法令・告示・通達

農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係る管理基準の運用について

公布日:昭和59年11月08日
環水土150号

(各都道府県土壌汚染担当部局長あて環境庁水質保全局土壌農薬課長)

 標記の管理基準については、昭和五九年一一月八日付け環水土第一四九号をもって水質保全局長から通知されたところであるが、この管理基準の運用に当たっては、左記事項に留意の上、関係部局との緊密な連携のもとに適切な方策が講じられるようお願いする。

  1. 一 管理基準の設定の趣旨
      近年、農用地において肥料又は土壌改良資材としての使用が図られている再生有機質資材の中には、その成分からみて、長期間過大に連用する等の場合には、重金属等が土壌中に蓄積されるおそれのあるものがある。このため、作物生産の場である農用地における作物の生育への影響を防止し、土壌環境を保全する観点から再生有機質資材が使用される農用地の土壌中における重金属等に係る基準を定め、その総量を制限することにより土壌の汚染を未然に防止する必要性が高まっている。
     こうした情勢のもとに当面の措置として、再生有機質資材の使用に関して土壌中の重金属等の蓄積防止に係る暫定的な基準が定められた。
  2. 二 管理基準設定についての考え方
    1.  (一) 管理指標は、土壌汚染を未然に防止するための監視が簡易かつ明確に実施され得るようにする観点から監視上有効な物質を代表とすることとし、再生有機質資材に含まれる量と土壌中に含まれる量との比較、再生有機質資材に係る連用試験の結果等をもとに、亜鉛の含有量が定められた。
    2.  (二) 管理基準値は、土壌汚染を未然に防止し土壌環境を保全する趣旨にかんがみ、作物に影響が生ずるおそれのある土壌中の重金属等の含有程度より十分安全を見込んだ基準とすることが適当であるとの考え方から、通常の管理を越える人為的な重金属等の負荷が特に認められない我が国の農用地等の土壌における自然賦存量のおおむね上限を考慮して定められた。
  3. 三 管理基準に係る留意事項
    1.  (一) 管理基準は、我が国の平均的な農用地における再生有機質資材の使用に際して行政指導を行う際の目安として定められたものであるが、この管理基準を参考として指導を行う際に当たっては、管理指標に係る土壌中の賦存量、農用地の地目、土壌条件等地域の特性を考慮することが必要である。
    2.  (二) 土壌と作物の循環系で使用されている作物の残渣等その生成過程からみて重金属等の混入のおそれのない再生有機質資材については、一般に土壌中への重金属等を蓄積させるおそれが少ないことから資材及び土壌中の管理指標の把握を簡略化して差し支えない。
    3.  (三) 管理基準値を超えている農用地において再生有機質資材を使用する必要がある場合には、使用する土壌を用いた作物に対する影響に関する栽培試験を実施する等所要の検討を行うものとする。
    4.  (四) 管理基準に係る亜鉛の測定方法中の強酸分解法は、原則として、「土壌及び農作物中の水銀等の分析法」(昭和四八年八月、環境庁水質保全局)に記載する濃硫酸、濃硝酸、過塩素酸(一:五:二〇)分解法とする。