法令・告示・通達

廃棄物処理施設建設工事等の入札・契約の手引きについて

  • 公布日:平成18年7月18日
  • 環廃対060718001号

本手引きのねらいと位置づけについて

 全国の市町村及び一部事務組合は、ごみ焼却施設やし尿処理施設などの廃棄物処理施設建設工事の発注者として、地方自治法に従って入札・契約を行っている。入札契約は、指名競争入札により事業者を選定し、設計・施工一括発注する方法により行われていることが多い。
 一方で、市町村等の廃棄物処理施設建設工事の入札・契約をめぐっては、プラントメーカーによる談合問題が注目され、それに関連して、コンサルタントとメーカーの不透明な関係や、プラントメーカーの見積を用いた市町村の予定価格作成を想定した見積価格つり上げの構造など様々な課題が指摘されている。
 廃棄物処理施設建設工事の入札・契約は、市町村等が地方自治法に基づいて、住民等に対する説明責任を果たしつつ行うものであるから、このような問題や課題へ対応するためには、市町村等自らが、入札・契約の方法の見直しや改善に取り組むことが重要である。談合問題については、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」に基づく公正取引委員会等による対応が基本となるが、発注者である市町村等の取組も欠かせないところであり、地方自治法に基づく入札・契約手続きに当たって、「公共工事入札・契約適正化法」や「公共工事品質確保法」を踏まえた対応をとることが求められる。
 このような状況を踏まえ、発注者である市町村等の取組を支援する一環として、環境省廃棄物・リサイクル対策部において、公共工事の入札・契約に関係する専門家からなる「廃棄物処理施設建設工事に係る入札・契約適正化検討会」を開催し、専門家から様々なご意見をいただき、市町村等が、廃棄物処理施設建設工事に係る入札・契約の方法の改善や見直しを行う際に活用できる「廃棄物処理施設建設工事の入札・契約の手引き」をとりまとめたものである。本手引きは、市町村等が地方自治法に基づき廃棄物処理施設建設工事に係る入札・契約手続きを行うに当たって、競争性を高めるためにどのような改善方法や工夫があるのか、どのようなことに留意すべきか等を提示するもので、国の市町村に対する技術的助言として位置づけられる。
 ごみ焼却施設建設工事ではあらかじめ、市町村等がガス化溶融炉、ストーカ炉などの機種を選定した上で指名競争入札により落札者を選定することが多く行われているが、機種の選定を含めて競争に付すことや、指名競争入札を指名数を制限しない公募型や総合評価落札方式を導入するなどの改善策を講じることが考えられ、本手引きは、この例のように具体的な見直し、改善の方向性や内容を提示し、市町村等が地方自治法に基づく入札・契約手続きを実施するに当たって、改善等を検討するきっかけとなるよう、また、改善等の検討に活用できるようにしている。この手引きは、できるだけ多くの市町村にご活用いただいて、廃棄物処理施設建設工事が、競争性・透明性が高く、公正・公平性が確保されるように契約され、長期的かつ総合的に品質・経済性の面で優れた工事が施工されることを目指すものである。今後、活用いただいた市町村等から、ご意見もいただき、必要に応じ手引きの内容もさらに十分なものとなるようにしていきたいと考えている。
環境省廃棄物・リサイクル対策部

目次

第1章 はじめに

第2章 入札・契約の適正化に向けた基本的方向

  1.   (1)品確法による総合評価落札方式の導入促進
  2.   (2)入札契約適正化指針に沿った適正手続きの実施
  3.   (3)市町村間の相互協力体制・国の支援の強化

第3章 廃棄物処理施設建設工事の入札・契約に係る全般的留意事項

  1.   (1)はじめに
  2.   (2)検討すべき発注選定方式-総合評価落札方式
  3.   (3)検討すべき発注選定方式-PFI事業、長期包括的運営事業
  4.   (4)検討すべき発注選定方式-公募型指名競争入札、競争的な機種選定
  5.   (5)検討すべき発注選定方式-設計・施工一括発注方式
  6.   (6)検討すべき発注選定方式-建設コンサルタント等の選定
  7.   (7)入札契約適正化指針に沿った取組
  8.   (8)予定価格の積算の方法
  9.   (9)発注仕様書作成の重要性
  10.   (10)違約金特約条項
  11.   (11)低入札価格調査制度
  12.   (12)Plan Do Seeの実施
  13.   (13)その他(入札結果の公表、実績主義の見直し等)

第4章 廃棄物処理施設建設工事の予定価格積算手法

  1.   (1)基本的考え方
  2.   (2)性能発注方式による廃棄物処理施設建設工事の予定価格積算手法
  3.   (3)積算前の準備作業
  4.   (4)0.6乗則法(能力-コスト曲線法)に基づく積算技法
  5.   (5)予定価格積算法(その1)
  6.   (6)予定価格積算法(その2)

第5章 総合評価落札方式の導入

  1.   (1)基本的考え方
  2.   (2)総合評価落札方式と地方自治法の関係
  3.   (3)廃棄物処理施設建設工事における総合評価落札方式の意義
  4.   (4)総合評価落札方式における入札前の工事内容確定化の重要性
  5.   (5)総合評価落札方式の手続き
  6.   (6)評価項目の設定
  7.   (7)技術提案の改善
  8.   (8)予定価格の作成
  9.   (9)評価結果、技術提案の改善過程の公表
  10.   (10)技術提案の履行の確保

第6章 廃棄物処理施設建設工事及び運営事業におけるPFI及び拡大性能発注等の導入

  1.   (1)廃棄物処理施設建設工事に加え運営を含む長期包括的な発注方式
  2.   (2)PFI事業

第7章 廃棄物処理施設建設工事の技術支援

  1.   (1)CM(Construction Management)方式について
  2.   (2)その他

第8章 廃棄物処理施設建設工事に係る建設コンサルタント等の発注・選定に係る留意事項

  1.   (1)公募型プロポーザル方式
  2.   (2)積算方法
  3.   (3)技術者の配置
  4.   (4)発注支援業務の公正・中立性の確保

第9章 廃棄物処理施設建設工事の契約事務処理上の留意事項

  1.   (1)違約金特約条項
  2.   (2)総合評価における落札者の提示した性能等の履行の確保(再度の施工、減額、損害賠償等)
  3.   (3)低入札価格調査制度

第10章 廃棄物処理施設建設工事の契約後の留意事項

  1.   (1)入札結果の情報公開
  2.   (2)予定価格の事前公表制度

第11章 Plan Do Seeサイクルによる評価の実施

  1.   (1)基本的考え方
  2.   (2)評価の方法

おわりに

参考資料編

  1.   (1)環境省における支援策Ⅰ-入札・契約情報データベースの構築
  2.   (2)環境省における支援策Ⅱ-市町村等の契約事務をサポートする専門家集団の組織化
  3.   (3)環境省における支援策Ⅲ-標準的な発注仕様書の提示
  4.   (4)参考となる報告書等の各種資料

第1章 はじめに

 廃棄物の適正処理と再資源化を担う廃棄物処理施設は、国民の生活環境の保全と循環型社会形成の推進を図る上で不可欠な都市施設であり、その建設工事は社会基盤整備を図る重要な公共事業である。そのため、廃棄物処理施設建設工事の実施に際しては、競争性と透明性が高く、公正・公平性が確保されるように契約され、長期的かつ総合的に品質・経済性の面で優れた工事が施工されることが求められている。
 しかしながら、廃棄物処理施設建設工事をめぐる状況として、以下のような構造、課題等が指摘されている。

  •  ○ 廃棄物処理施設建設工事では、主要技術であるプラントが技術的に複雑・高度であること、性状が多様で変化しやすい廃棄物の処理を対象とするため経験工学的な技術の蓄積が重要であること、プラントメーカーに技術・ノウハウが集中していること等から、工事を請負うプラントメーカーが市場において強い影響力・支配力を有しているという特徴がある。
  •  ○ 一方、発注者側である市町村は、一部の大都市等を除き、20年に1度程度の事業ということもあり、廃棄物処理、処分の知識・経験の蓄積や専門技術者の確保が非常に困難な状況となっているため、プラントメーカーと対等に技術や価格等について交渉する専門的能力が不足している。
  •  ○ また、廃棄物部門の建設コンサルタントは、市町村の発注事務の代行者・補助者としての役割が期待されるが、プラントメーカーに技術・ノウハウが蓄積・集中していることから、こうした役割を十分に果たすことが必ずしもできていない。
  •  ○ このように、発注者と比べ高い技術力を有するプラントメーカーに競争を促していくためには、市町村等の職員の発注能力を高めることと、競争が働くような構造をもたらす発注方式や選定方式を導入した入札・契約方法に積極的に転換していくべきである。
  •  ○ このほか、ダイオキシン類対策など環境規制の強化に伴う技術開発も、価格を押し上げる要因であった。さらに、立地に際して住民との合意形成を図るための、環境負荷を法令等の基準より低減する追加的対策によっても価格が高くなっている。
  •  ○ このような点を踏まえ、今後、市町村は、廃棄物処理事業の収支や、廃棄物の処理に要した費用と廃棄物処理に伴う効果、とりわけ施設建設工事においては環境保全設備の整備費用と環境保全効果の説明を納税者である住民に対して積極的に情報提供していく必要がある。こうした住民との対話を通じ、費用対効果のより高い施設建設・運営や、廃棄物の排出抑制を促し資源循環を高める処理方式を地域において選択できるように取り組むことが重要である。

 以上を踏まえ、廃棄物処理施設建設工事の発注者である市町村が、適正な入札・契約に向けて取り組むべき事項や考え方についての提案を各章で述べる。

第2章 入札・契約の適正化に向けた基本的方向

 (1)品確法による総合評価落札方式の導入促進

  公共工事に関しては、従来、価格のみによる競争が中心であったが、厳しい財政事情の下、公共投資が減少している中で、その受注をめぐる価格競争が激化し、著しい低価格による入札が急増するとともに、工事中の事故や手抜き工事の発生、下請業者や労働者へのしわ寄せ等による公共工事の品質低下に関する懸念が顕著となっている。
  このような背景を踏まえて、平成17年4月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下、「品確法」という。)が施行されている。品確法では、公共工事の品質は、「経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない」と規定されており、公共工事の品質確保のための主要な取り組みとして総合評価落札方式の導入を掲げている。公共工事の品質確保を図るためには、発注者は競争参加者の技術的能力の審査を適切に行うとともに、品質の向上に係る技術提案を求めるよう努め、落札者の決定においては、価格に加えて技術提案の優劣を総合的に評価することにより、最も評価の高い者を落札者とすることが原則となる。
  市町村等においては、廃棄物処理施設建設工事の発注・選定方式として、品確法に基づき、総合評価落札方式を導入していくべきである。(第5章)
  総合評価落札方式の導入により、廃棄物処理施設の性能の向上・長寿命化・維持管理費の縮減・施工不良の未然防止等による総合的なコストの縮減、環境対策、事業効果の早期発現等が効率的かつ適切に図られれば、現在及び将来の国民に利益がもたらされる。また、価格以外の多様な要素が考慮された競争が行われることで、技術力競争によって廃棄物処理施設建設・運営を行う民間企業のモティべーションの向上が図られ、技術と経営に優れた健全な企業が競争上優位になり、談合が行われにくい環境が整備されることも期待される。

 (2)入札契約適正化指針に沿った適正手続きの実施

  「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」第15条第1項の規定に基づき、公共工事の発注者である国、市町村等が統一的、整合的に公共工事の入札・契約の適正化を図るため取り組むべきガイドラインとして「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(平成18年5月閣議決定)(以下、「入札契約適正化指針」という。)」が定められている。
  入札契約適正化指針では、透明性の確保、公正な競争の促進、入札及び契約の方法の改善等についての方策が提示されており、市町村等が廃棄物処理施設建設工事を発注する際においても、この指針に従って行うよう努めなければならない。(第3章(7))

 (3)市町村間の相互協力体制・国の支援の強化

  発注者側である市町村において、一部の大都市を除き、廃棄物処理、処分の知識・経験の蓄積や専門技術者の確保が非常に困難な状況となっており、プラントメーカーと対等に技術や価格等について交渉する専門的能力が不足しているため、市町村の要求水準に適合し、予算に見合った廃棄物処理施設建設が行われなくなっていることも現状では懸念される。こうした状況を防ぎ、市町村が、優れた技術をそれに見合った価格で導入し、住民に対する廃棄物処理サービスの向上、維持ができるようにするため、市町村間の知識・ノウハウの共有、相互協力、相互応援の仕組みを環境省の支援により強化していくことが必要である。こうした施策は、今後環境省が講じるものであるが、本手引きにおいても、その具体的な内容として、入札・契約情報データベースの構築や、市町村をサポートする専門家集団の組織化を参考として示している。(参考編(1)、(2))

第3章 廃棄物処理施設建設工事の入札・契約に係る全般的留意事項

 (1)はじめに

  本章では、本手引きの中核である入札・契約の新しい方法の基本的考え方を中心に提示する。以下の(2)から(5)は、発注の相手方の選定の方法と発注の範囲(競争に付す範囲)について改善策を示している。その構造と取組の全体像を下表に示す。
  新しい方法を導入した改善は、着実に進めるため、段階的に行うことが適切である。このため、次のとおり、改善ステップⅠを最低限の水準とし、Ⅱを標準的に取り組むべき水準、Ⅲを目標とすべき水準、Ⅳをさらに望ましい水準としている。

  ① 現状

   市町村が機種・処理方式を決定後、複数又は単数の業者を指名し指名競争入札又は随意契約を行う方式が現状もっとも多く行われている方式である。過去8年間の間に廃棄物処理施設の建設工事の契約を行った市町村を対象にしたアンケートによると、指名競争入札と特命随意契約をあわせて、約8割の市町村がこうした方式により選定を行っているが、競争性を高める観点からは、見直し、改善の余地が大きいものである。

  ② 改善ステップⅠ

   公募型指名競争入札は、会計検査院の平成15年度決算検査報告において、発注者があらかじめ契約を行いうる者の中から入札参加者を指名する従来型の指名競争入札と区別して、従来型を改良した新入札制度とされている。
   特に、公募により技術資料を提出させ、その資料を審査して入札参加者を指名する入札のうち、特に指名数を制限せず、一定の条件を満たす者はすべて入札に参加させる公募型指名競争入札(制限なし)は、会計検査院の同報告で一般競争型入札とされている。
   より競争的な入札としていくための改善の第一歩としては、入札参加者をあらかじめ限定せず、プラントメーカー等の受注意欲を反映させる、公募型指名競争入札を導入し、実施すべきである。その場合、できるだけ、指名数を制限しない方式とすべきである。
   この改善方法は、必要とするノウハウも少なく、比較的容易に導入できる改善方法であるため、「現状」からの改善の第一歩、市町村において少なくとも導入すべき水準のものと位置づけられる。

  ③ 改善ステップⅡ

   「改善ステップⅠ」は最低限の水準のものであり、今後の入札・契約方式の標準的な水準は「改善ステップⅡ」である。
   「改善ステップⅡ」は、総合評価落札方式により発注の相手方の選定に当たって価格に加え、価格以外の要素を含めて競争に付すという方向がある。もう一つの方向は、従来から行われきている、入札前に機種・処理方式を選定・限定することはやめ、あるいは建設工事だけでなく運営を含める等して、競争に付す発注の範囲を拡大するという方向がある。
   過去8年間の間に廃棄物処理施設の建設工事の契約を行った市町村を対象にしたアンケートによると、60%を超える市町村が建設に加え運営を含めた発注方式の採用を検討したいとしている。既に公設民営方式を含めたPFI方式の導入事例が蓄積し始め、施設の運転維持管理の長期責任委託方式の導入事例も広がり始めている。公共工事品質確保法に基づき総合評価落札方式を導入すべきこととこうしたPFI方式等に関する動向から、上記の二つの方向のうちいずれかの方向の改善策を導入する「改善ステップⅡ」は、標準的な水準と位置づけられる。

  ④ 改善ステップⅢ

   これからの市町村における廃棄物処理施設の建設や運営については、廃棄物処理事業の経営という視点から、安全・安定稼働を第一とし、品質が良く、効率的なサービスを住民に提供することを目指し、順次改善を図っていく方向を目指すことになると考えられる。経営の視点からの事業改善を模索・検討している改革意欲のある市町村は、標準的な水準となる「改善ステップⅡ」の取組よりもさらなる改善を目指すこととなるものと考えられる。そこで、本手引きでは、改革意欲ある市町村が取り組むための水準として、「改善ステップⅢ」を提示する。同時に、「改善ステップⅢ」は、多くの市町村にとって目標となる水準とすることが適当である。
   「改善ステップⅡ」において、総合評価落札方式の導入という方向と、建設工事だけでなく運営を含める等して、競争に付す発注の範囲を拡大するという方向の2つを示し、いずれか一つの方向に取り組むことを標準としていることから、「改善ステップⅡ」の一歩上を目指す取組として、2つの方向に同時に取り組むものを「改善ステップⅢ」とする。2つの方向に同時に取り組むことは、多くの市町村にとって、目標となる水準と位置づけられる。

  ⑤ 改善ステップⅣ

   「改善ステップⅣ」は、さしあたり導入しうる新しい手段の主要なものを導入した最終的な姿であり、いわば望ましい水準と位置づけられる。特に改革意欲に富んだ市町村等は、このような方式を導入することが市町村等の廃棄物処理事業経営にとって有利となるかどうかを十分に検討し、有利になると判断される場合には積極的に導入を図ることが望ましい。

表1 発注方法についての改善ステップ
図:表1 発注方法についての改善ステップ

 (2)検討すべき発注・選定方式-総合評価落札方式(選定方法の改善)

  価格競争のみによっていたこれまでの入札方式に代えて、「価格」の他に「価格以外の条件や要素(施設の品質や施工方法等)」を評価の対象に加えて、総合的に評価し、最も優れた案を提示した者を落札者とする方式(総合評価落札方式)を採用することは、技術・価格の両面で業者間の競争を促進させることができると考えられるので、市町村等において、今後は、総合評価落札方式を積極的に導入することが適切である。
  また、特にごみ焼却施設建設工事の場合においては、予め方式や機種を選定する方法がこれまでとられてきたが、このような方法は、元々少ない入札参加企業を更に絞ることとなるため、競争性の向上という観点から見直し、方式や機種を選定することまでを含めて、総合評価落札方式の中に取り入れていくことが適切である。(第5章)

 (3)検討すべき発注・選定方式-PFI事業、長期包括的運営事業(発注範囲の改善)

  廃棄物処理施設建設工事に加え、しゅん工後の長期包括的運営事業を一括して価格競争を求める発注・選定方式(PFI事業を含めた長期包括的運営事業)は、運営を含めたトータルの事業での競争を促し、長期間にわたる運営をも含めた契約によりライフサイクルコストの低減を図ることが可能となるため、市町村等において、この発注方式を積極的に導入することが有効である。中でも、民間の資金・活力を取り入れるPFI方式は、建設と運営のトータルコストと技術や事業内容の工夫での競争を促すものであるから、建設工事と運営事業を併せて発注する方法として適している。(第6章)
  なお、長期包括的運営事業やPFIの導入においても、方式や機種選定を含めて競争を行い、総合評価落札方式により事業者選定を行うことが適切である。

 (4)検討すべき発注・選定方式-公募型指名競争入札(選定方法の改善)、競争的な機種選定(発注範囲の改善)

