法令・告示・通達

騒音規制法の施行について

  • 公布日:昭和44年1月30日
  • 厚生省環30号

[改定]
平成5年7月26日 環大特80号

厚生事務次官・農林事務次官・通商産業事務次官・運輸事務次官・建設事務次官から各都道府県知事あて
 騒音規制法(以下「法」という。)は、第58回国会において成立し、昭和43年6月10日法律第98号をもつて公布され、同年12月1日から施行された(騒音規制法の施行期日を定める政令(昭和43年政令第323号)。これに伴つて、騒音規制法施行令(昭和43年政令第324号)、工場騒音規制規則(昭和43年厚生省、農林省、通商産業省、運輸省令第1号)、建設作業騒音規制規則(昭和43年厚生省、建設省令第1号)、特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準(昭和43年11月厚生省、農林省、通商産業省、運輸省告示第1号。以下「4省共同告示」という。)および特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準(昭和43年11月厚生省、建設省告示第1号)が昭和43年11月27日付をもつて公布され、それぞれ同年12月1日から施行された。
 騒音の防止については、従来地方公共団体が条例等により各種の対策を講じてきたところであるが、最近の産業の発展等を背景として、今日、騒音問題は住民の日常生活に身近な公害として全国的な問題となつている。本法はこうした事態に対処して、公害対策基本法の精神にのつとり、工場騒音および建設騒音についての必要な規制を行なうことにより、産業の健全な発展との調和を図りつつ生活環境を保全し、国民の健康の保護に資する趣旨から制定されたものである。法の施行にあたつては、以上の事情を十分考慮し、下記事項にご留意のうえ、遺憾のないようにされたい。

第1 全般的事項

 1 法の施行体制の確立

  1.   (1) 本法の施行に関する事務の大部分は、市区町村長が執行することになつているので、都道府県知事は、本法および本通知の趣旨にそつて十分、市区町村長を指導されたいこと。
  2.   (2) 本法の施行に関する事務は、多くの地方公共団体にとつて新しい行政分野に属するものであり、専門的な知識や経験を必要とするので、専門職員の養成および確保、測定機器の整備等により、組織体制の早急な整備を図られたいこと。
  3.   (3) 法の円滑な実施を図るため、関係部局、附属研究機関はもとより、関係各省庁の地方支分部局とも密接な連絡の下に、法の運用にあたられたいこと。
  4.   (4) 法の円滑な実施を図るうえで、工場および事業場の経営者、建設工事の施行者の積極的な協力を得る必要があるので、本法についての説明会の開催等、広く指導啓蒙に努められたいこと。
  5.   (5) 今後における騒音防止対策の一層の充実強化に資するため、特定施設、特定建設作業、規制基準等に関する資料等の送付方をお願いしたいこと。

 2 条例との関係

  1.   (1) 法第27条にいう条例を制定または改廃する場合には、その規制の方法、内容等については本法または他の法令で定める規制の程度をこえないようにされたいこと。
  2.   (2) 指定地域内に設置される特定工場等において発生する騒音に関し、当該地域の自然的、社会的条件に応じて、本法とは別の見地すなわち、騒音の大きさに係る見地以外の見地から、他の法令による規制がある場合を除き、条例で必要な規制を行なうことは可能であること。この場合においては、後述(3)の趣旨によりあらかじめ主務省に協議連絡されたいこと。
  3.   (3) 地方公共団体が騒音を規制する条例を制定または改廃しようとする場合は、あらかじめ主務省にその旨を協議連絡し、法と条例との関係について疑義を生じないように努められたいこと。

 3 削除

 4 本法の対象となる騒音

   法第1条にいう「相当範囲にわたる騒音」とは、近隣関係にとどまる程度の騒音を除く趣旨であり、その判断は具体的ケースに応じて判断されたいこと。なお、疑義のあるケースについては主務省に協議連絡されたいこと。

第2 特定工場等に関する規制に関する事項

 1 特定施設

  1.   (1) 特定施設の範囲については今後さらに調査研究のうえ、順次改訂していく予定であること。
  2.   (2) 特定施設の設置状況をは握し、騒音防止対策の円滑な実施を図るため、別途通知するところにより、その状況を主務省に報告されたいこと。
  3.   (3) 特定施設については設置されているもののみを対象とし、台座が固定していないものなどについては対象とされないこと。
        また、船舶または車両に設置する施設は、「工場又は事業場に設置される施設」に含まれないので本法にいう特定施設には該当しないものであること。

