法令・告示・通達

医療機関からの廃棄物の処理にかかるプロジェクトチーム報告書の送付について

  • 公布日:平成12年7月21日
  • 生衛発1170号

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)

 本年五月の廃棄物処理法の改正により、マニフェスト制度の改正、排出事業者責任の強化等がなされることとなりました。
 この改正に的確に対応し、感染性廃棄物についてより一層適正な処理を図っていくため、本年一月に厚生省内に、水道環境部、健康政策局、国立病院部、医薬安全局、保険局等のメンバーによる医療機関からの廃棄物の処理に係るプロジェクトチームを設置し、検討を行ってきましたが、今般、その報告書がとりまとめられたので送付します。
 貴職におかれては、本報告書を関係者に周知するとともに、年一回以上、感染性廃棄物処理業者への報告徴収、立入検査を実施すること等により、感染性廃棄物の適正な処理の確保について指導の徹底に努められるようお願いします。


   医療機関からの廃棄物の処理にかかるプロジェクトチーム報告

一 はじめに

  •   ・これまで、我が国では、多くの天然資源を活用して製品の大量生産を行い、それらを大量に消費し、大量の廃棄物が排出され続けてきた。そのため、最終処分場の逼迫や不適切な処理、悪質な不法投棄等が、廃棄物をめぐる大きな課題となってきている。
  •   ・医療の分野においては、医療技術の進歩により、様々な医療用具・医療器具が開発され、使用され、そして、廃棄されている。しかしながら、医療機関等から排出される廃棄物の中には、人への感染を引き起こす可能性のあるものが含まれているため、特別な配慮が必要となってくる。
  •   ・公衆衛生の目的は、人の健康を保持し増進することであり、疾病の治療のみならず、疾病の予防のための措置は、その目的達成のための重要な柱である。感染性廃棄物については、公衆衛生上の観点から、廃棄物としての環境に配慮した適正な処理を行う必要があることはもちろんのこと、患者や医療従事者、地域住民等の健康を損なわないように適正に処理することが必要である。
  •   ・厚生省では、昭和六三年に「医療廃棄物処理対策検討会」を設け、平成元年に「医療廃棄物処理ガイドライン」を作成し、医療機関等から排出される感染性廃棄物の適正な処理を図るための具体的な施策を推進してきたところである。平成三年には、廃棄物処理法を改正し、感染性廃棄物を特別管理廃棄物として法的な位置付けを行い、さらに、「感染性廃棄物処理マニュアル」を作成し、感染性廃棄物の適正な処理に向けて、施策の充実を図ってきたところである。
  •   ・平成一二年の廃棄物処理法の改正においては、排出事業者の責任を強化するなどの規制の強化と公共関与による施設整備を推進することとした。この改正に的確に対応し、感染性廃棄物についても、より一層の適正な処理を図っていくため、平成一二年一月に省内に、水道環境部、健康政策局、国立病院部、医薬安全局、保険局等のメンバーによる医療機関からの廃棄物の処理にかかるプロジェクトチームを設置し、検討をしてきたものである。

