法令・告示・通達

最終処分場跡地形質変更に係る施行ガイドラインについて

  • 公布日:平成17年6月6日
  • 環廃対050606001号、環廃産050606001号

廃棄物最終処分場跡地形質変更に係る基準検討委員会

はじめに

 廃止された最終処分場は、廃棄物処理施設として維持管理を行わなくとも、そのままであれば生活環境保全上の問題が生じるおそれがない状態であるものの、廃止後の最終処分場跡地において土地の形質変更が行われる場合には地下の廃棄物が攪拌されたり酸素が供給されたりすることにより、廃棄物の発酵や分解が進行し、生活環境に支障を与えるおそれがある。
 このため、平成16年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「法」という。同様に、廃棄物処理及び清掃に関する法律施行令及び施行規則を、以下「令」、「規則」という。)改正においては、廃棄物が地中にある土地で形質変更が行われることにより、生活環境保全上の支障が生じるおそれがある区域を都道府県知事等が指定を行い、その区域内での土地の形質変更は施行方法の基準に従い実施することと知事への事前の届出が義務づけられたところである。
 この施行方法の基準を調査・検討するため、「廃棄物最終処分場跡地形質変更に係る基準検討調査」業務を環境省より財団法人廃棄物研究財団が受託し、学識経験者及び行政等の専門家で構成する「廃棄物最終処分場跡地形質変更に係る基準検討委員会(委員長:嘉門雅史京都大学大学院教授)」及び「同作業部会(部会長:井上雄三(独)国立環境研究所最終処分技術研究開発室室長)」を設置した。
 この中で、最終処分場跡地利用に関する都道府県アンケート調査結果、既存文献調査をもとに、廃棄物が地下にある土地の形質の変更に関して、指定区域の指定範囲と指定方法、届出事項、届出が不要な場合の考え方、施行基準等の具体的な内容を検討するとともに、都道府県知事等や事業者が法の適正な執行に資するためのガイドライン内容について検討したものである。

別紙

廃棄物最終処分場跡地形質変更に係る基準検討委員会名簿(五十音順)

委員長 嘉門 雅史  京都大学大学院地球環境学堂 地球親和技術学廊 教授
委員  井上 雄三  (独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター最終処分技術研究開発室 室長
委員  小田 勝也 国土技術政策総合研究所 沿岸海洋研究部沿岸防災研究室 室長
委員  小野 雄策 埼玉県環境科学国際センター 廃棄物管理担当 担当部長
委員  島岡 隆行 九州大学大学院工学研究院 環境システム科学研究センター 教授
委員  田中 宏明 京都大学大学院工学研究科附属環境質制御研究センター 教授
委員  橋本 久夫 広島県環境生活部環境局 産業廃棄物対策室 室長
委員  樋口 壯太郎 福岡大学大学院工学研究科 資源循環・環境工学専攻 教授
委員  平田 耕二 東京都港湾局港湾整備部技術管理課 課長
委員  三木 博史 (独)土木研究所 技術推進本部 本部長

廃棄物最終処分場跡地形質変更に係る基準検討委員会作業部会名簿(五十音順)

部会長  井上 雄三 (独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター最終処分技術研究開発室 室長
副部会長 小田 勝也 国土技術政策総合研究所 沿岸海洋研究部沿岸防災研究室 室長
副部会長 小橋 秀俊 (独)土木研究所 材料地盤研究グループ 上席研究員
部会員  今泉 繁良 宇都宮大学大学院 工学研究科 エネルギー環境科学専攻 環境エネルギー工学講座 教授
部会員  遠藤 和人 (独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 最終処分技術研究開発室 研究員
部会員  小野 雄策 埼玉県環境科学国際センター 廃棄物管理担当 部長
部会員  勝見 武 京都大学大学院 地球環境学堂 地球親和技術学廊 社会基盤親和技術論分野 助教授
部会員  菊池 喜昭 (独)港湾空港技術研究所 地盤・構造部 基礎工研究室 室長
部会員  山田 正人 (独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 最終処分技術研究開発室 主任研究員
部会員  渡部 要一 (独)港湾空港技術研究所 地盤・構造部 土質研究室 室長
オブザーバ 石垣 智基 (独)国立環境研究所 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター

<協力委員>

協力委員 石田 道彦 株式会社大林組 土木技術本部 環境技術第一部 土壌浄化第一グループ グループ長
協力委員 小久保 裕 五洋建設株式会社 土木部門 環境事業部
協力委員 櫻井 良宏 東亜建設工業株式会社 土木本部 設計部 設計第一課長
協力委員 谷澤 房郎 大成建設株式会社 エコロジー本部 環境保全グループシニアエンジニア
協力委員 中村 貞義 鹿島建設株式会社 環境本部 廃棄物環境グループ 次長
協力委員 山口 直久 株式会社エックス都市研究所 第二研究本部 環境保全計画室 室長補佐

事務局

事務局 八木 美雄 財団法人廃棄物研究財団 常務理事
事務局 杉山 吉男 財団法人廃棄物研究財団 研究企画・振興担当部長
事務局 清野 昭則 財団法人廃棄物研究財団 東京研究所 主任研究員
事務局 衛藤 学 財団法人廃棄物研究財団 東京研究所 主任研究員
事務局 宇佐見貞彦 八千代エンジニヤリング株式会社 総合事業本部 環境施設部 技術第二課 課長
事務局 大渡 俊典 八千代エンジニヤリング株式会社 総合事業本部 環境施設部 技術第二課

目次

  1. はじめに
  2.  1.総則
    1.   1.1 目的
    2.   1.2 用語の定義
    3.   1.3 適用範囲
    4.   1.4 ガイドラインの体系
  3.  2.指定区域について
    1.   2.1 指定区域
    2.   2.2 指定区域の指定等
  4.  3.土地の形質の変更の届出等
    1.   3.1 土地の形質の変更の届出
    2.   3.2 事後の届出
    3.   3.3 事前の届出を要しない土地の形質の変更
  5.  4.施行方法
    1.   4.1 土地の形質の変更の施行方法に関する基準
    2.   4.2 廃棄物と土地利用に応じた適切な施行
    3.   4.3 事前調査
    4.   4.4 具体的な施工の方法
      1.    4.4.1 廃棄物の飛散・流出防止
      2.    4.4.2 悪臭ガスの防止
      3.    4.4.3 可燃性ガス等による火災等の防止
      4.    4.4.4 内部保有水等による水質汚濁防止
      5.    4.4.5 覆いの機能維持
      6.    4.4.6 設備の機能維持
      7.    4.4.7 掘削廃棄物の適正処理
      8.    4.4.8 その他
    5.   4.5 モニタリングと環境保全対策
      1.    4.5.1 モニタリングと環境保全対策
      2.    4.5.2 外部地下水への汚染拡散防止措置
    6.   4.6 その他
  6. おわりに
  7. 【参考】
    1.  参考資料-1 関係法令(抜粋)
    2.  参考資料-2 土地の形質の変更と生活環境影響の関連
    3.  参考資料-3 関係する基準等
    4.  参考資料-4 ブロワ吸引量と活性炭吸着等の規模計算例
    5.  参考資料-5 発生ガス量と換気量の算定例
    6.  参考資料-6 跡地利用施設に関するガス対策
    7.  参考資料-7 擁壁等流出防止設備の安定計算方法例
    8.  参考資料-8 造成法面の安定計算方法例
    9.  参考資料-9 ガスの性状
    10.  参考資料-10 雨水流出量の計算方法例
    11.  参考資料-11 地盤の沈下計算方法と遮水シートに働く応力計算例

1.総則

1.1 目的

 本ガイドラインは、平成16年に改正された廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。同様に、廃棄物処理及び清掃に関する法律施行令及び施行規則を、以下「令」、「規則」という。)に基づき、廃棄物が地下にある土地の形質の変更にあたって、施行方法の基準に沿った事前調査、施工及びモニタリング等の内容を示すことによりその適正な施行を確保し、もって生活環境の保全を図ることを目的とする。

【解説】

 廃止された廃棄物の最終処分場については、安定的な状態ではあるものの、土地の掘削その他の土地の形質の変更が行われることにより、安定的であった地下の廃棄物が攪拌されたり酸素が供給されたりすることで、その廃棄物の発酵や分解が進行してガスや汚水が発生するなど、生活環境の保全上の支障を生ずるおそれがある。
 こうしたことから、平成16年の法の改正においては、廃棄物が地下にある土地であって土地の形質の変更により生活環境保全上の支障が生ずるおそれがある区域を都道府県知事又は保健所設置市長(以下、「都道府県知事等」という。)が指定区域として指定し、当該区域において土地の形質の変更を行おうとする者が、事前に土地の形質の変更の内容を都道府県知事等に届け出ることを義務付ける。都道府県知事等はその届出内容が施行方法の基準に適合しないと認める場合には当該施行方法に関する計画の変更を命ずることができるようにした。
 本ガイドラインは、法に基づいて廃棄物が地下にある土地の形質の変更を行う場合に必要な施行方法を記述したものである。

  図:図1 -1 土地の形質の変更による生活環境保全上の支障のイメージ

図1 -1 土地の形質の変更による生活環境保全上の支障のイメージ

 参考までに、廃棄物が地下にある土地の形質の変更に係る届出制度の体系を図1-2 に示す。

  図:図1-2 廃棄物が地下にある土地の形質の変更に係る届出制度の体系

図1-2 廃棄物が地下にある土地の形質の変更に係る届出制度の体系

1.2 用語の定義

 本ガイドラインで使用している用語の定義を以下に示す。

  1.  1) 「廃棄物」とは、廃棄物処理法で定める、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。
  2.  2) 「廃棄物埋立地」とは、法第15条の17の指定区域に指定された廃棄物の埋立処分の場所(不法投棄地を含む。)をいう。
  3.  3) 「廃止」とは、もはや最終処分場として維持管理の必要がない程度まで、埋め立てた廃棄物が安定化したことが何らかの方法で確認されている状態をいう。なお、平成10年6月16日以降は法第9条第5項の確認を受けた状態、平成4年7月4日から平成10年6月15日の間は廃止の届出が提出された状態をいう。
  4.  4) 「不法投棄地」とは、廃棄物が不法に投棄された土地及び法や一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令(昭和52年3月総理府・厚生省令第1号。以下、「基準省令」という。)に違反した廃棄物埋立地のうち、廃棄物を残存させたまま生活環境上の支障の除去措置が講じられた土地をいう。
  5.  5) 「土地の形質の変更」とは、土地の形状又は性質の変更のことであり、例えば、宅地造成、土地の掘削、開墾等の行為をいう。
  6.  6) 「事前調査」とは、土地の形質を変更しようとする場合に、当該廃棄物埋立地に関して、廃棄物の種類、設備の構造と位置、水質・ガス等の測定結果等の関連する情報を工事計画策定前に収集し、当該廃棄物埋立地の廃棄物による区分や生活環境保全上の支障が生ずるおそれが考えられる事項等について把握するための、既存情報や必要に応じた現地調査のことをいう。
  7.  7) 「施工」とは、廃棄物埋立地の土地の形質を変更する盛土、掘削、舗装、工作物の設置、既存構造物の改変等の工事をいう。
  8.  8) 「モニタリング」とは、土地の形質の変更行為の着手前と工事完了後の一定期間、廃棄物の飛散・流出、悪臭、可燃性ガス、保有水等や浸透水の水質、周縁地下水の水質、及び地盤・構造物の変位等、生活環境保全上生ずるおそれのある支障について調査・監視することをいう。
  9.  9) 「ガス」とは、廃棄物埋立地から発生する悪臭成分を含むガスや可燃性ガス等をいう。
  10.  10) 「試掘」とは、廃棄物埋立地の廃棄物の種類やガス等の性状を把握するためボーリングやバックホウ等により廃棄物を掘削することをいう。
  11.  11) 「保有水等」とは、基準省令で定める一般廃棄物又は産業廃棄物の保有水及び雨水等をいう。
  12.  12) 「浸透水」とは、基準省令で定める安定型産業廃棄物の層を通過した雨水等をいう。
  13.  13) 「周縁地下水」とは、基準省令で定める埋立地の周縁の地下水をいう。水面埋立処分を行う最終処分場にあっては、周辺の水域又は周縁の地下水をいう。
  14.  14) 「安定型埋立地」とは、安定型産業廃棄物のみが埋め立てられた廃棄物埋立地をいう。
  15.  15) 「管理型混入安定型埋立地」とは、例えばシュレッダーダストのように、埋立当時は安定型産業廃棄物とされていたが、現状では管理型産業廃棄物とされている安定型産業廃棄物以外の廃棄物が埋め立てられた廃棄物埋立地をいう。
  16.  16) 「管理型埋立地」とは、管理型産業廃棄物の埋立地、一般廃棄物の埋立地、安定型産業廃棄物が埋め立てられた埋立地、不法投棄地、及び埋め立てられた廃棄物が不明な廃棄物埋立地をいう。
  17.  17) 「特別管理廃棄物混入管理型埋立地」とは、例えばアスベストや感染性廃棄物等のように、埋立当時は管理型廃棄物とされていたが、現状では特別管理廃棄物とされている廃棄物が埋め立てられた廃棄物埋立地をいう。
  18.  18) 「遮断型埋立地」とは、令第7条第14号イに定める廃棄物埋立地をいう。
  19.  19) 「廃棄物埋立地の廃棄物による区分」とは、廃棄物埋立地を埋め立てられた廃棄物の種類により、「安定型埋立地」、「管理型混入安定型埋立地」、「管理型埋立地」、「特別管理廃棄物混入管理型埋立地」、「遮断型埋立地」に区分することをいう(下図参照)。

      図:廃棄物埋立地の廃棄物による区分

      ※本ガイドラインでは、廃棄物埋立地を二重線で囲った5種類に区分し、これらを対象とした。
  20.  20) 「表層利用」とは、土砂等による覆い(覆土)の機能を残存するような掘削しか伴わず、盛土や構造物の設置などを行う利用のことをいう。
  21.  21) 「中層利用」とは、覆土と廃棄物の掘削により、遮水工、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備、地下水集排水設備等の形質を変更しない利用のことをいう。
  22.  22) 「底層利用」とは、遮水工、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備、地下水集排水設備等の設備を改変する利用又は廃棄物埋立地の底部までの掘削を行う利用のことをいう。
  23.  23) 「埋立廃棄物等」とは、廃棄物埋立地に存在する廃棄物、及び廃棄物に接触し汚染された可能性を有する土砂をいう。
  24.  24) 「不透水性地層」とは、基準省令に定めるように、地下の全面に厚さが5m以上であり、かつ透水係数が100nm/sec(岩盤にあってはルジオン値が1)以下である地層又はこれと同等以上の遮水の効力を有する地層をいう。

1.3 適用範囲

 本ガイドラインは、法第15条の17第1項に定める指定区域(以下「指定区域」という。)において土地の形質の変更を行う場合に適用する。

【解説】

 本ガイドラインは、廃棄物が地下にある土地のうち、法第15条の17第1項に定める指定区域について適用する。なお、指定区域以外の廃棄物が地下にある土地の形質の変更をしようとする場合にあっても、本ガイドラインを活用することが可能である。
 本ガイドラインにおいて、「土地の形質の変更を行う者」とは、その施行に関する計画の内容を決定する者である。請負等の契約等により土地の形質の変更が行われる場合は、契約の内容が場所及び深さを特定して土地の形質の変更を行うことを定めるものであれば、工事の具体的な計画を定めるものと解され、発注者がこれに該当する。
 一方、契約の内容が建築物を完成することなどを定めるものであれば、工事の具体的な計画を定めるものでないと解され、受注者が該当する。
 また、元請業者と下請業者の関係については、通常は元請業者が工事の施行方法の具体的な計画を定めた上で、その作業の実施を下請業者に請け負わせることから、通常は元請業者が該当する。

1.4 ガイドラインの体系

 施行方法には、事前調査、施工及びモニタリングの一連のものが含まれる。
 本ガイドラインでは、2章において都道府県知事等による指定区域の指定の流れ、3章において指定区域の土地の形質の変更に係る届出、4章において施行方法として事前調査、施工、並びにモニタリングについて示す。

【解説】

 1) 都道府県知事等における指定区域の指定に係るフロー

  指定区域を都道府県知事等が指定する場合は、図1-3に示すとおり、廃止届出台帳や許可申請書等を参照して、指定区域を指定するとともに台帳を作成する。指定区域の指定にあたって収集した情報や関係書類は、都道府県知事等によって保管しておくことが望ましい。

 2) 土地の形質の変更に係るフロー

 軽易な行為等を除き、当該土地の形質の変更をしようとする場合は、予め土地の形質の変更によって生ずる生活環境保全上の支障の程度を把握するため、廃棄物の種類、施設の構造、施設の位置や構造等を把握できる資料、水質・ガス等の測定結果等の事前情報の収集や、必要に応じた現地調査を行うこととした。また、生活環境保全上の支障の程度に応じて適切な環境保全対策やモニタリング計画等を策定する必要がある。
 さらに、土地の形質の変更の工事においては、事前の予測と異なった、又は事前に予測困難であった事態にあっても生活環境保全上の支障が生ずることを最小限に留めるため、工事着工前、工事中及び工事完了後においてモニタリングを行うこととした。

  図:図 1-3 土地の形質の変更に係る施行方法についての体系
図 1-3 土地の形質の変更に係る施行方法についての体系

2.指定区域について

2.1 指定区域

 指定の対象となる区域は、現に生活環境保全上支障が生ずるおそれがない廃棄物の最終処分場の跡地等であって、土地の形質の変更に伴い生活環境保全上支障(廃棄物の飛散・流出、ガスの発生、公共の水域又は地下水への汚染等)が生ずるおそれがある跡地その他の埋立処分の場所であり、具体的には次のとおりである。

  1.  ① 廃止の確認を受けて廃止された一般廃棄物又は産業廃棄物の最終処分場に係る廃棄物埋立地【令第13条の2第1号】
  2.  ② 廃止の確認の制度の施行日(平成10年6月16日)より前に、廃止の届出がされた一般廃棄物又は産業廃棄物の最終処分場に係る廃棄物埋立地【令第13条の2第2号】
  3.  ③ 廃棄物処理法に基づく設置届出がされた一般廃棄物又は産業廃棄物の最終処分場に係る廃棄物埋立地のうち、廃止の届出の制度の施行日(平成4年7月4日)より前に廃止されたもの【令第13条の2第3号イ、規則第12条の31第1号】
  4.  ④ 市町村又は廃棄物処理業者(処分業の用に供するものに限る。)が設置したミニ処分場又は旧処分場に係る廃棄物埋立地のうち、廃止されたもの【令第13条の2第3号イ、規則第12条の31第2号】
  5.  ⑤ 法に基づく措置命令又は行政代執行等に基づき遮水工封じ込め措置又は原位置封じ込め措置等が講じられた廃棄物埋立地【令第13条の2第3号ロ】

【解説】

 法において生活環境保全上の支障とは、廃棄物の飛散・流出、放流水による公共の水域や地下水への汚染、ガスの発散、害虫等の発生、周辺環境への悪臭、騒音、振動の発生であり、廃棄物が地下にある土地において、掘削等の土地の形質の変更を行うことにより、何らかの生活環境保全上の支障が生じうる。このため、指定区域の対象は、現に生活環境保全上支障が生ずるおそれがない廃棄物の最終処分場の跡地(廃棄物の埋立区域に関する記録を行政庁が公的な情報として把握できるもの)を基本としたものである。
 ①~③については、法に基づき届出又は許可が必要とされた廃棄物処理施設であり、廃止された時期によって、廃止確認制度以降、廃止届出制度から廃止確認制度まで、廃止届出制度以前に分類されている。
 ④については、廃棄物処理施設には該当しない、いわゆるミニ処分場又は旧処分場であって、市町村又は廃棄物処理業者が廃棄物処分の事業として行った廃棄物埋立地である。
 また、⑤については、廃棄物埋立地のうち、不法投棄地は、措置命令や代執行により支障の除去が図られた後も、土地の形質の変更によって生活環境保全上の支障が生ずるおそれがある場合(遮水封じ込め措置がなされた場合)があり、土地の形質の変更に伴い生活環境保全上の支障が再発するおそれがあるためでもある。
 なお、法が施行される昭和46年9月24日以前に既に埋立完了していた廃棄物埋立地は対象外である。
 法の変遷の概要を表2-1に示す。


表2-1 法の変遷の概要
概要
S46.9.24
廃棄物処理法施行(廃棄物を一廃と産廃に区分)
S52.3.14
基準省令、最終処分場を「安定型」「遮断型」「管理型」に区別
H4.7.4
廃止届、特別管理廃棄物新設
H9.12.1
ミニ処分場の規制強化
H10.6.16
廃止確認、安定型産廃の規定追加

○廃棄物処理法施行令(昭和46年政令第300号、一部改正平成17年政令第5号)
(指定区域として指定する廃棄物が地下にある土地)

 第十三条の二 法第十五条の十七第一項の政令で定める土地は、次のとおりとする。

  1.   一 法第九条第五項(法第九条の三第十項において読み替えて準用する場合を含む。)の確認を受けて廃止された一般廃棄物の最終処分場又は法第十五条の二の五第三項において読み替えて準用する法第九条第五項の確認を受けて廃止された産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地
  2.   二 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成九年法律第八十五号)第二条の規定による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律第九条第三項(同法第九条の三第六項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による廃止の届出があつた一般廃棄物の最終処分場又は同法第十五条の二第三項において読み替えて準用する同法第九条第三項の規定による廃止の届出があつた産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地
  3.   三 一般廃棄物又は産業廃棄物の埋立地であつて、次のいずれかに該当するもの(前二号に掲げるものを除く。)
    1.    イ 継続的に又は反復して埋立処分が行われた埋立地であつて環境省令で定めるもの
    2.    ロ 環境省令で定める生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置が講じられたもの
○廃棄物処理法施行規則(昭和46年厚生省令第35号、一部改正 平成17年環境省令第7号)
(令第十三条の二の環境省令で定める埋立地)

 第十二条の三十一 令第十三条の二第三号イの規定による環境省令で定める埋立地は、次のとおりとする。

  1.   一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律(平成三年法律第九十五号)第一条の規定による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下この条において「旧法」という。)第八条第一項の規定による届出があつた一般廃棄物の最終処分場であつて廃止されたもの又は旧法第十五条第一項の規定による届出があつた産業廃棄物の最終処分場であつて廃止されたものに係る埋立地
  2.   二 前号に掲げるもののほか、市町村若しくは法第七条第十二項に規定する一般廃棄物処分業者(埋立処分を業として行う者に限る。)により一般廃棄物の埋立処分の用に供された場所(自らその事業活動に伴つて生じた一般廃棄物を処分する用に供するものを除くものとし、法の施行前に埋立処分が開始されたものにあつては、法の施行の際現に埋立処分の用に供されていたものに限る。)であつて廃止されたもの又は市町村、法第十四条第十二項に規定する産業廃棄物処分業者若しくは法第十四条の四第十二項に規定する特別管理産業廃棄物処分業者(埋立処分を業として行う者に限る。)により産業廃棄物の埋立処分の用に供された場所(自らその事業活動に伴つて生じた産業廃棄物を処分する用に供するものを除くものとし、法の施行前に埋立処分が開始されたものにあつては、法の施行の際現に埋立処分の用に供されていたものに限る。)であつて廃止されたものに係る埋立地(公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条第一項の免許又は同法第四十二条第一項の承認を受けて埋立てをする場所にあつては、令第五条第二項又は第七条第十四号ハに基づく環境大臣の指定を受けたものに限る。)
(令第十三条の二の環境省令で定める措置)

 第十二条の三十二 令第十三条の二第三号ロの規定による環境省令で定める措置は、法第十九条の四第一項、第十九条の四の二第一項、第十九条の五第一項若しくは第十九条の六第一項の規定に基づく命令に係る措置又は法第十九条の七第一項若しくは第十九条の八第一項の規定に基づく措置その他これらに相当する生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止が十分に講じられた措置であつて、次の各号のいずれかに該当するものとする。

  1.   一 廃棄物のある層の側面に、不透水性の地層のうち最も浅い位置にあるものの深さまで地下水の浸出の防止のための構造物を設置する措置
  2.   二 廃棄物を埋立地から掘削し、当該埋立地に地下水の浸出を防止するための構造物を設置し、及び当該構造物の内部に掘削した廃棄物を埋め戻す措置
  3.   三 廃棄物が含まれる範囲の土地を、コンクリート、アスファルト又は土砂により覆い、これらによる覆いの損壊を防止する措置

2.2 指定区域の指定等

 1) 指定区域の指定の公示【法第15条の17】

  都道府県知事等は、都道府県等で保管している廃棄物処理業許可申請書、廃棄物処理施設設置届出書、廃棄物処理施設設置許可申請書、報告徴収結果又は立入検査結果等(以下「指定区域調査」という。)による調査の結果、2.1節に掲げる廃棄物埋立地に該当すると認める場合には、当該土地の区域を指定区域として指定し、その旨を公示するものとする。
  また、廃棄物の除去等により、指定区域の全部又は一部についてその指定の事由がなくなったと認めるときは、当該土地について指定区域の指定を解除し、その旨を公示するものとする。

【解説】

 指定区域の指定及び解除は、公示によってその効力を生ずる(法第15条の17第3項)ことから、公示は、指定区域調査の結果や廃棄物の除去を完了した旨の報告を受け、それを確認した後速やかに行うものとする。

 1) 指定区域の指定の公示

  指定区域の公示は、指定区域調査の結果等を踏まえ、指定をする旨、指定区域及び2.1節に掲げる廃棄物埋立地の区分を明示して、都道府県等の公報等に掲載して行うものとする。
  指定区域の明示については、①市町村(特別区を含む。)、大字、字、小字及び地番、②平面図のいずれかによることとする。
  これについては、①を基本とし、一の地番の土地の一部を指定する場合には、①により「...の地番の一部」と記載するか、又は②により平面図を用いて明示することとする。

 2) 指定区域の指定の解除

  指定区域の解除は、廃棄物の除去等により指定区域の全部又は一部についてその指定の事由がなくなったと認める際に行うものとする。
  公示の方法については、1)と同様である。
  「廃棄物の除去等」とは、廃棄物の全量除去のほか、廃棄物が完全に除去されていないが廃棄物が分解・安定化し、ガスや水質が通常の土地と大差なくなり外観的にも土壌と区別できないような状態になった場合のことである。

 3) 指定の手順と方法

  都道府県等においては指定の前にできるだけ情報を収集することとし、廃棄物埋立地の区域指定は原則として表2-2により行うこと。
  なお、情報の収集にあたっては次のような情報を参考にする。

  •    ・廃止台帳(法第19条の10)
  •    ・最終処分場設置届出、許可申請の際の添付図面
  •    ・立入、調査記録
  •    ・市町村等への照会
表2-2 指定区域の指定方法
設置届等から得られる情報
指定の方法
最終処分場の平面図が存在する場合
縮尺2,500分の1程度以上の精度の平面図があり、誤差2m程度で埋立区域が特定できる場合
地番及び平面図で確認できる埋立区域をもとに地番と区域を指定する。
上記ほどの精度の平面図はないもしくは敷地境界はわかるが埋立区域が特定できない場合
地番が分かる場合は地番で指定する。地番が分からない場合は、平面図に加えて埋立後の地形図等をもとにして、地番を確定して埋立区域を指定する。
最終処分場の平面図が存在しない場合
設置届出等の書類により地番がわかる場合
地番を埋立区域として指定する。

○廃棄物処理法(昭和45年法律第137号、一部改正 平成16年法律第40号)

(指定区域の指定等)
 第十五条の十七 都道府県知事は、廃棄物が地下にある土地であつて土地の掘削その他の土地の形質の変更が行われることにより当該廃棄物に起因する生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものの区域を指定区域として指定するものとする。

  1.  2 都道府県知事は、前項の指定をするときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
  2.  3 第一項の指定は、前項の公示によつてその効力を生ずる。
  3.  4 都道府県知事は、地下にある廃棄物の除去等により、指定区域の全部又は一部について第一項の指定の事由がなくなつたと認めるときは、当該指定区域の全部又は一部について同項の指定を解除するものとする。
  4.  5 第二項及び第三項の規定は、前項の解除について準用する。
○廃棄物処理法施行令(昭和46年政令第300号、一部改正 平成17年政令第5号)

(指定区域として指定する廃棄物が地下にある土地)
 第十三条の二 法第十五条の十七第一項の政令で定める土地は、次のとおりとする。

  1.   一 法第九条第五項(法第九条の三第十項において読み替えて準用する場合を含む。)の確認を受けて廃止された一般廃棄物の最終処分場又は法第十五条の二の五第三項において読み替えて準用する法第九条第五項の確認を受けて廃止された産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地
  2.   二 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成九年法律第八十五号)第二条の規定による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律第九条第三項(同法第九条の三第六項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による廃止の届出があつた一般廃棄物の最終処分場又は同法第十五条の二第三項において読み替えて準用する同法第九条第三項の規定による廃止の届出があつた産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地
  3.   三 一般廃棄物又は産業廃棄物の埋立地であつて、次のいずれかに該当するもの(前二号に掲げるものを除く。)
    1.    イ 継続的に又は反復して埋立処分が行われた埋立地であつて環境省令で定めるもの
    2.    ロ 環境省令で定める生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置が講じられたもの
○廃棄物処理法施行規則(昭和46年厚生省令第35号、一部改正 平成17年環境省令第7号)

(指定区域の指定の公示)
 第十二条の三十三 法第十五条の十七第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による指定区域の指定(同条第五項において準用する場合にあつては、指定の解除。以下この条において同じ。)の公示は、当該指定をする旨並びに当該指定区域及び令第十三条の二の規定による埋立地の区分(同条第三号イに掲げる埋立地にあつては第十二条の三十一の規定による埋立地の区分(以下「埋立地の区分」という。))を明示して、都道府県、保健所を設置する市又は特別区の公報に掲載して行うものとする。この場合において、当該指定区域の明示については、次のいずれかによることとする。

