法令・告示・通達

ダイオキシン類対策特別措置法における土壌の常時監視に係る法定受託事務の処理基準について

公布日:平成12年06月16日
環水土137号

環境庁水質保全局長から都道府県知事・政令指定都市市長中核市市長あて

 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号。以下「地方分権一括法」という。)が平成12年4月1日に施行された。同法の施行により、機関委任事務は廃止され、都道府県及び市町村の事務は自治事務又は法定受託事務となる。このうち法定受託事務は、本来全国で統一的な常時監視による結果が必要とされるもの等国が果たすべき責務に係るものであるため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項により都道府県等が事務を処理するに当たりよるべき基準(以下「処理基準」という。)を国が定めることができるとされている。
 ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号。以下「法」という。)中の法定受託事務である常時監視(法第26条)のうち土壌に係るものに関しては、下記のとおり処理基準が定められたので、通知する。
 当該事務を行うに当たっては、下記事項に基づき適切に実施されたい。

1 総論

 (1) 常時監視に係る調査の種類

   ダイオキシン類による土壌の汚染については、経時的な濃度変化が比較的小さく、一般に局所的であるという特徴を有していることから、地域における土壌中のダイオキシン類濃度の状況を効率的に把握するとともに対策の実施が必要な地域を早期に発見するためには、同一地点で繰り返し調査測定を実施するより、広域的に調査地点を選定し実施することが適当である。
   したがって、常時監視のためには、以下のような調査測定を通じ汚染の実態を把握するものとする。

  1) 地域概況調査

  •    ア 一般環境把握調査
         一般環境における土壌中のダイオキシン類濃度の状況を把握するため、特定の発生源の影響をあらかじめ想定せずに実施する調査である。
  •    イ 発生源周辺状況把握調査
         ダイオキシン類を発生し排出する施設が一般環境の土壌に及ぼす影響を把握するため、発生源の周辺において実施する調査である。
  •    ウ 対象地状況把握調査
         既存資料等の調査によりダイオキシン類による汚染のおそれが示唆される対象地における土壌中のダイオキシン類濃度の状況を把握するため実施する調査である。

  2) 調査指標確認調査

    1)の調査の結果、250pg―TEQ/g(以下「調査指標値」という。)以上の地点が判明した場合、その周辺におけるダイオキシン類濃度を把握するため実施する調査である。(「ダイオキシン類による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境基準について」(平成11年環境庁告示第68号。以下「告示」という。)の別表備考3参照)

  3) 範囲確定調査

    1)又は2)の調査の結果、告示に定める土壌の環境基準値を超える地点が判明した場合、環境基準値を超える土壌の範囲及び深度を確定するため実施する調査である。

  4) 対策効果確認調査

    汚染の除去等の対策を実施した場合、その効果を確認するため実施する調査である。

  5) 継続モニタリング調査

    調査指標値以上の地点について、土壌中のダイオキシン類濃度の推移を把握するため、3~5年の期間をおいた後に実施する調査である。

 (2) 常時監視に係る調査測定を行う地点

   常時監視のための調査測定を行う地点の選定方法は、原則として次のとおりとする。
   なお、あらかじめ土地利用状況等を資料等により調査した上で地点を選定するものとし、調査の実施に当たっては事前に土地所有者や関係機関に協力を依頼するなどにより円滑な実施に努めることが望ましい。

  1) 地域概況調査

  •    ア 一般環境把握調査
         数年程度で都道府県の区域内の全市町村(法第41条に掲げる政令で定める市(以下「政令市」という。)にあっては主要な地域)において調査が実施されるよう年次計画を立て、調査地点を選定するものとする。また、人口や土地利用の状況等を勘案して、多数の人の健康に影響を及ぼす可能性がある地域及び汚染の可能性が高い地域を優先的に選定するものとする。
  •    イ 発生源周辺状況把握調査
         数年程度で都道府県又は政令市の区域内の主要な発生源が選定されるよう年次計画を立て、周辺の一般環境における土壌中のダイオキシン類濃度の概況が把握できるよう調査地点を選定するものとする。
  •    ウ 対象地状況把握調査
         既存資料等の調査によりダイオキシン類による汚染のおそれが高い対象地を優先的に選定し、その対象地における土壌中のダイオキシン類濃度の概況が把握できるよう調査地点を選定するものとする。

  2) 調査指標確認調査

    調査指標値以上の地点の周辺において、発生源の立地や周辺の土地利用の状況等を勘案して調査地点を選定するものとする。

  3) 範囲確定調査

    土壌の環境基準値を超えている地点の周辺において、一定の間隔をおいて調査地点を選定するものとする。既存の資料等から判断して高濃度に汚染されているおそれが高い場所については、密度を高めて調査地点を配置するものとする。
    さらに、最も高濃度の汚染が判明した地点及び下層に汚染が及んでいるおそれがある地点については、深度方向に試料採取点を選定するものとする。

  4) 対策効果確認調査

    対策を実施した範囲及びその周辺から、適宜、調査地点を選定し、必要に応じて深度方向にも試料採取点を選定するものとする。

  5) 継続モニタリング調査

    調査指標値以上の地点を選定するものとする。
    なお、複数の地点を一つの対象地と見なすことができるときは、適宜、その代表的な1地点を選定することとしても差し支えない。

 (3) 常時監視に係る調査測定の項目

   調査測定の項目は、法第2条に規定するダイオキシン類である。
   なお、都道府県の区域内の汚染の状況を的確に把握するためには、含水率、強熱減量、土性等についても調査するとともに、土地の利用状況や周辺の発生源の立地状況等の情報を併せて収集することが望ましい。
   また、調査指標値以上の地点については、必要に応じて発生源の究明、他媒体等に係るダイオキシン類の調査を併せて実施することが望ましい。

2 常時監視に用いる測定の方法

  別添「ダイオキシン類に係る土壌調査測定マニュアル」によること。

3 常時監視の結果の報告

  法第26条第2項の常時監視の結果の報告の方法は以下のとおりとする。
  都道府県知事は、国及び他の地方公共団体により実施された調査測定の結果を含めて、その区域内において実施した常時監視の結果を取りまとめ、原則として年1回、別紙1及び2の様式及び別途送付するフレキシブルディスクにより環境庁水質保全局長あて報告するものとする。
  なお、数値の取扱い及び報告の方法は、次のとおりとする。

 (1) 測定結果

   測定結果については、異性体の濃度が定量下限値未満の場合は0として毒性等量換算した値を報告する。
   また、参考として、異性体の濃度が検出下限値以上かつ定量下限値未満の場合はその数値を、検出限界値未満の場合は検出限界値の1/2として毒性等量換算した値(以下「参考値」という。)を併記するものとする。

 (2) 有効数字

   有効数字は2桁とし、3桁目を四捨五入するものとする。

 (3) 報告方法

   年間の常時監視の結果については、各年度ごとにまとめ、翌年度の5月31日までに報告するものとする。
   なお、緊急の問題が発生した場合は、年間の報告とは別に、個別に速やかに報告するものとする。