  廃棄物処理施設建設工事、とりわけごみ焼却施設では、発注者である市町村が処理方式を選定した後に、技術力・経営状況等について適当と認める複数の業者を指名し、指名業者のみを入札において競争させる発注方式が多く導入されている。しかし、(2)で述べたとおり、これまでごみ焼却施設建設工事において行われている方式選定・機種技術審査を、競争性を高める観点から見直し、方式選定自体を競争的に行うことが必要である。このため、指名業者の選定にあたって、処理方式を限定せずに、技術資料の提出を公募し、提出者の中から資格要件や要求要件を満足する入札参加業者を指名する公募型指名競争入札が有効である。特に、競争性を向上するためには、指名に当たって資格要件や要求条件を満足する入札参加業者を全て指名する、指名数を制限しない公募型指名競争入札を行うべきである。

 (5)検討すべき発注・選定方式-設計・施工一括発注方式(発注範囲の改善)

  一般的には、設計(実施設計)と施工の分離発注は競争性の向上に資するものであり、望ましいと考えられてきた。しかし、廃棄物処理施設を構成する技術は、化学機械、電気、機械工学等を総合化した通常高度な技術であるため、廃棄物処理施設建設の設計・施工の両方を要素技術を総合化できる技術力を有している施工側であるプラントメーカーが請け負う方が理に適っている。また、プラントメーカーの総合エンジニアリング力等の技術力を設計段階から活用でき、品質の向上にもつながる。さらに、受注者に対し、工事施工上のかしにとどまらず、設計に起因するかしについても責任を負わせることができ、契約対象施設の性能がより確実に担保されるという利点も有している。
  また、廃棄物処理施設建設工事においては、設計・施工を分離しても競争性向上には必ずしもつながっていないおそれがあり、設計・施工の分離の実質が形骸化したものとなれば、むしろ競争性を損なう状況となる。本来、見積仕様書や発注仕様書を作成するコンサルタント(設計者)は発注者側に立って、施工者と交渉を行うことが期待される。しかし、極めて低い価格で設計・コンサルタント業務を落札したコンサルタント(設計者)には、高度な要素技術を総合化するエンジニアリング能力、技術力がそもそもないことから、施工会社に協力を求め、協力した施工会社が施工業務を落札するなど、不透明な構造や、仮にコンサルタントに技術力があっても、コンサルタントと施工会社が癒着している不適正な構造があるのではないかと指摘されている。
  もともと、高度な技術を要するプラント設備等については、設計・施工一括発注方式が適しており、廃棄物処理施設建設工事の分野では特にごみ焼却施設建設工事において、これまでも多く行われているところであり、設計を行う建設コンサルタントとプラントメーカーの不透明な構造を遮断し、かつ価格だけでなく技術を含めて競争性を高めることができるようにする観点から、ストックヤードや簡易な選別施設等を除き、設計・施工一括発注方式を基本とすべきである。この場合、設計・施工一括発注方式を行う市町村等に対する発注者支援業務は、専門技術者の確保が困難で、プラントメーカーの行動を監視・制御する専門的能力が十分でない市町村にとって極めて重要であるから、建設コンサルタントは、指摘されるような不透明さを払拭して、コンサルタントとしての倫理観と中立性を持って真摯に発注者支援業務を行うことが求められる。
  以上のとおり、プラント設備を有する廃棄物処理施設建設工事については、設計・施工一括発注方式が基本となるが、ダム等の土木構造物の分野で設計業務を行っている技術力のある建設コンサルタントの場合には、最終処分場土木工事についての実施設計を行い、かつ、発注者である市町村等の側に立った発注者支援をすることが可能であると考えられる。また、建築物についてランドマークとしての設計を発注するため、建築物とプラント設備を工種別に発注し、建築物について設計と施工を分離発注することも行われている。市町村等が相応の技術力、マネジメント能力等を保有し、能力あるコンサルタント(設計者)を選定し、コンサルタントの能力と役割を正しく発揮させ、設計と施工の責任分担を明確にすることができれば、設計・施工を分離して発注することが可能である。

 (6)検討すべき発注・選定方式-建設コンサルタント等の選定

  廃棄物処理施設建設プロジェクトの計画・基本設計段階の業務において、建設コンサルタント等の選定は、指名競争入札又は一般競争入札が行われ、その後の段階の業務は、計画・基本設計段階の業務の受注者と実質的に随意契約となることが多い。現に、今回行ったアンケートによれば市町村等においては、一つの廃棄物処理施設建設工事において概ね5~8件の業務委託(基本計画、環境影響調査、基本設計・発注仕様書作成、技術審査支援、施工監理等)を建設コンサルタント等に対して行っているが、65%の市町村等において1社の建設コンサルタント等にこれらの複数の業務を委託している。このような構造の下で、建設コンサルタントは、業務の中で一般に契約金額がもっとも多くなる施工監理業務を獲得しようとして、計画・基本設計段階の業務を安値・低価格で入札するインセンティブが働く構造になっている。このような構造は、建設コンサルタントの技術力の向上を妨げ、また、発注者側の期待するコンサルタント業務の成果獲得を妨げている。
  計画・基本設計業務とプラントメーカーの設計・施工業務は関連性が深いことから、計画・基本設計業務の受注が(5)に記述するような不透明、不適正な構造をもたらすおそれがない場合を除き、計画・基本設計業務と発注者支援業務を同一コンサルタントが随意契約等により受注することは避けるべきである。さらに、施工監理業務についても、落札者となるプラントメーカーの選定の段階の業務と完全に切り離し、独立した業務として新たに発注・選定すべきである。すなわち、計画・基本設計業務と発注者支援業務と施工監理業務は、それぞれ別々に発注し、競争的に選定し、契約することを基本とすべきである。

 (7)入札契約適正化指針に沿った取組

  市町村等の入札・契約については、地方自治法の規定に基づき、入札契約適正化指針の規定に沿った措置を講ずることを基本とすべきである。入札契約適正化指針の主要な具体的取組としては以下のものがある。

  ①透明性の確保

  •    ・入札・契約に係る情報については、公表することを基本とし、個別の入札・契約に関する予定価格及び積算内訳等の事項は契約を締結した後遅滞なく公表する。
  •    ・予定価格及び最低制限価格の事前公表については、弊害が生じることがないよう取り扱う。
  •    ・入札・契約の過程並びに契約の内容の透明性を確保するためには、第三者の監視を受けることが有効であることから、競争参加資格の設定、指名及び落札者決定の経緯等について、審査等を適切に行うことができる入札監視委員会等の第三者機関を活用する。

  ②公正な競争の促進

  •    ・一般競争入札の拡大を図り、指名競争入札を行う場合は公募型指名競争入札を積極的に活用し、指名業者名の事後公表の拡大に努める。
  •    ・公共工事品質確保法に基づき、価格に加えて価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する総合評価落札方式の導入拡大を図る。総合評価の結果の公表の徹底や、評価方法・落札者の決定等について学識経験者等の第三者の意見を反映させるための方策を講ずる。

  ③不正行為の排除の徹底

  •    ・談合情報に適切に対応するため、談合等を疑うに足りる事実がある場合には公正取引委員会へ通知しなければならない。このほか、工事費用の内訳書の確認、入札結果の事後的・統計的分析の活用等の入札監視の強化に努める。
  •    ・また、談合等があると疑うに足りる事実があるときの取扱い要領をあらかじめ定め、職員に周知徹底し、公表する。
  •    ・大規模・組織的な談合であって悪質性が際立っている場合において、その態様に応じた厳格な指名停止措置等を講ずる。
  •    ・談合があった場合における請負者の賠償金支払い義務を請負契約締結時に併せて特約することにより、不正行為の結果として被った損害額の賠償の請求に努める。
  •    ・公共工事は、国民の税金を原資として行われるものであることから、官製談合防止法を踏まえ、発注者が関与する談合の排除及び防止に取り組む。

  ④適正な施工の確保

  •    ・技術検査及び工事成績評定を行い、結果を公表する。(工事成績評定については、形骸化しているとの指摘があるが、むしろ工事成績評定を形式的に行い、プラントメーカー及び建設コンサルタント等の工事品質・業務品質の問題を見過ごした場合に発注者としての責任を問われるのであって、工事品質・業務品質に問題があったことを指摘することで、発注者側の担当者の責任が直ちに問われるものではない。)
  •    ・ダンピング防止のため、低入札価格調査制度を適切に運用する。

 (8)予定価格の積算の方法

  廃棄物処理施設建設プロジェクトを行う市町村等は、プラントメーカーの見積書のみに頼って予定価格を作成するのではなく、積極的に他市町村の既存契約事例の情報を収集分析し、より適正な予定価格の作成に取り組むことが必要である。こういった取組により、価格の透明性が確保されるとともに、新しい技術の導入によるものを含め、コスト縮減効果も期待できる。(第4章)

 (9)発注仕様書作成の重要性

  発注仕様書は、市町村等が求める廃棄物処理施設の性能を確保する上で、市町村等とプラントメーカーの間の契約条件となるものであり、市町村等の要求条件を発注仕様書において明確にすることは、廃棄物処理施設建設・運営の成否を左右する極めて重要なポイントである。
  そして、廃棄物処理施設が発注仕様書の性能を満足しているかどうかは、提出された見積設計図書の審査に加え、完成後に実施する引渡し性能試験で実地に確認することになる。また、引渡を受け稼働時において発注仕様書の性能を満足することを担保するため、かし担保条項を整備することが必要不可欠である。

  ① 廃棄物処理施設建設工事の完成後に実施する引渡し性能試験

   引渡し性能試験は、発注仕様書に規定する性能仕様等をすべて合格しているか発注者が立ち会って確認を行い、合格した場合に工事請負者から施設の引渡しを受ける重要な条件となる。このため、実施する性能試験項目・試験方法および合否判定基準等については、参考資料-1(ごみ焼却施設例)に示す先進都市の事例のように、発注仕様書の中に明確に規定しておく必要があるが、中小都市において、ここまでの内容を盛り込んだ発注仕様書を作成しているケースは少ないので、改善を要する。また、計測および分析機関については、法的資格を有する第三者機関に委託し、データの信頼性を確保する必要がある。

  ② かし担保条項

   性能発注による廃棄物処理施設建設工事におけるかし担保条項についても、同様のことが言える。参考資料-2(ごみ焼却施設例)に先進都市の事例を示す。通常、性能発注の場合、工事請負者は、「工事上のかし担保責任」と「設計上のかし担保責任(性能保証と呼ぶ場合もある。)」を負うことになっているが、通常の施工契約(図面発注)による公共工事の場合は、工事請負者は「工事上のかし担保責任」のみを負い、かし担保期間も1年間程度と短いものになる。性能発注工事の場合における工事請負者は、発注仕様書に基づく性能仕様を発揮できる設計責任も負っており、工事完成後の引渡性能確認試験において発注仕様書に規定する性能仕様に合格しなかった場合は、「設計上のかし」があったと見なされ、「かし」を修補する責任が生ずる。「設計上のかし」は重大な「かし」として取り扱われ、廃棄物処理施設の引渡を受けた後であっても、発注仕様書に記載の性能(機能・効率・能力等)について疑義が生じた場合には、改めて性能確認のため工事請負者の負担において確認試験を行い、その結果、所定の性能を満足できなかった場合には、工事請負者は速やかに改善をする義務を負っている。
   さらに、損耗度の激しい部材・機器等について、かしの判定と修補について発注仕様書に規定することも行われており、先進都市の事例に倣い、詳細な発注仕様書を作成することが、施設完成後の安定稼働のポイントとなる。

 (10)違約金特約条項

  入札談合などの不正行為防止の観点から、工事請負者の不正行為に対し請負代金の一定割合を違約金(損害賠償額の予定)として支払わせる条項(違約金特約条項)を契約に盛り込むことが必要である。(第9章(1))

 (11)低入札価格調査制度

  低入札価格調査制度は、履行の確実性を担保するとともに、公共工事の品質の低下やいわゆるダンピング受注を防止する上で有効であるので、導入することを基本とすべきである。(第9章(3))
  また、談合等の不正行為が行われている場合には、受注予定者以外の参加者は十分な積算を行わないことから、入札時において工事費内訳書を提出させることが、ダンピングや談合の防止に効果的である。

 (12)Plan Do Seeの実施

  入札・契約に関する以上の取組について、各市町村において、直近の入札・契約案件から表1の改善ステップⅡを導入することを標準とし、総合評価落札方式を導入する等の改善策を検討すべきである。市町村においては、改善の計画(Plan)をつくり、計画に従って準備し改善策を実行する(Do)こととなるが、実施後には改善策の導入の効果を確認し評価する(See)ことが必要である。そして、評価の結果を以後の入札・契約に反映し、納税者である住民に対して公表することが適切である。(第11章)

 (13)入札結果の公表、実績主義の見直し等

  全国の市町村において、入札結果を公表することで、入札・契約手続きの透明性の確保が図られ、入札参加事業者の競争を促す効果があると期待される。具体的には、入札契約適正化法及び入札契約適正化指針に従って、予定価格、落札金額、入札参加事業者の名称、入札参加事業者ごとの入札金額などを公表することが必要である。また、(12)の評価結果や、施設稼働後に発生したトラブル、施工業者によるアフターサービスの状況なども積極的に公開し、情報を共有することが望まれる。データベース(参考編(1)参照)を活用することで、各市町村間での情報の共有が可能となり、入札参加事業者に対する監視・牽制効果も期待できる。
  また、入札参加資格を決定する際の要件として多く用いられている納入実績等は、補足的な要件と考えられる。当該工事の実施可能性を十分考慮しつつ、入札参加業者数を増やす工夫を行うため、例えば海外プラントメーカー等の新規参入を促進する上からも、実績に関する入札参加要件を検討し、過度な実績主義を見直すことが重要である。

第4章 廃棄物処理施設建設工事の予定価格積算手法

 (1)基本的考え方

  性能発注方式を基本とする廃棄物処理施設建設工事の場合、予定価格は、これまで多くの市町村等において複数の事業者(プラントメーカー)からの見積もりを基にして積算されてきた。しかし、より適正な予定価格の積算のためには、最終的に入札に参加する可能性のある事業者から得た見積もりのみに依拠して予定価格を積算するのではなく、他市町村における既契約の類似工事等、より客観的なデータを用いて予定価格を積算することが適切である。このため、本手引きでは、多数の焼却プラントを有する大都市において独自に形成されてきた、既契約の類似工事の工事費内訳書等を基にした積算方法を提示し、その方法による予定価格の積算を推奨する。

 (2)性能発注方式による廃棄物処理施設建設工事の予定価格積算手法

  施工契約による一般公共工事の予定価格積算方法は、契約前に工事内容を確定できる実施設計が作成されているので、市町村等が定める積算基準に基づいて所要工事数量に対し、資材単価・労務単価・機械損料および標準歩掛等を用いて積み上げ積算が可能である。
  一方、性能発注方式(別の言い方をすると設計と施工を一括して発注する設計付き施工契約)を基本とする廃棄物処理施設建設工事の場合には、受注者となるプラントメーカーの独自の特許や技術、ノウハウを活用することを前提とし、一律の図面によって技術内容を特定せず、設計段階から競争に付す方式であるから、施工契約による一般公共工事の場合のような標準歩掛等を用いた積み上げ積算にはなじまない。このため、大都市においては、入札参加を希望する企業に工事概要を公開し、各企業から見積設計図書を提出させ、提出された見積設計図書に基づき、主要な設備ごとの容量等を平均化した上で、これまでの既契約の類似工事の工事費内訳書等を基にした実績単価を勘案した積算方法が開発され、採用されているところである。
  この手引きでは、大都市のノウハウを基にプラントメーカーの見積もりに依存しない予定価格の積算手法を提示し、独自の積算手法を持ち合わせていない市町村等においては、以下(5)(又は(6))に示す積算手法を参考にして予定価格を積算することを推奨する。

 (3)積算前の準備作業

  予定価格の積算を開始する前の準備作業は次のとおりである。①入札に参加するプラントメーカー等の技術提案(見積設計図書)からプラント設備の容量や建築面積・容積を抽出する、②技術提案と同じ処理方式の廃棄物処理施設建設工事の既契約情報を収集する、③できるだけ性能及び構造仕様が近い処理施設の建設工事費を積算対象として選定し、選定した施設の建設工事費をプラント設備工事費、建築工事費等に分類する。

  ① 技術提案(見積設計図書)の分析

   性能発注により設計・施工の全体を競争に付す場合には、入札参加企業から見積設計図書の提出を受けることが通常であり、これまでも廃棄物処理施設建設工事において行われてきている。第5章の総合評価落札方式においても、性能発注を行う場合には、技術提案(見積設計図書)の提出を入札参加企業から受けることになる。これまでは、見積価格を用いて予定価格を算出していたが、今後は、見積価格をそのまま使用することはしない。見積設計図書から抽出するのは、図2に示すプラント設備ごとの仕様から、プラント設備ごとの容量・基数を抽出する。抽出したプラント設備単位で②、③から得られる単価を計算し、廃棄物処理施設全体での積み上げを行うこととなる。また、抽出する容量は、ごみ処理量だけでなく、ボイラー設備であれば蒸気量、排ガス処理設備であれば排ガス量も抽出し、いずれもパラメーターとして計算に使うことができるようにしておくと、より精密な積算が可能となる。図2に示すプラント設備よりもさらに詳細な設備までブレイクダウンして抽出し、②、③の過程においてブレイクダウンした設備レベルでの単価を抽出し、廃棄物処理施設全体での積み上げを行うことも可能である。

  ② 廃棄物処理施設建設工事の既契約情報の収集と積算対象の選定

   年により変動するが、ごみ焼却施設、し尿処理施設(汚泥再生センター)リサイクル施設(リサイクルプラザ、センター)及び最終処分場の新規工事件数は、毎年十数件から二十数件である。こうした事業に係る公表情報を基にして当該市町村等が発注する廃棄物処理施設建設工事と同じ処理方式の工事を契約した市町村等に、下記の契約情報を照会する。そして、類似の方式による廃棄物処理施設建設工事費を積算対象として選定する。他の市町村等に対する既契約情報の提供要請は、処理方式別に参考資料-3の書式を活用して行うと効率的である。また、他の市町村等から既契約情報提供の要請を受けた市町村等は、出来る限りの協力をすることが望まれる。なお、環境省では、今後、19年度を目途に廃棄物処理施設建設工事の既契約情報を市町村等から収集し、市町村等が利用できるデータベースを構築する予定であり、データベースを活用した情報収集が可能となる。(参考資料編(1))

  1.    ⅰ 工事概要
    1.     a 工期
    2.     b 処理方式
    3.     c 施設規模(全体処理能力・系列数等)
    4.     d 施設全体配置図
    5.     e 処理概略フローシート
    6.     f 処理性能
    7.     g 公害防止性能
    8.     h 再資源化性能
    9.     i 建築工事(建築面積・建築容積・建築構造・外装仕上・煙突構造等)
    10.     j 特記事項(特別仕様・独自仕様等)
  2.    ⅱ 工事金額概略内訳書等
    1.     a プラント工事費内訳書(構成設備費の内訳まで)
    2.     b 建築工事費内訳書(建築本体工事・建築設備工事費・煙突(外筒)工事費・外構工事費等)
    3.     c 入札状況