  1.   一 市町村(特別区を含む。)、大字、字、小字及び地番
  2.   二 平面図

2) 指定区域台帳の調製【法第15条の18】

  都道府県知事等は、指定区域について、その所在地、埋立地の区分等を記載した台帳 (以下「指定区域台帳」という。)を調製するものとする。
  また、指定区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。

 (1) 台帳の調製

  指定区域台帳は、帳簿及び図面をもって、指定区域ごとに調製するものとする。
  台帳の帳簿の記載事項は、指定年月日、指定区域の所在地、指定区域の概況、指定区域の区分、土地の形質の変更の実施状況とする。なお、法の趣旨の範囲内において、その他の情報を記載事項とすることを妨げるものではない。
  指定区域台帳の図面は、指定区域の位置を明示した周辺の地図とする。

 (2) 台帳の訂正

  都道府県知事等は、台帳の記載事項に変更があったときは、速やかに訂正しなければならないものとする。

【解説】
 (1) 台帳の調製
  「指定区域の所在地」は、市町村、大字、字、小字、地番等により表示するものとする。「指定区域の区分」は、2.1節の①~⑤に記載されている条文のうち、該当する根拠条項を記載するものとする。「指定区域の概況」は、指定区域の利用の現況等(例:住宅、駐車場等)を記載するものとする。「土地の形質の変更」については、法第15条の19第1項の届出が行われたもののみ台帳に記載すれば足り、届出を要しない土地の形質の変更まで記載する必要はないこと。
 (2) 台帳の訂正
  「台帳の記載事項に変更があったとき」とは、台帳の記載事項のうち「土地の形質の変更の実施状況」については、原則として法第15条の19第1項の届出を受けたものを記載するものとするが、届出を経ることなく実施したもの(法第15条の19第1項第2号に掲げる通常の管理行為、軽易な行為等に該当するため届出を要しないもの)であって任意の報告等により都道府県等が把握しえたものについては台帳に記載することとする。
  指定区域の解除を行った場合には、当該指定区域に係る帳簿及び図面を指定区域台帳から消除するものとする。ただし、消除された指定区域台帳の情報についても保管し、必要に応じて情報提供を行うことが望ましい。
 (3) 指定区域台帳の閲覧
  台帳の閲覧を拒むことができる「正当な理由」とは、閲覧を求められた時点で指定区域台帳の編纂作業中であり、閲覧させられる状態にない等の限定された場合のみを指すものである。通常、閲覧は、都道府県等の担当課や情報公開窓口において行われると考えられるが、処理手続の簡易化、迅速化を図ることが望ましい。また、写しの交付の請求があったときは、必要に応じ応分の負担を求めつつ、これに応じることが望ましい。このほか、台帳情報を電子化し、閲覧室のパソコン端末で検索、閲覧できるようにすることも考えられる。
○廃棄物処理法(昭和45年法律第137号、一部改正 平成16年法律第40号)
(指定区域台帳)
  1.  第十五条の十八 都道府県知事は、指定区域の台帳(以下この条において「指定区域台帳」という。)を調製し、これを保管しなければならない。
  2.  2 指定区域台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、環境省令で定める。
  3.  3 都道府県知事は、指定区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
○廃棄物処理法施行規則(昭和46年厚生省令第35号、一部改正 平成17年環境省令第7号)
(指定区域の指定の公示)
 第十二条の三十三 法第十五条の十七第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による指定区域の指定(同条第五項において準用する場合にあつては、指定の解除。以下この条において同じ。)の公示は、当該指定をする旨並びに当該指定区域及び令第十三条の二の規定による埋立地の区分(同条第三号イに掲げる埋立地にあつては第十二条の三十一の規定による埋立地の区分(以下「埋立地の区分」という。))を明示して、都道府県、保健所を設置する市又は特別区の公報に掲載して行うものとする。この場合において、当該指定区域の明示については、次のいずれかによることとする。
  1.   一 市町村(特別区を含む。)、大字、字、小字及び地番
  2.   二 平面図

(指定区域台帳)
  1.  第十二条の三十四 法第十五条の十八第一項の指定区域台帳は、帳簿及び図面をもつて調製するものとする。
  2.  2 前項の帳簿及び図面は、指定区域ごとに調製するものとする。
  3.  3 第一項の帳簿は、指定区域につき、少なくとも次に掲げる事項を記載するものとし、その様式は様式第三十一号の二のとおりとする。
    1.   一 指定区域に指定された年月日
    2.   二 指定区域の所在地
    3.   三 指定区域の概況
    4.   四 埋立地の区分
    5.   五 土地の形質の変更の実施状況
  4.  4 第一項の図面は、次のとおりとする。
    1.   一 土地の形質の変更の実施場所及び施行方法を明示した図面
    2.   二 指定区域の周辺の地図
  5.  5 帳簿の記載事項及び図面に変更があつたときは、都道府県知事は、速やかにこれを訂正しなければならない。
  6.  6 法第十五条の十七第四項の規定により指定区域の指定が解除された場合には、都道府県知事は、当該指定区域に係る帳簿及び図面を指定区域台帳から消除しなければならない。

3.土地の形質の変更の届出等

3.1 土地の形質の変更の届出【法第15条の19第1項、規則第12条の35、36、様式第31号の3】

 指定区域内において土壌の採取その他の土地の形質の変更をしようとする者は、その着手の 30日前までに、土地の形質の変更について都道府県知事等に届け出なければならない。ただし、軽易な行為等の場合には、届出を行わず、又は事後に行うこととなる。
 届出事項は、指定区域の所在地、土地の形質の変更の種類、場所及び施行方法、地下にある廃棄物の種類、廃棄物の搬出の有無及び搬出先、着手及び完了の予定日等とすること。また、土地の形質の変更をしようとする場所を明らかにした指定区域の図面、土地の形質の変更の施行に当たって周辺の生活環境に及ぼす影響について実施する調査の計画書及び土地の形質の変更の施行に係る工事計画書等を添付すること。

【解説】

1.総論

 届出にあたっては、土地の形質の変更によって悪臭ガスや可燃性ガス等の発生、設備の損傷による安全性の低下等の生ずることのないよう、当該廃棄物埋立地に関する情報を事前に十分把握することが重要である。その上で、適切な土地利用計画、モニタリング計画及び工事計画等を策定すること(届出までの流れは、1.4節の図1-3を参照。)

 1) 事前調査

  土地の形質を変更しようとする場合は、4.3節で後述するように、当該廃棄物埋立地に関して、廃棄物の種類、設備の構造と位置、水質・ガス等の測定結果等の関連する情報を収集して、当該廃棄物埋立地の区分や生活環境保全上の支障が生ずるおそれが考えられる事項等について把握しておく必要がある。

 2) 事前調査(現地調査)と届出

  事前情報の収集によっても廃棄物の種類、土地の形質によって生ずるおそれがある生活環境保全上の支障の程度と必要な対策の内容等が予測できない場合は、廃棄物の種類やガス・保有水等の性状等の把握のための現地調査が必要となる。
  埋立廃棄物の種類、保有水等の性状、ガスの性状等を把握するためにボーリング等試掘が必要である場合は、当該試掘は届出が必要な土地の形質の変更に該当するため、その行為の30日前までに届け出なければならない。
  試掘に先立つ届出では、土地の利用計画などは未定であることが想定されるため土地利用計画等の書類は不要である。ただし、試掘により遮水工等の廃棄物埋立地の諸設備を損傷し生活環境の保全上支障を生じないことが明らかであることを届出書類から審査することとなることから、添付書類としてこれらが明瞭に分かる図面等が求められる。
  なお、遮水工の位置が明確でない場合は、遮水工を損傷するおそれのある掘削(土砂等の覆いの厚さを50cm以上残存できる場合を除く。)を伴う土地の形質の変更は原則として行うべきでないので、遮水工の位置を確認できるような調査を慎重に行う必要がある。

 3) 土地利用工事に伴う届出

  ボーリング等現地調査が必要でないと判断して土地利用工事の届出を行う場合、又は現地調査後に土地利用工事の届出を行う場合は、土地利用計画、モニタリング計画、工事計画等を添付することとなる。

○廃棄物処理法(昭和45年法律第137号、一部改正 平成16年法律第40号)
(土地の形質の変更の届出及び計画変更命令)
 第十五条の十九 指定区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の三十日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次の各号に掲げる行為については、この限りでない。
  1.   一 第十九条の十第一項の規定による命令に基づく第十九条の四第一項に規定する支障の除去等の措置として行う行為
  2.   二 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの
  3.   三 指定区域が指定された際既に着手していた行為
  4.   四 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
○廃棄物処理法施行規則(昭和46年厚生省令第35号、一部改正 平成17年環境省令第7号)
(土地の形質の変更の届出)
  1.  第十二条の三十五 法第十五条の十九第一項の規定による届出は、様式第三十一号の三による届出書を提出して行うものとする。
  2.  2 前項の届出書には、次に掲げる書類及び図面を添付しなければならない。
    1.    一 土地の形質の変更の施行に当たり周辺の生活環境に及ぼす影響について実施する調査の計画書
    2.    二 土地の形質の変更の施行に係る工事計画書
    3.    三 土地の形質の変更をしようとする場所を明らかにした指定区域の図面
    4.    四 土地の形質の変更をしようとする指定区域の状況を明らかにした図面
    5.    五 埋立地に設置された設備の場所を明らかにした図面
    6.    六 土地の形質の変更の施行方法を明らかにした平面図、立面図及び断面図
    7.    七 土地の形質の変更の終了後における当該土地の利用の方法を明らかにした図面

 第十二条の三十六 法第十五条の十九第一項本文の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

  1.    一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名
  2.    二 土地の形質の変更を行う指定区域の所在地
  3.    三 土地の形質の変更の内容
  4.    四 地下にある廃棄物の種類
  5.    五 地下にある廃棄物の搬出の有無及び搬出先
  6.    六 土地の形質の変更の完了予定日
(環境省令で定める行為)
 第十二条の三十七 法第十五条の十九第一項第二号の環境省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
  1.    一 埋立地の設備の機能を維持するために必要な範囲内で行う当該設備の修復又は点検
  2.    二 前号に掲げるもののほか、次のイ及びロに掲げる要件を満たすもの
    1.     イ 盛土、掘削又は工作物の設置に伴つて生ずる荷重により埋立地に設置された設備の機能に支障を生ずるものでないこと。
    2.     ロ 掘削又は工作物の設置により令第三条第三号ホ(令第六条第一項第三号及び第六条の五第一項第三号の規定において例による場合を含む。第十二条の四十第四号において同じ。)の規定による土砂の覆いの機能を損なわないものであること。

2.届出書類の内容

  届出書類の記載事項及び添付書類の内容を表3-1に示す。また、添付書類と廃棄物処理法で定める施行基準との関係を表3-2に示す。添付書類は、表3-2に示す施行基準と対応したものである。

表 3-1届出書類の記載事項及び添付書類の内容
 
現地調査における掘削に係る届出書類
土地利用工事に係る届出書類
届出書類記載事項
氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名
土地の形質の変更を行う指定区域の所在地
土地の形質の変更の内容(変更の種類、場所、施行方法。現地調査時の変更の種類は「試掘」とする。)
地下にある廃棄物の種類
地下にある廃棄物の搬出の有無及び搬出先
土地の形質の変更の着手及び完了予定日
添付書類
土地の形質の変更をしようとする場所を明らかにした図面
廃棄物埋立地設備の位置関係を把握できる平面図、断面図等
周辺の生活環境に及ぼす影響について実施する調査の計画書(事前調査結果を含む。)
工事計画書
  •  ・試掘機械の種類
  •  ・試掘の径と深さ
  •  ・試掘時の環境保全計画
  •  ・試掘終了後の復旧計画
  •  ・掘削廃棄物の適正処理計画
土地の形質の変更の施行計画書(利用の内容を含む)
工事計画書
  •  ・工事の場所
  •  ・工事の内容と数量
  •  ・工事工程
  •  ・工事の施工方法
  •  ・廃棄物埋立地設備の機能が維持されることを明らかにした書類
  •  ・施工順序図
  •  ・環境保全対策計画
  •  ・掘削廃棄物の適正処理計画
表 3-2土地利用に係る土地の形質の変更の届出添付書類と施行基準の関連
施行基準
生活環境保全上の支障が生じないための措置
設備の機能維持
モニタリング
添付書類
廃棄物の飛散・流出防止
ガス処理
内部保有水処理
覆いの機能の修復
土地の形質の変更をしようとする場所を明らかにした図面
-
-
生活環境に及ぼす影響についての調査計画
-
-
-
-
-
事前調査結果
廃棄物埋立地設備の位置関係を把握できる平面図、断面図等
-
-
-
-
工事計画書
-
土地の形質の変更の施行計画書
-
  • *それぞれの添付書類は、○印を付した施行基準との適合状況を判断するために用いられる。
  • *ガス処理は、悪臭ガス及び可燃性ガス等の対策をいう。
  • *内部保有水処理は、浸透水、保有水等の適正処理をいう。


届出書類の記載事項及び添付書類の内容の詳細について、以下に示す。
 (1) 地下にある廃棄物の種類(現地調査における掘削に係る届出の場合は除く。)
  土地の形質の変更を行おうとする廃棄物埋立地について、表 3-3のいずれかの区分について記載すること。

表 3-3 廃棄物埋立地の区分と内容
区分
内容
【令第13条の2第1号】
廃止の確認を受けて廃止された一般廃棄物又は産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地
【令第13条の2第2号】
廃止の確認の制度の施行日(平成10年6月16日)より前に、廃止の届出がされた一般廃棄物又は産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地
【令第13条の2第3号イ、規則第12条の31第1号】
廃棄物処理法に基づく設置届出がされた一般廃棄物又は産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地のうち、廃止の届出の制度の施行日(平成4年7月4日)より前に廃止されたもの
【令第13条の2第3号イ、規則第12条の31第2号】
市町村又は廃棄物処理業者が設置したミニ処分場又は旧処分場に係る埋立地のうち、廃止されたもの
【令第13条の2第3号ロ、規則第12条の32】
法に基づく措置命令又は行政代執行等に基づき遮水工封じ込め措置又は原位置封じ込め措置が講じられた廃棄物の埋立地

 また、廃棄物の種類については、法第19条の10に定める届出台帳及び維持管理記録等に記載された情報を用いて記載すること。廃棄物の種類が平面的又は深さ方向に大きく異なる場合にあっては、場所による廃棄物の相違を平面図等を用いて明確にすること。なお、該当する情報がない場合は、届出事項調査のための試掘による内部廃棄物の性状調査を実施し報告すること。

  1. (2) 土地の形質の変更をしようとする場所を明らかにした図面
     土地の形質の変更を行う指定区域の位置と範囲、及び土地の形質の変更を行おうとする範囲についての情報を方角と縮尺、又は寸法を付して記載すること。これらの面積(実測)についても記載すること。また、指定区域の全景、土地の形質の変更以前の利用状況、土地の形質の変更の場所が把握できる写真を添付すること。試掘の場合は位置についても明示すること。
  2. (3) 廃棄物埋立地設備の位置関係を把握できる平面図、断面図等
    1.  ① 位置関係を記載する設備の種類
        地滑り防止工、沈下防止工、及び擁壁等の他、安定型埋立地においては浸透水集排水設備、浸透水採取設備等、管理型埋立地においては浸出液処理設備、保有水等集排水設備、開渠その他の設備、遮水工等、遮断型埋立地においては開渠その他の設備、外周仕切設備、及びこれらに準ずる各種構造物の平面的位置及び深さ方向の位置について、法第19条の10に定める届出台帳に記載された情報及び維持管理記録に記載の情報を用いて平面図又は断面図に記載すること。なお、区画埋立の実施された処分場においては土地の形質の変更が行われる区画の情報のみを用いてもよい。
    2.  ② 留意事項
        地滑り防止工、沈下防止工、擁壁等については土地の形質の変更地点との位置関係を明確にするとともに、可能であれば現状の強度や管理状況についても記載すること。
        底部遮水工については、その存在が明らかでない場合においては調査によって遮水機能(周縁地下水が汚染されていないこと)を評価して記載すること。
        地下水集排水設備、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備、ガス抜き設備、及び地下水観測井、浸出液処理設備、開渠その他の設備、開口部の覆いについては、その設置状況や稼働状況について記載すること。
        また、これらに準ずる各種構造物の設置の状況についても適宜記載すること。
        覆いについては、必要に応じて覆いの素材(土質や材料、厚さ等)及び強度についても記載する。
  3. (4) 土地の形質の変更の施行計画書(現地調査における掘削に係る届出の場合は除く)土地の利用に係る計画、土地の形質の変更計画について記載した下記の書類を添付すること。
      また、土地の形質の変更に係る生活環境保全上の支障を未然に防ぐための保有水等集排水設備、水処理施設、ガス抜き設備、悪臭・飛散防止対策、観測井の設置等の措置が必要な場合は、当該設備の設置に関する計画を記載すること。地下埋設物(下水道、ガス、水道、電気、雨水排水、トンネル等)を設置する場合は、その平面図、断面図、構造図等を添付すること。
    •  ・土地利用の内容を記載した書類
    •  ・平面図、立面図、構造図等
    •  ・土地形質の変更の範囲、深さ、高さ等が把握できる書類
  4. (5) 工事計画書
      工事計画は、土地の形質の変更に係る具体的内容を示した書類であり、下記の内容を含むものであること。
    1.  ① 現地調査における掘削に係る届出の場合
      •   ・試掘機械の種類
      •   ・試掘の径と深さ
      •   ・試掘時の環境保全計画(泥水処理、掘削した廃棄物の処理計画、ガス対策、臭気対策等)
      •   ・試掘終了後の復旧計画
    2.  ② 土地利用工事に係る届出の場合
      •   ・工事の場所
      •   ・工事の内容と数量
      •   ・工事工程
      •   ・工事の施工方法
      •   ・廃棄物埋立地設備の機能が維持されることを明らかにした書類
        •    → 構造計算書、安定計算書(貯留構造物、集水管、法面、地盤沈下等に対して機能が維持されることを計算したもの。ただし、荷重の増加を伴わないなど、支障が生ずるおそれがないことが明らかなものは除く。)
        •    → 廃棄物埋立地設備の機能を変更する場合の代替施設配置図・構造図等
      •   ・施工順序図
      •   ・環境保全対策計画(支障が生ずるおそれがないことが明らかなものは除く。)
        •    → 廃棄物飛散・流出防止措置
        •    → 悪臭ガス・可燃性ガス等防止措置
        •    → 内部保有水等処理
        •    → 覆いの機能修復措置 等
      •   ・掘削廃棄物の適正処理計画(搬出計画)
        •    → 搬出場所の名称、住所、連絡先
        •    → 搬出先の施設の種類と能力
      •   ・その他(労働安全環境確保措置等)
  5. (6) 周辺の生活環境に及ぼす影響についての調査計画(現地調査における掘削に係る届出の場合は除く。)
      土地の形質の変更に係る表3-3のモニタリング計画を添付すること。ただし、生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがないことが明らかな項目については、除外することができるものとする。モニタリング計画の内容は、後述する「4.5.1モニタリングと環境保全対策」によること。
      また、表3-4の事前調査結果も併せて添付すること(ただし、現地調査における掘削に係る届出の場合は除く。)。ただし、生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがないことが明らかな項目については、除外することができるものとする。これらは、維持管理記録の情報がある場合はその情報に基づき記載すること。該当する情報がない場合は、ボーリング等試掘による現地調査を実施し報告すること。事前調査の内容は、「4.3 事前調査」を参照する。
  6. (7) その他
      必要に応じて、下記の事項についても添付すること。
    •   ・過去において実施された環境保全対策に係る記録及び書類
     モニタリング計画、事前調査結果、工事計画及び掘削廃棄物の搬出計画は、廃棄物埋立地の廃棄物による区分と土地利用の形態に応じて、生活環境に支障が生ずるおそれが少ない項目については添付しなくともよい。この関係を表3-4に示す。
表 3-4 廃棄物埋立地の廃棄物による区分・土地利用形態と計画内容の対応
添付書類
廃棄物埋立地の廃棄物による区分
安定型埋立地
管理型埋立地管理型混入安定型埋立地
特管物混入管理型埋立地
遮断型埋立地
添付内容
表層
中層
底層
表層
中層
底層
表層
モニタリング計画
廃棄物の飛散・流出
*1
*1
*1
悪臭
*2
*2
*2
可燃性ガス等
放流水
周縁地下水
構造物等の変位*3
地中温度
-
-
-
-
事前調査結果
廃棄物組成
ガス量と性状
内部保有水の水位と水質
*4
*4
*4
放流水の水質
*4
*4
*4
周縁地下水及び土壌分析
*4
*4
*4
地盤の土質力学特性
地中温度
-
-
-
-
工事計画
廃棄物埋立地設備の機能維持
搬出計画
-
-
-
その他工事計画
  • *1:荷重の増加に伴い法面の安定性が低下する場合に限る。
  • *2:廃棄物の締め固めに伴うものに限る。
  • *3:荷重の増加が伴い安定性が低下する場合に限る。
  • *4:工事中の影響を監視するため、浸透水や周縁地下水が採取できる場合は、工事着手前に把握しておくことが望ましい。
○廃棄物処理法(昭和45年法律第137号、一部改正 平成16年法律第40号)
(土地の形質の変更に関する措置命令)
  1.  第十九条の十 指定区域内において第十五条の十九第四項に規定する環境省令で定める基準に適合しない土地の形質の変更が行われた場合において、生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は、必要な限度において、当該土地の形質の変更をした者に対し、期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。
  2.  2 第十九条の四第二項の規定は、前項の規定による命令について準用する。

3.2 事後の届出【法第15条の19第2項及び第3項】

 「指定区域の指定時に既に着手している行為」、「非常災害のための応急措置として行う行為」については、事前の届出は要しないが、事後に届け出なければならないものとする。

【解説】

 書式並びに添付書類は、3.1節の土地の形質の変更届出と同様である。

○廃棄物処理法(昭和45年法律第137号、一部改正 平成16年法律第40号)
(土地の形質の変更の届出及び計画変更命令)
  1.  第十五条の十九
  2.  2 指定区域が指定された際当該指定区域内において既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
  3.  3 指定区域内において非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、当該土地の形質の変更をした日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
○廃棄物処理法施行規則(昭和46年厚生省令第35号、一部改正 平成17年環境省令第7号)
(既に土地の形質の変更に着手している者の届出)
  1.  第十二条の三十八 法第十五条の十九第二項の規定による届出は、次に掲げる事項を記載した様式第三十一号の三による届出書を提出して行うものとする。
    1.   一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名
    2.   二 土地の形質の変更を行う指定区域の所在地
    3.   三 土地の形質の変更の種類、場所及び施行方法
    4.   四 土地の形質の変更の内容
    5.   五 地下にある廃棄物の種類
    6.   六 地下にある廃棄物の搬出の有無及び搬出先
    7.   七 土地の形質の変更の着手日
    8.   八 土地の形質の変更の完了日又は完了予定日
  2.  2 前項の届出書には、第十二条の三十五第二項各号に掲げる書類及び図面を添付しなければならない。
    (非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者の届出)
     第十二条の三十九 前条の規定は、法第十五条の十九第三項の届出について準用する。この場合において、前条第一項第八号中「完了日又は完了予定日」とあるのは、「完了日」と読み替えるものとする。

3.3 事前の届出を要しない土地の形質の変更【法第15条の19第1項ただし書、規則第12条の37】

 法第19条の10第1項に規定する措置命令に基づく支障の除去等の措置として行う行為、通常の管理行為等、指定区域の指定時に既に着手している行為、非常災害のための応急措置として行う行為については、事前の届出を要さないこととした。
 「通常の管理行為等」とは、埋立地の設備の機能を維持するために必要な範囲内で行う修復又は点検のほか、次の①、②に掲げる要件を満たすものをいう。

  1.  ① 盛土、掘削又は工作物の設置に伴って生ずる荷重により埋立地に設置された設備の機能に支障を生ずるものでないこと。
  2.  ② 掘削又は工作物の設置により令第3条第3号ホ(令第6条第1項第3号及び令第6条の5第1項第3号においてその規定の例によることとされた場合を含む。規則第12条の40第4号において同じ。)の規定による土砂の覆いの機能を損なわないものであること。

【解説】

 盛土や掘削、構造物の設置、植裁や舗装などの土地の形質の変更は、擁壁等の安定性を阻害する可能性や地下にある廃棄物の分解・安定化環境を変化させることによるガスや水質の悪化等を招く可能性が考えられる。
 なお、事前調査であっても、ボーリングなどの掘削(土砂等の覆いの厚さを50cm以上残存させる場合を除く。)は、ガスによる火災等の発生、臭気の発生等の生活環境保全上の支障を生ずるおそれがあるので、軽易な行為等には該当しない。
 しかし、土地の形質の変更に伴い生活環境保全上の支障が生ずるおそれがある廃棄物埋立地であっても、通常の管理や軽易な行為等の一定の行為については、新たな環境リスクを生じさせる可能性が十分に小さいことから、これらについては届出を要さないこととしたものである。

  1. 1.軽易な行為等の基本的な考え方
    1.  1) 増加荷重について
      1.  (1) 軽易な行為とみなす増加荷重の目安
          廃棄物埋立地を盛土する場合、擁壁等流出防止設備又は造成法面の安定性を損なわない場合のみ軽易な行為とする。通常、盛土造成に伴う擁壁等の安定計算を行う場合、宅地においては約10kN/m2、堤防などの車両通行を前提とする場合は20kN/m2の上載荷重を想定している(道路土工指針、河川砂防技術指針等)。
          したがって、盛土等による増加荷重は、概ね20kN/m2以下(単位体積重量1.8t/m3の土砂で概ね厚さ1m以下の盛土に相当する。)である行為が軽易な行為の目安となる。
      2.  (2) 安全性の確認が必要な場合
          安定計算による安全率が大きく確保されている場合や擁壁等流出防止設備や法面端部から十分に離隔距離を確保している(盛土位置が法面端部又は擁壁等流出防止設備から、概ね埋立高さと同等な距離離れている場合)ことにより、荷重増加の影響が構造物に支障が生じないと推定される場合であっても、一律に軽易な行為等に該当するとはいえないことから、事前に構造計算で確認した上で擁壁等流出防止設備等に支障がないか確定する必要がある。
      3.  (3) 設備が現に変形している場合や設備を改善する場合
          土地の形質の変更の時点において現に擁壁等流出防止設備や法面に変形が生じている場合は、小規模な盛土といえ荷重を増加することは危険であるので、このような場合は軽易な行為等とはならない。
          また、廃棄物埋立地に設置された諸設備の形質の変更は、廃棄物埋立地内貯水の発生、擁壁等流出防止設備の強度低下等が生ずる可能性があるため、軽易な行為等には該当しない。
    2.  2) 掘削深さについて
      1.  (1) 軽易な行為等とみなす掘削
          廃止基準では、最終の覆いを土砂等で厚さ50cm以上施工することが義務づけられている。この覆いの機能により廃棄物の露出、臭気・ガスの発散、雨水の浸透防止等が図られている。したがって、土地の形質の変更に伴って覆いの厚さが50cmを下回るような掘削をすることは、廃止基準を満足しない状態となることから、土砂等の覆いが50cm以上残存することが明らかな場合における掘削を軽易な行為等とする。
      2.  (2) 諸設備の形質の変更を伴う場合や覆いの厚さが不明な場合
          廃棄物埋立地の諸設備の形質の変更を伴う場合、前項で述べた理由で軽易な行為等とはしない。
          土砂等の覆いの厚さが不明な場合、小規模な掘削であっても残存する覆い厚さが50cm以上確保できるか事前に確認できない場合がある。このような場合における掘削は、小規模であっても軽易な行為等とはならない。
      3.  3) 試掘について
          事前の試掘を行うことにより、土砂等の覆いの深さや廃棄物内容を確認することが必要である場合にあっても、下記の理由により上記2)(1)に該当しないような試掘は軽易な行為等とはならない。
        1.   ①シート位置が事前に確認できない廃棄物埋立地の場合、不用意に試掘を行うとシート等遮水工を破損してしまう危険性が否定できない。
        2.   ②シートの位置が事前に確認できる場合にあっても、その本数や密度によって臭気が発散するなど生活環境に支障を生ずることが危惧される。
      4.  4) 廃棄物埋立地諸設備の補修・補強等の行為
          擁壁等流出防止設備、ガス抜き設備、遮水工、埋立造成法面、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備、地下水集排水設備の廃棄物埋立地内又は廃棄物に接触して存在する諸設備は、むやみに形質を変更すると安全性の低下、排水不良、保有水等の直接漏出等の影響が危惧される。したがって、亀裂、変位等の補修又は補強以外は軽易な行為等と認めないこととする。
          遮断型埋立地の場合にあっては、外周仕切設備、覆い、点検設備の機能を修復又は補強する行為であって、廃棄物の掘削を伴わない行為のみが軽易な行為等となる。
    3. 2.軽易な行為等の具体的内容例
       軽易な行為の具体的な内容は、一例として下記のような行為がある。
      1.  1) 造成等開発の例
          一定の規模以上の造成等に係る行為のうち軽易な行為等に該当するものとしては、荷重の増加により諸設備に影響を生じないことが明らかな行為、かつ掘削により土砂等の覆いが50cm以上残存することが明らかな行為であって、下記に該当する行為が挙げられる。
           ここで、一定規模以上とは、開発面積が500m2以上の行為とする。
        •    ・ 切盛土造成
        •    ・ 客土・不陸整形
        •    ・ 土砂等の覆い内の土質改良
        •    ・ 種子吹き付け、伐採・植裁(花壇を含む)
        •    ・ 荷重20kN/m2以下の小構造物の設置(アンテナやポール等の柱構造物、フェンス等囲い、門扉等)
        •    ・ 法面保護工
        •    ・ 埋設物設置(電気配管、水道配管、ガス配管、電話配管、雨水暗渠、下水暗渠)
        •    ・ 雨水側溝
      2.  2) 小規模な土地の例
          一定の規模以下の造成等に係る行為のうち軽易な行為等に該当するものとしては、荷重の増加により諸設備に影響を生じないことが明らかな行為、かつ掘削により土砂等の覆いが50cm以上残存することが明らかな行為であって、前述した造成等開発の例に加え、下記に該当する行為が挙げられる。なお、小規模開発の場合は、廃棄物埋立地全体に及ぼす影響が軽微であることから、増加荷重の超過や覆いの機能の損傷がごく部分的に止まる場合は、軽易な行為とみなすことができる。
           ここで、一定規模未満とは、開発面積が500m2未満の行為とする。
        •    ・ 個人住宅の増改築(テラス、ベランダ等、駐車場の屋根等)
        •    ・ プレハブ小屋・物置、動物小屋等の設置(杭を打たないものに限る。)
        •    ・ 池の設置、形質の変更
    ○廃棄物処理法(昭和45年法律第137号、一部改正 平成16年法律第40号)
    (土地の形質の変更の届出及び計画変更命令)
     第十五条の十九 指定区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の三十日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次の各号に掲げる行為については、この限りでない。
    1.   一 第十九条の十第一項の規定による命令に基づく第十九条の四第一項に規定する支障の除去等の措置として行う行為
    2.   二 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの
    3.   三 指定区域が指定された際既に着手していた行為
    4.   四 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
    ○廃棄物処理法施行規則(昭和46年厚生省令第35号、一部改正 平成17年環境省令第7号)
    (環境省令で定める行為)
     第十二条の三十七 法第十五条の十九第一項第二号の環境省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
    1.   一 埋立地の設備の機能を維持するために必要な範囲内で行う当該設備の修復又は点検
    2.   二 前号に掲げるもののほか、次のイ及びロに掲げる要件を満たすもの
      1.    イ 盛土、掘削又は工作物の設置に伴つて生ずる荷重により埋立地に設置された設備の機能に支障を生ずるものでないこと。
      2.    ロ 掘削又は工作物の設置により令第三条第三号ホ(令第六条第一項第三号及び第六条の五第一項第三号の規定において例による場合を含む。第十二条の四十第四号において同じ。)の規定による土砂の覆いの機能を損なわないものであること。

