法令・告示・通達

悪臭防止法施行令の一部を改正する政令の施行等について

  • 公布日:平成5年6月18日
  • 環大特58号

環境庁大気保全局長から各都道府県知事・各指定都市市長あて

 悪臭防止法施行令の一部を改正する政令(平成5年政令第201号。以下「改正政令」という。)が平成5年6月18日付けで公布され、平成6年4月1日から施行されることとなった。
 これに伴い、悪臭防止法施行規則の一部を改正する総理府令(平成5年6月総理府令第34号)が平成5年6月18日付けで公布され、改正政令と同様、平成6年4月1日から施行されることとなった。
 今回の改正は、悪臭防止の充実を図るため、悪臭防止法第2条に定める悪臭物質として新たにプロピオンアルデヒド等の10物質を追加指定したものである。
 貴職におかれては、下記の事項に留意の上、改正政令等の円滑かつ適正な運用を図られたい。
 また、本通達の趣旨を管下市町村長に周知徹底し、指導に遺憾なきを期されたい。
 なお、悪臭物質の測定の方法については、おって通知する。

第1 悪臭物質の追加指定の考え方

 1 追加指定の背景

   悪臭物質については、昭和47年5月悪臭防止法の施行の際、中央公害対策審議会の第1次答申を受けてアンモニア等5物質が、また、昭和51年8月の第2次答申を受けて二硫化メチル等3物質が、さらに平成元年9月の答申を受けてプロピオン酸等4物質が政令で指定されている。しかし、これら12物質の規制では悪臭苦情に十分に対処しきれない実情にあり、悪臭物質の追加指定が強く望まれていたところである。
   そのため、環境庁においては、関係機関の協力を得て、悪臭公害の実態、悪臭物質の測定方法、悪臭防止技術等について調査研究を進めてきたところであるが、平成5年6月1日に中央公害対策審議会の答申を得て、これを基に政令等の改正を行い、10物質を追加指定したものである。

 2 追加指定の理由

   プロピオンアルデヒド等10物質は、昭和47年の第1次答申に示された悪臭物質の指定要件、すなわち、①悪臭公害の主要な原因となっている物質であること、②大気中の濃度を測定しうるものであること、の2つの要件を満たす物質として選定したものである。
   今回の10物質の追加により、塗装工程(焼付け塗装を含む)を有する事業場、印刷工場等についてよりきめ細かく悪臭の排出が規制されることとなる。
   なお、今後も悪臭公害の実態等に関する調査研究を進め、必要に応じ悪臭物質を追加指定し、適切な悪臭防止の措置を講じていく予定である。

第2 改正の要点

 1 悪臭防止法施行令改正関係

   悪臭防止法第2条の政令で定める物質として、新たにプロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、イソブタノール(学術用語名イソブチルアルコール)、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン及びキシレンの10物質を追加したこと。(悪臭防止法施行令第1条の改正)

 2 悪臭防止法施行規則関係

   追加10物質について、工場その他の事業場の敷地境界線における規制基準の範囲を定めたこと。(悪臭防止法施行規則別表の改正)

第3 留意すべき事項

 1 追加10物質の主要発生源について

   追加10物質のうち、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド及びイソブタノールは有機化合物の燃焼又は加熱に伴って生じる2次生成物質であり、また、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン及びキシレンは、塗料又はインキ、これらの薄め液、工業合成用の原料又は溶剤等にその成分として含まれるものである。追加10物質を排出するおそれのある工場その他の事業場のうち主要なものとしては、おおむね別表に掲げるものがあるので、貴職の管轄区域内におけるこれらの事業場の所在地、数、それぞれの事業場において使用される悪臭物質の種類、量及び加熱(焼付け)工程の有無等の実態の把握に努められたいこと。