  ③ 工事費の分類と工事基本価格等の設定

   選定した廃棄物処理施設建設工事費を建築工事費とプラント工事費に分類し、さらに建築工事費は、建築本体工事費(施設建物、付属施設、煙突外筒)、建築設備工事費(機械、電気)に区分し、プラント工事費はプラント設備の種類ごとに区分していく。そして、複数事例のデータをもとに(4)の0.6乗則及び(5)、(6)の積算方法により、プラント設備ごとにプラント工事基本価格を設定する。
   なお、プラントメーカーから聴取した参考見積もり等は、この段階から高値契約に導くように談合等の不正行為が行われているとの指摘があることから、参照する程度ににとどめ、建築工事基本単価やプラント工事基本価格を設定する際の根拠としては採用しないものとする。

 (4)0.6乗比例に係る経験則法(能力-価格曲線の近似)に基づく積算技法

  化学プラント建設工事の分野では、建設工事価格はプラント規模の0.6乗に比例するという経験則が良く知られている。そこで、本手引きでは、予定価格積算のテクニックとして、この方法を用いる。0.6乗則積算技法は、同種の機器・装置・設備・プラントの価格が、能力(規模)の0.6乗に比例するという経験則から、ある能力の機器(装置・設備・プラント)の価格が既知の場合に、他の任意の能力の機器(装置・設備・プラント)の価格が推算できることになる。
   CA=A機器(装置・設備・プラント)の建設価格
   CB=A機器と同種のB機器(装置・設備・プラント)の建設価格
   SA=A機器の能力(規模)
   SB=B機器の能力(規模)とすれば、
   CB=CA×(SB/SA0.6
  この積算技法によれば、機器(装置・設備・プラント)の能力(規模)を大きくするほど単位能力当たりの価格は割安になり、機器の能力を小さくするほど単位能力当たりの価格は割高になることが、以下の図1からも理解されよう。本来は、実績データや収集したデータのうちから適切なものを用いて、能力-価格曲線を近似し、両者の関係を定量化できれば、その方法によることがより精度の高い積算方法といえ、0.6乗の経験則は、データによって能力-価格の関係を十分に定量化できない場合に用いる便宜的な方法と言える。環境省では、今後、19年度を目途に廃棄物処理施設建設工事の既契約情報を市町村等から収集し、市町村等が利用できるデータベースを構築する予定であるが、その中で集積されたデータを、高値設定に基づくデータとならないよう客観的な分析を加えた上で、市町村等にフィードバックしていく予定である。データベースを構築することにより、能力-価格曲線を近似することができれば、経験則に基づく積算方法をさらに客観性の高い積算方法とすることが可能となる。

図:図1 0.6乗比例に係る経験則の概念図

図1 0.6乗比例に係る経験則の概念図(データベース構築後は、適切な実績データの蓄積によって、能力-価格曲線を近似することが考えられる)

 (5)予定価格積算法(その1)

  この予定価格積算法は、図2に示すとおり、既契約済の処理施設建設工事費内訳をべースに、プラント設備の直接工事費は各設備毎に0.6乗則積算技法による換算値を合算して求め、建築工事の直接工事費については、先ず建築本体工事の直接工事費を建築本体工事基本単価(単位建築延面積・または単位建築容積・当たりの単価)により算出し、建築機械・電気設備工事の直接工事費については、建築本体工事の直接工事費に対する比率から算出する積算方法である。この積算方法による積算例を参考資料-4に示す。
  なお、図2に示すプラント設備の各種類をさらにより細部の設備までブレイクダウンして積算を行うことが、より詳細・精密な積算となることから予定価格の積算手法としては望ましいといえる。現状ではデータ収集に制約がある場合もあるが、環境省では、今後、19年度を目途に廃棄物処理施設建設工事の既契約情報を市町村等から収集し、高値設定された価格に基づくデータベースとならないようにするため、設備の仕様と価格について客観的に分析した上で、市町村等が利用できるデータベースを構築する予定であり、データベースを充実していくことで、詳細な積算が各市町村等において可能となるようにしていくことが重要である。

 (6)予定価格積算法(その2)

  この予定価格積算法は、積算法(その1)と比べより簡便な方法であり、積算法(その1)を採用しがたい場合に採用するものとし、図3に示すとおり、既契約済の施設建設工事費内訳をベースに、廃棄物処理施設建設工事費を、プラント共通設備関連工事費、プラント系列設備関連工事費、建築工事費に3分割し、プラント設備工事費については0.6乗則積算技法を適用して能力(規模)換算し、建築工事費については建築工事基本単価(単位建築延面積・または単位建築容積・当たりの単価)を算出して積算する方法である。この積算方法による積算例を参考資料-4に示す。
  なお、この簡便な積算方法は、これまでの入札参加企業から得た参考見積から予定価格を算出する方法よりは、客観性が高く改善されたものではあるが、可能な限り、積算法(その1)を採用すべきである。

図:図2 予定価格積算手法(その1)
図2 予定価格積算手法(その1)
(プラント設備毎工事費合算+工種別建築工事費合算による積算法)
図:図3 予定価格積算法(その2)
図3 予定価格積算法(その2)
(プラント共通設備工事費+プラント系設備工事費+建築工事費による積算法)

第5章 総合評価落札方式の導入

 (1)基本的考え方

  廃棄物処理施設は、高度な化学機械であるごみ焼却施設(熱回収施設)やし尿処理施設(汚泥再生処理センター)等の中核的な中間処理施設、機械的、物理的な破砕、選別等を中心とするリサイクル施設(リサイクルプラザ、リサイクルセンター)及び土木構造物と水処理プラントからなる最終処分場施設など多岐にわたるが、一般的に施設自体が高度な技術を組み合わせたシステムとなっている。このため、設計・施工・運営を行う企業間の技術力を競争させることで、高い品質の施設建設が可能となると期待される。
  本手引きでは、こうしたことを踏まえ、「品確法」及び同法の基本方針に基づき、「経済性に配慮しつつ価格以外の多用な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約」を実現する「総合評価落札方式」を廃棄物処理施設建設工事の発注・選定方式の基本とし、積極的に導入することを推奨する。
  また、総合評価落札方式の発注・選定手続きにおいて、廃棄物処理施設建設工事の技術提案(見積設計図書)を求めることとなるが、競争性を高め、かつ、より優れた技術提案を得る観点から、技術提案の範囲をできるだけ拡大することが適切である。このため、本手引きでは、設計・施工一括発注方式を基本とすることを推奨する。また、特に、ごみ焼却施設や灰溶融施設にあっては、技術・システムが異なる様々な機種があることから、発注・選定手続きの前にあらかじめ機種を特定するこれまでの標準的な方法については、特段の理由がない限り、これを見直し、複数方式の各機種を技術提案において競わせ、方式選定を含め総合評価落札方式の手続きの中で行うことを推奨する。

 (2)総合評価落札方式と地方自治法の関係

  総合評価落札方式は、価格に加えて、性能・機能や技術力を評価できるという点で、市町村等にとってより有利な契約の締結を可能とするものである。技術力のある企業によって技術提案を伴う競争が行われ、入札談合が行われにくくなるという面も期待されるほか、企業の技術開発に対するインセンティブが働くことが期待される。
  この総合評価落札方式は、平成11年2月の地方自治法施行令の改正により、市町村等において導入が可能とされた。地方自治法第234条(契約の締結)では、一般競争入札による最低価格自動落札方式を原則とし、その例外の一つとして、同条第3項ただし書きにおいて、「普通市町村等の支出の原因となる契約については、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申し込みをした者のうち最低の価格をもって申し込みをした者以外の者を契約の相手方にすることができる」としている。そして、地方自治法施行令第167条の10の2において、「一般競争入札により支出の原因となる契約を締結しようとする場合において、当該契約がその性質又は目的から最低価格自動落札方式及び最低制限価格制度により難いものであるときは、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした者のうち、価格その他の条件が当該普通市町村等にとつて最も有利なものをもつて申込みをした者を落札者とすることができる」(総合評価落札方式)としている。
  総合評価落札方式を導入する場合には、地方自治法施行令により、あらかじめ、当該総合評価一般競争入札に係る申込みのうち価格その他の条件が当該市町村等にとつて最も有利なものを決定するための基準(価格以外の要素となる評価項目や、価格と価格以外の要素との評価点割合等の評価方法)を定め、これを公告しなければならないとされている。また、総合評価落札方式によることの適否、落札者を決定しようとするとき、又は落札者決定基準を定めようとするときは、あらかじめ、二名以上の学識経験を有する者の意見を聴かなければならないとされている。

 (3)廃棄物処理施設建設工事における総合評価落札方式の意義

  廃棄物処理施設建設工事の発注・選定手続きにおいても、性能発注方式による場合は、総合評価落札方式に近い手続きで契約締結が行われてきている。性能発注方式では、先ず発注者は発注仕様書(入札説明書を構成する仕様書に相当)を入札者に提示し、入札者は見積設計図書(技術提案書に相当)を作成・提出するという手続きがとられてきたが、これは、総合評価落札方式において、入札公告を行い、入札説明書の交付をし、技術資料の提出を求めるのと類似の手続きである。さらに、性能発注方式では、見積設計図書の提出を受けて、各機種(各プラントメーカー)の見積設計内容を調整・平均化し、各機種の見積設計内容がいずれも発注仕様書を満足する内容になっていることを確認してから、入札を行い、最低価格自動落札方式により価格のみで落札者を決定している。
  これに対し、総合評価落札方式は、提案者の技術的能力の審査に加え、技術提案が発注仕様書を満たすものであることの確認を含め、提案者からヒアリングを行い、技術提案の改善を求め、又は改善を提案する機会を与え、技術審査・評価を行う。そして、競争参加資格を通知し、入札を行い、価格と価格以外の要素として、維持管理費を含む総合的なコスト削減、廃棄物処理施設の性能・機能の向上、資源循環、エネルギー回収、CO2対策等の社会的要請への対応等の事項を含めて総合評価して落札者を決定する。
  総合評価落札方式は、従来の最低価格自動落札方式による性能発注方式と落札方式において異なるほか、特に技術審査・評価のプロセスでは、要求する技術水準を確保するという点は性能発注方式と同様であるが、要求水準を確保するだけでなく、技術そのものについて価格以外の要素において競争をさせることができる(例えば、長寿命な火格子は、従来の性能発注方式では技術の優位性は評価されなかった。)という点である。このように総合評価落札方式は、的確に導入することで、技術・システムにおいてより信頼性が高く、経済性にも配慮した廃棄物処理施設建設を可能とする方式であり、市町村等における積極的な導入が期待される。
  なお、当然ながら、恣意的な評価方法により特定の機種を有利に総合評価し、落札者とするようなことは許されない。

 (4)総合評価落札方式における入札前の工事内容確定化の重要性

  公共工事の契約においては、要求する工事の内容と経済性の確保が不可欠であることから、入札前までに極力、工事内容を確定化することが、契約後の工事施行を円滑に進めるうえで重要であり、これは総合評価落札方式においても変わらない。
  総合評価落札方式を採用して廃棄物処理施設建設工事を発注する場合、機能・効率・能力等の性能仕様を主体とする発注仕様書が契約条件であるから、技術提案の技術審査、評価の過程において、見積設計図書を十分にチェックし、疑問や不明な点があれば文書による質疑応答・より詳細な図面の提出を求め、設計上で不十分な点があれば文書による改善指示と回答を求めるなど、廃棄物処理施設における市町村の要求条件を明確化した発注仕様書を満足する工事内容であることを確定する必要がある。参考として、大都市における見積設計図書のチェック事項を表2に示す。

表2 見積設計図書のチェック事項(熱回収施設(ごみ焼却))

〔各評価項目について技術(性能等)・維持管理・運営経済性等の視点から評価する。〕

区分
番号
評価項目
評価小項目
全体計画
1
建設管理
工期、工事計画、仮設計画
2
解体対策
既設工場のプラント設備・建築物の解体対策
3
環境調和
景観、日影、緑化
4
環境保全
大気汚染防止対策、水質汚濁防止対策、騒音・振動防止対策、悪臭防止対策
5
運営管理
信頼性向上対策、維持管理対策、省エネルギー対策
6
作業環境
作業環境、防災、安全対策
7
配置動線
全体配置計画、車両動線
建築
1
平面・断面計画
全体計画、工場関係諸室、管理用諸室、付属施設
2
構造計画
全体計画、基礎、地下く体、地上く体、外壁(周壁共)、屋根
※各項目とも耐震補強含む。
3
仕上計画
外構、内装、屋上緑化
4
外構計画
構内道路、緑化
5
煙突
構造、外装
6
建築機械設備
給水衛生設備、消防設備、ガス設備、空調換気設備、場内余熱利用設備
エレベーター設備、その他設備
7
建築電気設備
幹線設備、動力設備、電灯、コンセント設備、弱電設備、電話設備
非常用発電装置、その他設備
焼却プラント
1
給じん設備
ごみバンカゲート設備、ごみクレーン、ごみホッパ
2
焼却炉本体設備
炉体、耐火物築炉、燃焼装置、助燃バーナ装置、ストーカ下ホッパシュート
3
灰処理設備
主灰搬送設備、受入灰受入設備、飛灰受入設備、主灰前処理設備、受入灰前処理設備、灰貯留設備、灰溶融設備、スラグ水砕設備、スラグ製砂設備、溶融排ガス処理設備、溶融飛灰処理設備、固化物コンベヤ、環境集じん機、コンベヤ等
4
汚水処理設備
汚水処理装置、汚泥処理装置、放流装置、初期雨水対策設備
5
通風設備
風道等、押込ファン、蒸気式空気余熱器
6
煙道設備
煙道等、誘引ファン
7
集じん設備
ろ過式集じん機、飛灰搬出装置、付帯装置
8
洗煙設備
排ガス洗浄処理装置、蒸気式ガス再加熱器、循環ファン及び混合器、液体キレート貯槽等
9
触媒反応設備
触媒反応塔、アンモニア水貯槽等、、アンモニア気化装置等、アンモニア除去装置
10
煙突設備
煙突内筒
11
ボイラ設備
ボイラ本体等、脱気器、エコノマイザ、ボイラ給水ポンプ、ボイラ用薬液注入装置
缶水連続測定装置、高圧蒸気だめ
12
発電設備
蒸気タービン等、蒸気タービン発電機等、プラント保安動力発電装置
13
余熱利用設備
蒸気供給装置、高温水設備
14
蒸気復水設備
タービン排気復水器、復水タンク等
15
純水設備
純水装置等、純水タンク等、廃液処理装置
16
電気設備
受配電・送電設備、電力監視装置等、動力設備等、直流電源装置等
17
計装・自動制御設備
プラント用電子計算機システム、自動運転・制御、焼却炉・ボイラ共通設備の制御、受変電・発電設備の監視制御、動力設備の監視制御、汚水処理装置の監視制御、灰処理設備の監視制御、帳票用電子計算機、ITV装置、空気源
18
給水設備
上水給水装置、機器冷却水装置、雑用水給水装置
19
その他設備
圧縮空気供給装置、脱臭装置、炉内清掃用集じん装置、エアシャワー設備


 (5)総合評価落札方式の手続き

  廃棄物処理施設建設工事は、高度な技術提案を伴うものであり、かつ、技術・システムなどが複数存在し発注者があらかじめ一つの技術・システムなどに絞り込まず幅広く競争を実施することが適切なものである。したがって、総合評価落札方式のうち高度技術提案型に分類される。

表3 競争に参加する有力な技術・システムが複数存在する廃棄物処理施設

廃棄物処理施設の種類の例
有力な技術・システムの例
熱回収施設(ごみ焼却)
 ストーカー炉+灰溶融炉、ガス化溶融炉などのシステムがあり、それぞれについて複数の企業がオリジナルな方式を提案している。
バイオガス化施設(メタン回収)
 メタン発酵方式として乾式メタン発酵、湿式メタン発酵のシステムに大別され、それぞれについて複数の企業がオリジナルな方式を提案している。
汚泥再生処理センター(し尿処理)
 高濃度の含窒素排水の処理方法として、標準脱窒素処理方式、高負荷脱窒素処理方式、膜分離高負荷脱窒素処理方式があり、それぞれについて複数の企業がオリジナルな方式を提案している。
最終処分場
 覆蓋(上屋)付き処分場、オープン型の処分場に大別され、しゃ水工の工法・品質管理、漏水検知システムの種類などで複数のバリエーションがある。
 また、浸出液処理施設についても、複数の企業による(独自の)システム設計・施工が行われている。

 高度技術提案型の総合評価落札方式の手続きの標準的な流れ(公募型指名競争方式、一般競争入札方式を例示)は、図4-1、4-2に示すとおりである。
図:図4ー1 総合 評価落札方式(公募型指名競争入札、高度技術提案型)の入札・契約手続きフロー
図4ー1 総合 評価落札方式(公募型指名競争入札、高度技術提案型)の入札・契約手続きフロー
 国土交通省公共工事における総合評価方式活用検討委員会「公共工事における活用ガイドライン(案)」「高度技術提案型総合評価方式の手続きについて(案)」を参考にして作成

図:図4ー2 総合評価落札方式(一般競争入札、高度技術提案型)の入札・契約手続きフロー
図4ー2 総合評価落札方式(一般競争入札、高度技術提案型)の入札・契約手続きフロー
 国土交通省 公共工事における総合評価方式活用検討委員会「高度技術提案型総合評価方式の手続きについて(案)」を参考にして作成

  ①入札公告等

   入札公告においては、総合評価落札方式を適用する旨のほか、以下の事項を明示することになる。

  •    工事概要(要求条件を明確にした仕様書等)
  •    競争参加資格
  •    総合評価に関する事項(評価項目と基準、得点配分、総合評価の方法、落札者の決定方法、再度施工義務を課すなど評価内容の担保)
  •    競争参加資格の確認方法
  •    技術資料作成に関する説明会に関する事項
  •    入札及び開札の日時
  •    技術資料(含む見積設計図書)の提出様式等

  ②技術能力の審査

   廃棄物処理施設建設工事を実施できる技術的能力の審査を行う。

  ③技術提案の審査・評価

   技術提案及び具体的な設計・施工計画(見積設計図書)について、評価・審査を行う。要求条件を明確にした仕様書への適合に加え、評価項目に関する評価を行うこととなるが、審査においては、提案者に提案の改善を求めるか又は改善を提案する機会を与えることができる((7)技術提案の改善)。この場合、事後、技術提案に係る改善過程の概要を公表する((9)評価結果、技術提案の改善過程の公表)。また、技術提案の審査を踏まえて「もっとも優れた提案が採用できるよう予定価格を作成することができる」(品確法基本方針)ことから、この場合には、第4章に示す積算方法を基本とし、提案者の見積との比較、評価を第三者の意見を聞いて行い、予定価格を作成する((8)予定価格の作成)。

  ④落札者の決定

   入札価格が予定価格の制限の範囲内にあるもののうち、もっとも評価値の高いものを落札者とする。評価値の算出方法としては、除算方式と加算方式があるが、発注者である市町村等において適切と考える算出方法があれば、除算方式と加算方式に限られるものではない。

  (a)除算方式
   ○評価値の算出方式

    評価値=技術評価点/価格

   ○特徴

    除算方式は、VFMの考え方によるものであり、技術提案による工事品質の一層の向上を図る観点から、価格あたりの工事品質を表す指標で評価する。低い入札額の場合に評価値に対する価格の影響が大きくなる傾向がある。