    4.施行方法【法第15条の19第4項、規則第12条の40】

     都道府県知事は、法第15条の19第1項の届出があった場合において、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から30日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法に関する計画の変更を命ずることができる。

    4.1 土地の形質の変更の施行方法に関する基準

    1.  ① 廃棄物を飛散、又は流出させないものであること。
    2.  ② 埋立地から可燃性ガス又は悪臭ガスが発生する場合には、換気又は脱臭その他必要な措置を講ずるものであること。
    3.  ③ 土地の形質の変更により埋立地の内部に汚水が発生し、流出するおそれがある場合には、水処理の実施その他必要な措置を講ずるものであること。
    4.  ④ 令第3条第3号ホの規定による土砂の覆いの機能を損なうおそれがある場合には、当該機能を維持するために土砂の覆いに代替する措置を講ずるものであること。
    5.  ⑤ 土地の形質の変更により埋立地に設置された設備の機能を損なうおそれがある場合には、当該機能を維持するために埋立地に設置された設備に代替する措置を講ずるものであること。
    6.  ⑥ 土地の形質の変更に係る工事が完了するまでの間、当該工事に伴つて生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがないことを確認するために必要な範囲内で放流水の水質検査を行うものであること。
    7.  ⑦ ⑥による水質検査の結果、生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、その原因の調査その他の生活環境の保全上必要な措置を講ずるものであること。

    【解説】

    1.施行基準の基本的考え方

      施行基準は、指定区域内において土地の形質の変更をする際に遵守すべき事項であり、土地の形質の変更の届出の内容がこの基準に適合しない場合には、計画変更の命令の対象となる。
      施行基準の目的は、土地の形質の変更に伴って、廃棄物が飛散・流出したり、汚水やガスが発生して生活環境保全上の支障が生じることのないようにすることである。なお、今回の制度は、現状において生活環境保全上の措置を講ずる必要のなかった土地について、土地の形質の変更の機会に最新の廃止基準への合致などの追加的な措置を講じさせるものではない。
      擁壁等流出防止設備や保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備については、必ずしも廃棄物埋立地内にあるとは限らないが、これらの設備にも施行基準が適用される。

    ○廃棄物処理法(昭和45年法律第137号、一部改正 平成16年法律第40号)
    (土地の形質の変更の届出及び計画変更命令)
     第十五条の十九
     4 都道府県知事は、第一項の届出があつた場合において、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から三十日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法に関する計画の変更を命ずることができる。
    ○廃棄物処理法施行規則(昭和46年厚生省令第35号、一部改正 平成17年環境省令第7号)
    (土地の形質の変更の施行方法に関する基準)
     第十二条の四十 法第十五条の十九第四項の環境省令で定める基準は、土地の形質の変更に当たり、生活環境の保全上の支障が生じないように次の各号に掲げる要件を満たすものであることとする。
    1.   一 廃棄物を飛散、又は流出させないものであること。
    2.   二 埋立地から可燃性ガス又は悪臭ガスが発生する場合には、換気又は脱臭その他必要な措置を講ずるものであること。
    3.   三 土地の形質の変更により埋立地の内部に汚水が発生し、流出するおそれがある場合には、水処理の実施その他必要な措置を講ずるものであること。
    4.   四 令第三条第三号ホの規定による土砂の覆いの機能を損なうおそれがある場合には、当該機能を維持するために土砂の覆いに代替する措置を講ずるものであること。
    5.   五 土地の形質の変更により埋立地に設置された設備の機能を損なうおそれがある場合には、当該機能を維持するために埋立地に設置された設備に代替する措置を講ずるものであること。
    6.   六 土地の形質の変更に係る工事が完了するまでの間、当該工事に伴つて生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがないことを確認するために必要な範囲内で放流水の水質検査を行うものであること。
    7.   七 前号の規定による水質検査の結果、生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、その原因の調査その他の生活環境の保全上必要な措置を講ずるものであること。

    4.2 廃棄物と土地利用に応じた適切な施行

     廃棄物が地下にある土地の形質の変更にあたっては、当該廃棄物が有する生活環境への大きさを勘案するとともに、土地利用に応じて適切な土地の形質の変更行為の施行を行わなければならない。

    【解説】

    1. 1.廃棄物埋立地ごとの施行基準
        廃棄物埋立地は、大別して安定型埋立地、管理型埋立地、遮断型埋立地、又は措置された不法投棄地に分類できるが、その設置された年次によって埋め立てられている廃棄物の種類が異なり、施行方法による環境リスクも異なる。ここでは、廃棄物埋立地を廃棄物によって区分けした。
      1.  1) 安定型埋立地の廃棄物による区分
           安定型埋立地には、平成10年6月17日以降の現行法を前提とすると、それ以前では分解性廃棄物等が埋め立てられている可能性がある。このため、安定型埋立地には、現行法の安定型廃棄物のみを埋め立てた廃棄物埋立地と、現行法で管理型廃棄物又は遮断型廃棄物と規定された廃棄物を埋め立てた廃棄物埋立地がある。
           安定型埋立地のうち、現行法の安定型廃棄物のみが埋め立てられた廃棄物埋立地や浸透水が排水基準を満足する廃棄物埋立地は、ガス抜き管、地下水集排水設備、遮水工は存在しないことから、これらについては施行基準項目が適用されない。ただし、平成10年6月16日以前に埋め立てられた廃棄物は、それ以降に管理型廃棄物とされたシュレッダーダスト等の分解性物質を含む場合がある。このような管理型廃棄物が混入した廃棄物埋立地(以下、「管理型混入安定型埋立地」という。)は、例えば、現にガスが発生している場合はガス抜き管の機能維持(新たな設置を含む)が必要であることから、ガスに係る施行方法を規定している。
      2.  2) 管理型埋立地の廃棄物による区分
           管理型埋立地、封じ込めの措置が施された不法投棄地、及びミニ処分場については、埋め立てられている廃棄物の種類が多様であるとの共通点から、同一分類とした。
           これらの廃棄物埋立地であっても、安定型廃棄物又は鉄鉱スラグや石炭灰等の単一物の廃棄物埋立地であって生活環境保全上の支障が生ずるおそれが少ないことが確認されている廃棄物のみを埋め立てたものもある。
           このような生活環境に支障が生ずるおそれが少ない状態である廃棄物埋立地については、生活環境保全上の支障が生じないことを確認するために、水質や周縁地下水のモニタリングは行うものの、可燃性ガス等や掘削時の水質汚濁防止措置を予め講ずる必要性は少ないと考えられる。そこで、このような廃棄物埋立地は安定型埋立地と同等に取り扱うこととし、他の管理型埋立地とは異なる取り扱いとした。
           また、平成4年7月3日以前の管理型埋立地には、特別管理廃棄物が混入している可能性がある。そこで、このような廃棄物埋立地は、特別管理廃棄物混入管理型埋立地として、取り扱いを別途規定した。
           なお、埋め立てられている廃棄物が不明な場合は、管理型廃棄物として取り扱うことを原則とし、掘削等の結果、特別管理廃棄物が確認された場合は特別管理廃棄物混入管理型埋立地として取り扱うものとする。

    廃棄物埋立地の廃棄物による区分と施行方法の関係を表4-1に示す。

    表 4-1 廃棄物埋立地の廃棄物による区分と施行方法の関係

    図:表 4-1 廃棄物埋立地の廃棄物による区分と施行方法の関係

    4.3 事前調査

     事前調査は、廃棄物埋立地に関する情報の収集、廃棄物の種類の確認、土地利用計画、工事計画の策定、及び必要に応じて現地調査を行うものとする。

    【解説】

    1. 1.廃棄物埋立地に関する事前情報の収集
        下記に示す規則第3条及び第11条に関する情報等をできる限り収集する。なお、これらの資料は、許可申請書等で網羅できる内容であり都道府県等に存在したはずの資料であるから、都道府県等においては資料が現存する場合は、指定区域から除外されるまでの期間は保存しておくことが望ましい。
      1.  ① 施設の種類と整理番号(許可対象外施設は除く。)
      2.  ② 処理した廃棄物の種類
      3.  ③ 廃棄物埋立地の名称、所在地、面積、埋立容量
      4.  ④ 埋立当時の廃棄物埋立地の管理者
      5.  ⑤ 跡地の状況
      6.  ⑥ 構造及び設備の概要
      7.  ⑦ 放流水の水質、水量、放流方法、放流先の概要
      8.  ⑧ 着工及び使用開始年月日及び廃止年月日
      9.  ⑨ 当該施設の構造を明らかにした平面図、立体図、断面図、構造図、及び設計計算書
      10.  ⑩ 廃棄物埋立地の設備の変更に係る資料
      11.  ⑪ 周囲の地形(埋立前の地形を含む)、地質及び地下水の状況
      12.  ⑫ 埋立処分の計画(埋立方法など)
      13.  ⑬ 施設付近の見取り図
      14.  ⑭ 水質、ガス、及び沈下等の各種モニタリングデータ
      15.  ⑮ 埋立から廃止に至る期間において行った環境保全対策事項
      16.  ⑯ 地域住民との協定書
      17.  ⑰ その他、他法令に基づく資料(都市計画法、建築基準法等) 等
        ただし、試掘のために土地の形質の変更の届出を行う場合は、①~⑧の資料、及び⑨の資料のうち設計計算書を除く資料でよい。
    2. 2.廃棄物埋立地の廃棄物による区分と廃棄物の種類の確認
        埋立時期によって廃棄物の種類や質が異なるので、事前調査では廃棄物の種類(質)の特定が重要となる。
        ボーリング等の試掘によらないと廃棄物の種類や質が特定できない場合は、事前に試掘計画を提出し、廃棄物の種類を特定する。試掘は土地の形質の変更にあたるので、事前の届出が必要である。
        なお、平成10年6月17日以降のみに廃棄物が埋め立てられた廃棄物埋立地については、事前情報について書類で廃棄物埋立地の廃棄物による区分が判断できる。廃棄物の種類は、組成分析等により把握するものとする。廃棄物の種類が平面的又は深さ方向で大きく異なる場合は、土地の形質の変更による生活環境保全上の支障の程度が場所によって異なることから、場所による廃棄物の種類の相違についても把握する必要がある。
    3. 3.周辺の生活環境に及ぼす影響の調査計画
        モニタリング計画は、3.1節で述べた内容を作成する。また、届出項目において記載されるべき項目が満たされない場合には、これらの項目の調査のために現地調査(試掘を含む)を実施する。なお、掘削により雨水の浸透が増加し放流水の水質が悪化することも予想されることや、断面構造に関する図面等の情報が不明の場合においては、掘削により遮水機能を損傷する可能性があることから、原則として掘削は実施しないこと。
        平成10年7月3日以前に埋め立てられた廃棄物は、安定型廃棄物といえども現在は管理型廃棄物等となる廃棄物が混入している可能性があるため、保有水等やガス等の事前調査ができる設備等を設ける必要がある。さらに、土地の形質の変更後の環境と比較するため土地の形質の変更前の周縁地下水、周辺土壌の検査も事前に行う必要がある。
        廃棄物の質が明らかであり、保有水等の汚濁性(あるいは有害性)が低く、悪臭を伴わない場合や工事内容又は土地利用用途によってはモニタリング項目数やモニタリング箇所を削減できる。また、土地利用計画や工事計画を念頭において現地調査は行うこととする。

     現地調査の内容等の目安を表4-2に示す。

    表 4-2 現地調査内容等の目安
    (1)埋立廃棄物の内容を確認するための現地調査内容(遮断型を除く)
    調査内容
    測定項目
    測定位置の目安
    測定深さ
    測定方法
    埋立物不明時の試掘
    ボーリング
    埋立廃棄物組成土地形質変更内容がわかる場合は、(2)以降に示す項目についても併せて測定しておくとよい。
    土地の形質の変更の面積が3,000m2未満の場合は最低3か所、それ以上の場合は3,000m2を超えるごとに1か所追加することを目安とする。
    土地の形質を変更する範囲に均等に配置することを目安とする。
    埋立廃棄物層をできるだけ網羅できる深さ。ただし、遮水工を損傷しないよう、遮水工位置から1m以上浅い地点までの掘削を目安とする。
    ボーリング・バックホウ等により採取した廃棄物は、組成分析を行い廃棄物の種類を判定する。また、ダイオキシン類濃度等含有量を把握するため、含有量試験を行う。
    なお、掘削時にボーリングを用いる場合は、その孔を保有水等や可燃性ガス等の採取用観測井として利用できる。
    バックホウ
    (2)土地利用に係る現地調査内容
    調査内容
    設置位置の目安
    設置方法
    設置深さ
    備考
    廃棄物層内観測井の設置
    埋立廃棄物の変化する地点ごとに1か所以上
    ボーリング掘削後にストレーナー加工したケーシングを挿入し、井戸仕上げする。水質の測定を行う場合のボーリングは、無水堀又は清水堀を原則とし、雨水流入防止措置を講ずること。
    雨水の浸透や可燃性ガスの放散を防止できるように、地表面から1m程度までケーシング周囲の閉塞処理を行う。観測井はキャップ等で測定時外は蓋をしておく。
    観測井を新たに設置する場合は、掘削した廃棄物は適正に処理しなければならない。

    調査内容
    測定項目
    測定位置の目安
    測定回数の目安
    測定方法
    廃棄物分析
    酸化還元電位、TOC、溶出試験(排水基準項目)
    埋立廃棄物の変化する地点ごとに1か所以上
    1回
    産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法(溶出試験)及びJIS(酸化還元電位、TOC)による。
    臭気分析
    悪臭防止法施行令に定める悪臭物質(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)及び臭気濃度
    埋立廃棄物の変化する地点ごとに1か所以上
    2回以上
    測定は、臭気の発生しやすい晴天時と曇天時にそれぞれ行うとよい。
    悪臭防止法施行規則の定めによる。
    廃棄物埋立地内部における可燃性ガス等
    ガス発生量、CH4、H2S、CO2、O2(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)
    埋立廃棄物の変化する地点ごとにガス抜き管又は観測井により1か所以上
    2回以上
    測定は、ガスの発生しやすい晴天時と曇天時にそれぞれ行うとよい。
    石けん膜流量計や熱線式流量計等(ガス発生量)及びガスセンサーやガスクロマトグラフ等(ガス濃度)を用いて測定する。
    地表面における可燃性ガス等
    CH4、H2S、CO2、O2(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)
    土壌汚染対策指針・解説による。地表面下50cmのガスを対象とする。なお、測定の単位区画は10m格子を原則とするが、可燃性ガスの発生が認められない場合は30m格子としてよい。
    2回以上
    測定は、ガスの発生しやすい晴天時と曇天時にそれぞれ行うとよい。
    「土壌汚染対策-法に基づく調査及び措置の技術的手法の解説」(環境省監修、社団法人土壌環境センター編,2003)による
    廃棄物層内保有水等の水質
    基準省令第1条第1項第5号ヘに定める排水基準に基づく物質(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)
    埋立廃棄物の変化する地点ごとに1か所以上(保有水等が採水できない場合は、廃棄物の溶出試験でもよい)
    2回以上
    基準省令第三条の規定に基づき定める水質検査の方法による。
    放流水の水質
    基準省令第1条第1項第5号ヘに定める排水基準に基づく物質(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)
    土地の形質の変更を行う場所の下流に位置し、放流水が採水できる場所1か所以上
    2回以上
    基準省令第三条の規定に基づき定める水質検査の方法による。
    周縁地下水・土壌
    基準省令第1条第1項第5号ヘに定める排水基準に基づく物質(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)
    埋立地の上下流それぞれ1か所以上。
    2回以上
    基準省令第三条の規定に基づき定める水質検査の方法による。
    場内観測井内温度
    深度別温度
    埋立廃棄物の変化する地点ごとに1か所以上
    2回以上
    測定時期は、外気温との差が異なる夏季及び冬季の2季が望ましい。直接温度計を挿入するなど観測井を用いず、外気温の影響が少ない方法で測定する場合は、 1回の測定でよい。
    温度計又は温度センサーを用いて測定する。
    地盤の土質特性
    単位体積重量、内部摩擦角、粘着力、圧密特性、含水比、液性・塑性限界等土質試験項目
    埋立廃棄物の変化する地点ごとに1か所以上
    1回
    土質試験法による。

    1) 埋立廃棄物の内容を確認するための現地調査内容(遮断型を除く。)
      埋立廃棄物の内容が不明な場合は、ボーリング等試掘により埋立廃棄物の内容を確認する必要がある。なお、遮断型埋立地の場合は、コンクリート製の外部仕切設備と覆いで密閉されており、外部仕切設備等を破壊しないと廃棄物の内容が確認できないため、廃棄物の内容の確認は行わず遮断型廃棄物として取り扱う。
      調査終了後の掘削孔は、地表面50cm以下まで埋め戻した上で土砂等による覆いを50cm以上行い、覆いの機能を復元しなければならない。ボーリング孔は、時間の経過とともに自然に閉塞することから、地表面から50cm以上の深さまで土砂で埋め戻しておけばよい。ただし、後述する観測井として利用する場合は除く。
      また、掘削後に埋め戻しができない廃棄物が発生する場合は、当該廃棄物の種類に応じて適正に処理しなければならない。
    2) 土地利用に係る現地調査内容
      土地の形質の変更において、廃棄物を掘削することが前提である場合は、掘削廃棄物が有する生活環境保全上の支障の程度を把握することが必要となる。土地の形質の変更において、廃棄物を掘削しないことが前提である場合は、廃棄物埋立地外に排出される物質を対象として生活環境保全上の支障の程度を把握することが必要となる。遮断型である場合は、掘削を行うことは認めていないため掘削を伴う現地調査は行わないものとする。
      測定項目等については表4-2で示しているので、そちらを参照すること。測定項目は、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質については除外できるものとする。
     (1) 廃棄物分析
       廃棄物分析は、廃棄物の分解状態が嫌気的状態か好気的状態かを判断するための酸化還元電位、生物分解性の有機物質量の目安となるTOC(全有機性炭素量)、及び保有水等の水質の目安となる溶出試験がある。事前情報の種類と廃棄物の性状に応じて、これらの項目のいずれか又は全部の測定を実施する。
       廃棄物が嫌気的状態にあると廃棄物の分解速度は好気的状態に比べて遅く、分解が進んでいない場合がある。また、メタンガスが発生しやすい状態にある。そのため、可燃性ガス等が地中に滞留している場合や、掘削により好気的状態に変化して可燃性ガス等が発生する場合がある。酸化還元電位は、このような廃棄物の状態を判定する材料となる。
       また、有機物の分解が進行していくと有機性炭素は次第に減少していくことから、TOCは分解性有機物の残存状況を把握し、将来的な可燃性ガス等や放流水中の有機物濃度を判定する材料となる。
       溶出試験は、廃棄物に雨水が接触して発生する保有水等の水質の目安となる。なお、保有水等が採取可能な場合は、保有水等の水質が直接把握できることから、保有水等の水質測定を行えばよい。
     (2) 臭気分析
      臭気の分析は、掘削した場合に発生する臭気の把握のために行う。
     (3) 廃棄物埋立地内部における可燃性ガス等
      廃棄物の分解等により発生するガスは、掘削時の火災等の発生可能性、廃棄物の分解の進行状況等の判定材料となる。測定項目はCH4(メタン)、H2S(硫化水素)、CO2(二酸化炭素)、O2(酸素)とし、N2(窒素)は100%から測定ガス濃度の総和を差し引いて算定してよい。
      ガス発生量は、観測井からのガスをパイプ等で誘導して石けん膜流量計や熱線式流量計等で測定する。ガスの濃度は、観測井から発生するガスをできるだけ自然状態でサンプルパックに採取(ガス発生量が少量の場合は吸引しなければ採取できないが、周囲の大気を吸引しないようにできるだけ小容量のポンプを使用する。)し、ガスセンサー、ガスクロマトグラフ等を用いて測定する。
     (4) 地表面における可燃性ガス等
      地表面から発生する可燃性ガス等を広範囲で測定することは、観測井のような特定地点の測定では把握できない場所から発生するガスの有無を把握する材料となる。測定項目はCH4、H2S、CO2、O2とし、N2は100%から測定ガス濃度の総和を差し引いて算定してよい。
     (5) 廃棄物層内保有水等の水質
      廃棄物を掘削した場合に、掘削部の廃棄物や仮置きした廃棄物に接触した雨水の水質、工事過程で必要に応じて排水する保有水等の水質を把握するために行う。
     (6) 放流水の水質
      放流水は、掘削するなど廃棄物を攪乱すると廃棄物層内の水道〈みずみち〉が変化するなどにより水質が悪化する場合があることから、事前に放流水の水質を測定しておくと攪乱による水質変化を判断することができる。
      また、安定型埋立地であっても、工事中の影響を監視するため、放流水が採取できる場合は、工事着手前にその水質を把握しておくことが望ましい。
     (7) 周縁地下水・土壌
      掘削等による廃棄物の攪乱によって放流水が悪化し、周縁地下水や土壌が汚染されることがないことを確認する材料として、又は遮水機能の不全等で地下水等の汚染が生じていないことをあらかじめ確認する材料として、事前に周縁地下水や土壌の汚染状態を測定しておく。
     (8) 場内観測井内温度
      有機物は分解過程において熱を発生することから、地中温度を測定することにより分解が活発に進行しているかどうかを判定する材料となる。
      測定方法は、観測井内又はロッド等で地中に測定器を挿入できるようにした孔内に、温度計又は温度センサーを降ろして、1mごとに温度を測定する。内部に水位がある場合は、それ以深は水温を測定することとなるので、水位より浅い場所に限って測定する。観測井の側壁に温度計又はセンサーが接触しないように留意して測定することが必要である。
     (9) 地盤の土質特性(強度、軟弱性、沈下量、すべり、崩壊等)
      土地の形質の変更に伴い新たに廃棄物埋立地の諸設備に働く荷重の大きさや、廃棄物のり面の安定性、地盤の沈下特性、設置する構造物等の基礎地盤としての支持力等を判断するための土質特性は、土地の形質の変更が廃棄物埋立地諸設備に与える影響を予測するためや、土地利用計画において適切な対策を講ずるための基礎的条件として必要となる。
    1. 4.工事計画書の策定
      1.  1) 土地利用計画
        1.   3.1節で述べた計画を策定する。
      2.  2) モニタリング計画
        1.   3.1節で述べた計画を策定する。
      3.  3) 工事計画
        1.   3.1節で述べた内容を把握する。

    4.4 具体的な施工の方法

    4.4.1 廃棄物の飛散・流出防止

    1.  (1) 掘削廃棄物等が飛散・流出しないように、飛散防止措置、及び造成法面の安定確保等による流出防止措置を講じなければならない。
    2.  (2) 土砂等の覆い又は廃棄物を掘削する場合は、雨水の浸透状態の変化や衛生害虫等の発生等の影響を防止するため、掘削面の廃棄物が長期間露出することのないように土砂等の覆いによる措置を講じなければならない。
    【解説】
    1.廃棄物の飛散防止
     1) 廃棄物が飛散する風速の目安
      土砂等の覆い又は廃棄物を掘削する場合は、掘削廃棄物等、特に飛散しやすい紙類、プラスチック類等の軽量物が飛散・流出しないように、散水、掘削面の被覆、囲いの設置、及び飛散防止柵の設置等飛散防止措置を講じなければならない。ただし、廃棄物又は廃棄物に接触した土砂等の飛散の可能性がない表層利用の場合のみの土地の形質の変更においては対象外とする。また、風速5.5m/secを越える強風時は、囲い等による飛散防止措置が講じられていない場合は散水等を適宜実施するとともに、必要に応じて掘削作業を一旦停止し土砂等の覆いやシート掛け等の飛散防止措置を講ずることとする。
      ここで、作業を一旦停止する基準風速は、ビューフォート風力階級で、砂ほこりが立ち、紙片が舞い上がる風速といわれている5.5m/secを採用する(ビューフォート風力階級表は参考資料-3を参照のこと)。
     2) 飛散防止設備の考え方
      飛散対策設備としての防じんフェンス等の効果の及ぶ範囲は、フェンスの位置から水平方向に対してフェンスの高さの3~4倍といわれているが、当該地の地形、規模及び気象条件に大きく左右される。
      暴風対策設備として設置するフェンスの減風効果が期待できる範囲の設定方法としては、相対風速の水平分布から求める方法がある。具体的には、限界風速(廃棄物が飛散しない風速)と設計風速(当該地周辺の風速)との関係から必要な減風率を求め、この減風率以上の減風効果が得られる範囲を求める方法である。
      例えば、減風率40%以上が必要な場合(限界風速 5.5m/sec、設計風速9.2m/secのような場合は、相対風速60%に相当)は、図4-1に示す相対風速の水平分布の関係から、効果が期待できる範囲は高倍距離(フェンスの高さを1としたときの水平距離の値)が-1H~12Hとなる。しかし、限界風速の設定は、廃棄物の種類により大きく異なるため、必ずしも現実的とはいえない。
      したがって、飛散防止は、敷地境界等に設置した固定フェンスのみに頼らず、掘削現場付近に仮設的に設置する移動フェンスや、散水、シート掛け、覆土等を併用することが望ましい。

