法令・告示・通達
ごみ処理の広域化計画について
衛環173号
(各都道府県一般廃棄物担当部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)
ごみ処理に係るダイオキシン類の排出削減対策については、平成九年一月に「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(以下「新ガイドライン」という。)が策定されたところであるが、新ガイドラインに基づき、ごみ処理に伴うダイオキシン類の排出削減を図るため、各都道府県においては、別添の内容を踏まえた、ごみ処理の広域化について検討し、広域化計画を策定するとともに、本計画に基づいて貴管下市町村を指導されたい。
別表
1 広域化の必要性
ごみの排出量の増大等に伴う最終処分場の確保難、リサイクルの必要性の高まり、ダイオキシン対策等の高度な環境保全対策の必要性等、適正なごみ処理を推進するに当たっての課題に対応するため、今後、ごみ処理の広域化が必要である。このため、次の事項を十分踏まえたうえで広域化計画を策定されたいこと。
(1) ダイオキシン削減対策
今後新たに建設されるごみ焼却施設は、原則として、ダイオキシン類の排出の少ない全連続炉とし、安定的な燃焼状態のもとに焼却を行うことが適当であり、そのために必要な焼却施設の規模を確保することが必要である。
(2) 焼却残渣の高度処理対策
焼却残渣に含まれるダイオキシン類を削減するため、特別管理一般廃棄物として指定されているばいじんだけではなく、焼却灰についても溶融固化等の高度処理を推進する必要があるが、焼却残渣のリサイクルの観点からも、積極的に実施することが適当である。
(3) マテリアルリサイクルの推進
リサイクル可能物を広域的に集めることにより、リサイクルに必要な量が確保される場合があるので、これによりマテリアルリサイクルを推進するとともに、焼却量の減量化を図る。
(4) サーマルリサイクルの推進
ごみ焼却施設を全連続式とすることにより、ごみ発電等の余熱利用を効率的に実施することができる。これによってエネルギー利用の合理化を図るとともに、地球温暖化の防止にも資することができる。なお、サーマルリサイクル推進の観点からは、ごみ焼却施設は、焼却能力三〇〇t/日以上とすることが望ましい。
(5) 最終処分場の確保対策
大都市圏等では既に広域的な最終処分場の整備が行われているところであるが、今後はごみ焼却施設の広域化と併せて、焼却灰等を処分する最終処分場の広域的な確保を図る必要がある。
(6) 公共事業のコスト縮減
近年、公共事業のコスト縮減の必要性が高まっており、当省としても「厚生省関係公共工事費用縮減対策に関する行動計画」を定め、平成九年四月二二日付け衛計第六三号をもって通知したところである。高度な処理が可能で小規模なごみ焼却施設等を個別に整備すると多額の費用が必要となることから、可能な限りごみ処理施設を集約化し、広域的に処理することにより、公共事業のコスト縮減を図る必要がある。
2 広域化計画の内容
広域化計画には、以下の内容を含めること。
(1) 計画期間
原則として一〇年(平成一〇年度~平成一九年度)とすること。
(2) 広域化ブロック区割りの作成
地理的条件、社会的条件を勘案しつつ、可能な限り焼却能力三〇〇t/日以上(最低でも一〇〇t/日以上)の全連続式ごみ焼却施設を設置できるよう、市町村を広域ブロック化すること。
(作成例)
ブロック名
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人口
(万人)
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面積
(km2)
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構成市町村・一部事務組合名
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(3) 各ブロックにおける施設整備計画
広域化に向けた廃棄物処理施設の整備計画を各ブロックごとに策定すること。
(作成例)
○○ブロック
施設種類
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処理能力
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建設予定年度
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排ガス中のダイオキシン類濃度
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ごみ焼却施設
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RDF化施設
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―
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RDF燃焼施設
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溶融固化施設
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―
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粗大ごみ処理施設
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―
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最終処分場
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―
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汚泥再生処理センター
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―
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リサイクルプラザ
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(4) ダイオキシン類の現状排出量・将来排出量の推計
各ブロックごと及び全県のダイオキシン類排出量の現状及び将来推計を行い、記載すること。
(作成例)
(g―TEQ/年)
地域区分
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現状排出量
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恒久対策実施後
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平成9年
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(5年後)
平成14年
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(10年後)
平成19年
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(20年後)
平成29年
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○○ブロック
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△△ブロック
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・
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・
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・
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合計
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(5) 広域化が完了するまでの過渡期のごみ処理方法
広域化が完了するまでの間において、既存の施設が建て替え時期を迎えつつも、広域化した全連続炉が供用されていない場合などにおける近隣市町村における暫定的な処理、RDF化及びその利用等の過渡期のごみ処理方策について各ブロックごとに検討し、記述すること。
(作成例)
ブロック名
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既存施設名
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処理能力
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廃止予定年月
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廃止後の処理方法
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(6) RDFを活用する場合の利用先等
RDFを活用して発電等を行う場合の利用先を確保するとともに、その使用量等を記載すること。
(作成例)
利用先名称
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所在地
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RDF使用量
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発電量等
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(7) その他
必要に応じ、以下の事項について記載すること。
- ・ごみ、RDFの輸送方法
- ・マテリアルリサイクル量(現状→将来)
- ・ごみ発電量(現状→将来)
- ・各ブロックにおけるごみの分別方法
- ・その他必要な事項
(8) 広域化のフォローアップの方法
広域化計画を着実に推進していくため、都道府県は毎年、各施設のダイオキシン類濃度の把握、各ブロックにおける施設整備の進捗状況、過渡期の対応等を把握し、広域化の進行管理を行う。
3 広域化計画策定の手法
(1) 市町村の意向調査
広域化に関する市町村の意向等を把握するため、必要に応じ、アンケート調査、ヒアリング調査等を実施すること。
(2) 「ごみ処理広域化検討会」の設置・開催
必要に応じ、都道府県において検討会を設置・開催し、策定に向けての検討を行うこと。
(3) 「市町村ブロック会議」の設置・開催
広域化ブロックを設定した後においては、構成市町村が主体となって市町村ブロック会議を設置・運営し、それぞれのブロックにおける各種廃棄物処理施設の配置、過渡期のごみ処理等について検討すること。
4 留意事項
- (1) ごみ処理の広域化計画は、原則として平成九年度中に策定すること。やむを得ない場合は、平成一〇年度でも可とする。
- (2) 策定された広域化計画については、当職あて提出されたいこと。
- (3) 計画においては、ごみ処理関連のすべての種類の施設を対象とすることが望まれること。
- (4) 将来的には処理能力三〇〇t/日のごみ焼却施設による広域化を推進することを検討しているので、これを踏まえたうえで計画を策定すること。
- (5) 政令指定都市等の大都市は、積極的に周辺市町村のごみ処理を受け入れ、中核となって広域化を推進することが望ましいこと。
- (6) 既設焼却施設に関するダイオキシン類削減のための恒久対策はできるだけ早く着手し、原則として五年以内に完了すること。
- (7) 溶融固化施設、最終処分場等は、複数ブロックで一箇所としてもよいこと。
- (8) 必要に応じ、都道府県境を越えた広域化についても考慮すること。
- (9) 広域化計画の策定に当たっては、ダイオキシン削減効果、リサイクルの推進、余熱利用、灰処理等に関するメリット、ごみ・RDFの収集運搬、施設の建設・維持管理の経済性等を総合的に検討すること。
- (10) 計画は、必要に応じ、改訂すること。