二 医療機関等における管理と取り扱い

  • ○医療機関等においては、感染性廃棄物の具体的な管理規程の作成や感染対策委員会などの組織の活用により、感染性廃棄物の取り扱いの職員への周知徹底を図り、管理体制の充実を図ること
  • ○さらに、都道府県の担当部局は、医師会等との連携を密にするとともに、産業廃棄物処理業者に対し、適切な指導を行うこと
  •   ・各医療機関等においては、「感染性廃棄物処理マニュアル」に基づいて、感染性廃棄物の処理を行っている。このマニュアルでは、廃棄物処理法を踏まえて医療機関内における管理体制、分別、移動、保管、梱包、感染性を失わせるための処理方法や処理の委託の方法等及び感染性廃棄物処理業者の行う収集・運搬・処分についての規定を記載している。
  •   ・医療機関等内においては、感染性廃棄物の発生時点から、感染性廃棄物を感染性のない他の廃棄物と区別し、損傷しにくい、密閉することのできる容器に入れ、医療機関内での移動や保管を行っている。
  •   ・また、設置が義務づけられている特別管理産業廃棄物管理責任者を中心として、「感染性廃棄物処理マニュアル」に沿って、廃棄物の発生状況や分別方法、施設内での収集・運搬・処理の方法、業者への委託の状況、緊急時の連絡体制などを記載した処理計画を定め、それに従って院内での処理が行われている。さらに、病棟ごとなどでは、より具体的な取り扱いの手順を記載した管理規程を作成するなど、感染性廃棄物が医療機関内で適正に扱うことができるよう工夫していく必要がある。
  •   ・このような処理計画や管理規程については、定期的な検証と医療機関内の全職員への周知徹底が最も重要である。業者への委託内容や具体的な取扱い方法などが記載されているため、医療機関等の管理者はもとより、直接感染性廃棄物を扱う機会の多い看護部門や検査部門、委託契約の事務を行う事務部門など、医療機関内の各部門が参加した管理体制の整備を行っていくことが必要である。
  •   ・その一つの方策として、感染対策委員会など既存の病院内の委員会組織を活用したり、新たに特別管理廃棄物管理委員会を設置するなど、特別管理産業廃棄物管理責任者を中心とした院内での感染性廃棄物の処理体制の整備を行い、その取扱いの周知徹底や管理規程の検証などを行うことなどが考えられる。
  •   ・都道府県を通じ、特別管理産業廃棄物管理責任者の状況を抽出により調査したところ、表一及び表二のように医師などの資格者や管理職となっていることから、実効ある管理を適切に行うことが可能であると考えられる。
 資格別一覧(表一)
資格
人数
割合(%)
医師
六〇三
六四・六
看護婦
一四〇
一五・〇
厚生大臣認定講習会修了者
九一
九・八
その他
九九
一〇・六
合計
九三三
一〇〇
(平成一二年二月)
 役職別一覧(表二)
役職
人数
割合(%)
院長・副院長
五〇六
五四・二
婦長・看護婦長等
一三〇
一三・九
医療担当管理職(内科部長等)
一〇九
一一・七
事務担当管理職(総務課長等)
九〇
九・六
その他
九八
一〇・五
合計
九三三
一〇〇
(平成一二年二月)
  •   ・また、個々の医療機関等における適正な処理を支援していくため、都道府県の廃棄物担当部局は、衛生部局と協力し、都道府県医師会等との連携をとり、意見交換の場を設けるなどして、感染性廃棄物の処理に関する情報交換や日常的な対応の方策、事故発生時の対応の在り方の検討など、積極的な対応が望まれる。さらに、廃棄物部局においては、産業廃棄物処理業者が適正な処理を行うよう、十分に指導をする必要がある。

三 処理業者への委託

  • ○許可証の原本を確認することに加え、処理能力や処理料金、その他の処理業者に関する情報を収集して、適正な業者を把握し、契約すること
  •   ・廃棄物の処理を委託する場合には、排出事業者の責任として、廃棄物の適正な処理を確保するため、委託先の業者がどのような産業廃棄物をどの施設を用いてどのように処理するのかということなどについて、定期的に十分に確認する必要がある。
  •   ・廃棄物処理法においては、委託基準の基本的な注意事項として
    1.    ① 事業者は委託しようとする廃棄物の処理が事業の範囲に含まれる者に委託すること
    2.    ② 廃棄物の種類、数量、処理方法や処理施設などを記載した書面による委託契約を締結すること
       などを明確に定めている。
  •   ・具体的には、委託契約書に、「廃棄物の種類や量」「運搬の最終目的地」「処分の場所」「処理料金」「処理業者の事業の範囲」「契約が解除された場合の処理されない廃棄物の取扱い」などを記載することになる。
  •   ・事業者が委託契約を締結しようとする際には、あらかじめ、許可証の提示を求めて、その産業廃棄物処理業者や特別管理産業廃棄物処理業者が扱うことのできる廃棄物の種類を確認することが必要であるが、廃棄物処理法施行令の定めるところにより許可証の写しを委託契約書に添付することが義務づけられている。また、平成一二年の法律改正に伴い、委託契約書に最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力を記載することが義務づけられたところである。さらに、結果的に処理業者にその処理能力以上の委託を行うことのないよう、処理業者の器材や処理実績、他者からの委託の状況などを考慮して、実際に適正に処理することができるかどうか判断する必要がある。
  •   ・その際には、都道府県の廃棄物担当部局との連絡を密にするほか、今年度構築する予定の廃棄物処理業者の情報システムを十分に活用するなどにより、できるだけの多くの情報を収集し、判断することが必要である。
  •   ・なお、委託先の選定に当たっては、「会社や営業の情報を隠そうとする。」「処理料金が他の業者に比べて著しく安い。」など、不適正処理が行われる疑いがある場合には、十分な注意が必要である。
  •   ・今後、法律改正に伴い、適正な処理を確保するための委託の方法を示していくこととしている。
  •   ・さらに、平成一二年の改正により、新たに、排出事業者である医療機関等は、最終処分が終了した旨が記載されたマニフェスト(管理票)を受け取ることになる。処理業者に委託した医療機関等は、処理業者(収集・運搬・中間処理、最終処分)から、マニフェストの送付がない場合は、委託した廃棄物の状況を把握し、適切な措置をとることが義務づけられることになる。