      図:図 4-1 相対風速の水平分布(模式図)
    図 4-1 相対風速の水平分布(模式図)*1
    2.造成法面の安定確保による廃棄物流出防止と雨水による廃棄物流出防止
     1) 造成法面の安定確保による廃棄物流出防止
      廃棄物埋立地において、盛土や構造物の設置等によって埋立造成面に働く荷重が増加する場合や、掘削によって法面勾配の形質を急に変更するような場合は、造成法面の安定性が低下し、法面の廃棄物が流出するおそれがあることから、造成法面の安定計算を実施する。
     (1) 計算手法
       造成法面の安定計算は、「道路土工のり面工・斜面安定工指針」等を参照して行う。安定計算は、一般に図4-2に示すような円弧すべり面を仮定した分割法を用いて行う。この方法は、すべり面上の土塊をいくつかのスライスに分割し、各スライスで発揮されるせん断力と抵抗力を求め、それぞれを累計し、その比率によって安全率を求めるものである。
       なお、盛土の構成によっては、円弧すべり面の代わりに直線を含む複合すべり面を仮定した計算式もある。
       図:図 4-2 円弧すべり面を用いた常時の安定計算法
    図 4-2 円弧すべり面を用いた常時の安定計算法*2
     (2) 計算する断面の選定
       造成法面の安定計算を行う断面は、盛土等を行う位置を通り、最も盛土勾配と底部地盤勾配が急となる断面とすることを原則とする。また、盛土の影響を受ける断面が複数存在する場合は、それぞれの断面ごとに計算を行うものとする。
     (3) 計算条件の設定
       廃棄物圧(土圧)、水圧、地震力、上載荷重(利用荷重等)を組み合わせた荷重を用いる。造成法面の安定計算は、常時及び地震時について行う。水圧と地震力は、準拠した基準によるものとする。なお、下記のような組み合わせを参考としてもよい。また、上載荷重は、道路土工指針、河川砂防技術指針及び宅地土工指針(案)等では、常時に車両が通行する場合は10~20kN/m2、公園などの場合は5kN/m2を考慮するとしており、地震時は考慮していない。
    •   ・常時:廃棄物埋立地内水位が満水の状態とする。廃棄物埋立地内水位は降水確率等を考慮した水位とすることもできるが、安定計算では安全側をみて物理的に貯水可能な水位(満水位)とする。
    •   ・地震時:ケース1 廃棄物埋立地内水位が満水位のとき、設計震度の50%
             ケース2 廃棄物埋立地内水位が空虚のとき、設計震度の100%
         埋立廃棄物の単位体積重量は、廃棄物の種類や中間処理の方法で大きく異なる。単位体積重量の設定にあたっては、実際の廃棄物埋立地において実測して定めることが望ましい。
     (4) 計算結果の評価
      造成法面の安定計算結果における必要な最小安全率は、準拠した基準によるものとする。道路土工のり面工・斜面安定工指針における最小安全率の例を以下に示す。
    •   ・常時:最小安全率 1.2
    •   ・地震時:最小安全率 1.0
     2) 雨水による廃棄物流出防止
      造成法面が雨水により浸食されることによって、廃棄物の露出や洗掘による廃棄物埋立地外部への流出が生じないように、必要に応じて法面の保護や開渠等の整備などを実施する。
      廃棄物に接触した雨水は、土砂混じりの泥水である場合も考えられる。このような泥水状態の雨水であって、明らかに廃棄物が混入されていることが認められる場合は、沈砂等の分離・分級を行うなど、廃棄物が外部に流出することがないような措置を講じなければならない。また、明らかに廃棄物が混入しているとは認められない雨水であっても排水基準を越える場合は、「4.4.4 内部保有水等による水質汚濁防止」に準拠して排水基準を満足するように適正に処理をしなければならない。
    3.廃棄物の露出防止
     1) 廃棄物露出に伴う生活環境保全上の支障
      土砂等の覆い又は廃棄物を掘削する場合は、掘削面の廃棄物が長期間露出すると、風による飛散等が生ずる可能性があることから、土砂等の覆いによる措置を講ずることが必要である。ただし、廃棄物又は廃棄物に接触した土砂等の飛散の可能性がない表層利用の場合のみの土地の形質の変更においては対象外とする。また、廃棄物が長期間露出することにより、雨水浸透等による水質の悪化や害虫の発生といった二次的汚染を引き起こす事態も懸念される。
     2) 掘削方法
      廃棄物の露出を生ずる掘削方法としては、①オープン掘削方法や、②矢板やケーシング等の土留め工を施した内部の掘削方法がある。いずれの方法においても廃棄物が露出することに相違ないが、オープン掘削の場合は、図 4-3左図に示すように斜面が発生したり直接目視できる掘削面が生じたりすることもあるので、廃棄物の露出や飛散防止には十分配慮する必要がある。一方、図 4-3右図に示すような矢板やケーシング等による土留め工を併用した掘削方法では、側面の廃棄物が土留工で隠されており、掘削底部は風等が進入しにくい場所であるので、廃棄物の露出や飛散が生ずることは少ないといえる。
       図:図 4-3 オープン掘削方法(左図)及び土留め工併用掘削(右図)の模式図
    図 4-3 オープン掘削方法(左図)及び土留め工併用掘削(右図)の模式図
    3) 廃棄物の露出防止措置
     (1) 廃棄物の露出防止に関する基本的考え方
      廃棄物の露出防止措置は、廃棄物等の掘削状況によって異なる。ボーリングによる試掘、フェンスなどの小構造物基礎設置のための掘削など、掘削規模が小さく掘削から構造物の設置(ボーリングの場合はケーシングの設置)が短期間で終了する場合は、特に飛散防止措置を講じなくとも廃棄物等が飛散する可能性は少ないと考えられる。強風時などにおける小規模基礎掘削工事中は、散水によっても飛散防止は十分な場合が多い。
      一方、工事の過程で休日等において1日以上にわたり廃棄物が一時的に露出することが避けられない程度の掘削を伴う場合は、日中の散水や飛散防止設備の設置などに配慮するとともに、必要に応じてテント等の囲いやシート掛け等廃棄物が外部からの視認防止や露出防止措置を講ずることとする。
     (2) フェンスと防じんネットによる対策例
      鋼板製フェンスと防じんネットで囲った掘削現場の例を図4-4に示す。この事例は広い範囲を囲んだものであり、小規模な範囲の場合は、鋼管パイプを建て込み、ブルーシート等で囲むような簡易な構造でもよい。
       図:図 4-4 飛散防止フェンスと防じんネット設置例
    図 4-4 飛散防止フェンスと防じんネット設置例
     (3) 散水車による対策例
      大規模な面積に散水が必要な場合は散水車が有効である。散水量が少ない場合は水栓やタンクにホースをつないで散水するような方法で十分である。
     (4) テント内作業による対策例
      テント内で掘削する作業方法は、外部からの視認防止も図ることができる。ただし、テントの高さ制限により作業機械を小さなものしか利用できないなど作業効率が低下しやすいので一般には利用されない。また、後述するようにテント内の換気も必要である。しかし、臭気が強くオープン掘削では悪臭防止が図れないような場合は、テント設置も考慮する必要がある。
     (5) 夜間・休日等の留意事項
      掘削場所は、夜間や休日は監視員の巡回が実施される場合もあるが、小規模現場では無人になることも多いと想定される。したがって、このような長時間廃棄物が露出し常時監視できず速やかな対応が困難な場合は、ブルーシート等で掘削場所を覆っておくことが望ましい。休日等にシート等を掘削場所に設置する場合は、シート上に溜まる雨水が浸透すると汚水が発生することが危惧される場合もあることから、シート上の雨水を廃棄物に接触することなく排水できる釜場とポンプの設置等を考慮するとよい。
    4.廃棄物が飛散・流出・露出した場合の措置
     ガイドラインにしたがって施工したものの不測の事態により廃棄物の飛散・流出・露出が認められた場合にあっては、速やかに飛散・流出した廃棄物を回収するとともに、散水、土砂等の覆い、シート等の飛散・流出・露出防止措置を講じなければならない。
     施工にあたっては、1日の工事終了後や強風時等、飛散状況の巡回点検、清掃方法等について、予め定めておくとよい。また、飛散した場合にも清掃しやすいように、掘削現場周囲を予めアスファルト舗装した例もある。

    4.4.2 悪臭ガスの防止

     土砂等の覆い又は廃棄物掘削を伴う土地の形質の変更行為において、悪臭ガスの発生が予測される場合は、臭気が最終処分場の敷地境界において悪臭防止法に基づく基準を超えないような措置を講じなければならない。また、土地の形質の変更行為時に悪臭ガスの発生が認められた場合は、速やかに必要な措置を講じなければならない。

    【解説】

     土砂等の覆い又は廃棄物を掘削する場合は、原則として臭気が感じられない状態に維持することが望ましいが、必要に応じて脱臭やテント等の囲いの設置など臭気が指定区域外において悪臭防止法に基づく基準を超えないような措置を講じなければならない。ただし、廃棄物の締め固めに伴うガスの発生の可能性がない表層利用の場合のみの土地の形質の変更においては対象外とする。なお、人家が近隣にないなど生活環境に支障が生じない場合は、この限りではない。

    1.悪臭ガスによる臭気防止の考え方
     1) 悪臭ガス防止の目安
      悪臭発散防止措置は、当該工事を行う場所近隣に適用される悪臭防止法に基づき都道府県知事が定める規制地域ごとの基準を満足することを目安とする。
      なお、廃棄物を掘削する施工方法は、前述したようにオープン掘削方法と土留め工を併用した掘削方法がある。換気や飛散についてはオープン掘削方法において十分配慮が必要であるが、臭気の発生という観点では両者の相違は少ないと考えられる。
     2) 臭覚による臭気の判定
      臭気の有無は、掘削を行う場所において、ガスの発生しやすい状態時に、掘削前は少なくとも 1回、掘削中は毎日判定することが望ましい。臭気の判定は臭覚によることとする。臭覚により臭気があると判断された場合は、臭気物質の分析を行うものとする。
      臭気の程度は表4-3に示す6段階臭気強度表を参考にするとよい。悪臭防止法の規制濃度は、臭気強度2.5~3.5の範囲で定められているので、規制地域ごとに定められた規制基準に該当する臭気強度を基準として、簡易的には認知閾値濃度(何の臭いであるかわかる弱い臭い)を目安として判定すればよい。
    表4-3 6段階臭気強度表示法
    臭気強度表示法
    においの程度
    臭気指数
    臭気濃度
    0
    無臭
     
     
    1
    やっと感知できる臭い(検知閾値濃度)
     
     
    2
    何の臭いかわかる弱い臭い(認知閾値濃度)
     
     
    2.5
     
    10~15
    10~32
    3
    らくに感知できる臭い
    12~18
    15~63
    3.5
     
    14~21
    26~126
    4
    強い臭い
     
     
    5
    強烈な臭い
     
     

    臭気指数=10×log(臭気濃度)
     (臭気濃度:三点比較式臭袋法を用いて測定した臭気濃度)

    2.悪臭防止対策の例

      悪臭防止対策としては、中和剤やマスキング剤の散布、ブロワによる吸引と脱臭処理、テント等の囲いの設置等がある。
      脱臭や悪臭の発散防止方式としては、図4-5に示すような物理的方法、化学的方法、及び生物学的方法に大別できる。埋立廃棄物等の掘削現場で使用される方式としては、掘削場所へのマスキング剤や中和剤(発泡剤により廃棄物をカバーする方法も含む)の散布があり、吸引した臭気については活性炭等による吸着方式がある。
      中和剤やマスキング剤の散布は、掘削して廃棄物が露出した時点で常時薬剤を散布することが必要となる。バックホウ等で廃棄物を掘削する場合、バックホウのバケット容量分が一度に掘削できる容量であり、バックホウで 1回掘削を行うたびに薬剤を散布しないと廃棄物が露出することとなる。したがって、臭気の激しい廃棄物では、薬剤の散布量が多くなるため、ブロワ吸引による方法等と比較検討することが望ましい。また、使用する薬剤は、種類の選定、必要散布量の設定、及び効果の確認のため、必要に応じて事前に散布試験等を行っておくことが望ましい。
      ブロワ吸引による方法は、掘削現場の大気をブロワで強制吸引して悪臭の発散を防止するものである。また、吸引した悪臭は、活性炭等で処理することにより悪臭の発散防止を図る。
      特に、悪臭とともに可燃性ガス等が発生している場合や、換気が不十分な狭隘な掘削現場(例えば、ケーシング内部の掘削等)は、換気も兼ねて掘削現場の大気をブロワにより吸引して脱臭処理する方法を採用することが望ましい。

    3.悪臭ガスによる支障の措置

      ガイドラインにしたがって施工したものの、土砂等の覆い又は廃棄物の掘削により最終処分場の敷地外に悪臭が発散し生活環境に支障が生じていると認められた場合は、直ちに工事を停止するとともに、土砂等の覆い、消臭剤散布等により悪臭の発散防止を努めるとともに、必要に応じて悪臭発散防止対策を講じなければならない。
      悪臭防止対策方法は、前項を参照されたい。
       図:図 4-5 脱臭及び臭気の発散方式の分類
    図 4-5 脱臭及び臭気の発散方式の分類*3

    4.4.3 可燃性ガス等による火災等の防止

     土砂等の覆い又は廃棄物の掘削を伴う土地の形質の変更行為において、可燃性ガス等の発生が予測される場合は、可燃性ガス等による火災、爆発、及び酸欠・中毒等を含む労働災害の防止措置を講じなければならない。また、土地の形質の変更行為時に可燃性ガスの発生が認められた場合は、速やかに必要な措置を講じなければならない。

    【解説】

     廃棄物の掘削方法としては、前述したような①オープン掘削方法や、②矢板やケーシング等の土留め工を施した内部の掘削方法がある。いずれの方法においても廃棄物が露出することに相違なく可燃性ガス等は発生しやすい状況にある。
     オープン掘削の場合は、前出図4-3左図に示すように斜面が発生したり直接目視できる掘削面が生じたりすることもあるので換気がよい状態にあり、可燃性ガス等の拡散・希釈が比較的速やかに行われることが期待できる。
     一方、前出図4-3右図に示すような矢板やケーシング等による土留め工を併用した掘削方法では、掘削底部は風等が進入しにくい場所であるので、換気が起こりにくく、かつ可燃性ガス等の滞留もしやすい状況にあるので、より一層注意を要する。
     ただし、可燃性ガス等が生ずるおそれのない安定型廃棄物の埋立地及びコンクリートの覆いに囲まれた遮断型埋立地における土地の形質の変更は対象外とする。

    1.可燃性ガス等の発生基準の設定

     一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の管理型最終処分場における廃止基準のうち可燃性ガスについては、廃棄物学会等においてメタンガスの爆発限界である5%という値が提唱されている。
     しかし、メタンガスは5%を下回っていても着火すれば燃焼するし、酸素濃度が低い場合や硫化水素が発生する場合は利用住民や施工時に酸欠・中毒等を起こしかねない。そこで、可燃性ガス等が発生しないという条件の目安を、本ガイドラインでは表4-4のようにまとめた。

    表 4-4 可燃性ガス等の発生基準の目安一覧
    物質名
    発生基準値
    摘要
    メタンガス
    1.5%以下
    爆発限界の30%以下
    酸素
    18%以上
    労働安全衛生規則第585条
    炭酸ガス
    1.5%以下
    同上
    硫化水素
    10ppm以下
    同上
     1) メタンガス
      (1) 労働安全衛生規則の規定
       労働安全衛生規則第389条の8に、「ずい道等の建設の作業を行う場合であって、当該ずい道などの内部における可燃ガスの濃度が爆発下限界の値の30%以上であることを認めたときは、直ちに、労働者を安全な場所に退避させ、及び火気その他火源となるおそれのあるものの使用を停止し、かつ、通風、換気等の措置を講じなければならない」と定められている。
      (2) メタンガス発生基準の目安
       廃棄物埋立地の工事は、ずい道のように閉鎖空間における作業ではないが、作業箇所によっては小規模の閉鎖空間ができることも考えられるので、この規定を適用するのが妥当と考える。廃棄物埋立地から発生する可燃性ガスであるメタンガスの場合、爆発下限界の5%に30%を乗じてメタン濃度1.5%を目安とした。
       一般に、ガス濃度は徐々に高くなることが多く、また、ガス濃度が高くなることへの対策を講ずるためにも、メタン濃度1.5%よりも低い濃度で注意をうながすようにすることが大切である。ずい道では、メタン濃度0.25%以上で火気使用禁止、1.0%以上で一般作業員退避を標準の管理濃度としている。
     2) 酸素
      労働安全衛生規則第585条に、「次の場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。炭酸ガス濃度が1.5%を超える場所、酸素濃度が18%に満たない場所又は硫化水素濃度が10ppmを超える場所」と定められている。
      廃棄物埋立地の掘削工事でも、この規定を適用することが望ましいと考える。
     3) 炭酸ガス
      空気中には、約0.03%(300ppm)の炭酸ガスが存在する。炭酸ガス自体はあまり毒ではないが、一般に炭酸ガスが多い部分では酸素が欠乏していることが多いので注意が必要である。
      前記の「2)酸素」で述べたように、労働安全衛生規則には、炭酸ガス濃度が1.5%を超える場所での措置が定められている。
     4) 硫化水素
      前記の「2)酸素」で述べたように、労働安全衛生規則には、硫化水素濃度が10ppmを超える場所での措置が定められている。
    2.溜まりガス等の一時的な発生に関する留意事項

      廃棄物層内には、上部に透気性の悪い層があって、可燃性ガス等が発散せずに溜まっている場所がある。このような場所に、杭作業や掘削作業で近づいたとき、メタンガスがある程度の圧力をもって継続的に噴き出すことがある。
      このような場合には、下記のような措置を講ずることが望ましい。

    1.   ①作業箇所のメタン濃度が急激に増加する傾向のあるときは、一次作業を中止して様子を見る。
    2.   ②可燃性ガス等が早期に抜けるような対策をとると同時に、噴出する可燃性ガス等を拡散させる措置を講ずる。
    3.   ③特に、火気を使う作業を始める前には、ガス濃度の変化に注意する。
    3.施工中の可燃性ガス等対策の考え方

      事前調査で可燃性ガス等対策を講ずる必要があると判断した場合は、作業環境濃度の監視及び換気対策を行う必要があり、この場合施工途中で問題が発生する危険性は少ないと考えられる。しかし、事前調査で対策を不要と判断した場合でも局部的な滞留(有害)ガスが存在する可能性もあり、突発的な可燃性ガス等の発生に対しては注意が必要である。
      また、屋根の設置やシート掛けを行い自然換気が生じないような状態となっている場所、狭所な凹地での作業等は、可燃性ガス等が滞留する危険性も考えられるので、換気対策を講ずる等、事前に対策を講じておくことが望ましい。
      以下に、可燃性ガス等対策の方法例を示す。

     1) 換気による希釈と滞留防止
      発生した可燃性ガス等を送風機などによって希釈することは、最も多く用いられる対策の一つである。
      ガス量が少ないとき、オープン掘削時は特別な換気設備は必要でなく、自然風によって十分希釈されると考えられるが、閉鎖空間となる土留め工併用掘削時は、換気不十分となりやすいので、安全確保のために図4-6に示すような対策を講じておくことが望ましい。実際の施工にあたっては、単に計算上必要な換気量を設定するだけでなく、メタンガスを希釈するために必要な風速(0.3m/sec)を確保することが大切である。

       図:図 4-6 作業中のガス対策
    図 4-6 作業中のガス対策*4
     2) 発火防止
      火気の使用はできるだけ限定したものにする。また、火気使用中は火花が周辺に飛散しないように注意する。
     3) 作業管理
     可燃性ガス等の発生が認められる場合は、施工時に下記の点に留意することが望ましい。
     (1) ガス測定の考え方
    1.   ① 作業開始前
         作業箇所のメタンと酸素の濃度を測定する。
    2.   ② 基礎杭などのボーリング作業
         その周辺で最初のボーリングを行うときなど、メタンガスの噴出が予想されるときは、ポータブル式の検知警報器を作業箇所の近くに置き、常時監視する。
    3.   ③ 火気使用作業
         火気使用作業の開始前及び作業中も随時メタンガス濃度を測定する。
    4.   ④ 地下部の掘削作業
         地下部の作業箇所には、メタンガス濃度計と酸素濃度計を設置する。
    5.   ⑤ その他ガスの滞留の考えられる箇所
          床や天井などの工事中で、ガスが滞留しやすい状態にある箇所では、定期的にメタン濃度を測定する。
    6.   ⑥ 可燃性ガス等の濃度測定者を指定しておく。
     (2) 火気使用
    1.   ① 火気を使用する作業を限定する。
    2.   ② 火気使用作業では、消火設備を備える。
    3.   ③ 火気使用作業は、前もって時間を打ち合わせておく。
     (3) 作業者の心得
    1.   ① 敷地内では、決められた場所以外の喫煙を禁止する。
    2.   ② 作業中に異常を認めたら、すぐ責任者へ報告することを徹底する。
    3.   ③ 杭基礎工事など、特にメタンガスに対して危険のある作業では、作業の手順やメタンに対する注意を、あらかじめ周知徹底しておく。
     4) 工事事務所等設置上の留意事項
      可燃性ガス等の発生が認められる場合は、工事事務所等工事に伴う建築物の設置にあたって、下記のような対策を講じておくことが望ましい。
    1.   ① ブロック等により床下に換気空間を確保する。
    2.   ② 床下空間の換気が可能なように、送風機等を準備しておく。
    3.   ③ 室内には、メタンガス検知警報器を備え付けておくこと。
    4.   ④ 換気及びガス排除作業基準を設定し、作業者に教育しておく。
    5.   ⑤ 休日における立入禁止措置や警備の通報体制を確保しておく。
    4.可燃性ガス等による支障の措置

      ガイドラインにしたがって施工したものの、不測の事態により、ガス対策を講じない土地の形質の変更にあって、可燃性ガス等が発生していることが認められた場合は、火災・爆発・労働災害の防止のために換気措置、ガス抜き設備の設置措置等を講じなければならない。
      ガス対策の事例は、前項を参照されたい。

    4.4.4 内部保有水等による水質汚濁防止

     土地の形質の変更に伴って、雨水又は保有水等が、掘削廃棄物に接触し汚水が発生し、流出するおそれがある場合にあっては、これを適正に処理しなければならない。また、土地の形質の変更に伴って汚水の発生・流出が認められた場合には、速やかに必要な措置を講じなければならない。

    【解説】
    1.掘削時の水質汚濁防止の概要

      埋立廃棄物の掘削を伴う土地の形質の変更を行う場合は、保有水等が溜まっていることがある。また、雨水が掘削部の廃棄物に接触し、汚水が発生して流出するおそれがある。水処理を行う必要がある汚水の判断については、基準省令第1条第1項第5号ヘに規定する排水基準を目安とする。ただし、ホウ素及びその化合物、フッ素及びその化合物、アンモニア・アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物を除く。排水基準は参考資料-3を参照されたい。
      なお、土砂等による覆いの機能が維持される表層利用のみの土地の形質の変更、並びに浸透水の水質が排水基準を越えるおそれのない安定型埋立地における中層利用の土地の形質の変更は対象外とする。
      事前調査で排水基準を越える可能性を有する水質汚濁物質が限定できる場合は、当該水質汚濁物質を処理対象物質として処理プロセスを選定するとよい。
      雨水との接触防止の事例は前述したとおりである。水処理の方法は、現場に水処理施設を設置する方法と、タンクローリー等で外部処理施設に搬出する方法等がある。

    2.地下埋設物への影響防止

      廃棄物層内に、下水道やトンネル等の地下埋設物を設置した場合、これら埋設物内に保有水等が浸入して管を通じて廃棄物埋立地外部に流出するおそれがある。したがって、廃棄物層内に下水道等を設置する場合は、管の接合部をコンクリートで巻く等十分な止水措置を講ずることが必要である。
      なお、廃棄物や保有水等は強い腐食性(電食を含む。)を有する場合もあるので、ガス、電気、水道管等については、必要に応じて防食措置を講ずるものとする。

    3.浸出液等による水質汚濁措置

      ガイドラインにしたがって施工したものの、不測の事態により土地の形質の変更に伴い、放流水の水質が排水基準値を超えることが認められた場合は、速やかに放流水削減のための土砂等の覆い等雨水浸透防止措置、放流水の適正処理等水質汚濁防止措置を講じなければならない。また、保有水等が地下水に拡散している場合は、地下水への拡散防止を図ることが必要となる。
      雨水浸透防止方法については、「4.4.5 覆いの機能維持」の項を参照されたい。

    4.4.5 覆いの機能維持

     土砂等の覆い又は廃棄物を掘削する場合は、掘削後に土砂等による覆いを 50cm以上の厚さで実施しなければならない。ただし、覆いの機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合にあっては、その限りではない。

    【解説】
    1.覆いの機能

      埋立が完了した後に廃棄物を被覆する土砂等の覆い(以下、「覆土」という。)は、下記の機能を有するものである。したがって、覆土の機能の消滅や減少を招くと、その機能が阻害される可能性がある。このような観点から廃棄物埋立地の土地の形質の変更にあたっては、覆土の機能を維持することが必要としたものである。

    1.  ① 埋立廃棄物の露出・飛散防止:廃棄物を覆うことにより、露出や風による飛散を防止する機能
    2.  ② 雨水の浸透抑制:雨水の表面排水を促進し浸透量を抑制することにより、浸出液の発生量を抑制する機能
    3.  ③ 可燃性ガス等の放散抑制:可燃性ガス等の放散を一定限度抑制するとともに、完全に遮蔽しないことにより埋立廃棄物の分解を阻害しないような通気性を制御する機能
    4.  ④ 臭気の抑制:廃棄物やガスに伴う臭気の放散を抑制するとともに、土壌による脱臭効果を期待する機能
    5.  ⑤ 地表面利用時における廃棄物からの離隔距離の確保:車両による轍〈わだち〉等による不陸や亀裂等によっても廃棄物が露出しないための機能
    2.代替措置の種類

      覆土の代替措置としては、前述した覆土の機能を有するものでなければならない。したがって、下記のような代替措置が挙げられる。

    1.  ① 新たな土砂等の覆土
    2.  ② コンクリート等の床板(ただし、床板下部にはガスが滞留しやすいのでガス排除層を設ける必要がある。図 4-7参照)
    3.  ③ アスファルト舗装(ただし、舗装下部にはガスが滞留しやすいのでガス排除層を設ける必要がある。図4-7参照)
    4.  ④ 透水性を抑制した遮水シート等(ただし、遮水シート等の下部にはガスが滞留しやすいのでガス排除層を設ける必要がある。また、上面は遮水シート等の保護と雨水の滞水防止のため、土砂等による50cm以上の厚さを有する保護層と排水層を設ける必要がある。図4-7参照)
    5.  ⑤ その他
         図:図 4-7 覆土の代替措置の概要
      図 4-7 覆土の代替措置の概要
    3.雨水浸透抑制型覆土の留意事項
     1) 雨水浸透抑制型覆土の機能維持
      廃棄物の埋立が完了した後の浸出液の減量、地下水汚染の防止等の観点から、廃棄物内に雨水が浸透することを抑制するための覆土(以下、「キャッピング」という。)が施工されている場合は、これらの機能を阻害すると封じ込めた廃棄物からの汚水浸透等が生ずるおそれがある。このような場合の覆土は、土地の形質の変更に伴って、その機能を阻害してはならない。
     2) キャッピング工法の概要
     キャッピング工法は、図4-8に示すようなシート系キャッピング工法と土質系キャッピング工法がある。
      シート系キャッピング工法は、使用する材料によりベントナイトシート、遮水シート、アスファルトシート等が用いられる。このシート下部にはガス排除層が、上部には排水層や浸食防止層が設置される例が多い。これらの層が一体となってキャッピング機能を担っているので、上下層の機能維持にも留意する必要がある。
      土質系キャッピング工法は、粘土層工法、サブドレーン工法、キャピラリーバリア工法などがある。粘土層は、低透水性の粘性土を覆土として実施し雨水浸透を抑制する工法である。サブドレーン工法は、廃棄物の上面で廃棄物に接触しない高さの覆土の位置に暗渠排水管や砂利等による排水層(ドレーン層)を設置し、浸透して廃棄物に接触していない雨水を地表面下浅い場所で集排水する工法である。キャビラリーバリア工法は、廃棄物層の上面に砂利層、砂層、浸食防止層(粘性土)と3層構成の土質材を設置することにより、砂層に浸透した雨水は砂層の毛管現象により下部への浸透が抑制され横方向に排水されるものである。
       図:図 4-8 キャッピング工法の分類
    図 4-8 キャッピング工法の分類*5

    4.4.6 設備の機能維持

    【解説】

     廃棄物埋立地において、擁壁等流出防止設備や遮水工等の設備が損傷した場合は、廃棄物の流出や保有水等の直接流出等のおそれがあるため、以下に述べる設備は土地の形質の変更の施行時点における機能を原則として維持しておかなければならない。

    1.開渠その他の設備の機能維持

      開渠その他の設備が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削行為、及び構造物の設置行為により、土地の形質の変更の施行時点における開渠その他の設備の機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、開渠その他の設備の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合や、すでに当該設備の機能が無くとも生活環境保全上の支障を生じるおそれがないことが明らかな場合にあっては、その限りではない。

    【解説】
    1.開渠その他の設備の機能維持

      開渠その他の設備の機能に支障が生ずることとは、雨水側溝や排水管等の排水設備の破断、不陸、閉塞等により疎通障害又は疎通能力の不足を生ずることをいう。土地の形質の変更の施行時においては、その時点における機能に支障を生じないようにしなければならない。ただし、開渠その他の施設の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合や、すでに当該施設の機能が無くとも生活環境保全上の支障を生ずるおそれがないことが明らかな場合にあっては、その限りではない。

     1) 開渠その他の設備の機能を阻害する可能性のある行為
       開渠その他の設備は、廃棄物埋立地の周囲に設置された周辺流域からの雨水が廃棄物埋立地に流入することを防止する周辺部集排水溝と埋立地表面排水溝がある(図4-9)。
      (1) 土地の形質の変更に伴う廃棄物埋立地の影響
        廃棄物埋立地内の掘削等土地の形質の変更では、埋立地表面排水溝が破損する可能性がある。また、盛土等を行うと廃棄物埋立地の表面が沈下にすることにより不陸が発生し疎通障害を生ずる可能性もある。さらに、土地利用状況を変化するような土地の形質の変更を行うと、雨水の流出割合が変化して周辺部集排水溝や埋立地表面排水溝に部分的な断面不足が生ずる可能性もある。
     (2) 周辺地域の開発等に伴う影響
        廃棄物埋立地の外部流域の形質を変更すると、雨水流出状態が変化することや流域面積の増加により、雨水流量が増加し断面が不足する可能性もある。このような行為は廃棄物埋立地の土地の形質の変更ではないが、流域面積の変化が生じれば、埋立地表面排水溝についても部分的な断面不足が生ずる可能性はありうるので、廃棄物埋立地に影響を及ぼさないようなことを前提に、土地開発に伴う十分な開渠その他の設備を設置することが必要である。
     2) 開渠その他の設備の機能損傷により生活環境に与える可能性のある影響
       開渠その他の設備が上記に述べたような機能損傷を生ずると、廃棄物埋立地に浸透する雨水の量が変化する。この際、浸透量が増大すると新たな水道〈みずみち〉の発生などが生じて洗い出し効果で水質が悪化することもありうる。
       図:図4-9 開渠その他の設備の概念
    図4-9 開渠その他の設備の概念
     3) 流域の変化と流量計算による疎通能力検証方法
      (1) 雨水流出量の算定
    1.    ① 雨水流出量
          雨水流出量は、降水強度、集水面積、地形、地表(土地利用)の状態などによって異なる。
    2.    ② 対象地域の把握・集水面積の設定
          開渠その他の設備の対象流域は、他の開発行為と同様に開発予定地に雨水が集水される地域(分水嶺により区分される集水面積)を対象とする。
    3.    ③ 流出係数
          流出係数は降水量に対する流出量の比率であり、計画地を含む流域の地形、地質、地表面などの状態によって異なる。ある流域の流出係数を算定するにあたっては、土地利用形態ごとに求める。
    4.    ④ 降水強度
          確率降水強度式及び確率降水強度曲線については、「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説調査編」((社)日本河川協会,1997)に詳しく述べられている。また、各都道府県で採用されている降水強度は、当該都道府県の「森林法に基づく林地開発許可申請の手引」、「開発許可申請の手引」などに示されている。
      (2) 水路断面の決定
    1.    ① 排水能力
          排水能力は、流速に流水断面積を乗ずることで算定できる。
    2.    ② 平均流速
          平均流速は多くの方法で求めることができるが、代表的な計算方法としてはマニング公式がある。
     4) 代替設備の考え方
       周辺雨水排水溝や埋立地内表面排水溝の機能を阻害するような場合は、十分な疎通能力を有する排水溝を代替設置することを原則とする。
    2.擁壁等流出防止設備の機能維持

