質濃度又は大気の臭気指数の許容限度
      2.      (イ) 2号規制:煙突その他の気体排出口において、排出口の高さに応じて特定悪臭物質の流量又は排出気体中の特定悪臭物質濃度若しくは臭気排出強度又は排出気体の臭気指数の許容限度
      3.      (ウ) 3号規制:排出水中の特定悪臭物質濃度又は排出水の臭気指数の許容限度

           (2 号規制及び3 号規制の規制基準は、規制地域内のどの地点でも悪臭の程度が1 号規制の敷地境界における規制基準と同等レベルとなるように設定されている。)

         イ 規制値

           規制値については、6段階臭気強度表示法における臭気強度2.5~3.5 に対応する各特定悪臭物質ごとの物質濃度又は臭気指数の範囲から、規制地域の特性に応じて都道府県知事が規制指標(特定悪臭物質濃度又は臭気指数)及び規制値を設定することとされている。(なお、臭気強度2.5~3.5 に相当する敷地境界における臭気指数は10~21 とされている。)
           表5-1に特定悪臭物質濃度の物質濃度と臭気強度の関係及び発生源とにおいの特性を示した。

      表5-1 特定悪臭物質濃度と臭気強度の関係及び発生源とにおいの特性

       
      臭気強度
      物質濃度
      主要発生源事業場
      におい
      悪臭物質
       
      2.5
      3.5
      アンモニア
      0.1
      0.6
      1
      2
      5
      1×10
      4×10
      畜産農業、鶏糞乾燥場、複合肥料製造業、でん粉製造業、化製場、魚腸骨処理場、フェザー処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
      し尿のような臭い
      メチルメルカプタン
      0.0001
      0.0007
      0.002
      0.004
      0.01
      0.03
      0.2
      クラフトパルプ製造業、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
      腐った玉ねぎのような臭い
      硫化水素
      0.0005
      0.006
      0.02
      0.06
      0.2
      0.7
      8
      畜産農業、クラフトパルプ製造業、でん粉製造業、セロファン製造業ビスコースレーヨン製造業、化製場、魚腸骨処理場、フェザー処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
      腐った卵のような臭い
      硫化メチル
      0.0001
      0.002
      0.01
      0.05
      0.2
      0.8
      2×10
      クラフトパルプ製造業、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
      腐ったキャベツのような臭い
      二硫化メチル
      0.0003
      0.003
      0.009
      0.03
      0.1
      0.3
      3
      トリメチルアミン
      0.0001
      0.001
      0.005
      0.02
      0.07
      0.2
      3
      畜産農業、複合肥料製造業、化製場、魚腸骨処理場、水産かん詰製造業等
      腐った魚のような臭い
      アセトアルデヒド
      0.002
      0.01
      0.05
      0.1
      0.5
      1
      1×10
      アセトアルデヒド製造工場、酢酸ビニル製造工場、クロロプレン製造工場、たばこ製造工場、複合肥料製造業、魚腸骨処理場等
      刺激的な青ぐさい臭い
      スチレン
      0.03
      0.2
      0.4
      0.8
      2
      4
      2×10
      スチレン製造工場、ポリスチレン製造・加工工場、SBR製造工場、FRP 製品製造工場、化粧合板製造工場等
      都市ガスのような臭い
      プロピオン酸
      0.002
      0.01
      0.03
      0.07
      0.2
      0.4
      2
      脂肪酸製造工場、染色工場、畜産事業場、化製場、でん粉製造工場等
      刺激的な酸っぱい臭い
      ノルマル酪酸
      0.00007
      0.0004
      0.001
      0.002
      0.006
      0.02
      0.09
      畜産事業場、化製場、魚腸骨処理場、鶏糞乾燥場、畜産食料品製造工場でん粉工場、し尿処理場、廃棄物処分場等
      汗くさい臭い
      ノルマル吉草酸
      0.0001
      0.0005
      0.0009
      0.002
      0.004
      0.008
      0.04
      むれた靴下のような臭い
      イソ吉草酸
      0.00005
      0.0004
      0.001
      0.004
      0.01
      0.03
      0.3
      むれた靴下のような臭い
      トルエン
      0.9
      5
      1×10
      3×10
      6×10
      1×102
      7×102
      塗装工場、その他の金属製品製造工場、自動車修理工場、木工工場、繊維工場、その他の機械製造工場、印刷工場、輸送用機械器具製造工場、鋳物工場等
      ガソリンのような臭い
      キシレン
      0.1
      0.5
      1
      2
      5
      1×10
      5×10
      ガソリンのような臭い
      酢酸エチル
      0.3
      1
      3
      7
      2×10
      4×10
      2×102
      刺激的なシンナーのような臭い
      メチルイソブチルケトン
      0.2
      0.7
      1
      3
      6
      1×10
      5×10
      刺激的なシンナーのような臭い
      イソブタノール
      0.01
      0.2
      0.9
      4
      2×10
      7×10
      1×103
      刺激的な発酵した臭い
      プロピオンアルデヒド
      0.002
      0.02
      0.05
      0.1
      0.5
      1
      1×10
      塗装工場、その他の金属製品製造工場、自動車修理工場、印刷工場、魚腸骨処理場、油脂系食料品製造工場、輸送用機械器具製造工場等
      刺激的な甘酸っぱい焦げた臭い
      ノルマルブチルアルデヒド
      0.0003
      0.003
      0.009
      0.03
      0.08
      0.3
      2
      刺激的な甘酸っぱい焦げた臭い
      イソブチルアルデヒド
      0.0009
      0.008
      0.02
      0.07
      0.2
      0.6
      5
      刺激的な甘酸っぱい焦げた臭い
      ノルマルバレルアルデヒド
      0.0007
      0.004
      0.009
      0.02
      0.05
      0.1
      0.6
      むせるような甘酸っぱい焦げた臭い
      イソバレルアルデヒド
      0.0002
      0.001
      0.003
      0.006
      0.01
      0.03
      0.2
      むせるような甘酸っぱい焦げた臭い
      1. ※1)都道府県知事あるいは政令指定都市市長は、指定地域内において臭気強度2.5~3.5 の範囲内で地域の実状により特定悪臭物質及びその濃度を設定する。
      2.  2)6段階臭気強度表示法
      臭気強度
      においの程度
      0
      無臭
      1
      やっと感知できるにおい(検知閾値濃度)
      2
      何のにおいであるかがわかる弱いにおい(認知閾値濃度)
      3
      らくに感知できるにおい
      4
      強いにおい
      5
      強烈なにおい

      「四訂版ハンドブック悪臭防止法」(平成13 年8月22 日、悪臭法令研究会編著、ぎょうせい発行)等により作成

         ウ 地方公共団体の条例等による規則

           悪臭防止法では、地方公共団体が悪臭防止法に規定するもののほか、悪臭の原因となる物質の排出に関し条例で必要な規制を定めるをことを妨げるものではないとしており(法第24 条)、必要があると判断される場合、各自治体は条例を制定することができる。
           悪臭に関する条例(要綱等を含む)として、多くの自治体で採用しているのは嗅覚測定法(官能試験法)による事業場の敷地境界あるいは排出口における規制である。
           表5-2に各自治体における条例による規制(嗅覚測定法(官能試験法)の採用状況)の一例を示す。

      表5-2 各自治体における条例による規制(嗅覚測定法(官能試験法)の採用状況)の一例

      自治体名
      東京都
      草加市
      草津市
      施行年月
      昭和44年7月
      昭和48年10月(改正平成16年7月)
      昭和56年1月
      測定法
      三点比較式臭袋法
      三点比較式臭袋法
      三点比較式臭袋法
      対象地域
      全域
      全域
      全域
      対象発生源
      工場・指定作業場
      特定工場、特定作業場
      全業種
      対象施設の指定
      なし
      なし
      なし(特定工場・作業場は設置許可制)
      規制基準
      敷地境界
      排出口
      排出水
      敷地境界
      排出口
      排出水
      敷地境界、排出口
      基準値
      (敷地境界)
      臭気指数
      第一種区域 10
      第二種区域 12
      第三種区域 13
       
      (敷地境界)
       臭気指数
      第1種区域 10
      第2種区域 10
      第3種区域 13
      第4種区域 15
      (敷地境界)
       臭気濃度
      第1種区域 10
      第2種区域 15
      第3種区域 20
      (排出口)
       臭気指数
      悪臭防止法の計算式を一部簡易化
      (排出口)
       臭気指数
      第1種区域 25
      第2種区域 25
      第3種区域 27
      第4種区域 30
      (排出口)
       臭気濃度
      第1種区域 300
      第2種区域 500
      第3種区域 1000
      (排出水)
       臭気指数
      第1種区域 26
      第2種区域 28
      第3種区域 29
       
      H13.12 条例改定
      H14.7 臭気指数規制施行
      (排出水)
       臭気指数
      第1種区域 26
      第2種区域 26
      第3種区域 29
      第4種区域 31
       
      罰則
      改善命令・計画変更命令→罰則
      改善勧告→改善命令又は一時停止命令→特定工場又は特定作業場設置許可取消→罰則
      改善勧告→改善命令又は一時停止命令→特定工場又は特定作業場設置許可取消→罰則

      注)環境省調べを基に、最新内容とする。

      5-2 調査方法一覧

       悪臭の実測調査方法は、悪臭物質そのものを測定・分析する方法と臭気を人間の臭気感覚によって測定する方法に大別され、前者を化学物質測定法あるいは機器分析法といい、個々の物質の測定に適する。後者は嗅覚測定法あるいは官能試験法といい、比較的簡便で人間の感覚に基いており、複合臭の評価が可能である。

      図:悪臭の実測調査方法

      (1) 化学物質測定法-環境庁告示法(環境庁告示第9 号、昭和47 年)

        特定悪臭物質の22 物質について気体の捕集方法・装置及び分析方法等が示されている。(具体的内容は同告示を参照)

      (2) 直接表示法-6段階臭気強度表示法

        測定者が臭気を嗅いで表6-3に示す6段階臭気強度で表わす(直接表示する)方法である。通常10秒ごとに4~5名の測定者が表の判断基準に従って5~30分程度でにおいの強さを感覚量(程度)で判定するものである。悪臭防止法の規制基準値の基礎となっている。

      表6-3 6段階臭気強度表示法

      臭気濃度
      内容
      無臭
      やっと感知できるにおい(検知閾値濃度)
      何のにおいであるか判る弱いにおい(認知閾値濃度)
      楽に感知できるにおい
      強いにおい
      強烈なにおい

      (3) 空気希釈法-嗅覚を用いる臭気の判定試験法

        平成7 年に、「臭気指数及び臭気排出強度の算定の方法」(環境庁告示第63 号)として定められたものであり、従来は三点比較式臭袋法と呼ばれるものである。方法は測定臭気を含んだ袋1つと無臭の袋2つの計3つを用意し、臭気袋を順次無臭空気で希釈しつつ判定者が嗅ぐという作業を繰り返し、臭気袋を選定する確率が58%となるまでの臭気袋に対する無臭空気による希釈倍数の値を算定し、その値を臭気濃度という指標で表わすとともに、臭気濃度の常用対数に10 を乗じた値を大気の臭気指数とするものである。(具体的内容は同告示を参照)
        悪臭防止法の改正に伴い、臭気指数に係る規制地域をしている自治体は、平成17 年3 月末現在、270 の自治体に及ぶ(「社団法人におい・かおり環境協会」調べ)。

      5-3 既存文献、資料

      (1) 悪臭

        悪臭については、悪臭防止法第11 条において市町村長に規制地域における大気中の特定悪臭物質の濃度または臭気指数を測定することを定めていることから、この測定結果を利用することが考えられる。但し、測定を行い、その結果を公表している自治体は少ない。
        その他、環境影響評価書等において、悪臭の測定結果を記載している場合がある。使用許諾が得られたデータであれば利用することは可能である。

      (2) 気象

        資料編の「2.大気汚染関連2-3既存文献、資料」を参照。

      5-4 予測式

      (1) 拡散予測式

        煙突排ガスによる影響において計算式にて予測を行う場合は、プルーム式、パフモデル式等の大気拡散式を用いる。大気拡散式については資料編の「2.大気質関連2-4予測式」を参照。

      (2) 悪臭評価時間修正の方法

        大気拡散式で得られる悪臭物質濃度は大気拡散パラメーターによる評価時間(3分)に対する値であるが、悪臭の知覚時間は30 秒程度と言われている。このため、大気拡散予測式による悪臭の評価について人間の臭気知覚時間に対応した値に修正する必要がある。以下にその知見の要約を示した。
        (用いるにあたっては適不適が立地条件等により影響されるので、詳細は下記答申の原文等を参照のこと。)

        <要約>

        拡散実験結果から、平坦地域での水平方向拡散幅の時間依存性について、次式のような関係になる。
      σy1/σy2=(T1/T2p
      σy1:時間T1における臭気の水平方向の拡散幅
      σy2:時間T2における臭気の水平方向の拡散幅
        臭気拡散に使用する時間修正係数としては、時間比のべき乗とした場合に、安全側の設定となるp=0.7 の値を採用し、3 分間値から30 秒間値へのσy の修正係数は0.285、Cmax に対する修正係数は3.5 とするのが妥当であると考えられる。
       (「悪臭防止対策の今後のあり方について(第二次答申)―臭気指数規制に係る気体排出口における規制基準の設定方法について平成9 年11 月21 日中央環境審議会」より)

      6.水質関連

      6-1 基準値

      (1) 環境基準

        ア 水質汚濁に係る環境基準

          水質汚濁に係る環境基準とは、環境基本法第16 条第1項の規定による公共用水域の水質汚濁に係る環境上の条件について、人の健康を保護し、および生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めたもので、以下に示すものである。

         (ア)人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)
          a 環境基準

           人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)は、公共用水域につき、表6-1の項目ごとについて、同表の基準値に示すとおりである。

          b 達成期間

           これについては、設定後直ちに達成され、維持されるように努めるものとする。

      表6-1 人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)

