法令・告示・通達

悪臭防止法の施行について

  • 公布日:昭和47年8月31日
  • 環大特48号

環境庁大気保全局長から各都道府県知事、各指定都市市長あて

 悪臭防止法(昭和46年法律第91号。以下「法」という。)の施行については、先にその大綱について、貴職あて環境事務次官通達「悪臭防止法の施行について」(昭和47年6月7日環大特第31号。以下「次官通達」という。)により示されたところであるが、細部については、下記の事項に留意のうえ、法の施行に遺憾のないようにされたい。
 また、本通達の趣旨を管下市町村長に周知徹底し、法施行体制の確立に努められたい。

第1 悪臭物質の主要発生源について

  悪臭防止法施行令(昭和47年政令第207号)第1条に規定された悪臭物質を排出するおそれのある工場その他の事業場のうち主要なものとしては、おおむね別表に掲げるものがあるので、貴職の管轄区域内におけるこれらの事業場の所在地、数、操業等の実態の把握に努められたいこと。

第2 規制基準について

  1.  (1) 次官通達第5の(3)の表中の「主として工業の用に供されている地域その他悪臭に対する順応の見られる地域」としては、次のような地域が考えられること。
    •   ア 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条の規定に基づく工業地域
    •   イ 都市計画法に基づく用途指定がなされていない地域であつて、同法第8条の規定に基づく工業地域に相当する地域
    •   ウ 次官通達第4の(2)により規制地域として指定された地域
    •   エ 農村、漁村等の地域であつて、当該地域に固有の悪臭に対する順応の見られる地域
  2.  (2) 気体排出施設から排出され、大気中で拡散された悪臭物質の濃度が最大となる地点が当該悪臭物質を排出している事業場の敷地内である場合においては、法第4条第2号の規制基準の設定の趣旨にかんがみ、当然に、当該規制基準を適用する必要がなく、同条第1号の規制基準が適用されるものであること。
       なお、気体排出施設と最大着地濃度地点の間の距離(Dメートル)は、一般的には、次式により算出しうるので、参考にされたいこと。
       D=7.36×He1.1
       ただし、この式において、Heとは、悪臭防止法施行規則(昭和47年総理府令第39号。以下「規則」という。)第2条第2項の規定に基づき補正された排出口の高さを表わすものとする。

第3 規制地域の指定および規制基準の設定に係る公示について

  規制地域の指定および規制基準の設定に係る公示は、公報に掲載してしなければならない(法第6条、規則第4条)が、規制地域の範囲は、行政区画またはそれに準ずるものにより表示するか、または個々の事業場もしくは住居がどの地域に存するかが明らかにされている図面により表示すること。

第4 改善勧告および改善命令について

  1.  (1) 改善勧告または改善命令の内容は、生活環境の悪化を除去するに必要な範囲に限られるものであるので、規制地域内の事業場からの悪臭物質の排出が法第4条第1号の規制基準および同条第2号の規制基準の双方に適合しない場合において、当該規制地域の住民の生活環境がもつぱら一の規制基準に適合しないことによりそこなわれていると認められるときは、当該規制基準の不適合に関し、悪臭物質の排出を減少させるための改善勧告または改善命令を発動すれば足りること。
  2.  (2) 改善勧告または改善命令の主な内容としては、次のようなものがあること。
    •   ア 悪臭物質を発生させている施設の密閉化、工程の改善等による悪臭物質排出量の減少
    •   イ 排出ガスの洗浄装置、燃焼装置、吸着装置、中和装置等悪臭物質排出防止設備の設置または改善による悪臭物質排出量の減少
    •   ウ 清掃周期の短縮、点検修理の励行等悪臭物質を発生させている施設の運用の改善および原材料入荷の調整等の作業管理の適正化による悪臭物質排出量の減少