  (b)加算方式
   ○評価値の算出方式

    評価値=技術評価点+価格評価点
    価格評価点=100×(1-入札価格/予定価格)
        又は100×最低価格/入札価格

   ○特徴

    価格のみの競争では品質不良や施工不良といったリスクの増大が懸念される場合に、設計・施工の確実性を実現する技術力によりこれらのリスクを低減し、工事品質の確保を図る観点から、価格に技術力を加味した指標で評価する。最近では一部の市町村等において非価格要素を50%以上と考えている例もあると報告されている。これは市町村等において、予算(=予定価格)を厳しく設定し、その範囲内であればできる限り質のよい提案を採用したいという認識を有しているからと考えられる。要求水準を満たした上で、予定価格を下回れば、VFMが向上するという解釈に立っていると考えられる。
   こうした評価項目や評価値の算出方法(評価点の配分を含む)については、事業をめぐる条件、地域の事情、事業に係る将来の市町村等の運営のあり方などを十分検討して決定すべきである。その際、想定される事業者による価格と非価格要素のパターンを設定し、シュミレーションをあらかじめ行い評価方式の特性を把握することも重要である。

 (6)評価項目の設定

  総合評価落札方式の評価項目は、技術提案(見積設計図書を含む。)について、廃棄物処理施設建設に関する市町村等の考え方に基づき評価項目を設定する。一般的な評価項目としては、維持管理費等といった定量的な評価項目に加え、定性的な評価項目を加えることを基本とし、見積設計図書から技術提案の根拠、安全性、確実性等を評価する。なお、これらの評価に当たっては、仕様書に示された要求条件を満足していることを表1により確認する。
  熱回収施設(ごみ焼却)を想定した場合の技術提案の評価項目の考え方及び例を表3に示す。
  評価項目の選定に当たっては、表3を鵜呑みにするのではなく、各市町村等において価格以外に何を重視するのかを明確にし、それを反映できる評価項目に絞り込むことが重要である。民間事業者の創意工夫に委ね、競争を期待する項目は絞る方が結果的に優れた提案を選定できるという面がある。このため、施設の性能として確保すべき事項は要求条件として発注仕様書に全て明記し、評価項目とは区別することが適当である。例えば、発電効率や最終処分対象となる残さ率などのように、最低水準は要求条件に明記し、要求条件を超えて向上すれば、地域におけるメリットが高まる要素を評価項目にすることが優れた提案を評価する上で重要である。
  これに対し、多数の細分化した項目で評価を行う場合、重要項目に関して優れた事業者が選定されず、予期せぬ重要性の低い項目で事業者選定が左右される可能性があるし、重要性が低い要素やあるいは優劣がつきにくく評価することの意味が乏しい要素が評価項目に含まれ、VFMの向上につながらないことになりかねない。このため、評価項目の選定に当たっては、事業者間で差が生じやすいもの、VFMを向上させる非価格要素であることに加え、地域において価格要素よりも重要視することが明確に説明できるものであること(例えば最終処分量を減らす観点から処理残さ率が低いほど良い)や、レベルが上がるほど価値が増すものであること(例えば送電端発電効率が高いほど良い)を考慮することが適切である。

表4 評価項目の考え方及び例

分類
評価項目の例
考え方
定性評価
定量評価
総合的なコストの削減に関する項目
(1)更新費用の高い部品等が長寿命
(2)資源・エネルギーに無駄がない
(1)維持管理費(ライフサイクルコスト)
(2)資源・エネルギー回収益
ライフサイクルコストを低減する技術・エンジニアリングの実施を促す項目
工事目的物の性能・機能に関する項目
(1)ごみ質の実態、ごみの減少傾向に対応した設備構成・設備規模となっているか
(2)最終処分対象残さの性状
(3)提案されている技術システムの技術的な優位性がごみ質の実態等に即したものとなっており、技術の優位性が発揮されているか
(1)投入ごみ量に対する最終処分対象の残さ量の比率
廃棄物の良好な中間処理性能の発揮を求める項目
(4)安定的な稼働
(5)システムの簡略性
(2)安定稼働の実績(日数)
(3)主要設備機械の耐用年数
施設の高い信頼性の確保を求める項目
(6)高い耐震性能
(7)事故防止機能の充実
 
施設の高い安全性の確保を求める項目
社会的要請への対応に関する項目
(1)地域の環境への影響が小さい等環境保全型の施設
(1)排出ガス量、排出水量
(2)トータルでのCO2排出量
環境保全性能は要求要件としてほとんどクリアしていることが前提であるが、通常カバーされないものなどを追求する項目
(2)地域において資源循環型の機能を発揮
(3)資源回収量
(4)エネルギー回収量
(5)資源・エネルギー消費量
高い資源循環性、エネルギー効率性を求める項目
(3)開かれた施設
(4)地域の景観に融合
(5)地域振興につながる
(6)稼働による地域振興効果(雇用等)
地域とのつながりの確保を求める項目

  *循環型社会形成推進交付金の目的や、循環型社会・脱温暖化社会づくりを目指す必要があることから、CO2排出量、資源回収量、エネルギー回収量を重視すべき項目とすることが適切である。

 (7)技術提案の改善

  高度技術提案型の場合は、技術提案(見積設計図書を含む。)について審査を行った後、発注者と提案者の間でのやりとり(技術対話:提案者側からの説明と発注者側からの質疑応答、発注者からの指摘及び提案)を行い、技術提案の改善か又は技術提案の改善機会を与えることができる。この過程で、発注者の要求事項(発注仕様書)を満足していることを確認し、技術提案の確実性、安全性や技術優位性を十分に確認する。技術提案に不備がある場合は再提出を求め、不備を改善しない場合は競争参加資格を認めないことができる。また、改善要請事項は書面で提示する。なお、廃棄物処理施設建設工事の場合は高度な技術的知見や経験に基づき技術的判断を行うことが必要となるため、技術提案を審査するに当たって学識経験者や専門家の参画を得て審査体制を確保することが必要である。
  こうした技術対話の実施に当たっては、技術提案の提案者間に不公平が生じたりしないよう、また、技術提案が漏洩したりしないようにする必要がある。

 (8)予定価格の作成

  高度技術提案型の予定価格は、技術提案者からの工事費用の見積を参考に最も優れた提案が採用できるよう予定価格を作成することができる(品確法基本方針第2の3(4))こととされている。このため、要求条件を上回る性能の向上に見合ったコストを含めた予定価格を積算する場合には、技術提案に係る見積設計図書をもとに、第4章に示す方法による積算と技術提案者の工事費用の見積を詳細に検討し、学識経験者や専門家の意見を参考にして、予定価格を作成する。これまでの廃棄物処理施設建設工事の予定価格の作成は、多くの場合、競争参加者と目される複数のプラントメーカーから提出を受けた参考見積を根拠として行われてきたが、こうした方法が大都市を除き、全国各地の市町村で固定化することによって、予定価格が高めに設定されているのではないかとの疑念が生じている。また、第4章(3)②で述べた点も指摘されている。このため、技術提案者の見積から直接的に予定価格を作成することは、総合評価落札方式を導入する場合にあっても、行わず、第4章に示す積算方法を基本とするものである。

 (9)評価結果、技術提案の改善過程の公表

  入札から契約に至った後は、速やかに評価結果とともに技術提案の改善に係る過程の公表を行う。公表の内容は、提案書本体及び改善過程のうち各提案者の独自提案内容に関わる部分を非公表とし、技術提案の概要案や改善過程のうち改善要請及び改善状況の概略を公表する。提案者の知的財産保護の観点から、公表に当たっては提案者の了解を得て行うものとする。

 (10)技術提案の履行の確保

  提案内容はすべて契約内容となるため、技術提案に基づき履行できなかった場合のペナルティをあらかじめ定めておく必要がある。
  技術提案の不履行がかしに該当する場合は、速やかに改善することを求めるか又は損害賠償を請求する。かしに該当しない場合も、工事金額の減額を行う。いずれの場合も工事成績評定の減点対象とする。

第6章 廃棄物処理施設建設工事及び運営事業におけるPFI及び拡大性能発注等の導入

 (1)廃棄物処理施設建設工事に加え・運営を含む長期包括的な発注方式

  これまで、一般廃棄物処理施設の建設は、民間企業に発注し、その運営は市町村等が主体となって、民間企業への業務委託を取り入れつつ行ってきている。これでは、建設コストは価格競争により節減される可能性はあるが、維持管理コストの節減は図りにくい仕組みであった。
  しかも、実際には、施設建設を請け負ったプラントメーカーが、維持管理を実質的に請け負う(関連会社等が請け負う)ケースが多いことから、建設と運営をトータルで競争させることが建設工事及び運営事業の発注において、競争性を高める上で有効となる。そのため、廃棄物処理施設建設工事に加え、竣工後の長期包括的運営事業を一括した価格競争を求める拡大性能発注方式やPFI方式による発注により、運営(補修業務まで含む包括的業務のこと)を含めたトータルの事業での競争を導入することが有効である。
  こういった、長期間にわたる運営をも含めた契約により、ライフサイクルコストの節減を確実に図ることができる。その際、価格以外に、建設と運営のトータルについて、技術や様々な工夫も含めて提案を受けて、総合評価落札方式で選定することが適切である。

 (2)PFI事業

  ① 全般的事項

   国や市町村等の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指し、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が平成11年7月に制定され、平成12年3月にPFIの理念とその実現のための方法を示す「基本方針」が策定され、PFI事業の枠組みが設けられたところである。
   このPFI事業では、民間事業者の経営上のノウハウや技術的能力を活用することができ、また、事業全体のリスク管理が効率的に行われる(公共と民間の詳細なリスク分担による)ことや、設計・建設・維持管理・運営の全部又は一部を一体的に扱うことによる事業コストの削減が期待でき、また、従来、公共側が行ってきた事業を民間事業者が行うようになるため、官民の適切な役割分担に基づく新たな官民パートナーシップが形成されていくことも期待されているところである。
   近年、一般廃棄物処理施設の建設・運営事業にも、効率的に事業運営を図るPFI方式が導入されるようになってきた。このPFI方式には下表に示すとおり、様々なパターンがあるが、これらは廃棄物処理施設建設工事に加え、竣工後の長期包括的運営事業を一括して価格競争を求める発注方式であるため、ライフサイクルコストの節減を図ることができる。

表5 PFI方式の主なパターン
方式
形態
施設所有
資金調達
設計建設
施設運営
BOT方式
民間事業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)・所有し、事業期間にわたり維持管理・運営(Operate)を行った後、事業終了時点で公共に施設の所有権を移転(Transfer)する方式。
民間
民間
民間
民間
BTO方式
民間事業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)した後、施設の所有権を公共に移転(Transfer)し、施設の維持管理・運営(Operate)を民間事業者が事業終了時点まで行っていく方式。
公共
民間
民間
民間
BOO方式
民間事業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)・所有(Own)し、事業期間にわたり維持管理・運営(Operate)を行った後、事業終了時点で民間事業者が施設を解体・撤去する等の方式。
民間
民間
民間
民間
DBO方式
民間事業者が施設設計(Design)・施設を建設(Build)・施設の維持管理・運営(Operate)を行う。公共が資金調達を行い、設計・建設に関与し、施設を所有する。
公共
公共
公共/民間
民間

  ② アドバイザリー・コンサルタントの選定

   PFI事業を実施するには、前例の少ない煩雑な手続きを踏む必要があり、金融、法務、廃棄物処理技術等の専門家からの多面的なアドバイスの提供を受け実施する必要がある。
   そのため、実力のあるアドバイザリーコンサルタントを選定することが、PFI事業化成功のカギとなるが、選定に当たっては、PFIアドバイザリーの実績のみにあまりこだわらず、廃棄物処理施設の計画・建設事業についての十分な知識と経験を有するコンサルタントを選定する必要がある。選定に際しては、プロポーザル方式(第8章(1)で後述する)を採用し、また、既にPFI事業を導入した市町村等にも照会しながら、慎重に選定契約することが望ましい。

  ③ 要求水準書

   PFI事業による施設建設では、施設全体の入力条件(廃棄物の質と量など)と出力条件(公害防止条件、再資源化条件、処理残渣条件など)が主な要求水準となっており、受注する民間企業は極力コストを低減させようとするため、徹底的に余裕を省いた経済設計になり、安定稼動が危ぶまれるとの懸念がある。運営段階における安定稼働を行っていくためには、細部の設計仕様にまで気を配る必要がある。
   PFI事業の2大メリットとしては、公設公営の場合と比較し、①経済性の確保と②良質な公共サービスの提供がなされることが期待されている。廃棄物処理施設のPFI事業における良質な公共サービスとは、長期的な安定稼働性の確保がその本質であり、この点をないがしろにしたPFI事業化は適切でない。
   現状の安定稼働している施設と同水準の品質が確保されれば、安定稼働は可能なはずであるから、提案側民間企業と第5章(4)及び(7)に記したような技術対話を行い、建設と運営が一体となったプロジェクトについて、民間企業のエンジニアリング能力を引き出せるようにしていくべきであり、このためにも、価格のみで事業者選定を行うのではなく、総合評価落札方式で選定することが適切である。

  ④ リスク分担

   建設事業だけでなく、施設しゅん工後の運営までを含めて一括発注するPFI事業において、建設工事中はもちろんのこと、運営段階におけるリスク分担を詳細に設定することは非常に重要である。一般的な公共事業であれば、運営委託を受けた民間事業者は、受託しているだけなので、事業者側に故意などの重大なかしがない限り、運営途中における事故の発生や公害による第三者への賠償リスクは市町村側が負うものとなる。
   しかしながら、PFI事業のように官民の役割分担が明確な発注・契約方式を採用した場合には、リスクの移転が可能となるため、適切なリスク分担を行うことが重要となってくる。発注に際しては下表のようなリスクに関して、その原因によってどちらが負担するかということを、適切かつ詳細に設計し、提示する必要がある。

表6 分担する主なリスク例
段階
リスクの種類
リスクの内容
共通
契約締結リスク
契約を結べない、契約に時間を要する場合
内容変更リスク
業務範囲の拡充・縮小等
法令等変更リスク
当該事業に関する法令・規制等の変更
税制度変更リスク
法人税、消費税等の税制変更
許認可遅延リスク
事業者が取得する許認可の遅延や、補助金等に係るもの
第三者賠償リスク
騒音、振動、悪臭等公害による賠償請求があった場合
住民対応リスク
反対運動、訴訟等に関するもの
用地確保リスク
当該事業用地の確保に関するもの
事故の発生リスク
事故が発生した場合
環境保全リスク
環境に影響を及ぼす場合
延期、中止等リスク
議会の不承認、事業者の事業放棄、破綻等によるもの
物価変動リスク
インフレ、デフレの場合
金利変動リスク
借入利子等に影響する場合
不可抗力リスク
天災、暴動等によるもの
計画・設計
資金調達リスク
必要な資金の確保に関するもの
測量・調査リスク
地形、地質等現地調査の不備による計画変更等のリスク
設計リスク
設計に関するもの
建設
工事遅延リスク
工事の遅延等による供用開始遅延リスク
工事費増大リスク
工事費増大によるリスク
性能リスク
要求水準を満たせなかった場合のリスク
運営
計画変更リスク
事業内容・用途の変更に関するもの
供給リスク
計画ごみ量の確保、ごみ質の変動に関するリスク
施設損傷リスク
不可抗力を除く、事故等による施設の損傷リスク
性能リスク
要求性能を満たせなくなった場合
運営費増大リスク
運営不備によるコスト増大の場合

   市町村等は、廃棄物処理を停滞させることはできないことから、リスクを事前に把握し、発生要因に対する事前対応(事業者による設計・施工監理の信頼性を確保するための仕組みの契約への盛り込みなど)と、発生後の影響を最小限に食い止めるための事前対応(市町村等と事業者間で係争なく責任分担を行うための対応など)が重要となる。このため、提案事業者側とリスクを明確に認識、共有することが重要であり、事業者選定審査時にリスクと対応策について、市町村等と提案事業者側で対話を行うことが有効である。
   また、市場で入手可能、経済的合理性がある範囲で、保険を付保することも有効である。保険付保のできない事由に対しては、できる限り官民(事業者、出資企業群)であらかじめ費用分担を決めることが係争を避け、迅速な事後対応を可能にできるので有効である。
   PFI事業だからリスクが高いということではなく、PFI事業に即したリスクマネジメントの方法を検討し、安全性を担保する仕組みを確立し、導入していくことが重要である。
   PFI事業の的確な導入促進のため、環境省においても、今後、PFI導入を行った市町村等やSPC(Special Purpose Company:特別目的会社)から情報収集し、リスク要因を類型化し、リスクへの対応を検討し、市町村等及び民間企業にフィードバックすることに取り組む予定である。

  ⑤ 市町村による事業のモニタリング

   PFI事業を行う場合、民間事業者が行う廃棄物処理事業の水準の確保、事業の継続性を担保するため、民間事業者による公共サービスの履行に関し、契約に従い適正かつ確実な事業の実施がなされているかどうかを確認していくことが重要であり、市町村の責任において、民間事業者が行う廃棄物処理事業の水準を監視しなければならない。
   PFI事業では、設計段階から将来の維持管理を含めたライフサイクルコストを視野に入れ、将来の維持管理を低コストで行うための工夫がされているケースが多く、また、性能発注を前提とすることが通例であるため、民間事業者は要求水準書を満たす範囲で徹底的な施設の経済設計を行い、結果として安定稼働が危ぶまれるケースがあることは前述のとおりである。このため、市町村はあらかじめ具体的な指標を設け、施設の設計、建設、運営が適切に実施されているかどうかをモニタリングすることが必要である。
   「民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する事業の実施に関する基本方針」において、適正な公共サービスの提供を担保するための考慮事項として、①市町村が民間事業者によるサービス水準を監視することができること ②市町村が民間事業者から、定期的に事業の実施状況報告書、公認会計士等による監査を経た財務状況報告書を求めることができること ③事業の実施に重大な悪影響を与えるおそれがある事態が発生した場合に報告を求めることができること ④公共サービスの適正かつ確実な提供を確保するために、必要かつ合理的な措置と、市町村の救済のための手段を予め定めておくこと ⑤PFI事業契約等の規定の範囲を超えた市町村の関与は、安全の確保や環境の保全に対する検査等合理的な範囲に限定することが示されており、事業契約で事前に監視の方法、係争が生じた場合の協議規定等について合意しておくことなどが示されている。これらは、業務要求水準書やPFI事業契約書(案)で事前に具体的に示しておく必要があり、民間事業者の募集段階において、詳細な発注仕様書とPFI事業の評価基準、評価手法や評価体制、対価支払いの考え方、債務不履行時のペナルティ等について具体的に規定しておくことが重要である。

第7章 廃棄物処理施設建設工事の技術支援

 (1)CM(Construction Management)方式について

  ① CM方式とは

   CM方式は「建設生産・管理システム」の一つであり、専門的知識を有する者が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理など多種多様な業務に関する代行者・補助者(Construction Manager(CMR))として、各種マネジメント業務の全部または一部を行うものである。この方式は1960年代に米国で始まった建設生産・管理システムであるが、近年、我が国においても、土木・建築分野で民間事業を中心にCM方式の活用が進められている。
   市町村が発注する廃棄物処理施設建設工事においても、CM方式の活用を図ることにより、市町村の技術力不足をカバーし、適正な価格と性能保証が担保され、施設の円滑な整備がより容易になると期待できる。もとより、CM方式の導入には市町村等に費用負担を伴うが、市町村等にとって適正な価格と性能保証が担保されるという効用がある。
   このCM方式は、CMRが工事に関するリスクを直接負うかどうかによって、2つの形態に大別される。具体的には、①発注者が設計会社やプラントメーカーと契約を締結し、設計審査・施工について最終的な責任を負うピュアCM(CMRはマネジメント業務のみを行う。)と、②CMRが発注者の同意を得た上で、設計会社やプラントメーカーと契約を締結し、マネジメント業務に加えて施工に関するリスクを負うアットリスクCMの2類型である。これを廃棄物分野に当てはめると、建設コンサルタントがピュアCMを、プラントメーカーがアットリスクCMを行うことが考えられる。