 2 規制基準の設定について

  1.   (1) 追加10物質に係る敷地境界線における規制基準の範囲は、あくまでも悪臭防止の観点から悪臭物質の追加指定がされたものであるから、規制地域の住民の大多数が悪臭による不快感を持つことがないような濃度の範囲として定められたものであること。
        すなわち、規制基準の範囲としては、調香師による嗅覚試験の結果を基礎として6段階臭気強度表示法によるものとし、その下限はそれぞれの物質について臭気強度2.5に対応する濃度とし、その上限は、地域の自然的、社会的条件により悪臭に対する順応のみられる場合があることを考慮し、臭気強度3.5に対応する濃度としたものであること。
  2.   (2) 敷地境界線における規制基準は、規制地域について、その自然的、社会的条件を考慮して、必要に応じ、当該地域を区分し、定めなければならないものとされているが、当該地域を区分する必要がある主な場合としては、当該地域のうちに主として工業の用に供されている地域その他悪臭に対する順応のみられる地域がある場合が該当すること。
        このような地域については、その土地利用の実態等に応じて、次表の区分にしたがって区分し、規制基準は、それぞれに対応する右欄の範囲内で定めるものとすること。
        ただし、主として工業の用に供されている地域その他悪臭に対する順応のみられる地域の内に存在する事業場からの悪臭により他の規制地域内の住民の生活環境が損なわれていると認められる場合については、当該区域内の所要の区域を当該他の規制地域に係る規制基準を適用すべき地域として指定するものとすること。
  3.   (3) 煙突等の気体排出口における規制基準についても、焼付け塗装等に伴い気体排出口から追加10物質が排出される実態があることに鑑み、敷地境界線における悪臭物質に係る規制基準の範囲を基礎として、悪臭防止法施行規則第2条に規定する方法により定めるものであること。

 3 中小規模の事業者に対する配慮について

   中小規模の事業者に対して悪臭防止の措置を推進するに当たっては、今後とも、資金のあっせん、技術的助言その他所要の配慮を加えられたいこと。特に、小規模の事業者に対する改善勧告又は改善命令の発動に当たっては、貴職あて環境事務次官通知「悪臭防止法の施行について」(昭和47年6月7日付け環大特第31号)第6(5)にあるとおり、改善期限の延長、改善措置の段階的実施等所要の配慮を加えられたいこと。

地域の区分
規制基準(法第4条第1号)の範囲
(単位ppm)
主として工業の用に供されている地域その他悪臭に対する順応のみられる地域
プロピオンアルデヒド
ノルマルブチルアルデヒド
イソブチルアルデヒド
ノルマルバレルアルデヒド
イソバレルアルデヒド
イソブタノール
酢酸エチル
メチルイソブチルケトン
トルエン
キシレン
0.1~0.5
0.03~0.08
0.07~0.2
0.02~0.05
0.006~0.01
4~20
7~20
3~6
30~60
2~5
上記以外の地域
プロピオンアルデヒド
ノルマルブチルアルデヒド
イソブチルアルデヒド
ノルマルバレルアルデヒド
イソバレルアルデヒド
イソブタノール
酢酸エチル
メチルイソブチルケトン
トルエン
キシレン
0.05~0.1
0.009~0.03
0.02~0.07
0.009~0.02
0.003~0.006
0.9~4
3~7
1~3
10~30
1~2


 (注) 表の右欄の数値の有効数字は1桁である。


別表

悪臭物質
主要発生源事業場
プロピオンアルデヒド
ノルマルブチルアルデヒド
イソブチルアルデヒド
ノルマルバレルアルデヒド
イソバレルアルデヒド
塗装工場、その他の金属製品製造工場、自動車修理工場、印刷工場、魚腸骨処理場、油脂系食料品製造工場、輸送用機械器具製造工場等
イソブタノール
酢酸エチル
メチルイソブチルケトン
トルエン
キシレン
塗装工場、その他の金属製品製造工場、自動車修理工場、木工工場、繊維工場、その他の機械製造工場、印刷工場、輸送用機械器具製造工場、鋳物工場等



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