      擁壁等流出防止設備は、盛土等による上載荷重の増加、掘削行為、及び構造物の設置行為により、土地の形質の変更の施行の時点における擁壁等流出防止設備の機能に支障が生じないようにしなければならない。
      ただし、擁壁等流出防止設備の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合や、すでに当該設備の機能がなくとも生活環境保全上の支障を生じるおそれがないことが明らかな場合にあっては、その限りではない。

    【解説】
    2.擁壁等流出防止設備の機能維持

      盛土や跡地利用によって擁壁等流出防止設備に働く荷重が増加した場合、又は後述するように廃棄物埋立地内水位が上昇して設計段階で考慮されていない水圧が働くような場合、擁壁等流出防止設備の変位や、最悪の場合は倒壊のおそれがある。したがって、擁壁等流出防止設備に新たな荷重が働くような土地の形質の変更にあたっては、土地の形質の変更の施行の時点における機能に支障が生じないよう安定計算により擁壁等流出防止設備の安定性を検証し施行しなければならない。
      擁壁等流出防止設備の安定計算は、土地の形質の変更完了時及び施工段階の両時点を対象とする。安定計算は、盛土法面、擁壁・石積み等の構造物、掘削法面、及び掘削部の土留め構造物、埋立護岸等について実施する。

     1) 擁壁等流出防止設備の安定計算
       陸上の廃棄物埋立地において、盛土や構造物の設置等によって擁壁等流出防止設備に働く荷重が増加する場合は、擁壁等流出防止設備の安定計算を実施する。ただし、盛土等による荷重の増加する位置が、図4-10に示すように、擁壁等流出防止設備の位置から十分な距離を有する場合で、増加荷重が構造物に働くことがないと考えられる場合は、この限りではない。十分な距離とは、図4-10に示すように、擁壁等流出防止設備の下端から、「45°+内部土砂又は廃棄物のせん断抵抗角の半分の角度」で引いた線が地表面と交わる位置より離れた場所をいう。
       図:図 4-10 擁壁等流出防止設備に影響のない盛土等の範囲の概念
    図 4-10 擁壁等流出防止設備に影響のない盛土等の範囲の概念
      安定計算の要領は下記のとおりである。
      (1) 計算手法
       道路土工擁壁工指針、河川砂防技術基準、土地改良事業計画設計基準等、当該地の立地や跡地利用状況等を勘案して適正な手法を用いるものとする。また、最終処分場設置時又は封じ込め等の対策時の設計手法と同様な計算手法を用いることを原則とする。ただし、最終処分場設置時等の計算手法が不明な場合は、廃棄物埋立地内部に貯水を考慮する場合は河川砂防技術基準や土地改良事業計画設計基準を用いることを原則とし、その以外の場合は、道路土工擁壁工指針を用いることを原則とする。
      (2) 計算する断面の選定
       構造物の安定計算を行う断面は、最終処分場設置時等の設計手法と同様な断面とすることを原則とする。計算断面は、盛土等による荷重が増加する位置から構造物に対して下ろした垂線とすることが原則である。また、構造物の断面構造等が変化している場合は、それぞれの断面ごとに計算を行うものとする。
      (3) 計算条件の設定
       構造物の自重、廃棄物圧(土圧)、水圧、地震力、上載荷重(利用荷重等)を採用した基準等に従って組み合わせた荷重を用いる。擁壁等流出防止設備の安定計算は、常時及び地震時について行う。水圧と地震力は、準拠した基準によるものとする。なお、下記のような組み合わせを参考としてもよい。また、上載荷重は、道路土工指針、河川砂防技術指針及び宅地土工指針(案)等では、常時に車両が通行する場合は10~20kN/m2、公園などの場合は5kN/m2を考慮するとしており、地震時は考慮していない。
    •    ・常時:廃棄物埋立地内水位が満水の状態とする。廃棄物埋立地内水位は降水確率等を考慮した水位とすることもできるが、安定計算では安全側をみて物理的に貯水可能な水位(満水位)とする。
    •    ・地震時:ケース1 廃棄物埋立地内水位が満水位のとき、設計震度の50%
               ケース2 廃棄物埋立地内水位が空虚のとき、設計震度の100%
      (4) 計算結果の評価
       計算結果の評価は、安定計算の種類ごとに安全率(安全に対する指標)で評価する。準拠する基準によって安全率や安定計算の種類が異なるので、準拠した基準に則って評価することを原則とする。
     2) 護岸等流出防止設備の安定計算
      水面埋立地において盛土や構造物設置によって埋立天端面に働く荷重が増加する場合については、構造物本体工や同本体工を含む地盤全体の安定計算を実施する。
      (1) 計算手法
       護岸構造の安定検討は、その構造形式によって安定検討項目が異なる。このため、安定検討項目毎の計算手法については「港湾の施設の技術上の基準・同解説」や「管理型廃棄物埋立護岸 設計・施工・管理マニュアル」を参考にして、準拠した基準に則った計算手法を用いることを原則とする。
      (2) 計算する断面の設定
       安定計算を行う断面は、当初の設計がなされた近接断面において検討を行うことを標準とし、土地の形質の変更に伴い構造物が影響を受けると考えられた断面が複数存在する場合については、それぞれの断面について計算を行うこととする。
      (3) 計算条件の設定
       水圧、波力、裏込材及び廃棄物による土圧、地震力、自重、上載荷重その他の外力を組み合わせた荷重を用いる。安定検討は常時及び地震時について行う。
       安定検討に先立ち、既存構造物の諸元検討に用いられた計算条件について事前に調査を行い、現況との相違点を把握した上で計算を進める必要がある。
       土地の形質の変更に伴う期間内において、既存施設の設計条件がその再現期間と著しく異なる場合には、期間に応じた条件とすることも可能である。この場合においても、地域における特殊性を充分に反映することが望ましい。
       高潮、波浪による越波は、土地の形質の変更時には廃棄物の保全に影響が大きいと考えられるため十分な配慮を行う必要がある。
      (4) 計算結果の評価
       安定計算結果における最小安全率によって評価する。
    3.保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の機能維持

     保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削行為、及び構造物の設置行為により、土地の形質の変更の施行の時点における設備の機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合や、すでに当該設備の機能がなくとも生活環境保全上の支障を生じるおそれがないことが明らかな場合にあっては、その限りではない。

    【解説】
    3.保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の機能維持

      保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削、及び構造物の設置により、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の土地の形質の変更の施行の時点における機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合、並びに保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備がなく、排水しないことにより擁壁等流出防止設備等の安定性が阻害されない場合、及び予め貯水が考慮されており擁壁等流出防止設備等の安定性が阻害されない場合等生活環境保全上支障を生ずるおそれがないことが明らかな場合においては、その限りではない。

     1) 保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の機能を阻害する可能性のある行為
       保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備(揚水のためのピットを含む)は、廃棄物埋立地の底部又は側面に設置されて、廃棄物層を浸透した水を集排水する設備である。したがって、盛土や掘削等の行為に伴う下記のような影響により、保有水等集排水設備又浸透水集排水設備の機能が阻害される可能性がある。
    1.    ① 管等の設置位置における掘削による影響
    2.    ② 盛土による許容荷重以上の外力による影響
    3.    ③ 盛土による廃棄物埋立地底部地盤沈下に伴う不陸の発生による影響
    4.    ④ 盛土による廃棄物の沈下による接合部の損傷による影響
    5.    ⑤ その他
     2) 保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の機能損傷により生活環境に与える可能性のある影響
       保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の機能に支障が生じた場合は、想定外の水圧が働き、擁壁等流出防止設備の安定性が阻害される場合があり、同設備が崩壊すれば廃棄物が流出する。また、有機物を含む廃棄物埋立地では、廃棄物埋立地内部雰囲気が嫌気性になることにより、可燃性ガス等や浸出液質が悪化することがありうる。
     3) 構造計算による構造安定性の検証方法
     (1) 集排水管の種類と特性
       一般に地中に埋設された管は、荷重によって生ずるたわみの度合いから、剛性管とたわみ性管に分類される。剛性管は、荷重によって生ずるたわみが比較的小さいものであり、有孔ヒューム管などがある。たわみ性管は荷重に対してたわみやすい管であり、有孔合成樹脂管などがある。土中の埋設管は周囲からの土圧によって変形を起こすが、埋設管の剛性の大小によって周囲の土圧の状態が異なるので注意しなければならない。
       剛性管の外圧強さは、曲げモーメントの作用により管にひび割れが生じた時の荷重で規定している。一方、たわみ性管の外圧強さは、剛性管とは異なり圧縮力が卓越する特徴を有しており、座屈荷重に対するたわみ率で規定することが一般的である。
     (2) 集排水管の設計基準の例
       埋設管の設計基準には、「道路土工 排水工指針」、「土地改良事業計画設計基準」、「設計パイプライン基準書・技術書」などがあるが、これらの基準は、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備とは異なり、土被りが比較的浅い場合に適用するものが多い。また、側方土圧(横方向地盤反力)の評価も異なっている。したがって、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の強度計算にあたっては、関連基準を参考に総合的に検討することが必要である。
     4) 沈下計算による疎通障害の検証方法
       廃棄物埋立地底部の地盤の沈下計算は、粘性土の場合は圧密計算で、砂質土の場合は圧縮計算によって求める。この圧密計算等によって排水勾配が逆勾配になることがないかなどを検証するとよい。
     5) 代替排水設備設置の考え方
       保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備の機能阻害が生ずる可能性が考えられる場合は、排水機能を補完すればよいことから、以下のような代替措置が挙げられる。
    1.    ① 揚水井の設置と揚水による廃棄物埋立地内部貯水の排水
    2.    ② 水平ボーリング等による排水管の新設
    3.    ③ キャッピング工法による雨水浸透の抑制
    4.    ④ その他
         また、廃棄物埋立地底部地盤の沈下のおそれがある場合の代替措置としては、沈下を生じないような軽量盛土工法を採用する方法と、鉛直遮水工等により遮水機能を補完する方法がある。
         軽量盛土工法に用いられる盛土材の種類の例を表4-5に示す。
         また、鉛直遮水工等については、4.5節を参照されたい。
      表 4-5 軽量盛土材の種類*2
         図:表 4-5 軽量盛土材の種類
    4.地下水集排水設備の機能維持

     地下水集排水設備が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削行為、及び構造物の設置行為により、土地の形質の変更の施行の時点における地下水集排水設備の機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、地下水集排水設備の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合や、すでに当該設備の機能がなくとも生活環境保全上の支障を生じるおそれがないことが明らかな場合にあっては、その限りではない。

    【解説】
    4.地下水集排水設備の機能維持

      地下水集排水設備が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削、及び構造物の設置により、地下水集排水設備の破損、不陸、閉塞等の機能障害が起こり、排水が不十分になると擁壁等流出防止設備の基礎や裏込め土砂の流出等が生ずることや、浮力が働く可能性がある。このような土砂等の流出や浮力が生ずると、擁壁等流出防止設備や造成法面が不安定になる。また、遮水工等に揚圧力が働くと、廃棄物等を遮水工付近まで除去するような場合は、遮水工の浮き上がりなどが生じて損傷を受ける可能性がありうる。したがって、地下水集排水設備が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削、及び構造物の設置により、土地の形質の変更の施行の時点における地下水集排水設備の機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、地下水集排水設備の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合、並びに地下水集排水管がなく排水しないことにより擁壁等流出防止設備等の安定性が阻害されない場合は、その限りではない。
      また、盛土等による上載荷重の増加又は構造物の設置により、廃棄物埋立地の底部地盤又は側部地盤が沈下することにより、地下水集排水設備に不陸が生じて疎通障害を起こすおそれがある。したがって、土地の形質の変更の施行の時点における地下水集排水管設備の機能に支障が生じないように地盤の沈下対策を講ずる必要がある。

     1) 地下水集排水設備の機能を阻害する可能性のある行為
      地下水集排水設備(揚水のためのピットを含む。)は、廃棄物埋立地の底部又は側面に設置されて、遮水工等の下部地下水を集排水する設備である。したがって、盛土や掘削等の行為に伴う下記のような影響により、地下水集排水設備の機能が阻害される可能性がある。ただし、地下水集排水設備は、遮水工の下部に設置されている設備であるから、表層利用や中層利用時は掘削による影響は生じず、盛土による影響のみを考慮することとなる。
    1.    ① 管等の設置位置における掘削による影響
    2.    ② 盛土による許容荷重以上の外力による影響
    3.    ③ 盛土による廃棄物埋立地底部地盤沈下に伴う不陸の発生による影響
    4.    ④ その他
     2) 地下水集排水設備の機能損傷により生活環境に与える可能性のある影響
      地下水集排水設備の機能に支障が生じた場合は、前述のように擁壁等流出防止設備の安定性や遮水工の機能が阻害される場合がある。
     3) 構造計算による構造安定性の検証方法
      保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備と同様である。
     4) 沈下計算による疎通障害の検証方法
      廃棄物埋立地底部地盤の沈下計算は、前項で述べた圧密計算等によって求める。この圧密計算によって排水勾配が逆勾配になることがないかなどを検証するとよい。
     5) 代替排水設備設置の考え方
      保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備と同様である。
    5.ガス抜き設備の機能維持

     ガス抜き設備が設置されている廃棄物埋立地であって、その機能が維持されているところにあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削行為、及び構造物の設置行為により、土地の形質の変更の施行の時点におけるガス抜き設備の機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、ガス抜き設備の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合や、すでに当該設備の機能がなくとも生活環境保全上の支障を生じるおそれがないことが明らかな場合、並びに現に可燃性ガスが発生していない廃棄物埋立地にあっては、その限りではない。また、現に可燃性ガスが発生している廃棄物埋立地にあっては、ガス

    【解説】
    5.ガス抜き設備の機能維持

      ガス抜き設備が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削、及び構造物の設置により、ガス抜き設備が破断、閉塞するなど、その機能に支障が生ずる可能性が考えられる。ガス抜き設備の機能がなくなると、廃棄物層内の雰囲気が嫌気化することから、保有水等の水質悪化やガス性状の変化が起きる可能性がある。したがって、ガス抜き設備が設置されている廃棄物埋立地にあっては、土地の形質の変更の施行の時点におけるガス抜き設備の機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、ガス抜き設備の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合、並びに現に可燃性ガス等が発生していない廃棄物埋立地にあっては、その限りではない。また、現に可燃性ガス等が発生している廃棄物埋立地にあっては、ガス抜き設備を設置することが望ましい。ガス抜き設備を新たに設置する場合は、「国庫補助に係る最終処分場性能指針」に準拠するとよい。

     1) ガス抜き管の機能を阻害する可能性のある行為
       ガス抜き設備は、廃棄物埋立地の底部から立ち上げ、又は側面斜面沿いに設置されて、廃棄物から生ずるガスを排出する設備である。したがって、盛土や掘削等の行為に伴う下記のような影響により、ガス抜き管の機能が阻害される可能性がある。
    1.    ① 管等の設置位置における掘削による影響
    2.    ② 盛土による許容荷重以上の外力による影響
    3.    ③ その他
     2) 機能損傷により生活環境に与える可能性のある影響
       ガス抜き設備の機能がなくなると、廃棄物層内の雰囲気が嫌気化することから、保有水等の水質悪化やガス性状の変化が起きる可能性がありうる。
     3) 代替措置の考え方v
       ガス抜き設備の機能に支障が生じた場合の代替措置は、上記で述べたガス抜き設備の機能を発揮する新たな設備を設置することが挙げられる。新規にガス抜き設備を設置する場合は、一般にボーリング等により廃棄物層内を掘進し有孔管を挿入する方法が用いられる。したがって、遮水工が設置されている廃棄物埋立地であって、その位置が明確でない場合は、掘進により遮水工を損傷する可能性があるので新たな掘削等は原則として行ってはならない。
       なお、表層利用に伴う盛土でガス抜き管が埋没するような場合は、図 4-11に示すように、利用の支障がない場所まで水平管等で導き、利用場所外で地上に立ち上げるような措置を講ずるとよい。
       図:図 4-11 跡地利用時のガス抜き管の切り替え例
    図 4-11 跡地利用時のガス抜き管の切り替え例
    6.遮水工の機能維持

     遮水工が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土等による上載荷重の増加、掘削行為、及び構造物の設置行為により、土地の形質の変更の時点における遮水工の機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、遮水工の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合や、すでに当該設備の機能がなくとも生活環境保全上の支障を生じるおそれがないことが明らかな場合、並びに保有水の漏洩を防止できる工法を用いる場合にあっては、その限りではない。

    【解説】
    6.遮水工の機能維持

     遮水工が設置されている廃棄物埋立地にあっては、土地の形質変更の時点における遮水工の機能に支障が生じないようにしなければならない。ただし、遮水工の機能と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合や、すでに当該設備の機能がなくとも生活環境保全上の支障を生じるおそれがないことが明らかな場合、並びに保有水の漏洩を防止できる工法を用いる場合にあっては、その限りではない。
     また、遮水工の位置や構造が不明である廃棄物埋立地にあっては、試掘や掘削によって遮水工を損傷する可能性があり、生活環境保全上の支障を生ずるおそれがある場合には、原則として表層利用に限定すべきである。さらに、遮水工の底部地盤の性状が把握できない場合にあっては、盛土等による沈下の状況が推測できないことから、遮水工の安全性が検証困難である。したがって、このような場合は、沈下を生ずる可能性がある盛土や荷重の増加は避けるべきである。なお、水面埋立地のように底部に厚い粘性土が分布しており、沈下した場合でも遮水性が確保される場合は、その限りではない。

     1) 遮水工の機能を阻害する可能性のある行為
       遮水工が設置されている廃棄物埋立地にあっては、盛土や掘削、構造物の設置等の行為に伴う下記のような影響により、遮水工の機能が阻害される可能性がある。
    1.    ① 盛土等による上載荷重の増加に伴う遮水工設置地盤の沈下による影響
    2.    ② 構造物との接続部の不等沈下による段差の発生による影響
    3.    ③ 掘削による影響
    4.    ④ 遮水工の一部形質の変更を伴う構造物の設置(杭基礎等)による影響
     2) 遮水工損傷により生活環境に与える可能性のある影響
       廃止された廃棄物の最終処分場の跡地については、土地の形質の変更が行われなければ安定的な状態ではあるものの、安定的であった地下の廃棄物が攪拌されたり酸素が供給されたりすることにより発酵や分解が進行してガスや汚水が発生することがありうる。したがって、遮水工が設置されている廃棄物埋立地にあって遮水工の機能に支障を生ずると、汚水が地下に浸透して生活環境保全上の支障を生ずる場合がある。
     3) 遮水工の構造安定性の検証方法
     (1) 廃棄物埋立地底部地盤沈下量の算定
       廃棄物埋立地底部地盤沈下量の算定は、前述した圧密計算等によることとする。
     (2) 遮水シート応力の計算
       遮水シートは、廃棄物埋立地底部地盤が沈下すると局部的に大きな変形を生ずると考えるべきであり、線形弾性モデルや線形修正弾性モデル等を用いて遮水シートに発生する応力度をチェックしておくことが望ましい。
     (3) 許容沈下量
       遮水シートの許容沈下量の考え方としては、長期的に遮水シートの許容応力度と許容伸びの範囲内に収まるように圧密沈下量を抑えることが必要である。その他、周辺地盤、周辺構造物との取り合いや、相対的な沈下量が保有水等集排水管の勾配を確保できる範囲であることなどをチェックしておく必要がある。
       これらのことを考え合わせると、経験上からは圧密沈下量を10cm~20cm程度に押さえておくことが望ましいといわれている。
     4) 粘性土地盤を遮水工として利用している廃棄物埋立地の留意事項
       粘性土地盤(人工的なものと自然のものの両者)を遮水工として利用している場合、地盤の沈下により粘性土が圧密され、遮水工の厚さが低減することが考えられる。粘性土が圧密された場合、透水性は低下すると考えられるが、層の厚さが低減することから、基準省令で定める厚さと透水係数の関係を満足するかという点に留意しなければならない。
       また、土地利用時の圧密沈下や不等沈下防止のために地盤改良を行う場合は、基準省令で定める厚さと透水係数の関係を満足するように留意しなければならない。
       基準省令で定める遮水工の透水係数と厚さの概念を図 4-12に示す。
       図:図 4-12 基準省令で定める遮水工の透水係数と厚さの概念
    図 4-12 基準省令で定める遮水工の透水係数と厚さの概念
     5) 代替措置の考え方
       代替措置とは、廃棄物を全量除去し保有水等が生じなくなる措置、廃棄物埋立地底部全面に不透水性地層(100nm/sec以下の地層)が5m以上存在する場合(不透水性地層の上部に透水性地層が存在して遮水工が設置されている場合)にあっては鉛直遮水工の設置等が挙げられる。
     6) 浸出液の漏洩を防止できる施工方法例
       浸出液の漏洩を防止できる工法とは、廃棄物埋立地底部全面に厚さ 5m以上の不透水性地層が存在する場合においては不透水性地層を侵さない範囲を5m以上残存させる杭等の設置、又は不透水性地層を侵さない範囲が5m未満しか残存しない場合は事前に杭等の周囲を不透水性材料で充填するなど遮水性を確保した杭等の設置、遮水シート等が設置されている場合においては遮水シートの形質の変更部の廃棄物を除去し土地の形質の変更部分からの漏水が生じないような措置を事前に講じた上での杭等の設置、事前に杭等の周囲を不透水性材料で充填するなど遮水性を確保した杭等の設置等が挙げられる。
       ただし、遮水工の位置が不明な廃棄物埋立地や遮断型埋立地にあっては、掘削や杭の設置は原則として認められない。
       以下、上記の施工方法例を示す。
       なお、ここで述べた施工例以外にも遮水性が確保できる適切な工法があれば採用できるものとする。また、今後、ここで述べた工法と同等以上の遮水性を確保できる適切な工法が開発された場合は当該工法を採用することができる。
     (1) 不透水性地層を5m以上残存させる杭の設置例
       泥岩など透水性が100nm/sec以下で、かつ建築物等の設置に十分な強度を有する支持地盤が廃棄物埋立地の底部に存在する場合、土地の形質の変更後の残存させる不透水性地層の厚さが5m以上あれば、遮水工の基準を満足する。施工の概念図を図 4-13に示す。
       図:図 4-13 不透水性地層が5m以上残存する場合の遮水工施工の概念
    図 4-13 不透水性地層が5m以上残存する場合の遮水工施工の概念
     (2) 周囲の遮水性を確保した杭の設置例(不透水性地層が5m未満の場合)
    1.   ① 廃棄物埋立地底部全面に十分な不透水性地層が存在する場合
         泥岩など透水性が100nm/sec以下で、かつ建築物等の設置に十分な強度を有する支持地盤が廃棄物埋立地の底部に存在する場合、土地の形質の変更後の残存させる不透水性地層の厚さが5m未満であれば、遮水工の基準を満足しない。このような場合は、遮水工の形質の変更をする杭等の周囲を改良して遮水性を高めることにより、十分な遮水性を有する層を5m以上確保することで必要な遮水性が維持できると考えられる。
    2.   ② 地盤改良等による遮水性の確保を行う場合
         遮水工を貫通する杭等の周囲を充填する等廃棄物層又は地盤を改良して遮水性を確保する工法を用いる場合の遮水層の厚さは、基準省令と同様な考え方に基づき、透水係数が100nm/sec以下の場合は5m以上、透水係数が10nm/sec以下の場合は50cm以上、透水係数が1nm/sec以下の場合は5cm以上確保することを原則とする。なお、「管理型廃棄物埋立護岸 設計・施工・管理マニュアル」では、浸透時間を同一にする考え方で、透水係数が10nm/sの場合は1.6m以上としている。廃棄物の接触した地盤や保有水等は、pHが酸性又はアルカリ性が強い場合があり、セメント等による改良では遮水性確保の信頼性が十分でない可能性もある。地盤改良後に杭等を施工した場合、固化した改良部を杭等で破壊することになるため、遮水性が低下する。
         また、杭の周囲は施工時の地盤の乱れ等により遮水性が低下する可能性がある。
    3.   ③ 粘性土地盤による遮水性の確保を行う場合
         粘性土等に杭を打設した場合は、比較的早い時間で杭と地盤が密着し遮水性が回復し、中堀工法のような杭周囲を乱さない工法を採用すれば杭周囲の透水係数の上昇はほとんどないという研究例もある。このように杭の施工によっても杭と地盤の境界の遮水性が低下しない場合は、廃棄物面から下部に不透水性地層が5m以上存在すれば遮水性は確保できる。ただし、粘性土等を利用した遮水工に杭を施工して遮水性を検証した実例はないことから、当該土地の形質の変更において実験等を含めた十分な調査・検討を行い、確実に遮水性を確保できる施工方法を確認することが重要である。施工の概念図を図4-14に示す。
         また、杭を施工する場合、廃棄物やベントナイトは腐食(電食)性が高い場合があることから、腐食防止に留意することが望ましい。
         図:図 4-14 不透水性地層が 5m未満となる場合の遮水工施工の概念
      図 4-14 不透水性地層が 5m未満となる場合の遮水工施工の概念
     (3) 掘削による廃棄物除去と杭等の設置例
       オープン又は土留め工を併用して掘削するものである。遮水工付近(掘削機械で遮水工を損傷しないように、遮水工表面から 1m程度までに限定するとよい。)まで機械掘削した後、人力掘削により遮水工を損傷しないように廃棄物や土砂等を除去する。
    1.   ① 廃棄物を埋め戻さない場合
         掘削した廃棄物を外部に搬出し、適正処理する等埋め戻さない場合は、廃棄物が完全に除去された部分の遮水工を撤去するとともに、廃棄物残存面には浸出液等が漏出しないように遮水工を再設置する。このように、杭等で遮水工を損傷する部分の廃棄物を除去した上で、浸出液等の外部漏洩がないような状態に措置した後に杭等を設置する方法である。なお、廃棄物埋立地の内部に浸出液が貯水されていると、遮水工撤去時に漏水する危険性があるので、排水に留意する必要がある。施工の概念を図 4-15に示す。
    2.   ② 廃棄物を埋め戻す場合(又は土留め工併用掘削で廃棄物を埋め戻さない場合)
         掘削した廃棄物を埋め戻す場合は、掘削部からの保有水等の漏水防止措置を講じた後、掘削部に遮水工を貫通させるような杭を施工しながら、杭と遮水工を薬剤等で固化して一体化する方法、杭に遮水シート等を接合する方法などが挙げられる。掘削空間部における杭を地表面部から打設すると、打設時の杭破損などが生じやすく技術的に困難な面が多い。掘削底部まで打設機械を下ろして施工することは掘削範囲が広大である場合は可能であろうが、小規模な杭打設では困難である。このような方法が採れないような場合は、杭の施工前にケーシング等を建て込み、遮水工とケーシングを接続した後ケーシング内を土砂で埋め戻して、そこに杭を打設する方法等が考えられる。
        なお、(2)で述べたとおり、廃棄物を掘削しないで薬剤等を注入して杭施工部の廃棄物層を改良した後に杭等を打設する方法も考えられる。
         図:図 4-1 掘削による廃棄物・遮水シート除去と杭等の施工概念(オープン掘削)
      図 4-1 掘削による廃棄物・遮水シート除去と杭等の施工概念(オープン掘削)
     8) 遮水工がなく自然地盤を利用している場合の留意事項
       遮水工がなく自然地盤を利用している場合で、十分な不透水性地層が存在する場合は前記の(1)又は(2)の工法が採用できる。しかし、管理型廃棄物が混入した安定型埋立地や管理型埋立地であっても不透水性地層が十分存在しない地盤上に設置されている例も考えられる。
       このような場合は、杭等の施工により自然地盤の遮水性は低下しないが、杭の打設によって新たな水道〈みずみち〉を形成することにより、保有水等が廃棄物層内で浄化等を受けない状態で漏出することがありうる。したがって、このような廃棄物埋立地にあっては、廃棄物底部に達する底層利用を行う場合は、周縁地下水や周辺水域の水質変化を監視しながら施工することが重要である。
    7.設備の機能損傷時の措置

      廃棄物埋立地の設備の機能に支障が生じた場合は、速やかに修復等機能の回復措置を講じなければならない。

    【解説】
    7.設備の機能損傷時の措置

      ガイドラインにしたがって施工したものの、不測の事態により擁壁等流出防止設備や保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備等に変位や損傷等が認められ、そのまま放置しておくと倒壊や廃棄物が流出する等のおそれがある場合、ガス抜き設備等が損傷してガスの速やかな放散等に支障を生ずるおそれがある場合など、廃棄物埋立地の設備の機能に支障が生じた場合は、速やかに修復等機能の回復措置を講じなければならない。