  ② ピュアCM

   廃棄物処理施設は化学、電気、機械設備などが複合した総合的な施設であるが、現状の建設コンサルタントには、事業全体についてのマネジメント業務を行う技術力が必ずしも備わっていないところもあるが、将来的には、ピュアCMを行うことができるように目指すべきであろう。すなわち、ごみ焼却施設の例で言えば、化学工学、機械工学、電気工学、土木工学などの専門技術と、これらをシステム化する技術を有する人材を備え、設計から施工にとどまらず、計画から維持管理までを含めて発注者のアドバイザーとなることを目指すべきであろう。なお、ピュアCMについてもCMRがどのような責任を分担するか今後整理する必要がある。

  ③ アットリスクCM

   また、プラントメーカーの場合には、メーカー間で技術内容の開示がされなければ、CMが困難となる可能性があるが、プラントメーカー間での技術のクロスライセンス契約が行われたり、施設建設と施設の運転管理・補修が別々の企業で分担している例もあることから、アットリスクCMが、将来的には新しいスタイルとして導入される可能性も考えられる。
 注)アットリスクCMは、わが国における導入事例はまだ少なく、詳細についてはさらに検討が必要である。例えば、市町村等とCMRとの間に交わされる契約形態は委任契約となるのか、または請負契約となるのかについては、請負とすれば一括下請負禁止に該当するのではないか等の課題について整理する必要がある。
  なお、廃棄物処理センターの場合であれば、東京都の第三セクターである東京都地下鉄建設(株)が導入した新交通日暮里・舎人線車両基地整備事業のアットリスクCM方式を参考にできると考えられる。

  ④ CM方式導入による効果

   廃棄物処理施設建設工事において、CM方式(当面は②のピュアCM)の導入により期待される効果は、設計・施工監理やマネジメントを中心とした発注者支援であり、下表のように整理される。

表7 CM方式導入による効果
 
発注段階
施工段階
発注者側の体制の強化
①関係機関調整の支援による事業の円滑化
②短期的・集中的な業務執行への対応
同左
品質確保
①発注仕様書精査によるミス削減
①設計照査による設計ミス削減
②きめ細かい工事品質管理
コスト・工程マネジメント力の強化
①発注業務支援による手続き期間の短縮
①事前のリスク管理による工事コスト増加の防止
②計画工程に対する進捗評価と調整

  ⑤ 留意事項

   CMRは発注者の補助者・代行者であることから、発注者の利益を守ることが最大の任務であり、発注者との信頼関係が大前提となるため、高い倫理性が要求されることになる。資質や能力のない者がCMRとなることで、発注者のリスクやコストが増加するおそれがあることに留意しておく必要がある。

 (2)その他

  市町村の廃棄物処理施設整備事業の計画について、必要な専門的知識・経験を補完するための中立的な組織による、次のような技術指導業務がある。
  なお、環境省においても、既存の取組も踏まえつつ、今後専門家集団の組織化(参考資料編(2)参照)を検討していく。

  ① 技術指導業務の内容

  1.    ⅰ 廃棄物処理施設の計画段階において、市町村自身が作成またはコンサルタントが作成した計画・設計図書を検討し、助言を行う。
  2.    ⅱ 発注段階における見積設計図書を検討し、助言を行う。
  3.    ⅲ 建設段階において、受注業者が提出する実施設計・施工図等の検討と、ポイント的に建設現場をチェックし、助言を行う。
  4.    ⅳ しゅん工前の引渡性能確認試験に立ち会い、助言を行う。
  5.    ⅴ かし担保処理についての助言を行う。

  ② 技術支援業務の実施組織

  1.    ⅰ (社)全国都市清掃会議
  2.    ⅱ (財)東京都環境整備公社技術部
  3.    ⅲ (財)大阪市環境事業協会技術部
  4.    ⅳ (株)福岡クリーンエナジー技術部(第3セクター)

第8章 廃棄物処理施設建設工事に係る建設コンサルタント等の発注・選定に係る留意事項

 廃棄物処理施設建設工事における建設コンサルタントの役割は、本来、発注者である市町村等をサポートし、公平・公正な競争の下で品質の確保された廃棄物処理施設建設工事が実施されるようにすることにある。しかしながら、第3章(5)でも述べたとおり、建設コンサルタントと受注を希望するプラントメーカー等の施工会社の癒着といった不透明な構造が指摘されている。廃棄物処理に係る建設コンサルタント等の各社及び関係団体は、このような指摘を受けていることを真摯に受け止め、自ら正すべき点は正し、世の中の信頼回復に努める必要がある。このような取組を前提とし、本章では、発注者である市町村等が建設コンサルタント等を発注・選定する際に留意すべき事項や検討すべき事項を提示する。
 まず、廃棄物処理施設建設工事における建設コンサルタント等の発注・選定は、第3章(5)及び(6)でも述べたとおり、これまで、廃棄物処理施設建設工事の計画・基本設計業務を落札した建設コンサルタントがその後の業務についても受注することが多く、計画・基本設計段階での業務を必要以上に安値、低価格で入札するインセンティブが働く構造になっている。そこで、第3章(6)で述べたとおり、計画・基本設計業務、発注者支援業務、施工監理業務をそれぞれ別のコンサルタントに発注・契約することを基本とし、さらに、設計図書・計算書作成・測量等の定型的業務を除くいわゆる知的業務については価格のみによる選定方式(最低価格自動落札方式)を再考し、価格と技術の両面で優れた提案、業務を調達できるようにすることが適切である。

 (1)価格と技術の両面で優れた提案・業務の調達を行う方式(公募型プロポーザル方式)

  品確法基本方針に定められているとおり、廃棄物処理施設建設工事のような公共工事の品質確保に当たっては、公共工事に関する調査及び設計の品質が公共工事の品質確保や総合コストの縮減を図る上で重要な役割を果たし、公共工事に関する調査・設計の契約においても、価格のみによって契約相手を決定するのではなく、技術提案を求め、その優劣を評価し、最も適切な者と契約を結ぶこと等を通じ、その品質を確保することが求められる。
  このため、本手引きでは、技術力の評価に重きを置いてコンサルタントを公募し、選定する方式、すなわち公募型のプロポーザル方式による廃棄物処理施設建設工事に係る建設コンサルタントの選定を推奨する。
  公募型のプロポーザル方式による建設コンサルタント等の選定に当たって、市町村等は、地方自治法に基づき一般競争入札(総合評価落札方式)、指名競争入札(総合評価落札方式)又は随意契約のいずれかの方法により行うこととなる。つまり、公募によるプロポーザルを求めるという競争的なプロセスを発注段階で導入し、選定段階で価格と技術提案の総合評価により選定する一般競争入札又は指名競争入札による総合評価落札方式とするか、最も適切な者を特定し随意契約とするか、地方自治法に従っていずれかの方法を選択することになる。

  ① プロポーザル方式とは

   市町村等(発注者)が廃棄物処理施設建設工事のような特定プロジェクト(業務)の内容とその遂行において高度の技術または専門的技術が特に必要と判断した場合に、発注者が複数のコンサルタントに対しプロポーザル(主に技術提案書等)の提出を求め、各コンサルタントの技術的課題の解決方法や対応姿勢等を評価することにより、技術力の評価に重きを置いて委託するコンサルタントを選定する方式である。プロポーザル方式は、「総合評価型」と「技術評価型」の2つに分類できる。主な特徴は下表のとおりである。

表8 プロポーザル方式の種類と特徴
 
総合評価型
技術評価型
方式の概要
技術提案の内容及びコンサルタントの業務分野技術者の能力を、総合的に評価することにより特定する方式
コンサルタントの技術者能力に重点を置いて、評価することにより特定する方式
技術提案書に求める事項
業務に関する技術者の経験等を問うもの及び業務内容に関する技術提案を問うもの。
業務に関する技術者の経験等を問うもの及び業務内容に関する技術者の取組姿勢を確認するもの。
技術提案書(経験等を除く)
「特定テーマに対する技術提案書」実施方針等のほか、具体的な取組方法の提示を求めるテーマに対して、「業務の実施方針、業務フロー、工程計画」に係る技術提案書を作成する。
「業務着眼点、実施方針など取組姿勢」業務の取組姿勢(業務着眼点、実施方針等)について技術提案書を作成する。
ヒアリング
原則として実施する。
原則として実施する。
評価方法
技術者の資格、同種・類似業務実績、手持ち業務量と技術提案書の内容、ヒアリング結果を総合的に評価し、特定する。
技術者の資格、同種・類似業務実績、手持ち業務量と技術提案書に基づいたヒアリング結果を評価し、特定する。ただし、評価の着眼点は、専門技術力と専任制となる。

  ② プロポーザル方式を採用する際の留意点

  •   ・ プロポーザル方式における発注者の募集要項(仕様書)の主な項目は、趣旨・委託目的・策定方針・経過・委託内容・調査事業等であるが、発注者が求めたい業務範囲とそれに関連する情報を極力盛り込むことが必要である。
  •   ・ 技術提案書のヒアリングは必ず実施するものとし、建設コンサルタント側の業務実施の担当者及び最終成果への責任者に対し、面接チェックを行い、コンサルタントの適正な選定評価を行うものとする。また、責任者の手持ち業務量を確認し、責任者が当該業務に責任を持って、業務遂行に当たることができるかを評価することも必要である。
  •   ・ プロポーザル方式を採用する目的は、価格のみによる競争とは異なり、予定価格内の金額でコンサルタントの様々な創意工夫をした技術提案を要求することであるため、設計図書作成、計算書作成、測量等の定型的な業務を除き、見積重視の評価によりコンサルタントを選定することは避けるべきである。
  •   ・ 見積価格と技術提案を総合して評価する場合には、一般的に、全体評価のうち見積価格のしめるウエイトは低くなる。
  •   ・ 第3章(6)に記述したように、計画・基本設計業務と発注者支援業務と施工監理業務は、それぞれ別々に発注し、競争的に選定し、契約することを基本とすべきである。
  •   ・ なお、建設コンサルタントのプロポーザル方式による委託契約の事務処理については、国土交通省において、各種通達が発出されているので、廃棄物処理施設建設工事においても、これら通達を参考とすることができる。

 (2)積算方法

  廃棄物処理施設設計業務に係る標準歩掛はないが、「厚生労働省水道施設整備費国庫補助事業に係る歩掛表」設計業務委託標準歩掛等、類似の標準歩掛を参考にし、予定価格を作成することが可能である。不当な低入札を防止するため、発注者支援の業務内容を明確化し、適正な対価が報酬として支払われるように、業務の具体的事項と業務量を明確にし、積算単価を設定し、予定価格を設定することが必要である。

 (3)技術者の配置

  建設コンサルタントの技術力の確保を担保するため、案件ごとに専任の技術者(技術士の資格を有し、案件について責任を有する技術者等)を決定するなど、能力を超えた受注を防止し、技術者の適正な配置を行うことが必要である。
  市町村等において、コンサルタント選定前には、専任の技術者の手持ち業務量を把握し、選定後には専任技術者の配置が確保されるようにすることが適切である。

 (4)発注支援業務の公正・中立性の確保

  廃棄物処理施設建設工事に係る建設コンサルタントは計画・基本設計段階の業務、発注段階の発注者支援業務及び施工監理業務を行っているが、特定のプラントメーカーやゼネコンとの利害関係が無いこと等の中立性の確保が不可欠である。
  このため、第3章(6)にあるとおり、計画・基本設計業務と発注者支援業務と施工監理業務は、それぞれ別々に発注し、競争的に選定し、契約することを基本とすべきである。図5にこの考え方を踏まえて、建設コンサルタントの業務内容・フローを示す。
  また、ここでいう発注者支援業務とは、技術審査支援、予定価格作成支援、学識者等の委員会運営支援、その他発注・契約事務支援などであるが、発注者支援の業務内容を明確化し、適正な対価が報酬として支払われるようにすることで、建設コンサルタント間の競争が促され、技術力の向上が期待される。さらに、将来的には、建設コンサルタントの責任分担を明確にしつつ、建設コンサルタント自身が第7章(1)に提示したプロジェクト自体のマネジメントをするピュアCMを行えるような、発注者のアドバイザーになることを目指すべきものと考えられる。


図:図5 廃棄物処理施設建設工事に係る建設コンサルタント等の業務の概要
図5 廃棄物処理施設建設工事に係る建設コンサルタント等の業務の概要

第9章 廃棄物処理施設建設工事の契約事務処理上の留意事項

 (1)違約金特約条項

  先般、国土交通省は「工事における違約金特約条項の強化について」(平成17年9月28日付国土交通事務次官通達)において、これまでの請負代金額の10%としていた違約金特約条項を、一部の悪質なケースについて、15%に引き上げた。この条項が適用される不正行為は、①当該契約に関し、受注業者が独占禁止法第3条または第8条第1項第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が同法第7条の2第1項の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、これが確定した場合と、②当該契約に関し、刑法第96条の3または独占禁止法第89条第1項若しくは第95条第1項第1号に規定する刑が確定した場合としており、これに加え、さらに悪質なケースについて、違約金を引き上げている。違約金特約条項の設定は、入札談合等の不正行為に対する抑止力となることから、発注者となる市町村においても、これを参考に積極的な導入・強化を図る必要がある。(【(参考)違約金特約条項の契約例】参照)

 (2)総合評価における落札者の提示した性能等の履行の確保(再度の施工、契約額の減額、損害賠償)

  施設竣工後において、契約内容どおりに施工されたかどうかを確認することは当然のことであるが、こと総合評価落札方式では、標準的な方法と異なる工事方法や技術を用いて工事の品質の向上を目指すものであるため、契約どおりに履行されたのかどうかの検証は非常に重要である。
  契約に盛り込まれた性能等の成果がしっかりと達成されているかを検証を行うことはもちろん、総合評価落札方式による契約の中には、周辺住民等に対する工事途中での影響の低減といった内容が含まれる場合があるので、契約内容が履行されたかどうかの検証は、適切な時点、期間を設定して検証する必要がある。
  また、万が一、契約内容がしっかりと履行されていなかった場合を想定し、契約時に内容と水準を明確に提示したペナルティ事項(再度の施工、契約額の減額、損害賠償など)を決めておかなければならない(下表【技術提案内容不履行に対する評価内容の担保の考え方】参照)。そのため、検証の方法等について、受注業者等と疑義が生じないようにしておくことが重要である。
  ただし、ペナルティ事項は、積極的な技術提案意欲が削がれるような過度の重責とならないように配慮することにも留意する必要がある。

【(参考)違約金特約条項の契約例】

違約金に関する特約条項
第1条 発注者(以下「甲」という。)及び請負者(以下「乙」という。)が平成 年 月 日付けで締結した[工事名]の請負契約(以下「本契約」という。)に関し、乙(共同企業体にあっては、その構成員)が、次に掲げる場合のいずれかに該当したときは、乙は、甲の請求に基づき、請負代金額(本契約締結後、請負代金額の変更があった場合には、変更後の請負代金額。次項において同じ。)の10分の1に相当する額を違約金(損害賠償額の予定)として甲の指定する期間内に支払わなければならない。
 一 本契約に関し、乙が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第3条の規定に違反し、又は乙が構成事業者である事業者団体が同法第8条第1項第1号の規定に違反したことにより、公正取引委員会が乙に対し、同法第48条の2第1項又は第54条の2第1項の規定に基づく課徴金の納付命令を行い、当該納付命令が確定したとき。
 二 本契約に関し、乙(法人にあっては、その役員又は使用人を含む。次項第2号において同じ)の刑法(明治40年法律第45号)第96条の3又は独占禁止法第89条第1項若しくは第95条第1項第1号に規定する刑が確定したとき。
2 本契約に関し、前項第2号に規定する場合に該当し、かつ、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当したときは、乙は、甲の請求に基づき、前項に規定する請負代金額の10分の1に相当する額のほか、請負代金額の100分の5に相当する額を違約金として甲の指定する期間内に支払わなければならない。
 一 前項第2号に規定する刑に係る確定判決において、乙が違反行為の首謀者であることが明らかになったとき。
 二 乙が甲に○○市○○○規則第○○条の規定に抵触する行為を行っていない旨の誓約書を提出しているとき。
第2条 乙が前条の違約金を甲の指定する期間内に支払わないときは、乙は、当該期間を経過した日から支払をする日までの日数に応じ、年5パーセントの割合で計算した額の遅延利息を甲に支払わなければならない。
この契約の証として本書2通を作成し、当事者記名押印の上、各自1通を保有する。
平成 年 月 日
発注者住所
氏名     印
請負者住所
氏名     印
注)請負者が共同企業体を結成している場合においては、請負者の住所及び氏名の欄には、共同企業体の名称並びに代表者及びその他の構成員の住所及び氏名を記入する。

表9 技術提案内容の不履行に対する評価内容の担保の考え方

引渡前
引渡後
  • ・修補請求
  • ・修補不可能な場合は、契約金額の減額または損害賠償の請求
  • ・工期遅延の場合には、履行遅滞に伴う損害賠償の請求
  • ・いずれの場合も工事成績評定の減点
  • ・修補請求
  • ・修補が困難または合理的でない場合、損害賠償の請求
  • ・いずれの場合も工事成績評定の減点

 (3)低入札価格調査制度

  「廃棄物処理施設整備費国庫補助事業の適正執行について」(平成15年10月27日付環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通知)において、原則として最低制限価格を設定せず、低入札価格調査制度を活用すべきことを各都道府県を通じて、各市町村に対し周知しているところである。低入札価格調査制度とは、非常に低価格での入札があった場合に、当該価格で契約内容の適正な履行が可能かどうか、または、公正な取引の秩序を乱すことがないかを市町村等が調査する制度である。低入札価格調査制度を導入するに当たり、市町村等は、事前に調査基準価格を設定し、その金額未満で入札が行われた場合に、落札者の決定を留保した上で、入札者に調査書類を提出させ、低入札に係る調査を行い、その結果、契約内容の適正な履行が可能と認められ、かつ公正な取引の秩序を乱すことがないと認められる場合には、当該入札者を落札者と決定し、認められない場合には、次順位者を落札者とする。
  また、適正な履行が可能であり、秩序を乱すことがないと認められ、低価格で受注業者が決定した場合には、手抜き工事とならないよう、施工監理をしっかりと行うことも重要である。
  なお、契約内容の適正な履行がされないおそれがあると認められる基準について、国土交通省では、入札価格が、契約毎に3分の2から10分の8.5の範囲内で契約担当者の定める割合(※)(直接工事費+共通仮設費+現場管理費×1/5)を予定価格に乗じて得た額に満たない場合としているので、参考とされたい。
(※)予定価格を基準として、予定価格の積算のうち、現場管理費を1/5とした額で、かつ、予定価格全体の2/3~8.5/10の範囲内で要調査額を設定している。