 2 地域の指定

  1.   (1)・(2) 削除
  2.   (3) 地域の指定(変更、廃止を含む。)および後述の規制基準の設定(変更、廃止を含む。)の際には、電気工作物、ガス工作物の特定施設に関する指導の徹底を図る関係上、事前に関係の地方通商産業局長に連絡されたいこと。
  3.   (4) 指定地域から除外される地域
        工業専用地区、臨港地区の分区、工業のための埋立地、飛行場は住民の生活環境を保全すべき実態がないので、指定地域から除外されるものであること。
  4.   (5) 地域の指定の時期
        地域の指定に当たつては、関係市町村長の意見をきいたうえ、すみやかに指定することが望ましく、今年度中には主要な地域について指定をするよう格段の努力を願いたいこと。
  5.   (6) 地域の指定(変更、廃止)の公示
        法第3条第3項(第4条第3項および第14条第4項において準用する場合を含む。)の規定による公示は、都道府県の公報に掲載してしなければならないが、指定地域の範囲は行政区画もしくはそれに準ずるものにより表示をするか、または個々の住民がどの区域に属するか明らかにされている地図等による図面表示によつて行なうこととすること。

 3 規制基準の設定

  1.   (1) 規制基準は、地域の住民の生活環境の態様に応じ、主務大臣が時間の区分および区域の区分ごとに定める基準の範囲内において都道府県知事が設定するものであるが、その設定にあたつては地域の実情を十分調査し、現行の条例の基準との関連および当該基準の遵守状況等も十分考慮のうえ適正に行なうものであること。
  2.   (2) 削除
  3.   (3) 同種の区域の規制基準は、同一の都道府県内においては同一のものとすることが望ましいが、工業地域と住民地域が隣接しているような一部の区域に限つてはこの限りでないこと。
  4.   (4) 特定工場等に適用される規制基準は、当該工場等が所在する区域に係る規制基準が適用されるものであること。
  5.   (5) 学校、病院等の周辺
        学校、保育所、病院、患者の収容施設を有する診療所、図書館および特別養護老人ホームの周囲おおむね50メートルの区域について、4省共同告示第1条第1項ただし書の規定により、きびしい規制基準を定めることについては、実態をよく調査のうえ、慎重に行なうものとされたいこと。
        また、これらの施設が指定地域の指定後に新設された場合には、これらの施設周辺の特定工場等に係る既得権の尊重について十分な配慮を行なうものとすること。
  6.   (6) 規制基準の変更
        法第4条第1項の規制基準を、区域の変更等に伴い従前のそれに比べきびしくする場合、または法第4条第2項の規定により規制基準をきびしくする場合等にあつては、既存の特定工場等に対しては法第12条第3項本文の趣旨にのつとり、変更後の基準の適用について最大限の配慮をし妥当な適用猶予期間を設けること。
  7.   (7) 特別の規制基準の設定
        法第4条第2項の規定による規制基準に関する条例の制定または改廃にあたつては慎重に配慮するよう指導するとともに、事前に主務省に協議するようにされたいこと。

 4 届出、勧告および命令について

  1.   (1) 法第9条の計画変更勧告および法第12条の改善勧告の要件としては、特定工場等において発生する騒音が規制基準に適合しないことのみではなく、それによつて周辺の生活環境がそこなわれると市区町村長が認めることが必要であること。周辺の生活環境がそこなわれるかどうかは特定工場等の周辺の生活環境の実態、暗騒音などの状況に即して判断するものとすること。
  2.   (2) 勧告または命令の内容は、その目的達成のため技術的経済的に最も合理的なものとし、勧告または命令の方法については事業者に選択の余地を認めるようにするほか、勧告または命令の内容が円滑に実施されるよう資金のあつせん等についてとくに配慮するよう努めること。
  3.   (3) 法第9条の計画変更勧告ならびに法第12条の改善勧告および改善命令の内容には、工場移転および操業停止は予定していないこと。
  4.   (4) 勧告または命令を発するにあたつては、事態を除去するに必要な限度とし、過剰な規制をしないようにすること。
  5.   (5) 勧告または命令を発する際には、その実効性を確保するため、当分の間、事前に都道府県知事へ市区町村から連絡させるよう指導すること。
  6.   (6) 法第12条第3項ただし書中「地方公共団体の条例の規定で第1項の規定に相当するものがある場合」とは、特定施設について改善勧告を具体的に発動し得ることになつている条例がある場合であるが、法と条例とは体系的に相当の相異があると考えられるので、法第12条第1項または第2項の運用については、同条第3項本文の規定の趣旨を尊重して慎重に行なわれたいこと。