      項目
      基準値
      測定方法
      カドミウム
      0.01mg/L 以下
      日本工業規格K0102(以下「規格」という。)55 に定める方法
      全シアン
      検出されないこと。
      規格38.1.2 及び38.2 に定める方法又は規格38.1.2 及び38.3に定める方法
      0.01mg/L 以下
      規格54 に定める方法
      六価クロム
      0.05mg/L 以下
      規格65.2 に定める方法
      砒素
      0.01mg/L 以下
      規格61.2 又は61.3 に定める方法
      総水銀
      0.0005mg/L 以下
      付表1 に掲げる方法
      アルキル水銀
      検出されないこと。
      付表2 に掲げる方法
      PCB
      検出されないこと。
      付表3 に掲げる方法
      ジクロロメタン
      0.02mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.2 に定める方法
      四塩化炭素
      0.002mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      1,2―ジクロロエタン
      0.004mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1 又は5.3.2 に定める方法
      1,1―ジクロロエチレン
      0.02mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.2 に定める方法
      シス―1,2―ジクロロエチレン
      0.04mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.2 に定める方法
      1,1,1―トリクロロエタン
      1mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      1,1,2―トリクロロエタン
      0.006mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      トリクロロエチレン
      0.03mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      テトラクロロエチレン
      0.01mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      1,3―ジクロロプロペン
      0.002mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.1 に定める方法
      チウラム
      0.006mg/L 以下
      付表4 に掲げる方法
      シマジン
      0.003mg/L 以下
      付表5 の第1 又は第2 に掲げる方法
      チオベンカルブ
      0.02mg/L 以下
      付表5 の第1 又は第2 に掲げる方法
      ベンゼン
      0.01mg/L 以下
      日本工業規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.2 に定める方法
      セレン
      0.01mg/L 以下
      規格67.2 又は67.3 に定める方法
      硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
      10mg/L 以下
      硝酸性窒素にあつては規格43.2.1、43.2.3 又は43.2.5 に定める方法、亜硝酸性窒素にあつては規格43.1 に定める方法
      ふつ素
      0.8mg/L 以下
      規格34.1 に定める方法又は付表6に掲げる方法
      ほう素
      1mg/L 以下
      規格47.1 若しくは47.3 に定める方法又は付表7に掲げる方法
      備考
      1. 1 基準値は年間平均値とする。ただし、全シアンに係る基準値については、最高値とする。
      2. 2 「検出されないこと」とは、測定方法の欄に掲げる方法により測定した場合において、その結果が当該方法の定量限界を下回ることをいう。別表2 において同じ。
      3. 3 海域については、ふつ素及びほう素の基準値は適用しない。
      4. 4 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の濃度は、規格43.2.1、43.2.3 又は43.2.5 により測定された硝酸イオンの濃度に換算係数0.2259 を乗じたものと規格43.1 により測定された亜硝酸イオンの濃度に換算係数0.3045 を乗じたものの和とする。
         (イ)生活環境の保全に関する環境基準
          a 環境基準

           生活環境の保全に関する環境基準は、公共用水域につき、表6-2~4の水域類型のうち当該公共用水域が該当する指定水域類型ごとに、同表の基準値に示すとおりである。

          b 達成期間

           これについては、各公共用水域ごとに、水質環境基準告示(昭和46 年環告第59 号)第3の2に示された区分により、施策の推進とあいまちつつ、可及的速やかにその達成維持を図るものとする。

      表6-2 生活環境の保全に関する環境基準(河川)


      項目
      利用目的の適応性
      基準値
      該当水域
      類型
      水素イオン濃度(PH)
      生物化学的酸素要求量(BOD)
      浮遊物質量(SS)
      溶存酸素量(DO)
      大腸菌群数
      AA
      水道1 級
      自然環境保全及びA 以下の欄に掲げるもの
      6.5 以上8.5 以下
      1mg/L 以下
      25mg/L 以下
      7.5mg/L 以上
      50MPN/100mL以下
      第1 の2 の(2)により水域類型ごとに指定する水域
      A
      水道2 級
      水産1 級
      水浴及びB 以下の欄に掲げるもの
      6.5 以上8.5 以下
      2mg/L 以下
      25mg/L 以下
      7.5mg/L 以上
      1,000MPN/100mL以下
      B
      水道3 級
      水産2 級
      及びC 以下の欄に掲げるもの
      6.5 以上8.5 以下
      3mg/L 以下
      25mg/L 以下
      5mg/L 以上
      5,000MPN/100mL以下
      C
      水産3 級
      工業用水1 級
      及びD 以下の欄に掲げるもの
      6.5 以上8.5 以下
      5mg/L 以下
      50mg/L 以下
      5mg/L 以上
      D
      工業用水2 級
      農業用水及びE の欄に掲げるもの
      6.0 以上8.5 以下
      8mg/L 以下
      100mg/L 以下
      2mg/L 以上
      E
      工業用水3 級
      環境保全
      6.0 以上8.5 以下
      10mg/L 以下
      ごみ等の浮遊が認められないこと。
      2mg/L 以上
      測定方法
      規格12.1 に定める方法又はガラス電極を用いる水質自動監視測定装置によりこれと同程度の計測結果の得られる方法
      規格21 に定める方法
      付表8 に掲げる方法
      規格32 に定める方法又は隔膜電極を用いる水質自動監視測定装置によりこれと同程度の計測結果の得られる方法
      最確数による定量法
       
      備考
      1.  1 基準値は、日間平均値とする(湖沼、海域もこれに準ずる。)。
      2.  2 農業用利水点については、水素イオン濃度6.0 以上7.5 以下、溶存酸素量5mg/L 以上とする(湖沼もこれに準ずる。)。
      3.  3 水質自動監視測定装置とは、当該項目について自動的に計測することができる装置であって、計測結果を自動的に記録する機能を有するもの又はその機能を有する機器と接続されているものをいう(湖沼、海域もこれに準ずる。)。
      4.  4 最確数による定量法とは、次のものをいう(湖沼、海域もこれに準ずる。)。
           試料10mL、1mL、0.1mL、0.01mL......のように連続した4 段階(試料量が0.1mL 以下の場合は1mL に希釈して用いる。)を5 本ずつBGLB 醗酵管に移殖し、35~37℃、48±3 時間培養する。ガス発生を認めたものを大腸菌群陽性管とし、各試料量における陽性管数を求め、これから100mL 中の最確数を最確数表を用いて算出する。この際、試料はその最大量を移殖したものの全部か又は大多数が大腸菌群陽性となるように、また最少量を移殖したものの全部か又は大多数が大腸菌群陰性となるように適当に希釈して用いる。なお、試料採取後、直ちに試験ができないときは、冷蔵して数時間以内に試験する。
      1. (注) 1 自然環境保全:自然探勝等等の環境保全
      2.    2 水道1 級:ろ過等による簡易な浄水操作を行うもの
             水道2 級:沈殿ろ過等による通常の浄水操作を行うもの
             水道3 級:前処理等を伴う高度の浄水操作を行うもの
      3.    3 水産1 級:ヤマメ、イワナ等貧腐水性水域の水産生物用並びに水産2 級及び水産3 級の水産生物用
             水道2 級:サケ科魚類及びアユ等貧腐水性水域の水産生物用及び水産3 級の水産生物用
             水道3 級:コイ、フナ等、β―中腐水性水域の水産生物用
      4.    4 工業用水1 級:沈殿等による通常の浄水操作を行うもの
             水道2 級:薬品注入等による高度の浄水操作を行うもの
             水道3 級:特殊の浄水操作を行うもの
      5.    5 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度


      項目
      水生生物の生息状況の適応性
      基準値
      該当水域
      類型
      全亜鉛
      生物A
      イワナ、サケマス等比較的低温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域
      0.03mg/L 以下
      第1の2 の(2)により水域類型ごとに指定する水域
      生物特A
      生物Aの水域のうち、生物Aの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域
      0.03mg/L 以下
      生物B
      コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域
      0.03mg/L 以下
      生物特B
      生物Bの水域のうち、生物Bの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域
      0.03mg/L 以下
      測定方法
      規格53 に定める方法(準備操作は規格53 に定める方法によるほか、付表9に掲げる方法によることができる。また、規格53 で使用する水については付表9の1(1)による。)
       
      備考
      1.  1 基準値は、年間平均値とする。(湖沼、海域もこれに準ずる。)
      表6-3 生活環境の保全に関する環境基準(湖沼)


      項目
      利用目的の適応性
      基準値
      該当水域
      類型
      水素イオン濃度(PH)
      生物化学的酸素要求量(BOD)
      浮遊物質量(SS)
      溶存酸素量(DO)
      大腸菌群数
      AA
      水道1 級
      水産1 級
      自然環境保全及びA 以下の欄に掲げるもの
      6.5 以上8.5 以下
      1mg/L 以下
      1mg/L 以下
      7.5mg/L 以上
      50MPN/100mL 以下
      第1 の2 の(2) により水域類型ごとに指定する水域
      A
      水道2、3 級
      水産2 級
      水浴及びB 以下の欄に掲げるもの
      6.5 以上8.5 以下
      3mg/L 以下
      5mg/L 以下
      7.5mg/L 以上
      1,000MPN/100mL 以下
      B
      水産3 級
      工業用水1 級
      農業用水及びC の欄に掲げるもの
      6.5 以上8.5 以下
      5mg/L 以下
      15mg/L 以下
      5mg/L 以上
      C
      工業用水2 級
      環境保全
      6.0 以上8.5 以下
      8mg/L 以下
      ごみ等の浮遊が認められないこと。
      2mg/L 以上
      測定方法
      規格12.1 に定める方法又はガラス電極を用いる水質自動監視測定装置によりこれと同程度の計測結果の得られる方法
      規格17 に定める方法
      付表8 に掲げる方法
      規格32 に定める方法又は隔膜電極を用いる水質自動監視測定装置によりこれと同程度の計測結果の得られる方法
      最確数による定量法
       
      備考
       水産1 級、水産2 級及び水産3 級については、当分の間、浮遊物質量の項目の基準値は適用しない。
      1. (注) 1 自然環境保全:自然探勝等等の環境保全
      2.    2 水道1 級:ろ過等による簡易な浄水操作を行うもの
             水道2,3 級:沈殿ろ過等による通常の浄水操作、又は、前処理等を伴う高度の浄水操作を行うもの
      3.    3 水産1 級:ヒメマス等貧栄養湖型の水域の水産生物用並びに水産2 級及び水産3 級の水産生物用
             水道2 級:サケ科魚類及びアユ等貧栄養湖型の水域の水産生物用並びに水産3 級の水産生物用
             水道3 級:コイ、フナ等富栄養湖型の水域の水産生物用
      4.    4 工業用水1 級:沈殿等による通常の浄水操作を行うもの
             水道2 級:薬品注入等による高度の浄水操作、又は、特殊な浄水操作を行うもの
      5.    5 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度

      項目
      利用目的の適応性
      基準値
      該当水域
      類型
      全窒素
      全燐
      自然環境保全及びⅡ以下の欄に掲げるもの
      0.1mg/L 以下
      0.005mg/L 以下
      第1 の2 の(2)により水域類型ごとに指定する水域
      水道1、2、3 級(特殊なものを除く。)
      水産1 種
      水浴及びⅢ以下の欄に掲げるもの
      0.2mg/L 以下
      0.01mg/L 以下
      水道3 級(特殊なもの)及びⅣ以下の欄に掲げるもの
      0.4mg/L 以下
      0.03mg/L 以下
      水産2 種及びⅤの欄に掲げるもの
      0.6mg/L 以下
      0.05mg/L 以下
      水産3 種
      工業用水
      農業用水
      環境保全
      1mg/L 以下
      0.1mg/L 以下
      測定方法
      規格45.2、45.3 又は45.4 に定める方法
      規格46.3 に定める方法
       
      備考
      1.  1 基準値は、年間平均値とする。
      2.  2 水域類型の指定は、湖沼植物プランクトンの著しい増殖を生ずるおそれがある湖沼について行うものとし、全窒素の項目の基準値は、全窒素が湖沼植物プランクトンの増殖の要因となる湖沼について適用する。
      3.  3 農業用水については、全燐りんの項目の基準値は適用しない。
      1. (注) 1 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
      2.    2 水道1 級:ろ過等による簡易な浄水操作を行うもの
            水道2 級:沈殿ろ過等による通常の浄水操作を行うもの
            水道3 級:前処理等を伴う高度の浄水操作を行うもの(「特殊なもの」とは、臭気物質の除去が可能な特殊な浄水操作を行うものをいう。)
      3.    3 水産1 級:サケ科魚類及びアユ等の水産生物用並びに水産2 種及び水産3 種の水産生物用
            水産2 級:ワカサギ等の水産生物用及び水産3 種の水産生物用
            水産3 級:コイ、フナ等の水産生物用
      4.    4 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度


      項目
      水生生物の生息状況の適応性
      基準値
      該当水域
      類型
      全亜鉛
      生物A
      イワナ、サケマス等比較的低温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域
      0.03mg/L 以下
      第1の2 の(2)により水域類型ごとに指定する水域
      生物特A
      生物Aの水域のうち、生物Aの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域
      0.03mg/L 以下
      生物B
      コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域
      0.03mg/L 以下
      生物特B
      生物Bの水域のうち、生物Bの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域
      0.03mg/L 以下
      測定方法
      規格53 に定める方法(準備操作は規格53 に定める方法によるほか、付表9に掲げる方法によることができる。また、規格53 で使用する水については付表9の1(1)による。)
       
      表6-4 生活環境の保全に関する環境基準(海域)


      項目
      利用目的の適応性
      基準値
      該当水域
      類型
      水素イオン濃度(PH)
      化学的酸素要求量(COD)
      溶存酸素量(DO)
      大腸菌群数
      n―ヘキサン抽出物質(油分等)
      A
      水産1 級
      水浴
      自然環境保全及びB以下の欄に掲げるもの
      7.8 以上8.3 以下
      2mg/L 以下
      7.5mg/L 以上
      1,000MPN/100mL 以下
      検出されないこと。
      第1 の2 の(2)により水域類型ごとに指定する水域
      B
      水産2 級
      工業用水及びC の欄に掲げるもの
      7.8 以上8.3 以下
      3mg/L 以下
      5mg/L 以上
      検出されないこと。
      C
      環境保全
      7.0 以上8.3 以下
      8mg/L 以下
      2mg/L 以上
      測定方法
      規格12.1 に定める方法又はガラス電極を用いる水質自動監視測定装置によりこれと同程度の計測結果の得られる方法
      規格17 に定める方法(ただし、B 類型の工業用水及び水産2級のうちノリ養殖の利水点における測定方法はアルカリ性法)
      規格32 に定める方法又は隔膜電極を用いる水質自動監視測定装置によりこれと同程度の計測結果の得られる方法
      最確数による定量法
      付表10 に掲げる方法
       
      備考
      1.  1 水産1 級のうち、生食用原料カキの養殖の利水点については、大腸菌群数70MPN/100mL 以下とする。
      2.  2 アルカリ性法とは次のものをいう。
           試料50mL を正確に三角フラスコにとり、水酸化ナトリウム溶液(10w/v%)1mL を加え、次に過マンガン酸カリウム溶液(2mmol/L)10mL を正確に加えたのち、沸騰した水浴中に正確に20 分放置する。その後よう化カリウム溶液(10w/v%)1mL とアジ化ナトリウム溶液(4w/v%)1 滴を加え、冷却後、硫酸(2+1)0.5mL を加えてよう素を遊離させて、それを力価の判明しているチオ硫酸ナトリウム溶液(10mmol/L)ででんぷん溶液を指示薬として滴定する。同時に試料の代わりに蒸留水を用い、同様に処理した空試験値を求め、次式によりCOD 値を計算する。
             COD(02mg/L)=0.08×〔(b)-(a)〕×fNa2S203×1000/50
        1.    (a):チオ硫酸ナトリウム溶液(10mmol/L)の滴定値(mL)
        2.    (b):蒸留水について行なつた空試験値(mL)
             fNa2S203:チオ硫酸ナトリウム溶液(10mmol/L)の力価
      1. (注) 1 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
      2.    2 水産1 級:マダイ、ブリ、ワカメ等の水産生物用及び水産2 級の水産生物用
             水産2 級:ボラ、ノリ等の水産生物用
      3.    3 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度