第5 規制基準の適用に係る悪臭物質の測定について

  1.  (1) 法第4条の規制基準の適用に係る悪臭物質の測定については、事業場の操業状況、気象状況等が生活環境に係る被害が発生したときの状況と同等もしくは類似していると認められる場合において、これを行なうこと。
  2.  (2) 事業場敷地境界線において悪臭物質の濃度の測定を行なう場合には、その測定点は当該事業場から排出された悪臭物質が住民の生活環境に対し最も影響を与える地点を選定することとし、事業場の敷地境界線からおおむね10メートル以内の地点の地上2メートル以内で試料を採取して行なうこと。
       なお、同種の事業場が集合して設置されている場合など複数の事業場から同種の悪臭物質が排出されているため、個々の事業場から排出されている悪臭物質の量を測定しがたいと認められる場合においては、操業状況、気象状況等を配慮し、他の事業場から排出されている悪臭物質による影響が少ない時期を選定して測定するよう努めること。
  3.  (3) 煙突その他の気体排出施設の排出口とは、気体排出施設の開口部であつて、排出ガス量の測定が可能なものをいうこと。したがつて、換気口、換気筒等であつてもその排出口において排出ガス量の測定が可能であるものは、気体排出施設の排出口に該当すること。

第6 報告および検査

  法第14条第1項に規定する報告および立入検査は、改善勧告または改善命令の発動に関し必要があると認められる場合に行なわれるものであるが、立入検査は、次に掲げる場合において行なうことが必要であること。

  •  ア 規制地域内の事業場から排出される悪臭物質により住民の生活環境がそこなわれていると認められる場合において、当該事業場の気体排出口における悪臭物質の流量を測定する必要があると認めた場合
  •  イ 改善勧告または改善命令に係る措置を適切かつ効果的なものとするため、悪臭物質を発生させている施設その他の物件を検査する必要があると認めた場合
       なお、その他の物件としては、悪臭物質排出防止設備、原材料、関係帳簿、書類等が該当すること。
  •  ウ 改善勧告または改善命令を発動した後、これらに係る措置の実施状況を確認する必要があると認めた場合

第7 助成制度について

  悪臭物質の排出防止設備の設置については、現在、次のような助成措置が講じられているので、貴職におかれても、関係事業者に対し、これら助成制度の周知徹底を図るとともに、その自主的改善の促進に努められたいこと。

  •  ア 公害防止事業団法(昭和40年法律第95号)に基づき公害防止事業団が行なう造成建設事業および貸付事業
  •  イ 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)に基づく融資
  •  ウ 中小企業金融公庫法(昭和28年法律第138号)に基づく融資
  •  エ 上記のほか、国民金融公庫法(昭和24年法律第49号)に基づく融資、日本開発銀行法(昭和26年法律第108号)に基づく融資、農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)に基づく融資、農業改良資金助成法(昭和31年法律第102号)に基づく融資、農業近代化資金助成法(昭和36年法律第202号)に基づく融資等
  •  オ 畜産団地造成事業に対する国庫補助
       なお、税制上の優遇措置として、租税特別措置法(昭和32年法律第26号)に基づく合理化機械等の特別償却ならびに地方税法(昭和25年法律第226号)に基づく固定資産税の非課税が予定されていること。

第8 報告事項について

  悪臭防止対策の拡充強化に資するため、下記事項を本職まで報告されたいこと。

  •  ア 規制地域の指定、変更または解除および規制基準の設定、変更または廃止に関する公示の内容
  •  イ 改善勧告または改善命令の発動に係る悪臭公害の状況および当該改善勧告または改善命令の内容等
  •  ウ 悪臭発生事業場の実態調査結果、悪臭防止技術に関する調査研究結果等
  •  エ 悪臭を規制する条例を制定または改廃しようとする場合には、当該条例案の内容


別表

悪臭物質
主要発生源事業場
アンモニア
畜産農業、鶏糞乾燥場、複合肥料製造業、でん粉製造業、化製場、魚腸骨処理場、フェザー処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
メチルメルカプタン
クラフトパルプ製造業、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
硫化水素
畜産農業、クラフトパルプ製造業、でん粉製造業、セロフアン製造業、ビスコースレーヨン製造業、化製場、魚腸骨処理場、フェザー処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
硫化メチル
クラフトパルプ製造業、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
トリメチルアミン
畜産農業、複合肥料製造業、化製場、魚腸骨処理場、水産かん詰製造業等



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