 5 小規模事業者に対する配慮

   本法の工場騒音に係る対象企業の大半は小規模の事業者ないし中小企業者であり、その資力、経営内容はきわめて脆弱であることにかんがみ、法の運用にあたつてはこれらの事業活動に著しい影響を与えることのないよう十分配慮して行なわれたいこと。
   この場合配慮の内容は、勧告、命令を実施すべき期限、勧告、命令の内容である騒音の防止のための措置の段階的な実施等をいうものであること。

第3 特定建設作業に関する規制に関する事項

 1 特定建設作業

   船舶の製造または修繕に係る作業は、「建設工事として行なわれる作業」に含まれないので、本法にいう特定建設作業には該当しないものであること。

 2 削除

 3 特定建設作業の実施の届出

   届出義務者は、下請負人の工事施工方法、施工時期を統轄管理している建設業の実態にかんがみ、元請負人としたこと。また、届出は、特定建設作業の開始の日の7日前までに送達されるならば郵送でもさしつかえないこと。

 4 改善勧告および改善命名

  1.   (1) 改善勧告の発動要件については、工場騒音と異なり「生活環境が著しくそこなわれる」としているが、これは、2で述べた建設工事の特殊性および特定建設作業に伴う騒音の態様に着目したものであること。
  2.   (2) 法第15条第1項または第2項に基づく改善勧告および改善命令の内容は、騒音防止の方法の改善または特定建設作業の作業時間の変更であつて、工法の変更および建設工事の中止は含まれないものであること。
  3.   (3) 勧告または命令を発するにあたつては、勧告または命令の内容はその目的達成のため技術的経済的に最も合理的なものとし、過剰な規制とならないようにされたいこと。
        なお、改善勧告の発動については別表を参照されたいこと。
  4.   (4) 勧告または命令の実効性を確保する等のため、当分の間、勧告を発した場合には事後に、命令を発する場合には事前に、市区町村長から都道府県知事に対して連絡させるよう指導されたいこと。
  5.   (5) 法第15条第3項にいう「公共性のある施設または工作物」とは、例えば道路、上下水道、鉄道、自動車ターミナル、公共用飛行場、電気工作物、ガス工作物等をいい、おおむね建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第15条に定める施設または工作物をいうものであること。
  6.   (6) 法第15条の規定により市町村長が勧告または命令をしようとするときは、その内容をより円滑に実施するため、あらかじめ、電気工作物またはガス工作物に係る建設工事にあつては通商産業大臣または通商産業局長、鉄道、軌道、自動車ターミナル、車検場に係る建設工事にあつては地方運輸局長(日本鉄道建設公団が行なう場合には、日本鉄道建設公団)、港湾工事、海岸工事(運輸省所管に係るものに限る。)または埋立工事にあつては港湾管理者(運輸大臣または外貿埠頭公団が行なう場合には、運輸大臣または外貿埠頭公団)、公共用飛行場に係る建設工事にあつては運輸大臣(新東京国際空港公団が行なう場合には、新東京国際空港公団)、船舶の製造または修繕の施設に係る建設工事にあつては地方運輸局長並びに神戸海運監理部長に協議されたいこと。

第4・第5 削除

第6 助成措置に関する事項

  騒音を防止するための施設の設置については、現在国においては次のような助成措置を講じており、今後もその拡大強化に努力していく方針であるが、地方公共団体においてはこの助成措置制度の周知徹底を図るとともに各般の助成措置を講じ、企業の自主的改善の促進に努められたいこと。