      項目
      利用目的の適応性
      基準値
      該当水域
      類型
      全窒素
      全燐
      自然環境保全及びⅡ以下の欄に掲げるもの(水産2 種及び3 種を除く。)
      0.2mg/L 以下
      0.02mg/L 以下
      第1 の2 の(2)により水域類型ごとに指定する水域
      水産1 種
      水浴及びⅢ以下の欄に掲げるもの(水産2 種及び3 種を除く。)
      0.3mg/L 以下
      0.03mg/L 以下
      水産2 種及びⅣの欄に掲げるもの(水産3 種を除く。)
      0.6mg/L 以下
      0.05mg/L 以下
      水産3 種
      工業用水
      生物生息環境保全
      1mg/L 以下
      0.09mg/L 以下
      測定方法
      規格45.4 に定める方法
      規格46.3 に定める方法
       
       
       
       

      備考

      1.  1 基準値は、年間平均値とする。
      2.  2 水域類型の指定は、海洋植物プランクトンの著しい増殖を生ずるおそれがある海域について行うものとする。
      1. (注) 1 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
      2.    2 水産1 種:底生魚介類を含め多様な水産生物がバランス良く、かつ、安定して漁獲される
            水産2 種:一部の底生魚介類を除き、魚類を中心とした水産生物が多獲される
            水産3 種:汚濁に強い特定の水産生物が主に漁獲される
      3.    3 生物生息環境保全:年間を通して底生生物が生息できる限度


      項目
      水生生物の生息状況の適応性
      基準値
      該当水域
      類型
      全亜鉛
      生物A
      水生生物の生息する水域
      0.02mg/L 以下
      第1の2 の(2)により水域類型ごとに指定する水域
      生物特A
      生物Aの水域のうち、水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域
      0.01mg/L 以下
      測定方法
      規格53 に定める方法(準備操作は規格53 に定める方法によるほか、付表9に掲げる方法によることができる。また、規格53 で使用する水については付表9の1(1)による。)
       
      >イ ダイオキシン類に係る環境基準

        ダイオキシン類に係る環境上の条件について、人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準を定めたもので、表6-5に示すものである。

      表6-5 ダイオキシン類に係る環境基準

       ○ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌の汚染に係る環境基準について(平成11 年12 月27 日環告68)
       
        ダイオキシン類対策特別措置法(平成11 年法律第105 号)第7 条の規定に基づき、ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境基準を次のとおり定め、平成12 年1 月15 日から適用する。
        ダイオキシン類対策特別措置法(平成11 年法律第105 号)第7 条の規定に基づくダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。)及び土壌の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準(以下「環境基準」という。)は、次のとおりとする。
      1.  第1 環境基準
        1.   1 環境基準は、別表の媒体の項に掲げる媒体ごとに、同表の基準値の項に掲げるとおりとする。
        2.   2 1の環境基準の達成状況を調査するため測定を行う場合には、別表の媒体の項に掲げる媒体ごとに、ダイオキシン類による汚染又は汚濁の状況を的確に把握することができる地点において、同表の測定方法の項に掲げる方法により行うものとする。
        3.   3 大気の汚染に係る環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については適用しない。
        4.   4 水質の汚濁(水底の底質の汚染を除く。)に係る環境基準は、公共用水域及び地下水について適用する。
        5.   5 水底の底質の汚染に係る環境基準は、公共用水域の水底の底質について適用する。
        6.   6 土壌の汚染に係る環境基準は、廃棄物の埋立地その他の場所であって、外部から適切に区別されている施設に係る土壌については適用しない。
      2.  第2 達成期間等
        1.   1 環境基準が達成されていない地域又は水域にあっては、可及的速やかに達成されるように努めることとする。
        2.   2 環境基準が現に達成されている地域若しくは水域又は環境基準が達成された地域若しくは水域にあっては、その維持に努めることとする。
        3.   3 土壌の汚染に係る環境基準が早期に達成されることが見込まれない場合にあっては、必要な措置を講じ、土壌の汚染に起因する環境影響を防止することとする。
      3.  第3 環境基準の見直し
          ダイオキシン類に関する科学的な知見が向上した場合、基準値を適宜見直すこととする。

      媒体
      基準値
      測定方法
      大気
      0.6pg―TEQ/m3以下
      ポリウレタンフォームを装着した採取筒をろ紙後段に取り付けたエアサンプラーにより採取した試料を高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法
      水質(水底の底質を除く。)
      1pg―TEQ/L 以下
      日本工業規格K0312 に定める方法
      水底の底質
      150pg―TEQ/g 以下
      水底の底質中に含まれるダイオキシン類をソックスレー抽出し、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法
      土壌
      1,000pg―TEQ/g 以下
      土壌中に含まれるダイオキシン類をソックスレー抽出し、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計により測定する方法
      備考
      1.  1 基準値は、2,3,7,8―四塩化ジベンゾーパラージオキシンの毒性に換算した値とする。
      2.  2 大気及び水質(水底の底質を除く。)の基準値は、年間平均値とする。
      3.  3 土壌にあっては、環境基準が達成されている場合であって、土壌中のダイオキシン類の量が250pg―TEQ/g 以上の場合には、必要な調査を実施することとする。

      (2)規制基準

      ア 水質汚濁防止法に基づく排水基準

        水質汚濁防止法に基づく排水基準とは、特定事業場(有害物質または生活環境項目に係る物質を含む汚水または廃液を排出する施設であって政令で定めるもの)からの排水の規制をおこなうにあたって排出水の汚染状態について汚染指標ごとに定められた許容限度のことである。本法によって定められた有害物質項目を表6-6に、同じく生活環境項目を表6-7に示す。

      表6-6 排水基準(有害物質項目)
      別表第一(第一条関係)

      有害物質の種類
      許容限度
      カドミウム及びその化合物
      1L につきカドミウム0.1mg
      シアン化合物
      1L につきシアン1mg
      有機燐化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPNに限る。)
      1L につき1mg
      鉛及びその化合物
      1L につき鉛0.1mg
      六価クロム化合物
      1L につき六価クロム0.5mg
      砒素及びその化合物
      1L につき砒素0.1mg
      水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物
      1L につき水銀0.005mg
      アルキル水銀化合物
      検出されないこと。
      ポリ塩化ビフェニル
      1L につき0.003mg
      トリクロロエチレン
      1L につき0.3mg
      テトラクロロエチレン
      1L につき0.1mg
      ジクロロメタン
      1L につき0.2mg
      四塩化炭素
      1L につき0.02mg
      1・2-ジクロロエタン
      1L につき0.04mg
      1・1-ジクロロエチレン
      1L につき0.2mg
      シス-1・2―ジクロロエチレン
      1L につき0.4mg
      1・1・1-トリクロロエタン
      1L につき3mg
      1・1・2-トリクロロエタン
      1L につき0.06mg
      1・3-ジクロロプロペン
      1L につき0.02mg
      チウラム
      1L につき0.06mg
      シマジン
      1L につき0.03mg
      チオベンカルブ
      1L につき0.2mg
      ベンゼン
      1L につき0.1mg
      セレン及びその化合物
      1L につきセレン0.1mg
      ほう素及びその化合物
      海域以外の公共用水域に排出されるもの1 L につきほう素10mg
      海域に排出されるもの1 L につきほう素230mg
      ふつ素及びその化合物
      海域以外の公共用水域に排出されるもの1L につきふつ素8mg
      海域に排出されるもの1 L につきふつ素15mg
      アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物
      1L につきアンモニア性窒素に0.4 を乗じたもの、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の合計量100mg
      備考
      1.  1 「検出されないこと。」とは、第二条の規定に基づき環境大臣が定める方法により排出水の汚染状態を検定した場合において、その結果が当該検定方法の定量限界を下回ることをいう。
      2.  2 砒素及びその化合物についての排水基準は、水質汚濁防止法施行令及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(昭和四十九年政令第三百六十三号)の施行の際現にゆう出している温泉(温泉法(昭和二十三年法律第百二十五号)第二条第一項に規定するものをいう。以下同じ。)を利用する旅館業に属する事業場に係る排出水については、当分の間、適用しない。
      表6-7 排水基準(生活環境項目)
      別表第二(第一条関係)

      項目
      許容限度
      水素イオン濃度(水素指数)
      海域以外の公共用水域に排出されるもの5.8 以上8.6 以下
      海域に排出されるもの5.0 以上9.0 以下
      生物化学的酸素要求量(単位1L につきmg)
      160(日間平均120)
      化学的酸素要求量(単位1L につきmg)
      160(日間平均120)
      浮遊物質量(単位1L につきmg)
      200(日間平均150)
      ノルマルヘキサン抽出物質含有量(鉱油類含有量)
      (単位1L につきmg)
      5
      ノルマルヘキサン抽出物質含有量(動植物油脂類含有量)
      (単位1L につきmg)
      30
      フェノール類含有量(単位1L につきmg)
      5
      銅含有量(単位1L につきmg)
      3
      亜鉛含有量(単位1L につきmg)
      5
      溶解性鉄含有量(単位1L につきmg)
      10
      溶解性マンガン含有量(単位1L につきmg)
      10
      クロム含有量(単位1L につきmg)
      2
      大腸菌群数(単位1 立方cm につき個)
      日間平均3,000
      窒素含有量(単位1L につきmg)
      120(日間平均60)
      燐含有量(単位1L につきmg)
      16(日間平均8)
      備考
      1.  1 「日間平均」による許容限度は、一日の排出水の平均的な汚染状態について定めたものである。
      2.  2 この表に掲げる排水基準は、一日当たりの平均的な排出水の量が50 立方m 以上である工場又は事業場に係る排出水について適用する。
      3.  3 水素イオン濃度及び溶解性鉄含有量についての排水基準は、硫黄鉱業(硫黄と共存する硫化鉄鉱を掘採する鉱業を含む。)に属する工場又は事業場に係る排出水については適用しない。
      4.  4 水素イオン濃度、銅含有量、亜鉛含有量、溶解性鉄含有量、溶解性マンガン含有量及びクロム含有量についての排水基準は、水質汚濁防止法施行令及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の施行の際現にゆう出している温泉を利用する旅館業に属する事業場に係る排出水については、当分の間、適用しない。
      5.  5 生物化学的酸素要求量についての排水基準は、海域及び湖沼以外の公共用水域に排出される排出水に限つて適用し、化学的酸素要求量についての排水基準は、海域及び湖沼に排出される排出水に限つて適用する。
      6.  6 窒素含有量についての排水基準は、窒素が湖沼植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある湖沼として環境大臣が定める湖沼、海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある海域(湖沼であって水の塩素イオン含有量が一リットルにつき九、〇〇〇mg を超えるものを含む。以下同じ。)として環境大臣が定める海域及びこれらに流入する公共用水域に排出される排出水に限つて適用する。
      7.  7 燐含有量についての排水基準は、燐が湖沼植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある湖沼として環境大臣が定める湖沼、海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある海域として環境大臣が定める海域及びこれらに流入する公共用水域に排出される排出水に限つて適用する。
        イ ダイオキシン類対策特別措置法に基づく排水基準
        (ア)焼却施設等に係る水質排出基準

        ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、廃棄物の焼却施設(廃棄物焼却炉であって、火床面積が0.5m2以上、
      又は焼却能力が1 時間当たり50kg 以上)については、公共用水域への排出水中のダイオキシン類濃度を10pg-TEQ/L 以下とすることとなっている。

        (イ)最終処分場に係る維持管理基準

        ダイオキシン類対策特別措置法に基づき、最終処分場の維持管理基準が定められており、放流水中のダイオキシン類濃度を10pg-TEQ/L 以下とすることとなっている。
        ダイオキシン類に係る最終処分場の維持管理基準及び排水基準を表6-8に示す。

        表6-8 ダイオキシン類に係る最終処分場の維持管理基準及び排水基準
      ○ダイオキシン類対策特別措置法に基づく廃棄物の最終処分場の維持管理の基準を定める省令

      (平成12 年1 月14 日総理府・厚生省令第2号)

      (維持管理の基準)
      1. 第一条 ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第二十五条第一項の規定による一般廃棄物の最終処分場(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第八条第一項の許可を受け、又は同法第九条の三第一項の届出がされたものに限る。)及び産業廃棄物の最終処分場(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)第七条第十四号ハに掲げるものであって、廃棄物処理法第十五条第一項の許可を受けたものに限る。)(以下単に「最終処分場」という。)の維持管理の基準は、次のとおりとする。
        1.  一 埋立地からの浸出液による最終処分場の周縁の地下水の水質への影響の有無を判断することができる二以上の場所から採取され、又は地下水集排水設備により排出された地下水(水面埋立処分を行う最終処分場にあっては、埋立地からの浸出液による最終処分場の周辺の水域の水又は周縁の地下水の水質への影響の有無を判断することができる二以上の場所から採取された当該水域の水又は当該地下水)の水質検査を次により行うこと。
          1.   イ 埋立処分開始前にダイオキシン類の濃度を測定し、かつ、記録すること。
          2.   ロ 埋立処分開始後、一年に一回以上ダイオキシン類の濃度を測定し、かつ、記録すること。ただし、埋め立てる廃棄物の種類並びに廃棄物の保有水及び雨水等(以下「保有水等」という。)の集排水設備により集められた保有水等の水質に照らしてダイオキシン類による最終処分場周縁の地下水(水面埋立処分を行う最終処分場にあっては、周辺の水域の水又は周縁の地下水)の汚染が生ずるおそれがないことが明らかな場合は、この限りでない。
          3.   ハ 一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令(昭和五十二年総理府・厚生省令第一号。以下「基準省令」という。)第一条第二項第十号ハ(同令第二条第二項第三号において例による場合を含む。)の規定により測定した電気伝導率又は塩化物イオンの濃度に異状が認められた場合には、速やかに、ダイオキシン類の濃度を測定し、かつ、記録すること。
        2.  二 前号の規定によるダイオキシン類に係る水質検査の結果、ダイオキシン類による汚染(その原因が当該最終処分場以外にあることが明らかであるものを除く。)が認められた場合には、その原因の調査その他の生活環境の保全上必要な措置を講ずること。
        3.  三 基準省令第一条第一項第五号ヘ(同令第二条第一項第四号において例による場合を含む。)の規定により設けられた浸出液処理設備の維持管理は、次により行うこと。
          1.   イ 放流水の水質がダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成十一年総理府令第六十七号)別表第二の下欄に定めるダイオキシン類の許容限度(廃棄物処理法第八条第二項第七号に規定する一般廃棄物処理施設の維持管理に関する計画又は同法第十五条第二項第七号に規定する産業廃棄物処理施設の維持管理に関する計画においてより厳しい数値を達成することとした場合にあっては、当該数値)に適合することとなるように維持管理すること。
          2.   ロ 放流水についてダイオキシン類に係る水質検査を一年に一回以上行い、かつ、記録すること。
      (水質検査の方法)

      第二条 前条第一号及び第三号ロの規定による水質検査は、環境大臣が定める方法によるものとする。

      附則
      (施行期日)
      1. 1 この命令は、ダイオキシン類対策特別措置法の施行の日(平成十二年一月十五日)から施行する。
        (経過措置)
      2. 2 この命令の施行前に埋立が開始された最終処分場の維持管理の基準については、第一条第一号イの規定は、適用しない。
      3. 3 この命令の施行の際現に設置され、又は設置の工事がされている最終処分場の維持管理の基準については、平成十三年一月十四日までの間は、第一条第三号イの規定は、適用しない。
      ○ダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成11 年12 月27 日総理府令第67号)
      別表第二