四 安心できる処理施設の確保

 (一) 厚生大臣の認定による民間の優良な感染性廃棄物焼却施設等の整備の促進
  • ○厚生大臣の認定対象となる特定施設の要件を緩和することにより、財政上、税制上の優遇・特例措置を受けられる施設の整備を促進すること
  •    ・産業廃棄物の処理を効率的かつ適正に行うため、特定の産業廃棄物処理施設の整備を、周辺地域の公共施設の整備との連携に配慮しながら促進するための制度として、「産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律」がある。厚生大臣の認定を受けた整備計画に位置付けられた施設に対して財政上、税制上の優遇・特例措置などを講じている。厚生大臣は、その整備計画が、公益性・公共性の観点から、事業者の資金力や技術力、施設の能力や処理料金、環境の保全や災害の防止についての配慮などについて適切である場合に認定を行うことになる。
  •    ・従来は、特定施設の要件が限定されていたことなどから、六道県で整備計画が認定されていただけであった。そのため、今回行った法改正により、「産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律」の適用の要件を緩和し、優良な施設を設置しやすいような体制を整備したところである。
  •    ・具体的には、
    1.     ① 従来は特定施設としては、二種類以上の施設が必要であったが、特に施設の不足が著しい焼却施設、最終処分場等について、一定規模以上であれば、一種類の施設を公共性のある施設とあわせて、一群の施設として特定施設とすること
    2.     ② 特定施設の周辺に公共施設の整備を行う地区の指定要件を緩和することを通じて、優良な産業廃棄物処理施設の整備を促進し、感染性廃棄物についても民間による適正な処理体制を進めていくこととしたところである。
  •    ・特定施設に対する支援措置の具体的な内容は、以下のとおりである。
    1.     ① 無利子・低利子融資
           ・日本政策投資銀行による無利子・低利子融資。生活環境を保全する観点から重要性が高い施設を整備しようとする場合などに無利子・低利子融資を受けることができる。
    2.     ② 債務保証
           ・産業廃棄物処理事業振興財団(厚生大臣が指定)により、特定施設の整備等に対する債務保証が実施される。
    3.     ③ 優遇税制
           ・法人税などの特別償却制度、特別土地保有税や事業所税(特定周辺整備地区における特定施設に限る。)の非課税措置などを受けることができる。
    4.     ④ 施設の周辺地域の公共施設の整備促進
           ・特定周辺整備地区に指定された地区における特定施設の周辺においては、道路や公園などの公共施設を整備するよう国や地方自治体は配慮することとなっている。(具体例:国庫補助の優先配分や地方単独事業に対する起債措置)
 (二) 都道府県が関与する廃棄物処理センターでの感染性廃棄物焼却施設の整備の促進
  • ○廃棄物処理センターの指定の要件を緩和し、さらに、センターが設置する感染性廃棄物焼却施設を国庫補助の対象とすること
  •    ・廃棄物処理センターの制度は、民間の廃棄物処理施設の設置が住民の理解を得にくいことや市町村の設備等では適切な処理が困難な廃棄物が増大していること、産業廃棄物の広域的な処理が必要となってきたことなどから、公共の信用力を活用して安全性・信頼性の確保を図りつつ、廃棄物処理施設の設置や運営のために、地方公共団体の出資または拠出に係る財団法人などを厚生大臣が指定するものである。平成三年からこれまでに、全国で九カ所が指定されているが、施設が稼働しているのは四カ所のみである。
  •    ・平成一二年の廃棄物処理法の改正により、廃棄物処理センターの制度を見直し、その設置を促進することとした。
  •    ・具体的には、
    1.     ① 廃棄物処理センターの指定要件として、公益法人のみが対象とされていたものを、国・地方公共団体の出資等がある法人(株式会社を含む)及び民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)の選定事業者(PFI会社)に拡大したこと
    2.     ② 都道府県の設置数制限(改正前は一カ所に限定)を撤廃したこと
        などにより、都道府県が廃棄物処理センターを設置しやすい環境を整備することとしたところである。
  •    ・また、感染性廃棄物の焼却施設などに関しては、その公共性、公衆衛生上の観点から、平成一二年度から、都道府県が行う廃棄物処理センターの産業廃棄物焼却施設に対してもモデル的に国庫補助を行う制度を創設したところである(補助率四分の一)。さらに、都道府県においては、こうしたモデル的国庫補助の活用が可能であることを踏まえ、各都道府県の廃棄物処理計画の策定に当たって、廃棄物処理センターによる施設整備について検討することが必要である。