第10章 廃棄物処理施設建設工事の契約後の留意事項

 (1)入札結果の情報公開

  入札及び契約に関する透明性の確保は、公共工事の入札及び契約に関し不正行為の防止を図るとともに、国民に対してそれが適正に行われていることを明らかにする上で不可欠ある。このため、入札及び契約に係る情報については、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律において、国、特殊法人及び市町村等は、発注者の決定に至る行政内部の事務執行や判断過程を公表することが義務づけられているところである。併せて、これらの情報を公表することによって、落札価格情報の入手を目的として行われる不正行為を排除すること可能とが考えられる。
  このため、廃棄物処理施設建設工事の入札案件ごとに、入札者の名称及び入札金額、落札者の名称及び落札金額及び策札率などの入札及び契約に係る事項を契約締結後遅滞なく、ホームページを使うなどして一年間公表するものとする。こうした入札金額、落札金額、落札率等の情報を公開することは、受注者に対する牽制効果・監視効果も期待できると考えられ、発注者である市町村等として積極的に取り組む必要がある。
  なお、総合評価落札方式により入札を行った場合には、各入札者の名称及び入札金額、落札者の名称及び落札金額に加え、各入札者の技術評価点、価格評価点や入札者の評価値について公表する必要がある。

 (2)予定価格の事前公表制度

  市町村等においては、予定価格の事前公表については、法令上の制約がない。このため、例えば、価格以外の要素を含め評価する場合に公正な入札が実施されるならば、技術や提案内容による競争が促されると考えられる。予定価格については、入札の前に公表すると、予定価格が目安となって競争が制限され、落札価格が高止まりになること、建設業者の見積努力を損なわせること、談合が一層容易に行われる可能性があるとされている。このため、事前公表の実施は、こうした弊害が生じうることを踏まえ、事前公表の適否について十分検討した上で、こうした弊害が生じることがないよう取り扱う必要があり、弊害が生じた場合は事前公表をとりやめることを含め適切な対応が求められる。

第11章 Plan Do Seeサイクルによる評価の実施

 (1)基本的考え方

  市町村においては、本手引きを参考にして入札・契約方式の改善策を検討(Plan)し、改善策を導入し(Do)、その効果を確認・評価する(See)ことが必要である。
  そして、評価の結果は納税者である住民に対して公表し、次の廃棄物処理施設の建設工事が数年後に予定されていれば、評価の結果を次回の入札・契約の方法に反映し、さらなる改善に活かすことが適切である。また、次の廃棄物処理施設の建設工事の予定が当面無い場合にも、施設の運転管理などのその他の廃棄物処理分野の公共調達における入札・契約の方法に活かすことが可能である。
  さらに、個々の市町村の評価結果を市町村間で相互に共有することができれば、ある市町村の取組を参考にして別の市町村がより良いやり方で取り組むことが期待され、こうしたことを積み重ねることで、廃棄物処理施設建設工事分野における入札・契約方式のさらなる進歩につながると考えられる。このため、評価結果については、市町村間で相互に共有できるよう、環境省で構築する入札・契約情報データベース(参考資料編(1))の中に取り入れていく予定である。

 (2)評価の方法

  評価の方法は、個々の市町村ごとに検討することが基本であるが、廃棄物処理施設建設工事分野の標準的な評価の方法として、本手引きでは以下の方法を提示する。なお、改善策の導入前後で比較評価することが可能であれば、導入前後での比較評価が中心となるが、過去の廃棄物処理施設建設工事の時期から相当年数経過している場合などは、価格や技術などが相当程度変わっていることから、導入前後での比較評価を行う必要はない。

  ① 評価の項目

   入札・契約方式の改善は、競争性と透明性を高め、長期的かつ総合的に経済性と品質の優れた工事の施工(施設の建設だけでなく運営も契約する場合には事業の実施)を目指すものである。したがって、評価の項目は下表に示すように、経済性が向上したかどうか、工事・事業の品質が向上したかどうかの2点を中心とし、これらに加えて競争性・透明性が向上したかどうか、方法・手続きの妥当性や課題を評価することとする。
   また、必要に応じ、落札企業やその他の競争参加企業等から改善策についての意見をヒアリングやアンケートにより把握することも考えられる。

  ② 評価の時期

   評価は、施設建設だけでなく建設後の運営がトラブルなく行われることを確認した時点で行うことが望ましい。このため、原則として、稼働後1年を経過した時点から1年分の実績データを用い、稼働2年目の時点で評価を行うことこととする。建設後運営時にトラブルがあり修補が必要となった場合などは、例えば、修補の内容を含めて評価することが必要となるため、修補の内容が確定した時点で評価を行うことが適切と考えられる。

  ③ 評価の公表等

   ここでの評価は、市町村が自ら行うものであるが、入札監視委員会など専門家を活用し第三者の客観的な視点・意見も聞きつつ行うことが望ましい。また、評価結果については納税者である住民に公表する。

表10 評価の項目の例示
評価の項目
定性的な評価
定量的な評価
経済性の向上
  • ●契約価格を予定価格と比べた際に実現されたコスト低下の内容の分析(何のコストが下がったのか。)
  • ●コスト低下の内容が工事の品質を犠牲にするものではないかどうか。
  • ●契約価格を予定価格と比較するほか、当該市町村の既存のケースか、または、比較可能な他市町村のケースと比較する。
  • ●可能な場合は施設の運転管理費についても同様の比較評価を行う。
  • ●ライフサイクルコストなどトータルでのコスト縮減になっているかどうか。
  • ●PFI等や可能な場合は、Value for Moneyの向上を確認する。
工事・事業の品質の向上
  • ●発注仕様書の要求水準と比べて工事・事業の品質の向上が図られたかどうか。
  • ●工事・事業の品質の向上が図られたのはどのような点か。
  • ●安定的な処理や最終処分量の減量、資源・エネルギー回収等の面から意義のある品質の向上かどうか。
  • ●発注仕様書の要求水準と比べてどれくらい性能が向上しているか。(発電効率、資源回収効率、最終処分される残さ率などを比較する)
  • ●品質の向上によって、得られる経済的メリット。(売電収益の増加、最終処分費用の削減など)
競争性・透明性の向上
  • ●競争参加企業の数。可能な限り、入札・契約情報データベース等から得られる他の事例と比較する。
  • ●発注者である市町村が通常公開すべきとされている情報項目について、公開の程度。
  • ●改善策の導入によって、競争性・透明性の面でどのような変化があったかを分析する。
方法・手続きの妥当性と課題
  • ●例えば総合評価落札方式の場合、設定した評価項目の妥当性、落札者決定を左右した評価項目や配点の妥当性について分析する。
  • ●事務手続き上の負担など改善策の課題を明らかにする。

おわりに


 入札談合疑惑は、本手引きを最終的にとりまとめている段階においても、メディアに大きくとりあげられ、プラントメーカーや建設コンサルタントが捜査を受けたとされ、談合をつくりあげている構造が指摘されている。
 これらのことは、最終的には、発注者である市町村等の信頼を損なうことにもなると受け止める必要がある。本手引きは、最近、制度化されてきている新たな入札契約方式等を活用することにより、今起こっている問題への解決の方向性を提示している。
 市町村等が本手引きを活用し、入札契約の方法を今後改善していくに当たって重要なことが2点ある。
 一つは、まず、発注者である市町村等自身が意識を変えていく必要がある。つまり、発注者である市町村等は、納税者から預かった資金で良い調達をしよう、良い廃棄物処理施設建設事業をしようという原点に立ち返り、自らの発注業務に取り組むことが最も重要である。その中で、本手引きで提案している方策を活用し、良い調達につなげていくことを望みたい。
 もう一点は、本手引きの考え方として中核を占めている、性能発注方式についてである。性能発注方式は、予定価格の決め方・考え方や、性能発注の場合の契約事項(何を同意するのか、付随してかし担保をどう考えるか)等、中身の議論をしていかなければならない課題があると考えられ、実例・実績を重ね課題をきちんと解決していく努力をする必要がある。このため、市町村等と国が協力して取り組む必要がある。市町村等は、手引きに提案されている方策を活用し、国はデータベースの構築や専門家集団の構築に取り組む必要がある。そして両者が協力して、本手引きの内容をより良いものに見直していくことが重要である。
 今後、市町村等は、廃棄物処理事業を経営の視点からとらえ、安全・安定的な事業を第一としながら、効率的で質の良い住民サービスを提供していく方向を目指していかなければならない。その過程では民間の能力の活用がこれまで以上に拡大し、良い公共調達の重要性がますます高まる。市町村等が本手引きで提案している方策を活用することで、良い公共調達が実現されることを願ってやまない。

参考資料編

 (1)環境省における支援策-入札・契約情報データベースの構築

  廃棄物処理施設建設工事を行う市町村において、毎年十数件から二十数件に及ぶ各市町村等における廃棄物処理施設建設工事における入札・落札額(工事費用内訳書を含む。)や、しゅん工時における市町村等の工事成績書などの情報を獲得しこれを用いることができれば、より客観的な予定価格の算出や適正な工事の施工確保に役立てることができる。
  そこで、各市町村において個々にこうした情報収集をしなくても済むように、環境省においてこうした情報を収集し、必要な解析を行い、市町村が利用できるデータベースや、相互に情報交換することが可能な仕組みを構築する。具体的には、予定価格の算出に反映できるようにするため、工事費用内訳書に遡り、プラント設備の設備別の工事単価の分析ができるベースで入札・落札額等の情報を各市町村等から収集・集約し、高値設定された価格に基づくデータベースとならないよう仕様と価格について客観的な分析を加えた上で、テータベース化して、市町村等にフィードバックする。また、入札・落札額などを広く全国ベースで公開することで、副次的な効果として、プラントメーカー等の公正な競争を促し、適正な価格の形成にもつながることが期待される。あわせて、価格だけでなく、プラントメーカー等施工会社及び建設コンサルタント等の工事成績評定の結果についてもデータベース化し、市町村等で共有することで、民間企業の工事品質の向上を促すことが期待できる。
  データベース構築に当たっては、施設建設後の維持管理に要する経費、処理施設運転時の技術情報、プラントメーカーや維持管理サービス会社の技術レベルといった情報、PFI事業の運営状況等についても、市町村が相互に情報を共有することができれば、不足している知識やノウハウを補うことできるため、こうした運営時の重要な情報についても収集し、フィードバックすることを検討する。このほか、総合評価落札方式等の実施状況、第11章の評価結果についても、同様に情報共有することを検討する。また、収集する具体的な情報項目については、早急に決定し、平成18年度から発注事例等の情報を収集し、データベースに蓄積させ、平成19年度から具体的に情報提供ができるよう努めるものとする。

 (2)環境省における支援策-市町村等の契約事務をサポートする専門家集団の組織化

  中小規模の市町村における廃棄物処理施設建設工事は、20年に1回程度の事業となるため、知識・経験の蓄積が十分な職員が不足していたり、発注業務に対応できるような職員配置がなされていない。環境省は、このような不十分な市町村等の体制をサポートするため、公正・中立な立場にある専門家や高い技術力を保有する大都市職員及び関係者などからなる専門家集団の構成を支援することで、個別案件や全国的な価格動向などについて、技術的な評価・分析が行えるようにすることが適切である。既に、廃棄物処理事業を担う市町村等を会員とする(社)全国都市清掃会議において、会員市町村等に対する技術支援業務を行っており、地域的にも東京都、大阪市等においてこうした技術支援業務が行われている(第7章(2))。
  こうした現在の取組を踏まえ、今後、環境省において、大都市を中心に協力を呼びかけ、市町村等がその組織の中で育成した廃棄物処理施設建設工事のプロジェクトマネージャーとして職務に当たってきた廃棄物処理施設建設・運営の専門家(現役及びOB)からなる専門家集団の組織化を図るべく努める。この際、現役職員の場合には身分上貢献できる役割が限られることから、専門家集団における現役専門家の役割は、全国的な価格や技術の評価・分析といった全国の市町村に還元するような共通事項に関する役割とする等、専門家が貢献できる役割の範囲を考慮する必要がある。その上で、大都市を中心とする市町村等から専門家の推薦をしてもらい、また、高い技術的識見を有するプラントメーカー等の退職技術者の探索にも努め、一定の専門家リストを作成することが想定される。そして、こうした専門家集団の応援業務の事務を管理し遂行する体制も必要となることから、現在、こうした業務を実施している既存組織の活用を中心に、実効性のある、支援体制の仕組みづくりを検討する。
  また、支援の方法としては、市町村の職員が自らの職務について主体的に取り組むことを前提とし、専門家が個別事案ごとに市町村側に立ってアドバイザリー業務を行うという方式と、事業計画中の市町村等の職員を対象とする研修による方式など、いくつかのバリエーションも考えられる。全国の市町村職員の専門的能力を大都市職員と同レベルにすることは困難であっても、発注者として責任を持って業務を担当する職員に対し、業務を十分に実施できるよう、的確な情報を提供し、技術的知識を備えてもらうことは、市町村が発注者としての責任を果たせるようにするため、極めて重要である。このため、環境省における専門家集団の組織化検討に当たっては、市町村に対する支援の方法について、どのようなバリエーションを設けることが的確であるかも検討する。
  今後、環境省において、専門家集団の組織化による市町村支援の具体化に向け、専門家の役割、支援の具体的な方法、支援業務の実施方法、支援業務の実施主体等を検討し、19年度以降の具体化を目指すこととする。

 (3)環境省における支援策-標準的な発注仕様書の提示

  一般的な公共工事は、工種別に工事を分割し、契約前に工事内容を確定できる詳細な実施設計を終えた後、その実施設計に基づく施工のみを業者に請け負わせる契約方式すなわち施工契約(図面契約)を採用している。
  一方、廃棄物最終処分場土木工事を除く廃棄物処理施設建設工事は、複雑・高度なプラント建設工事であり、各プラントメーカーが特許・ノウハウにより独自の構造の廃棄物処理施設を建設している現状にある。このため、価格競争的に工事請負契約の締結を図るため、①発注者が建設する廃棄物処理施設に求める性能仕様(機能・効率・能力等)を記述した発注仕様書を入札前に各プラントメーカーに提示し、②各プラントメーカーから見積設計図書(通常は無償のため基本設計程度)を提出させて審査し、③発注仕様書と見積設計図書を契約条件として入札を行い、落札者と契約を締結する、④そして落札者は契約後に詳細設計と施工を行う、という性能発注(設計・施工契約)方式が採用されている。また、廃棄物処理施設建設工事は、プラント工事と建築工事で構成されるが、廃棄物処理施設に求められる性能仕様を両工事が一体となって機能発揮する必要があるため、通常、全工種一括発注方式が採用されている。
  このような特徴を有する廃棄物処理施設建設工事にとって、基本的な契約条件となる発注仕様書は非常に重要である。今後、環境省においては、現在定められている「一般廃棄物処理施設建設工事に係る発注仕様書作成の手引き」を見直し、現在の技術水準に即した標準的な発注仕様書作成の検討を進め、発注者が工事に求める内容を明確に表現できるようにする。

 (4)参考となる報告書等の各種資料

  •   第3章「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針の一部変更について」(平成18年5月23日閣議決定)
      「平成15年度決算検査報告第4章第8公共工事の多用な入札・契約制度、特に総合評価落札方式等の民間の技術力を活用する方式の導入状況について」会計検査院
  •   第5章「国土交通省直轄工事における品質確保促進ガイドライン」(平成17年9月)
        「高度技術提案型総合評価方式の手続きについて」 公共工事における総合評価方式活用検討委員会(平成18年2月)
  •   第6章「PFI方式による公共サービスの安全性確保に関する検討委員会(中間報告)」仙台市(平成17年12月28日)
        「民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する事業の実施に関する基本方針」(平成12年3月13日総理府告示第11号)
        「モニタリングに関するガイドライン」(平成15年6月23日民間資金等活用事業推進委員会)
  •   第7章「CM方式活用ガイドライン」国土交通省(平成14年2月6日)
  •   第8章「工事契約実務要覧」新日本法規出版(株)
    •    ○プロポーザル方式に基づく建設コンサルタント等の特定手続きについて
    •    ○公募型プロポーザル方式に基づく建設コンサルタント等の選定・特定手続きについて
          「設計・コンサルタント業務等入札契約問題検討委員会中間とりまとめ」建設省(平成12年3月)

廃棄物処理施設に係る入札・契約適正化検討会委員


 荒井 喜久雄(あらい きくお)東京二十三区清掃一部事務組合施設建設部管理課長
 奥村  勇雄(おくむら いさお)帝京平成大学現代ライフ学部経営マネジメント学科教授
 小澤  一雅(おざわ かずまさ)東京大学大学院工学系研究科教授
 栗原  英隆(くりはら ひでたか)(社)全国都市清掃会議技術部長
 河野   進(こうの すすむ)河野進設計事務所 代表
 武田  信生(たけだ のぶお)京都大学大学院工学研究科教授
◎眞柄  泰基(まがら やすもと)北海道大学創成科学研究機構特任教授
 山田   洋(やまだ ひろし)一橋大学大学院法学研究科・法学部教授
◎は座長
(50音順)

参考資料-1

発注仕様書(大都市の例)
-しゅん工時性能確認試験に関する部分の例-

1 予備性能試験

 (1)予備性能試験方法

  請負者は、性能試験の前に順調かつ安定した連続運転ができるよう、予備性能試験を実施する。

 (2)予備性能試験要領

  請負者は、試験内容及び運転計画を記載した予備性能試験要領書を提出し、○○市町村(発注者)の承諾を得た後、試験を実施する。

 (3)予備性能試験成績書の提出

  請負者は、予備性能試験成績書を性能試験前に3部提出する。

2 性能試験

  1.  (1)請負者は、引渡しに先だって、施設全体としての性能及び機能を確認するため、○○市町村の指定する監督員立会いのもとに性能試験を実施する。
  2.  (2)試験方法
      性能試験は、定格運転及び軽負荷運転について実施する。
    1.   ① 定格運転
      1.    ア.試験当日の1日前からほぼ全炉定格運転に入るものとする。
      2.    イ.特記仕様書に示すごみ質及び実施設計図書の焼却能力曲線に見合った焼却量を確認するため、各炉連続12時間以上の計測を実施する。
      3.    ウ.灰溶融炉及び灰処理設備は、試験当日の1日前からほぼ全炉定格運転に入るものとし、溶融能力及び処理能力を確認するため、各炉連続12時間以上の計測を実施する。
    2.   ② 軽負荷運転
         低質ごみで能力を確認するため実施する。
      1.    ア.焼却炉1基ごとに低質ごみ相当での試運転を行う。
      2.    イ.実施時間は、12時間以上とする。
  3.  (3)性能試験要領
      請負者は、試験内容及び運転計画を記載した性能試験要領書を提出し、○○市町村の承諾を得た後、試験を実施する。
  4.  (4)性能試験項目と実施方法
    1.   ① 定格運転時の性能試験は、「表1 性能試験の項目と方法」により実施する。
    2.   ② 軽負荷運転時の性能試験は、「表1 性能試験の項目と方法」に示す項目番号のうち「1」、「2」、「3」、「9」について実施する。
    3.   ③ 性能試験における試料の採取、計測、分析、記録等は、請負者の所掌とする。
    4.   ④ 試料採取の時刻は、監督員の指示による。
  5.  (5)計測及び分析機関
      性能試験における試験項目についての計測及び分析の依頼先は、法的資格を有する第三者機関とする。また、ダイオキシン類の分析は、国が行う精度管理指針に基づき、適切に精度管理が行われ、計量法に基づく認定を受けている機関で実施する。
      ただし、特殊な事項の計測及び分析については、○○市町村の承諾を得て、適切な機関に依頼することができる。
  6.  (6)性能試験成績書の提出
      請負者は、性能試験終了後、性能試験成績書を引渡前に3部提出する。