      令別表第二第一号から第十六号までに掲げる施設
      1リットルにつき10ピコグラム

      (3)その他生活環境保全上の目標の根拠となる基準

      ア 水道水質基準

        水質基準に関する省令(平成15 年5 月30 日厚生労働省令第101 号)によれば、水道により供給される水は、表6-9に掲げる事項について示した基準に適合するものでなければならない。

      表6-9 水道水質基準

      1
      一般細菌
      1mL の検水で形成される集落数が100 以下であること。
      2
      大腸菌
      検出されないこと。
      3
      カドミウム及びその化合物
      カドミウムの量に関して、0.01mg/L 以下であること。
      4
      水銀及びその化合物
      水銀の量に関して、0.0005mg/L 以下であること。
      5
      セレン及びその化合物
      セレンの量に関して、0.01mg/L 以下であること。
      6
      鉛及びその化合物
      鉛の量に関して、0.01mg/L 以下であること。
      7
      ヒ素及びその化合物
      ヒ素の量に関して、0.01mg/L 以下であること。
      8
      六価クロム化合物
      六価クロムの量に関して、0.05mg/L 以下であること。
      9
      シアン化物イオン及び塩化シアン
      シアンの量に関して、0.01mg/L 以下であること。
      10
      硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
      10mg/L 以下であること。
      11
      フッ素及びその化合物
      フッ素の量に関して、0.8mg/L 以下であること。
      12
      ホウ素及びその化合物
      ホウ素の量に関して、1.0mg/L 以下であること。
      13
      四塩化炭素
      0.002mg/L 以下であること。
      14
      1.4-ジオキサン
      0.05mg/L 以下であること。
      15
      1.1-ジクロロエチレン
      0.02mg/L 以下であること。
      16
      シス-1.2-ジクロロエチレン
      0.04mg/L 以下であること。
      17
      ジクロロメタン
      0.02mg/L 以下であること。
      18
      テトラクロロエチレン
      0.01mg/L 以下であること。
      19
      トリクロロエチレン
      0.03mg/L 以下であること。
      20
      ベンゼン
      0.01mg/L 以下であること。
      21
      クロロ酢酸
      0.02mg/L 以下であること。
      22
      クロロホルム
      0.06mg/L 以下であること。
      23
      ジクロロ酢酸
      0.04mg/L 以下であること。
      24
      ジブロモクロロメタン
      0.1mg/L 以下であること。
      25
      臭素酸
      0.01mg/L 以下であること。
      26
      総トリハロメタン(クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン及びブロモホルムのそれぞれの濃度の総和)
      0.1mg/L 以下であること。
      27
      トリクロロ酢酸
      0.2mg/L 以下であること。
      28
      ブロモジクロロメタン
      0.03mg/L 以下であること。
      29
      ブロモホルム
      0.09mg/L 以下であること。
      30
      ホルムアルデヒド
      0.08mg/L 以下であること。
      31
      亜鉛及びその化合物
      亜鉛の量に関して、1.0mg/L 以下であること。
      32
      アルミニウム及びその化合物
      アルミニウムの量に関して、0.2mg/L 以下であること。
      33
      鉄及びその化合物
      鉄の量に関して、0.3mg/L 以下であること。
      34
      銅及びその化合物
      銅の量に関して、1.0mg/L 以下であること。
      35
      ナトリウム及びその化合物
      ナトリウムの量に関して、200mg/L 以下であること。
      36
      マンガン及びその化合物
      マンガンの量に関して、0.05mg/L 以下であること。
      37
      塩化物イオン
      200mg/L 以下であること。
      38
      カルシウム、マグネシウム等(硬度)
      300mg/L 以下であること。
      39
      蒸発残留物
      500mg/L 以下であること。
      40
      陰イオン界面活性剤
      0.2mg/L 以下であること。
      41
      (4S・4aS・8aR)-オクタヒドロ-4.8a-ジメチルナフタレン-4a(2H)-オール(別名ジェオスミン)
      0.00001mg/L 以下であること。
      42
      1.2.7.7―テトラメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン―二―オール(別名2-メチルイソボルネオール)
      0.00001mg/L 以下であること。
      43
      非イオン界面活性剤
      0.02mg/L 以下であること。
      44
      フェノール類
      フェノールの量に換算して、0.005mg/L 以下であること。
      45
      有機物(全有機炭素(TOC)の量)
      5mg/L 以下であること。
      46
      pH値
      5.8 以上8.6 以下であること。
      47
      異常でないこと。
      48
      臭気
      異常でないこと。
      49
      色度
      5 度以下であること。
      50
      濁度
      2 度以下であること。
      附則
       (施行期日)

      第1 条 この省令は、平成16 年4 月1 日から施行する。

       (水質基準に関する省令の廃止)

      第2 条 水質基準に関する省令(平成四年厚生省令第六十九号)は、廃止する。

       (経過措置)
      1. 第3 条 平成17 年3 月31 日までの間は、表45 の項中「有機物(全有機炭素(TOC)の量)」とあるのは「有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)」と、「5mg/L」とあるのは「10mg/L」とする。
      2. 2 この省令の施行の際現に布設されている水道により供給される水に係る表四十一の項及び四十二の項に掲げる基準については、平成19 年3 月31 日までの間は、これらの項中「0.00001mg/L」とあるのは「0.00002mg/L」とする。
      イ 農業用水水質基準

        農林水産省公害研究所は、昭和45 年3 月に、農業用水として供給される水に係る水質基準を策定している。これによれば、農業用水として供給される水は、表6-10に掲げる事項について示した基準に適合するものでなければならない。

      表6-10 農業用水水質基準

      項目
      基準値
      pH (水素イオン濃度)
      6.0~7.5
      COD (化学的酸素要求量)
      6ppm 以下
      SS (無機浮遊物質)
      100ppm 以下
      DO (溶存酸素)
      5ppm 以上
      T-N (全窒素濃度)
      1ppm 以下
      電気伝導度(塩類濃度)
      0.3ms/cm 以下
      As (砒素)
      0.05ppm 以下
      Zn (亜鉛)
      0.5ppm 以下
      Cu (銅)
      0.02ppm 以下

      6-2 調査方法一覧

      (1)調査方法

       ア 調査項目の測定方法
       (ア)環境基準

         水質汚濁に係る環境基準項目の特定方法は、以下に示す方法のとおりで、環境省告示または日本工業規格に従うものである。

      1.   a 人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)の測定方法
           「表6-1 人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)」を参照のこと。
      2.   b 生活環境の保全に関する環境基準の測定方法
           「表6-2~4 生活環境の保全に関する環境基準」を参照のこと。
      3.   c ダイオキシン類の測定方法
           「表6-5 ダイオキシン類に係る環境基準」を参照のこと。
       (イ)規制基準
      1.   a 水質汚濁防止法に基づく排水基準項目の測定方法
           水質汚濁防止法における排水基準項目の検定方法は、環境大臣が定める方法に従っており、表6-11に示すとおりである。
      2.   b ダイオキシン類対策特別措置法に基づく排水基準項目の測定方法
        •   ・焼却施設等に係る水質排出基準
             焼却施設等から排出される排出水中のダイオキシン類の測定方法は、ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第2 条に基づき、日本工業規格(JIS) K 0312 によること。
        •   ・最終処分場に係る維持管理基準
             ダイオキシン類に係る最終処分場の維持管理基準に定める水質検査の方法は表6-12に示すとおりである。
      表6-11 排水基準に係る検定方法
      ○排水基準を定める省令の規定に基づく環境大臣が定める排水基準に係る検定方法

      (昭和49 年9 月30 日環告64)
      改正昭50 環庁告4・一部改正、昭52 環庁告37・旧第1・一部改正、昭57 環庁告42・昭60 環庁告28・平元環庁告18・平5 環庁告17・平6 環庁告2・平7 環庁告20・平10 環庁告18・平11 環庁告15・平12 環庁告78・平13 環省告37・一部
       排水基準を定める総理府令(昭和46 年総理府令第35 号)の規定に基づき、環境大臣が定める排水基準に係る検定方法を次のように定め、昭和49 年10 月30 日から施行する。
       排水基準を定める総理府令第3 条の経済企画庁長官が定める方法(昭和46 年経済企画庁告示第21 号)は、同日をもつて廃止する。
       排水基準を定める省令第2 条の環境大臣が定める方法は、有害物質の種類又は項目ごとに次の各号に掲げるとおりとする。

      1. 1 カドミウム及びその化合物 日本工業規格K0102(以下「規格」という。)55 に定める方法(ただし、規格55.1 に定める方法にあつては規格55 の備考1 に定める操作を行うものとする。)
      2. 2 シアン化合物 規格38.1.2 及び38.2 に定める方法又は規格38.1.2 及び38.3 に定める方法
      3. 3 有機燐〈りん〉化合物 付表1 に掲げる方法又はパラチオン、メチルパラチオン若しくはEPN にあつては規格31.1に定める方法(ガスクロマトグラフ法を除く。)、メチルジメトンにあつては付表2 に掲げる方法
      4. 4 鉛及びその化合物 規格54 に定める方法(ただし、規格54.1 に定める方法にあつては規格54 の備考一に定める操作を、規格54.3 に定める方法にあつては規格54 の備考三に定める操作を行うものとする。)
      5. 5 六価クロム化合物 規格65.2.1 に定める方法(着色している試料又は六価クロムを還元する物質を含有する試料で検定が困難なものにあつては、規格65 の備考15 のb)(第一段を除く。)及び規格65.1 に定める方法)
      6. 6 砒〈ひ〉素及びその化合物 規格61 に定める方法
      7. 7 水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物 昭和46 年12 月環境庁告示第59 号(水質汚濁に係る環境基準について)(以下「告示」という。)付表1 に掲げる方法
      8. 8 アルキル水銀化合物 告示付表2 に掲げる方法及び付表3 に掲げる方法
      9. 9 ポリ塩化ビフェニル 日本工業規格K0093 に定める方法又は告示付表3 に掲げる方法
      10. 10 トリクロロエチレン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      11. 11 テトラクロロエチレン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      12. 12 ジクロロメタン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2 又は5.4.1 に定める方法
      13. 13 四塩化炭素 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      14. 14 1.2-ジクロロエタン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2 又は5.4.1 に定める方法
      15. 15 1.1-ジクロロエチレン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2 又は5.4.1 に定める方法
      16. 16 シス-1.2-ジクロロエチレン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2 又は5.4.1 に定める方法
      17. 17 1.1.1-トリクロロエタン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      18. 18 1.1.2-トリクロロエタン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2、5.4.1 又は5.5 に定める方法
      19. 19 1.3-ジクロロプロペン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2 又は5.4.1 に定める方法
      20. 20 チウラム 告示付表4 に掲げる方法(ただし、前処理における試料の量は、溶媒抽出、固相抽出いずれの場合についても100mL とする。)
      21. 21 シマジン 告示付表5 の第1 又は第2 に掲げる方法(ただし、前処理における試料の量は、溶媒抽出、固相抽出いずれの場合についても100mL とする。)
      22. 22 チオベンカルブ 告示付表五の第1 又は第2 に掲げる方法(ただし、前処理における試料の量は、溶媒抽出、固相抽出いずれの場合についても100mL とする。)
      23. 23 ベンゼン 日本工業規格K0125 の5.1、5.2、5.3.2 又は5.4.2 に定める方法
      24. 24 セレン及びその化合物 規格67 に定める方法
      25. 25 ほう素及びその化合物 規格47 に定める方法又は告示付表七に掲げる方法
      26. 26 ふつ素及びその化合物 規格34 に定める方法又は規格34.1(C)(注(6)第三文を除く。)に定める方法及び告示付表六に掲げる方法
      27. 27 アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物 アンモニア又はアンモニウム化合物にあつては規格42.2、42.3 又は42.5 に定める方法により検定されたアンモニウムイオンの濃度に換算係数0.7766 を乗じてアンモニア性窒素の量を検出する方法、亜硝酸化合物にあつては規格43.1 に定める方法により検定された亜硝酸イオンの濃度に換算係数0.3045 を乗じて亜硝酸性窒素の量を検出する方法、硝酸化合物にあつては規格43.2.5 に定める方法により検定された硝酸イオンの濃度に換算係数0.2259 を乗じて硝酸性窒素の量を検出する方法(ただし、亜硝酸化合物及び硝酸化合物にあつては、当該方法に代えて規格43.2.1(C)12)及びC)13)の式中「-C×1.348」を除く。)又は43.2.3(C)7)及びC)8)を除く。)に定める方法により検定された亜硝酸イオン及び硝酸イオンの合計の硝酸イオン相当濃度に換算係数0.2259 を乗じて亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の合計量を検出する方法とすることができる。)
      28. 28 水素イオン濃度 規格12.1 に定める方法
      29. 29 生物化学的酸素要求量 規格21 に定める方法
      30. 30 化学的酸素要求量 規格17 に定める方法
      31. 31 浮遊物質量 告示付表8 に掲げる方法
      32. 32 ノルマルヘキサン抽出物質含有量 付表4 に掲げる方法
      33. 33 フェノール類含有量 規格28.1 に定める方法
      34. 34 銅含有量 規格52.2、52.3、52.4 又は52.5 に定める方法
      35. 35 亜鉛含有量 規格53 に定める方法
      36. 36 溶解性鉄含有量 規格57.2、57.3 又は57.4 に定める方法
      37. 37 溶解性マンガン含有量 規格56.2、56.3、56.4 又は56.5 に定める方法
      38. 38 クロム含有量 規格65.1 に定める方法
      39. 39 大腸菌群数 下水の水質の検定方法に関する省令(昭和37 年厚生省・建設省令第一号)に規定する方法
      40. 40 窒素含有量 規格45.1 又は45.2 に定める方法
      41. 41 燐〈りん〉含有量 規格46.3 に定める方法
      表6-12 最終処分場に係るダイオキシン類の水質検査の方法

       ダイオキシン類対策特別措置法に基づく廃棄物の最終処分場の維持管理の基準を定める省令(平成12 年総理府・厚生省令第2 号)第2 条に規定する環境大臣が定める水質検査の方法は、日本工業規格K0312 に定める方法によることとする。この場合において、2.3.7.8-四塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシンの毒性への換算については、ダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成11 年総理府令第67 号)第3 条の規定の例による。

      1.   a 水道水質基準項目に係る測定方法
           水質基準に関する省令の規定に基づき、厚生労働大臣が定める水質の測定方法は、表6-13に示すとおりである。

      (平成十五年七月二十二日厚生労働省告示第二百六十一号)
       水質基準に関する省令(平成十五年厚生労働省令第百一号)の規定に基づき、水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法を次のように定め、平成十六年四月一日から適用する。ただし、平成十九年三月三十一日までの間は、第九号中「別表第十二」とあるのは「別表第十二又は別表第四十六」と、第四十号中「別表第二十四」とあるのは「別表第二十四又は別表第四十七」と、第四十四号中「別表第二十九」とあるのは「別表第二十九又は別表第四十八」とする。
       水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法
       水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法は、次の各号に掲げる事項に応じ、それぞれ当該各号に掲げるとおりとする。