    4.4.7 掘削廃棄物の適正処理

      掘削した廃棄物又は廃棄物に接触した土砂等の覆いや構造物(以下、「掘削廃棄物等」という。)を外部に搬出する場合は、廃棄物処理法に基づき適正に処理しなければならない。適正処理の方法としては、最終処分場への搬出処分、中間処理施設等への搬出処理等が挙げられる。なお、汚水が生ずるおそれを有する掘削廃棄物等を廃棄物埋立地内に一時的に仮置きする場合は、掘削廃棄物等並びに掘削廃棄物等に接触した雨水が埋立地外に直接流出しないような措置を講じなければならない。

    【解説】
    1.総論
     1) 掘削廃棄物の適正処理
       掘削した廃棄物又は廃棄物に接触した土砂等の覆いや構造物を当該廃棄物埋立地に埋め戻さず外部に搬出する場合は、廃棄物処理法に基づき、適正に処理しなければならない。適正処理の方法としては、最終処分場への搬出処分、中間処理施設等への搬出処理等が挙げられる。掘削廃棄物等の搬出時には、当該廃棄物について必要な検査をし、適正処理をする。
       また、埋立物が土砂として明確に確認できるものは、土砂として取り扱うことができるものとする。
     2) 汚水の適正処理
       汚水を生ずるおそれを有する掘削廃棄物等を廃棄物埋立地内に一時的に仮置きする場合は、掘削廃棄物等並びに掘削廃棄物等に接触した雨水が廃棄物埋立地外に直接流出しないような措置を講じなければならない。廃棄物に接触した雨水は、土砂混じりの泥水である場合も考えられる。このような泥水状態の雨水であって、明らかに廃棄物が混入されていることが認められる場合は、沈砂等の分離・分級を行うなど、廃棄物が外部に流出することがないような措置を講じなければならない。また、明らかに廃棄物が混入しているとは認められない雨水であっても排水基準を越える場合は、「4.4.4 内部保有水等の水質汚濁防止」に準拠して排水基準を満足するように適正に処理をしなければならない。
    2.掘削廃棄物等の種類と処理の方法例

      掘削廃棄物等は、その性状によって必要な処理方法が異なる。原則としては、下記のような処理方法に準ずることとする。

     1) 安定型埋立地の場合
       掘削した廃棄物は汚水の発生するおそれがない廃棄物であるから、仮置き時には飛散・流出に配慮すればよい。また、掘削した廃棄物は、中間処理施設で処理する方法や安定型埋立地に搬出する方法を検討する。
     2) 管理型廃棄物混入安定型埋立地や管理型埋立地の場合
       有機物や水質汚濁物質を含む廃棄物の場合、仮置き時には飛散・流出、悪臭、汚水浸透に留意するとともに、仮置きした掘削廃棄物等の性状次第では必要に応じて汚水処理も考慮する必要がある。また、掘削した廃棄物のうち中間処理による減量化や資源化が図れる可能性のあるものについては、中間処理施設で処理することも含めて管理型埋立地に搬出することになる。中間処理については、経済性等の観点から比較検討すればよい。臭気が強い廃棄物は管理型埋立地で受け入れられない場合もあるので留意する必要がある。また、ダイオキシン類濃度が3ng-TEQ/gを越えている廃棄物や特別管理廃棄物がある場合は、それぞれの基準に沿った処理を講ずる必要がある。
       なお、有機物や水質汚濁物質をほとんど含まない安定型廃棄物が埋め立てられた管理型埋立地、又は鉄鉱スラグや石炭灰等の単一物の管理型埋立地であって保有水等の水質測定結果からみて生活環境保全上の支障が生ずるおそれがないことが明らかな場合は、安定型埋立地と同等に取り扱ってよい。
     3) 遮断型埋立地の場合
       遮断型廃棄物の場合は原則として掘削を認めていないが、全量除去するような場合は、遮断型最終処分場の基準と同等な保管容器等に移すなど仮置き等は避けることが原則である。
     4) 不法投棄地の場合
       封じ込めた不法投棄地にあっては、管理型埋立地と同様である。
    3.掘削廃棄物等の掘削・仮置き時の留意事項と施工方法例

      掘削廃棄物等の仮置きは、原則として保管基準に従うこととする。なお、大雨、強風、洪水等が予想される場合は、埋め戻し、雨水流入防止、保管廃棄物の除去等、事前に掘削廃棄物等の流出防止対策を講じておくものとする。

     1) 仮置きの事例
       特別管理廃棄物の混入した管理型埋立地の掘削廃棄物等の仮置き場所の一例を、図4-16に示す。この例では、アスファルト舗装を施した地表面に遮水シートと敷き鉄板を敷設している。また、仮置き場の周囲には側溝を巡らし掘削廃棄物等から汚水が出ても外部に流出しない構造となっている。また、廃棄物等を仮置きした後は、シート掛けを行い、雨水の浸透防止と飛散防止を図っている。
       安定型埋立地の場合は、囲いと飛散・流出防止のためのシート掛けが必要となる。
     2) 運搬車両の事例
       掘削廃棄物等の運搬時は、積載廃棄物が落下等流出することを防止できるような水密性車両や覆蓋付き車両を用いるとよい。また、掘削現場に進入した車両のタイヤ等には掘削廃棄物等が接触・付着していることもあるので、外部退出時の洗車などにも配慮するとよい。
       図:図 4-16 掘削廃棄物等の飛散防止の概念
    図 4-16 掘削廃棄物等の飛散防止の概念
    4.掘削廃棄物等の適正処理に関する措置
     1) 事前調査結果と異なる廃棄物が確認された場合の措置
       掘削廃棄物等の内容について事前調査を行い推定したにもかかわらず、実際の掘削廃棄物等が事前推定と異なる廃棄物であることが確認される場合がありうる。例えば、事前調査で安定型廃棄物が埋め立てられていると推定したが掘削時に管理型廃棄物が確認されるケース、管理型廃棄物と事前推定したが特別管理廃棄物が確認されるケースなどが想定される。このような場合は、①管理型廃棄物は管理型埋立地に埋立処分する、②特別管理廃棄物は中間処理により無害化した上で管理型埋立地に埋立処分するなど、廃棄物の種類に応じて適切に処理をしなければならない。
     2) 特別管理廃棄物等の措置
       掘削廃棄物等に含まれるダイオキシン類濃度が3ng-TEQ/gを越えることが確認された場合、又は梱包されていないアスベスト等の特別管理廃棄物が確認された場合は、その掘削廃棄物等は飛散・流出等の防止の観点から、掘削当日に中間処理施設に搬出することを原則とし、廃棄物処理法の規定に基づき適正に処理しなければならない。このような掘削廃棄物等は、生活環境保全上の支障を生ずるおそれを有するものであるから、当該廃棄物埋立地に埋め戻してはならない。

    4.4.8 その他

    1.  1) 焼却残渣の埋立地において廃棄物を掘削する場合は、必要に応じて作業員の曝露防止対策を講ずることが望ましい。
    2.  2) 遮断型埋立地にあっては、原則として設備の機能を損なう土地の形質の変更を行ってはならない。
    【解説】
    1.作業員の曝露防止対策
     1) 開放空間作業の場合
       廃棄物焼却施設内作業及び解体作業については、「ダイオキシン類による健康障害防止のための対策要綱(平成13年4月25日基発第401号)」がある。廃棄物埋立地については、同要綱は適用外である。これは、廃棄物埋立地が開放空間に存在しており、ダイオキシン類による曝露のリスクが低いと想定されたものと考えられる。したがって、開放空間で行う掘削作業については同対策要綱は適用外と考えてよい。
     2) 閉鎖空間作業の場合
       焼却残渣の廃棄物埋立地のようにダイオキシン類が比較的高い濃度で含まれていると考えられる場合にあって、テント等を設置した掘削孔等閉鎖空間における作業が発生する場合は、廃棄物焼却施設と同様な作業環境となることも予想される。したがって、焼却残渣の廃棄物埋立地で、かつ閉鎖空間の作業を伴う場合は、あらかじめ掘削作業時における大気中のダイオキシン類濃度を測定し、開放空間の確保、換気による濃度低減、及び無人化等の施工方法の検討や、「ダイオキシン類による健康障害防止のための対策要綱」に準じた作業員の曝露防止措置を講ずることが望ましい。
    2.遮断型埋立地の留意事項
     1) 遮断型埋立地における設備機能維持の必要性
       遮断型埋立地においては、埋立廃棄物は雨水による洗い流しがない状態であるため、埋立から時間を経ても埋め立てられた状態のまま存在している。このような状態の埋立廃棄物に雨水が浸透する状態になると、汚水やガス等が発生するおそれがある。したがって、遮断型埋立地にあっては、廃止後も覆いの機能や外周仕切設備等の機能を維持しておくことが必要である。
       したがって、遮断型埋立地にあっては、廃棄物を全量除去する場合を除き、覆いの機能を阻害する中層利用や底層利用は認められない。
       ただし、覆いの機能や外周仕切設備と同等以上と認められる代替措置を講ずる場合にあっては、その限りではない。ここでいう代替措置とは、外周仕切設備や覆いと同様な構造強度を有するコンクリート構造物で囲む工法などが考えられる。
     2) 荷重増加時の安全性確認
       遮断型埋立地の土地の形質の変更において、盛土等の表面利用を行う場合は、増加荷重を見込んだ構造計算を行い、その増加荷重により覆いが破損しないことを確認しなければならない。構造計算は、当該廃棄物埋立地が設置された時点における設計手法と同様な方法によることを原則とする。また、盛土等を行う場合は、事前に亀裂の有無等構造物の機能が維持されていることを点検することが必要である。
     3) 点検設備の機能維持
       平成10年6月以降に設置された遮断型埋立地にあっては、外周仕切設備等の廃棄物埋立地を形成する構造物本体とは別に点検設備の設置が求められている。この点検設備は、外周仕切設備や覆いの機能が維持されているかを目視点検するために設けられた設備であるから、廃止後の遮断型埋立地で点検設備を有する廃棄物埋立地においても、点検設備の機能を維持しておくことが必要である。
       点検設備に支障が生ずるかどうかの検証は、「4.4.1 廃棄物の飛散・流出防止」の項と同様な方法による。
     4) 設備損傷時の措置c
       不測の事態により遮断型埋立地の外周仕切設備、覆い又は点検設備に支障が生じた場合は、速やかに補修しなければならない。補修は、部分的な亀裂等の場合は亀裂へのモルタルや薬剤等の注入、オーバーライニングによる方法が考えられる。大規模な損傷の場合は、同等な強度を有するコンクリートで囲む方法、ステンレス製等の保管容器に一時保管した上で新規に同等の廃棄物埋立地を設置する方法が考えられる。

    【4.5 モニタリングと環境保全対策

    【4.5.1 モニタリングと環境保全対策

     土地の形質の変更にあたっては、放流水に関するモニタリングと環境保全対策を行わなければならない。また、必要に応じて、廃棄物の飛散・流出・露出、悪臭ガス、可燃性ガス等、周縁地下水の水質、及び地盤・構造物の変位に関するモニタリングと環境保全対策を行う。ただし、生活環境保全上の支障が生ずるおそれがないことが明らかな項目については、その限りではない。

    【解説】

     土地の形質の変更にあたっては、廃棄物の飛散・流出等施行基準に定める内容について生活環境保全上の支障が生じないように、施工に際して保全措置(環境保全対策)を講ずることが必要である。また、施工に際しては、生活環境保全上の支障が生じていないことを確認(モニタリング)することも必要である。廃棄物の種類及び土地利用の内容ごとに必要となる環境保全対策とモニタリング内容を整理したものを表4-6に示す。試掘時に限っては事後のモニタリングを必要としない。
     また、モニタリング方法の一覧を表4-7に示す。
     生活環境保全上の支障を生ずるおそれがないことが明らかな項目については、適用を除外することができる。

    表 4-6 廃棄物埋立地の廃棄物による区分と土地利用別にみたモニタリングと環境保全対策一覧
    項目
    廃棄物埋立地の廃棄物による区分
    試掘時
    安定型埋立地
    管理型埋立地
    管理型混入安定型埋立地
    特管物混入管理型埋立地
    遮断型埋立地
    項目
    表層
    中層
    底層
    表層
    中層
    底層
    表層
    モニタリング
    廃棄物の飛散・流出
    *1
    *1
    *1
    悪臭
    *2
    *2
    *2
    可燃性ガス等
    -
    放流水
    *3
    *3
    *3
    -
    周縁地下水
    *3
    *3
    *3
    構造物等の変位
    -
    *4
    *4
    *4
    *4
    *4
    *4
    *4
    地中温度
    -
    -
    -
    -
    -
    環境保全対策
    廃棄物の飛散・流出防止
    *1
    *1
    *1
    悪臭発生の防止、発生時の措置
    *2
    *2
    *2
    可燃性ガス等による火災等の防止措置
    -
    -
    -
    -
    -
    放流水の適正処理
    -
    -
    -
    *5
    *5
    *5
    -
    覆いの機能回復措置
    -
    -
    -
    諸設備の機能維持
    *4
    *4
    *4
    周縁地下水の汚濁防止措置
    -
    -
    -
    -
    -
    掘削廃棄物の適正処理
    -
    -
    -
    -
    衛生害虫獣の発生防止措置
    -
    -
    -
    -
    • *1:荷重の増加に伴う法面の安定性が低下する場合に限る。
    • *2:廃棄物の締め固めに伴うものに限る。
    • *3:工事中の影響を監視するため、浸透水が採取できる場合は、その水質を把握しておくことが望ましい。
    • *4:荷重の増加が伴い、安定性が低下する場合に限る。
    • *5:排水基準を超える場合に限る。
    表 4-7 モニタリングの方法一覧
    モニタリング項目
    測定項目
    測定位置の目安
    測定期間・頻度の目安
    測定方法
    廃棄物飛散・流出
     
     
     
    目視による。
    悪臭
    悪臭防止法施行令に定める悪臭物質(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)及び臭気濃度
    1年を通して多い風向、又は住居等の施設に対して風上及び風下の敷地境界それぞれ1か所以上
    工事中は1回以上。工事完了後*1は2年間にわたり実施する。
    測定時期は、曇天時と晴天時を含む四季にそれぞれ実施することが望ましい。
    悪臭防止法施行規則の定めによる。
    可燃性ガス等
    CH4,H2S,CO2,O2(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)
    掘削行為を伴う形質変更場所ごとに1か所以上
    工事中は、携帯用測定器で毎日測定。ただし、ガスが検知された場合は、精密分析を行うことが望ましい。工事完了後*1は2年間にわたり実施する。
    精密分析時期は、曇天時と晴天時を含む四季にそれぞれ実施することが望ましい。
    携帯用測定器、検知管による。ガスが検知された場合は、ガス発生量を石けん膜流量計や熱線式流量計等で、ガス濃度をガスセンサー・ガスクロマトグラフ等を用いて測定する。
    放流水
    基準省令第1条第1項第5号ヘに定める排水基準に基づく物質(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)
    形質変更場所に近接する保有水等採取可能か所又浸透水採水設備において1か所以上*2
    工事中は、掘削行為期間が1ヶ月以内の場合は1回以上、2ヶ月以内の場合は2回以上、それ以上の場合は3ヶ月に1回以上の頻度で実施する。
    工事完了後*1は2年間にわたり実施する。その頻度は、3ヶ月に 1回以上とする。
    基準省令第三条の規定に基づき定める水質検査の方法による。
    周縁地下水
    基準省令第1条第1項第5号ヘに定める排水基準に基づく物質(ただし、当該廃棄物から発生しないことが明らかな物質は除く)
    土地の形質の変更を行う地域に近接した廃棄物埋立地跡地の上下流それぞれ1か所以上
    工事中は、掘削行為期間が1ヶ月以内の場合は1回以上、2ヶ月以内の場合は2回以上、それ以上の場合は3ヶ月に1回以上の頻度で実施する。
    工事完了後*1は2年間にわたり実施する。その頻度は、3ヶ月に1回以上とする。
    基準省令第三条の規定に基づき定める水質検査の方法による。
    地盤・構造物変位
    変位量(擁壁等、造成斜面、地盤の沈下を測定対象とする)
    変位のおそれがある形質変更場所に近接する構造物それぞれ1か所以上
    構造物に支障を生ずるおそれがある工事期間において、毎日実施する。
    変位等が認められない場合にあっては、1週間に1回以上。
    目視による。
    変位が認められた場合は、測量、ひずみ計設置等の手段を用いて、1日1回計測する。
    地中温度
    廃棄物層内温度
    土地の形質の変更場所に近接する埋立廃棄物内の採取設備又はガス抜き設備等において1か所以上
    工事中、工事完了後*1の2回以上実施する。測定時期は、外気温との差が異なる夏季及び冬季の2季が望ましい。
    温度計又は温度センサーを用いて測定する。
    • *1:生活環境保全上の支障が生じた場合、又は工事前の状況から変化が生じて生活環境保全上の支障が生じるおそれがある場合に実施する。
    • *2:廃棄物層内に保有水等が流入するおそれがある埋設物を設置する場合は、埋設物内の水質も測定する。
    1.掘削を伴う現地調査時のモニタリングと環境保全対策

      ボーリング等の掘削に際しては、廃棄物の種類が十分把握できていない場合が多いことから、原則として管理型廃棄物が存在することを前提にモニタリングと環境保全対策を実施する。ただし、工事完了後のモニタリングは対象外とする。

     1) 掘削を伴う現地調査時のモニタリング
    1.   ① 飛散・流出状況のモニタリング(目視による)
    2.   ② 臭気の発生状況モニタリング(臭覚による)
    3.   ③ 発生した泥水等の管理状況モニタリング(調査地域外への流出の有無を目視)
    4.   ④ 掘削作業着手前後の周縁地下水の水質モニタリング
     2) 環境保全対策
    1.   ① 廃棄物の飛散・流出防止
    2.   ② 可燃性ガス等による悪臭や火災の防止
    3.   ③ 掘削等に伴い発生する泥水等による水質汚濁防止
    4.   ④ 掘削に伴う廃棄物層内環境の変化による放流水の水質変化と周縁地下水の汚染防止
    5.   ⑤ 掘削終了後の覆いの機能の修復
    6.   ⑥ 掘削による諸設備の損傷防止又は損傷時の速やかな修復措置
    2.土地利用工事に伴うモニタリングと環境保全対策

      廃棄物埋立地を利用するための工事におけるモニタリングと環境保全対策は、下記の内容とする。ただし、生活環境の保全上の支障を生ずるおそれがないことが明らかな項目については、その限りではない。

     1) 土地の形質の変更工事中のモニタリング
    1.   ① 廃棄物の飛散・流出状況モニタリング(表層利用では、荷重の増加に伴い法面の安定性が低下する場合に限る。)
    2.   ② 悪臭発生状況モニタリング(表層利用では、廃棄物の締め固めに伴うもの)
    3.   ③ 可燃性ガス等の発生状況モニタリング
    4.   ④ 放流水の水質状況モニタリング
    5.   ⑤ 周縁地下水の水質状況モニタリング
    6.   ⑥ 擁壁等流出防止設備、法面及び地盤の変位モニタリング(荷重の増加が伴う場合に限る。)
    7.   ⑦ その他の設備の損傷状況モニタリング
    8.   ⑧ 廃棄物地中温度の変化状況モニタリング(安定型埋立地を除く。)
     2) 土地の形質の変更工事完了後のモニタリング
       土地の形質の変更工事において、下記に示す生活環境保全上の支障が生じた場合、又は工事着手前の状況から変化が生じており生活環境保全上の支障を生ずるおそれがある場合は、工事完了後も下記のモニタリングを行う。
       工事完了後のモニタリングは、工事完了後又は下記の生活環境保全上の支障を生ずるおそれがなくなった時点から2年間とする。
    1.   ① 工事中に廃棄物埋立地設備の安定性が低下する影響並びにそれに付随して発生する地盤の変位(クラック、沈下等)及び沈下等の影響が見られた場合には、その継続的調査を実施し、必要に応じて保全対策措置を講ずる。
    2.   ② 工事中に可燃性ガス等の発生が確認された場合、ガス抜き設備又は観測井におけるガス発生量と濃度をモニタリングする。
    3.   ③ 放流水の水質が悪化するおそれが認められた場合は、その水質をモニタリングする。なお、放流水の水質が排水基準を超えることが認められた場合は、工事着手以前の水質以下とすることを目標に適正に処理しなければならない。
    4.   ④ 上記の放流水の水質の悪化傾向が認められた場合、又は周縁地下水の水質の悪化傾向が認められた場合は、周縁地下水の水質をモニタリングする。周縁地下水の水質悪化が廃棄物に由来することが明らかであり、生活環境に支障を生ずるおそれを有する場合は、生活環境保全措置を講じなければならない。
     3) 環境保全対策
    1.   ① 廃棄物の飛散・流出防止(表層利用では、荷重の増加に伴い法面の安定性が低下する場合に限る。)
    2.   ② 悪臭発生の防止又は発生時の措置(表層利用では、廃棄物の締め固めに伴うもの)
    3.   ③ 可燃性ガス等による火災等の防止措置(安定型埋立地を除く。その他については中・底層利用時に限る。)
    4.   ④ 必要に応じた放流水の適正処理(安定型埋立地及び遮断型埋立地を除く。その他については排水基準を超える場合に限る。)
    5.   ⑤ 土砂等による覆いの機能回復措置(中・底層利用時に限る。)
    6.   ⑥ 廃棄物埋立地諸設備の機能維持(表層利用では、荷重の増加に伴い設備の安定性が低下する場合に限る。)
    7.   ⑦ 周縁地下水の汚濁防止措置(底層利用時に限る。)
    8.   ⑧ 掘削廃棄物の適正処理(中・底層利用時に限る。)
    9.   ⑨ 衛生害虫獣の発生防止措置(中・底層利用時に限る。)

    4.5.2 外部地下水への汚染拡散防止措置

     モニタリングの結果、土地の形質の変更に伴い、放流水の水質が排水基準値を越えることが認められた場合は、速やかに放流水削減のための土砂等の覆い等雨水浸透防止措置、排水の適正処理等水質汚濁防止措置を講じなければならない。また、放流水が地下水に拡散している場合は、地下水への拡散防止を図ることが必要となる。

    【解説】

     雨水浸透防止措置は、「4.4.5 覆いの機能維持」の内容を参照されたい。ここでは、外部地下水への汚染防止方法について述べる。

    1.地下水汚染拡散防止工法の種類

      廃棄物埋立地の地下水汚染拡散防止対策に用いられる工法としては、図4-17に示すような鉛直遮水工法、地下水制御工法、及び埋立物安定化工法がある。

     1) 鉛直遮水工法
       鉛直遮水工法は、使用する材料によってシート壁、鋼矢板、地中連続壁、ソイルセメント固化壁、グラウト壁、スラリーウォール等に分類できる。遮水性、経済性、施工性、適用できる地盤等が異なるので、使用する現場に応じて適切な工法を選定する必要がある。鉛直遮水工の設置する範囲は、廃棄物埋立地の周囲全面とする場合と、地下水の流動状況を勘案して廃棄物埋立地の上下流側のみに設置する場合などがある。設置の範囲は、地下水シミュレーション等により遮水範囲と汚染拡散状況を確認して設定することが重要である。
     2) 地下水制御工法
       地下水制御工法は、図4-18左図に示すように、廃棄物埋立地の上流側の地下水を揚水することにより、地下水の廃棄物埋立地内への流入を防止しようとするものである。また、図4-18右図に示すように廃棄物埋立地の鉛直遮水工と併設して揚水井を設置することもある。揚水井は、鉛直遮水工上流部の地下水位がせき止められることにより上昇し、鉛直遮水工の設置範囲の両端部や下部からの地下水の回り込みを防止するものである。
     3) 埋立物安定化工法
       埋立物安定化工法は、廃棄物の安定化に比較的時間を要するため、応急措置として利用されることは少ない。
       図:図 4-17 地下水汚染拡散防止工法の種類
    図 4-17 地下水汚染拡散防止工法の種類*5
       図:図 4-18 揚水による廃棄物埋立地上流部の地下水流入防止(左図)と鉛直遮水工と揚水井による汚染地下水の外部拡散防止(右図)の例
    図 4-18 揚水による廃棄物埋立地上流部の地下水流入防止(左図)と鉛直遮水工と揚水井による汚染地下水の外部拡散防止(右図)の例*5

    4.6 その他

     廃棄物を全量又は部分的に掘削して除去するような形質の変更を行う場合は、前述した内容による。ただし、除去した埋立地の部分については、「4.4.5 覆いの機能維持」、及び「4.4.6 設備の機能維持」については適用しない。
     また、廃棄物を全量除去した後の土壌については、土壌汚染対策法に準拠して、土壌の汚染がないことを確認する。この際、「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置の技術的手法の解説」に準拠して調査対策を実施する。
     土壌環境基準を超える土壌が確認された場合は、土壌汚染対策法にしたがった適切な措置を講ずること。

    【解説】

     廃棄物の全量、又はある一定範囲の廃棄物等を除去する場合は、廃棄物等が除去された範囲については覆いや各設備は不要となる。したがって、このような廃棄物が除去された廃棄物埋立地の範囲については「4.4.5 覆いの機能維持」及び「4.4.6 設備の機能維持」については適用除外とする。
     ただし、廃棄物等の掘削過程においては、廃棄物の飛散・流出防止、悪臭ガスの防止、可燃性ガス等による火災等の防止、内部保有水等による水質汚濁防止及び覆いの機能維持については、「4.4 具体的な施工の方法」の項で述べた施工方法により生活環境保全上の支障が生ずることを防止しなければならない。
     また、廃棄物に接触している設備を撤去する場合は、これら設備も汚染されている場合があるので、汚染の状況を確認した上、適切な処理をしなければならない。
     廃棄物除去後において、特に遮水工が設置されていない廃棄物埋立地にあっては、その底部の土壌も廃棄物で汚染されていることがありうる。したがって、廃棄物を除去した場所で底部の地盤が露出している状況がある場合は、土壌の汚染の有無を確認し、必要に応じて適正な措置を講ずることが必要となる。
     土壌汚染の調査方法は、原則として「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置の技術的手法の解説」(環境省監修、社団法人土壌環境センター編,2003)に準拠し、現況把握型として実施する。調査の詳細については、同書を参照されたい。
     土壌環境基準を越える汚染が確認された場合は、同書にしたがって、適切な対策を講ずることが必要となる。

    おわりに

     「最終処分場跡地形質変更に係る施行ガイドライン」の内容には、埋め立てられている廃棄物が多種多様であること、技術的に解明されていない点があること等のため、最終処分場の跡地形質変更により発生する生活環境保全上の支障の定量的評価や具体的な施行方法を提示できない側面もあり、廃棄物の埋立地の形質変更を行ったことにより生じた環境リスクの定量的な評価手法の確立、遮水工位置の正確な把握のための温度探査や電気探査等の手法の更なる研究開発の推進、生活環境保全上の支障が生じていないことを確認するためのモニタリング期間を設定する基準の明確化などの技術的課題も残されている。
     これらの課題については、今後の技術の進展や知見の集積状況に鑑み適宜ガイドライン内容の見直しが必要となると考えられる。

    最終処分場跡地形質変更に係る施行ガイドライン
    参考資料

    目次

    1. 参考資料-1 関係法令(抜粋)
    2. 参考資料-2 土地の形質の変更と生活環境影響の関連
    3. 参考資料-3 関係する基準等
    4. 参考資料-4 ブロワ吸引量と活性炭吸着等の規模計算例
    5. 参考資料-5 発生ガス量と換気量の算定例
    6. 参考資料-6 跡地利用施設に関するガス対策
    7. 参考資料-7 擁壁等流出防止設備の安定計算方法例
    8. 参考資料-8 造成法面の安定計算方法例
    9. 参考資料-9 ガスの性状
    10. 参考資料-10 雨水流出量の計算方法例
    11. 参考資料-11 地盤の沈下計算方法と遮水シートに働く応力計算例

    参考資料-1.関係法令(抜粋)

    ○廃棄物処理法(抄)(昭和45年法律第137号、一部改正 平成16年法律第40号)
    第三章の三 廃棄物が地下にある土地の形質の変更
    (指定区域の指定等)
    1. 第十五条の十七 都道府県知事は、廃棄物が地下にある土地であつて土地の掘削その他の土地の形質の変更が行われることにより当該廃棄物に起因する生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものの区域を指定区域として指定するものとする。
    2. 2 都道府県知事は、前項の指定をするときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
    3. 3 第一項の指定は、前項の公示によつてその効力を生ずる。
    4. 4 都道府県知事は、地下にある廃棄物の除去等により、指定区域の全部又は一部について第一項の指定の事由がなくなつたと認めるときは、当該指定区域の全部又は一部について同項の指定を解除するものとする。
    5. 5 第二項及び第三項の規定は、前項の解除について準用する。
    (指定区域台帳)
    1. 第十五条の十八 都道府県知事は、指定区域の台帳(以下この条において「指定区域台帳」という。)を調製し、これを保管しなければならない。
    2. 2 指定区域台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、環境省令で定める。
    3. 3 都道府県知事は、指定区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
    (土地の形質の変更の届出及び計画変更命令)
    1. 第十五条の十九 指定区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の三十日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次の各号に掲げる行為については、この限りでない。
      1.  一 第十九条の十第一項の規定による命令に基づく第十九条の四第一項に規定する支障の除去等の措置として行う行為
      2.  二 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの
      3.  三 指定区域が指定された際既に着手していた行為
      4.  四 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
    2. 2 指定区域が指定された際当該指定区域内において既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
    3. 3 指定区域内において非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、当該土地の形質の変更をした日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
    4. 4 都道府県知事は、第一項の届出があつた場合において、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から三十日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法に関する計画の変更を命ずることができる。