五 優良な処理業者の育成

 (一) 処理業者に対する教育の充実
  • ○処理業者の許可時及び更新時の講習、研修等の充実を図ること
  •    ・廃棄物処理法第一四条又は第一四条の四に基づき、産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物の処理業の許可を得ようとする場合や許可を更新する場合、当該許可の申請を行う法人の代表者等が講習を修了した者又はこれと同等以上の知識及び技能を有する者であることが必要となっている。
  •    ・また、一定規模以上の焼却施設等の廃棄物処理法に基づく許可対象施設を有している場合には、施設の維持管理に関する技術上の業務を担当させるために、講習を修了した技術管理者又はこれと同等以上の知識及び技能を有する者を置かなければならないこととなっている。
  •    ・今後、感染性廃棄物の適正処理を推進していくためには、処理業者に対する講習、研修等を充実し、感染性廃棄物の適正処理のための具体的な方法、バーゼル法及び廃棄物処理法の改正内容等について十分な知識及び技能を修得させることにより、処理業者の資質の向上を図っていくことが必要である。
  •    ・さらに、産業廃棄物処理業界においても、各都道府県の廃棄物担当部局と各都道府県の産業廃棄物協会との連携や自主的な研修会、勉強会の開催等により、業界内部から感染性廃棄物の適正処理の徹底を一層図り、業界全体のレベルを向上していくことが重要である。
 (二) 処理施設・処理業の許可要件の強化や指導監督の強化
  • ○都道府県による立入検査等を定期的に行うこと等による指導監督の強化や処理施設・処理業の許可要件等の規制の強化を行うこと
  •    ・廃棄物の適正な処理を確保するためには、処理業者及び処理施設の許可要件を厳しくし、規制を強化することによって、不適正な処理を行うような業者の参入を阻止することと併せて、処理業者が適正な処理を行うよう、徹底した指導と監督が必要である。
  •    ・このため、平成一二年の廃棄物処理法の改正により、以下の点について、規制の強化を図ったところである。
    1.     ① 施設の設置に関しては、許可の要件として、「申請者が施設の設置及び維持管理を的確に、かつ継続的に行う能力があること」、さらに、「その申請者が廃棄物処理法違反者や破産者などの欠格要件に該当しないこと」を追加した。また、施設の譲渡の際には、これまでの届出制から許可制として、申請者の能力などを許可の要件とし、転売差益の目的等、施設の経営能力のない者への譲渡を制限した。
    2.     ② 処理業の許可の取消しの要件として、事業の用に供する施設、業者の能力が基準に適合しなくなった場合等を取消事由に追加することにより、取消しの要件を強化した。
  •    ・また、各都道府県等において、年一回以上、業者への報告徴収、立入検査を実施すること等により、処理業者の状況を把握し、指導を徹底することが重要である。