      1. 一 一般細菌 別表第一に定める方法
      2. 二 大腸菌 別表第二に定める方法
      3. 三 カドミウム及びその化合物 別表第三、別表第四、別表第五又は別表第六に定める方法
      4. 四 水銀及びその化合物 別表第七に定める方法
      5. 五 セレン及びその化合物 別表第三、別表第六、別表第八又は別表第九に定める方法
      6. 六 鉛及びその化合物 別表第三、別表第五又は別表第六に定める方法
      7. 七 ヒ素及びその化合物 別表第三、別表第六、別表第十又は別表第十一に定める方法
      8. 八 六価クロム化合物 別表第三、別表第四、別表第五又は別表第六に定める方法
      9. 九 シアン化物イオン及び塩化シアン 別表第十二に定める方法
      10. 十 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 別表第十三に定める方法
      11. 十一 フッ素及びその化合物 別表第十三に定める方法
      12. 十二 ホウ素及びその化合物 別表第五又は別表第六に定める方法
      13. 十三 四塩化炭素 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      14. 十四 一・四― ジオキサン 別表第十六に定める方法
      15. 十五 一・一― ジクロロエチレン 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      16. 十六 シス― 一・二― ジクロロエチレン 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      17. 十七 ジクロロメタン 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      18. 十八 テトラクロロエチレン 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      19. 十九 トリクロロエチレン 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      20. 二十 ベンゼン 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      21. 二十一 クロロ酢酸 別表第十七に定める方法
      22. 二十二 クロロホルム 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      23. 二十三 ジクロロ酢酸 別表第十七に定める方法
      24. 二十四 ジブロモクロロメタン 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      25. 二十五 臭素酸 別表第十八に定める方法
      26. 二十六 総トリハロメタン クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン及びブロモホルムごとに、それぞれ第二十二号、第二十四号、第二十八号及び第二十九号に掲げる方法
      27. 二十七 トリクロロ酢酸 別表第十七に定める方法
      28. 二十八 ブロモジクロロメタン 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      29. 二十九 ブロモホルム 別表第十四又は別表第十五に定める方法
      30. 三十 ホルムアルデヒド 別表第十九に定める方法
      31. 三十一 亜鉛及びその化合物 別表第三、別表第四、別表第五又は別表第六に定める方法
      32. 三十二 アルミニウム及びその化合物 別表第三、別表第五又は別表第六に定める方法
      33. 三十三 鉄及びその化合物 別表第三、別表第四又は別表第五に定める方法
      34. 三十四 銅及びその化合物 別表第三、別表第四、別表第五又は別表第六に定める方法
      35. 三十五 ナトリウム及びその化合物 別表第三、別表第四、別表第五又は別表第二十に定める方法
      36. 三十六 マンガン及びその化合物 別表第三、別表第四、別表第五又は別表第六に定める方法
      37. 三十七 塩化物イオン 別表第十三又は別表第二十一に定める方法
      38. 三十八 カルシウム、マグネシウム等(硬度) 別表第四、別表第五、別表第二十又は別表第二十二に定める方法
      39. 三十九 蒸発残留物 別表第二十三に定める方法
      40. 四十 陰イオン界面活性剤 別表第二十四に定める方法
      41. 四十一 (四S・四a S・八a R )― オクタヒドロ― 四・八a― ジメチルナフタレン― 四a (二H )― オール(別名ジェオスミン) 別表第二十五、別表第二十六又は別表第二十七に定める方法
      42. 四十二 一・二・七・七― テトラメチルビシクロ[ 二・二・一] ヘプタン― 二― オール(別名二― メチルイソボルネオール) 別表第二十五、別表第二十六又は別表第二十七に定める方法
      43. 四十三 非イオン界面活性剤 別表第二十八に定める方法
      44. 四十四 フェノール類 別表第二十九に定める方法
      45. 四十五 有機物(全有機炭素(T O C )の量) 別表第三十に定める方法
      46. 四十六 p H 値 別表第三十一又は別表第三十二に定める方法
      47. 四十七 味 別表第三十三に定める方法
      48. 四十八 臭気 別表第三十四に定める方法
      49. 四十九 色度 別表第三十五、別表第三十六又は別表第三十七に定める方法
      50. 五十 濁度 別表第三十八、別表第三十九、別表第四十、別表第四十一、別表第四十二、別表第四十三又は別表第四十四に定める方法
      51. 五十一 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 別表第四十五に定める方法

       改正文(平成一七年三月三〇日厚生労働省告示第一二五号) 抄
       平成十七年四月一日から適用する。

      別表第1
       標準寒天培地法

       ここで対象とする項目は、一般細菌である。

       1 培地
        標準寒天培地
        ペプトン(カゼインのパンクレアチン水解物) 5 g 、粉末酵母エキス2 . 5 g、ブドウ糖1 g 及び粉末寒天1 5 gを精製水約9 0 0 m l に加熱溶解させ、滅菌後のp H 値が6 . 9 ~ 7 . 1 となるように調整した後、精製水を加えて1 L とし、高圧蒸気滅菌したもの
       2 器具及び装置
       (1) 採水瓶
        容量1 2 0 m l 以上の密封できる容器を滅菌したもの
        なお、残留塩素を含む試料を採取する場合には、あらかじめチオ硫酸ナトリウムを試料1 0 0 m l につき0 . 0 2 ~ 0 . 0 5 g の割合で採水瓶に入れ、滅菌したものを使用する。
       (2) ペトリ皿
        直径約9 c m 、高さ約1 . 5 c m のものであって、ガラス製又はプラスチック製で滅菌したもの
       (3) 恒温器
        温度を3 5~ 3 7℃ に保持できるもの
       3 試料の採取及び保存
        試料は、採水瓶に採取し速やかに試験する。速やかに試験できない場合は、冷暗所に保存し、1 2 時間以内に試験する。
       4 試験操作
        検水を2 枚以上のペトリ皿に1 m l ずつ採り、これにあらかじめ加熱溶解させて4 5~ 5 0℃ に保った標準寒天培地を約1 5 m l ずつ加えて十分に混合し、培地が固まるまで静置する。次に、ペトリ皿を逆さにして恒温器内で2 2~ 2 6 時間培養する。培養後、各ペトリ皿の集落数を数え、その値を平均して菌数とする。
      別表第2
       特定酵素基質培地法

       ここで対象とする項目は、大腸菌である。

       1 培地
       (1) M M O ― M U G 培地
        硫酸アンモニウム5 g、硫酸マンガン0 . 5 m g、硫酸亜鉛0 . 5 m g、硫酸マグネシウム1 0 0 m g、塩化ナトリウム1 0 g 、塩化カルシウム5 0 m g、ヘペス(N― 2― ヒドロキシエチルピペラジン― N' ― 2― エタンスルホン酸)6 . 9 g、ヘペスナトリウム塩(N― 2― ヒドロキシエチルピペラジン― N' ― 2― エタンスルホン酸ナトリウム) 5 . 3 g、亜硫酸ナトリウム4 0 m g、アムホテリシンB 1 m g 、o― ニトロフェニル― β ― D― ガラクトピラノシド5 0 0 m g、4― メチルウンベリフェリル― β ― D― グルクロニド7 5 m g 及びソラニウム5 0 0 m gを無菌的に混合し、試験容器に1 0 分の1 量ずつ分取したもの
       この培地は、黄色く着色したものは使用しない。
       この培地は、冷暗所に保存する。
       (2) I P T G 添加O N P G ― M U G 培地
        硫酸アンモニウム2 . 5 g 、硫酸マグネシウム1 0 0 m g 、ラウリル硫酸ナトリウム1 0 0 m g 、塩化ナトリウム2 . 9 g 、トリプトース5 g 、トリプトファン1 g、o― ニトロフェニル― β ― D― ガラクトピラノシド1 0 0 m g 、4― メチルウンベリフェリル― β ― D― グルクロニド5 0 m g、イソプロピル― 1― チオ― β ― D― ガラクトピラノシド1 0 0 m g 及びトリメチルアミン― N― オキシド1 g を精製水約8 0 m l に溶かし、p H 値が6 . 1 ~ 6 . 3となるように調整した後、精製水を加えて9 0 m l とし、ろ過除菌した後、試験容器に1 0 m l ずつ分注したもの
       この培地は、冷暗所に保存する。
       (3) X G a l ― M U G 培地
        塩化ナトリウム5 g、リン酸一水素カリウム2 . 7 g 、リン酸二水素カリウム2 g、ラウリル硫酸ナトリウム1 0 0 m g、ソルビトール1 g、トリプトース5 g、トリプトファン1 g、4― メチルウンベリフェリル― β― D― グルクロニド5 0 m g 、5― ブロモ― 4― クロロ― 3― インドリル― β ― D― ガラクトピラノシド8 0 m g及びイソプロピル― 1― チオ― β ― D― ガラクトピラノシド1 0 0 m g を無菌的に混合し、試験容器に1 0 分の1 量ずつ分取したもの
       この培地は、冷暗所に保存する。
       (4) ピルビン酸添加X G a l ― M U G 培地
        塩化ナトリウム5 g、硝酸カリウム1 g、リン酸一水素カリウム4 g、リン酸二水素カリウム1 g、ラウリル硫酸ナトリウム1 0 0 m g 、ピルビン酸ナトリウム1 g、ペプトン5 g、4― メチルウンベリフェリル― β ―D― グルクロニド1 0 0 m g 、5― ブロモ― 4― クロロ― 3― インドリル― β ― D― ガラクトピラノシド1 0 0 m g及びイソプロピル― 1― チオ― β ― D― ガラクトピラノシド1 0 0 m g を無菌的に混合し、試験容器に1 0 分の1 量ずつ分取したもの
       この培地は、冷暗所に保存する。
       2 器具及び装置
       (1) 採水瓶
        別表第1 の2 (1)の例による。
       (2) 試験容器
        検水1 0 0 m l と培地が密封できるもので、滅菌したもの
       (3) M M O― M U G 培地用比色液
        o― ニトロフェノール4 m g、ヘペス(N― 2― ヒドロキシエチルピペラジン― N' ― 2― エタンスルホン酸)6 . 9 g、ヘペスナトリウム塩(N― 2― ヒドロキシエチルピペラジン― N' ― 2― エタンスルホン酸ナトリウム) 5 . 3 g 及び4 ― メチルウンベリフェロン1 m g を混合し、精製水を加えて1 L とし、試験容器に分注したもの
       この溶液は、冷暗所に保存する。
       (4) I P T G 添加O N P G ― M U G 培地用比色液
        o― ニトロフェノール2 . 5 m g 、4 ― メチルウンベリフェロン1 . 2 5 m g 及びトリプトース5 g を精製水約9 0 0 m l で溶かし、p H 値を7 . 0 となるように調整し、精製水を加えて1 L とし、試験容器に分注したもの
       この溶液は、冷暗所に保存する。
       (5) X G a l ― M U G 培地用比色液
        アミドブラック1 0 B 0 . 2 5 m g 、4― メチルウンベリフェロン1 m g 、タートラジン1 . 2 5 m g、ニューコクシン0 . 2 5 m g 及びエチルアルコール1 5 0 m l を混合し、精製水を加えて1 L とし、試験容器に分注したもの
       この溶液は、冷暗所に保存する。
       (6) ピルビン酸添加X G a l ― M U G 培地用比色液
        インジゴカーミン2 m g 、o― ニトロフェノール4 . 8 m g 、4― メチルウンベリフェロン1 m g 、リン酸一水素カリウム4 g 及びリン酸二水素カリウム1 g を混合し、精製水を加えて1 L とし、試験容器に分注したもの
       この溶液は、冷暗所に保存する。
       (7) 恒温器
        別表第1 の2 ( 3 )の例による。
       (8) 紫外線ランプ
        波長3 6 6 n m の紫外線を照射できるもの
       3 試料の採取及び保存
        別表第1 の3 の例による。
       4 試験操作
        検水1 0 0 m l を上記1 のいずれかの培地1 本に加え、直ちに試験容器を密封し、試験容器を振って培地を溶解又は混合させた後、恒温器内に静置して2 4 時間培養する。培養後、紫外線ランプを用いて波長3 6 6 n m の紫外線を照射し、蛍光の有無を確認する。培地に対応する比色液より蛍光が強い場合は陽性と判定し、蛍光が弱い場合は陰性と判定する。
      別表第3
       フレームレス― 原子吸光光度計による一斉分析法

        ここで対象とする項目は、カドミウム、セレン、鉛、ヒ素、六価クロム、亜鉛、アルミニウム、鉄、銅、ナトリウム及びマンガンである。

       1 試薬
      1.  (1) 硝酸( 1 + 1 )
      2.  (2) 硝酸( 1 + 3 0 )
      3.  (3) 硝酸( 1 + 1 6 0 )
      4.  (4) 塩酸( 1 + 1 )
      5.  (5) 塩酸( 1 + 5 0 )
      6.  (6) 水酸化ナトリウム溶液(0 . 4 w / v % )
      7.  (7) 金属類標準原液

        表1 に掲げる方法により調製されたもの
       これらの溶液1 m l は、それぞれの金属を1 m g 含む。
       これらの溶液は、冷暗所に保存する。
      表1 金属類標準原液( 1 m g / m L )の調製方法

