法令・告示・通達

感染性廃棄物の適正処理について

公布日:平成4年08月13日
衛環234号

厚生省生活衛生局水道環境部長から各都道府県知事・政令市長あて
 感染性廃棄物の適正処理の確保については、「医療廃棄物処理ガイドライン」に基づいて行われるようご指導いただいてきたところであるが、平成3年10月に改正された廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、特別管理一般(産業)廃棄物に関する制度を設けたことに伴い、感染性廃棄物処理対策検討委員会を設置して検討を進めてきたところ、今般、「感染性廃棄物の適正な処理の推進について」が別添のとおりまとめられた。同法施行に伴い特別管理一般(産業)廃棄物として指定された感染性廃棄物については、別添報告書別紙2の「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に基づいて感染性廃棄物の処理を行うこととするので、必要な体制の整備に努められたい。
 なお、平成元年11月13日付け衛環第174号厚生省水道環境部通知「医療廃棄物の適正処理について」は廃止する。

  感染性廃棄物の適正な処理の推進について

感染性廃棄物処理対策検討委員会
 感染性廃棄物(感染性の性状を有し人の健康に被害を生じさせるおそれのある感染性一般・産業廃棄物をいう。以下同じ。)の適正な処理の推進については、平成2年4月から「医療廃棄物処理ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に基づき、各関係者により努力がなされてきたところであるが、その実施状況をみると、ガイドラインの趣旨が完全に浸透しているとは言い難く、また、感染性廃棄物の定義、処理方法等についても、地域によりその解釈や方法が異なっているとの指摘がある。極端な場合には、医療機関から排出される廃棄物は全て感染性を有しているかの誤解をしている向きも見られる。そのため、感染性ではない、医療行為とは無関係の一般廃棄物でさえ、処理に困難をきたしている例もある。
 そこで、本委員会では、昨年10月の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の改正により新たに設けられた特別管理廃棄物の制度を前提として、ガイドラインの内容を踏まえつつ、感染性廃棄物の適正な処理を推進するための方策について検討を行ってきたが、今般、その結果に基づき、別紙1のとおり「感染性廃棄物の適正な処理の推進に関する方策について」をとりまとめるとともに、これを基にガイドラインの内容を見直し、それに代わるものとして別紙2「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」をとりまとめたので報告する。また、感染性廃棄物の適正な処理を推進するため、関係者にあっては、次の措置を講ずることが適当である。

1 医療機関等の感染性廃棄物の排出事業者

  1.  (1) 医療機関等の感染性廃棄物の排出事業者(以下「排出事業者」という。)は、感染性廃棄物の処理にあたっては、自らの焼却施設等により処理することができる場合は自ら処理し、又は焼却施設等の稼働が困難な場合及び焼却施設等を有していない場合等は、適正な処理業者に委託する、若しくは感染性廃棄物の処理に適した処理施設を有している市町村に委ねること。なお、排出事業者は、昨年10月に改正された廃棄物処理法(以下「改正廃棄物処理法」という。)、同法に基づく命令、関連通知等に従って感染性廃棄物の管理体制を整備するとともに、関係者に対して関係法令及び感染性廃棄物の処理、管理等についての正しい知識の普及・啓発に努めること。
  2.  (2) 病院、衛生検査所等は、多量の感染性廃棄物を排出し、その内容も多様であることから、病院、衛生検査所内における取扱い等に関する統一的な規定を作成すること。
  3.  (3) 感染性廃棄物の処理を処理業者に委託する場合には、処理業者に関する情報の収集に努め、適正な委託を行うこと。
  4.  (4) 感染性廃棄物とそれ以外の廃棄物の分別を徹底すること。