    (略)

    (土地の形質の変更に関する措置命令)
    1. 第十九条の十 指定区域内において第十五条の十九第四項に規定する環境省令で定める基準に適合しない土地の形質の変更が行われた場合において、生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は、必要な限度において、当該土地の形質の変更をした者に対し、期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。
    2. 2 第十九条の四第二項の規定は、前項の規定による命令について準用する。
    ○廃棄物処理法施行令(抄)(昭和46年政令第300号、一部改正 平成17年政令第5号)
    第五章 廃棄物が地下にある土地の形質の変更
    (指定区域として指定する廃棄物が地下にある土地)

    第十三条の二 法第十五条の十七第一項の政令で定める土地は、次のとおりとする。

    1.  一 法第九条第五項(法第九条の三第十項において読み替えて準用する場合を含む。)の確認を受けて廃止された一般廃棄物の最終処分場又は法第十五条の二の五第三項において読み替えて準用する法第九条第五項の確認を受けて廃止された産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地
    2.  二 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成九年法律第八十五号)第二条の規定による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律第九条第三項(同法第九条の三第六項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による廃止の届出があつた一般廃棄物の最終処分場又は同法第十五条の二第三項において読み替えて準用する同法第九条第三項の規定による廃止の届出があつた産業廃棄物の最終処分場に係る埋立地
    3.  三 一般廃棄物又は産業廃棄物の埋立地であつて、次のいずれかに該当するもの(前二号に掲げるものを除く。)
      1.   イ 継続的に又は反復して埋立処分が行われた埋立地であつて環境省令で定めるもの
      2.   ロ 環境省令で定める生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置が講じられたもの
    ○廃棄物処理法施行規則(抄)(昭和46年厚生省令第35号、一部改正 平成17年環境省令第7号)
    (令第十三条の二の環境省令で定める埋立地)

    第十二条の三十一 令第十三条の二第三号イの規定による環境省令で定める埋立地は、次のとおりとする。

    1.  一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律(平成三年法律第九十五号)第一条の規定による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下この条において「旧法」という。)第八条第一項の規定による届出があつた一般廃棄物の最終処分場であつて廃止されたもの又は旧法第十五条第一項の規定による届出があつた産業廃棄物の最終処分場であつて廃止されたものに係る埋立地
    2.  二 前号に掲げるもののほか、市町村若しくは法第七条第十二項に規定する一般廃棄物処分業者(埋立処分を業として行う者に限る。)により一般廃棄物の埋立処分の用に供された場所(自らその事業活動に伴つて生じた一般廃棄物を処分する用に供するものを除くものとし、法の施行前に埋立処分が開始されたものにあつては、法の施行の際現に埋立処分の用に供されていたものに限る。)であつて廃止されたもの又は市町村、法第十四条第十二項に規定する産業廃棄物処分業者若しくは法第十四条の四第十二項に規定する特別管理産業廃棄物処分業者(埋立処分を業として行う者に限る。)により産業廃棄物の埋立処分の用に供された場所(自らその事業活動に伴つて生じた産業廃棄物を処分する用に供するものを除くものとし、法の施行前に埋立処分が開始されたものにあつては、法の施行の際現に埋立処分の用に供されていたものに限る。)であつて廃止されたものに係る埋立地(公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条第一項の免許又は同法第四十二条第一項の承認を受けて埋立てをする場所にあつては、令第五条第二項又は第七条第十四号ハに基づく環境大臣の指定を受けたものに限る。)
    (令第十三条の二の環境省令で定める措置)

    第十二条の三十二 令第十三条の二第三号ロの規定による環境省令で定める措置は、法第十九条の四第一項、第十九条の四の二第一項、第十九条の五第一項若しくは第十九条の六第一項の規定に基づく命令に係る措置又は法第十九条の七第一項若しくは第十九条の八第一項の規定に基づく措置その他これらに相当する生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止が十分に講じられた措置であつて、次の各号のいずれかに該当するものとする。

    1.  一 廃棄物のある層の側面に、不透水性の地層のうち最も浅い位置にあるものの深さまで地下水の浸出の防止のための構造物を設置する措置
    2.  二 廃棄物を埋立地から掘削し、当該埋立地に地下水の浸出を防止するための構造物を設置し、及び当該構造物の内部に掘削した廃棄物を埋め戻す措置
    3.  三 廃棄物が含まれる範囲の土地を、コンクリート、アスファルト又は土砂により覆い、これらによる覆いの損壊を防止する措置
    (指定区域の指定の公示)

    第十二条の三十三 法第十五条の十七第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による指定区域の指定(同条第五項において準用する場合にあつては、指定の解除。以下この条において同じ。)の公示は、当該指定をする旨並びに当該指定区域及び令第十三条の二の規定による埋立地の区分(同条第三号イに掲げる埋立地にあつては第十二条の三十一の規定による埋立地の区分(以下「埋立地の区分」という。))を明示して、都道府県、保健所を設置する市又は特別区の公報に掲載して行うものとする。この場合において、当該指定区域の明示については、次のいずれかによることとする。

    1.  一 市町村(特別区を含む。)、大字、字、小字及び地番
    2.  二 平面図
    (指定区域台帳)
    1. 第十二条の三十四 法第十五条の十八第一項の指定区域台帳は、帳簿及び図面をもつて調製するものとする。
    2. 2 前項の帳簿及び図面は、指定区域ごとに調製するものとする。
    3. 3 第一項の帳簿は、指定区域につき、少なくとも次に掲げる事項を記載するものとし、その様式は様式第三十一号の二のとおりとする。
      1.  一 指定区域に指定された年月日
      2.  二 指定区域の所在地
      3.  三 指定区域の概況
      4.  四 埋立地の区分
      5.  五 土地の形質の変更の実施状況
    4. 4 第一項の図面は、次のとおりとする。
      1.  一 土地の形質の変更の実施場所及び施行方法を明示した図面
      2.  二 指定区域の周辺の地図
    5. 5 帳簿の記載事項及び図面に変更があつたときは、都道府県知事は、速やかにこれを訂正しなければならない。
    6. 6 法第十五条の十七第四項の規定により指定区域の指定が解除された場合には、都道府県知事は、当該指定区域に係る帳簿及び図面を指定区域台帳から消除しなければならない。
    (土地の形質の変更の届出)
    1. 第十二条の三十五 法第十五条の十九第一項の規定による届出は、様式第三十一号の三による届出書を提出して行うものとする。
    2. 2 前項の届出書には、次に掲げる書類及び図面を添付しなければならない。
      1.  一 土地の形質の変更の施行に当たり周辺の生活環境に及ぼす影響について実施する調査の計画書
      2.  二 土地の形質の変更の施行に係る工事計画書
      3.  三 土地の形質の変更をしようとする場所を明らかにした指定区域の図面
      4.  四 土地の形質の変更をしようとする指定区域の状況を明らかにした図面
      5.  五 埋立地に設置された設備の場所を明らかにした図面
      6.  六 土地の形質の変更の施行方法を明らかにした平面図、立面図及び断面図
      7.  七 土地の形質の変更の終了後における当該土地の利用の方法を明らかにした図面

    第十二条の三十六 法第十五条の十九第一項本文の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

    1.  一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名
    2.  二 土地の形質の変更を行う指定区域の所在地
    3.  三 土地の形質の変更の内容
    4.  四 地下にある廃棄物の種類
    5.  五 地下にある廃棄物の搬出の有無及び搬出先
    6.  六 土地の形質の変更の完了予定日
    (環境省令で定める行為)

    第十二条の三十七 法第十五条の十九第一項第二号の環境省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。

    1.  一 埋立地の設備の機能を維持するために必要な範囲内で行う当該設備の修復又は点検
    2.  二 前号に掲げるもののほか、次のイ及びロに掲げる要件を満たすもの
      1.   イ 盛土、掘削又は工作物の設置に伴つて生ずる荷重により埋立地に設置された設備の機能に支障を生ずるものでないこと。
      2.   ロ 掘削又は工作物の設置により令第三条第三号ホ(令第六条第一項第三号及び第六条の五第一項第三号の規定において例による場合を含む。第十二条の四十第四号において同じ。)の規定による土砂の覆いの機能を損なわないものであること。
    (既に土地の形質の変更に着手している者の届出)
    1. 第十二条の三十八 法第十五条の十九第二項の規定による届出は、次に掲げる事項を記載した様式第三十一号の三による届出書を提出して行うものとする。
      1.  一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名
      2.  二 土地の形質の変更を行う指定区域の所在地
      3.  三 土地の形質の変更の種類、場所及び施行方法
      4.  四 土地の形質の変更の内容
      5.  五 地下にある廃棄物の種類
      6.  六 地下にある廃棄物の搬出の有無及び搬出先
      7.  七 土地の形質の変更の着手日
      8.  八 土地の形質の変更の完了日又は完了予定日
    2. 2 前項の届出書には、第十二条の三十五第二項各号に掲げる書類及び図面を添付しなければならない。
    (非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者の届出)

    第十二条の三十九 前条の規定は、法第十五条の十九第三項の届出について準用する。この場合において、前条第一項第八号中「完了日又は完了予定日」とあるのは、「完了日」と読み替えるものとする。

    (土地の形質の変更の施行方法に関する基準)

    第十二条の四十 法第十五条の十九第四項の環境省令で定める基準は、土地の形質の変更に当たり、生活環境の保全上の支障が生じないように次の各号に掲げる要件を満たすものであることとする。

    1.  一 廃棄物を飛散、又は流出させないものであること。
    2.  二 埋立地から可燃性ガス又は悪臭ガスが発生する場合には、換気又は脱臭その他必要な措置を講ずるものであること。
    3.  三 土地の形質の変更により埋立地の内部に汚水が発生し、流出するおそれがある場合には、水処理の実施その他必要な措置を講ずるものであること。
    4.  四 令第三条第三号ホの規定による土砂の覆いの機能を損なうおそれがある場合には、当該機能を維持するために土砂の覆いに代替する措置を講ずるものであること。
    5.  五 土地の形質の変更により埋立地に設置された設備の機能を損なうおそれがある場合には、当該機能を維持するために埋立地に設置された設備に代替する措置を講ずるものであること。
    6.  六 土地の形質の変更に係る工事が完了するまでの間、当該工事に伴つて生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがないことを確認するために必要な範囲内で放流水の水質検査を行うものであること。
    7.  七 前号の規定による水質検査の結果、生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、その原因の調査その他の生活環境の保全上必要な措置を講ずるものであること。

      図:最終処分跡地等指定区域台帳

      図:土地の形質の変更の届出書式

    参考資料-2.土地の形質の変更と生活環境影響の関連

     土地の形質の変更と生活環境影響により支障が生ずるおそれのある事象のマトリックス表(表2-2~2-4)については、表2-1に示すように、土地の利用部位により、表層利用、中層利用、底層利用の3つに大別して整理した。
     マトリックス表は、ある土地の形質の変更によって、どのような生活環境影響が発生するかを示したものである。廃棄物中に分解性廃棄物や有害物が混入しているかどうかで、生活環境影響の内容や大きさが異なることから、安定型埋立地において発生するおそれのある生活環境影響に○を、管理型埋立地、管理型混入安定型埋立地、特別管理廃棄物混入管理型埋立地において、発生するおそれのある生活環境影響に△を付した。
     マトリックス表中に示される土地の形質の変更の中には、ある条件下で軽易な変更と見なされ適用から除外されるものや影響が小さくなるもの、生活環境上の影響ではないとみなし除外されるものがあり、これらについては表中で注釈を加えている。
     図2-1~2-3は、マトリックス表に示した生活環境影響を模式化したものである。これらの図は、土地の形質の変更と生活環境影響の関係について示した。

    表 2-1 利用部位と利用内容
    利用部位
    利用内容
    表層利用
    土砂等による覆い(覆土)の機能を残存するような掘削しか伴わず、盛土や構造物の設置などを行う利用
    中層利用
    覆土と廃棄物の掘削により、遮水工、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備、地下水集排水設備等の形質を変更しない利用
    底層利用
    遮水工、保有水等集排水設備又は浸透水集排水設備、地下水集排水設備等の形質を変更する利用又は廃棄物埋立地の底部まで廃棄物の掘削を伴う利用

    表2-2 表層利用に伴い生ずるおそれがある生活環境影響マトリックス
    土地の形質の変更

    生活環境影響
    土地の形質の変更の段階
    跡地利用段階
    盛土(*1)
    覆土掘削(*2)
    構造物基礎
    地盤改良工
    荷重の増加を伴う跡地利用
    布基礎・ベタ基礎
    載荷重工法(*1)
    低層建築物、路盤、舗装、側溝等(*1)
    ガスによる生活環境影響
    保有水等に接触した覆土の仮置き・搬出によるもの
     
    ○,△
     
     
     
    ガス抜き設備の損傷や通気性の低下によるもの(*5)
    覆土厚の減少によるもの
     
    ○,△
     
     
     
    保有水等・浸透水(放流水)による生活環境影響
    擁壁等流出防止設備・埋立護岸・遮水工の損傷・機能低下によるもの(*3)
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    廃棄物に接触した雨水によるもの
     
     
     
     
    基礎地盤の沈下によるもの
     
    保有水等の悪化に伴うもの(*5,*6)
    地下水集排水設備の損傷によるもの(*4)
     
    浸透水・保有水等に接触した覆土の仮置き、外部搬出によるもの
     
     
     
     
    廃棄物の飛散・流出による生活環境影響
    荷重の増加によるもの
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    浸透水・保有水等に接触した覆土によるもの
     
    ○,△
     
     
     

    • ○:安定型埋立地で生活環境影響が生じるおそれがあるもの
    • △:管理型混入安定型埋立地、管理型埋立地、特管物混入管理型埋立地で生活環境影響が生じるおそれがあるもの
    • *1:荷重が構造物に支障をきたさない場合、生活環境保全上の支障が生じるおそれはない。
    • *2:掘削時に覆土を50cm以上残存する場合、軽易な変更とみなす。
    • *3:安定型埋立地の場合、遮水工は対象外である。
    • *4:地下水集排水設備を有しない場合は対象外である。
    • *5:廃棄物埋立地内部に留まる場合は、生活環境保全上の支障が生じるおそれはない。
    • *6:安定型埋立地であっても、管理型廃棄物が混入しているおそれがある場合は対象とする。


    図:図2-1 表層利用における生活環境影響
    図2-1 表層利用における生活環境影響

    表2-3 中層利用に伴い生ずるおそれがある生活環境影響マトリックス
    土地の形質の変更

    生活環境影響
    土地の形質の変更の段階
    跡地利用段階
    廃棄物の掘削
    構造物基礎工
    地盤改良工
    荷重の増加を伴う跡地利用
    布基礎・ベタ基礎
    杭基礎
    置換工法
    振動締固め工法、固結工法、サンドコンパクションパイル工法
    低層建築物、共同溝等(*1)
    ガスによる生活環境影響
    浸透水・保有水等に接触した覆土の仮置き、外部搬出によるもの
    ○,△
     
     
    ○,△
     
     
    掘削廃棄物の仮置き、外部搬出によるもの
    ○,△
     
     
    ○,△
     
     
    ガス抜き設備の損傷や通気性の低下によるもの(*4)
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    覆土消滅によるもの
    ○,△
     
     
    ○,△
     
     
    保有水等・浸透水(放流水)による生活環境影響
    擁壁等流出防止設備・埋立護岸・遮水工の損傷・機能低下によるもの(*2)
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    廃棄物に接触した雨水によるもの
     
     
     
     
    基礎地盤の沈下によるもの
     
     
     
    保有水等の悪化に伴うもの(*4,*5)
    浸透水・保有水等に接触した覆土の仮置き、外部搬出によるもの
     
     
     
     
    掘削廃棄物の仮置き、外部搬出によるもの
     
     
     
     
    地下水集排水設備の損傷によるもの(*3)
     
     
    溜まり水(保有水等)の存在によるもの(*4)
     
     
     
     
    廃棄物の飛散・流出による生活環境影響
    廃棄物の飛散・流出によるもの
    ○,△
     
     
    ○,△
     
     
    荷重の増加によるもの
    ○,△
    ○,△
     
     
    ○,△
    ○,△
    浸透水・保有水等に接触した覆土によるもの
    ○,△
     
     
    ○,△
     
     

    • ○:安定型埋立地で生活環境影響が生じるおそれがあるもの
    • △:管理型混入安定型埋立地、管理型埋立地、特管物混入管理型埋立地で生活環境影響が生じるおそれがあるもの
    • *1:荷重が構造物に支障をきたさない場合、生活環境保全上の支障が生じるおそれはない。
    • *2:安定型埋立地の場合、遮水工は対象外である。
        また、不透水性地層による遮水の場合は生活環境影響保全上の支障は少ない。
    • *3:地下水集排水設備を有しない場合は対象外である。
    • *4:廃棄物埋立地内部に留まる場合は、生活環境保全上の支障が生じるおそれはない。
    • *5:安定型埋立地であっても、管理型廃棄物が混入しているおそれがある場合は対象とする。


    図:図 2-2 中層利用における生活環境影響
    図 2-2 中層利用における生活環境影響

    表2-4 底層利用に伴い生ずるおそれがある生活環境影響マトリックス
    土地の形質の変更

    生活環境影響
    土地の形質の変更の段階
    設備の変更の段階
    跡地利用段階
    廃棄物掘削
    擁壁等流出防止設備の形質の変更
    遮水工の形質の変更(*1)
    地下水集排水設備、浸透水・保有水集排水設備の形質の変更(*2)
    荷重の増加を伴う跡地利用
    一部撤去
    高さ変更
    杭基礎、打設系の各種地盤改良工
    杭基礎、打設系の各種地盤改良工
    橋脚、高層建築物等
    表面遮水工(*4)
    粘性土層 (*5)
    ガスによる生活環境影響
    浸透水・保有水等に接触した覆土の仮置き、外部搬出によるもの
    ○,△
     
     
     
     
     
     
    掘削廃棄物の仮置き、外部搬出によるもの
    ○,△
     
     
     
     
     
     
    ガス抜き設備の損傷や通気性の低下によるもの(*3)
    ○,△
     
     
    覆土消滅によるもの
    ○,△
     
     
     
     
     
     
    保有水等・浸透水(放流水)による生活環境影響
    擁壁等流出防止設備・埋立護岸・遮水工の損傷・機能低下によるもの(*1)
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    ○,△
    廃棄物に接触した雨水によるもの
     
     
     
     
     
     
    保有水等の悪化に伴うもの(*3,*6)
     
     
    浸透水・保有水等に接触した覆土の仮置き、外部搬出によるもの
     
     
     
     
     
     
    掘削廃棄物の仮置き、外部搬出によるもの
     
     
     
     
     
     
    溜まり水(保有水等)の存在によるもの(*3)
     
     
     
     
     
     
    廃棄物の飛散・流出による生活環境影響
    廃棄物の飛散・流出によるもの
    ○,△
    ○,△
    ○,△
     
     
     
     
    荷重の増加によるもの
    ○,△
    ○,△
     
     
     
     
    ○,△
    浸透水・保有水等に接触した覆土によるもの
    ○,△
     
     
     
     
     
     

    • ○:安定型埋立地で生活環境影響が生じるおそれがあるもの
    • △:管理型混入安定型埋立地、管理型埋立地、特管物混入管理型埋立地で生活環境影響が生じるおそれがあるもの
    • *1:安定型埋立地の場合、遮水工は対象外である。
    • *2:地下水集排水設備を有しない場合は対象外である。
    • *3:廃棄物埋立地内部に留まる場合は、生活環境保全上の支障は少ない。
    • *4:ライナープレートを用いた上で杭打ち等を行う場合は、生活環境保全上の支障は少ない。
    • *5:杭が不透水性地層(100nm/sec以下)内で留まる場合は、生活環境保全上の支障は少ない。
    • *6:安定型埋立地であっても、管理型廃棄物が混入しているおそれがある場合は対象とする。


    図:図 2-3 底層利用における生活環境影響
    図 2-3 底層利用における生活環境影響

    参考資料-3.関係する基準等

    1) ビューフォート風力階級表(本文4.4.1節関連)
    風力階級
    開けた平らな地面から10mの高さにおける相当風速
    説明
    kt
    m/s
    km/h
    mile/h
    陸上
    海上
    0
    1未満
    0.0から
    0.3未満
    1未満
    1未満
    静穏。煙はまっすぐに昇る。
    鏡のような海面。
    1
    1以上4未満
    0.3以上
    1.6未満
    1以上
    6未満
    1以上
    4未満
    風向は、煙がなびくのでわかるが風見には感じない。
    うろこのようなさざなみができるが、波がしらにあわはない。
    2
    4以上
    7未満
    1.6以上
    3.4未満
    6以上
    12未満
    4以上
    8未満
    顔に風を感じる。木の葉が動く。風見も動き出す。
    小波の小さいもので、まだ短いがはっきりしてくる。波がしらはなめらかに見え、砕けていない。
    3
    7以上
    11未満
    3.4以上
    5.5未満
    12以上
    20未満
    8以上
    13未満
    木の葉や細い小枝がたえず動く。軽い旗が開く。
    小波の大きいもの、波がしらが砕けはじめる。あわはガラスのように見える。ところどころ白波が現れることがある。
    4
    11以上
    17未満
    5.5以上
    8.0未満
    20以上
    29未満
    13以上
    19未満
    砂ほこりが立ち、紙片が舞い上がる。小枝が動く。
    波の小さいもので、長くなる。白波がかなり多くなる。
    5
    17以上
    22未満
    8.0以上
    10.8未満
    29以上
    39未満
    19以上
    25未満
    葉のあるかん木がゆれはじめる。池や沼の水面に波がしらが立つ。
    波の中ぐらいのもので、いっそうはっきりして長くなる。白波がたくさん現れる。(しぶきを生ずることもある。)
    6
    22以上
    28未満
    10.8以上
    13.9未満
    39以上
    50未満
    25以上
    32未満
    大枝が動く。電線が鳴る。かさは、さしにくい。
    波の大きいものができはじめる。いたるところで白くあわだった波がしらの範囲がいっそう広くなる。(しぶきを生ずることが多い。)
    7
    28以上
    34未満
    13.9以上
    17.2未満
    50以上
    62未満
    32以上
    39未満
    樹木全体がゆれる。風に向かっては歩きにくい。
    波はますます大きくなり、波がしらが砕けてできた白いあわは、すじをひいて風下に吹き流されはじめる。
    8
    34以上
    41未満
    17.2以上
    20.8未満
    62以上
    75未満
    39以上
    47未満
    小枝が折れる。風に向かっては歩けない。
    大波のやや小さいもので長さが長くなる。波がしらの端は砕けて水けむりとなりはじめる。あわは明りょうなすじをひいて風下に吹き流される。
    9
    41以上
    48未満
    20.8以上
    24.5未満
    75以上
    89未満
    47以上
    55未満
    人家にわずかの損害がおこる。(煙突が倒れ、かわらがはがれる。)
    大波。あわは濃いすじをひいて風下に吹き流される。波がしらはのめり、くずれ落ち、逆巻きはじめる。しぶきのため視程がそこなわれることもある。
    10
    48以上
    56未満
    24.5以上
    28.5未満
    89以上
    103未満
    55以上
    64未満
    陸地の内部ではめずらしい。樹木がねこそぎになる。人家に大損害がおこる。
    波がしらが長くのしかかるような非常に高い大波。大きなかたまりとなったあわは濃い白色のすじをひいて風下に吹き流される。海面は全体として白く見える。波のくずれかたは、はげしく衝撃的になる。視程はそこなわれる。
    11
    56以上
    64未満
    28.5以上
    32.7未満
    103以上
    118未満
    64以上
    73未満
    めったにおこらない。広い範囲の破壊を伴う。
    山のように高い大波。(中小船舶は、一時波の陰にみえなくなることもある)海面は、風下に吹き流された長い白いあわのかたまりで完全におおわれる。いたるところで波がしらの端が吹き飛ばされて水けむりとなる。視程はそこなわれる。
    12
    64以上
    32.7以上
    118以上
    73以上
    -
    大気は、あわとしぶきが充満する。海面は、吹き飛ぶしぶきのために完全に白くなる。視程は、著しくそこなわれる。
    2) 悪臭防止法による敷地境界における規制濃度(本文4.4.2節関連)
    NO.
    特定悪臭物質等
    規制基準の範囲
    1
    アンモニア
    1ppm以上 5ppm以下
    2
    メチルメルカプタン
    0.002ppm以上 0.01ppm以下
    3
    硫化水素
    0.02ppm以上 0.2ppm以下
    4
    硫化メチル
    0.01ppm以上 0.2ppm以下
    5
    二硫化メチル
    0.0091ppm以上 0.1ppm以下
    6
    トリメチルアミン
    0.005ppm以上 0.07ppm以下
    7
    アセトアルデヒド
    0.05ppm以上 0.5ppm以下
    8
    プロピオンアルデヒド
    0.05ppm以上 0.5ppm以下
    9
    ノルマルブチルアルデヒド
    0.009ppm以上 0.08ppm以下
    10
    イソブチルアルデヒド
    0.02ppm以上 0.2ppm以下
    11
    ノルマルバレルアルデヒド
    0.009ppm以上 0.05ppm以下
    12
    イソバレルアルデヒド
    0.003ppm以上 0.01ppm以下
    13
    イソブタノール
    0.9ppm以上 20ppm以下
    14
    酢酸エチル
    3ppm以上 20ppm以下
    15
    メチルイソブチルケトン
    1ppm以上 6ppm以下
    16
    トルエン
    10ppm以上 60ppm以下
    17
    スチレン
    0.4ppm以上 2ppm以下
    18
    キシレン
    1ppm以上 5ppm以下
    19
    プロピオン酸
    0.03ppm以上 0.2ppm以下
    20
    ノルマル酪酸
    0.001ppm以上 0.006ppm以下
    21
    ノルマル吉草酸
    0.0009ppm以上 0.004ppm以下
    22
    イソ吉草酸
    0.001ppm以上 0.01ppm以下
    23
    臭気指数
    10以上 21以下
    *規制基準は、都道府県知事により規制地域(地域区分が定められている場合もある。)ごとに定められている。


    3) ガス等に関する法規制(本文4.4.3節関連)
    法規等
    概要
    1.労働安全衛生法関係
    (1)労働安全衛生法

    1. イ)有害な業務又はその他政令で定めるものについての作業環境の測定(第65条、施行令第21条)
    2. ロ)防爆機器の譲渡等の制限(第42条)
    3. ハ)ロ)の機器の型式検定に関する事項(第44条の2)
    (2)労働安全衛生規則
    (防爆構造)
    1. イ)爆発の危険のある場所で使用する電気機械器具の防爆構造(第280条)
    2. ロ)同上の防爆構造の電気機械器具は労働大臣が定める規格に合格したものであること(第27条)
    3. ハ)修理、変更等臨時の作業を、爆発の危険が生ずるおそれのない措置を講じた場合の同上イ)、ロ)の不適用(第283条)
    4. ニ)移動式又は可搬式の防爆電気機械器具のその日の使用開始前における点検義務(第284条)
    (3)労働安全衛生規則
    (保安対策)
    1. イ)建設業あるいはその他の業種におけるメタン、硫化水素及び酸素の濃度の測定器具の備え付け義務(第24条の2の2項)
    2. ロ)潜函等の内部作業を行う時の酸素濃度計による測定義務(第377条1項)
    3. ハ)ずい道等の掘削作業を行う時の可燃性ガス観察記録義務(第381条3項、第382条の2)
    4. ニ)可燃性ガスが存在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場合の自動警報装置設置義務(第382条の3)
    5. ホ)爆発下限界30%以上の濃度の可燃性ガス存在時の措置規定(第389条の8、9)
    6. ヘ)坑内作業場における炭酸ガス濃度規制(1.5%以下)(第583条)
    7. ト)立入り禁止の表示場所の規定
       炭酸ガス1.5%を超える場所、酸素濃度が18%未満の場所及び硫化水素濃度が100万分の10を超える場所(第585条4項、5項)
    8. チ)坑内炭酸ガスの測定義務(第592条)
    (4)有機溶剤中毒予防規制
    労働安全衛生法施行令による室内作業場のアセトン以下16種の有機溶剤の濃度測定義務(第28条)
    (5)特定化学物質等障害予防規則
    同上令第21条第7号の作業場における第1類物質又は第2類物質の濃度測定義務(第36条)
    (6)高気圧作業安全衛生規則
    1. イ)炭酸ガスによる高圧室内作業者の健康障害防止措置義務(第16条)
    2. ロ)有害ガスによる高圧室内作業者の危険及び健康障害防止措置義務(第17条)
    3. ハ)炭酸ガス及び有害ガスの濃度測定器具の携帯義務(第26条)
    (7)酸素欠乏症等防止規則
    1. イ)労働安全衛生法施行令第21条第9号に掲げる作業場における酸素、硫化水素の濃度測定義務(第3条)
    2. ロ)イ)の測定を行うための測定器具の備え付け義務(第4
    (8)事務所衛生基準規則
    1. イ)一酸化炭素及び炭酸ガス濃度の規制(第3条、第5条)
    2. ロ)一酸化炭素及び炭酸ガスの含有量の測定義務(第7
    3. ハ)測定器及び測定方法の規定(第8条)
    (9)作業環境測定法
    同法施行令
    同法施行規則
    労働安全衛生法を補完し、適正な作業環境を確保し、職場における労働者の健康を保持する。
    (10)作業環境測定法施行規則に基づく労働大臣の定める基準
    作業環境測定に使用する機器の基準を定める。
    (11)作業環境測定基準
    1. イ)坑内作業における炭酸ガス濃度の測定及び測定器の規則(第5条)
    2. ロ)建築物の室における一酸化炭素及び炭酸ガスの含有率の測定及び測定器の規制(第6条)
    3. ハ)特定化学物質等の濃度の測定及び測定器の規制(第10条)
    4. ニ)酸素及び硫化水素の濃度の測定及び測定器の規制(第12条)
    5. ホ)有機溶剤の濃度の測定及び測定器の規制(第13条)
    2.建築物における衛生的環境の確保に関する法律
    (1)同法施行規則