      金属類
      調製方法
      カドミウム
      カドミウム1 . 0 0 0 g をビーカーに採り、少量の硝酸(1+ 1 )を加えて加熱溶解し、冷後、メスフラスコに移し、硝酸(1+ 1 6 0 )を加えて1 L としたもの
      セレン
      二酸化セレン1 . 4 0 5 g をメスフラスコに採り、少量の精製水で溶かした後、硝酸( 1+ 16 0 )を加えて1 L としたもの
      鉛1 . 0 0 0 g をビーカーに採り、少量の硝酸(1+ 1 )を加えて加熱溶解し、冷後、メスフラスコに移し、硝酸(1+ 1 6 0 )を加えて1 L としたもの
      ヒ素
      三酸化ヒ素1 . 3 2 0 g をビーカーに採り、少量の水酸化ナトリウム溶液(0 . 4 w / v % )を加えて加熱溶解し、冷後、メスフラスコに移し、塩酸(1+ 5 0 )を加えて1 L としたもの
      六価クロム
      二クロム酸カリウム2 . 8 2 9 g をメスフラスコに採り、少量の精製水で溶かした後、硝酸(1+ 1 6 0 )を加えて1 L としたもの
      亜鉛
      亜鉛1 . 0 0 0 g をビーカーに採り、少量の硝酸(1+ 1 )を加えて加熱溶解し、冷後、メスフラスコに移し、硝酸( 1+ 16 0 )を加えて1 L としたもの
      アルミニウム
      アルミニウム1 . 0 0 0 g をビーカーに採り、少量の塩酸(1+ 1 )を加えて加熱溶解し、冷後、メスフラスコに移し、硝酸(1+ 3 0 )を加えて1 L としたもの
      鉄1 . 0 0 0 g をビーカーに採り、少量の硝酸(1+ 1 )を加えて加熱溶解し、冷後、メスフラスコに移し、硝酸(1+ 1 6 0 )を加えて1 L としたもの
      銅1 . 0 0 0 g をビーカーに採り、少量の硝酸(1+ 1 )を加えて加熱溶解し、冷後、メスフラスコに移し、硝酸(1+ 1 6 0 )を加えて1 L としたもの
      ナトリウム
      塩化ナトリウム2 . 5 4 2 g を精製水に溶かして1 L としたもの
      マンガン
      マンガン1 . 0 0 0 g をビーカーに採り、少量の硝酸(1+ 1 )を加えて加熱溶解し、冷後、メスフラスコに移し、硝酸(1+ 1 6 0 )を加えて1 L としたもの
       (6) 金属類標準液
        表2 に掲げる方法により調製されたもの
        これらの溶液は、使用の都度調製する。
      表2 金属類標準液の濃度及び調製方法
      金属類
      濃度(mg/mL)
      調製方法
      カドミウム
      0 . 0 0 0 1
      カドミウム標準原液を精製水で1 0 0 0 0 倍に薄めたもの
      セレン
      0 . 0 0 1
      セレン標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
      0 . 0 0 1
      鉛標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
      ヒ素
      0 . 0 0 1
      ヒ素標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
      六価クロム
      0 . 0 0 1
      六価クロム標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
      亜鉛
      0 . 0 0 1
      亜鉛標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
      アルミニウム
      0 . 0 0 1
      アルミニウム標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
      0 . 0 1
      鉄標準原液を精製水で1 0 0 倍に薄めたもの
      0 . 0 0 1
      銅標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
      ナトリウム
      0 . 0 0 1
      ナトリウム標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
      マンガン
      0 . 0 0 1
      マンガン標準原液を精製水で1 0 0 0 倍に薄めたもの
       2 器具及び装置
      1.  (1) フレームレス― 原子吸光光度計及び中空陰極ランプ
      2.  (2) アルゴンガス
           純度9 9 . 9 9 v / v% 以上のもの
       3 試料の採取及び保存
        試料は、硝酸及び精製水で洗浄したポリエチレン瓶に採取し、試料1 L につき硝酸1 0 m L を加えて、速やかに試験する。速やかに試験できない場合は、冷暗所に保存し、1 か月以内に試験する。
       4 試験操作
      1.  (1) 前処理
          検水1 0 ~ 1 0 0 m l (検水に含まれるそれぞれの対象物質の濃度が表3 に示す濃度範囲の上限値を超える場合には、同表に示す濃度範囲になるように精製水を加えて調製したもの)を採り、試料採取のときに加えた量を含めて硝酸の量が1 m l となるように硝酸を加え、静かに加熱する。液量が1 0 m l以下になったら加熱をやめ、冷後、精製水を加えて1 0 m l とし、これを試験溶液とする。
          ただし、濁りがある場合はろ過し、ろ液を試験溶液とする。
      2.  (2) 分析
          上記(1)で得られた試験溶液をフレームレス― 原子吸光光度計に注入し、表3 に示すそれぞれの金属の測定波長で吸光度を測定し、下記5 により作成した検量線から試験溶液中のそれぞれの金属の濃度を求め、検水中のそれぞれの金属の濃度を算定する。

      表3 対象金属の濃度範囲及び測定波長

      金属類
      濃度範囲(mg/L)
      波長(nm)
      カドミウム
      0 . 0 0 0 1~ 0 . 0 1
      2 2 8 . 8
      セレン
      0 . 0 0 1~ 0 . 1
      1 9 6 . 0
      0 . 0 0 1 ~ 0 . 1
      2 8 3 . 3
      ヒ素
      0 . 0 0 1 ~ 0 . 1
      1 9 3 . 7
      六価クロム
      0 . 0 0 1~ 0 . 1
      3 5 7 . 9
      亜鉛
      0 . 0 0 1 ~ 0 . 1
      2 1 3 . 8
      アルミニウム
      0 . 0 0 1~ 0 . 1
      3 0 9 . 3
      0 . 0 1 ~ 1
      2 4 8 . 3
      0 . 0 0 1 ~ 0 . 1
      3 2 4 . 7
      ナトリウム
      0 . 0 0 2~ 0 . 2
      5 8 9 . 0
      マンガン
      0 . 0 0 1~ 0 . 1
      2 7 9 . 5
       5 検量線の作成
        金属類標準液を段階的にメスフラスコに採り、それぞれに硝酸1 m l 及び精製水を加えて1 0 m l とする。以下上記4 (2)と同様に操作して、それぞれの金属の濃度と吸光度との関係を求める。
        (以下省略)
       イ 水象の測定方法
       (ア)河川流量

         河川流量の測定方法は、「流速計測法」、「浮子測法」、「堰測法」などがあり、それぞれ河川形態等により用途分けがなされている。

       (イ)流達時間

         流達時間は、水路に排出された負荷量(排出負荷量)が水路、支川等を経て解析の対象とする水域(河川等)に達するまでのの距離を平均流速で除して求める。

       (ウ)流達率

         流達率は、解析の対象とする水域に流入する負荷量(流入負荷量)を当該流域の排出負荷量で除して求める。

       (エ)自浄係数

         河川の自浄作用の調査は、河川水が流下する間にBOD 等がどのように変化するかその程度を把握するものであり、調査区間の上流地点の水質と下流地点の水質とを比較して求める。調査区間の流量に変化がない場合、すなわち、横流入がない場合には、次の式により求めることができる。

          図:自浄係数

          ここに、
             K  :自浄係数(1/日)
             t  :上流地点から下流地点への流下時間(日)
             C0 :上流地点の水質(mg/L)
             C  :t 時間後の下流地点の水質(mg/L)
          ただし、
           K=(K1+K3) と表し
           K1は生物分解による脱酸素係数(1/日)
           K3は吸着、沈殿による減少係数(1/日)

       (オ)降水量

         降水量は、施設(埋立地)計画地近傍の気象庁の気象台や地域気象観測システム(アメダス)の降水量データを収集し活用できる(ホームページは、http://www.data.kishou.go.jp/)。

       (カ)海域の流向・流速

         海域の流向・流速の測定には、流速計による方法、漂流かんによる方法等があり、空間的な流れの状況を知るには漂流かんによる方法、時間的な変化を継続して観測する場合には流速計による方法が適している。

      6-3 既存文献、資料

          水質に関する既存文献、資料の例は、表6-14に示すとおりである。

      表6-14 水質に関する既存文献、資料の例

      項目
      既存文献、資料の例
      水質
      • ・現況水質の状況
        「公共用水域水質測定結果」、「日本河川水質年鑑」等
      • ・現況水象の状況
        「河川台帳」、「河川現況調査」、「流量年報」、「潮位表」等
      • ・公害、苦情の状況
        「苦情統計」、「公害苦情届出台帳」等
      • ・水域利用の状況
        「各種海図」、「区市町村総合計画」等
      • ・法令による規制基準の状況
        「環境基本法」、「水質汚濁防止法」、「土壌汚染対策法」、「都道府県公害防止条例」等に基づく規制等の状況

      6-4 予測式

          予測は、排出負荷量、排水量、水域の特性等を考慮して適切な予測モデルを用いる方法、類似事例の引用又は解析等により行う。

       (1)定量的手法

        ア 河川
        (ア)概略予測

          非感潮河川及び感潮河川において概略予測をする場合に用いられる予測式並びに予測モデルは、以下に示すとおりである。

      1.    a 完全混合式(非感潮河川)
            浄化作用、沈降等が無視でき、拡散も無視できる場合に適用される。

            図:完全混合式

                  C : 完全混合したと仮定した時の濃度
                  C1 : 現状河川の水質汚濁物質濃度
                  C2: 排水中の水質汚濁物質濃度
                  Q1: 河川流量
                  Q2: 排水量

      2.    b ストリーター・フェルプス式(主に非感潮河川)
            この方法は、流れを等速定流とした場合の拡散方程式の解析解で、主に非感潮河川に適用される。

            図:ストリーター・フェルプス式

             ここに、
                  LBCB: 下流側地点B の最終BOD(mg/L)
                  CA: 上流側地点Aの最終BOD(mg/L)
                  kr: 河川水中でのBOD 減少係数(L/日)
                    kr=k1+k2
                  k1:溶存酸素の消費をともなう減少速度
                  k2:沈殿など溶存酸素を消費しない形での減少速度
                  t:区間AB の間の流下時間(日)
                  m:区間AB の間の河床あるいは河岸から均一に附加されるBOD
                    (最終BOD 表示、mg/L 日)

      3.    c 南部の式(非感潮河川)
            この方法は、河川の片側から汚水が流入する場合に用いられる。

        •    ・濃度分布

              図:南部の式(濃度分布)
        •    ・汚濁水域の幅

              図:南部の式(汚濁水域の幅)

                 C : 汚水流入先河川の任意地点における濃度
                 V : 河川平均流速(m/s)
                 Dy : 横断方向の拡散係数(m3/s)
                 B : 河川幅(m)
                 bT : 汚水流入点(x=0)における汚濁水域の幅(m)
                 b : 汚濁水域幅(m)
                 Cm : 汚水流入前の河水中汚濁物質濃度
                 CS : 汚水流入点(x=0、y=0)における濃度
                 K : 汚濁物質の自己減衰係数(L/g)

      4.    d ケッチャムの方法(感潮河川)
            河川又は湾内に放流され、海水と混合し希釈された排水又は淡水の一部が干潮時にも流出しないで残留すると考えられる場合に用いられる。

           Qn = R / xn
            ただし、Xn = Pn / ( Pn + Vn )
             ここに、
               R : 1 潮時の間に1 区間に流入する河水の量(固有流量)
               Qn : n番目の区間に残存する排水量
               Pn: n番目の区間の満潮、干潮時の体積の差(タイダルプリズム)
               Vn: 干潮時の体積
      5.    e プレディの方法(感潮河川)
            この方法は、感潮河川に混合係数を用いたものである。
            手順1: 1 潮時河川固有流による移動距離を計算し、それに基づく移動後の濃度を測定する。
            手順2: 移動後の新しい濃度に基づいて、混合後の濃度分布を次式により計算する。

          図:プレディの方法

          ここに、
             図:プレディの方法(混合後の濃度):混合後の濃度
             C : 移動後の濃度
             L : 1 潮時移動距離
             A : 半潮時のときの断面積
             X, Y : X=AP1、Y=AP2(P1、P2は混合係数)

    7.    f 水域分割混合モデル(感潮河川・海域)
          各区画における完全混合を前提とした海水移送による拡散を求める場合に用いられるモデルで、1次元又は幅狭い閉鎖性海湾に適用される。

        Ci-1・Fi-1+Ci+1・Ei+Qi-Ci(Fi+Ei-1)
             F : 上げ潮時の流入値(m3
             E : 下げ潮時の流入値(m3
             C : 区間中の平均濃度(ppm)
             Q : 区間中に負荷される負荷量(kg/L 潮時)
             添字i はボックスのナンバーを意味する。
      (イ)詳細予測

        河川において詳細予測は行わない。

     イ 湖沼・海域
     (ア)概略予測

       湖沼・海域において概略予測をする場合に用いられる予測式並びに予測モデルは、以下に示すとおりである。

    1.   a ジョセフ・センドナー式(海域)
         この方法は、水平面内で乱れが均等であるとした時、点源での一時的負荷に適用される。また、沿岸流、潮流の影響を受け、流況が著しく変化する海域では不整合性が大きくなり、適用はできない。

         図:ジョセフ・センドナー式(海域)

              S : 任意の位置における濃度(g/m3=ppm)
              M : 一時的発生量(g)
              r : 中心からの距離(cm)
              t : 発生後の経過時間(s)
              H : 水深(cm)
              P : 拡散速度(ジョセル・センドナーcm/s)

    2.   b 岩井・井上の式(河川・海域)
         この方法は、一様流速の一方向流れ場における二次元的拡散方程式を基礎式とし、排水が連続的に放流される場合の濃度低下を求める場合に用いられる。

         図:岩井・井上の式(河川・海域)

             q : 物質投入量(g/s)
             Kx、Ky: x、y 方向の拡散係数(m2/s)
             h : 排水層厚(m)
             u : x 方向の流速(m/s)

             図:岩井・井上の式(河川・海域)2

    3.   c 大久保・ブリチャード式(海域)
         この方法は、定常状態で一定の平均流であるとした場合、点源での連続的負荷に適用される。
         0<x<uT

         図:大久保・ブリチャード式(海域)

             S : 任意の位置における濃度(g/m3=ppm)
             q : 単位時間の発生量(g/s)
             u : 流速(cm/s)
             t : 発生後の経過時間(s)
             H : 水深(cm)
             x, y : 予測地点x・・・流れの方向
                     y・・・xと直交
             ω : 拡散速度(大久保・ブリチャード(cm/s))

    4.   d 岩井の解(海域)
         この方法は、粒子の沈降、再浮遊が無視できる場合に用いられる。

         図:岩井の解(海域)

             S : 任意の位置における濃度(g/m3=ppm)
             q : 単位時間の発生量(g/s)
             u : 流速(cm/s)
             r : 中心からの距離(cm)
             t : 発生後の経過時間(s)
             H : 水深(cm)
             IK0[x] : 0 次の第2 種変形ペッセル関数
             K : 拡散係数(cm3/s)
             x, y : 予測地点x・・・流れの方向
                     y・・・x と直交方向

    5.   e 熊谷・西村の実験式(海域)
         この方法は、成層しにくい排水には適用できない。

         図:熊谷・西村の実験式(海域)

             A : 拡散面積(km2
             Q : 排水流量(m3/s)
             N : 排水の希釈倍率

    6.   f 新田の実験式(海域)
         この方法は、淡水系排水に適用される。また、海域の流れによる移動効果は別途加味する必要があり、実験流量範囲は0.05~1.9m3/s で、拡がり最外縁部の希釈倍率は約60 が望ましい。

        logA=1.226logQ+0.0855
             A : 拡散面積(m2
             Q : 排水量(m3/日)

    7.   g 平野の方法(海域)
         この方法では、乱流拡散、放熱効果を無視しているため、予測値が大きめにでる可能性がある。

         図:平野の方法(海域)

             α : 任意の設定希釈倍率
             γα : 希釈倍率αの点の排水口からの距離(m)
            ⊿ρ0: 排水口出口の密度差(kg s2/m4
             ρn: 周囲海水の排水密度(kg s2/m4
             Q : 排水口での排水流量(m3/s)
             h : 排水層厚(m)

    8.   h 押し出し流(ピストン流)モデル(湖沼)
         流入水が湖水と混合せずに、流出端に向けて押し出し流れ状に移動すると仮定して湖内水質を予測するモデルである。

         図:押し出し流(ピストン流)モデル(湖沼)

           r : 水質の内部変化項
           C : 濃度
           u : x 方向の断面平均流速

    9.   i 完全混合モデル(湖沼)
         流入水が湖水と完全混合した後、流出すると仮定して、湖内水質を予測するモデルである。

         図:完全混合モデル(湖沼)

             V : 池の容量
             Q : 流入水量
             C : 濃度
             Cin: 流入水濃度
             R : 水質変化項

    10.   j ヴォーレンバイダーの式(湖沼)
         湖沼の面積当たりのリン負荷量と平均水深、滞留時間から、経験的に富栄養化の有無を推定するモデルである。貧栄養と中栄養の境界はC=0.01g/m3、中栄養と富栄養の境界はC=0.03g/m3とされる。