 (1) 中小企業近代化資金等助成法に基づく融資

   中小企業近代化資金等助成法に基づく融資については、通商産業省中小企業庁長官から各都道府県知事あてに通達した「中小企業近代化資金等助成法第12条第1項に基づく都道府県の事業計画作成の基準」(平成5年4月1日5企庁第1055号)を参照されたいこと。

 (2) 環境事業団が行なう工場団地の造成譲渡

   東京、大阪などの過密地域から工場が集団して移転するための団地を環境事業団が造成し、長期低利で譲渡していること。

第7 事務の委任に関する事項

  本法の施行に関する事務は、広域的な判断等を必要とする地域の指定、規制基準の設定および和解の仲介に関する事務を除いては、すべて市区町村長が行なうこととしていること。これは、騒音問題が本来地域的な性格が強く地域の実情に詳しい市区町村長に対し、都道府県知事の権限に属する事務をひろく委任することが法の目的にかなうものであるからであること。

第8 深夜騒音等の規制に関する事項

  1.  1 法第28条の趣旨は、深夜騒音等について地域の実態を最もよくは握している地方公共団体が、住民の生活環境を保全するために、地域の実情に応じて積極的に規制策を講ずべきことを定めたものであること。
  2.  2 本条の規制の対象となる騒音は、飲食店営業の深夜における騒音のほか、興行場、ボーリング場、バツテイングセンター、水泳プール場、ガソリンスタンド等の深夜における騒音および拡声機を使用する商業放送に係る騒音、その他地域的に住民の生活環境をそこなう騒音を広くいうものであること。ただし、工場等において発生する騒音および新幹線、航空機等の交通機関に係る騒音については、本条の規制の対象には含まれないものであること。
  3.  3 本条の規制の方法については、営業時間の制限、営業所の構造設備の制限および拡声機の取り付け方法等の遵守事項を定めて行なう制限等が想定され、また必要に応じ地域指定を行ない、これらの制限を課すことも考えられること。この場合、深夜における騒音の規制については、営業時間の制限等実効性のある方法によることが望ましいものであること。
  4.  4 本条に基づく条例を制定するにあたつては、規制対象の範囲、規制の方法等についてあらかじめ主務省に連絡し協議されたいこと。

別表
  特定建設作業に伴つて発生する騒音の規制に関する基準(昭和43年11月厚生省、建設省告示第1号)第2条に規定する勧告に係る基準とこれに適合しない場合に行なわれる改善勧告との対応事例一覧表

 
改善勧告の内容
騒音防止の方法の改善勧告
作業時間の変更勧告
第2条第1号に適合しない場合
(騒音の大きさ)
1 くい打機、くい抜機、くい打くい抜機を使用する作業
  機械に遮音板消音装置(エンジンマフラー)等をとりつけること。
2 さく岩機を使用する作業
  作業場所に遮音塀を設置すること。
3 空気圧縮機を使用する作業
  機械に遮音板をつける、機械を上屋で囲う、機械の設置位置をかえること。
4 コンクリートプラント、アスフアルトプラントを使用する作業
  機械の設置位置をかえること。(原則として設置前のみ)
5 1~4の作業
  注油等機械の点検整備をすること。
 (作業時間の変更勧告はできない。)
第2条第2号に適合しない場合
(夜間または深夜作業)
 第2条第1号に適合しない場合と同様の改善勧告が考えられるが、更に夜間にわたる作業を休止することが実際的に不可能であつてその作業期間が長期にわたる場合には、例えば空気圧縮機を使用する場合には空気圧縮機をコンクリートブロツクで囲うことを勧告するなど、受忍できる程度まで騒音を軽減する措置を講ずること。
 夜間(午後7時から翌朝7時まで)または深夜(午後9時から翌朝6時まで)にわたる部分の作業を休止すること。
第2条第3号に適合しない場合
(1日の作業時間)
 第2条第1号に適合しない場合と同様の改善勧告が考えられる。
 10時間をこえる部分の作業を休止すること。
第2条第4号に適合しない場合
(作業期間)
 第2条第2号に適合しない場合と同様の改善勧告が考えられる。
 作業期間の中間に休止日(日曜日その他の休日を含む。)を設けること。
第2条第5号に適合しない場合
(日曜日、その他の休日作業)
 第2条第1号に適合しない場合と同様の改善勧告が考えられる。
 作業日を日曜日その他の休日以外の日に変更すること。
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