    法第4条により環境衛生管理基準として一酸化炭素、炭酸ガス濃度の測定及び測定器の規制(第3条)
    3.鉱山保安法関係
    (1)石炭鉱山保安規則
    1. イ)可燃性ガス検知器の備え付け義務(第35条の2)
    2. ロ)可燃性ガス自動警報器の設置義務(第122条)
    3. ハ)各種ガス検定器及び可燃性ガス自動警報器の型式検定品に関する規定(第78条、第79条)
    4. ニ)炭酸ガスその他有害ガスの測定(第123条)
    (2)金属鉱山保安規則
    1. イ)各種検定器及び可燃性ガス自動警報器の型式検定品に関する規定
    2. ロ)炭酸ガスその他有害ガスの測定(第85条の2)
    (3)石油鉱山保安規則
    内容は金属鉱山保安規則に準ずる。


    4) 排水基準(本文4.4.4節関連、基準省令 別表第1,2)

     図:排水基準 別表1
     図:排水基準 別表1-2
     図:排水基準 別表2

    参考資料-4.ブロワ吸引量と活性炭吸着等の規模計算例

     掘削現場が、図4-1に示すようなケーシング内部の場合を仮定する。

    •  ・掘削部容積:φ1,500×高さ5m=約8.8m3
    •  ・換気に必要な風速:0.3m/sec
    •  ・換気に必要な風量:φ1,500×0.3=0.53m3/sec=31.8m3/min
    •  ・活性炭吸着塔の空筒流速:0.2~0.5m/sec(中央値0.3m/secとする。)
    •  ・活性炭吸着塔接触時間:1~2秒(2秒とする。)
    •  ・活性炭吸着塔面積:0.53m3/sec/0.3m/sec=1.7m2
    •  ・活性炭吸着塔高さ:0.3m/sec×2sec=0.6m

     なお、ここでは必要な換気量は掘削現場内風速を確保することとしたが、メタンガス等が発生している場合は、ガス発生量との関係から必要な希釈風量を算定する必要がある。

       図:図 4-1 ケーシング掘削地内換気の概念図
    図 4-1 ケーシング掘削地内換気の概念図

    参考資料-5.発生ガス量と換気量の算定例

     建築物の基礎等の設置のため、幅20m、長さ40m、面積で深さ5m掘り下げたと仮定すると、地下部分の側面及び底面から発生するメタンガスの量と、これを安全基準以下に希釈するに必要な換気量は、次のようになる。

    •  ・ガスの発生する面積
        (ごみ層と接している面の面積) 1,400m2
    •  ・メタンガス発生量 0.2Nm3/年・m3-廃棄物
        (埋立廃棄物量を500,000m3とすると、100,000m3/年)
    •  ・廃棄物埋立地面積 50,000m2
    •  ・地下部分からのメタンガス発生量 1,400×100,000/50,000=2,800m3/年 =5.3×10-3m3/min
    •  ・メタンガス濃度基準を1.5%としたときの必要換気量 5.3×10-3/1.5×10-2=0.35m3/min

     すなわち、毎分0.4m3以上の風を送ればよいことになる。
     次に、基礎杭作業のために直径1.5mの孔を深さ10mのごみ層に掘り下げたとき、メタンガスの発生量と希釈に必要な換気量を同様に計算すると、次のとおりである。

    •  ・孔からのメタンガス発生量 98m3/年 = 0.19×10-3m3/min
    •  ・メタンガス濃度基準を1.5%としたときの必要換気量 0.01m3/min

     この程度のガス量に対しては、オープン掘削時は特別な換気設備は必要でなく、自然風によって十分希釈されると考えられるが、閉鎖空間となる土留め工併用掘削時は、換気不十分となるので、安全確保のために図5-1に示すような対策を講じておくことが望ましい。
     以上の数量はあくまで計算上の数字であって、実際の施工にあたっては、単に計算上必要な換気量を設定するだけでなく、メタンガスを希釈するために必要な風速(0.3m/sec)を確保することが大切である。

       図:図 5-1 作業中のガス対策
    図 5-1 作業中のガス対策*4

    参考資料-6.跡地利用施設に関するガス対策

     メタンガス等が発生する地盤に建物を作る場合、床に亀裂があれば、ガスは建物の中に侵入する。ガスが建物の中に侵入すれば、天井や床などに滞留することになり、火源があれば着火するおそれがありうる。
     また、運動場・グラウンドや駐車場のように、面的に廃棄物埋立地表面の通気性を低下させるような利用を行う場合、ガスがグラウンド等の下部に滞留して予想もしない場所から放出するおそれがある。地表面から1.5m程度離れれば数十%の濃度のガスでも希釈されて爆発限界以下に低下するといわれているが、小児の利用や芝生等の枯死などが想定されることから留意する必要がある。
     跡地利用施設の供用中に、このような事故の起こることのないようにするため、あらかじめ対策を講じておくことが望ましく、ここでは跡地の供用中の事故防止のための建物に関するガス対策例について述べる。
     対策の第一は、ガスが排出されないようにすることが最も効果的である。次いで、排出されたガスが建物の中に侵入しないように、又は不特定の場所から排出されないようにすることである。さらに、ガスが侵入してもすぐに排除できるようにしておくことも重要である。
     以上のような対策の他に、建物の中にガスが侵入したときに、それを知らせる検知探知器を設置することも考慮する必要がある。
     以上の対策のうち、一つだけで完全なものにはならないので、二つ以上の組み合わせによって、二重、三重の安全を図るようにするとよい。
     各対策には次のような方法がある。

     1) 廃棄物埋立地対策

       発生ガスについて、廃棄物埋立地からの発生抑制対策例を表6-1に示す。いずれの対策によっても、これだけで発生ガスが完全に抑制される方法はない。
       このうち、ガス抜き管設置は、計画に確実性があるといった点で優れている。したがって、建物の床下などにガス抜き管を設置するなどして、ガスが滞留しないようにする対策を採用するとよい。
       また、運動場等の広場についても、このような対策を講ずることが望ましい。

     2) ガス抜き管

       床下にガス抜き管を設置した例を図6-1、図6-2に示す。図6-1上部の例は、ガス抜き管の上部を粘性土で覆って、ガスを集めやすくしている例である。また、ガス排出筒を照明灯やフェンスと兼用させて、目立たないような工夫がしてある。ガス排出は自然換気方式によっている。なお、建物の床は、二重スラブにしてある。図6-1下部の例は、床のすぐ下に5m感覚で空間(ガス抜きボイド)を設けておき、発生ガスがここを通って排出されるようになっている。各ボイドの端と塩ビ管をつなぎ、さらにそれらを幹管に連結して排気ファンで排出するようになっている。

    表 6-1 発生ガスの廃棄物埋立地対策の比較*4
      図:表 6-1 発生ガスの廃棄物埋立地対策の比較

      図:図 6-1 廃棄物埋立地に瀬土した建築物のガス対策例
    図 6-1 廃棄物埋立地に瀬土した建築物のガス対策例*4

      図:図 6-2 床下のガス抜き管設置例
    図 6-2 床下のガス抜き管設置例*4

     図6-1の床下ガス抜き管設置例では、ガス抜き管の上部を粘性土で覆っているが、粘性土では完全にガスを遮断することはできない場合もある。粘性土の上方(床の下)にもガスが滞留する可能性があることから、必要に応じて床下にもガス抜き管を設置するとよい。
     さらに、床下に設ける空隙の部分に砕石を充填した状態にしておく方法も効果的である。この方法は、確実に隙間を作ることができ、工事も容易である。
     なお、ガス排出を自然換気によるか、排気ファンを設置するかの選択は、大気圧の高い時期や冬季に自然換気力の低下が考えられるので、排気ファンを設置するほうが効果的である。また、維持管理費の低減のために常時は自然換気による排出を主体として、排出ガスの濃度を測定して、必要なときにのみ排気ファンを運転するようなシステムにするとよい。

     3) 地下構造物周辺のガス滞留防止

       地下構造物を設けた場合、その肩の部分にメタンガスが滞留しやすいので、この部分にはガス抜き管を設置する(図6-3)。
       また、図6-3のような場合に使用する埋戻土として、工事で掘削した埋立廃棄物を仮置きしておいて乾燥し、場合によってはふるい分けするなどをして、再使用することも考えるとよい。

     4) ガスの侵入防止

       発生ガスが建物の内部に侵入する箇所として、床コンクリートに発生する亀裂と配管などの貫通部が考えられる。この対策は次のような例がある。

      (1) 床コンクリートの亀裂

        人が常時いる部屋には、床及び壁に結露防止のためにシート張りされることがある。この場合、結露防止シートがガスの侵入防止の観点からも効果が期待できることもある。

      (2) 配管貫通部

        貫通部にコーキングを施して、密閉を完全なものにする。

     5) 床下の侵入ガス排除

       床を二重スラブにしてメタンガスが部屋に侵入するのを防ぐ方法の例を、図6-4に示す。床下に空間を作っておけば、仮に下のコンクリート版からガスが侵入しても、床下の空間でガスが希釈されるので、部屋の中へはガスが侵入しにくくなる。
       床下の空間には、ガス抜き管を設ける必要がある。簡単な建物であれば、床の壁にガス抜き穴を作り、床の下側に勾配をつけることにより、自然換気でガス抜きができる。しかし、大きな建物の場合、必要に応じて内側の部屋にはガス抜き管を敷設し、ブロワで強制換気するとよい。
       砕石とガス抜き管によるガス排除対策を採用すれば、あえてガス対策のために二重スラブ構造を採用する必然性はないが、二重スラブを採用する場合は、二重スラブ部分に換気設備を設置して、ガス対策設備として兼用すればよい。
       また、電設用マンホールなどに、高濃度のガスが滞留する可能性も考えられる。この対策として、マンホールのふたをガスが抜けるような構造にした例がある。図6-5にこの構造を示す。

      図:図 6-3 地下構造部周辺のガス滞留防止方法
    図 6-3 地下構造部周辺のガス滞留防止方法*4

      図:図 6-4 二重スラブ構造の例
    図 6-4 二重スラブ構造の例*4

      図:図 6-5 ガス対策用マンホールふたの構造(例)
    図 6-5 ガス対策用マンホールふたの構造(例)*4

    参考資料-7.擁壁等流出防止設備の安定計算方法例

     安定計算の要領は下記のとおりである。

     1) 計算手法

       陸上における廃棄物埋立地の擁壁等流出防止設備の安定計算方法は、道路土工擁壁工指針、河川砂防技術基準、土地改良事業計画設計基準等が参考となる。

     2) 計算条件の設定

       構造物の自重、廃棄物圧(土圧)、水圧、地震力、上載荷重(利用荷重等)を採用した指針等に従って組み合わせた荷重を用いる。擁壁等流出防止設備の安定計算は、常時及び地震時について行う。
       また、耐震設計計算法としては、図7-1に示す4法に大別することができる。最終処分場の擁壁等流出防止設備に用いられる耐震設計計算法としては、従来震度法が多く用いられているが、震度法で仮定されている高さ方向の一様な震度分布は観測事実と必ずしも一致していない。貯水構造物の設計基準では、高さ 15m以上 100m程度の以下のフィルダムについては修正震度法による安定性の確認を求めており、擁壁等流出防止設備についても、高いものについては修正震度法を用いることも考慮すべきである。
       このような前提のもと、地震力を考慮して構造物の耐震上の安全性を確認する場合は静的耐震設計法のうち震度法を用いて行うことを基本とする。設計震度は、地震時に想定した最大加速度を重力の加速度で除した値で表したもので、地域区分、基礎地盤の状態、及び構造物の種類・構造形式などによって異なる。重力式コンクリートダム、アーチ式区コンクリートダム、ゾーン型フィルダム及び欽一型フィルダムに適用される河川砂防技術基準(案)より、設計震度の地域区分を図 7-2に、設計震度を表7-1に示す。
      図:図 7-1 耐震設計計算法の分類
    図 7-1 耐震設計計算法の分類

      図:図 7-2 設計震度の地域区分
    図 7-2 設計震度の地域区分*6

    表 7-1 設計震度*6
      図:表 7-1 設計震度

     3) 計算結果の評価
     計算結果の評価は、表7-2に示すように、安定計算の種類ごとに安全率(安全に対する指標)で評価する。準拠する計算基準によって安全率や安定計算の種類が異なるので留意する必要がある。

    表 7-2 擁壁等流出防止設備の安定計算と荷重の組み合わせ*1
      図:表 7-2 擁壁等流出防止設備の安定計算と荷重の組み合わせ

    参考資料-8.造成法面の安定計算方法例

     道路土工のり面工・斜面安定工指針等による方法がよく用いられる。安定計算は、一般に図8-1に示すような円弧すべり面を仮定した分割法を用いて行う。この方法は、すべり面上の土塊をいくつかのスライスに分割し、各スライスで発揮されるせん断力と抵抗力を求め、それぞれを累計し、その比率によって安全率を求めるものである。計算式を下記に示す。
     なお、盛土の構成によっては、円弧すべり面の代わりに直線を含む複合すべり面を仮定した計算式もある。
      図:図 8-1 円弧すべり面を用いた常時の安定計算法
    図 8-1 円弧すべり面を用いた常時の安定計算法*2
    〔参考〕(引用文献:日本道路協会編 道路土工-のり面工・斜面安定工指針)
       地震時の安定検討のうち最も簡便な方法として、円弧すべり面を仮定した震度法による安定計算法がある。なお、円弧すべり面の代わりに直線の複合すべり面を仮定した計算法もある。
       地震時の安定計算法を以下に示す。平地部盛土で基礎地盤の液状化による盛土の安定検討の方法として、以下に示す方法の他、残留強度を用いる方法や弾塑性有限要素法による方法等についての研究が最近なされており、詳細検討等の必要に応じて用いることもできる。

     ① 中規模地震動対応の場合

       円弧すべり面を仮定した震度法による安定計算法を用いる場合の地震時安全率の計算式として以下のようなものがある。
      図:図 8-2 円弧すべり面を用いた地震時安定計算法1
     ここに、式(2)は(a)地盤の液状化が盛土の安定性を損なう可能性が高い場合、あるいは(b)山岳盛土で地下水の影響が少なく地震時の土の強度低下がないような場合に用いることができる。
      図:図 8-2 円弧すべり面を用いた地震時安定計算法1-2
    図 8-2 円弧すべり面を用いた地震時安定計算法*2
      (a)の場合には、地震動によって発生する過剰間げき水圧ueを設計震度より算定して与え、設計水平震度kn=0として与える。また、(b)の場合には、ue=0として、設計水平震度knを作用させる。
      つぎに、式(3)は上記(a),(b)の場合を含む、より一般的な場合に用いることができる。同式中の土の動的強度は繰返し三軸試験等により求めるが、破壊ひずみ基準としては5%程度が採用されることが多い。
      地震時の盛土の設計においては最小安全率が1.0以上となるような断面とする。また、地震と豪雨が重なることは少ないので、地震時には豪雨による浸透水を考慮しなくてもよい。

     ② 大規模地震動対応の場合

       この場合には地震時に盛土に発生する沈下や変形量を評価する手法を用いるのが望ましい。しかしながら、大規模地震時の盛土の沈下量や安定性を評価できる信頼性のある手法は現時点ではまだない。
       ひとつの試案として、式(3)の式を用いる方法が考えられる。この場合、土の動的強度は破壊ひずみ基準として10ないし15%程度を設定して求める。
       最小安全率及び浸透水の扱いは上と同じでよい。
       なお、平地地盤上の盛土について動的強度を用いた安定計算を行うと、最小安全率を与えるすべり面が非現実的に大きなものとなることがある。この問題に対する明確な解決策は見出されていないが、便宜上、すべり面の範囲を水平方向には盛土のり尻から盛土高さの2倍程度以内に制限するのがよいと考えられる。

     ③ 設計水平震度

       設計水平震度は次式により求めることができる。
      図:図 8-3 地域別補正係数
    図 8-3 地域別補正係数*2

    表 8-1 設計水平震度の標準値*2
      図:表 8-1 設計水平震度の標準値

     ④ 地盤種別

     耐震設計上の地盤種別は、原則として地盤の特性値TGにより区別し、表8-2によるものとする。
    表 8-2 耐震設計上の地盤種別*2
      図:表 8-2 耐震設計上の地盤種別

      地盤の特性値TGは、式(5)によって算出するものとする。
      図:地盤の特性値計算式

     ここでの基盤面とは、粘性土層の場合はN値が25以上、砂質土層の場合はN値が50以上の地層の上面、もしくはせん断弾性波速度が300m/sec程度以上の地層の上面をいう。

    参考資料-9.ガスの性状

     1) ガスの性状とその影響
      (1) メタンガス
       ① メタンの爆発性
        空気中にメタンが4.8~14.5%あれば爆発現象を起こす。4.8%以下のときは爆発は起こらないが、火源があればこれに触れたメタンは燃焼する。また、14.5%以上の場合にも爆発は起こらずに燃焼するが、実際には気体の拡散によって空気との接触面には、必ず 14.5%以下の爆発しやすい濃度となる箇所があり、したがって、ここに火をつければ爆発する。
        空気中の酸素や窒素の組成が変わったり、また、炭酸ガスなどの混入があったりすれば上記の爆発限界は変化する。波止・山田両博士は実験によって次のような結果を得ている。
        炭素ガスについては波止氏は24.5%、山田氏は22.8%になれば、メタンの濃度にかかわらず爆発は起こらないとしている。窒素に対しては、山田氏は 81.69%になれば、どんな場合にも爆発は起こらないとし、波止氏は空気中の窒素の他に35.5%の窒素が加われば、すなわち(79+35.5)/135.5=84.5%になれば爆発は起こらないとしている。酸素量との関係における爆発限界は、図9-1に示すとおりである。
      図:図 9-1メタンガスの爆発限界
    図 9-1メタンガスの爆発限界*4
       ② 大気圧の影響
        気圧が急に下がるときは、地中からの流出量が急に増加する。ガス体の容積は圧力に逆比例して増加するから、今760mmHgであって急に730mmHg(973HP)の低気圧が襲来したときは地中のガス容積は760/730=1.04となり、この増加した4%の分が地層の間隙から押し出されてくる。メタンは水溶性であり、温度が低いほど、圧力が高いほど多量に溶け込む。したがって、気圧降下時には水分から余分のメタンが遊離されて出てくる。以上の現象は、いずれも気圧が下がるときに起こるものであるから、大気圧の変動に十分注意し、大気圧の降下が認められたときには一応警戒を厳重にすべきである。
       ③ メタンと人体
        メタン自体は毒性をもっていないので、ある程度これを含んだ空気中でも呼吸にはさほど差し支えない。しかし、高濃度のメタンの中では酸素の不足により、何の前兆もなく倒れて窒息する。
      (2) 酸素

       正常な空気の中には、20.95%(約21%)の酸素が存在し、生物はこの酸素を利用して生命を維持している。何らかの原因により、空気中の酸素が18%未満になった状態を酸素欠乏という。一般に人体が正常な機能を維持しうる空気中の酸素濃度の下限は16%とされ、これより低下した場合は酸素欠乏症の症状があらわれ、死に至る危険がある。酸素欠乏症及び酸素濃度の関係は表9-1に示すとおりである。

    表 9-1 酸素欠乏と人体反応*4
    21%
    大気中の酸素量
    19%
    鉱山保安法による最低酸素量
    18%
    労働安全衛生規則・酸素欠乏症等防止規則による最低酸素量
    16%
    火が消える
    15%
    呼吸が深くなり、脈が増える
    11%
    呼吸困難はなはだしく、動作がにぶくなる
    10%
    顔色悪く、動けなくなり、呼吸困難
    7%
    呼吸はあえぎ、どうき激しく、顔面鉛青色となり、精神混乱する
    6%
    筋肉の反応がなくなり、知覚を失う
    4%
    以下40秒以内に前兆なしで突然卒倒する
      (3) 二酸化炭素(炭酸ガス)

       労働衛生上での許容濃度は0.5%であり、空気中には約0.03%(300ppm)存在する。二酸化炭素自体はあまり毒ではないが、一般に二酸化炭素が多い部分では酸素が欠乏していることが多いので危険である。

      (4) 硫化水素

       硫化水素は大気汚染防止法では特定物質として、また悪臭防止法では悪臭物質として指定されている。硫化水素の毒性には二つの型があり、一つは700ppm以下の濃度における刺激性及び腐食性である。もう一つの型は700ppm以上の濃度を吸入したときのもので、肺から体内に吸収された硫化水素の示す毒性作用により、数分間で失神、呼吸停止、致死が起こる。硫化水素の濃度と毒性は表9-2に示すとおりである。

    表 9-2 硫化水素濃度と人体反応*4
    0.025ppm
    敏感な人がにおいを感知できる
    0.3ppm
    だれでもにおいを感知できる
    3~5ppm
    においが強く、かなり不快である
    20ppm
    長時間働ける
    20~30ppm
    においは強いが、耐えられる。においへの慣れの現象ある
    70~150ppm
    長時間暴露で、目、鼻粘膜、喉などに灼熱感的疼痛が現れる
    170~300ppm
    1時間程度が耐えられる限界
    400~700ppm
    30~1時間暴露で生命の危険
    700ppm以上
    数分で失神、呼吸停止、致死



    参考資料-10.雨水流出量の計算方法例

     1) 雨水流出量の算定
      (1) 雨水流出量

       雨水流出量は、降水強度、集水面積、地形、地表(土地利用)の状態などによって異なるが、一般に次に示す合理式によって算定する。
        図:雨水流出量計算式

      (2) 対象地域の把握・集水面積の設定

       雨水集排水設備の対象流域は、他の開発行為と同様に開発予定地に雨水が集水される地域(分水嶺により区分される集水面積)を対象とする。

      (3) 流出係数

       流出係数fは降水量に対する流出量の比率であり、計画地を含む流域の地形、地質、地表面などの状態によって異なる。ある流域の流出係数を算定するにあたっては、以下の式で土地利用形態ごとに求める。
        図:流出係数計算式
       流出係数は、表 10-1に示す値を用いるが、土地の形質の変更に応じた流出係数を用いなければならない。参考となる流出係数の値を表 10-2に示す。
    表 10-1 物部によって提示されたピーク流出係数*1
        図:表 10-1 物部によって提示されたピーク流出係数

    表 10-2 工種別基礎流出係数標準値*1
    工種
    流出係数
    屋根
    0.90
    道路
    0.85
    その他の不浸透面
    0.80
    水面
    1.00
    間地
    0.20
    芝、樹木の多い公園
    0.21
    勾配の緩い山地
    0.30
    勾配の急な山地
    0.50

      (4) 降水強度

       確率降水強度式及び確率降水強度曲線については、「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説調査編」((社)日本河川協会,1997)に詳しく述べられている。また、各都道府県なので採用されているものは当該都道府県の「森林法に基づく林地開発許可申請の手引」、「開発許可申請の手引」などに示されている。

     2) 水路断面の決定
      (1) 排水能力

        排水能力は下式で示される。
        q=SV (3)
        ここに、
        q:排出流量(m3/s)
        S:流水断面積(m2)
        V:平均流速(m/s)

      (2) 平均流速

       平均流速は多くの方法で求めることができるが、代表的な計算方法としては次に示すマニング公式がある。
        図:マニング公式

    参考資料-11.地盤の沈下計算方法と遮水シートに働く応力計算例

     1) 粘性土の圧密沈下量の計算

      土柱が圧力を受けて断面積一定のまま高さ方向に圧縮(圧密)された場合、土粒子は非圧縮性と考えられるから、体積変化は間隙体積の減少に起因していることになる。ある土柱の初期高さをh0、土が受けている荷重p1の下における間隙比をenとし、荷重がp2まで増加させられた時、Sだけ圧縮されて間隙比がeになったとすると、沈下量Sを間隙比eの変化によって表現すれば、
        図:粘性土の圧密沈下量の計算
      となる。したがって圧縮(圧密)前後の間隙比の変化がわかれば、沈下量を計算できることになる。廃止された廃棄物埋立地において、遮水工が設置されている場合はボーリング等による廃棄物埋立地の底部地盤の間隙比の調査は困難であることから、廃棄物埋立地設置当初の初期間隙比を把握しておき、底部地盤の沈下量等から廃止時点での間隙比を推定する手法等を用いることも必要となる。
      なお、(1)式は一次圧密に関する式であり、長期的にはコロイド科学的な現象によめ二次圧密が生じる。二次圧密は、鉱物性や無機質の土においては通常無視することができるが、有機質の場合は留意しなければならない。

     2) 砂質土の圧縮沈下量の計算

      外部荷重の増加により砂質土に内部応力が発生した場合、鉛直ひずみ増分⊿σと沈下量 Sは対象層厚をH0とすると次式で推定できる。
        図:砂質土の圧縮沈下量の計算

     3) 廃棄物の沈下量の計算

      廃棄物の沈下は、圧縮、圧密、分解等によって生じる。焼却残渣のように密度高く埋め立てられる廃棄物は、ほとんど沈下が生じないが、プラスチック等の弾性物や有機分を多く含む場合は、沈下が無視できない量となるので留意する必要がある。
      廃棄物の沈下量を求める計算式は、埋立廃棄物の種類が雑多であること等から、次に示すように、いくつかの式が提案されている。

    1.    ①東京都が用いた沈下予測式:最終沈下量の推定 7)
          図:東京都が用いた沈下予測式:最終沈下量の推定
    2.    ②Sowersによる予測式:沈下量は埋立処分後2~3ヶ月間に起きる最初の沈下と、その後に起きる二次圧密的沈下を加えた式 7)
          図:Sowersによる予測式:沈下量は埋立処分後2~3ヶ月間に起きる最初の沈下と、その後に起きる二次圧密的沈下を加えた式
    3.    ③東京都の体積換算係数を用いて算出する予測式 7)
          図:東京都の体積換算係数を用いて算出する予測式
    4.    ④腐食沈下を考慮した沈下予測式:廃棄物種別と腐食分解度との関係を用いて予測する手法 7)
         最終沈下量Sfは廃棄物層中に含まれる分解可能物の混入割合に等しいとする(例えば廃棄物層厚1m中に10%の分解可能物が含まれている場合はSf=10cm)
         水面上の嫌気性埋立におけるセルロース系(紙類)とリグニン系(焼却灰中の可分解物)の分解速度は次式で示されている。
          セルロース系 Cs=8.34t0.56 (6)
          リグニン系 CR=3.24t0.74 (7)
         ここに、
         CS,CR : 腐食分解度(%)
         t : 時間(月)

         水面下の嫌気性埋立における分解速度は水面上の1/10であるとして次式で示されている。
         セルロース系 Cs=2.30t0.56 (8)
         リグニン系 CR=0.65t0.74 (9)
    5.    ⑤Rao等による沈下の推定式:室内実験と現場実験との資料に基づいて提案した予測式 7)
          図:Rao等による沈下の推定式:室内実験と現場実験との資料に基づいて提案した予測式
    6.    ⑥東京都の沈下予測式:即時沈下にその後の長期沈下を加えた式 8)
          図:東京都の沈下予測式:即時沈下にその後の長期沈下を加えた式
    7.    ⑦大阪市の沈下予測式:圧密・圧縮及び分解沈下を考慮した予測式 9)
      •    ・圧縮及び圧密沈下
            廃棄物層の空中部で圧縮沈下、水中部で圧縮沈下が生じるものとする。
             圧密による最終沈下量
            図:圧密による最終沈下量計算式

          なお、(13)式は差分化し、圧縮沈下は圧密沈下計算で求めた最終沈下量が即時に生じるものとする。
      •    ・分解沈下
            既述した(8)式及び下記の(14)(15)式を採用。
            図:分解沈下計算式
     4) 遮水シートの安全性検証方法例
      (1) 遮水シート応力の計算

       基盤の沈下に伴い遮水シートは、シート全体ではなく局部的に大きな変形が生ずると考えるべきであり、弾性モデルを用いて遮水シートに発生する応力度をチェックしておくことが望ましい。
       弾性モデルでは、遮水シートの応力度は弾性範囲内であれば次式で求められる。
        図:遮水シート応力の計算
       遮水シートの伸び量は、のり尻部と遮水シート中央部間の沈下形状を三角形、円弧及び放物線等で近似して求めるとよい。
       また、遮水シートに発生する応力は、のり尻部が鉛直荷重による固定点と考え、底盤中央部において遮水シートを引っ張ると仮定した弾性モデルを用いて求める。

    【参考文献】
    • *1 社団法人全国都市清掃会議 「廃棄物最終処分場整備の計画・設計要領」2001
    • *2 日本道路協会「道路土工のり面工・斜面安定工指針」2002
    • *3 悪臭法令研究会「ハンドブック悪臭防止法」1996
    • *4 八千代エンジニヤリング株式会社「江東清掃工場建設用地に係わるガス対策等の調査報告書」 1993
    • *5 最終処分場技術システム研究協会「不適正処分場の再生・閉鎖における構造物の改修法-汚染拡散防止手法編-」2001
    • *6 日本河川協会「河川砂防技術基準(案)」1997
    • *7 土木学会「昭和 55年度、広域最終処分場計画調査・環境保全計画調査報告書」1981
    • *8 清水他「東京港におけるごみ埋立地盤の土質工学的研究(その6)」1987
    • *9 波多野他「海面埋立廃棄物処分場の地盤特性-沈下を主として-」1991
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