         図:ヴォーレンバイダーの式(湖沼)

             LP: 単位面積当たりリン負荷量(gT-P/m2・year)
             C : 湖沼内リン濃度(g/m3)
             W0: リンの沈降除去速度(10m/year 程度)
             H0:水深
             t : 平均滞留時間

      (イ)詳細予測

        詳細予測を行うには、数値シミュレーションモデルを用いて予測する方法と、模型実験を行って予測する方法がある。
        数値シミュレーションによる予測は、運動方程式、連続方程式等の非線型連続微分方程式を用いて流体の流れを解く流況モデルと、その流れを用いて水質の拡散、移流、内部生産等を解く水質モデルとから構成されている。

    1.    a 数値シミュレーションモデルによる予測

      1.    (a)流況モデル
             流況モデルの分類は、図6-1に示すとおりであり、各モデルの特徴、適用範囲等は表6-15に示すとおりである。

       図:図6-1 流況モデルの分類

    図6-1 流況モデルの分類

    表6-15 流況モデルの分類と特徴

    流況モデル
    適用
    特徴
    ボックスモデル
    陸域の湖沼、ダム、海域等
    水平方向、水深方向について、現象が一様であるとみなす。
    計算コストは小さい。
    二次元一層モデル
    外洋、内湾における潮汐流
    水深方向については現象が一様であるとみなす。
    潮汐残差流の再現可能。
    計算コストは小さい。
    レイヤーモデル
    潮汐流・吹送流・密度流
    温度躍層形成時の流れが再現できる。
    鉛直流速は計算できない。計算コストは大きい。
    レベルモデル
    潮汐流・吹送流・密度流・内湾の循環流
    鉛直流の計算も行なう。現実に近い流れの再現可能。
    入力パラメータが多く、計算コストは大きい。
    鉛直二次元モデル
    密度流
    鉛直方向の現象に着目。水平方向は一様であると仮定する。温排水や濁質密度流などの計算に用いられる。
    三次元モデル
    密度流
    平面、水深両方向の分布を解析できる。
    計算コストは大きい。
    1.    (b)水質モデル
           水質モデルは、流況モデルの流れを用いて、水質汚濁物質の拡散、移流、内部生産等の物質収支を計算するモデルであり、モデルの分類方法は、空間的な取り扱いによる分類、非定常モデルと定常モデル、物質収支からみた分類の3つの観点から分けることができる。

      1.    ① 空間的な取り扱いによる分類
             この分類方法の流れは、図6-2に示すとおりである。これらのうち最も計算例が多いのは、二次元一層モデルであるが、夏期の成層時における拡散や富栄養化など有光層・無光層を考慮した内部生産、分解を扱う場合には、二次元二層モデルが必要となる。また、吹送流などの鉛直循環流を考慮して水質予測を行う場合にはレベルモデルを用いる。

             図:図6-2 空間的な取り扱いによる分類方法の流れ

        図6-2 空間的な取り扱いによる分類方法の流れ

      2.    ② 非定常モデルと定常モデル
             非定常モデルは、汚濁物質の移流、拡散過程の時間を追って計算するモデルであり、特定の汚染源からの拡散速度や濃度分布を求める際に、有効な方法で、その分類方法の流れは、図6-3に示すとおりである。
             一方、現実の海域では、流況の季節変化、日変化や流入負荷量の変化などにより、水質は常時変化しているが、モデル上では一定の流入負荷量、境界からの流入・流出量、内部での生産・分解が平衡している状態、すなわち、定常的な濃度分布を想定することが可能である。定常モデルは、このような時間的に安定した濃度分布を求めるモデルである。一般に流れ場として、潮汐流の平均流からの変動分による分散効果を考慮した値を用いなければならない。

             図:図6-3 非定常モデルと定常モデルによる分類方法の流れ

        図6-3 非定常モデルと定常モデルによる分類方法の流れ

      3.    ③ 物質収支からみた分類
             水質汚濁物質の物質収支からみると、保存系モデルと非保存系モデルとに大別され、その分類方法の流れは、図6-4に示すとおりである。保存系モデルは、水質汚濁物質の分解・沈降・生産がない場合や、それがほとんど無視できる場合に用いられる。一方、水質汚濁物質の分解・沈降・生産を考慮する場合には、非保存系を用いる。SSで沈降を考慮する場合、CODで自浄作用を考慮する場合、富栄養化で、生産、分解、溶出等を考慮する場合等はすべて非保存系モデルを用いなければならない。しかし、これらの現象の定式化や、それに係る種々の係数については推定が難しい。

             図:図6-4 物質収支からみた分類方法の流れ

        図6-4 物質収支からみた分類方法の流れ
             ここで、非保存系モデルに属する富栄養化モデルについては、これまで様々な式が提案され用いられているが、その中の2つのモデルについてみる。
             富栄養化モデル1は、富栄養化の制限因子(多くの場合はリンであり、無機態リンと有機態リンを考える)とCOD、DOの4項目間の物質の収支を計算するが、富栄養化モデル2は、有機態窒素、無機態窒素、有機態リン、無機態リン、COD及びDOの6項目の物質収支を計算するモデルである。その他に、植物プランクトン(クロロフィルa として)、動物プランクトンをモデルに組み込むことが可能であるが、出てきた結果の評価の難しさに加え、パラメータが多くなることや計算時間がかかることなどから、あまり用いられていないのが現状である。

    2.    (c)流況モデルと水質モデルの組み合わせ
           ここでは、よく用いられている流況モデルと水質モデルの組み合わせ例を表6-16に示す。

    表6-16 流況モデルと水質モデルの主な組み合わせ例

    モデル
    流況モデル
    水質モデル
    備考
    予測
    空間的な取り扱いによる分布
    非定常モデルと定常モデル
    物質収支による分類
    CODの予測(富栄養化を除く)
    水平二次元一層モデル
    水平二次元二層モデル
    又はボックスモデル
    同左
    定常モデル
    保存系モデル
    自浄作用・内部生産等を考慮しない
    水平二次元一層モデル
    水平二次元二層モデル
    又はボックスモデル
    同左
    定常モデル
    非保存系モデル(自浄作用のみ)
    自浄作用は考慮する。
    内部生産は考慮しない。
    SSの予測
    水平二次元一層モデル
    同左
    定常モデル
    非保存系モデル(沈降のみ)
    負荷の発生が定常。
    水平二次元一層モデル
    同左
    非定常モデル
    非保存系モデル(沈降のみ)
    負荷の発生が一時的。
    水平二次元二層モデル(レイヤー、レベルモデル)
    同左
    定常モデル
    非保存系モデル(沈降のみ)
    負荷の発生が定常で表層あるいは底層に限られる場合
    水平二次元二層モデル(レイヤー、レベルモデル)
    同左
    非定常モデル
    非保存系モデル(沈降のみ)
    負荷の発生が一般的で表層あるいは底層に限られる場合
    富栄養化の予測(COD、N、P、DO)
    水平二次元一層モデル又はボックスモデル
    同左
    定常モデル
    非保存系モデル(富栄養化モデルⅠ、Ⅱ)
    富栄養化を扱う場合は、表層と底層とでは現象が異なるため、二層モデルで行うことが望ましい。
    水平二次元二層モデル(レイヤー、レベルモデル)
    同左
    定常モデル
    非保存系モデル(富栄養化モデルⅠ、Ⅱ)
       b 水理模型実験による予測

        実際の地形模型を作成し、これを水槽内に設置して実験的に水質汚濁現象を予測しようとする手法が水理模型実験である。
        模型実験は、

    1.      ①複雑な地形も再現でき、現象を視覚的にとらえることが出来る。
    2.      ②現象を3次元的に解析できる。
    3.      ③流れと拡散を同時に解析できる。

        など数値モデルに対して数々の利点があり、数式モデルでは取り扱いにくい密度流(特に温排水)や、局所的な3次元解析等、特殊な問題に対して適用されている。
        水理模型実験の基本的な実験手順は、図6-5に示すとおりである。

         図:図6-5 水理模型実験の手順

    図6-5 水理模型実験の手順

     (2)定性的手法

    1.    ア 類似事例による予測
           事業の内容、規模及び周辺の状況等が類似した過去の類似事例を参考に、対象事業による影響を定性的に予測しようとするものであり、pH、有害物質、重金属等の予測手法が確立されていない項目によく用いられる。もちろん諸条件が全く同一である類似事例は存在しないことから、引用しようとする類似事例の内容を十分検討し、本事業に適用できるかどうかを吟味しなければならない。
    2.    イ 排出負荷量による予測
           有害物質、重金属等の水域への影響予測手法がまだ確立していない項目あるいは、BOD、COD 等予測手法がある程度確立している項目にあっても排出負荷量又は排出濃度から明らかに対象水域への影響が軽微である場合には、対象水域への定量的な予測を行わず、排出負荷量又は排出濃度の算出をもって予測に替えることが出来る。

    7.地下水関連

    7-1 基準値

     地下水の水質汚濁に係る環境基準(平成9年環境庁告示第10 号)は、環境基本法第16 条第1項による地下水の水質汚濁に係る環境上の条件につき、人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準として定めたもので、表7-1に示すものである。

    表7-1 地下水の水質汚濁に係る環境基準

    項目
    基準値
    測定方法
    カドミウム
    0.01mg/L 以下
    日本工業規格(以下「規格」という。)K0102 の55 に定める方法
    全シアン
    検出されないこと。
    規格K0102 の38.1.2 及び38.2 に定める方法又は規格K0102 の38.1.2 及び38.3 に定める方法
    0.01mg/L 以下
    規格K0102 の54 に定める方法
    六価クロム
    0.05mg/L 以下
    規格K0102 の65.2 に定める方法
    砒素
    0.01mg/L 以下
    規格K0102 の61.2 又は61.3 に定める方法
    総水銀
    0.0005mg/L 以下
    昭和46 年12 月環境省告示第59 号(水質汚濁に係る環境基準について)(以下「公共用水域告示」という。)付表1に掲げる方法
    アルキル水銀
    検出されないこと。
    公共用水域告示付表2 に掲げる方法
    PCB
    検出されないこと。
    公共用水域告示付表3 に掲げる方法
    ジクロロメタン
    0.02mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.2 に定める方法
    四塩化炭素
    0.002mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
    1,2―ジクロロエタン
    0.004mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1 又は5.3.2 に定める方法
    1,1―ジクロロエチレン
    0.02mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.2 に定める方法
    シス―1,2―ジクロロエチレン
    0.04mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.2 に定める方法
    1,1,1―トリクロロエタン
    1mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
    1,1,2―トリクロロエタン
    0.006mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
    トリクロロエチレン
    0.03mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
    テトラクロロエチレン
    0.01mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2、5.3.1、5.4.1 又は5.5 に定める方法
    1,3―ジクロロプロペン
    0.002mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.1 に定める方法
    チウラム
    0.006mg/L 以下
    公共用水域告示付表4 に掲げる方法
    シマジン
    0.003mg/L 以下
    公共用水域告示付表5 の第1 又は第2 に掲げる方法
    チオベンカルブ
    0.02mg/L 以下
    公共用水域告示付表5 の第1 又は第2 に掲げる方法
    ベンゼン
    0.01mg/L 以下
    規格K0125 の5.1、5.2 又は5.3.2 に定める方法
    セレン
    0.01mg/L 以下
    規格K0102 の67.2 又は67.3 に定める方法
    硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
    10mg/L 以下
    硝酸性窒素にあつては規格K0102 の43.2.1、43.2.3 又は43.2.5 に定める方法、亜硝酸性窒素にあつては規格K0102の43.1 に定める方法
    ふつ素
    0.8mg/L 以下
    規格K0102 の34.1 に定める方法又は公共用水域告示付表6に掲げる方法
    ほう素
    1mg/L 以下
    規K0102 の格47.1 若しくは47.3 に定める方法又は公共用水域告示付表7に掲げる方法
    備考
    1.  1 基準値は年間平均値とする。ただし、全シアンに係る基準値については、最高値とする。
    2.  2 「検出されないこと」とは、測定方法の欄に掲げる方法により測定した場合において、その結果が当該方法の定量限界を下回ることをいう。
    3.  3 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の濃度は、規格43.2.1、43.2.3 又は43.2.5 により測定された硝酸イオンの濃度に換算係数0.2259 を乗じたものと規格43.1 により測定された亜硝酸イオンの濃度に換算係数0.3045 を乗じたものの和とする。

     また、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令(昭和52 年総理府令・厚生省令第1号)において、地下水等検査項目として毎年1回以上測定しなければならない項目が同省令別表第2に示されている。その別表第2を表7-2に示す。

    表7-2 地下水等検査項目
    (一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令別表第2)

    アルキル水銀
    検出されないこと。
    総水銀
    0.0005mg/L 以下
    カドミウム
    0.01mg/L 以下
    0.01mg/L 以下
    六価クロム
    0.05mg/L 以下
    砒素
    0.01mg/L 以下
    全シアン
    検出されないこと。
    PCB
    検出されないこと。
    トリクロロエチレン
    0.03mg/L 以下
    テトラクロロエチレン
    0.01mg/L 以下
    ジクロロメタン
    0.02mg/L 以下
    四塩化炭素
    0.002mg/L 以下
    1,2―ジクロロエタン
    0.004mg/L 以下
    1,1―ジクロロエチレン
    0.02mg/L 以下
    シス―1,2―ジクロロエチレン
    0.04mg/L 以下
    1,1,1―トリクロロエタン
    1mg/L 以下
    1,1,2―トリクロロエタン
    0.006mg/L 以下
    1,3―ジクロロプロペン
    0.002mg/L 以下
    チウラム
    0.006mg/L 以下
    シマジン
    0.003mg/L 以下
    チオベンカルブ
    0.02mg/L 以下
    ベンゼン
    0.01mg/L 以下
    セレン
    0.01mg/L 以下
    備考
     「検出されないこと。」とは、第3条の規定に基づき環境大臣が定める方法により検査した場合において、その結果が当該検査方法の定量限界を下回ることをいう。

    7-2 調査方法一覧

     (1)地下水位の測定期間と測定頻度

       測定期間は、地下水位の低水位期と高水位期の地下水位を把握できるよう、適切な期間及び頻度とする。一般的に、測定期間は季節変化を考慮して1年間とする場合が多いが、少なくとも、豊水期と渇水期の地下水位を把握するように計画する。観測頻度は、地下水位の降水等による変動を把握できる頻度とする。降雨状況等による大きな地下水位変動が予想される場合には、連続的に水位測定できる自記式水位計による連続測定が望ましい。一方、谷あいの低地など地下水位変動が小さいと予想される場合には、1週間に1回、あるいは1月に1回などの測定が可能な場合もある。