2 市町村

  1.  (1) 市町村は一般廃棄物の処理に責任を有することは言うまでもないが、地域の保健衛生の確保・向上の観点から、地域の実情を踏まえ、感染性廃棄物の適正な処理の実施に協力すること。特に診療所等の小規模施設から排出される非感染性となる処理を経た廃棄物については、その処理に協力すること。このため、都道府県との連絡を密にするとともに、医療機関等の感染性廃棄物の排出事業者、郡市医師会等の関係団体及び市町村清掃部局が協議する場を設けること。
  2.  (2) 感染性廃棄物の排出及び処理の状況の把握に努め、排出事業者と処理業者から必要な情報の収集、整理を行うとともに、これらの者が相互に必要な情報を提供しあえるよう、必要な措置を講ずること。
  3.  (3) 感染性一般廃棄物の処理については、排出事業者や郡市医師会等の関係団体から事情を十分に聴取し、一般廃棄物処理計画の中に位置づけること。
  4.  (4) 市町村が感染性廃棄物の処理を行う場合には、感染性廃棄物の排出場所、排出方法等、排出事業者が留意すべき事項を指示するとともに、一般廃棄物の処理に関する事業に従事する職員に対し、医療行為に伴って生ずる廃棄物の全てが感染性廃棄物ではないこと、医療機関から生ずる廃棄物の中には医療行為とは関係のないものがあること、また、感染症の予防を図る上で必要な知識その他に関する知識の普及に努めること。

3 都道府県

  1.  (1) 感染性産業廃棄物の適正な処理を確保するため、都道府県医師会等の関係団体と十分に協議しつつ、産業廃棄物処理計画の中に感染性産業廃棄物の処理について記載するとともに、必要に応じて排出事業者、郡市医師会等の関係団体、処理業者及び市町村が協議する場を保健所単位で設けること。また、廃棄物処理センターの設置にあたっては、当該地域の感染性廃棄物の処理状況を踏まえ、その処理を推進できるよう配慮すること。
  2.  (2) 国に準じて、関係法令等の関係者への普及・啓発に努めるとともに、優良な処理業者の育成に努めること。
  3.  (3) 感染性廃棄物の排出及び処理の状況の把握に努め、排出事業者と処理業者から必要な情報の収集、整理を行うとともに、これらの者が相互に必要な情報を提供しあえるよう、必要な措置を講ずること。
  4.  (4) 感染性廃棄物については、都道府県の区域を越えて広域的かつ効率的に処理が行われていることに配慮しつつ、適正な処理の推進にあたること。
  5.  (5) 廃棄物主管課(部)は、医務主管課(部)はもとより、結核・感染症主管課(部)とも十分に連携を図りつつ、排出事業者及び処理業者を指導するなどにより、適正な処理の推進にあたること。

4 国

  1.  (1) 市町村等において、感染性廃棄物の処理が適正に行えるよう指導し、また、処理施設の設置等について必要な支援措置を講ずること。
  2.  (2) 感染性廃棄物について、都道府県の区域を越えた広域的な処理が行われていることに鑑み、感染性廃棄物の適正処理を確保するため、都道府県に対して必要な指導を行うこと。
  3.  (3) 病院等における施設内処理を推進するため、安価で効果的、かつ、コンパクトな感染性廃棄物の処理技術の開発・普及に努めること。
  4.  (4) 改正廃棄物処理法の施行にあたって関係機関の処理が混乱しないよう、関係法令及び感染性廃棄物の処理、管理等についての正しい知識の普及・啓発に努めるとともに、感染性廃棄物の処理を適正に行える優良な業者の育成に努めること。
  5.  (5) 感染性廃棄物の適正な処理を推進するため、処理技術、処理業者等に関する情報を排出事業者が容易に入手できるよう、情報管理体制の整備に努めるとともに、排出事業者が感染性廃棄物であるか否かの判断を容易かつ統一的に行えるよう、必要に応じ、参考となる情報の収集、整理及び周知に努めること。
  6.  (6) 生活環境の保全及び公衆衛生の向上の観点から、家庭から排出される血液等の付着した廃棄物等の適正な処理について国民に周知すること。また、在宅医療の推進に伴い、家庭から排出される感染性廃棄物の増大が見込まれることから、これらの適正な処理を確保するための方策について配慮すること。

別紙 略