3 その他測定

  その他の測定は下記による。

  1.  (1)「2 性能試験」(1)に準ずる。
  2.  (2)測定方法
      「2 性能試験」(2)①定格運転と同時に行う。
  3.  (3)測定要領
      「2 性能試験」(3)に準ずる。
  4.  (4)試験項目と実施方法
      「表2 その他測定の項目と方法」による。
  5.  (5)計測及び分析機関
      「2 性能試験」(5)に準ずる。
  6.  (6)その他測定成績書の提出
      「2 性能試験」(6)に準ずる。
表1 性能試験の項目と方法
番号
試験項目
保証値
試験方法
備考
ごみ焼却能力
設計図書に示すごみ質の範囲において、実施設計図書に記載された焼却能力曲線以上とする。
  1. (1)ごみ分析法
    1.  ①サンプリング場所
       ホッパステージ
    2.  ②測定頻度
       2時間ごとにサンプリングを行う。
    3.  ③分析法
       「昭52.11.4環整第95号厚生省環境衛生局水道環境部環境整備課長通知」によるごみ質の分析方法に準じたもので、監督員が指示する方法による」。
  2. (2)焼却能力試験方法
     組合が準備したごみを使用して、設計図書に示すごみ質の範囲において、実施設計図書に記載された焼却能力曲線に見合った焼却量について試験を行う。
 
灰の熱しゃく減量
5%以下
ただし、ごみの組成が標準として提示したものとかなり相違する場合は協議する。
  1. (1)サンプリング場所
     灰搬出装置
  2. (2)測定頻度
     2時間ごとにサンプリングを行う。
  3. (3)灰分析法
     「昭52.11.4環整備第95号厚生省環境衛生局水道環境部環境整備課長通知」によるごみ焼却施設の焼却残さの熱しゃく減量の測定方法による。
 
排ガス
ばいじん
0.01g/m3N(乾きガス)以下
酸素濃度12%換算値とする。
  1. ((1)測定場所
     ろ過式集じん器出口及び煙突において監督員の指定する箇所。
  2. ((2)測定回数
     3回/箇所以上
  3. ((3)測定方法は「○○○○条例」による。
 
  • ・いおう酸化物
  • ・塩化水素
  • ・窒素酸化物
いおう酸化物
 10ppm以下
塩化水素
 10ppm以下
窒素酸化物
 13.07m3N/時以下、かつ50ppm以下
乾きガス
 酸素濃度12%換算値とする。
  1. (1)測定場所
    1.  ①いおう酸化物及び塩化水素については、ろ過式集じん器の入口及び煙突において監督員の指定する箇所。
    2.  ②窒素酸化物については触媒反応塔の入口及び煙突において監督員の指定する箇所。
  2. (2)測定回数
     3回/箇所以上
  3. (3)測定方法は「○○○○条例」による。
吸引時間は、60分/回以上とする。
一酸化炭素
30ppm以下(乾きガス)以下
酸素濃度12%換算値の4時間平均値とする。
  1. (1)測定場所
     ろ過式集じん器出口以降において監督員の指定する箇所。
  2. (2)測定回数
     連続測定
  3. (3)測定方法
     JIS K 0098による。
 
水銀
0.05g/m3N(乾きガス)以下
酸素濃度12%換算値とする。
  1. (1)測定場所
     ろ過式集じん器の入口及び煙突において監督員の指定する箇所。
  2. (2)測定回数
     6回/箇所以上
  3. (3)測定方法
     JIS K 0222による。
吸引時間は、60分/回以上とする。
ダイオキシン類
0.1ng-TEQ/m3N以下
乾きガス
 酸素濃度12%換算値とする。
  1. (1)測定場所
     煙突において監督員の指定する箇所。
  2. (2)測定回数
     2回/箇所以上
  3. (3)測定方法
     JIS K 0311による。
 
白煙温度条件
「排ガス洗浄処理装置」で規定する条件で煙突出口で白煙を生じないこと。
ビデオカメラ、外気温度・湿度記録計による。
 
放流水
下水道法、○○○下水道条例及びダイオキシン類対策特別措置法による規定物質
下水道法及び○○○下水道条例による下水排除基準、ダイオキシン類対策特別措置法による水質排出基準による。
  1. (1)測定場所
     放流桝出口付近
  2. (2)測定回数
     2時間ごとにサンプリングを行う。
  3. (3)測定方法
     「下水の水質の検定方法に関する省令」による。
 
溶融飛灰・飛灰固化物
  • ・アルキル水銀
  • ・水銀
  • ・カドミウム
  • ・鉛
  • ・六価クロム
  • ・ひ素
  • ・セレン
昭48.2.17総理府令第5号「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令」のうち、埋立処分に係る判定基準別表第6による。
  1. (1)測定場所
     飛灰処理コンベア、汚泥脱水機等の出口付近。
  2. (2)測定回数
     2時間ごとにサンプリングを行う。
  3. (3)分析法
     昭48.2.17環境庁告示第13号「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」のうち、埋立処分の方法による。
 
脱水汚泥
総理府令第5号「埋立処分基準」による規制物質
騒音
「○○○○条例」による。
  1. (1)測定場所
     監督員の指定する場所
  2. (2)測定回数
     「○○○○条例」による時間区分の中で、各1回以上測定する。
  3. (3)測定方法は「○○○条例」による。
 
振動
「○○○○条例」による。
  1. (1)測定場所
     監督員の指定する場所
  2. (2)測定回数
     「○○○○条例」による時間区分の中で、各1回以上測定する。
  3. (3)測定方法は「○○○条例」による。
 
悪臭
「悪臭防止法」及び「○○○○条例」による。
  1. (1)測定場所(10箇所程度)
     監督員の指定する場所とする。
  2. (2)測定回数
     同一測定点につき2時間ごとに4回以上とする。
  3. (3)測定方法は「悪臭防止法」及び「○○○○条例」による。
 
燃焼ガス温度
主燃焼室出口温度
指定ごみ質の範囲内において850℃以上(2秒以上)
測定方法
 「6.18.12計装機器」により、主燃焼室出口、ろ過式集じん器入口及び脱硝反応塔入口に設置する温度計による。
 
集じん器入口温度
150℃程度
触媒反応塔入口温度
200℃以上
10
炉体、ボイラーケーシング外表面温度
原則として80℃未満
測定場所、測定回数は、監督員が指示する。
 
11
蒸気タービン及び発電機
 
使用前自主検査の終了をもって性能試験に代えるものとする。
 
プラント保安動力発電装置
12
緊急動作試験
○○電力系統からの受電、蒸気タービン発電機、プラント保安動力発電装置が同時に10分間停止してもプラント設備が安全であること。
定格運転時において、全停電緊急作動試験を行う。
 ただし、蒸気タービンの緊急作動試験は除く。
 
13
脱機器酸素含有量
0.03mgO2/l以下
測定方法は、JIS B 8224による。
 
14
主灰鉄選別能力
回収率は95%以上
測定回数は、3回とする。
 
15
灰乾燥機能力
実施設計図書に記載された乾燥能力以上とする。
測定回数は、3回とする。
 
16
灰溶融能力
灰溶融炉入口において焼却灰(主灰(熱しゃく減量5%以下)について、実施設計図書に記載された灰溶融能力以上とする。
  1. (1)灰分析法
    1.  ①灰溶融炉入口において、2時間ごとにサンプリングを行う。
    2.  ②分析法は「環境第95号厚生省環境衛生局水道環境部環境整備課長通知」及び日本工業規格等による。
  2. (2)試験方法
     「土壌の汚染に係る環境基準について」(平成3年環境庁告示第46号)に定める方法による。
 
17
灰溶融炉ケーシング外表面温度
原則として80℃未満
測定場所、測定回数は、監督員が指示する。
 
18
スラグ
重金属等の溶出量
「○○市町村焼却灰溶融スラグの利用促進等に関する方針」(平成○年○月○日付)による。
ただし、鉛含有量は150mg/kgとする。
  1. (1)スラグ分析法
     スラグバンカにおいて、2時間ごとにサンプリングを行う。
  2. (2)試験方法
     「土壌の汚染に係る環境基準について」(平成3年環境庁告示第46号)に定める方法による。
 
重金属等の含有量
19
炉室内温度
43℃以下
外気温度33℃において
  1. (1)測定場所 排気口
  2. (2)測定回数 監督員が指示する。
 
炉室局部温度
48℃以下
  1. (1)輻射熱を排除して測定する。
  2. (2)測定場所、測定回数は監督員が指示する。
20
電気関係
諸室内温度
40℃以下
  1. (1)測定場所 排気口
  2. (2)測定回数 監督員が指示する。
 
電気関係諸
室内局部温度
44℃以下
測定場所、測定回数は監督員が指示する。
21
機械関係
諸室内温度
42℃以下
  1. (1)測定場所 排気口
  2. (2)測定回数 監督員が指示する。
 
機械関係諸
室内局部温度
48℃以下
測定場所、測定回数は監督員が指示する。
22
発電機室
43℃以下
  1. (1)測定場所 排気口
  2. (2)測定回数 監督員が指示する。
 
23
空調設備
夏季
室内温度26℃
 (外気温33℃ D.B湿度26%)
測定場所、測定回数は監督員が指示する。
 
冬季
室内温度22℃
 湿度40%
 (外気温 0℃ D.B湿度34%)
測定場所、測定回数は監督員が指示する。
 
24
その他
 
 
○○○市町村が必要と認めるもの。


表2 その他測定の項目と方法

番号
測定項目
評価基準値
測定方法
備考
炉室(溶融炉室、前処理室を含む)内及び飛灰処理室内のダイオキシン類
2.5pg-TEQ/未満
  1. (1)測定場所
     各室において監督員が指定する個所。
  2. (2)測定回数
     監督員が指示する。
  3. (3)測定方法
     平成13年4月厚生労働省通達「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」別紙「空気中のダイオキシン類濃度の測定方法」による。
 
炉室(溶融炉室、前処理室を含む)内、汚水処理室内及び飛灰処理室内の水銀
5μg/m3以下
  1. (1)測定場所
     各室において監督員が指定する個所。
  2. (2)測定回数
     各個所1回以上。
  3. (3)測定方法
     昭和51年4月22日労働省告示第46号「作業環境測定基準」による。
 
その他
 
 
○○○市町村が必要と認めるもの。

参考資料-2

発注仕様書(大都市の例)
- かし担保に関する部分の例-

1 かし担保

1.1 設計のかし担保
  1.  (1)設計図書に記載した施設の性能及び機能は、すべて請負者の責任において保証する。
  2.  (2)引渡し後、施設の性能及び機能について疑義が生じた場合は、試験要領書を作成し、性能確認のため○○市町村の指定する時期に、請負者の負担において確認試験を行う。
  3.  (3)確認試験の結果、所定の性能及び機能を満足できなかった場合は、請負者の責任において速やかに改善する。
  4.  (4)請負者は、外構及び植栽等の別途工事の実施設計について、検査合格後であっても設計内容にかしが発見されたときは、速やかに設計図書の補正を行う。
  5.  (5)請負者が前項の補正に応じないときは、○○市町村がこれを行い、その費用を請負者から徴収する。
  6.  (6)外構及び植栽等の別途工事の実施設計のかしにより○○○市が損害を受けたときは、請負者はその損害を賠償しなければならない。
1.2 施工のかし担保
 (1)建築工事関係(建築機械設備、建築電気設備を含む。)

  引渡し後2年間とする。
  ただし、防水、防食工事等については下記のとおりとし、保証書を提出する。

  1.   ① アスファルト防水
    1.    ア.コンクリート(モルタル)保護アスファルト防水 10年保証
    2.    イ.断熱アスファルト防水 10年保証
    3.    ウ.露出アスファルト防水 10年保証
    4.    エ.浴室アスファルト防水 10年保証
  2.   ② 合成高分子ルーフィング防水 10年保証
  3.   ③ 塗膜防水 5年保証
  4.   ④ モルタル防水 5年保証
  5.   ⑤ く体防水 5年保証
  6.   ⑥ 仕上塗材吹き付け 5年保証
  7.   ⑦ シーリング材 5年保証
  8.   ⑧ 水槽類の防食層 5年保証
 (2)プラント工事

  引渡し後3年間とする。ただし、次の対象物については、それぞれ示した期間とする。

  1.   ① 灰溶融炉耐火物 1年
       ただし、以下の部分を除く。
       (電気加熱式の場合)
         スラグライン耐火物、天井、バーナ火炎接触部付近の耐火物、灰側壁部耐火物
  2.   ② 焼却炉及びボイラの耐火物、各種火格子及び炉内点検設備、灰溶融炉二次燃焼室の耐火物 2年
  3.   ③ 可動部分 2年
       プラントを構成する各要素のうち、そのもの本来の機能を発揮させるために機械的に連続して駆動する機構を有するものをいう。
  4.   ④ ボイラ設備(ボイラ本体) 5年
  5.   ⑤ 集じん設備ろ布 2年
      (焼却炉用、溶融用、環境用等全て含む)
  6.   ⑥ 振動部(コンベア類)のエキスパンション材 1年
1.3 かし担保確認要領書

  請負者は「かし担保確認要領書」を○○市町村に提出し、承諾を受ける。
  (プラント・建築・建築設備・防水防食の要領書)

2 かしの判定・修補

2.1 かし担保期間中の補修
  1.  (1)かし担保期間中に生じたかしは、請負者が無償で修補する。
  2.  (2)かし担保期間中に発注者である○○市町村が施工不良について疑義ある場合、○○市町村は当該部分の破壊若しくは非破壊検査の実施を請負者の負担で行わせることができる。
2.2 かし判定に要する経費

  請負者の負担とする。

2.3 初回定期補修工事の経費負担

  引渡し後、初回に実施する定期補修工事経費の分担は、下記のとおりとする。

  1.  (1)○○市町村の負担とするもの
    1.   ① 分解、点検、清掃、調整に要する労務費
    2.   ② 消耗品の交換(材工共)
    3.   ③ 潤滑油、薬品、キレート樹脂塔の樹脂類、灰溶融設備用電極棒(電気加熱式の場合)等交換(材工共)
  2.  (2)(1)以外のものは請負者負担とする。
2.4 かし判定及び修補

〔機器可動部分及び非可動部分(築炉、火格子部品等)のかし担保の判定基準及び修補の方法を、以下に規定し、例示する。〕

 (1)可動部分、非可動部分共通
  1.   ① かし判定基準
    1.    ア.性能に著しい低下が認められた場合
    2.    イ.外観上、異常摩耗、変形、漏れ、亀裂が認められた場合
    3.    ウ.その他運転上支障がある事態が発生した場合
    4.    エ.確認方法は目視点検等(異常のあるものは寸法等の測定)及び運転状況等とする。
  2.   ② 修補
    1.    ア.上記の基準により、かしと判定された場合には、修補または新品と交換する。
    2.    イ.かし判定で「かし」と判定された可動部分であっても、次回定期補修まで十分使用できることを保証し、その間に補修の必要が生じた場合は請負者が無償で修補する。(材工共)
 (2)焼却炉、ボイラ及び灰溶融炉二次燃焼室の耐火物
  1.   ① かし判定基準
       引渡し後2年以内において次の基準により判定する。
    1.    ア.耐火物壁内面の摩耗、剥離、化学的浸食等による損耗量が当初基準面(完成時)より50mmを超えた場合
    2.    イ.耐火物壁の一部のずれ(せり出し、陥没)が当初基準面と50mm以上の差が出た場合
    3.    ウ.運転上支障がある事態が発生した場合
    4.    エ.施工上の欠陥が発見された場合
  2.   ② 修補
       上記の基準によりかしと判定された場合、①の各項に対し、○○市町村の指定する時期に修補する。
    1.    ア.①-ア、イの場合、当初基準面と平滑な面になるよう積み直す。
    2.    イ.①-ウ、エの場合、状況により、その後の安定した運転が確保できるよう修補する。
          なお、築炉完工時及び乾燥だき終了時に築炉部主要計測データ(スケッチ、写真等を含む。)を提出する。
 (3)火格子部分(火格子枠、火格子片)
  1.   ① かし判定基準
       引渡し後2年以内において、次の基準により判定する。
    1.    ア.火格子及び関連部品の腐食、摩耗、焼損、破損等による重量の減少量が当初測定重量に対し12%を超えた場合。
          なお、火格子部品は、1年以内に設置場所を移動させてはならない。
    2.    イ.運転上支障がある事態が発生した場合。
    3.    ウ.火格子がボイラの一部となっている場合は、ボイラのかし判定に準ずる。
  2.   ② 修補
       上記の基準によりかしと判定された場合には、○○市町村の指定する時期に全て新品と交換する。
       なお、火格子完工時、監督員が指定する範囲における火格子部品の重量計測データを提出する。
 (4)ごみクレーンバケット(灰、スラグ等も含む)
  1.   ① かし判定基準
       引渡し後2年以内において次の基準により判定する。
    1.    ア.下記に例示する主要部品に亀裂、破損、脱落、曲り、摩耗等が発生し、著しく機能が損なわれた場合。
          主要部品(支持金具関連の軸、ブッシュは全て分解する。)
           油圧ポンプ、モータも外観点検可能としておくこと。
          爪、シェル、軸、ブッシュ、支持金具、オイルタンク、油圧シリンダ、油圧ポンプ、油圧張るブロック、ケーブルコンセント、ケーブルリール
    2.    イ.その他運転支障のある事態が発生した場合
  2.   ② 修補
       上記の基準により、かしと判定された場合には、修補又は新品と交換する。
 (5)ボイラ設備(ボイラ本体)
  1.   ① かし判定基準
       引渡し後5年以内において次の基準により判定する。
    1.    ア.性能に著しい低下が認められた場合
    2.    イ.外観上異常摩耗、変形、漏れ、亀裂が認められた場合
    3.    ウ.その他運転上支障ある事態が発生した場合
  2.   ② 修補
       上記の基準により、かしと判定された場合には、状況により部分修補、全体修補、交換等の措置をとる。
 (6)洗煙設備
  1.   ① かし判定基準
       引渡し後3年以内において次の基準により判定する。
    1.    ア.性能に著しい低下が認められた場合
    2.    イ.冷却、吸収塔内の保護材に剥離又は30%以上の損傷が発生した場合
    3.    ウ.蒸気式ガス再加熱器の伝熱面に孔食又は30%以上の腐食が認められた場合
    4.    エ.外観上に変形、われ、亀裂等が認められた場合
    5.    オ.その他運転上支障ある事態が発生した場合
  2.   ② 修補
       上記の基準により、かしと判定された場合には、状況により部分修補、全体修補、交換等の措置をとる。
 (7)触媒反応設備
  1.   ① かし判定基準
       引渡し後3年以内において次の基準により判定する。
    1.    ア.性能に著しい低下が認められた場合
    2.    イ.外観上に変形、われ、亀裂等が認められた場合
    3.    ウ.その他運転上支障ある事態が発生した場合
  2.   ② 修補
       上記の基準により、かしと判定された場合には、状況により部分修補、全体修補、交換等の措置をとる。
 (8)灰溶融耐火物
  1.   ① かし判定基準
       灰溶融耐火物は、引渡し後1年以内において、次の基準により判定する。
    1.    ア.溶融耐火物の摩耗、剥離、化学的浸食等による損耗量が、使用有効厚みの50%を超えた場合、ただし、燃料化熱式の場合は60%を超えた場合。
    2.    イ.施工上の欠陥による耐火物の一部のずれ(せり出し、陥没)が、当初基準面と50mm以上の差が出た場合
    3.    ウ.運転上支障がある事態が発生した場合
    4.    エ.施工上の欠陥が発見された場合
  2.   ② 修補
    1.    ア.①-ア、イの場合、当初基準面と平滑になるよう修補する。
    2.    イ.①-ウ、エの場合、状況により、その後の安定した運転ができるよう修補する。
    3.    ウ.かし判定対象以外の灰溶融炉耐火物は、90日間の連続運転(溶融炉の停止を伴わない短時間の補修等のホールドは除外)に十分使用できることを保証するとともに、引渡し後初回の定期補修工事まで請負者が無償で修補する(材工共)
  3.   ③ 築炉完工時及び乾燥だき終了時に、築炉部主要計測データ(スケッチ、写真等含む)を提出する。
 (9)集じん設備のろ布
  1.   ① かし判定基準
       引渡し後2年以内において、次の基準により判定する。
    1.    ア.性能に著しい低下が認められた場合
          引張り強度が新品時より著しく低下した場合
          通気度がガラス繊維系0.5cm3/cm2・sec以下、フェルト系1.0cm3/cm2・sec以下となった場合
    2.    イ.外観上に変形、穴あき、亀裂等が認められた場合
          顕微鏡観察による著しい穴あき、劣化が認められた場合を含む
    3.    ウ.その他運転上支障がある事態が発生した場合
          逆洗回数、圧力を増やしても差圧が基準以下に下がらない等
          なお、サンプリング箇所は、ろ布1本あたり上、中、下の3箇所とし、本数は、室数、排ガスの流れ等を考慮して決定する。
  2.   ② 修補
       上記の基準により、かしと判定された場合には、状況により部分修補、全体修補、交換等の措置をとる。
       なお、ろ布設置時に新品の計測データ(引張り強度、伸び率)等を提出する。
       また、ろ布サンプルの引張り強度、通気度、顕微鏡観察試験及び集じん器内部観察、点検については、引渡し後3年間は、請負者の負担により実施する。