     (2)地下水の流れの調査

       廃棄物処分場の建設では、地下深部まで掘削することは稀であると考えられることから、地下水の流れは、不圧地下水の概略の流向を把握する。一般に、不圧地下水が形成する自由地下水位は、概ね地形面と類似した形態で分布している場合が多い。不圧地下水は、地形の高いほうから低いほうへ流れており、その流れは地形の最大傾斜方向と概ね一致すると考えることができる。
       計画地が、谷あいに計画されている場合には、不圧地下水はほぼ地形なりに谷筋に沿って流動していると考えても大きな間違えはない。一方、計画地が平野や幅の広い谷などに計画されている場合には、不圧地下水の流は微地形や地質構造に影響を受けている可能性がある。
       そこで、維持管理基準に従う地下水モニタリングのために設置する地下水位観測井戸を、生活環境影響調査時に設置するとともに、堤体部等における地盤調査の地質ボーリング孔を活用することによって、複数の地点(2 ヵ所以上の地点)で地下水位観測を実施することができる。その場合、図7-1のように、3地点以上の地下水観測井戸の地下水位を一斉に(困難な場合には、同時期に)観測することによって地下水位等高線を作成し、地下水位等高線の最大傾斜方向を地下水の流向と考える手法を用いる。
       なお、複数の地下水位観測井戸の設置が困難である場合には、ボーリング孔内で地下水の流向を測定を行う手法を用いることができる。測定方法は、「地下水調査および観測指針(案)」((財)国土開発技術研究センター編集、1993)などを参照できる。

              図:図7-1 地下水位観測井戸による地下水の流向測定方法の例

    図7-1 地下水位観測井戸による地下水の流向測定方法の例

     (3)地下水質の測定

       地下水の水質測定を行うための地下水の採水や測定は、「地下水調査および観測指針(案)」(財)国土開発技術研究センター編集、1993」等を参照して行う。
       地下水質は、室内で試験を行う場合、井戸の地下水及び湧水の採水時には採水時刻、地下水位(井戸で採水する場合)、水温、pH、電気伝導率などを測定する。また、現地踏査時に地表水や湧水の状況を把握するために、携帯式の電気伝導率計やpH 計を用いて測定を行うことも有効である。
       塩化物イオン濃度の測定方法は、日本工業規格K0101 の32 に定める方法により、表7-2に示す地下水等検査項目の測定方法は、表7-1に示す測定方法を参照のこととする。

    7-3 既存文献、資料

       地下水に関する既存文献、資料の例は、表7-3に示すとおりである。

    表7-3 地下水に関する既存文献、資料の例

    項目
    既存文献、資料の例
    地下水
    • ・地形・地質の状況
      「1/5 万~1/2.5 万地形図、1/2.5 千~1/1 万地形図」、「1/5 万土地分類図」、「1/5 万~1/20 万地質図」、「1/20 万土木地質図」、「各種地盤図」、「各種ボーリング柱状図集」等
    • ・地下水の状況
      「1/5 万利水現況図」、「全国深井戸台帳」、「地下水位観測台帳」、「各種地下水位観測報告書」等

    7-4 予測方法

     (1)解析式等

       (埋立地)計画地の地形地質や地下水の状況が比較的単純な特徴を輸している場合や、下流側に利水施設が存在しない場合などでは、手計算レベルでの予測により十分な影響分析を行うことが可能である。
       手計算レベルの影響予測方法(式)には、以下のような例がある。この手法についても、例えば、「根切り工事と地下水、(社)土質工学会、1991」や「地下水工学、河野伊一郎、1989」などに詳しい。ここでは、代表的な考え方の例を引用する。

      ア 影響圏

       地下水の揚水や地下構造物の建設による地下水位変化の影響範囲の目安として、影響圏半径が参照される場合が多い。影響圏半径は、揚水などにより地下水位を低下させた影響が及ばない半径であり、帯水層の透水性、貯留性、降雨による涵養特性など様々な因子の影響受けるものであるが、帯水層(地層)を形成する土粒子の大きさから井戸での揚水時にける影響圏半径が表7-4のように提案されている。また、地層の透水係数や水位低下量から影響圏半径を推定する実験式も表7-5のように提案されている。

    表7-4 揚水井戸の影響範囲
    (資料:根切り工事と地下水、(社)土質工学会、1991)

    土質
    影響半径R(m)
    区分
    粒径(mm)
    粗礫
    >10
    >1500
    2~10
    500~1500
    粗砂
    1~2
    400~500
    粗砂
    0.5~1
    200~400
    粗砂
    0.25~0.5
    100~200
    細砂
    0.10~0.25
    50~100
    細砂
    0.05~0.10
    10~50
    シルト
    0.025~0.05
    5~10
    表7-5 影響圏半径を求める実験式
    (資料:根切り工事と地下水、(社)土質工学会、1991)

     
    条件
    影響圏半径の式
    提唱者
    定常浸透
     
    図:定常浸透(影響圏半径の式)提唱者:Kusakin(クサキン)
    Kusakin(クサキン)
    図:定常浸透(影響圏半径の式)提唱者:Seichardt(ジハルト)
    Seichardt(ジハルト)
    非定常浸透
    被圧帯水層
    図:非定常浸透(被圧帯水層:影響圏半径の式)
     
    不圧帯水層
    図:非定常浸透(不圧帯水層:影響圏半径の式)
     

    ここで、R は影響圏半径(m)、s は水位低下量(m)、D は帯水層厚(m)、H は不圧帯水層厚(m)、k は透水係数(m/s)、T は透水量係数(m2/s)、S は貯留係数、t は揚水時間(s)、また、Sy は有効間隙率である。

      イ 解析式
      (ア)揚水による水位変化

         揚水等による地下水位低下については、地下水の流れが平面的に見たときに平行となっていると考えられる場合について、地下水が流れる単位断面方向に着目して表7-6、図7-2に示す解析式が示されている。この式は、地下水位が低下する場所で水位がho となったときの、地下水の単位幅あたりの湧出量(掘削域での湧出や井戸の揚水などが想定できる)qと、ho に対してx 離れた地点における地下水位低下量を計算する式である。

    表7-6 断面二次元の浸透流解析式
    (資料:根切り工事と地下水、(社)土質工学会、1991)

    条件
    単位奥行き当たり、片側からの揚水流量
    周辺の地下水位低下量
    備考
    定常浸透
    被圧帯水層
    図:定常浸透(被圧帯水層:単位奥行き当たり、片側からの揚水流量の式)
    図:定常浸透(被圧帯水層:周辺の地下水位低下量の式)
    L:影響圏
    不圧帯水層
    図:定常浸透(不圧帯水層:単位奥行き当たり、片側からの揚水流量の式)
    図:定常浸透(不圧帯水層:周辺の地下水位低下量の式)
     

         図:図7-2 表7-6に対応する地下水流れの模式図

    図7-2 表7-6に対応する地下水流れの模式図

      (イ)水収支による検討

         施設(埋立地)計画地の立地する集水域の流域の改変程度が地下水へどのような影響を及ぼす可能性があるのかを概略検討する方法である。図7-3に施設(埋立地)の計画される集水域を例として考え方を示す。
         計画地における水収支は、季節変動を考慮して1 年間を単位として検討する。集水域の水収支は、R=E+I+Sとなり、降水量は、蒸発散量、地下浸透量、地表流出量に分配される。このうち、地下浸透量がすべて地下水を涵養すると考えると、計画地の集水域から流出する地下水流動量Qは、1 年間の収支検討であることから地下水の流れる時間を無視でき、Iと等しいと考えられる。また、地下水流動量Qは、ダルシー式からQ=K⊿hSとなることから、Q=I=K⊿hSである。
         この式を基本として用いると、集水域内の改変によって蒸発散量や地下浸透量の変化が生じると、地下水流動断面積が変化しないと仮定すると(これは被圧帯水層の仮定、不圧帯水層では変化する)、⊿hを推定することができる。上流側の地下水が変らないと考えると、⊿hは下流側の地下水位変化量と見ることができる。

         図:図7-3 集水域における水収支と地下水流動量の関係

    R=E+I+S Q=I=K⊿hS
    * 検討の単位は年とする。
    * 蒸発散量や地下浸透量、表面流出量等の計算は、「地下水調査および観測指針(案)」
    (財)国土開発技術研究センター編集、1993」等、既存文献を参考のこと。
    図7-3 集水域における水収支と地下水流動量の関係

      (ウ)地下水流動阻害による水位変化

         施設(埋立地)の建設により地下構造物が構築されることにより地下水の流れが阻害を受ける(地下水流動阻害)場合がある。地下水流動阻害による地下水位の変化は三次元的に生じることから手計算レベルでは難しいが、構造物建設前の地下水の流下方向に対する断面において計算する手法が、「地下水流動保全のための環境影響評価と対策、(社)地盤工学会、2004」に示されていることから参考とできる。

     (2)地下水の数値シミュレーション

       数値シミュレーションは、施設(埋立地)計画地の地形地質や地下水の状況が複雑な特徴を有している場合や、下流側に重要な利水施設が存在する場合など、手計算レベルでは予測することが困難な場合に適用する。
       近年は、数値シミュレーションは地下水の水位や流向を精度良く予測する手法として、計算機の能力向上や解析コードの公開や比較的安価なソフトが発売されていることなどから一般的となっている。地下水位の数値シミュレーションは、地下水の流動則(ダルシー式)と保存則(連続式)を組み合わせ、モデル化する領域内の水位(水頭)を計算するもので、水位(水頭)の分布から流向を把握することができる。地下水の数値シミュレーションについては、「地下水流動保全のための環境影響評価と対策、(社)地盤工学会、2004」に分かりやすく記述されており参考となる。本書より、地下水シミュレーションモデルの特徴を表7-7に引用する。

    表7-7 地下水シミュレーションモデルの説明
    (資料:地下水流動保全のための環境影響評価と対策、(社)地盤工学会、2004)

     
    鉛直二次元解析
    平面二次元解析
    適用性
    • ・鉛直方向の流れが卓越した地下水流動場の検討に適している
    • ・線形構造物の横断方向断面の検討に適している
    • ・広域地下水流動場の検討に適している
    • ・平面的な流れ場の検討
    • ・被圧地下水位分布の検討
    出力
    x,z方向の地下水流速
    自由地下水位分布(断面内)
    x,y 方向の地下水流速
    被圧水位分布(水平面分布)
    短所
    • ・奥行き方向の流れを無視
    • ・鉛直方向の流れがないとして解析
    • ・自由地下水位の検討ができない(地形が考慮できない)
    • ・降雨浸透を考慮できない
    解析対象
    • ・鉛直方向の迂回効果や帯水層構造を考慮した地下水流動阻害の検討
    • ・施工時地下水位低下工法の検討
    • ・広域的な地下水流動阻害の検討
    • ・平面的な迂回効果の検討
    図:鉛直二次元解析の解析対象
    図:平面二次元解析の解析対象

     
    準三次元解析
    三次元解析
    適用性
    • ・広域地下水流動場の検討に適している
    • ・平面的な流れ場の検討
    • ・自由地下水位分布の検討
    • ・降雨浸透を考慮できる
    • ・複数の透水性をもった帯水層の構造を考慮可能
    • ・三次元的に複雑な地下水流動場の検討が可能
    • ・詳細検討向き
    • ・自由地下水位分布の検討
    • ・降雨浸透を考慮できる
    • ・地形を考慮できる
    • ・複雑な水理構造を考慮できる(帯水層、難透水層)
    出力
    x,z方向の地下水流速
    自由地下水位分布(水平面分布)
    x,y,z方向の地下水流速
    自由地下水位分布
    短所
    • ・鉛直方向の流れがないとして解析
    • ・複数の帯水層を同時に取り扱うことができない
    • ・三次元構造データの作成に多大な努力が必要となる
    • ・境界条件の面的設置が必要となる
    解析対象
    • ・広域的な地下水流動阻害の検討
    • ・地形・帯水層構造・降雨浸透を考慮した平面的な迂回効果の検討
    • ・三次元的な地下水流動阻害の検討
    • ・詳細な対策の検討
    図:準三次元解析の解析対象
    図:三次元解析の解析対象

    8.生活環境影響調査書の標準的目次構成案

    8-1 標準的目次構成案の目的

     生活環境影響調査は、許可を要するすべての廃棄物処理施設について実施が義務づけられるもので、施設の設置者は、計画段階でその施設が周辺地域の生活環境に及ぼす影響をあらかじめ調査し、その結果に基づき地域ごとの生活環境に配慮したきめ細かな対策を検討した上で施設の計画を作り上げていくための手段である。
     施設の設置者は、生活環境影響調査の結果により、施設の設置に関する計画、維持管理に関する計画を検討、作成し、申請書に記載するとともに、生活環境影響調査書についても申請書とともに知事に提出することとなっている。
     審査する側は、廃棄物処理施設の許可に当たっては、従来からの基準である省令に定める技術上の基準(全国一律基準)に適合していることとともに、「設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全に適正な配慮がなされたものであること」(地域ごとの基準)の観点から、設置者の生活環境への配慮が妥当なものか否かについて審査することとなる。
     したがって、審査の適切性及び効率性を考慮すると、生活環境影響調査の結果がどのように施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画に反映されたのかを一読できることが望ましい。
     今回、標準的目次構成案を示すことにより、従来、重きを置かれなかった生活環境影響調査と施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画との関連性を明確にすることとした。

    8-2 標準的目次構成案

     生活環境影響調査書の標準的目次構成案は以下のとおりとする。各都道府県・政令市においては、この標準的目次構成案を基に、より詳細な生活環境影響調査書のフォーマットを作成することができるものとする。

    1. 第1章 施設の設置に関する計画等
      1.  1-1 施設の設置者の氏名及び住所
      2.  1-2 施設の設置場所
      3.  1-3 設置する施設の種類
      4.  1-4 施設において処理する廃棄物の種類
      5.  1-5 施設の処理能力
      6.  1-6 施設の処理方式
      7.  1-7 施設の構造及び設備
      8.  1-8 公害防止対策 
    2. 第2章 生活環境影響調査項目の選定
      1.  2-1 選定した項目及びその理由
      2.  2-2 選定しなかった項目及びその理由
         
    3. 第3 章 生活環境影響調査の結果
      1.  3-1 大気質
        1.  (1) 調査対象地域
        2.  (2) 現況把握
          1.   ア 現況把握項目
          2.   イ 現況把握方法
            1.    a 調査地点
            2.    b 調査時期
            3.    c 調査方法
          3.   ウ 現況把握の結果
        3.  (3) 予測
          1.   ア 予測対象時期
          2.   イ 予測項目
          3.   ウ 予測方法
            1.    a 予測地点・範囲
            2.    b 予測手法
            3.    c 予測条件
          4.   エ 予測結果
        4.  (4) 影響の分析
          1.   ア 影響の分析方法
          2.   イ 影響の分析結果 
      2.  3-2 騒音(結果の記載の仕方は「3-1 大気質」に倣う。以下「3-6 地下水」まで同じ。)
      3.  3-3 振動
      4.  3-4 悪臭
      5.  3-5 水質
      6.  3-6 地下水 
    4. 第4 章 総合的な評価
      1.  4-1 現況把握、予測、影響の分析の結果の整理
      2.  4-2 施設の設置に関する計画に反映した事項及びその内容
        1.  (1) 大気質
        2.  (2) 騒音
        3.  (3) 振動
        4.  (4) 悪臭
        5.  (5) 水質
        6.  (6) 地下水
      3.  4-3 維持管理に関する計画に反映した事項及びその内容
        1.  (1) 大気質
        2.  (2) 騒音
        3.  (3) 振動
        4.  (4) 悪臭
        5.  (5) 水質
        6.  (6) 地下水