法令・告示・通達

ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第二条第二項第一号の規定に基づき環境大臣が定める方法

公布日:平成16年12月27日
環境省告示第80号

 ダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成十一年総理府令第六十七号)第二条第二項第一号の規定に基づき、環境大臣が定める方法を次のように定め、平成十六年十二月二十七日から適用する。
 ダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成十一年総理府令第六十七号。以下「規則」という。)第二条第二項第一号の規定に基づき環境大臣が定める方法は、別表に定める方法によるものとする。

   附則

 廃棄物焼却炉に係るばいじん等に含まれるダイオキシン類の量の基準及び測定の方法に関する省令第一条第二項及び第二条の規定に基づき環境大臣が定める方法(平成十二年一月厚生省告示第三号)は、廃止する。

 附則〔令和二年三月三〇日環境省告示第三五号〕

この告示は、公布の日から施行する。

 前文〔抄〕〔令和七年三月一一日環境省告示第二三号〕

公布の日から適用する。

別表
(令2環告35・一部改正、令7環告23・一部改正)

(1) 試料採取

  焼却施設から排出される試料として代表的な試料を採取する。ばいじん及び燃え殻が分離して排出される焼却施設においては、ばいじん及び燃え殻をそれぞれ採取する。この場合において、焼却施設内でばいじん又は燃え殻を処理するときは、ばいじん又は燃え殻を処理したものを採取する。

  •  ア 排出ピット等から、シャベル、スコップ等の採取具を用いて数箇所から採取し、容器(アルミ製バット等のダイオキシン類の吸着のない材質製のものに限る。)に移し入れ、異物を取り除き、十分に均一化する。
  •  イ 均一化した試料を保存容器(ガラス製等のダイオキシン類の吸着のない材質製のものであって、密封できるものに限る。)に入れる。採取量は、試料の調製後に150g程度の試料を確保できる量とする。
  •  ウ 保存容器を密封し、遮光された容器に収納する。

(2) 試料の前処理

 ア 試薬

   日本産業規格K0311の6.2に規定するものを用いる。

 イ 器具及び装置

   日本産業規格K0311の6.3に規定するものを用いる。

 ウ 試料の調製等

  • (ア) 灰試料の場合は、5mmの目のふるいを用いてふるい分けし、風乾後、乳鉢中で均一にすりつぶして混合する。
  • (イ) 固化物試料の場合は、試料を粒径2mm程度以下まで粉砕する。
  • (ウ) 採取した試料を(ア)又は(イ)の操作に従い調製し、その一部を用いて分析試料の含水率を求め、記録する。試料5g以上をはかり取り、105℃以上110℃以下で約2時間乾燥する。デシケーター内で放冷後、秤量する。その重量の差から、含水率を算出する。含水率の算出に用いた分析試料はダイオキシン類分析に使用しない。
  • (エ) 調製した試料10g以上をビーカーに秤取し分析する。

 エ 抽出及び内標準物質の添加

  • (ア) ウの操作で得られた試料について、日本産業規格K0311の6.4.2a)に規定する方法により塩酸処理、洗浄及び風乾を行い、日本産業規格K0311の6.4.1に規定する方法により、ろ紙上の残さにクリーンアップスパイク用内標準物質を添加し、ソックスレー抽出又はこれと同等の抽出方法で抽出する。
  • (イ) (ア)の操作で得られた塩酸溶液及びメタノール又はアセトン洗浄液を分液漏斗に入れ、クリーンアップスパイク用内標準物質を添加し、溶液1L当たりトルエン又はジクロロメタン100mlで3回、液―液振とう抽出を行い、硫酸ナトリウムを用いて脱水する。
  • (ウ) (ア)及び(イ)の操作で得られた抽出液を合わせて、一定量とし、抽出液とする。ただし、試料中のPCDDs・PCDFsまたはCo-PCBsの濃度が予想できず、(ア)の操作から再度行う可能性が考えられる場合には、試料からの抽出操作によって得られた抽出液を一定量にした後、その適量を正確に分取してから、クリーンアップスパイク用内標準物質を添加してもよい。

 オ 前処理

  • (ア) エの(ウ)の操作で得られた抽出液について、日本産業規格K0311の6.4.5に規定する方法により濃縮操作を行い、日本産業規格K0311の6.4.6に規定する方法により、硫酸処理―シリカゲルカラムクロマトグラフ操作又は多層シリカゲルカラムクロマトグラフ操作のいずれかの方法により妨害物質を取り除く。
  • (イ) 日本産業規格K0311の6.4.7に規定する方法によりその他の精製操作を行い、測定用試料とする。

(3) 同定及び定量

 ア 測定手順

   日本工業規格K0311の7に規定する方法(サンプリングスパイクに係る部分を除く。)により、ダイオキシン類の定量を行う。

 イ 相対感度の算出

   ダイオキシン類標準溶液を高分離能ガスクロマトグラフに注入して得られたクロマトグラムから、塩素化物の種類ごとに、次に掲げる式によって相対感度(以下「RR」という。)を算出する。
   RR=(AS/AIS)×(CIS/CS
   この式において、AS、AIS、CIS及びCSは、それぞれ次の数値を表すものとする。
     AS  ダイオキシン類標準物質のクロマトグラムのピーク面積
     AIS  クリーンアップスパイク用内標準物質のクロマトグラムのピーク面積
     CIS  ダイオキシン類標準溶液中のクリーンアップスパイク用内標準物質の量(pg)
     CS  ダイオキシン類標準溶液中のダイオキシン類標準物質の量(pg)

 ウ ダイオキシン類の定量

  • (ア) (2)のオで得られた測定用試料を高分離能ガスクロマトグラフに注入して得られたクロマトグラムから、塩素化物の種類ごとに、次に掲げる式によって試料中の濃度を算出する。
       Ci =(AS / AIS)×(IIS/RR)×(1/W)
       この式において、Ci、AS、AIS、IIS及びWは、それぞれ次の数値を表すものとする。
         Ci 試料中の当該塩素化物の濃度(ng/g)
         AS 当該塩素化物のクロマトグラムのピーク面積
         AIS 当該塩素化物に対応するクリーンアップスパイク用内標準物質のクロマトグラムのピーク面積
         IIS 試料に添加したクリーンアップスパイク用内標準物質の量(ng)((2).エ.(ウ)において抽出液から一定量を分取してクリーンアップスパイク用内標準物質を添加した場合には、分取率から補正した量を用いる)
         W 試料量((2).ウ.(ウ)で算出した含水率で補正した量)(g)
  • (イ) クリーンアップスパイク用内標準物質の回収率が50%以上120%以下の範囲内であることを確認し、回収率が範囲外であるときは、再度前処理を行い再測定する。

 エ 毒性等量への換算

   次に掲げる式により試料中のダイオキシン類の濃度を2,3,7,8―テトラクロロジベンゾ―パラ―ジオキシンの毒性に換算する。この場合において、それぞれの塩素化物の濃度が定量下限未満であるときは、当該塩素化物の濃度は0として計算する。
   C=Σ(Ci×TEFi)
   この式において、C、Ci、TEFiは、それぞれ次の数値を表すものとする。
     C ダイオキシン類の毒性等量(ng-TEQ/g)
     Ci 3の(3)のアで得られた塩素化物の種類ごとの濃度(ng/g)
     TEFi 規則別表第三の中欄に掲げる塩素化物ごとにそれぞれ同表の下欄に掲げる係数