参考資料-3

他の地方公共団体に対する既契約情報の提供要請の内容(ごみ焼却施設の例)
図:他の地方公共団体に対する既契約情報の提供要請の内容(ごみ焼却施設の例)1
図:他の地方公共団体に対する既契約情報の提供要請の内容(ごみ焼却施設の例)2
処理概略フローシート
 ごみ処理フローシート
 空気・排ガスフローシート
 灰・集じん灰フローシート
 蒸気・復水フローシート
 余熱利用フローシート
 給水・排水フローシート
 排水処理フローシート

1、入札状況

図:入札状況

2、熱回収施設工事費内訳書

図:熱回収施設工事費内訳書

3、建築工事

図:建築工事

参考資料-4

ごみ焼却施設建設工事の予定価格積算例
 一括性能発注(設計付施工契約)によるごみ処理施設建設工事の予定価格を、「廃棄物処理施設建設工事等の入札・契約の手引き」(以下「手引き」という。)に示す積算法その 1及びその2を適用して積算した例を以下に示す。

1. 予定価格積算法その1を用いた積算例

1)予定価格の積算対象と積算の時期

 予定価格は、建築工事費とプラント工事費の合計となるが、公募型の入札の場合に参加意向を表明した入札参加業者(焼却プラントメーカーと建築会社とで共同企業体を結成させる場合もある。)が提出した技術提案(見積設計図書)に基づき積算する。「手引き」の図 5:総合評価落札方式の手続きに示すとおり、予定価格の積算の時期は、見積設計図書が発注仕様書に示す性能を十分に満足する内容となっているか審査し、質疑応答や改善指示等の設計調整を終了した後の時点となる。

2)積算作業の流れ

積算作業の流れは、図―1及び表-2~3に示すとおりである。共通仮設費率、現場管理費率、一般管理費率は、各市町村又は都道府県及び国の「機械設備積算標準」「電気設備工事積算標準」、「建築工事積算標準」などによる。また、実施設計料は各市町村又は都道府県及び国の「設計等委託積算基準」により算定する。さらに、プラント工事のエンジニアリング経費率については、純工事費の4~ 6%(純工事費金額に逆比例させる。)とする。

3)予定価格の設定

 工事費の積算は、入札参加業者ごとにそれぞれ提出した技術提案書(見積設計図書)に基づいて発注者側で積算作業を行い、建築工事とプラント工事の合計が一番低額となった積算金額を予定価格とする。(建築工事の最低額とプラント工事の最低額を採用するといった方法をとらない。)なお、入札参加業者から徴した見積もり価格は参考にとどめるものとする。
 表-1に工事費の積算と予定価格の算定のイメージを示す。表の例では予定価格は最も低額となる「240」とすることになる。

表-1 予定価格設定のイメージ(後述の積算例の金額とは関係なし)
入札参加業者
建築工事費
プラント工事費
合計工事費
順位
100
150
250
125
115
240
115
135
250
130
130
260
110
150
260
125
140
265

 この「予定価格」は発注者の仕様を満足できる施設を建設することのできる最低の金額を示すものであり、契約の相手方の選定はこの「240」を「予定価格」として行われる入札の結果によることになるが、このことはB業者と契約を締結することを意味するものではない。

4) 予定価格積算法その1
  (1) プラント設備工事費積算例
  1.   1積算の基本条件
    1.    ① 建設する施設の規模:150トン×2炉 (積算時点:○○年○月)
    2.    ② 積算基礎とする施設の規模:200トン×1炉 (契約月:△△年△月)
  2.   2積算の手順
    1.    ① 既契約の同種工事から設備ごとの基本価格を設定する。設定に当たっては、極力、性能及び構造仕様が近い施設を対象とする。
    2.    ② 基本単価を共通関連設備価格と炉別関連設備価格(系列関連設備価格)に分ける。
    3.    ③ 積算基礎とする施設の契約年次と現在の日銀の物騰率を調査する。
    4.    ④ 共通関連設備、炉別関連設備ごとに基本価格に物騰率を乗じて現在価格を算定する。
    5.    ⑤ 規模補正をするために規模1(建設する施設の規模)と規模2(積算基礎とする施設の規模)の比の0.6乗値(規模補正率)を算出する。
    6.    ⑥ 共通関連設備、炉別関連設備ごとに現在価格に規模補正率を乗じて積算価格を算定する。
    7.    ⑦ 積算価格に共通関連設備にあっては1、炉別関連設備にあっては炉数(2)を乗じて合計価格を算出する。
    8.    ⑧ 設備ごとの合計価格を合算した合計価格が、直接工事費である。
           ①~⑧までの計算を、表-2 プラント設備直接工事費算定表に示す。
表-2 プラント設備直接工事費算定表  単位:万円
番号
設備名
基本価格
物騰率
現在価格
規模補正率
積算価格
基数
合計価格
規模1
規模2
合計
共通 a1
炉別 a2
b
c=a1×b
c=a2×b
d=(n/m)0.6
e=c×d
f
g=e×f
n
m
1
給じん設備
18,600
18,600
 
0.941
17503
0
1.2754245
22,323
1
22,323
300
200
2
焼却炉本体設備
44,800
 
44,800
0.941
0
42157
0.84146636
35,474
2
70,947
150
200
3
灰処理設備
13,400
 
13,400
0.941
0
12609
0.84146636
10,610
2
21,221
150
200
4
汚水処理設備
11,000
11,000
 
0.941
10351
0
1.2754245
13,202
1
13,202
300
200
5
通風設備
3,150
 
3,150
0.941
0
2964
0.84146636
2,494
2
4,988
150
200
6
煙道設備
9,400
 
9,400
0.941
0
8845
0.84146636
7,443
2
14,886
150
200
7
集じん設備
11,000
 
11,000
0.941
0
10351
0.84146636
8,710
2
17,420
150
200
8
洗煙設備
15,600
 
15,600
0.941
0
14680
0.84146636
12,352
2
24,705
150
200
9
触媒反応設備
5,800
 
5,800
0.941
0
5458
0.84146636
4,593
2
9,185
150
200
10
煙突設備
7,800
 
7,800
0.941
0
7340
0.84146636
6,176
2
12,352
150
200
11
ボイラー設備
35,200
 
35,200
0.941
0
33123
0.84146636
27,872
2
55,744
150
200
12
発電設備
48,300
48,300
 
0.941
45450
0
1.2754245
57,968
1
57,968
300
200
13
余熱利用設備
2,400
2,400
 
0.941
2258
0
1.2754245
2,880
1
2,880
300
200
14
蒸気復水設備
12,500
12,500
 
0.941
11763
0
1.2754245
15,002
1
15,002
300
200
15
純水設備
2,460
2,460
 
0.941
2315
0
1.2754245
2,952
1
2,952
300
200
16
電気設備(共通部)
17,880
14,700
 
0.941
13833
0
1.2754245
17,643
1
17,643
300
200
 
    (炉別部)
 
 
3,180
0.941
0
2992
0.84146636
2,518
2
5,036
150
200
17
計装・自動制御設備(共通部)
43,260
35,600
 
0.941
33500
0
1.2754245
42,726
1
42,726
300
200
 
         (炉別部)
 
 
7,660
0.941
0
7208
0.84146636
6,065
2
12,131
150
200
18
給水設備
6,900
6,900
 
0.941
6493
0
1.2754245
8,281
1
8,281
300
200
19
その他設備
15,500
15,500
 
0.941
14586
0
1.2754245
18,603
1
18,603
300
200
 
プラント工事費合計
 
 
 
 
 
 
 
 
 
450,197
 
 
20
予備品・消耗品費(機械)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3,727
 
 
21
予備品・消耗品費(電気)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
775
 
 
 
プラント設備費合計
 
 
 
 
 
 
 
 
 
454,699
 
 

備考

  1.  ①本例の基本価格は本算定例のために仮定したものである。
  2.    ②各設備の基本価格には、関連する配管・配線工事費及び据付工事費等を含む。
  3.    ③予備品・消耗品費はプラント工事費の合計に予備品・消耗品費率を乗じて算出する。(本例では約1%と設定した。)
  4.    ④物騰率は日本銀行の「物価指数月報」の「国内企業物価指数」によった。
        (物騰率=既契約例の契約時点での指数/建設する施設の積算時点での指数)
  5.    ⑤規模補正は単に焼却量のみならず設備ごとのパラメータ(例えばボイラー設備では蒸発量、洗煙設備では処理ガス量、・・・等)を用いることも可能である。
 (2) 建築工事費積算例
  1.   1 積算の基本条件
    1.     ①建築する建築物は工場棟ほか表-3に示すとおりである。
    2.     ②工場棟は延べ床面積17,000平方m程度、煙突は外筒の直径10m、高さ100mを想定している。
    3.     ③外構工事は構内道路と植栽等を含んでいる。
  2.   2 積算の手順
    1.     ①既契約の同種工事 から建築本体工事の直接工事基本単価を設定する。設定は、極力、性能及び構造仕様が近い施設を対象とする。基本単は、工場棟と煙突外筒は単位容積当たり、その他は単位床面積当たりとする。又、基本単価は積上げ仮設費等を含むものとする。
    2.     ②見積設計図書からそれぞれの建築物の容積と床面積を算出する。
    3.     ③基本単価に容積又は床面積を乗じて本体工事費 を算出する
    4.     ④既契約例から機械設備工事費、電気設備工事費の本体工事費に対する割合(α、β)を工場棟、管理棟のそれぞれについて設定し、機械設備工事費(f=e×α)、電気設備工事費(g=e×β)を算出する。
    5.     ⑤建築物ごとに本体工事費と機械設備工事費、電気設備工事費を合算し、建築物ごとの小計を算出する。
    6.     ⑥⑤の小計を物騰補正し、建築物ごとの合計を総計する。この総計額が建築工事の直接工事費となる。
         なお、煙突外筒、計量棟などは設備工事費も含んで基本単価を設定する。
表-3 建築工事費(直接工事費)算定表
建築物
基本単価(容)
基本単価(面)
容積
面積
e 本体工事費
f 機械設備
g 電気設備
小計
物騰率
合計
円/m3
円/m2
m3
m3
万円
万円
万円
万円
 
万円
工場棟
20,000
 
82,000
 
164,000
16,400
9,020
189,420
0.941
178,244
管理棟
 
152,000
 
1,000
15,200
3496
1824
20,520
0.941
19,309
煙突外筒
19,000
 
7,850
 
14,915
 
 
14,915
0.941
14,035
計量棟
 
42,000
 
150
630
 
 
630
0.941
593
危険物庫
 
60,000
 
38
228
 
 
228
0.941
215
洗車棟
 
85,000
 
62
527
 
 
527
0.941
496
待機所
 
155,000
 
30
465
 
 
50
0.941
47
廃材置き場
 
25,000
 
20
50
 
 
50
0.941
47
外構工事
 
9,500
 
17,000
16150
 
 
16,150
0.941
15,197
総計
 
 
 
 
 
 
 
 
 
242,490

備考

  1.  ①本例の基本単価、設備工事費割合等は本参考例のため仮定したものである。
  2.  ②煙突はできる限り同じ径、同じ高さの既契約例を参考とする。

図-1 予定価格積算法その1
図:図-1 予定価格積算法その1

2.予定価格積算法その2を用いた積算例

 1)予定価格の積算対象と積算の時期

   予定価格積算法その1と同内容であり、参照願いたい。

 2)積算作業の流れ

   積算作業の流れは、図-2及び表-4,5に示すとおりである。

5) 予定価格積算法その2
 (1)プラント設備工事費積算例
  1.   1積算の基本条件
    1.    ①建設する施設の規模:150トン×2炉(積算時点:○○年○月)
    2.    ②積算基礎とする施設の規模:200トン×1炉(契約時点:△△年△月)
  2.   2積算の手順
    1.    ① 既契約の同種工事から設備ごとの基本価格を調査する。
    2.    ② 基本価格を共通関連設備価格と炉別関連設備価格に分ける。
    3.    ③ 積算基礎とする施設の契約年次と現在の日銀の物騰率を調査する。
    4.    ④ 共通関連設備、炉別関連設備ごとにそれぞれの合計を算出する。
    5.    ⑤ 共通関連設備、炉別関連設備ごとに基本価格に物騰率を乗じて現在価格を算定する。
    6.    ⑥ 規模補正をするために規模1(建設する施設の規模)と規模2(積算基礎とする施設の規模)の比の0.6乗値を算出する。
    7.    ⑦ 共通関連設備、炉別関連設備ごとに現在価格に規模補正率を乗じて積算価格を算定する。
    8.    ⑧ 積算価格に共通関連設備にあっては1、炉別関連設備にあって炉数(2)を乗じて合計価格を算出する。
    9.    ⑨ 共通関連設備と炉別関連設備を合算した合計価格が直接工事費である。
           ①~⑧までの計算を、表-4 プラント設備工事費算定表に示す。
    10.    ⑩ ①~⑧までの計算が不可能な場合は、積算基礎とする施設のプラント設備工事費に表-5に示す割合を用い、共通関連設備費合計と炉別関連設備費合計を算出し、各々に0.6乗則法による規模換算した後、合算することにより建設する施設のプラント設備工事費を算出する。
表-4 プラント設備工事費算定表

 1 基本価格の調査(①、②の手順)  単位:万円

番号
設備名
基本価格
合計
共通関連
炉別関連
1
給じん設備
18,600
18,600
 
2
焼却炉本体設備
44,800
 
44,800
3
灰処理設備
13,400
 
13,400
4
汚水処理設備
11,000
11,000
 
5
通風設備
3,150
 
3,150
6
煙道設備
9,400
 
9,400
7
集じん設備
11,000
 
11,000
8
洗煙設備
15,600
 
15,600
9
触媒反応設備
5,800
 
5,800
10
煙突設備
7,800
 
7,800
11
ボイラー設備
35,200
 
35,200
12
発電設備
48,300
48,300
 
13
余熱利用設備
2,400
2,400
 
14
蒸気復水設備
12,500
12,500
 
15
純水設備
2,460
2,460
 
16
電気設備(共通部)
17,880
14,700
 
 
    (炉別部)
 
 
3,180
17
計装・自動制御設備(共通部)
43,260
35,600
 
 
         (炉別部)
 
 
7,660
18
給水設備
6,900
6,900
 
19
その他設備
15,500
15,500
 
20
予備品・消耗品費
3,250
3,250
 
 
プラント工事費合計
328,200
171,210
156,990


2 ③以降の手順  単位:万円

項目
価格
物騰率
現在価格
規模の比較
規模補正
積算価格
共通関連
171,210
0.941
161,109
300t/200t
205,482
1
205,482
炉別関連
156,990
0.941
147,728
150t/200t
124,308
2
248,616
合計価格
 
 
 
 
 
 
454,097

 したがって、求めるプラント設備工事費は、45億4097万円(直接工事費)となる。

備考

  1.  ①本例の基本価格は本算定例のために仮定したものである。
  2.  ③物騰率は日本銀行の「物価指数月報」の「国内企業物価指数」によった。
     (物騰率=既契約例の契約時点での指数/建設する施設の積算時点の指数)
表-5 プラント設備工事費における共通関連設備費合計と炉別関連設備費合計との割合
施設内炉数
1炉
2炉
3炉
共通関連設備費合計
40~45%
35~40%
30~35%
炉別関連設備費合計
60~55%
65~60%
70~65%

備考

  1.  ①共通関連設備費合計の比率は、施設規模に逆比例させる。
  2.  ②比率数値は、既契約情報の蓄積により調整を図る。
(2)建築工事費積算例
  1.   1 積算の基本条件
    1.    ① 建築する建築物は工場棟、管理棟、煙突、付属棟とする。
    2.    ② 工場棟は延べ床面積17,000平方m程度、煙突は外筒の直径10m、高さ100mを想定している。
    3.    ③ 外構工事は構内道路と植栽等を含んでいる。
  2.   2 積算の手順
    1.    ① 建築工事基本単価を設定する。設定に当たっては、極力、性能及び構造仕様が近い施設を対象とする。
          基本単価は、工場棟及び煙突外筒は単位容積当たり、その他は単位床面積当たりとする。また、基本単価は積上げ仮設費、設備工事等を含み、建築工事費全体とする。
    2.    ② 見積設計図書からそれぞれの建築物の容積と床面積を算出する。
    3.    ③ 基本単価に容積又は床面積を乗じて小計を算出する
    4.    ④ ③の小計を物騰補正し、総計額を算出する。この総計額が建築工事費となる。
表-6 建築工事費算定表
建築物
基本単価(容積)
基本単価(面積)
容積
面積
小計
物騰率
合計
円/m3
円/㎡
m3
m3
万円
 
万円
工場棟
23,100
 
82,000
 
189,420
0.941
178,244
管理棟
 
152,000
 
1,000
15,200
0.941
14,303
煙突外筒
19,000
 
7,850
 
14,915
0.941
14,035
付属棟
 
63,100
 
1,515
9,560
0.941
8,996
外構工事
 
9,500
 
17,000
16150
0.941
15,197
総計
 
 
 
 
 
0.941
230,775

備考

  1.  ①本例の基本単価、設備工事費割合等は本参考例のため仮定したものである。
  2.  ②煙突はできる限り同じ径、同じ高さの既契約例を参考とする。

図-2 予定価格積算法その2
図:図-2 予定価格積算法その2

ページ先頭へ