六 医療機関等への情報提供

  • ○医療機関が感染性廃棄物処理業者に関する情報を自由に検索できるように、処理業者に関するデータベースを作成し、情報を提供するシステムを構築すること
  • ○第三者機関等による廃棄物処理業者の情報の客観的な評価について検討すること
  •   ・これまで、感染性廃棄物処理業者に関する許可の状況などの情報は、個別の業者の情報を、それぞれの医療機関が直接都道府県の担当部局に照会するなど、医療機関にとって必ずしも十分な情報を得ることができない状況であった。
  •   ・このような状況は、感染性廃棄物の処理業者のみならず、すべての産業廃棄物の処理業者について同様であるため、処理業者に関する情報をいかにして排出事業者に提供するかということが課題となっていた。
  •   ・このため、産業廃棄物処理事業振興財団(厚生大臣が指定する産業廃棄物適正処理推進センター)において、「産業廃棄物処理業者情報検索システム」を構築し、全国の感染性廃棄物処理業者を含む産業廃棄物処理業者に関する情報を提供することとしている。現在、財団においてシステムの稼働に向け、準備を行っているところである。
  •   ・提供する情報内容としては、
    1.    ① 都道府県の許可に関するものとして、事業者名、取扱いを許可された廃棄物の種類、許可年月日、許可の有効期限、許可施設の処理能力など、
    2.    ② 付加的な情報として財団が項目を設定し、記入欄を設け、処理業者が任意に記載するものとして、役員名、資本金、売上高、廃棄物ごとの取扱量、処理業者の連携の状況、排ガス中のダイオキシン濃度等の測定値など
       を現在検討中である。
  •   ・これらの情報を排出事業者が利用することにより、複数の業者の情報を同時に検索したり、処理料金、処理内容などについての全国の処理業者間の比較検討等を行うことができ、このような基本的な産業廃棄物処理業者情報についてのシステムが構築されることにより、排出事業者にとって優良な産業廃棄物処理業者の選択を可能とするだけでなく、優良な産業廃棄物処理業者が育成される環境をつくることができると考えている。
  •   ・一方、処理業者にとっても、自己の廃棄物処理の業務内容をアピールすることにより、適正な処理業務の拡大を図ることが可能となり、健全な競争を行うことができるようになる。
  •   ・さらに、今後、このシステムの活用により、処理業者による情報の公開が進むとともに、医師会や病院関係団体、産業廃棄物処理業界などが協力・連携し、感染性廃棄物処理に関する情報の更なる充実を図ることが期待される。
  •   ・今後、この情報等を活用し、産業廃棄物処理業者の格付け等を行う評価機関が登場するなど、更に、排出事業者がより優良な産業廃棄物処理業者を選択することができるようになることが期待される。加えて、将来的には、公的な機関により、感染性廃棄物の処理業者の情報を客観的に評価できるような仕組みについても検討することが必要である。

七 その他

  •   ・国立病院・療養所などの国立医療機関が廃棄物処理業者と委託契約をする場合には、会計法令に基づき、競争入札により入札を行い、業者を決定することになる。
  •   ・これまでも、国立病院・療養所においては、廃棄物の適正処理の確保を図るため、適正な処理業者に委託を行う方法を検討してきており、
    1.    ① 収集運搬業者、中間処理業者と別々に契約すること
    2.    ② 中間処理業者の処理能力及び処理場を確認すること
    3.    ③ 廃棄物処理業の許可証を写しではなく、原本により、業の区分、許可期限の確認をすること
    4.    ④ 適正な予定価格の積算に努めること
       などについて、全国の国立病院・療養所に対して指導をしてきているところである。
  •   ・平成一二年の廃棄物処理法の改正により、排出事業者の責任が強化されるため、今後とも、適切な業者と適切な価格で契約を結ぶことができるように、検討を行っていく必要がある。

八 今後の課題

 ○適切な費用負担の在り方について
  •    ・産業廃棄物の処理については、排出事業者が、自ら処理する責任を負うものであり、医療機関からの廃棄物についても、排出事業者の責任として、その処理に費用負担が伴うものと考えられる。これは、医療機関を維持するための電気、水道、ガスなどの光熱費と同様の扱いとなるものであるが、感染性廃棄物については、医療機関において感染防止の観点からも十分な管理体制の整備が必要であることから、その処理費用の負担のあり方に関して、今後、関係各方面において検討していくべき課題の一つであると考えられる。
 ○国内外の感染性廃棄物の処理技術に関する知見について
  •    ・我が国の感染性廃棄物の中間処理技術としては、従来から焼却、溶融、高圧蒸気滅菌、乾熱滅菌、薬剤消毒等を行うこととなっているが、これらのうち焼却による処理が主体となっている。欧米においても、感染性廃棄物の処理は、焼却が主体となっているが、高周波照射などの新しい技術が開発されてきており、今後、医療機関等においても導入の検討がなされていくものと思われる。
 ○感染性廃棄物の区分について
  •    ・医療機関等から排出される廃棄物については、廃棄物処理法上は、一般廃棄物と産業廃棄物に大きく区分され、それぞれ、感染のおそれのあるものについては特別管理一般廃棄物と特別管理産業廃棄物とに区分されている。
  •    ・しかしながら、感染性廃棄物を適正に取り扱うためには、一般廃棄物、産業廃棄物の区分なく、感染のおそれのある廃棄物として、その発生時点から感染性のない他の廃棄物と区分する必要がある。実際の医療現場でも、「感染性廃棄物処理マニュアル」においても、そのような扱いをすることとなっている。
  •    ・一方、一般廃棄物の処理は市町村責任、産業廃棄物の処理は排出事業者責任となっており、廃棄物処理法上の区分に従えば、感染性の一般廃棄物については、処理の責任の所在が曖昧になっている。今後、廃棄物全体の定義の見直しなどの際に、実際の取扱いの状況も念頭に置きながら、感染性廃棄物の処理の責任が明確になるような区分の検討が必要と考えられる。
 ○関係者との連携
  •    ・医療機関から排出される廃棄物については、直接、個人の健康にかかわってくることがあるため、公衆衛生上の観点から、今後とも、新たな検討課題がでてくることが予想される。したがって、感染性廃棄物の取扱いに関しては、感染症に関する学識経験者や医師会等の医療関係団体等と十分に連携を取りながら適正な処理に向けて継続的な検討を行う必要がある。

<参考>

 ① 全国の処理業者の許可の状況

  •    ・感染性廃棄物処理業者の許可の状況について、全国の都道府県および政令指定都市に対して照会した結果、感染性廃棄物の収集・運搬の許可件数は全国でのべ約六〇〇〇件、処分業の許可件数は約四〇〇件であった。中間処理の方法は、ほとんどが焼却処理であるが、数例、高圧蒸気滅菌等の他の方法で行っているところもあった。(表三)
  •    ・中間処理業者が一社しかない県と一社もない県は、それぞれ一県づつあり、このような県の医療機関では、県外の許可業者に委託することにより処理を行っているものと考えられる。
  •    ・なお、感染性廃棄物を受け入れている市町村や一部事務組合を作って受け入れている市町村もあるが、全体から見ると少数である。この場合も、多くは、診療所などの廃棄物の量が少ない事業者のみを対象とするなど、受入れの条件を付しているところが多い。

(表三)
 中間処理業者の状況

許可されている中間処理の方法
業者の数(件)
焼却
三六〇
溶融
高圧蒸気滅菌
乾熱滅菌
その他
合計
三八二


(平成一二年一月一日現在)

 ② 感染性廃棄物の排出量

  •    ・感染性廃棄物の排出量や処理費用などについて、各都道府県を通じ、全国の約八〇〇病院に対しアンケート調査を行った結果から全国の状況を推計した。
  •    ・排出量について、重量で報告してきた病院は約三〇〇病院、容量で報告してきた病院が約二〇〇病院であった。廃棄物の排出量については、重量で表すことが一般的であるため、重量で報告してきた病院の排出量から全国の排出量を推計した。なお、全国の排出量の推計に当たっては、一床当たりの排出量を算出し、全国の排出量を推計した。(表四)
  •    ・その結果、全国の感染性廃棄物の排出量は、年間約一五万トンと推計された。

(表4)
 感染性廃棄物の排出量について(推計)

有効回答病院数
有効回答病床数(床)
報告排出量(t/年)
1床当たり排出量(t/年)
全国の病床数(床)
全国の排出量の推計(t/年)
353
84,410
7,603
0.09
1,656,415*
149,077
  • *「平成10年医療施設調査・病院報告」

 ③ 処理費用

  •    ・収集・運搬費用については、病院から中間処理施設までの運搬距離や収集・運搬容器の費用の有無、容器の種類などにより、処理費用に差があるものと思われる。また、中間処理費用については、地域や注射針やプラスチック類など委託する感染性廃棄物の種類によって、その費用に差があるものと思われる。
  •    ・収集・運搬費用、中間処理費用ともに、ばらつきが大きく、病院から中間処理施設までの距離や委託する感染性廃棄物の種類などにより、処理費用が大きく異なっているのが現状であると思われる。
  •    ・今回の調査では、単位重量当たりで報告してきた病院や単位容量当たりで報告してきた病院、中には容器単位で費用を記載している病院もあり、さらに、費用の計算単位が不明なものなど曖昧な記載が多く、委託費用に関して、明確に全国的な集計を行うことができなかった。
  •    ・今後、現在、検討している産業廃棄物処理業者情報検索システム等による処理費用の明確化や地域ごとの費用の検討などが必要になってくるものと思われる。
ページ先頭へ